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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025819
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】加温販売用飲料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/52 20060101AFI20220203BHJP
   A23L 2/68 20060101ALI20220203BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20220203BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A23L2/52
A23L2/52 101
A23L2/68
A23L2/02 B
A23L2/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128916
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】小池 央朗
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LE10
4B117LG02
4B117LK08
4B117LK12
4B117LK16
4B117LL01
4B117LP20
(57)【要約】
【課題】pHが3.5以上であっても、良好な果汁感が得られる加温販売飲料を提供する。
【解決手段】加温販売用飲料は、100mg/100ml以上のビタミンCを含み、pH(20℃)が3.5以上4.2未満である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
100mg/100ml以上のビタミンCを含み、pH(20℃)が3.5以上4.2未満である、加温販売用飲料。
【請求項2】
柑橘類風味である、請求項1に記載の加温販売用飲料。
【請求項3】
オレンジ類、みかん類、雑柑類、タンゴール・タンゼロ類、ライム類、ユズ類、レモン類、およびグレープフルーツ類からなる群からいずれか1種または2種以上から選ばれる柑橘類の果汁を含有する、請求項1に記載の加温販売用飲料。
【請求項4】
当該柑橘類の果汁の果汁率(ストレート果汁換算)が0.5w/w%以上、5w/w%以下である、請求項3に記載の加温販売用飲料。
【請求項5】
ブリックス値が5以上、15以下である、請求項1乃至4いずれか一項に記載の加温販売用飲料。
【請求項6】
クエン酸酸度が0.20g/100ml以上、0.40g/100ml以下である、請求項1乃至5いずれか一項に記載の加温販売用飲料。
【請求項7】
高甘味度甘味料を実質的に含まない、請求項1乃至6いずれか一項に記載の加温販売用飲料。
【請求項8】
容器詰めされた、請求項1乃至7いずれか一項に記載の加温販売用飲料。
【請求項9】
100mg/100ml以上となるようにビタミンCを添加する工程と、
pH(20℃)が3.5以上4.2未満となるように調整する工程と、
を含む、加温販売用飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加温販売用飲料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、柑橘風味を呈する加温販売用飲料のpHは、一般的に3.0~3.5未満であることが知られており、これにより良好な果汁感を得ていた(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-168021号公報
【特許文献2】特開2015-53936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、pHの低い飲料は、加温保存時の劣化が促進しやすく、良好な果汁感を得つつ劣化を抑制する点で改善の余地があった。
また、本件発明者が、市販されている容器詰め加温販売用飲料のpHおよびビタミンC濃度について測定したところ、pH3.5以上でビタミンC100mg/100ml以上のものは見つからなかった。
そこで、本件発明者は、新たにpHが3.5以上の加温販売用飲料の開発に着目し、鋭意検討した結果、飲料のビタミンC含有量を制御することで、加温された状態で飲用した際に、pHが高くても良好な果汁感が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
100mg/100ml以上のビタミンCを含み、pH(20℃)が3.5以上4.2未満である、加温販売用飲料が提供される。
【0006】
本発明によれば、
100mg/100ml以上となるようにビタミンCを添加する工程と、
pH(20℃)が3.5以上4.2未満となるように調整する工程と、
を含む、加温販売用飲料の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、pHが3.5以上であっても、良好な果汁感が得られる加温販売用飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。
