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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025825
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】デッキプレート
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/40 20060101AFI20220203BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20220203BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20220203BHJP
   F16B 9/02 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
E04B5/40 J
E04B9/18 D
F16B1/00 A
F16B9/02 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128927
(22)【出願日】2020-07-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】591225394
【氏名又は名称】株式会社新富士空調
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】梶野 勇
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】野口 智嗣
【テーマコード(参考)】
3J023
【Fターム(参考)】
3J023AA01
3J023BA01
3J023BB01
3J023CA10
3J023FA01
(57)【要約】
【課題】任意の位置に空調ダクトなどを配設可能なデッキプレートを提供する。
【解決手段】波形に形成された板状のデッキプレート本体2と、デッキプレート本体2の谷部22側に設けられ、吊りボルトを取り付けるためのボルト挿入孔3aと、デッキプレート本体2の山部21側に設けられ、コンクリートが打設された際にコンクリートに食い込んでデッキプレート本体2がコンクリートから剥離するのを防止する剥離防止部23と、を備え、ボルト挿入孔3aは、谷部22に略平行な方向と谷部22に略直交する方向とにそれぞれ複数設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形に形成された板状のデッキプレート本体と、
前記デッキプレート本体の谷部側に設けられ、吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部と、
前記デッキプレート本体の山部側に設けられ、コンクリートが打設された際にコンクリートに食い込んで前記デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのを防止する剥離防止部と、
を備え、前記ボルト取付部は、前記谷部に略平行な方向と前記谷部に略直交する方向とにそれぞれ複数設けられている、
ことを特徴とするデッキプレート。
【請求項2】
前記デッキプレート本体と前記剥離防止部とが一体的に構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のデッキプレート。
【請求項3】
前記剥離防止部は、前記山部と略平行に延びて設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項4】
前記剥離防止部は、略逆L字状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項5】
前記ボルト取付部は、前記吊りボルトが挿入されるボルト挿入孔で構成されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形に形成された鋼板で、床材や屋根材などとして使用されるデッキプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、デッキプレートに空調ダクトを吊るして配設する場合、予めデッキプレートにインサートナットを取り付けてコンクリートを打設した後に、インサートナットに吊りボルトを取り付け(例えば、特許文献1参照。)、この吊りボルトで空調ダクトを吊るして配設していた。この際、設計上の空調ダクトの配設位置に合わせて、必要な箇所のみにインサートナットをデッキプレートに取り付けていた。また、インサートナットは、空調ダクトのみではなく、配線や配管などを配設する場合にも使用され、空調ダクトと同様に、設計上の配設位置に合わせて、必要な箇所のみにインサートナットをデッキプレートに取り付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-16013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際の施工現場においては、施工図の精度の悪さや、仕様の変更、空調ダクトなどの配設位置の変更などによって、予め取り付けられたインサートナットを使用できないケースが多く発生していた。例えば、その使用率は、50%にも満たない場合があった。このため、空調ダクトなどの配設に際して、正しい配設位置に合わせて、現場で各業者が後打ちアンカーをデッキプレートに打設しなければならず、多大な時間と労力、費用を要していた。
