(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025854
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】バッテリーユニット
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20220203BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20220203BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220203BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220203BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J7/00 302B
H02J7/00 B
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128983
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】520284218
【氏名又は名称】TESNOLOGY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】特許業務法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】近藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン レイモンド
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G066AE03
5G066AE07
5G066AE09
5G066HB04
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA05
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA17
5H030AA01
5H030AS03
5H030AS08
5H030BB10
5H030BB21
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】蓄電池を用いる電力設備における電力使用を適宜調整することにある。
【解決手段】バッテリーユニットは、外部機器へ電力を供給するための蓄電部と、外部機器との通信を行う通信部と、蓄電部における蓄電状況又は外部機器から取得した情報に基づいて、外部機器に対する制御処理を実行するプロセッサーと、を有する。たとえば、蓄電部の充電率が低下すると、プロセッサーは、制御処理において、優先レベルの低い家庭用電気機器の動作を制限する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器へ電力を供給するための蓄電部と、
前記外部機器との通信を行う通信部と、
前記蓄電部における蓄電状況又は前記外部機器から取得した情報に基づいて、前記外部機器に対する制御処理を実行するプロセッサーと、を有するバッテリーユニット。
【請求項2】
前記プロセッサーは、前記制御処理において、前記外部機器の電力使用を制御することを特徴とする請求項1に記載のバッテリーユニット。
【請求項3】
前記蓄電部は、複数の外部機器へ電力を供給し、
前記プロセッサーは、前記制御処理において、各外部機器の優先レベルに基づいて、制御対象となる外部機器を選択することを特徴とする請求項2に記載のバッテリーユニット。
【請求項4】
前記蓄電部は、発電モジュールが発電した電力によって充電を行い、
前記プロセッサーは、前記制御処理において、前記発電モジュールの発電状況に基づいて、前記外部機器の前記電力使用を制御することを特徴とする請求項2または3に記載のバッテリーユニット。
【請求項5】
前記プロセッサーは、前記制御処理において、前記発電モジュールの発電電力が基準よりも大きい場合に、前記外部機器の前記電力使用を制限することを特徴とする請求項4に記載のバッテリーユニット。
【請求項6】
前記プロセッサーは、前記制御処理において、前記蓄電部の充電率が基準よりも低い場合に、前記外部機器の前記電力使用を制限することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のバッテリーユニット。
【請求項7】
前記プロセッサーは、前記制御処理において、前記蓄電部の充電電流が基準よりも大きい場合に、前記外部機器の前記電力使用を促進することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のバッテリーユニット。
【請求項8】
前記プロセッサーは、前記制御処理において、前記蓄電部の放電電流が基準よりも大きい場合に、前記外部機器の前記電力使用を抑制することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のバッテリーユニット。
【請求項9】
前記プロセッサーは、前記蓄電部が放電する電力によって動作することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のバッテリーユニット。
【請求項10】
前記蓄電部は、複数の蓄電池を含み、一方の蓄電池が充電しているときに、他方の蓄電池が前記プロセッサーで使用する電力を放電することを特徴とする請求項9に記載のバッテリーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を含むバッテリーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
人口増加とそれにともなうエネルギー消費の急増を背景として「持続可能な社会(Sustainable Society)」に対する関心が高まっている。持続可能な社会とは、地球環境を保全し、次世代に保全された地球環境を引き渡し、かつ、現世代の要求も満たすことができる社会、と定義できる。
【0003】
持続可能な社会を実現するために、自然エネルギー、たとえば、太陽光発電や風力発電などの積極活用が求められている。太陽光発電や風力発電の場合、発電能力が状況に左右されるので、発電した電力をリチウムイオン電池のような蓄電池で充電し、発電できないときに蓄電池の放電によって電力を賄う電気システムが普及し始めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、蓄電池の容量には限界があるので、たとえば極端な悪条件が重なれば、いわゆるバッテリー切れとなることも考えられる。ただし、落雷などによる停電のように、突然電源を喪失するわけではない。つまり、事前に予兆をとらえて、家庭用電気機器などの電力使用を抑制すれば、バッテリー切れを回避することは可能である。
【0006】
本発明は、上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、蓄電池を用いる電力設備における電力使用を適宜調整することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様におけるバッテリーユニットは、外部機器へ電力を供給するための蓄電部と、外部機器との通信を行う通信部と、蓄電部における蓄電状況又は外部機器から取得した情報に基づいて、外部機器に対する制御処理を実行するプロセッサーと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓄電池を用いる電力設備における電力使用を適宜調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図9】バッテリーユニットの機能ブロック図である。