【0009】
<加温販売用飲料>
本実施形態の加温販売用飲料は、100mg/100ml以上のビタミンCを含み、pH(20℃)が3.5以上4.2未満である。これにより、良好な果汁感が得られる。
すなわち、加温販売用飲料は、一般的に、冷やして飲用されるコールド飲料よりも果汁感が得られにくくなる傾向があるため、従来、pHを3.5よりも低くすることで果汁感を得ていた。これに対し、本実施形態の加温販売用飲料は、100mg/100ml以上のビタミンCを含むことによって、pHが3.5以上であるにも関わらず、良好な果汁感が得られるものである。また、本実施形態の加温販売用飲料によって得られる「果汁感」とは、飲料を口に含んだ時に果汁に由来する果実そのものを想起させる風味を意図し、果汁ならではの芳醇感、瑞々しさといった好ましい風味も含むものである。
【0010】
[加温販売用]
加温販売用とは、飲料の液温を40~80℃、好ましくは45~70℃、さらに好ましくは50~60℃に加温保持した状態で、消費者に販売される用途に供されるものを意図する。液温を80℃以下とすることでやけどを防ぎ、40℃以上とすることで、体温よりも高くなり、飲料の温かみを感じやすくなる。
【0011】
[pH]
本実施形態の飲料の20℃におけるpHは、3.5以上4.2未満であり、3.6以上4.0以下であることが好ましく、3.6以上3.9以下であることがより好ましい。
当該pHを上記下限値以上とすることにより、加温販売による飲料の劣化を抑制しつつ、果汁感および強い後味が向上できる。
当該pHを上記上限値以下とすることにより、おいしさ、果汁感および強い後味のバランスを良好に保持できる。
【0012】
なお、pHの測定は、市販のpH測定器を用いるなどして行うことができる。pHの調整は、例えば、特定酸の量を変えることや、クエン酸三ナトリウム等のpH調整剤を用いることなどにより行うことができる。
【0013】
[ビタミンC]
本実施形態においてビタミンCは、L-アスコルビン酸、およびL-アスコルビン酸塩を意図する。L-アスコルビン酸塩は、典型的には、L-アスコルビン酸ナトリウムである。
ビタミンCの含有量の下限値は、飲料全量に対して、100mg/100ml以上であり、120mg/100ml以上が好ましく、160mg/100ml以上がより好ましく、200mg/100ml以上がさらに好ましい。
一方、ビタミンCの含有量の上限値は、飲料の良好な風味を保持する観点から、飲料全量に対して、500mg/100ml以下が好ましく、300mg/100ml以下がより好ましく、200mg/100ml以下がさらに好ましい。
【0014】
なお、ビタミンCは、果汁由来のものであってもよい。例えば、レモン果汁には50mg/100gのビタミンCが含まれる。そのため、本実施形態の100mg/100ml以上のビタミンCを含む加温販売用飲料は、ビタミンCを含む果汁とは別に、ビタミンCを添加することによってはじめて得られる。
【0015】
本実施形態の加温販売用飲料中のビタミンC濃度の測定方法としては、消費者庁-食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)の別表第9のビタミンCの測定及び算出の方法について記載される2,4-ジニトロフェニルヒドラジン法、インドフェノール・キシレン法、高速液体クロマトグラフ法又は酸化還元滴定法が挙げられる。
【0016】
[柑橘類風味]
本実施形態の加温販売用飲料は、果汁感を効果的に得る観点から、柑橘類風味を呈することが好ましい。柑橘類風味は、後述する柑橘類果汁や柑橘類フレーバーなどを用いることによって得られる。
また、柑橘類としては、柑橘類果汁と同様の柑橘類が挙げられる。なかでも、良好な果汁感、強い後味を得る観点から、レモン風味であることが好ましい。
【0017】
[柑橘類果汁]
本実施形態の加温販売用飲料は、柑橘類果汁を含むことが好ましい。
柑橘類果汁の果汁率(ストレート果汁換算)は、好ましくは0.5w/w%以上、5w/w%以下であり、より好ましくは1w/w%以上、3w/w%以下である。
当該果汁率を、上記下限値以上とすることにより、果汁らしいおいしさ、後味の強さが得られやすくなる。一方、果汁率を、上記上限値以下とすることにより、スッキリ感が得られやすくなる。
【0018】
なお、果汁率とは、柑橘類を搾汁して得られ、濃縮等の処理を行っていない柑橘類の搾汁(ストレート果汁)のBrix値または酸度を100%としたときの相対濃度である。果汁率をBrix値または酸度のいずれに基づいて算出するかはJAS規格に基づき柑橘類の種類ごとに定められている。また、果汁の果汁率をJAS規格のBrix値に基づいて換算する場合、果汁に加えられた糖類、はちみつ等のBrix値は除いて算出される。
【0019】
柑橘類果汁とは、柑橘類を破砕して搾汁したり、あるいは裏ごししたりするなどして得られる液体成分をいう。また、柑橘類の果汁には、当該液体成分を濃縮したものや、これらの希釈還元物も含まれてもよく、パルプ分を含むもの、または、ろ過や遠心分離等の処理によりパルプ分を除去したものあってもよい。
