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特開2022-25904ガラス繊維集束剤及びガラスチョップドストランド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025904
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ガラス繊維集束剤及びガラスチョップドストランド
(51)【国際特許分類】
   C03C 25/32 20180101AFI20220203BHJP
   D04H 1/4218 20120101ALI20220203BHJP
   D04H 1/587 20120101ALI20220203BHJP
   D06M 15/285 20060101ALI20220203BHJP
   D06M 15/333 20060101ALI20220203BHJP
   D06M 13/513 20060101ALI20220203BHJP
   D06M 13/419 20060101ALI20220203BHJP
   C03C 25/328 20180101ALI20220203BHJP
   C03C 25/40 20060101ALI20220203BHJP
   C08L 33/26 20060101ALI20220203BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20220203BHJP
   C08K 5/544 20060101ALI20220203BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
C03C25/32
D04H1/4218
D04H1/587
D06M15/285
D06M15/333
D06M13/513
D06M13/419
C03C25/328
C03C25/40
C08L33/26
C08L29/04
C08K5/544
C08L71/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129079
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】305040569
【氏名又は名称】ユニチカグラスファイバー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 哲也
(72)【発明者】
【氏名】池田 知弘
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 崇治
【テーマコード(参考)】
4G060
4J002
4L033
4L047
【Fターム(参考)】
4G060BA01
4G060BB02
4G060BC01
4G060BC07
4G060BD15
4G060BD22
4G060CB21
4G060CB25
4G060CB27
4J002BE02X
4J002BG13W
4J002CH02Y
4J002EX076
4J002GJ00
4J002GK02
4J002HA01
4L033AA09
4L033AB01
4L033AC12
4L033BA71
4L033BA96
4L033CA23
4L033CA29
4L047AA05
4L047BA12
4L047BC05
4L047BC11
(57)【要約】
【課題】 ガラスチョップドストランドとしたときの良好な水分散性と、毛羽の低減との両立を図ることが可能なガラス繊維集束剤、及び、ガラスチョップドストランドの提供を主な課題とする。
【解決手段】 (A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含む、ガラス繊維集束剤。表面に、(A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含む皮膜が形成されているガラス繊維を含む、ガラスチョップドストランド。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含む、ガラス繊維集束剤。
【請求項2】
さらに(D)ポリオキシエチレンアルキルアミド又はポリオキシエチレンアルキルアミン塩を含む、請求項1に記載のガラス繊維集束剤。
【請求項3】
前記(A)ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分に対する前記(B)ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分の比率(ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分/ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分)が0.2~0.5である、請求項1又は2に記載のガラス繊維集束剤。
【請求項4】
表面に、(A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含む皮膜が形成されているガラス繊維を含む、ガラスチョップドストランド。
【請求項5】
前記皮膜がさらに(D)ポリオキシエチレンアルキルアミド又はポリオキシエチレンアルキルアミン塩を含む、請求項4に記載のガラスチョップドストランド。
【請求項6】
前記(A)ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分に対する前記(B)ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分の比率(ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分/ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分)が0.2~0.5である、請求項4又は5に記載のガラスチョップドストランド。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維集束剤及びガラスチョップドストランドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスチョップドストランドが知られている。ガラスチョップドストランドは、ガラスストランドを所定の長さに切断したものである。ガラスチョップドストランドは、例えば、湿式抄紙法によりガラスペーパー等に加工され、様々な用途に使用される。