【
図11】実施形態におけるメイン処理過程を示すフローチャートである。
【
図12】制限モード処理過程を示すフローチャートである。
【
図13】通常モード処理過程を示すフローチャートである。
【
図14】促進処理過程を示すフローチャートである。
【
図15】変形例におけるメイン処理過程を示すフローチャートである。
【
図16】抑制処理過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
図1は、住宅の電力設備の構成図である。
本実施形態では、オフグリッドの住宅を想定する。オフグリッドの住宅は、電力会社が電力を提供する電力網(「送電系統」ということもある)と繋がっていない電力設備を使用する。
【0011】
オフグリッドの電力設備は、電力源として、太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504および風力発電モジュール506などの自家発電モジュール500を備える。太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504および風力発電モジュール506のすべてを備えてもよいし、一部のみを備えてもよい。太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504および風力発電モジュール506によって生じた直流電流は、パワーコンディショナー600に入力される。
【0012】
また、オフグリッドの電力設備は、使用されなかった電力を蓄えておくためのバッテリーユニット100を使用する。バッテリーユニット100は、電気機器400(たとえば、酸素吸入器402やエアコンディショナー404など)へ供給する電力を蓄える蓄電池(たとえば、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池やリチウムイオンポリマー二次電池など)を含んでいる。本実施形態におけるバッテリーユニット100は、通信機能と情報処理機能を備えている。バッテリーユニット100の構成については、
図2に関連して後述する。
【0013】
パワーコンディショナー600は、太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504および風力発電モジュール506から得た直流電流を交流電流に変換して、分電盤200へ送る。また、太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504および風力発電モジュール506から得た電力が消費されない場合には、直流電流のままバッテリーユニット100へ送り、バッテリーユニット100において蓄電されるように制御する。反対に、太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504および風力発電モジュール506から得られる電力だけで消費電力が満たされない場合には、バッテリーユニット100に放電させる制御も行う。
【0014】
バッテリーユニット100は、蓄電状態で、パワーコンディショナー600から入力した直流電流を蓄電する。また、バッテリーユニット100は、放電状態で、放電した直流電流をパワーコンディショナー600へ出力する。パワーコンディショナー600は、入力された直流電流を交流電流へ変換して、分電盤200へ送る。
【0015】
分電盤200は、パワーコンディショナー600から入力した交流電流を4つのコンセント300a~dに分岐させる。分電盤200は、ブレーカーやコンセント300a~dのそれぞれに対応する遮断機を有する。コンセント300は、通信による指示を受けて送電を遮断する機能を有する。なお、図中の「コンセント」の後の括弧書きは、コンセント300の番号を表す。コンセント300の構成については、
図3に関連して後述する。この例で、分電盤200、コンセント300、自家発電モジュール500およびパワーコンディショナー600は、設備機器の例である。
【0016】
このようなオフグリッドの電気設備は、再生可能エネルギー利用の観点から普及が期待されている。例えば、過疎地の住宅でオフグリッドを利用すれば、送電系統の設備投資や保守が不要となり、社会全体としての電力供給のためのコストが低減化される。ただし、極端に天候が不順である場合など、稀に電力不足が起きると危惧される面もあるので、電力確保に関して万全の備えが必要になる。そのため、住宅毎の状況に応じて、電気機器400の一部使用を制限することも考えておく。
【0017】
ここまで説明した電力設備については、一般的に住宅の建築や電気工事において完成している。住人は、これらの電力設備を利用して、任意の電気機器を使用する。この例で、住人は、祖父、両親および子供の4人家族であり、酸素吸入器402、エアコンディショナー404、洗濯乾燥機406および家庭用ゲーム機408を使用するものとする。祖父は、呼吸器系の障害があり、体調がすぐれないときに酸素吸入器402を使用する。母親は、洗濯乾燥機406で家族の衣類を洗濯する。また、父親と子供は、家庭用ゲーム機408でゲームプレイに興じることがある。
【0018】
図示するように、酸素吸入器402のプラグがコンセント300aに差し込まれ、エアコンディショナー404のプラグがコンセント300bに差し込まれ、洗濯乾燥機406のプラグがコンセント300cに差し込まれ、さらに家庭用ゲーム機408のプラグがコンセント300dに差し込まれているものと想定する。酸素吸入器402、エアコンディショナー404、洗濯乾燥機406および家庭用ゲーム機408は、それぞれのコンセントを介して得られる交流電流によって動作する。
【0019】
このように、電気機器400はいずれも交流電流を用いるが、自家発電モジュール500やバッテリーユニット100から供給される電流は直流である。そのため、パワーコンディショナー600が、直流電流を交流電流へ変換するインバーターの役割を果たす。
【0020】
本実施形態におけるバッテリーユニット100は、状況に応じて電気機器400における電力消費を抑制して、安定的な電力供給を実現する。そのために、バッテリーユニット100は、設備機器(たとえば、コンセント300)と電気機器400を通信によって制御する。以下、電気機器400の制御内容について説明する。
【0021】
たとえば、バッテリーユニット100における充電率が低くなった場合には、優先レベルの低い電気機器400(たとえば、家庭用ゲーム機408)の動作を中断し、動作を起動できないようにする。充電率がもっと低い場合には、次に優先レベルの低い電気機器400(たとえば、洗濯乾燥機406)の動作を中断し、動作を起動できないようにする。家庭用ゲーム機408と洗濯乾燥機406は、それぞれ中断の機能を有しており、家庭用ゲーム機408はゲームデータをセーブする。そして、再開された場合には、ゲームデータをリロードして続きからプレイを再開する。また、洗濯乾燥機406は、洗浄中とすすぎ中であれば中断し、脱水中や乾燥中には中断しない。再開された場合には、洗浄又はすすぎから動作を続ける。
【0022】
体調がすぐれない祖父にとっては、酸素吸入器402が欠かせない。よって、バッテリー切れの可能性が高まっても動作できるようにする。反対に、父親や子供は、ゲームプレイができなくても、家事を手伝ったり、運動したり、会話をしたり、仕事や勉強をするなど他にもやれることがあるので、家庭用ゲーム機408が動作しなくても問題はない。洗濯に関しては、できれば溜め込まない方が好ましいが、必ずしもすぐに行わなければならないというものではない。このように、電気機器400の用途や目的によって、常に動作させるべきかどうか程度が異なる。このような事情を反映して、電気機器400を選択的に制御する。
【0023】