また、柑橘類果汁としては、ストレート果汁、濃縮果汁、濃縮還元果汁などを用いてもよい。
【0020】
柑橘類とは、ミカン科ミカン亜科に属する植物の果実を意味する。具体的な柑橘類としては、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、ブラッドオレンジなどのオレンジ類、うんしゅうみかん、マンダリンオレンジ、ぽんかん、紀州みかん、アンコール、ダンゼリン、コウジ、シークワーサー、タチバナ、不知火などのみかん類、ナツダイダイ、はっさく、ヒュウガナツ、サンボウカン、河内晩柑、キヌカワ、ナルトなどの雑柑類、タンカン、いよかん、マーコット、清見、オーランド、ミネオラ、セミノール等のタンゴール・タンゼロ類、メキシカンライム、タヒチライム等のライム類、リスボンレモン、ユーレカレモン、ディアマンテ、エトローグ等のレモン類、バンペイユ、土佐ブンタン等のブンタン、ダンカン、マーシュ、トムソン、ルビーレッド等のグレープフルーツ類、ゆず、カボス、スダチ、ハナユ、キズ等のユズ類、キンカン、カラタチが挙げられる。
なかでも、効果的に果汁感を得つつ、強い後味を得る点から、レモン類の果汁が含有されることが好ましい。
本実施形態に係る柑橘類果汁の調製に用いることのできる柑橘類については、その品種、産地、熟度、大きさなどは特に限定されず、適宜設定することができる。
【0021】
また、柑橘類果汁として市販のジュースや濃縮ジュース、ペーストなどを用い、本実施形態の柑橘類加温販売用飲料を調製するようにしてもよい。具体的には、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)で指定されたジュースや濃縮ジュースを挙げることができ、例えばこれらのうち1種または2種以上を本実施形態の柑橘類の加温販売用飲料調製のために用いることができる。
【0022】
[その他成分]
本実施形態の飲料は、本発明の効果が得られる限りにおいて、上記以外の種々の成分を含んでもよい。例えば、甘味料、酸味料、香料、pH調整剤、上記以外の果汁、各種栄養成分、着色料、希釈剤、酸化防止剤、および増粘安定剤等を含んでもよい。
【0023】
上記の甘味料としては、公知のものを使用することができ、たとえば、ショ糖(砂糖)、ブドウ糖、グラニュー糖、果糖、乳糖、麦芽糖、果糖ブドウ糖液糖等の糖類、糖アルコール、ならびに、タウマチン、ステビア抽出物、グリチルリチン酸二ナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、サッカリンナトリウム、およびステビア等の高甘味度甘味料などが挙げられる。甘味料は1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
一方、消費者の自然志向の観点、および果汁感、強い後味を効果的に得る観点から、高甘味度甘味料を実質的に含まないことが好ましい。
なお、実質的に含まないとは、製造過程や原材料の微成分、不純物として含まれ得るものを除くことを意図する。
【0024】
上記の酸味料としては、例えば、無水クエン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、フィチン酸、アスコルビン酸、リン酸又はそれらの塩類等が挙げられる。なかでも、柑橘類果実らしい風味を得る観点から、無水クエン酸およびその塩が好ましい。
【0025】
上記の香料としては、天然香料および合成香料が挙げられ、柑橘類果実風味を呈する香料、その他果実風味を呈する香料が挙げられる。柑橘類としては、上述した柑橘類を想起させるものであれば特に限定されない。
【0026】
[酸度]
本実施形態の飲料は、クエン酸酸度が0.20g/100ml以上、0.40g/100ml以下であることが好ましい。
酸度を、上記下限値以上とすることにより、おいしさ、および果汁感が得られるようになる。一方、酸度を、上記上限値以下とすることにより、過度な酸味を抑制し、果汁感を保持できる。
【0027】
酸酸度は、100ml中に含まれる酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数(無水クエン酸g/100ml)で表すことができる。酸度もまた、JAS規格の酸度測定法で定められた方法、具体的には0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
【0028】
[ブリックス値]
本実施形態の飲料のブリックス値(Bx)は、おいしさ、および果汁感が得られる観点から、好ましくは、5以上15以下であり、より好ましくは、7以上13以下であり、さらに好ましくは、8以上12以下である。
ブリックス値は、たとえば、デジタル屈折計Rx-5000α(アタゴ社製)を用いて、20℃における糖用屈折計の示度を測定することができる。
ブリックス値は、例えば、後述の甘味料の量、その他の各種成分の量などにより調整することができる。
【0029】
[容器]