【0003】
ガラスチョップドストランドは、一般的に次のように製造される。すなわち、ガラス原料を溶融した溶融ガラスをブッシングから数百~数千本の単繊維(フィラメント)として引出し、引き出したフィラメントに集束剤を付与し集束させてガラスストランドとし、当該ガラスストランドを円筒状のボビンに巻き取ってケーキとする。そして、ケーキからガラスストランドを引き出し、切断刃によって所定の長さに切断してガラスチョップドストランドとする。
【0004】
ガラスチョップドストランドに用いるガラス繊維集束剤として、ウレタン樹脂、アミノ樹脂およびシランカップリング剤を必須成分として含有してなるガラス繊維集束剤が知られている(例えば、特許文献1参照。)。該ガラス繊維集束剤によれば、ガラス繊維の表面処理剤に用いてマトリックス樹脂の補強材に用いた場合、ガラス繊維とマトリックス樹脂との界面の結合を強固にすることで、ガラス繊維強化樹脂の静的および動的な機械強度を高めることができるとされている。
【0005】
また、ガラス繊維として、
(a)フィルムの形成に有効な分子量をもつ水溶性、分散性または乳化性のポリオキシエチレン重合体、
(b)水溶性、分散性または乳化性のアルデヒド縮合物と反応しうる、白水と混和しうる有効量の高分子剤、
(c)アルデヒド縮合物と反応しうる高分子剤およびシランカップリング剤が樹脂状物質の存在下で互いに、そしてアルデヒド縮合物の樹脂状材料と結合するという相互作用を呈しうるアルデヒド縮合物と反応しうるオルガノシランカップリング剤、
(d)カチオン潤滑剤および
(e)水性化学処理組成物をガラス繊維に適用するのに有効な量のキャリヤ
からなる化学処理組成物で処理されたガラス繊維が知られている(例えば、特許文献2参照。)。該ガラス繊維によれば、水溶液中ですばやく分散しうるチョップドガラス繊維(Chopped glass fiber)を加工するのに良好な加工性を有し、そして良好な強度を有するガラス繊維含有紙に製造されうるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-56503号公報
【特許文献2】特開昭62-87439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に開示された集束剤をガラス繊維に付与して得られるガラスチョップドストランドは、湿式抄紙する際の良好な水分散性と、毛羽の低減との両立を十分に図ることができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題を解決し、ガラスチョップドストランドとしたときの良好な水分散性と、毛羽の低減との両立を図ることが可能なガラス繊維集束剤、及び、ガラスチョップドストランドの提供を主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記問題について検討したところ、毛羽は、ガラスチョップドストランドとする前のガラスストランド製造工程(以下、「紡糸工程」と記載することがある。)において発生することを突き止めた。ここで、紡糸工程において毛羽の発生を低減するには、ガラスストランドの集束性を向上させることが考えられる。しかしながら、単にガラスストランドの集束性を向上させれば、ガラスチョップドストランドとして湿式抄紙する際、ガラスチョップドストランドを構成する多数のフィラメントの分散性に劣りやすくなる。すなわち、ガラスストランドの毛羽発生を低減させることと、ガラスチョップドストランドの水分散性を向上させることとは、トレードオフの関係にある。
【0010】
本発明者等は、上記問題を解決すべく検討を重ねた結果、ガラス繊維集束剤として、(A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含むものとすることにより、上記問題を解決できることを突き止めた。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
【0011】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.(A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含む、ガラス繊維集束剤。
項2.さらに(D)ポリオキシエチレンアルキルアミド又はポリオキシエチレンアルキルアミン塩を含む、項1に記載のガラス繊維集束剤。
項3.前記(A)ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分に対する前記(B)ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分の比率(ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分/ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分)が0.2~0.5である、項1又は2に記載のガラス繊維集束剤。
項4.表面に、(A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含む皮膜が形成されているガラス繊維を含む、ガラスチョップドストランド。
項5.前記皮膜がさらに(D)ポリオキシエチレンアルキルアミド又はポリオキシエチレンアルキルアミン塩を含む、項4に記載のガラスチョップドストランド。