反対に、バッテリーユニット100における充電率が高くなった場合には、待機中の電気機器400(たとえば、予約が設定されている洗濯乾燥機406)が動作を開始するようにする。たとえば、母親がAM11時に洗濯を開始するように予約設定していた場合に、AM11時になる前であっても、充電率が高まれば洗濯が開始される。このようにすれば、バッテリーユニット100が満充電になって、自家発電モジュール500で発電された電力が無駄に捨てられることを避けられる。
【0024】
また、バッテリーユニット100は、自家発電モジュール500の総発電電力に応じた制御も行う。晴天であれば、太陽電池モジュール502の発電電力は大きいが、曇天や雨天であれば、発電電力は小さい。また、風力発電モジュール506は、強風が吹けば発電するが、微風や無風であれば発電しない。このように、自家発電モジュール500の総発電電力は、状況によって変化する。自家発電モジュール500の総発電電力で、電気機器400の総消費電力をまかなえなければ、バッテリーユニット100の電力で補充される。ただし、その場合でも、バッテリーユニット100の使用をある程度抑制して、蓄えている電力を温存した方がよい。
【0025】
そのために、自家発電モジュール500の総発電電力が小さくなった場合には、優先レベルの低い電気機器400(たとえば、家庭用ゲーム機408)の動作を中断し、動作を起動できないようにする。総発電電力がもっと小さい場合には、次に優先レベルの低い電気機器400(たとえば、洗濯乾燥機406)の動作を中断し、動作を起動できないようにする。この制御については、変形例で説明する。
【0026】
また、バッテリーユニット100は、充電時の入力電流、つまり充電電流に応じた制御も行う。充電電流がある程度大きい場合には、電気機器400による電力消費に比べて自家発電モジュール500の総発電電力が大きく、電力が余っている傾向であることを意味する。また、充電電流が大きいと、蓄電池の劣化が進みやすい。そのため、電気機器400による電力消費を促して、充電電流を減らすようにする。
【0027】
さらに、バッテリーユニット100は、放電時の出力電流、つまり放電電流に応じた制御も行う。放電電流がある程度大きい場合には、自家発電モジュール500の総発電電力に比べて電気機器400による電力消費が大きく、電力が足りない傾向であることを意味する。また、放電電流が大きいと、蓄電池の劣化が進みやすい。そのため、電気機器400による電力消費を抑えて、放電電流を減らすようにする。
【0028】
なお、上述した優先レベルは、電気機器400の機種で大まかに定まると考えられる。たとえば、優先レベルを5段階で表し、優先する方を「5」とし、優先しない方を「1」とするならば、多くの場合、酸素吸入器402については健康に関わるので優先レベルを「5」とし、家庭用ゲーム機408については遊興に関わるので「1」として問題ない。ただし、リラックスや美容の目的で酸素吸入器402を使用する場合には、たまに使用できなくても問題ないので、それほど優先レベルを高くしなくてもよい。あるいは、競技会に向けてゲームの練習をする場合には、家庭用ゲーム機408の優先レベルは高い。このような個別の事情に応じて、住人であるユーザが優先レベルを修正できるようにする。
【0029】
上述のように、バッテリーユニット100は、電気機器400による電力利用を通信によって制御する。このような電力利用の制御には、単に状況が悪化した場合に電気機器400を止めるだけでなく、状況が改善した場合には、止めた電気機器400の使用を再開させることも含まれる。つまり、バッテリーユニット100は、電力利用の制御系として、常時動作している必要がある。バッテリーユニット100は、自らの蓄電池から電力を得て動作するので、送電設備の故障のような外的要因によって電力利用の制御系が停止することはない。また、バッテリーユニット100は、自らの蓄電池から得られる直流電流で動作するので、直流電流から交流電流への変換や交流電流から直流電流への変換を行う必要がなく、これらの変換に伴うエネルギーのロスがない。もしも、直流電流400と同列に、電力利用の制御系として機能するコンピュータを設けてコンセント300に繋ぎ、それをバッテリーユニット100の電力で動作させるとするならば、パワーコンディショナー600における直流-交流の変換によるエネルギーロスと、コンピュータ内部のコンバータによる交流-直流の変換によるエネルギーロスが生じる。本実施形態では、それらのエネルギーロスがないので、電力利用の制御系のために必要な電力消費を抑え、制御系喪失の事態を回避しやすくしている。
【0030】
図2は、バッテリーユニット100の構成図である。
バッテリーユニット100は、外部供給用蓄電部102を有する。外部供給用蓄電部102は、たとえば、リチウムイオン二次電池やリチウムイオンポリマー二次電池などである。ただし、その種類は限定されない。外部供給用蓄電部102は、電気機器400へ電力を供給するために用いられる。つまり、スマートフォンに内蔵されている内部供給用蓄電池とは異なり、容量が大きい。
【0031】
電力入出力部104は、外部から電力を取り入れ、あるいは外部へ電力を放出するためのインターフェースである。つまり、充電時には、電力入出力部104にパワーコンディショナー600からの直流電流が入力される。放電時には、電力入出力部104からパワーコンディショナー600への直流電流が出力される。
【0032】
バッテリーユニット100は、外部機器(電気機器400および設備機器)と通信を行うための通信モジュール106を有している。通信の概要については、
図4および
図5に関連して後述する。通信方式として、LTE(Long Term Evolution)のような移動体通信、インターネット、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、BLE(Bluetooth Low Energy)、Wi-SUN(Wireless Smart Utility Network)のような近距離無線通信などを利用する。通信モジュール106は、複数の通信方式を組み合わせて用いてもよい。通信路の一部において、電力線搬送通信を用いてもよい。通信モジュール106は、通信方式に応じた通信回路を有する。有線通信の場合には、通信モジュール106は、通信方式に応じたコネクタを備え、無線通信の場合には、通信方式に応じたアンテナを備える。通信モジュール106は、外部供給用蓄電部102を電源として動作する。つまり、外部供給用蓄電部102から供給される直流電流を用いる。
【0033】
バッテリーユニット100は、各種情報やプログラムを記憶するための記憶部108を有している。記憶部108は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリあるいはHDD(Hard Disk Drive)などのメモリ装置を用いる。複数のタイプのメモリ装置を組み合わせて用いてもよい。記憶部108は、内蔵型のメモリ装置に限らず、USB(Universal Serial Bus)メモリのように着脱可能なメモリ装置を用いてもよい。記憶部108は、外部供給用蓄電部102を電源として動作する。つまり、外部供給用蓄電部102から供給される直流電流を用いる。
【0034】
バッテリーユニット100は、制御処理を実行するプロセッサー112を有している。プロセッサー112は、CPU(Central Processing Unit)のような汎用プロセッサー、コプロセッサー(coprocessor)、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor processing unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などを用いる。プロセッサー112も、外部供給用蓄電部102を電源として動作する。つまり、外部供給用蓄電部102から供給される直流電流を用いる。なお、バッテリーユニット100は、プロセッサー112とプロセッサー112を一体としたマイクロコントローラを備えてもよい。