本実施形態の飲料は、加熱殺菌され、容器に詰められた状態の容器詰め飲料としてもよい。このときの容器としては、ガラス、紙、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート等)、アルミ、およびスチール等の単体もしくはこれらの複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。また、容器の種類は、特に限定されるものではないが、たとえば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。
さらに飲料を外観から観察し、透明性、色などを確認できる観点から、容器は透明であることが好ましく、具体的にはペットボトルまたは無着色の瓶が好ましい。また、取扱性、流通性、携帯性等の観点から、容器はペットボトルであることが好ましい。
【0030】
<加温販売用飲料の製造方法>
本実施形態の加温販売用飲料の製造方法は、以下の工程1,2を少なくとも含むが、工程1,2は順不同であり、別々に行っても、同時に行ってもよい。また各工程の詳細は、常法にしたがって行うことができる。
(工程1)100mg/100ml以上となるようにビタミンCを添加する工程。
(工程2)pH(20℃)が3.5以上4.2未満となるように調整する工程。
これにより、加温販売用飲料のpHが3.5以上であっても、良好な果汁感が得られる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0032】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下「VC量」とはビタミンC濃度を示し、L-アスコルビン酸、Lアルコルビン酸ナトリウムのいずれか一方または両方の合計の濃度である。
【0033】
[実験1]pHの違いによるレモンの果汁感、レモンの後味の検証
<実施例1~2、対照例、参考例1~2>
表1に示す濃度[g/L]の各材料を常法で混合し、飲料を調製し、容器詰め飲料を得た。飲料の物性を表1に示す。
また、得られた容器詰め飲料について、以下の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
【0034】
[測定]
・ブリックス
デジタル屈折計Rx-5000α(アタゴ社製)を用いて、20℃における糖用屈折計の示度を測定した。
・pH
pH測定器(東亜ディーケーケー社製)を用いて、20℃におけるpHを測定した。
【0035】
[官能評価]
加温販売用飲料を常温としたものと、55℃にしたもの(ホット)を用意した。各飲料について、熟練した5名の開発者が試飲し、以下の評価基準(7段階;1~7点)従い、「おいしさ」、「レモンの果汁感」、「レモンの後味の強さ」それぞれについて、対照例の飲料を4点として評価を実施し、その平均値を求めた。
【0036】
・評価基準
「おいしさ」
7点・・・とてもおいしい
6点・・・かなりおいしい
5点・・・ややおいしい
4点・・・おいしい
3点・・・ややおいしくない
2点・・・あまりおいしくない
1点・・・おいしくない
【0037】
「レモンの果汁感」
7点・・・レモンの果汁感がとてもある
6点・・・レモンの果汁感がかなりある
5点・・・レモンの果汁感がややある
4点・・・レモンの果汁感がある
3点・・・レモンの果汁感がややない
2点・・・レモンの果汁感がかなりない
1点・・・レモンの果汁感がほとんどない
【0038】
「レモンの後味」
7点・・・レモンの後味がとてもある
6点・・・レモンの後味がかなりある
5点・・・レモンの後味がややある
4点・・・レモンの後味がある
3点・・・レモンの後味がややない
2点・・・レモンの後味がかなりない
1点・・・レモンの後味がほとんどない
【0039】
【表1】
【0040】
表1より、対照例(pH3.50)を基準とした場合、pH3.50未満になるとレモンの果汁感、レモンの後味感が強くなる傾向がみられ、pH3.50以上になるとレモンの果汁感、レモンの後味が弱くなりやすい傾向がみられた。
【0041】
[実験2-1]pH3.2~3.3としたときの、ビタミンC量の違いによるレモンの果汁感、レモンの後味の検証
<参考例2~6>
表2に示す濃度[g/L]の各材料を常法で混合し、飲料を調製し、容器詰め飲料を得た。飲料の物性を表2に示す。
また、得られた容器詰め飲料について、実験1と同様の以下の測定および評価を行った。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2より、参考例2(VC量100mg/100ml)を基準とした場合、VC量100mg/100ml未満になるとレモンの果汁感、レモンの後味感が弱くなる傾向がみられた。
【0044】
[実験2-2]pH3.5付近としたときの、ビタミンC量の違いによるレモンの果汁感、レモンの後味の検証
<実施例3,4、対照例、参考例7~8>
表3に示す濃度[g/L]の各材料を常法で混合し、飲料を調製し、容器詰め飲料を得た。飲料の物性を表3に示す。
また、得られた容器詰め飲料について、実験1と同様の以下の測定および評価を行った。結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