項6.前記(A)ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分に対する前記(B)ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分の比率(ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分/ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分)が0.2~0.5である、項4又は5に記載のガラスチョップドストランド。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガラス繊維集束剤によれば、(A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含むことから、ガラスチョップドストランドとしたときの良好な水分散性と、毛羽の低減との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例におけるガラスチョップドストランドの水分散性の試験の評価基準のうち5点の状態を説明する写真である。
図2】実施例におけるガラスチョップドストランドの水分散性の試験の評価基準のうち4点の状態を説明する写真である。
図3】実施例におけるガラスチョップドストランドの水分散性の試験の評価基準のうち3点の状態を説明する写真である。
図4】実施例におけるガラスチョップドストランドの水分散性の試験の評価基準のうち2点の状態を説明する写真である。
図5】実施例におけるガラスチョップドストランドの水分散性の試験の評価基準のうち1点の状態を説明する写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.ガラス繊維集束剤
本発明のガラス繊維集束剤は、(A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含む。以下、本発明のガラス繊維集束剤について詳述する。
【0015】
(A)ポリアクリルアミド系樹脂
本発明のガラス繊維集束剤は、ポリアクリルアミド系樹脂を含む。ポリアクリルアミド系樹脂と、後述するアミノシランとを含むことにより、これらが相俟って、ガラスチョップドストランドとしたときの水分散性を優れたものとすることができる。
【0016】
本発明において、ポリアクリルアミド系樹脂とは、アクリルアミドまたはその誘導体に基づく重合単位を含むポリマーであり、アクリルアミドおよびこれと共重合可能なモノマーを共重合させたポリアクリルアミド系共重合体、該ポリアクリルアミド系共重合体の変性物、アクリルアミドの単独重合体の変性物が含まれる。中でも、ガラスチョップドストランドとしたときの水分散性と毛羽発生の抑制とをより両立させる観点から、アクリルアミド・酢酸ビニル共重合体樹脂とすることが好ましい。
【0017】
本発明のガラス繊維集束剤に含まれる全不揮発成分の総質量100質量部に対する(A)成分の不揮発成分の割合としては、例えば、3~40質量部、好ましくは5~30質量部が挙げられる。なお、本発明において、「不揮発成分」とは、常圧下、110℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。
【0018】
本発明のガラス繊維集束剤において、(A)ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分に対する、後述する(B)ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分の比率(ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分/ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分)としては、例えば、0.2~5が挙げられ、ガラスチョップドストランドとしたときの良好な水分散性と、毛羽の低減とをより両立させるという観点から、0.2~0.5が好ましく挙げられる。
【0019】
また、本発明のガラス繊維集束剤における(A)成分の濃度としては、例えば、0.01~0.5質量%が挙げられ、0.1~0.5質量%が好ましく挙げられる。
【0020】
(B)ポリビニルアルコール系樹脂
本発明のガラス繊維集束剤は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む。ポリビニルアルコール系樹脂を含むことにより、(A)成分と後述する(C)成分により奏されるガラスチョップドストランドとしたときの水分散性を阻害することなく、毛羽発生の抑制を図ることができる。
【0021】
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂とは、酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマーの重合体のケン化物であって、水溶性を損なわない範囲で、他のビニル系モノマーが共重合されていてもよいが、下記一般式(1)で示されるもの(cas番号25213-24-5)が好ましい。
【0022】
【化1】
【0023】
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度としては、例えば、300~2000が挙げられ、300~1000が好ましく挙げられる。なお、上記平均重合度は、JIS K 6726:1994に準じて測定する。
【0024】
ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度としては、例えば、85モル%以上100モル%以下が挙げられ、85モル%以上90モル%以下が好ましく挙げられる。なお、本明細書において、ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度は、JIS K 6726:1994に準じて測定する。
【0025】
