(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025929
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】パレット脱水装置
(51)【国際特許分類】
F26B 15/12 20060101AFI20220203BHJP
B65D 19/32 20060101ALI20220203BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20220203BHJP
F26B 5/00 20060101ALI20220203BHJP
F26B 15/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
F26B15/12 E
B65D19/32 C
B08B3/02 A
F26B5/00
F26B15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129128
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】519248380
【氏名又は名称】株式会社NTi
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】堤 健
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 幹雄
【テーマコード(参考)】
3B201
3E063
3L113
【Fターム(参考)】
3B201AA02
3B201AB01
3B201BB21
3B201BB82
3B201BB92
3B201CC11
3E063BA05
3E063CA04
3E063EE13
3L113AA03
3L113AB01
3L113AC48
3L113AC69
3L113AC76
3L113BA01
3L113DA04
(57)【要約】
【課題】パレットに付着した水気の脱水を十分に行うことができるパレット脱水装置を提供する。
【解決手段】パレット脱水装置30の脱水対象となるパレットPは、一対のデッキ部と、各デッキ部の間を連結する複数の支柱部と、隣り合う支柱部の間に形成され、リフト手段のフォークを差込み可能な差込み開口と、デッキ部の裏側面に形成されたリブとを備えている。パレット脱水装置30は、差込み開口を下側に向けてパレットPを起立状態に保持可能なパレットホルダ50と、起立状態に保持されたパレットPに当接し、パレットPに対して振動を付与する振動部70とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において矩形状をなし、間隔を隔てて相対する一対のデッキ部と、
前記各デッキ部の間を連結する複数の支柱部と、
隣り合う前記支柱部の間に形成され、リフト手段のフォークを差込み可能な差込み開口と、
前記デッキ部の裏側面に形成され、前記差込み開口に対する所定のフォーク差込み方向に対して交差する方向に延びるリブと、
を備えるパレットに対し、
前記パレットに付着した水気を切るための脱水を行うパレット脱水装置であって、
前記差込み開口を下側に向けて前記パレットを起立状態で保持可能なパレットホルダと、
起立状態に保持された前記パレットに対し、振動、前記各デッキ部間を下方へ流されるエアによる風力、上下方向を軸心とした正逆回転、または前記各デッキ部のうち一方のデッキ部を上向き傾斜にした状態と他方のデッキ部を上向き傾斜にした状態とに切り替える動作のうち、少なくとも一つを付与する付与部と、
を備える、パレット脱水装置。
【請求項2】
前記付与部は、前記パレットに当接し、前記パレットに振動を付与する振動部を有し、
起立状態に保持された前記パレットに対し、前記振動部により振動を付与する、請求項1に記載のパレット脱水装置。
【請求項3】
前記パレットを搭載した状態で前記パレットを前記パレットホルダに搬送するコンベアを備え、
前記パレットホルダは、
前記コンベアに搭載されて搬送される前記パレットの搬送方向に開口する矩形枠形状の搬入側枠部と、
前記搬入側枠部よりも前記搬送方向の進行側に設けられ、前記搬送方向に開口する矩形枠形状の搬出側枠部と、
を有し、