【0035】
バッテリーユニット100は、蓄電時における電流(蓄電電流)、電力(蓄電電力)、および電圧(蓄電電圧)、放電時における電流(放電電流)、電力(放電電力)および電圧(放電電圧)、さらに外部供給用蓄電部102における蓄電率などを計測するセンサ110を有している。センサ110による計測結果は、プロセッサー112へ渡る。センサ110は、外部供給用蓄電部102を電源として動作する。つまり、外部供給用蓄電部102から供給される直流電流を用いる。
【0036】
外部供給用蓄電部102は、複数の蓄電池を含み、一方の蓄電池が充電しているときに、他方の蓄電池がバッテリーユニット内で使用する電力を放電するようにしてもよい。
【0037】
図3は、コンセント300の構成図である。
コンセント300は、電気機器400への電力線をつないだり、断ったりする開閉器302を有する。開閉器302を閉じれば、分電盤200から送られた電気機器400へ交流電流が流れる。開閉器302を開けば、電気機器400への交流電流が遮断される。また、コンセント300は、電気機器400へ流れる交流電流を計測する電流センサ304を有する。
【0038】
コンセント300は、さらにバッテリーユニット100の通信モジュール106との通信を行うための通信モジュール306を有する。通信モジュール306は、電流センサ304で計測した電流値をバッテリーユニット100へ送り、また、バッテリーユニット100から開閉器302を開閉させる指示信号を受信する。通信モジュール306が、開閉器302を開く指示信号を受信した場合には、開閉器302が開かれる。また、通信モジュール306が、開閉器302を閉じる指示信号を受信した場合には、開閉器302が閉じられる。
【0039】
図4は、電力設備内の通信の概要図である。
太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504および風力発電モジュール506などの自家発電モジュール500は、それぞれバッテリーユニット100の通信モジュール106との通信を行うための通信モジュールを有する。酸素吸入器402、エアコンディショナー404、洗濯乾燥機406および家庭用ゲーム機408などの電気機器400も、それぞれバッテリーユニット100の通信モジュール106との通信を行うための通信モジュールを有する。
【0040】
他に、パワーコンディショナー600および分電盤200が、バッテリーユニット100の通信モジュール106との通信を行うための通信モジュールを有してもよい。バッテリーユニット100は、パワーコンディショナー600および分電盤200の性能や状態に関する情報を取得したり、動作を指示したりしてもよい。
【0041】
上述の各外部機器(電気機器400および設備機器)とバッテリーユニット100との通信方式は、共通でもよいし、異なってもよい。
【0042】
図5は、電力設備外の通信の概要図である。
バッテリーユニット100は、住人が使用するユーザ端末700と通信を行うことができる。ユーザ端末700は、スマートフォン、タブレット端末あるいはパーソナルコンピュータなどである。バッテリーユニット100は、ユーザ端末700へ情報を提供したり、ユーザ端末700から指示や設定に関する情報などを取得したりできる。
【0043】
バッテリーユニット100は、サーバ800と通信を行うことができる。バッテリーユニット100は、サーバ800から情報を取得したり、提供したりできる。
【0044】
ユーザ端末700からサーバ800へアップロードされた情報を、バッテリーユニット100がダウンロードしてもよい。また、バッテリーユニット100からサーバ800へアップロードされた情報を、ユーザ端末700がダウンロードしてもよい。ユーザ端末700とバッテリーユニット100が、サーバ800を介して交信してもよい。
【0045】
図6は、設備機器テーブルのデータ構成図である。
バッテリーユニット100は、設備機器テーブルを保持している。設備機器テーブルは、設備機器ごとのレコードを有する。レコードには、設備機器種類と設備機器のアドレスが設定されている。この例で、設備機器は、4つのコンセント300a~dと、太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504、風力発電モジュール506、パワーコンディショナー600および分電盤200である。図示していないが、設備機器の仕様情報を含んでもよい。アドレスは、通信方式に従って通信相手を特定するためのIDの例である。通信方式によっては、アドレス以外のIDが使用されることもある。以下では、通信相手のIDをアドレスとして説明する。設備機器テーブルは、ユーザ端末700またはサーバ800から取得されるものとする。
【0046】
図7は、電気機器テーブルのデータ構成図である。
バッテリーユニット100は、電気機器テーブルを保持している。電気機器テーブルは、電気機器400ごとのレコードを有する。レコードには、メーカーコード、製品番号(あるいは製品名)、アドレス、電気機器種類、消費電力、優先レベル、接続コンセントおよび待機中フラグが設定されている。メーカーコード、製品番号(あるいは製品名)およびアドレスは、バッテリーユニット100からの問い合わせに対する応答によって特定される。電気機器種類、消費電力などの仕様は、サーバ800へ問い合わせることによって取得される。
【0047】
優先レベルには、まず電気機器種類に応じて決められるデフォルトが設定される。住人は、ユーザ端末700を使用して個々の優先レベルを修正できる。修正されなければ、デフォルトの優先レベルがそのまま使用される。優先レベルを修正する手順については、
図8に関連して後述する。
【0048】
接続コンセントは、その電気機器400が接続されているコンセント300を示す。例えば酸素吸入器402は、コンセント(1)(
図1のコンセント300a)に接続されていることを示している。接続コンセントを特定する手順については、
図10に関連して後述する。
【0049】
電気機器400において動作予約が設定されると、バッテリーユニット100に予約設定が通知され、待機中フラグがONになる。たとえば、母親がAM11時に洗濯を開始するように、洗濯乾燥機406に予約設定を行うと、洗濯乾燥機406の待機中フラグがONになる。電気機器400が予約動作を終えると、バッテリーユニット100に予約動作完了を通知し、待機中フラグがOFFになる。予約設定の機能がない電気機器400に関しては、待機中フラグはOFFのままである。
【0050】
図8は、機器設定画面の画面図である。
機器設定画面は、ユーザ端末700に表示される。機器設定画面には、住宅内にある電気機器400の種類(あるいは製品名)と優先レベルが示される。最初は、バッテリーユニット100で設定したデフォルトの優先レベルが表示される。ユーザが、優先レベルの値を変更してOKボタンにタッチすると、変更された優先レベルがバッテリーユニット100に通知され、電気機器テーブルが更新される。
【0051】
たとえば、祖父の病気が治って、酸素吸入器402が父親の昼寝のときに使われるだけになれば、酸素吸入器402の優先レベルは「1」にしてもよい。また、子供が誕生日のパーティーで友達とゲーム大会を開くときには、家庭用ゲーム機408の優先レベルを「5」に上げてもよい。そうすれば、充電率が下がっても、パーティー中にゲームプレイが中断になって興ざめすることはない。代わりに酸素吸入器402が止まっても、父親の休息にそれほどの影響はない。
【0052】
図9は、バッテリーユニット100の機能ブロック図である。
データ処理部120は、記憶部108に記憶されているプログラムのコードを、プロセッサー112が順次読み込んで実行することによって実現される。プログラムを実行する際に使用されるデータ領域も、記憶部108に確保される。データ格納部140は、記憶部108を用いて実現される。通信処理部150は、記憶部108に記憶されている通信インターフェースのプログラムコードを、プロセッサー112が順次読み込んで実行して、通信モジュール106を制御することによって実現される。つまり、112と通信モジュール106が連携して通信処理部150が実現される。