本発明のガラス繊維集束剤に含まれる全不揮発成分の総質量100質量部に対する(B)成分の不揮発成分の割合としては、例えば、3~30質量部、好ましくは5~10質量部が挙げられる。
【0026】
また、本発明のガラス繊維集束剤における(B)成分の濃度としては、例えば、0.01~0.5質量%が挙げられ、0.05~0.2質量%が好ましく挙げられる。
【0027】
(C)アミノシラン
本発明のガラス繊維集束剤は、アミノシランを含む。前述したポリアクリルアミド系樹脂と、アミノシランとを含むことにより、これらが相俟って、ガラスチョップドストランドとしたときの水分散性を優れたものとすることができる。また、アミノシランは、ガラスチョップドストランドとしてこれを繊維強化樹脂としたときの繊維材料とする場合のマトリックス樹脂のガラスチョップドストランドへの含侵性を向上し得る。
【0028】
アミノシランとは、加水分解性基が結合したケイ素原子を含む基と、置換又は非置換のアミノ基を有する化合物を意味する。置換アミノ基の置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、炭素数1~5のアルキル基であってもよく、炭素数1~3のアルキル基であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、炭素数6~12のアリール基であってもよく、炭素数6~10のアリール基であってもよい。アリール基の具体例としては、例えば、置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基等が挙げられる。アリール基の置換基としては、例えば、炭素数1~5のアルキル基等が挙げられる。アルキル基の具体例としては、前述と同様である。アミノ基は、1級アミノ基、2級アミノ基又は3級アミノ基のいずれであってもよい。ケイ素原子に結合する加水分解性基としては、例えば、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のアシルオキシ基、炭素数1~5のアルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、汎用性及び加水分解性の観点から、アルコキシ基が好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。アミノシラン中のケイ素原子と結合する加水分解性基の個数は、1~3個が好ましく、2又は3個がより好ましく、3個がさらに好ましい。
【0029】
アミノシランとしては、特に限定されず、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物、3-トリメトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。中でも、ガラスチョップドストランドとしたときの良好な水分散性と、毛羽の低減とをより両立させるという観点から、3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0030】
本発明のガラス繊維集束剤に含まれる全不揮発成分の総質量100質量部に対する(C)成分の不揮発成分の割合としては、例えば、3~40質量部、好ましくは5~10質量部が挙げられる。
【0031】
また、本発明のガラス繊維集束剤における(C)成分の濃度としては、例えば、0.01~0.5質量%が挙げられ、0.05~0.4質量%が好ましく挙げられる。
【0032】
(D)ポリオキシエチレンアルキルアミド又はポリオキシエチレンアルキルアミン塩
本発明のガラス繊維集束剤は、(A)~(C)成分に加えて、(D)ポリオキシエチレンアルキルアミド又はポリオキシエチレンアルキルアミン塩を含むことができる。これらを含むことにより、毛羽発生をより一層抑制しつつ、集束剤の発泡性をより抑制でき、ガラスストランドへの集束剤の付与をより確実にすることができる。
【0033】
本発明のガラス繊維集束剤に含まれる全不揮発成分の総質量100質量部に対する(D)成分の不揮発成分の割合としては、例えば、20~50質量部、好ましくは35~45質量部が挙げられる。
【0034】
また、本発明のガラス繊維集束剤における(D)成分の濃度としては、例えば、0.1~0.9質量%が挙げられ、0.2~0.7質量%が好ましく挙げられる。
【0035】
(A)~(D)以外のその他の不揮発成分
【0036】
本発明のガラス繊維集束剤は、(A)~(D)成分に加えて、本発明の効果を奏する範囲で、その他の不揮発成分を含有することができる。
【0037】
本発明のガラス繊維は、上記その他の不揮発成分として、脂肪酸と下記一般式(2)で示されるアミン化合物とを反応させた反応物、又は、下記一般式(3)で示されるアルキルアミド誘導体を含むことができる。これらを含むことにより、ガラスストランドにより一層優れた柔軟性を備えさせることができ、ガラスチョップドストランドとする際のガラスストランドカット時の毛羽発生をより抑制することができる。
【0038】
【化2】
【0039】
上記一般式(2)中、Rは炭素数1~10のアルキレン基、nは0~10の整数をそれぞれ示す。一般式(2)で表されるアミン化合物の具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミンが挙げられる。本発明においては、Rは炭素数2~10のアルキレン基がより好ましく、炭素数2~6のアルキレン基が更に好ましく、エチレン基が特に好ましい。nは1~8がより好ましく、1~6が更に好ましく、3が特に好ましい。したがって、アミン化合物としては、テトラエチレンペンタミンが好ましい。一方、上記アミン化合物と反応させる脂肪酸としては、飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられ、本発明においては、炭素数6~32の飽和脂肪酸を用いることが好ましい。脂肪酸としては、炭素数12~30の飽和脂肪酸がより好ましく、炭素数12~22の飽和脂肪酸が更に好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。