前記コンベアにより前記パレットホルダに搬送された水平状態の前記パレットが、前記差込み開口を下側に向けた起立状態で前記搬入側枠部及び前記搬出側枠部により支持されるように、前記搬送方向を軸線として前記パレットホルダを回転させるホルダ回転部と、
前記振動部を昇降させる昇降部と、を備え、
前記振動部の降下位置において起立状態に保持された前記パレットから下方へ前記振動部が離間し、前記振動部の上昇位置において起立状態に保持された前記パレットを持ち上げて前記振動部に前記パレットを支持させる、請求項2に記載のパレット脱水装置。
【請求項4】
前記振動部による前記パレットの持ち上げ量(Hp)が、前記搬入側枠部及び前記搬出側枠部それぞれの開口の幅方向寸法(Wf)から前記パレットの幅方向寸法(Wp)を差し引いた値よりも小さくされている、請求項3に記載のパレット脱水装置。
【請求項5】
対向する側面部それぞれに前記差込み開口が形成された前記パレットを脱水対象とするパレット脱水装置であって、
前記パレットホルダは、対となる前記差込み開口のうち、一方を上側に向け、他方を下側に向けて前記パレットを起立状態に保持し、
前記付与部は、起立状態に保持された前記パレットの対となる前記差込み開口のうち、上側の差込み開口から下方に向けてエアを吹き付ける送風部を有する、請求項2~4のいずれか1項に記載のパレット脱水装置。
【請求項6】
前記振動部を昇降させる昇降部を備え、
前記振動部の降下位置において起立状態に保持された前記パレットから下方へ前記振動部が離間し、前記振動部の上昇位置において起立状態に保持された前記パレットを持ち上げて前記振動部に前記パレットを支持させ、
前記振動部の上側表面に、前記パレット内部を流れたエアを排出する流路が形成されている、請求項5に記載のパレット脱水装置。
【請求項7】
対向する側面部それぞれに前記差込み開口が形成された前記パレットを脱水対象とするパレット脱水装置であって、
前記パレットホルダは、対となる前記差込み開口のうち、一方を上側に向け、他方を下側に向けて前記パレットを起立状態に保持し、
前記付与部は、起立状態に保持された前記パレットの対となる前記差込み開口のうち、上側の差込み開口から下方に向けてエアを吹き付ける送風部を有する、請求項1に記載のパレット脱水装置。
【請求項8】
前記パレットを搭載した状態で前記パレットを前記パレットホルダに搬送するコンベアを備え、
前記パレットホルダは、
前記コンベアに搭載されて搬送される前記パレットの搬送方向に開口する矩形枠形状の搬入側枠部と、
前記搬入側枠部よりも前記搬送方向の進行側に設けられ、前記搬送方向に開口する矩形枠形状の搬出側枠部と、
前記搬入側枠部を構成する下辺部から前記搬出側枠部を構成する下辺部までの間、及び前記搬入側枠部の上辺部から前記搬出側枠部の上辺部までの間を覆うように設けられたカバーと、
を有し、
前記コンベアにより前記パレットホルダに搬送された水平状態の前記パレットが、前記差込み開口を下側に向けた起立状態で前記搬入側枠部及び前記搬出側枠部により支持されるように、前記搬送方向を軸線として前記パレットホルダを回転させるホルダ回転部を備える、請求項5~7のいずれか1項に記載のパレット脱水装置。
【請求項9】
前記搬入側枠部及び前記搬出側枠部のうち、少なくとも一方の開口を開閉する可動式カバーを備え、
上側の前記差込み開口から下方に向けて前記送風部によりエアが吹き付けられる場合、前記可動式カバーにより前記開口が閉状態にされる、請求項8に記載のパレット脱水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を輸送する際にパレットが用いられる。パレットは、平面視において矩形状をなし、間隔を隔てて相対する一対のデッキ部と、各デッキ部の間を連結する複数の支柱部とを備えている。隣り合う支柱部の間には、フォークリフト等のリフト手段のフォークを差込み可能な差込み開口が形成されている。デッキ部に物品が載置された状態でパレットの差込み開口にリフト手段のフォークが差し込まれ、リフト手段によりパレットが移動させられる。これにより、トラック等の輸送車両に対してパレットが積み降ろしされる。
【0003】