【0053】
データ処理部120は、初期設定部122、情報取得部124および機器制御部126を有する。
初期設定部122は、外部機器(電気機器400および設備機器)の情報に関する初期設定を行う。情報取得部124は、外部機器から情報を取得する。機器制御部126は、外部機器を制御する。
【0054】
機器制御部126は、条件判定部128、モード制御部130、供給抑制部132および供給促進部134を有する。
条件判定部128は、外部機器(電気機器400および設備機器)を制御する際の条件判定を行う。モード制御部130は、電力利用の制御系としてのモードを制御する。この例では、通常モードと制限モードがある。通常モードでは、いずれの電気機器400も自由に電力を利用できる。制限モードでは、優先レベルの低い電気機器400について電力利用を制限する。通常モード処理については、
図13に関連して後述する。制限モード処理については、
図12に関連して後述する。供給抑制部132は、電気機器400への電力供給を促進するための処理を行う。供給促進部134は、電気機器400への電力供給を抑制するための処理を行う。
【0055】
データ格納部140は、設備機器テーブル記憶部142および電気機器テーブル記憶部144を有する。
設備機器テーブル記憶部142は、設備機器テーブル(
図6)を記憶する。初期設定部122は、サーバ800あるいはユーザ端末700から設備機器テーブルに関するデータを取得して、設備機器テーブルを記憶させる。電気機器テーブル記憶部144は、電気機器テーブル(
図7)を記憶する。初期設定部122は、
図10に関連して説明する準備フェーズにおいて、電気機器テーブルを生成する。あるいは、初期設定部122は、サーバ800あるいはユーザ端末700から電気機器テーブルに関するデータを取得して、電気機器テーブルを記憶させてもよい。
【0056】
通信処理部150は、送信処理部152および受信処理部154を有する。
送信処理部152は、
図4および
図5に示したように、電気機器400(酸素吸入器402、エアコンディショナー404、洗濯乾燥機406、家庭用ゲーム機408)、設備機器(コンセント300a~d、太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504、風力発電モジュール506、パワーコンディショナー600、分電盤200)、ユーザ端末700およびサーバ800へ各種データを送信する。受信処理部154は、
図4および
図5に示したように、電気機器400(酸素吸入器402、エアコンディショナー404、洗濯乾燥機406、家庭用ゲーム機408)、設備機器(コンセント300a~d、太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504、風力発電モジュール506、パワーコンディショナー600、分電盤200)、ユーザ端末700およびサーバ800から各種データを受信する。
【0057】
図10は、準備フェーズのシーケンス図である。
準備フェーズで、バッテリーユニット100は、電気機器テーブルを生成する。これは、電気機器テーブルを得る方法の一例である。
【0058】
当初バッテリーユニット100は、住宅内にどのような電気機器400があるかを把握していない。したがって、バッテリーユニット100は、住宅内にある電気機器400を探索するために、送信処理部152から電気機器の探索信号を一斉に送信(ブロードキャスト)する(S10)。無線LANの場合、バッテリーユニット100は、アクセスポイントから探索信号としてビーコン信号を発信させてもよい。BLEの場合、バッテリーユニット100は、ビーコン端末から探索信号としてビーコン信号を発信させてもよい。
【0059】
探索信号を受信した各電気機器400は、自らの存在を通知するために応答信号をバッテリーユニット100へ返信する。この例では、酸素吸入器402、エアコンディショナー404、洗濯乾燥機406、さらに家庭用ゲーム機408が応答信号を返す(S12a~d)。応答信号には、少なくともアドレスが含まれる。この例では、応答信号にメーカーコードと製品番号(あるいは製品名)が含まれるものとする。応答信号にメーカーコードと製品番号(あるいは製品名)が含まれない場合には、アドレス宛に改めて問い合わせてもよい。無線LANの場合、バッテリーユニット100は、アクセスポイントで受信した応答信号を取得してもよい。BLEの場合、バッテリーユニット100は、ビーコン端末で受信した応答信号を取得してもよい。
【0060】
バッテリーユニット100の受信処理部154がこれらの応答信号を受信すると(S12)、初期設定部122は、各電気機器400のレコードを含む電気機器テーブルを作成する(S14)。そして、各レコードに、メーカーコード、製品番号(あるいは製品名)およびアドレスが設定される。
【0061】
初期設定部122は、サーバ800から電気機器情報を取得する(S16)。具体的には、送信処理部152からメーカーコードと製品番号(あるいは製品名)を指定した電気機器情報問い合わせのリクエストをサーバ800へ送信して、受信処理部154において電気機器情報のレスポンスを受信する。この例では、電気機器情報として電気機器種類と消費電力を取得するが、他の仕様などを取得してもよい。電気機器情報は、電気機器テーブルに格納される。
【0062】
各電気機器400が動作を始めるときには、動作開始通知をバッテリーユニット100へ送信する(S18)。たとえば、酸素吸入器402のスタートボタンが押されると、酸素吸入器402は、動作開始通知をバッテリーユニット100へ送って、少し時間をおいてから酸素の濃縮と排出の動作を始める。
【0063】
バッテリーユニット100の受信処理部154が電気機器400から動作開始通知を受信すると、初期設定部122は、各コンセント300a~dにおける電流値の変化を監視する(S20)。
【0064】
酸素吸入器402が動作を開始すると(S22)、酸素吸入器402が接続されているコンセント300aから電流が流れ、酸素吸入器402の消費電力に応じて電流値が上昇する。初期設定部122は、コンセント300aの電流値が、酸素吸入器402の電力消費に相当する分だけ上昇したことから、コンセント300aに酸素吸入器402が接続されていると判定する(S24)。そして、電気機器テーブルにおいて酸素吸入器402にコンセント300aに相当するコンセント(1)を設定する。他の電気機器400が動作を開始する場合についても同様に接続コンセントを特定する。
【0065】
図11は、実施形態におけるメイン処理過程を示すフローチャートである。
準備フェーズを終えると、運用段階に入ってバッテリーユニット100においてメイン処理が実行される。情報取得部124は、電気機器および設備機器から、これらの機器の動作状況に関する情報を継続的に収集する(S30)。たとえば、酸素吸入器402、エアコンディショナー404、洗濯乾燥機406および家庭用ゲーム機408から、動作開始、動作終了、予約設定および予約動作完了などの通知や消費電力などを取得する。コンセント300a~dからは電流値などを取得する。太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504および風力発電モジュール506からは、発電電力を取得する。パワーコンディショナー600からは、総発電電力や総消費電力を取得する。分電盤200からは、各コンセントに流れる電流値を取得する。これら以外の情報を取得してもよい。周期的にバッテリーユニット100の送信処理部152からリクエストして、電気機器400および設備機器がレスポンスするようにしてもよいし、電気機器400および設備機器から自発的に新しい情報を提供するようにしてもよい。いずれにしても、情報取得部124によって継続的に情報が収集され、少なくとも最新の情報を使えるようにする。