【0040】
【化3】
【0041】
一般式(3)中、Rは、直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。Rはアルキル基又はアルケニル基の炭素数としては、例えば、7~23、好ましくは10~18、更に好ましくは12~16が挙げられる。また、一般式(3)中、Rは、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、又はヒドロキシエチル基を示す。
【0042】
本発明のガラス繊維集束剤に含まれる全不揮発成分の総質量100質量部に対する、脂肪酸と上記一般式(2)で示されるアミン化合物とを反応させた反応物、及び上記一般式(3)で示されるアルキルアミド誘導体、の不揮発成分の割合としては、例えば、10~25質量部、好ましくは10~20質量部が挙げられる。
【0043】
また、本発明のガラス繊維集束剤における、脂肪酸と上記一般式(2)で示されるアミン化合物とを反応させた反応物、及び上記一般式(3)で示されるアルキルアミド誘導体、の濃度としては、例えば、0.05~0.4質量%が挙げられ、0.1~0.35質量%が好ましく挙げられる。
【0044】
また、本発明のガラス繊維集束剤は、上記脂肪酸と上記一般式(2)で示されるアミン化合物とを反応させた反応物、及び上記一般式(3)で示されるアルキルアミド誘導体以外、のその他の不揮発成分として、潤滑剤、乳化剤、柔軟剤、帯電防止剤、防腐剤、消泡剤等を含むことができる。本発明のガラス繊維集束剤に含まれる全不揮発成分の総質量100質量部に対する、脂肪酸と上記一般式(2)で示されるアミン化合物とを反応させた反応物、及び上記一般式(3)で示されるアルキルアミド誘導体以外、の上記その他の不揮発成分の割合としては、例えば、1質量部以下が挙げられる。また、本発明のガラス繊維集束剤における、脂肪酸と上記一般式(2)で示されるアミン化合物とを反応させた反応物、及び上記一般式(3)で示されるアルキルアミド誘導体以外、の上記その他の成分の濃度としては、0.01質量%以下が挙げられる。
【0045】
本発明のガラス繊維集束剤において、不揮発成分の総濃度((A)~(D)成分、及びその他の不揮発成分の合計濃度)としては、例えば、0.3~3質量%が挙げられ、1~2質量%が好ましく挙げられる。
【0046】
水性溶媒(揮発性成分)
本発明のガラス繊維集束剤は、基剤として水性溶媒(揮発性成分)を含有する。水性媒体の種類については、特に制限されないが、例えば、水、水溶性有機溶媒、及びこれらの混用溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N-メチルピロリドン等の極性溶媒が挙げられる。本発明のガラス繊維集束剤における水性溶媒の濃度は、不揮発性成分を除く残部を占めていればよい。
【0047】
ガラス繊維集束剤の製造方法
本発明のガラス繊維集束剤は、(A)~(C)成分、必要に応じて配合される他の不揮発性成分、及び水性溶媒を所定量混合することにより得ることができる。
【0048】
2.ガラスチョップドストランド
本発明のガラスチョップドストランドは、表面に、(A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含む皮膜が形成されているガラス繊維を含む。
【0049】
本発明のガラス繊維集束剤の処理対象となるガラスチョップドストランドを構成するガラス繊維の種類については、特に制限されないが、例えば、Eガラス、Tガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Cガラス、Hガラス、ARGガラス、石英ガラス等が挙げられる。
【0050】
本発明のガラスチョップドストランドを構成するガラス繊維の平均繊維径については、特に制限されないが、ガラスチョップドストランドとしたときの良好な水分散性と、毛羽の低減とをより両立させる観点から、好ましくは3~9μm、更に好ましくは5~7μmが挙げられる。本発明において、平均繊維径は、ガラスチョップドストランドをエポキシ樹脂(丸本ストルアス株式会社製商品名3091)に包埋して硬化させ、ガラス繊維断面が観察可能な程度に研磨し、SEM(日本電子株式会社製商品名JSM-6390A)を用い、倍率500倍で観察、測定をおこなう。ガラスチョップドストランドを無作為に20本採取し、該20本のガラスチョップドストランドの全ガラス繊維(単繊維)の直径(最も大きい部分)を測定して平均値を算出し、ガラスチョップドストランドの平均繊維径とする。
【0051】
本発明のガラスチョップドストランドを構成するガラス繊維の本数については、特に制限されないが、例えば、100~1000本が挙げられ、400~800本が好ましく挙げられる。
【0052】
本発明のガラスチョップドストランドの長さとしては、特に制限されないが、例えば、1~30mmが挙げられ、水分散性の観点から、2~15mmが好ましく挙げられる。なお、ガラスチョップドストランドの長さは、JIS R 3420:2013 7.8に準じて測定する。
【0053】
本発明のガラスチョップドストランドの強熱減量としては、0.05~0.4質量%が挙げられ、ガラスチョップドストランドとしたときの良好な水分散性と、毛羽の低減とをより両立させる観点から、0.15~0.4質量%が好ましく挙げられる。本発明において、ガラスチョップドストランドの強熱減量は、JIS R 3420:2013 7.3.2に準じて測定する。
【0054】
本発明のガラスチョップドストランドの水分率としては、1~15質量%が挙げられ、ガラスチョップドストランドとしたときの良好な水分散性と、毛羽の低減とをより両立させる観点から、5~10質量%が好ましく挙げられる。本発明において、ガラスチョップドストランドの水分率は、JIS R 3420:2013 7.3.1に準じて測定する。
【0055】
ガラスチョップドストランドの製造方法