【0005】
しかも、デッキプレートにはコンクリートが既に打設されているため、後打ちアンカーの打設には多大な労力を要し、作業者の大きな負担となっていた。さらには、上方に向けて後打ちアンカーを打設しなければならないため、ローリングタワーなどを使用して安全性を確保する必要があり、多大な手間と費用を要していた。加えて、後打ちアンカーの打設によってコンクリートからの粉塵が飛散し、作業環境が悪化する、という問題があった。
【0006】
そこでこの発明は、任意の位置に空調ダクトなどを配設可能なデッキプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、波形に形成された板状のデッキプレート本体と、前記デッキプレート本体の谷部側に設けられ、吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部と、前記デッキプレート本体の山部側に設けられ、コンクリートが打設された際にコンクリートに食い込んで前記デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのを防止する剥離防止部と、を備え、前記ボルト取付部は、前記谷部に略平行な方向と前記谷部に略直交する方向とにそれぞれ複数設けられている、ことを特徴とするデッキプレートである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデッキプレートにおいて、前記デッキプレート本体と前記剥離防止部とが一体的に構成されている、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のデッキプレートにおいて、前記剥離防止部は、前記山部と略平行に延びて設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載のデッキプレートにおいて、前記剥離防止部は、略逆L字状に形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4に記載のデッキプレートにおいて、前記ボルト取付部は、前記吊りボルトが挿入されるボルト挿入孔で構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、デッキプレート本体の谷部側に、ボルト取付部が谷部に略平行な方向と略直交する方向とにそれぞれ複数設けられている。つまり、空調ダクトなどの配設位置に関わらず予め、縦横に複数のボルト取付部がデッキプレート本体の全面・四方にわたって設けられている。このため、任意・所望のボルト取付部に吊りボルトを取り付けることで、任意・所望の位置に容易に空調ダクトなどを配設することが可能となる。この結果、現場で後打ちアンカーを打設する必要がなくなり、作業者の負担を軽減して時間と労力、費用を削減することができるばかりでなく、安全性が向上するとともに、作業環境を改善することが可能となる。
【0013】
一方、デッキプレート本体に空調ダクトなどを吊ると、デッキプレート本体に下方の力が作用する。しかしながら、デッキプレート本体の山部側にコンクリートに食い込む剥離防止部が設けられているため、デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのを防止することが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、デッキプレート本体と剥離防止部とが一体的に構成されているため、構成が簡易となり、低コストで製作することが可能になるとともに、デッキプレート本体と剥離防止部とが離脱することがなく、デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのをより確実に防止することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、剥離防止部が山部と略平行に延びて設けられ、剥離防止部が山部の全長に沿ってコンクリートに食い込むため、デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのをより確実に防止することが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、剥離防止部が略逆L字状つまり鉤形に形成され、剥離防止部がコンクリートにより複雑、強固に食い込むため、デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのをより確実に防止することが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、ボルト取付部がボルト挿入孔で構成されているだけであるため、ボルト取付部を簡易に低コストで構成することが可能となる。従って、最終的に使用されないボルト取付部が生じたとしても、無駄な費用を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施の形態1に係るデッキプレートを示す正面図(a)と底面図(b)である。