【0066】
条件判定部128は、センサ110を用いて外部供給用蓄電部102における充電率を計測する(S32)。条件判定部128は、充電率が下側基準値以下であるか否かを判定する(S34)。下側基準値とは、充電量の不足が心配されるレベルであるか否かを判定するための基準となる値である。この例では、充電率が40%以下である場合に、充電量の不足が心配されるレベルであることを意味する。
【0067】
充電率が下側基準値以下になった場合には、電気機器400の使用を制限するために、モード制御部130は、通常モード処理を停止させて、制限モード処理を起動する(S36)。制限モード処理は、制限モードにおいて継続する処理であって、メイン処理と並行に実行される。そのため、制限モード処理を起動すると、制限モード処理の終了を待たずに、S32の処理へ戻る。制限モード処理については、
図12に関連して後述する。なお、既に制限モードである場合、つまり制限モード処理が行われている場合には、そのままS32の処理へ戻る。
【0068】
充電率が下側基準値を超えた場合には、電気機器400の使用制限を解除してよい。そのために、モード制御部130は、制限モード処理を停止させて、通常モード処理を起動する(S38)。通常モード処理は、通常モードにおいて継続する処理であって、メイン処理と並行に実行される。そのため、通常モード処理を起動すると、通常モード処理の終了を待たずに、次の処理へ移る。通常モード処理については、
図13に関連して後述する。なお、既に通常モードである場合、つまり通常モード処理が行われている場合には、そのまま次の処理へ移る。
【0069】
条件判定部128は、充電率が上側基準値以上であるか否かを判定する(S40)。上側基準値とは、過充電が心配されるレベルであるか否かを判定するための基準となる値である。この例では、充電率が90%以上である場合に、過充電が心配されるレベルであることを意味する。
【0070】
充電率が上側基準値以上である場合には、電力供給を促進するために、供給促進部132が促進処理を実行する(S42)。促進処理については、
図14に関連して後述する。そして、S32の処理へ戻る。充電率が上側基準値を下回っている場合には、過充電の心配がないのでそのままS32の処理へ戻る。
【0071】
図12は、制限モード処理過程を示すフローチャートである。
制限モードでは、優先レベルが低い電気機器400が動作しないようにする。モード制御部130は、優先レベルが低い電気機器400を選択する。この例では、優先レベルが1である電気機器400を選択する。
図7の例によれば、家庭用ゲーム機408が選択される。モード制御部130は、選択した電気機器400の動作を中断させる。具体的には、送信処理部152が動作を中断させる命令を送る(S50)。モード制御部130は、選択した優先レベルが低い電気機器400の動作を停止させてもよい。具体的には、送信処理部152が動作を停止させる命令を送ってもよい。さらに、モード制御部130は、選択した優先レベルが低い電気機器400の動作を禁止してもよい。具体的には、送信処理部152の動作を禁止する命令を送ってもよい。
【0072】
また、モード制御部130は、選択した電気機器400への送電を止める(S52)。具体的には、送信処理部152が、選択した電気機器400の接続コンセントへ開閉器302を開くように指示する。指示されたコンセント300が開閉器302を開くと、優先レベルが低い電気機器400へ電力が供給されなくなる。したがって、ユーザが電気機器400の電源スイッチのOFF/ON操作を行っても、起動されることはない。また、選択した電気機器400が中断機能や動作禁止機能を備えていない場合にも、強制的に電気機器400が動作しないようにできる。
【0073】
モード制御部130は、選択しなかった電気機器400への送電を行う(S54)。具体的には、送信処理部152が、優先レベルが低い電気機器400の接続コンセント以外のコンセント300へ開閉器302を閉じる指示信号を送信する。指示されたコンセント300の開閉器302が閉じることによって電力が供給される。既に開閉器302が閉じられている状態であれば、継続して送電する。
【0074】
電気機器400が電力を要求する機能を備えることを想定すると、制限モードにおいて、電気機器400がバッテリーユニット100へ電力要求を送ってくることが考えられる。ただし、バッテリーユニット100は、電力を要求する電気機器400が、優先レベルが低いとして選択されたものであれば、電力要求に応じないようにする。そのため、受信処理部154が電力要求を受けると(S56)、モード制御部130は、送信元の電気機器400が、優先レベルが低いとして選択されたものであるか否かを判定する(S58)。
【0075】
送信元の電気機器400が、優先レベルが低いとして選択されたものであれば、モード制御部130は、電力供給を拒否する(S60)。つまり、送信処理部152が電力供給の拒否通知を送信する。拒否された電気機器400は、電力供給が再開されないので動作を開始できない。
【0076】
一方、送信元の電気機器400が、優先レベルが低いとして選択されたものでなければ、モード制御部130は、電力供給を承諾する(S62)。つまり、送信処理部152が電力供給の承諾通知を送信する。そして、送信処理部152は、その電気機器400の接続コンセントへ開閉器302を閉じる指示信号を送る。たとえば、テーブルタップを使って優先レベルが高い電気機器400と優先レベルが低い電気機器400を一緒に使っている場合は、優先レベルが低い電気機器400の接続コンセントが遮断されると、優先レベルが高い電気機器400も使えなくなる。このように、何らかの理由で優先レベルが高い電気機器400への送電がストップしたとしても、改めて電力を要求すれば送電を再開させて動作できるようにする。たとえば、制限モードによって中断している家庭用ゲーム機408と同じテーブルタップを使って優先レベルが2以上のノートパソコンのスイッチを入れた場合、ノートパソコンは内部バッテリーの電力で起動し、バッテリーユニット100へ電力を要求することによって、コンセントからの電力供給を受けられるようになる。
なお、送信元の電気機器400が、優先レベルが低いとして選択されたものでない場合に(S58のNO)、電力供給を承諾(S62)の処理を行わずに
図11のS30からの処理を行うようにしても良い。
【0077】
制限モード処理が終了するまで、S58に戻ってこの処理を繰り返す。
【0078】
ここまで1段階の制限モードの例を説明したが、複数段階の制限モードを設けるようにしてもよい。たとえば、5段階の制限モードを設ける場合、下側基準値も40%、30%、20%、10%、5%のように5つ設けられる。そして、充電率が40%以下のときに優先レベルが1の電気機器400(たとえば、家庭用ゲーム機408)が制限され、充電率が30%以下のときに優先レベルが2以下の電気機器400(たとえば、洗濯乾燥機406)が制限され、充電率が20%以下のときに優先レベルが3以下の電気機器400が制限され、充電率が10%以下のときに優先レベルが4以下の電気機器400(たとえば、エアコンディショナー404が制限され、充電率が5%以下のときにすべての電気機器400(たとえば、酸素吸入器402)が制限されるようにする。なお、充電率が5%以下のときでも、バッテリーユニット100における制御系の処理は継続する。
【0079】
図13は、通常モード処理過程を示すフローチャートである。
モード制御部130は、制限モードにおいて優先レベルが低いとして利用制限した電気機器400への送電を行う(S63)。具体的には、送信処理部152が、優先レベルが低い電気機器400の接続コンセントへ開閉器302を閉じる指示信号を送信する。指示されたコンセント300の開閉器302が閉じることによって電力供給が再開される。