本発明のガラスチョップドストランドの製造方法としては、前述した本発明のガラス繊維集束剤をガラス繊維に塗布し、ガラス繊維表面に、(A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含む皮膜が形成されているガラスストランドを準備するガラスストランド準備工程、前記準備したガラスストランドをカットしてチョップドストランドとするカット工程、を含むものが挙げられる。
【0056】
上記ガラスストランド準備工程において、本発明のガラス繊維集束剤をガラス繊維に塗布するには、例えば、ベルト型やローラー型のアプリケーター、スプレー等を使用すればよい。また、本発明のガラス繊維集束剤が塗布されたガラス繊維を集束するには、公知の集束機を使用すればよい。また、集束後の乾燥は、例えば、室温~150℃の範囲の温度条件で行えばよい。斯くして、本発明のガラス繊維集束剤をガラス繊維に塗布して集束した後に乾燥することにより、水性溶媒等の揮発成分が除去され、ガラス繊維の表面に本発明のガラス繊維集束剤に含まれる不揮発性成分による皮膜が形成されたガラスストランドが得られる。
【0057】
また、上記カット工程において、ガラスストランドを切断するには、種々の形式のロータリーカッターを用いる等の周知の方法を採用することができる。
【0058】
ガラスチョップドストランドの用途
本発明のガラスチョップドストランドの用途としては、例えば、ガラスペーパー、ガラスチョップドストランドマット、ガラス不織布等が挙げられる。
【実施例0059】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【0060】
1.測定方法等
(1)ガラスチョップドストランドの強熱減量及び水分率(質量%)
前述の方法により測定した。
【0061】
(2)ガラスチョップドストランドの平均繊維径(μm)
前述の方法により測定した。
【0062】
(3)ガラスチョップドストランドの水分散性
ガラスチョップドストランドを10g採取し、純水2Lを入れたビーカーに入れ、スターラーを用いて450rpmの条件で5分間撹拌後、スターラーを停止し、目視によりガラスチョップドストランドの分散状態を確認した。そして、以下の基準により評価した。3点以上を水分散性に優れるとして合格とした。
5点:ガラスチョップドストランドが細かく開繊しており、ガラス繊維がビーカーに相当沈殿している状態(図1参照)。
4点:ガラスチョップドストランドが開繊しており、ガラス繊維が沈殿している状態(図2参照)。
3点:ガラスチョップドストランドがある程度開繊しており、ガラス繊維がある程度沈殿している状態(図3参照)。
2点:ガラスチョップドストランドがあまり開繊せず、ガラスチョップドストランドの状態のまま嵩高く堆積した状態(図4参照)。
1点:ガラスチョップドストランドがほとんど開繊せず、ガラスチョップドストランドのまま嵩高く堆積した状態(図5参照)。
【0063】
(4)毛羽数(個/km)
ガラスチョップドストランドとする前のガラスストランドを、100m/分の速度でケーキから解舒し、テンションバーを通過した後の毛羽の数をセンサーにてカウントした。10kmカウントし、1km当たりの毛羽数(個/km)を求めた。20個/km以下を合格とした。
【0064】
(5)発泡性評価
ガラスチョップドストランドを10g採取し、純水2Lを入れたビーカーに入れ、スターラーを用いて450rpmの条件で5分間撹拌後、スターラーを停止し、目視によりビーカー表面に発生した泡が消えるまでの時間を測定した。そして、以下の基準により評価した。3点以上を発泡性に優れるとして合格とした。
5点:10秒以内
4点:11~20秒
3点:21~30秒
2点:31~40秒
1点:41秒以上
【0065】
2.ガラス繊維集束剤の調整に使用した材料
実施例及び比較例において、ガラス繊維集束剤における各配合成分としては、以下のものを使用した。
(1)ポリアクリルアミド系樹脂(松本油脂製薬株式会社製商品名マーポゾールA-200)、不揮発成分:15質量%、アクリルアミド・酢酸ビニル共重合体樹脂
(2)ポリビニルアルコール系樹脂(日本合成化学株式会社商品名ゴーセノール GL-05)、不揮発成分:95質量%、平均重合度500、平均ケン化度88%
(3)アミノシラン(信越化学工業株式会社製商品名KBE903)、不揮発成分:100質量%、3-アミノプロピルトリエトキシシラン
(4)グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(ダウ・東レ株式会社製商品名SH-6040)、不揮発成分100質量%
(5)ポリオキシエチレンアルキルアミド(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製商品名エソマイドHT-15)、不揮発成分100質量%
(6)ポリオキシエチレンアルキルアミン塩(松本油脂株式会社製商品名ゾンデスKV)、不揮発成分:20質量%
(7)脂肪酸と一般式(2)で示されるアミン化合物とを反応させた反応物(東邦化学工業株式会社製商品名ソフノンGW-18)、不揮発成分30質量%、テトラエチレンペンタミンとステアリン酸との縮合物
(8)アルキルアミド誘導体、不揮発成分:30質量%
(9)消泡剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製商品名シリコン TSA-730)、不揮発成分:40質量%
【0066】
3.ガラスチョップドストランドの製造
<実施例1>
(1)ガラス繊維集束剤の製造
不揮発性成分組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の水と混合し、ガラス繊維集束剤を得た。ガラス繊維集束剤中の不揮発性成分濃度は0.61質量%であった。
【0067】
(2)ガラスストランド製造工程
前記ガラス繊維集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラス長繊維(Eガラス、平均繊維径6μm、ガラス繊維本数800本)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラス繊維を1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。