図2図1のデッキプレートのデッキプレート本体の側面図である。
図3図1のデッキプレートに吊りボルトを取り付けた状態を示す正面図である。
図4】この発明の実施の形態2に係るデッキプレートに吊りボルトを配設した状態を示す正面図である。
図5】この発明の実施の形態3に係るデッキプレートを示す正面図(a)と底面図(b)である。
図6図5(b)のA-A断面図である。
図7図5のデッキプレートに吊りボルトを取り付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説端明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1図3は、この実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係るデッキプレート11を示す正面図(a)と底面図(b)である。このデッキプレート11は、波形に形成された鋼板で、コンクリートスラグの型枠、床材や屋根材などとして使用されるプレートであり、任意の位置に空調ダクトや配線、配管などを吊って配設可能な点で、従来のデッキプレートと異なる。このデッキプレート11は、デッキプレート本体2と吊りプレート3とを備える。
【0021】
デッキプレート本体2は、波形に形成された板状で、この実施の形態では、平坦な山部21と、山部21に対して略垂直に突出する谷部22が連続的に形成されて構成されている。すなわち、平板が2つ折りされてT字状に形成されたT字部が、所定の間隔で複数形成されることで、平坦な山部(T字部の水平部)21と谷部(T字部の垂直部)22とが連続的に形成されている。また、谷部22の先端側が略三角形の筒状に形成されて、三角部22aが設けられている。ここで、図中符号22bは、平板が2つ折りされて形成された隙間部である。
【0022】
このような山部21と谷部22が、この実施の形態では、2つずつ形成され、一端側(図中左端)から順に、谷部22、山部21、谷部22、山部21が形成されている。また、一端側の谷部22に連接して、山部21と面一の接続面部21aが形成されている。一方、他端側(図中右端)の山部21の自由端部は、山部21に対して略垂直に谷部22側に曲げられて接続部21bが形成されている。そして、接続面部21aに隣接する隙間部22bに、別のデッキプレート本体2の接続部21bを挿入することで、複数のデッキプレート本体2が接続・連結されるようになっている。
【0023】
ここで、デッキプレート本体2の板厚や山部21と谷部22の大きさ、高さ、および、谷部22と谷部22との間隔は、デッキプレート本体2の上方(反谷部22側)に打設されるコンクリートの厚み・重量などに応じて、所定の強度、剛性が得られるように設定されている。また、この実施の形態では、それぞれ2つの山部21と谷部22を有する場合を例示しているが、打設されるコンクリートの厚みなどに応じて、異なる数の山部21と谷部22を有してもよい。
【0024】
このようなデッキプレート本体2の山部21側に剥離防止部23が設けられている。この剥離防止部23は、デッキプレート本体2の上方にコンクリートが打設された際に、コンクリートに食い込んでデッキプレート本体2がコンクリートから剥離するのを防止する部材である。この実施の形態では、デッキプレート本体2と剥離防止部23とが一体的に構成され、剥離防止部23は、略逆L字状に形成されている。
【0025】
すなわち、各山部21の中央部が反谷部22側に突出するようにI字状に折り重ねられ(2つ折りにされ)、その先端部側(折り目側)が直角に曲げられて、剥離防止部23がデッキプレート本体2と一体的に形成されている。この剥離防止部23は、山部21に対して略垂直な垂直部と山部21に対して略平行な平行部とを有し、全体が略逆L字状・鉤形に形成されている。このような剥離防止部23が、山部21つまり谷部22と略平行に延びて設けられ、山部21および谷部22の全長にわたって延び、谷部22と谷部22の各間に形成されている。また、この剥離防止部23の形状、大きさは、コンクリートに強固に食い込んでデッキプレート本体2がコンクリートから剥離するのをより確実に防止するように設定されている。
【0026】
一方、デッキプレート本体2の谷部22側には、吊りプレート3を介して吊りボルト101を取り付けるためのボルト挿入孔(ボルト取付部)3aが設けられている。具体的には、各谷部22の三角部22aには、図2に示すように、吊りプレート3を挿入するためのプレート挿入孔2aが形成されている。すなわち、三角部22aの底辺の直上に、吊りプレート3をガタなく挿入可能な横長で長方形状のプレート挿入孔2aが形成されている。このプレート挿入孔2aは、谷部22の谷筋(谷が伸びる筋)に沿って後述する第2の所定の間隔d2で複数形成され、かつ、谷部22の谷筋に直交する方向において、各谷部22のプレート挿入孔2aが重なるように形成されている。
【0027】