【0080】
モード制御部130は、制限モードにおいて優先レベルが低いとして中断させた電気機器400の動作を再開させる(S64)。具体的には、送信処理部152は、中断している電気機器400へ動作を再開させる命令を送る。さらに、送信処理部152は、動作禁止を送った電気機器400に対して、禁止解除の命令を送る。
【0081】
モード制御部130は、利用制限しなかった電気機器400に関して継続して送電を行う(S65)。
【0082】
通常モードでは、いずれの電気機器400から電力要求を受けた場合にも(S66)、承諾する(S68)。優先レベルが1であっても、電気機器400からの電力要求が拒否されることはない。
【0083】
図14は、促進処理過程を示すフローチャートである。
供給促進部132は、待機中フラグがONになっている電気機器400があるか否かを判定する(S70)。待機中フラグがONになっている電気機器400がある場合には、待機中の電気機器400へ動作開始を命令する(S72)。具体的には、送信処理部152が動作開始命令を電気機器400へ送信する。動作開始命令を受けた電気機器400は、予約設定されている動作を開始する。
【0084】
[変形例]
実施形態では、充電率に基づいてモードを切り替える例を示したが、自家発電モジュール500による総発電電力に基づいてモードを切り替えるようにしてもよい。
【0085】
図15は、変形例におけるメイン処理過程を示すフローチャートである。
情報取得部124は、実施形態の場合と同様に情報収集を行う(S80)。
【0086】
条件判定部128は、各自家発電モジュール500による総発電電力を算出する(S82)。条件判定部128は、太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504および風力発電モジュール506から発電電力を取得して、合計する。パワーコンディショナー600から太陽電池モジュール502、燃料電池モジュール504および風力発電モジュール506による総発電電力を取得してもよい。
【0087】
条件判定部128は、総発電電力が基準値以下であるか否かを判定する(S84)。基準値は、発電が滞っているか否かの基準となる値である。総発電電力が基準値以下である場合には、発電が滞っているので、電気機器400の使用を制限する。そのため、モード制御部130は、実施形態の場合と同様に制限モード処理を起動する(S86)。
【0088】
総発電電力が少ないとき、外部供給用蓄電部102が放電を行って不足する電力を補充することがある。条件判定部128は、センサ110を用いて外部供給用蓄電部102における放電電流を計測する。条件判定部128は、放電電流が基準値以上であるか否かを判定する(S88)。基準値は、放電ペースが過剰であるか否かの基準となる値である。放電ペースが過剰であると、外部供給用蓄電部102が劣化しやすいという問題がある。また、バッテリー切れになる恐れもある。
【0089】
放電電流が基準値以上である場合には、供給抑制部132は、抑制処理を起動する(S90)。抑制処理では、電力供給を抑制するために追加的に電気機器400の使用を制限する。抑制処理に関しては、
図16に関連して後述する。放電電流が基準値を下回っていれば、抑制処理を行う必要はない。そして、S82の処理へ戻る。
【0090】
S84の説明に戻る。総発電電力が基準値を超えていると判定した場合には、モード制御部130は、実施形態の場合と同様に通常モード処理を起動する(S92)。
【0091】
総発電電力が多いとき、消費されずに余った電力を外部供給用蓄電部102が蓄電することがある。条件判定部128は、センサ110を用いて、外部供給用蓄電部102における充電電流を計測する(S94)。条件判定部128は、充電電流が基準値以上であるか否かを判定する(S96)。基準値は、充電ペースが過剰であるか否かの基準となる値である。充電ペースが過剰であると、外部供給用蓄電部102が劣化しやすいという問題がある。また、満充電になれば、発電電力を無駄に捨てることになる。
【0092】
充電電流が基準値以上である場合には、充電ペースを遅らせるために、電気機器400への電力供給を促進する。つまり、供給促進部134は、促進処理を実行する(S98)。促進処理については、実施形態の場合と同様である。
【0093】
図16は、抑制処理過程を示すフローチャートである。
供給抑制部132は、制限モードによって使用制限されていない電気機器400のうち、優先レベルが低い電気機器400を選択する。たとえば、制限モード処理によって、優先レベルが1の電気機器400(たとえば、家庭用ゲーム機408)が選択されている場合には、抑制処理で、優先レベルが2の電気機器400(たとえば、洗濯乾燥機406)を選択する。したがって、家庭用ゲーム機408に加えて洗濯乾燥機406も動かせなくなる。
【0094】
供給抑制部132は、選択した電気機器400(たとえば、洗濯乾燥機406)の動作を中断させる。具体的には、送信処理部152が動作を中断させる命令を送る(S100)。供給抑制部132は、選択した優先レベルが低い電気機器400の動作を停止させてもよい。具体的には、送信処理部152が動作を停止させる命令を送ってもよい。さらに、供給抑制部132は、選択した優先レベルが低い電気機器400の動作を禁止してもよい。具体的には、送信処理部152の動作を禁止する命令を送ってもよい。
【0095】
供給抑制部132は、選択した電気機器400への送電を止める(S102)。具体的には、送信処理部152が、選択した電気機器400の接続コンセントへ開閉器302を開くように指示する。
【0096】
家庭用ゲーム機408と洗濯乾燥機406の使用を制限した後、動作していたエアコンディショナー404を止めればその分消費電力は低下する。たとえば、夏場に夕方となって、エアコンディショナー404の冷房を止めるような場合である。そうすれば、放電電流も減少するので、洗濯乾燥機406を再び動かしてもよい。この例で、エアコンディショナー404の消費電力は1500Wであるので、その低下分を洗濯乾燥機406の消費電力1000Wに回しても、むしろ全体の消費電力は減ることになる。よって、外部供給用蓄電部102における放電の負荷は軽減される。
【0097】
そのため、バッテリーユニット100は、充電電流の観測を続ける。具体的には、供給抑制部132は、センサ110を用いて、外部供給用蓄電部102における充電電流を計測する(S103)。供給抑制部132は、放電電流が(基準値-余裕値)以下であるか否かを判定する(S104)。余裕値は、抑制処理による制御を安定させるために設定される。放電電流が(基準値-余裕値)以下にならなければ(S104のNO)、電気機器400の使用制限を継続する。
【0098】
放電電流が(基準値-余裕値)以下になれれば(S104のYES)、供給抑制部132は、S102で遮断した送電を再開する(S106)。具体的には、送信処理部が、使用制限を解除する電子機器400の接続コンセントへ開閉器302を閉じるように指示信号を送信する。
【0099】
そして、供給抑制部132は、S100で中断させた電気機器400(たとえば、洗濯乾燥機406)へ動作を再開させる命令を送る(S108)。これを受けて、電気機器400は動作を再開する。供給抑制部132は、禁止命令も解除する。
【0100】
図1に関連して、バッテリーユニット100とパワーコンディショナー600の間にスマートメータを設けてもよい。
【0101】
図1ではオフグリッドの例を示したが、オフグリッドでなくてもよい。つまり、電力会社が電力を提供する電力網から送電線を引き込んで、外部から電力を受けるようにしてもよい。
【0102】
図7に関連して、優先レベルに代えて、優先順位を設定してもよい。その場合には、優先レベルが低い電気機器400を選択する処理に代えて、優先順位が低い電気機器400を選択してもよい。