パレットは、使用により汚れるため、洗浄が必要となる。特許文献1には、パレットに洗浄水を噴射する洗浄部と、洗浄部により洗浄されたパレットの脱水を行う脱水部とを備えるパレット洗浄脱水装置が開示されている。脱水部は、洗浄後のパレットを起立状態に保持しつつ、上下方向を軸心として一定方向にパレットを回転させることにより、パレットの遠心脱水を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デッキ部の裏側面には、パレットの強度を確保するためにリブが形成されている。リブは、差込み開口に対する所定のフォーク差込み方向に対して交差する方向に延びている。ここで、洗浄後のパレットにおいて、リブを含むパレット内部には水気が付着している。洗浄後のパレットの遠心脱水が行われる場合、パレット内部に付着している水気が遠心力により移動させられるものの、移動させられた水気が、デッキ部の裏側面とリブとの角部に溜まることが懸念される。この場合、パレットに付着した水気の脱水が不十分となるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パレットに付着した水気の脱水を十分に行うことができるパレット脱水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明は、平面視において矩形状をなし、間隔を隔てて相対する一対のデッキ部と、
前記各デッキ部の間を連結する複数の支柱部と、
隣り合う前記支柱部の間に形成され、リフト手段のフォークを差込み可能な差込み開口と、
前記デッキ部の裏側面に形成され、前記差込み開口に対する所定のフォーク差込み方向に対して交差する方向に延びるリブと、
を備えるパレットに対し、
前記パレットに付着した水気を切るための脱水を行うパレット脱水装置であって、
前記差込み開口を下側に向けて前記パレットを起立状態で保持可能なパレットホルダと、
起立状態に保持された前記パレットに対し、振動、前記各デッキ部間を下方へ流されるエアによる風力、上下方向を軸心とした正逆回転、または前記各デッキ部のうち一方のデッキ部を上向き傾斜にした状態と他方のデッキ部を上向き傾斜にした状態とに切り替える動作のうち、少なくとも一つを付与する付与部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
パレットが水平状態にあると、デッキ部の裏側面に水気が残留しやすく、水平方向の水気の移動もリブによって阻害されることから、水気が排出されにくい。一方、パレットが起立状態にあると、リブの基端側にはデッキ部の裏側面とリブとの角部が存在するものの、リブの先端側には角部が存在しない。このため、パレットが起立状態にあると、リブの上面に残留した水気を移動させてリブの先端から落下させることができる。
【0009】
この点に鑑み、本発明では、パレットホルダにより、差込み開口を下側に向けてパレットが起立状態に保持される。これにより、リブの先端から水気を落下させることができる状態にされる。この状態において、パレットに対し、振動、各デッキ部間を下方へ流されるエアによる風力、上下方向を軸心とした正逆回転、または各デッキ部のうち一方のデッキ部を上向き傾斜にした状態と他方のデッキ部を上向き傾斜にした状態とに切り替える動作のうち、少なくとも一つを付与部により付与する。これにより、デッキ部の裏側面とリブとの角部を含むリブ上面に残留した水気をリブの先端側へと移動させることができ、移動させた水気をリブの先端から鉛直方向下側に落下させることができる。落下した水気は、差込み開口からパレット外部へと排出される。これにより、パレットに付着した水気の脱水を十分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】脱水機本体をパレットの搬送方向から見た図。
【
図5】脱水機本体をパレットの搬送方向から見た図。
【
図8】起立状態のパレットが振動部により支持される状態を示す図。
【
図9】起立状態のパレットにエアが吹き付けられている状態を示す図。
【
図10】コントローラ及びコンベア駆動部等の電気的な接続関係を示す図。
【
図11】パレットの脱水工程を示すフローチャート。
【
図14】その他の実施形態に係るパレット脱水装置を示す図。
【