そして、デッキプレート本体2の谷部22の谷筋に直交する方向に向けて、横長で帯状の吊りプレート3が各プレート挿入孔2aに挿入されることで、吊りプレート3が谷部22から谷部22にわたり、かつ、谷部22の底辺と谷部22の底辺に沿って配設されている。また、吊りプレート3には、吊りボルト101が挿入されるボルト挿入孔3aが長手方向に沿って第1の所定の間隔d1で複数形成されている。この吊りプレート3の長さは、上記のようにして複数のデッキプレート本体2を接続した状態で、隣接するデッキプレート11の吊りプレート3が隙間なく一直線上に配置されるように設定されている。
【0028】
このような吊りプレート3が、デッキプレート本体2の谷部22の谷筋に沿って第2の所定の間隔d2で複数設けられている。ここで、第1の所定の間隔d1と第2の所定の間隔d2は、ボルト挿入孔3aがデッキプレート本体2の全面・四方にわたって略均等に配設され、任意・所望のボルト挿入孔3aに吊りボルト101を取り付けることで、任意・所望の位置に空調ダクトなどを吊って配設できるように設定されている。例えば、第1の所定の間隔d1は、ボルト挿入孔3aがデッキプレート本体2の各山部21の中央部に対向するように(200~300mm程度に)設定され、第2の所定の間隔d2は、300mm程度に設定されている。このような所定の間隔d1、d2は、同寸法にしてもよいし異なる寸法にしてもよい。このようにして、谷部22に略平行な方向と谷部22に略直交する方向とにそれぞれ、ボルト挿入孔3aが複数設けられている。
【0029】
ここで、この実施の形態では、2つのボルト挿入孔3aが設けられた吊りプレート3が、2つデッキプレート本体2に設けられている場合について例示しているが、吊りプレート3により多くのボルト挿入孔3aを設けたり、デッキプレート本体2により多くの吊りプレート3を設けたりしてもよい。また、吊りプレート3に3つ以上のボルト挿入孔3aを設ける場合に、第1の所定の間隔d1が異なっていてもよく、同様に3つ以上のプレート3を備える場合に、第2の所定の間隔d2が異なっていてもよい。
【0030】
このような構成のデッキプレート11は、例えば、床材や屋根材として使用する場合、水平面状に延びるようにして隙間なく複数配置された状態で、図3に示すように、上方に鉄筋が配設されてコンクリートが打設される。この状態では、複数のデッキプレート11で構成される床や屋根の全面にわたって、所定の間隔d1、d2で多数のボルト挿入孔3aが配設され(散りばめられ)ている。
【0031】
そして、床や屋根(デッキプレート1)に空調ダクトなどを吊って配設する場合には、まず、上端部側に吊りナット102を取り付けた吊りボルト101を、下方から所望のボルト挿入孔3aに挿入する。次に、吊りボルト101の上端から別の吊りナット102を螺合させ、2つの吊りナット102を締め付ける。これにより、2つの吊りナット102で吊りプレート3が挟持され、吊りボルト101が吊りプレート3つまりデッキプレート11に取り付けられる。このようにして必要な数の吊りボルト101を必要な位置に取り付けて、空調ダクトなどを吊るものである。
【0032】
以上のように、このデッキプレート11によれば、デッキプレート本体2の谷部22側に、ボルト挿入孔3aが谷部22に略平行な方向と略直交する方向とにそれぞれ複数設けられている。つまり、空調ダクトなどの配設位置に関わらず予め、縦横に複数のボルト挿入孔3aがデッキプレート本体2の全面・四方にわたって設けられている。このため、任意・所望のボルト挿入孔3aに吊りボルト101を取り付けることで、任意・所望の位置に容易に空調ダクトなどを配設することが可能となる。この結果、現場で後打ちアンカーを打設する必要がなくなり、作業者の負担を軽減して時間と労力、費用を削減することができるばかりでなく、安全性が向上するとともに、作業環境を改善することが可能となる。
【0033】
一方、デッキプレート本体2に空調ダクトなどを吊ると、デッキプレート本体2に下方の力が作用する。しかしながら、デッキプレート本体2の山部21側にコンクリートに食い込む剥離防止部23が設けられているため、デッキプレート本体2がコンクリートから剥離するのを防止することが可能となる。
【0034】
また、デッキプレート本体2と剥離防止部23とが一体的に構成されているため、構成が簡易となり、低コストで製作することが可能になるとともに、デッキプレート本体2と剥離防止部23とが離脱することがなく、デッキプレート本体2がコンクリートから剥離するのをより確実に防止することが可能となる。
【0035】
しかも、剥離防止部23が山部21および谷部22と略平行に延びて設けられ、剥離防止部23が山部21および谷部22の全長に沿ってコンクリートに食い込むため、デッキプレート本体2がコンクリートから剥離するのをより確実に防止することが可能となる。
【0036】
さらに、剥離防止部23が略逆L字状つまり鉤形に形成され、剥離防止部23がコンクリートにより複雑、強固に食い込むため、デッキプレート本体2がコンクリートから剥離するのをより確実に防止することが可能となる。
【0037】
また、ボルト取付部がボルト挿入孔3aで構成されているだけであるため、ボルト取付部を簡易に低コストで構成することが可能となる。従って、最終的に使用されないボルト取付部が生じたとしても、無駄な費用を抑制することが可能となる。
【0038】
(実施の形態2)
図4は、この実施の形態に係るデッキプレート12に吊りボルト101を配設した状態を示す正面図である。この実施の形態では、デッキプレート本体20の波形形状が実施の形態1のデッキプレート本体2と異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0039】