【0103】
制限モード処理(
図12)、通常モード処理(
図13)および抑制処理(
図16)に関連して、電気機器400およびコンセント300に対する制御処理を行う例を示したが、電気機器400に対する制御処理のみを行ってもよい。また、コンセント300に対する制御処理のみを行ってもよい。
【0104】
コンセント300を制御して電気機器400への送電を遮断する例を示したが、分電盤200を制御して電気機器400への送電を遮断してもよい。つまり、分電盤200内の分岐された各電力線に通信モジュール306と開閉器302を設けて、バッテリーユニット100が各電力線の送電を遮断してもよい。また、バッテリーユニット100に、通信モジュール306と開閉器302を設けた分電盤200の構成を取り入れて、バッテリーユニット100自身が各コンセントへの送電を遮断してもよい。
【0105】
テーブルタップを制御して電気機器400への送電を遮断してもよい。つまり、テーブルタップの各プラグに通信モジュール306と開閉器302を設けて、バッテリーユニット100が各プラグの送電を遮断してもよい。
【0106】
住人が、ユーザ端末700を使って、バッテリーユニット100による制御状況を見られるようにしてもよい。
【0107】
住宅の例を示したが、他の施設であってもよい。例えば、店舗、工場、宿泊施設や公共施設などであってもよい。また、電気機器400は、家庭用に限らず、業務用であってもよい。
【0108】
地上の施設以外にもバッテリーユニット100を利用できる。たとえば、自動車、船舶や飛行体でバッテリーユニット100を利用してもよい。
【0109】
図17は、自動車の電力設備の構成図である。
バッテリーユニット100は、充電口190から供給される電力および太陽電池モジュール502で発電された電力によって充電される。そして、バッテリーユニット100は放電を行って、電気機器400であるモータ412、ブレーキ414、操舵装置416、ライト418、パワーウインドウ420、スライドドア422、オーディオ装置424、エアコンディショナー426、冷蔵庫428およびテレビ430へ電力を供給する。モータ412のように交流で動作あるいは駆動する電気機器400に関しては、インバーター410を介して直流電流を交流電流へ変換する。その他のインバーターについては、図示していない。自動車は、モータ412でタイヤを回転させて前後へ進む。
【0110】
そして、バッテリーユニット100は、それぞれの電気機器400に設定されている優先レベルに基づいて、住宅の場合と同様に電力利用の制御を行う。たとえば、モータ412、操舵装置416、ブレーキ414およびライト418について優先レベルを高く設定し、エアコンディショナー426、冷蔵庫428、パワーウインドウ420およびスライドドア422について優先レベルを中間に設定し、オーディオ装置424およびテレビ430について優先レベルを低く設定する。したがって、充電率が低下した場合に、たとえばオーディオ装置424は停止するが、モータ412は停止しない。
【0111】
図18は、船舶の電力設備の構成図である。
バッテリーユニット100は、充電口190から供給される電力および太陽電池モジュール502と燃料電池モジュール504で発電された電力によって充電される。そして、バッテリーユニット100は放電を行って、電気機器400であるモータ440、操舵装置442、航海計器444、無線装置446、エレベーター448、エアコンディショナー450、照明装置452、オーディオ装置454、テレビ456、冷蔵庫458および調理機器460へ電力を供給する。交流で動作あるいは駆動する電気機器400に関しては、インバーター410を介して直流電流を交流電流へ変換する。インバーターについては、図示していない。船舶は、モータ440でスクリューを回転させて前後へ進む。
【0112】
そして、バッテリーユニット100は、それぞれの電気機器400に設定されている優先レベルに基づいて、住宅の場合と同様に電力利用の制御を行う。たとえば、モータ440、操舵装置442、航海計器444および無線装置446について優先レベルを高く設定し、エアコンディショナー450、冷蔵庫458、調理機器460および照明装置452について優先レベルを中間に設定し、エレベーター448、オーディオ装置454およびテレビ456について優先レベルを低く設定する。したがって、充電率が低下した場合に、たとえばエレベーター448は停止するが、モータ440は停止しない。
【0113】
図19は、飛行体の電力設備の構成図である。
飛行体は、たとえば飛行機、ヘリコプター、飛行船やドローンなどである。バッテリーユニット100は、充電口190から供給される電力で発電された電力によって充電される。そして、バッテリーユニット100は放電を行って、電気機器400であるモータ470a、モータ470b、操舵装置472a、操舵装置472b、操舵装置472c、無線装置474、航空計器476、エアコンディショナー478、オーディオ装置480および照明装置482へ電力を供給する。交流で動作あるいは駆動する電気機器400に関しては、インバーター410を介して直流電流を交流電流へ変換する。インバーターについては、図示していない。飛行体は、モータ470aおよびモータ470bでプロペラを回転させて飛行する。
【0114】
そして、バッテリーユニット100は、それぞれの電気機器400に設定されている優先レベルに基づいて、住宅の場合と同様に電力利用の制御を行う。たとえば、モータ470a、モータ470b、操舵装置472a、操舵装置472b、操舵装置472c、無線装置474および航空計器476について優先レベルを高く設定し、エアコンディショナー478および照明装置482について優先レベルを中間に設定し、オーディオ装置480について優先レベルを低く設定する。したがって、充電率が低下した場合に、たとえばオーディオ装置480は停止するが、モータ470aとモータ470bは停止しない。
【0115】
その他、ロボットや建設機器などに、バッテリーユニット100を適用してもよい。
【0116】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0117】
100 バッテリーユニット、102 外部供給用蓄電部、104 電力入出力部、106 通信モジュール、108 記憶部、110 センサ、112 プロセッサー、120 データ処理部、122 初期設定部、124 情報取得部、126 機器制御部、128 条件判定部、130 モード制御部、132 供給抑制部、134 供給促進部、140 データ格納部、142 設備機器テーブル記憶部、144 電気機器テーブル記憶部、150 通信処理部、152 送信処理部、154 受信処理部、190 充電口、200 分電盤、300 コンセント、302 開閉器、304 電流センサ、306 通信モジュール、400 電気機器、402 酸素吸入器、404 エアコンディショナー、406 洗濯乾燥機、408 家庭用ゲーム機、410 インバーター、412 モータ、414 ブレーキ、416 操舵装置、418 ライト、420 パワーウインドウ、422 スライドドア、424 オーディオ装置、426 エアコンディショナー、428 冷蔵庫、430 テレビ、440 モータ、442 操舵装置、444 航海計器、446 無線装置、448 エレベーター、450 エアコンディショナー、452 照明装置、454 オーディオ装置、456 テレビ、458 冷蔵庫、460 調理機器、470a モータ、470b モータ、472a 操舵装置、472b 操舵装置、472c 操舵装置、474 無線装置、476 航空計器、478 エアコンディショナー、480 オーディオ装置、482 照明装置、500 自家発電モジュール、502 太陽電池モジュール、504 燃料電池モジュール、506 風力発電モジュール、600 パワーコンディショナー、700 ユーザ端末、800 サーバ