表3より、対照例(VC量100mg/100ml)を基準とした場合、VC量100mg/100ml未満になるとレモンの果汁感、レモンの後味感が弱くなり、またVC量100mg/100ml以上になるとレモンの果汁感、レモンの後味感が強くなる傾向がみられた。また、常温よりホットの方がレモンの果汁感、レモンの後味がより強くなる傾向がみられた。また、実験2-1のpH3.2~3.3としたときの、ビタミンC量の違いによるレモンの果汁感、レモンの後味の検証の場合よりも、pH3.50付近としたときのほうがレモンの果汁感が強くなる傾向がより顕著にみられた。
【0047】
[実験2-3]pH3.6~3.7としたときの、ビタミンC量の違いによるレモンの果汁感、レモンの後味の検証
<実施例1,5~6、参考例9~10>
表4に示す濃度[g/L]の各材料を常法で混合し、飲料を調製し、容器詰め飲料を得た。飲料の物性を表4に示す。
また、得られた容器詰め飲料について、実験1と同様の以下の測定および評価を行った。結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
表4より、実施例1(VC量100mg/100ml)を基準とした場合、VC量100mg/100ml未満になるとレモンの果汁感、レモンの後味感が弱くなり、またVC量100mg/100ml以上になるとレモンの果汁感、レモンの後味感が強くなる傾向がみられた。また、常温より、ホットの方がレモンの果汁感、レモンの後味がより強くなる傾向がみられた。また、実験2-1のpH3.2~3.3としたときの、ビタミンC量の違いによるレモンの果汁感、レモンの後味の検証の場合よりも、pH3.6~3.7としたときのほうがレモンの果汁感が強くなる傾向がより顕著にみられた。
【0050】
[実験2-4]pH3.9前後としたときの、ビタミンC量の違いによるレモンの果汁感、レモンの後味の検証
<実施例2,7~8、参考例11~12>
表5に示す濃度[g/L]の各材料を常法で混合し、飲料を調製し、容器詰め飲料を得た。飲料の物性を表5に示す。
また、得られた容器詰め飲料について、実験1と同様の以下の測定および評価を行った。結果を表5に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
表5より、実施例2(VC量100mg/100ml)を基準とした場合、VC量100mg/100ml未満になるとレモンの果汁感、レモンの後味感が弱くなり、またVC量100mg/100ml以上になるとレモンの果汁感、レモンの後味感が強くなる傾向がみられた。また、常温より、ホットの方がレモンの果汁感、レモンの後味がより強くなる傾向がみられた。また、実験2-1のpH3.2~3.3としたときの、ビタミンC量の違いによるレモンの果汁感、レモンの後味の検証の場合よりも、pH3.9としたときのほうがレモンの果汁感が強くなる傾向がより顕著にみられた。
【0053】
[実験3]L-アスコルビン酸をアスコルビン酸ナトリウムとしたときの、レモンの果汁感、レモンの後味の検証
<実施例9~11、参考例9,13>
表6に示す濃度[g/L]の各材料を常法で混合し、飲料を調製し、容器詰め飲料を得た。飲料の物性を表6に示す。
また、得られた容器詰め飲料について、実験1と同様の以下の測定および評価を行った。結果を表6に示す。
【0054】
【表6】
【0055】
表6より、実施例9(VC量100mg/100ml)を基準とした場合、アスコルビン酸ナトリウムによるVC量100mg/100ml未満になるとレモンの果汁感、レモンの後味感が弱くなり、またアスコルビン酸ナトリウムによるVC量100mg/100ml以上になるとレモンの果汁感、レモンの後味感が強くなる傾向がみられた。また、常温より、ホットの方がレモンの果汁感、レモンの後味がより強くなる傾向がみられた。
【0056】
[実験4]甘味料の違いによるレモンの果汁感、レモンの後味の検証
<実施例1,12~13>
表7に示す濃度[g/L]の各材料を常法で混合し、飲料を調製し、容器詰め飲料を得た。飲料の物性を表7に示す。
また、得られた容器詰め飲料について、実験1と同様の以下の測定および評価を行った。結果を表7に示す。
【0057】
【表7】
【0058】
表7より、実施例1(砂糖)を基準とした場合、スクラロース、アセスルファムカリウムを用いた実施例12はレモンの果汁感、レモンの後味が弱くなる傾向がみられた。また、糖アルコールを使用した実施例13はレモンの果汁感、レモンの後味が実施例1と同等の評点であった。
【0059】
[実験5]果汁率の違いによるレモンの果汁感、レモンの後味の検証
<実施例14~18、参考例9>
表8に示す濃度[g/L]の各材料を常法で混合し、飲料を調製し、容器詰め飲料を得た。飲料の物性を表8に示す。
また、得られた容器詰め飲料について、実験1と同様の以下の測定および評価を行った。結果を表8に示す。
【0060】
【表8】
【0061】
表8より、参考例9(果汁3% VC0mg/100ml))を基準とした場合、実施例14~18は、果汁率0%~10%において、VC量100mg/100mlとすることで、レモンの果汁感、レモンの後味が強くなる傾向がみられた。また、実施例18は、果汁率10%であり、酸度が非常に高く、おいしさの向上がみられなかった。