図15】その他の実施形態に係るパレット脱水装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のパレット脱水装置を具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1に示すように、バレット洗浄脱水システムは、パレット洗浄装置10を備えている。パレット洗浄装置10は、パレットPに対して洗浄水を噴射することにより、パレットPを洗浄する。本実施形態では、洗浄水として、高温(例えば80℃)のものが用いられる。これにより、パレットPの洗浄力を高めつつ、後のパレットPの脱水工程において、パレットPに付着した水気の蒸発を促してパレットPを乾燥させやすくしている。
【0013】
図2及び
図3を用いて、パレット洗浄装置10により洗浄されるパレットPについて説明する。
図2はパレットPの側面図であり、
図3は
図2のIII-III断面図である。パレットPは、一対のデッキ部100と、隅支柱部101と、中間支柱部102とを備えている。パレットPは、例えば合成樹脂で形成されている。デッキ部100は、平面視において矩形状をなしている。各デッキ部100は、板面を対向させた状態で間隔を隔てて設けられている。各デッキ部100の表側面は、物品が載置されるデッキ面100aとされている。
【0014】
隅支柱部101は、一方のデッキ部100における4つの隅部と、他方のデッキ部100における4つの隅部との間を連結している。中間支柱部102は、各隅支柱部101の間に設けられ、一方のデッキ部100における4つの縁部の中間部と、他方のデッキ部100における4つの縁部の中間部との間を連結している。
【0015】
パレットPにおいて、一対のデッキ部100と、隣り合う隅支柱部101及び中間支柱部102とにより、差込み開口103が形成されている。差込み開口103には、フォークリフト又はハンドリフト等のリフト手段のフォークが差込まれる。本実施形態では、パレットPの各側面部に2つずつ差込み開口103が形成されている。つまり、本実施形態のパレットPは、パレットPの4つの側面部それぞれからフォークを差し込み可能な4方差しタイプのものである。
【0016】
各デッキ部100の裏側面には、第1リブ104及び第2リブ105が形成されている。第1リブ104は、差込み開口103に対する所定のフォーク差込み方向に延びるように形成されている。第1リブ104は、所定の間隔を隔てて複数形成されている。また、各デッキ部100の裏側面には、第1リブ104が延びる方向に対して直交する方向に延びる第2リブ105が形成されている。第2リブ105は、所定の間隔を隔てて複数形成されている。なお、
図3には、第1リブ104及び第2リブ105それぞれが8つ設けられる例を示す。
【0017】
各デッキ部100の裏面側のうち、各リブ104,105が設けられていない部分には、水抜き孔106が形成されている。水抜き孔106は、パレットPに降りかかった雨水やパレットPの洗浄時の水切り性を良好にするために設けられている。
【0018】
図1及び
図4に示すように、パレット洗浄脱水システムは、搬入部としての搬入コンベア21と、搬出部としての搬出コンベア22と、パレット脱水装置30とを備えている。本実施形態において、搬入コンベア21及び搬出コンベア22のそれぞれは、複数のローラを備えるローラコンベアである。
【0019】
搬入コンベア21は、パレット洗浄装置10により洗浄されたパレットPを、パレット洗浄装置10からパレット脱水装置30まで水平状態で搬送する。パレット脱水装置30は、洗浄されたパレットPに付着した水気の脱水を行う。搬出コンベア22は、パレット脱水装置30により脱水が行われたパレットPをパレット脱水装置30から水平状態で搬出する。
【0020】
パレット脱水装置30は、脱水機本体31を備えている。脱水機本体31は、搬入側壁部32、搬出側壁部33、底板部34、天板部35及び一対の側壁部36を備えている。なお、
図1には、手前側の側壁部36が取り外された状態の脱水機本体31を示し、
図4には、搬入側壁部32が取り外された状態の脱水機本体31を示す。
【0021】