すなわち、デッキプレート本体20は、略等脚台形の山部24と谷部25が連続的に形成されて波形になっている。すなわち、底辺よりも上辺が短い略等脚台形で底辺を有さない山部24が所定間隔で形成され、山部24と山部24との間に、上辺よりも底辺が短い略等脚台形で上辺を有さない谷部25が形成されることで、略等脚台形で同形状の山部24と谷部25が隣接して連続的に形成されている。
【0040】
そして、実施の形態1と同様に、第1の所定の間隔d1で複数のボルト挿入孔3aが形成された吊りプレート3が、谷部25から谷部25にわたって配設され、かつ、谷部25の谷筋に沿って第2の所定の間隔d2で複数設けられている。
【0041】
このような実施の形態によれば、略等脚台形の山部24と谷部25が連続的に形成されてデッキプレート本体20が構成されているため、剛性、強度が高く、厚いコンクリート打設に適する。そして、このようなデッキプレート本体20の谷部25の底辺に沿って吊りプレート3が配設されているため、デッキプレート本体20の山部24と吊りプレート3との間に広い空間が確保され、この空間を利用して吊りボルト101を容易、適正に取り付けたり、この空間に配線などを配設したりすることが可能となる。
【0042】
(実施の形態3)
図5図7は、この実施の形態を示し、図5は、この実施の形態に係るデッキプレート13を示す正面図(a)と底面図(b)である。この実施の形態では、吊りプレート3を備えない点で実施の形態1と異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0043】
この実施の形態では、各谷部22の三角部22aの底辺部に、ボルト挿入孔3aが谷部22の長手方向に沿って第2の所定の間隔d2で複数設けられている。さらに、各谷部22の三角部22aの両方の斜辺部には、ボルト挿入孔3aに対向し吊りボルト101に吊りナット102を締付可能な開口22cが複数設けられている。すなわち、図6に示すように、三角部22aの両方の斜辺部に、略四角形で窓状の開口22cが、谷部22の長手方向においてボルト挿入孔3aと同位置に(ボルト挿入孔3aを臨むように)、第2の間隔d2で複数形成されている。この開口22cの形状、大きさは、この開口22cから三角部22a内に指やレンチを入れて、吊りナット102を締め付けられるように設定されている。ここで、この実施の形態では、三角部22aの両方の斜辺部に開口22cが形成されているが、三角部22aの大きさやデッキプレート13が設置される周囲環境などによっては、三角部22aの一方の斜辺部のみに形成するようにしてもよい。
【0044】
そして、デッキプレート13に空調ダクトなどを吊って配設する場合には、図7に示すように、上端部側に吊りナット102を取り付けた吊りボルト101を、下方から所望のボルト挿入孔3aに挿入する。次に、このボルト挿入孔3aに対向する開口22cから三角部22a内に指やレンチを入れて、吊りボルト101の上端から別の吊りナット102を螺合させ、2つの吊りナット102を締め付ける。これにより、2つの吊りナット102で三角部22aの底辺部が挟持され、吊りボルト101が谷部22つまりデッキプレート13に取り付けられる。このようにして必要な数の吊りボルト101を必要な位置に取り付けて、空調ダクトなどを吊るものである。
【0045】
このような実施の形態によれば、各谷部22の三角部22aの底辺部にボルト挿入孔3aが設けられているため、吊りプレート3を備える必要がなく、重量および製作コストを軽減することが可能となる。
【0046】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、ボルト挿入孔3aがボルト取付部の場合について説明したが、ボルト取付部の構成はこれに限らない。例えば、吊りプレート3にボルト挿入孔3aに代ってネジ孔(雌ネジ)を形成し、このネジ孔に吊りボルト101を螺合させて取り付けてもよい。また、デッキプレート本体2と剥離防止部23とが一体的に構成されているが、別体で構成してもよい。これにより、既存・既製のデッキプレートに剥離防止部を取り付けて本デッキプレート11、12、13を構成することができる。
【符号の説明】
【0047】
11、12、13 デッキプレート
2 デッキプレート本体
21 山部
22 谷部
23 剥離防止部
3 吊りプレート
3a ボルト挿入孔(ボルト取付部)
101 吊りボルト
102 吊りナット
d1 第1の間隔
d2 第2の間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形に形成された板状のデッキプレート本体と、
前記デッキプレート本体の谷部から谷部にわたって配設される帯板状で、吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部が所定の間隔で複数設けられた吊りプレートと、
前記デッキプレート本体の山部側に設けられ、コンクリートが打設された際にコンクリートに食い込んで前記デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのを防止する剥離防止部と、