【0068】
(3)カット工程
ケーキからガラスストランドを引き出してカットしチョップドストランドとした。
【0069】
<実施例2>
(1)ガラス繊維集束剤の製造
不揮発性成分組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の水と混合し、ガラス繊維集束剤を得た。ガラス繊維集束剤中の不揮発性成分濃度は0.71質量%であった。
【0070】
(2)ガラスストランド製造工程
前記ガラス繊維集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラス長繊維(Eガラス、平均繊維径6μm、ガラス繊維本数800本)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラス繊維を1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。
【0071】
(3)カット工程
ケーキからガラスストランドを引き出してカットしチョップドストランドとした。
【0072】
<実施例3>
(1)ガラス繊維集束剤の製造
不揮発性成分組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の水と混合し、ガラス繊維集束剤を得た。ガラス繊維集束剤中の不揮発性成分濃度は0.81質量%であった。
【0073】
(2)ガラスストランド製造工程
前記ガラス繊維集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラス長繊維(Eガラス、平均繊維径6μm、ガラス繊維本数800本)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラス繊維を1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。
【0074】
(3)カット工程
ケーキからガラスストランドを引き出してカットしチョップドストランドとした。
【0075】
<実施例4>
(1)ガラス繊維集束剤の製造
不揮発性成分組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の水と混合し、ガラス繊維集束剤を得た。ガラス繊維集束剤中の不揮発性成分濃度は1.21質量%であった。
【0076】
(2)ガラスストランド製造工程
前記ガラス繊維集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラス長繊維(Eガラス、平均繊維径6μm、ガラス繊維本数800本)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラス繊維を1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。
【0077】
(3)カット工程
ケーキからガラスストランドを引き出してカットしチョップドストランドとした。
【0078】
<実施例5>
(1)ガラス繊維集束剤の製造
不揮発性成分組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の水と混合し、ガラス繊維集束剤を得た。ガラス繊維集束剤中の不揮発性成分濃度は1.82質量%であった。
【0079】
(2)ガラスストランド製造工程
前記ガラス繊維集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラス長繊維(Eガラス、平均繊維径6μm、ガラス繊維本数800本)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラス繊維を1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。
【0080】
(3)カット工程
ケーキからガラスストランドを引き出してカットしチョップドストランドとした。
【0081】
<実施例6>
(1)ガラス繊維集束剤の製造
不揮発性成分組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の水と混合し、ガラス繊維集束剤を得た。ガラス繊維集束剤中の不揮発性成分濃度は1.80質量%であった。
【0082】
(2)ガラスストランド製造工程
前記ガラス繊維集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラス長繊維(Eガラス、平均繊維径6μm、ガラス繊維本数800本)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラス繊維を1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。
【0083】
(3)カット工程
ケーキからガラスストランドを引き出してカットしチョップドストランドとした。
【0084】
<実施例7>
(1)ガラス繊維集束剤の製造
不揮発性成分組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の水と混合し、ガラス繊維集束剤を得た。ガラス繊維集束剤中の不揮発性成分濃度は1.84質量%であった。
【0085】
(2)ガラスストランド製造工程
前記ガラス繊維集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラス長繊維(Eガラス、平均繊維径6μm、ガラス繊維本数800本)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラス繊維を1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。
【0086】
(3)カット工程
ケーキからガラスストランドを引き出してカットしチョップドストランドとした。
【0087】
<実施例8>
(1)ガラス繊維集束剤の製造
不揮発性成分組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の水と混合し、ガラス繊維集束剤を得た。ガラス繊維集束剤中の不揮発性成分濃度は0.56質量%であった。
【0088】
(2)ガラスストランド製造工程
前記ガラス繊維集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラス長繊維(Eガラス、平均繊維径6μm、ガラス繊維本数800本)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラス繊維を1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。
【0089】
(3)カット工程
ケーキからガラスストランドを引き出してカットしチョップドストランドとした。
【0090】
<比較例1>
(1)ガラス繊維集束剤の製造
不揮発性成分組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の水と混合し、ガラス繊維集束剤を得た。ガラス繊維集束剤中の不揮発性成分濃度は0.61質量%であった。
【0091】
(2)ガラスストランド製造工程
前記ガラス繊維集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラス長繊維(Eガラス、平均繊維径6μm、ガラス繊維本数800本)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラス繊維を1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。
【0092】
(3)カット工程
ケーキからガラスストランドを引き出してカットしチョップドストランドとした。
【0093】
<比較例2>
(1)ガラス繊維集束剤の製造
不揮発性成分組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の水と混合し、ガラス繊維集束剤を得た。ガラス繊維集束剤中の不揮発性成分濃度は1.83質量%であった。
【0094】
(2)ガラスストランド製造工程
前記ガラス繊維集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラス長繊維(Eガラス、平均繊維径6μm、ガラス繊維本数800本)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラス繊維を1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。
【0095】
(3)カット工程
ケーキからガラスストランドを引き出してカットしチョップドストランドとした。
【0096】
<比較例3>
(1)ガラス繊維集束剤の製造
不揮発性成分組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の水と混合し、ガラス繊維集束剤を得た。ガラス繊維集束剤中の不揮発性成分濃度は1.80質量%であった。
【0097】
(2)ガラスストランド製造工程
前記ガラス繊維集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラス長繊維(Eガラス、平均繊維径6μm、ガラス繊維本数800本)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラス繊維を1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。
【0098】
(3)カット工程
ケーキからガラスストランドを引き出してカットしチョップドストランドとした。
【0099】
4.ガラスチョップドストランドの評価結果
実施例1~8及び比較例1~3で得られたガラスチョップドストランドの物性を測定した結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
実施例1~8は、ガラス繊維集束剤を、(A)ポリアクリルアミド系樹脂と、(B)ポリビニルアルコール系樹脂と、(C)アミノシランとを含むものとしたことから、ガラスチョップドストランドとしたときの良好な水分散性と、毛羽の低減との両立を図ることができるものであった。
【0102】
実施例1、4及び5を比較すると、実施例4及び5は、ガラス繊維集束剤において不揮発成分の総濃度が1~2質量%であり、得られたガラスチョップドストランドの強熱減量が0.15~0.3質量%であったことから、実施例1よりも水分散性に優れ、良好な水分散性と、毛羽の低減とをより両立させるものであった。
【0103】
実施例5、6及び7を比較すると、実施例5は、(A)ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分に対する前記(B)ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分の比率(ポリビニルアルコール系樹脂の不揮発成分/ポリアクリルアミド系樹脂の不揮発成分)が0.2~0.5であったことから、実施例6及び7よりも、ガラスチョップドストランドとしたときの良好な水分散性と、毛羽の低減とをより両立させるものであった。
【0104】
一方、比較例1は、ガラス繊維集束剤が(C)アミノシランを含まないものであったことから、ガラスチョップドストランドとしたときの水分散性と、毛羽の低減とを図ることができなかった。
【0105】
比較例2は、ガラス繊維集束剤が(B)ポリビニルアルコール系樹脂を含まないものであったことから、毛羽の低減を図ることができなかった。
【0106】
比較例3は、ガラス繊維集束剤が(A)ポリアクリルアミド系樹脂を含まないものであったことから、ガラスチョップドストランドとしたときの水分散性に劣るものであった。
図1
図2
図3
図4
図5