を備え、前記吊りプレートは、前記デッキプレート本体の谷部に沿って所定の間隔で複数設けられている、
ことを特徴とするデッキプレート。
【請求項2】
波形に形成された板状のデッキプレート本体と、
吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部であって前記吊りボルトが挿入され、前記デッキプレート本体の谷部の底辺部に前記谷部の長手方向に沿って所定の間隔で複数設けられたボルト挿入孔と、
前記谷部の少なくとも一方の斜辺部に前記ボルト挿入孔に対向して設けられ、前記吊りボルトにナットを締付可能な開口と、
前記デッキプレート本体の山部側に設けられ、コンクリートが打設された際にコンクリートに食い込んで前記デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのを防止する剥離防止部と、
を備え、前記ボルト挿入孔は、前記谷部に略平行な方向と前記谷部に略直交する方向とにそれぞれ複数設けられている、
ことを特徴とするデッキプレート。
【請求項3】
前記デッキプレート本体と前記剥離防止部とが一体的に構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項4】
前記剥離防止部は、前記山部と略平行に延びて設けられている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項5】
前記剥離防止部は、略逆L字状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のデッキプレート。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、波形に形成された板状のデッキプレート本体と、前記デッキプレート本体の谷部から谷部にわたって配設される帯板状で、吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部が所定の間隔で複数設けられた吊りプレートと、前記デッキプレート本体の山部側に設けられ、コンクリートが打設された際にコンクリートに食い込んで前記デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのを防止する剥離防止部と、を備え、前記吊りプレートは、前記デッキプレート本体の谷部に沿って所定の間隔で複数設けられている、ことを特徴とするデッキプレートである。
また、請求項2に記載の発明は、波形に形成された板状のデッキプレート本体と、吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部であって前記吊りボルトが挿入され、前記デッキプレート本体の谷部の底辺部に前記谷部の長手方向に沿って所定の間隔で複数設けられたボルト挿入孔と、前記谷部の少なくとも一方の斜辺部に前記ボルト挿入孔に対向して設けられ、前記吊りボルトにナットを締付可能な開口と、前記デッキプレート本体の山部側に設けられ、コンクリートが打設された際にコンクリートに食い込んで前記デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのを防止する剥離防止部と、を備え、前記ボルト挿入孔は、前記谷部に略平行な方向と前記谷部に略直交する方向とにそれぞれ複数設けられている、ことを特徴とするデッキプレートである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載のデッキプレートにおいて、前記デッキプレート本体と前記剥離防止部とが一体的に構成されている、ことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1から3に記載のデッキプレートにおいて、前記剥離防止部は、前記山部と略平行に延びて設けられている、ことを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1からに記載のデッキプレートにおいて、前記剥離防止部は、略逆L字状に形成されている、ことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、デッキプレート本体の谷部側に、ボルト取付部が谷部に略平行な方向と略直交する方向とにそれぞれ複数設けられている。つまり、空調ダクトなどの配設位置に関わらず予め、縦横に複数のボルト取付部がデッキプレート本体の全面・四方にわたって設けられている。このため、任意・所望のボルト取付部に吊りボルトを取り付けることで、任意・所望の位置に容易に空調ダクトなどを配設することが可能となる。この結果、現場で後打ちアンカーを打設する必要がなくなり、作業者の負担を軽減して時間と労力、費用を削減することができるばかりでなく、安全性が向上するとともに、作業環境を改善することが可能となる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項に記載の発明によれば、デッキプレート本体と剥離防止部とが一体的に構成されているため、構成が簡易となり、低コストで製作することが可能になるとともに、デッキプレート本体と剥離防止部とが離脱することがなく、デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのをより確実に防止することが可能となる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項に記載の発明によれば、剥離防止部が山部と略平行に延びて設けられ、剥離防止部が山部の全長に沿ってコンクリートに食い込むため、デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのをより確実に防止することが可能となる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項に記載の発明によれば、剥離防止部が略逆L字状つまり鉤形に形成され、剥離防止部がコンクリートにより複雑、強固に食い込むため、デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのをより確実に防止することが可能となる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2021-03-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形に形成された板状で、略三角形または略等脚台形の谷部が形成されたデッキプレート本体と、
前記デッキプレート本体の谷部に形成されたプレート挿入孔に挿入されることで前記谷部から谷部にわたって配設される帯板状で、吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部が所定の間隔で複数設けられた吊りプレートと、
前記デッキプレート本体の山部側に設けられ、コンクリートが打設された際にコンクリートに食い込んで前記デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのを防止する剥離防止部と、
を備え、前記吊りプレートは、前記デッキプレート本体の谷部に沿って所定の間隔で複数設けられている、
ことを特徴とするデッキプレート。
【請求項2】
波形に形成された板状で、略三角形の谷部が形成されたデッキプレート本体と、
吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部であって前記吊りボルトが挿入され、前記デッキプレート本体の谷部の底辺部に前記谷部の長手方向に沿って所定の間隔で複数設けられたボルト挿入孔と、
前記谷部の少なくとも一方の斜辺部に前記ボルト挿入孔に対向して設けられ、前記吊りボルトにナットを締付可能な開口と、
前記デッキプレート本体の山部側に設けられ、コンクリートが打設された際にコンクリートに食い込んで前記デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのを防止する剥離防止部と、
を備え、前記ボルト挿入孔は、前記谷部に略平行な方向と前記谷部に略直交する方向とにそれぞれ複数設けられている、
ことを特徴とするデッキプレート。
【請求項3】
前記デッキプレート本体と前記剥離防止部とが一体的に構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項4】
前記剥離防止部は、前記山部と略平行に延びて設けられている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【請求項5】
前記剥離防止部は、略逆L字状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のデッキプレート。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、波形に形成された板状で、略三角形または略等脚台形の谷部が形成されたデッキプレート本体と、前記デッキプレート本体の谷部に形成されたプレート挿入孔に挿入されることで前記谷部から谷部にわたって配設される帯板状で、吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部が所定の間隔で複数設けられた吊りプレートと、前記デッキプレート本体の山部側に設けられ、コンクリートが打設された際にコンクリートに食い込んで前記デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのを防止する剥離防止部と、を備え、前記吊りプレートは、前記デッキプレート本体の谷部に沿って所定の間隔で複数設けられている、ことを特徴とするデッキプレートである。
また、請求項2に記載の発明は、波形に形成された板状で、略三角形の谷部が形成されたデッキプレート本体と、吊りボルトを取り付けるためのボルト取付部であって前記吊りボルトが挿入され、前記デッキプレート本体の谷部の底辺部に前記谷部の長手方向に沿って所定の間隔で複数設けられたボルト挿入孔と、前記谷部の少なくとも一方の斜辺部に前記ボルト挿入孔に対向して設けられ、前記吊りボルトにナットを締付可能な開口と、前記デッキプレート本体の山部側に設けられ、コンクリートが打設された際にコンクリートに食い込んで前記デッキプレート本体がコンクリートから剥離するのを防止する剥離防止部と、を備え、前記ボルト挿入孔は、前記谷部に略平行な方向と前記谷部に略直交する方向とにそれぞれ複数設けられている、ことを特徴とするデッキプレートである。