底板部34には、壁面同士を対向させた状態の一対の側壁部36が設けられている。また、底板部34には、板面同士を対向させた状態の搬入側壁部32及び搬出側壁部33が設けられている。天板部35は、搬入側壁部32、搬出側壁部33及び各側壁部36それぞれを上方から覆っている。脱水機本体31において、搬入側壁部32、搬出側壁部33、底板部34、天板部35及び側壁部36により形成された内部空間が脱水室37とされている。
【0022】
搬入側壁部32には、搬入コンベア21から脱水室37にパレットPを搬入するための搬入口INが形成されている。搬出側壁部33には、パレットPを脱水室37から搬出コンベア22に搬出するための搬出口OUTが形成されている。パレット脱水装置30は、搬入口INを開閉する入口シャッタ38と、搬出口OUTを開閉する出口シャッタ39とを備えている。
【0023】
脱水機本体31は、脱水室37に配置された室内コンベア40を備えている。室内コンベア40は、パレットPを搬入口INから搬出口OUTまで搬送する。本実施形態において、室内コンベア40は、ローラコンベアであり、具体的には、パレットPの搬送方向に対して左右方向に離間して配置された一対のローラコンベアである。
図4に示すように、一対の室内コンベア40のうち、一方が可動コンベア40aであり、他方が固定コンベア40bである。
【0024】
脱水機本体31は、コンベア回転部41と、パレットホルダ50と、ホルダ回転部42とを備えている。コンベア回転部41は、パレットホルダ50を
図1及び
図4に示す水平状態から、
図5及び
図6に示す起立状態にする場合に、可動コンベア40aを、パレットホルダ50と干渉しない位置まで退避させる。詳しくは、コンベア回転部41はシリンダを備え、このシリンダが制御されることにより、パレットPの搬送方向を軸線として可動コンベア40aを回転させる。これにより、パレットホルダ50と干渉しない位置まで可動コンベア40aが退避させられる。
【0025】
ホルダ回転部42はシリンダを備え、このシリンダが制御されることにより、パレットPの搬送方向を軸線としてパレットホルダ50が90°回転させられ、パレットPの側面が鉛直方向下側に向けられた状態となる。これにより、パレットPが起立状態にされる。本実施形態では、ホルダ回転部42におけるパレットPの回転中心が、退避させられる前の可動コンベア40aと固定コンベア40bとの間であり、かつ、パレットPの幅方向における中央位置又はその近傍位置とされている。
【0026】
図7に示すように、パレットホルダ50は、搬入側枠部51、搬出側枠部52、下側連結フレーム部53及び上側連結フレーム部54を備えている。搬入側枠部51及び搬出側枠部52は、パレットPの搬送方向に開口し、矩形枠状をなしている。本実施形態では、搬入側枠部51及び搬出側枠部52それぞれが、搬送方向に並んで2つ設けられている。
【0027】
搬出側枠部52と搬入側枠部51とは、下側連結フレーム部53及び上側連結フレーム部54により連結されている。本実施形態において、パレットホルダ50は、パレットPの搬送方向に対して左右対称の形状をなしている。
【0028】
搬入側枠部51は、互いに平行でかつ直線状に延びる下辺部51U及び上辺部51Hを備えている。また、搬入側枠部51は、互いに平行でかつ直線状に延び、下辺部51U及び上辺部51Hそれぞれの長さ方向の端部同士を連結する第1側辺部51R及び第2側辺部51Lを備えている。
【0029】
搬出側枠部52は、下辺部52U、上辺部52H、第1側辺部52R及び第2側辺部52Lを備えている。なお、搬出側枠部52の構成は、搬入側枠部51の構成と同様である。
【0030】
パレットホルダ50は、一対の下側連結フレーム部53と、一対の上側連結フレーム部54とを備えている。各下側連結フレーム部53は、直線状に延び、搬入側枠部51の下辺部51Uのうち長さ方向における中間部と、搬出側枠部52の下辺部52Uのうち長さ方向における中間部とを連結している。各上側連結フレーム部54は、直線状に延び、搬入側枠部51の上辺部51Hのうち長さ方向における中間部と、搬出側枠部52の上辺部52Hのうち長さ方向における中間部とを連結している。下側連結フレーム部53と上側連結フレーム部54とは平行である。
【0031】
パレットホルダ50が水平状態である場合、各下辺部51U,52Uが室内コンベア40を構成するローラ間の空間に配置される。パレットホルダ50が水平状態である場合、各下辺部51U,52Uの上端は、室内コンベア40を構成するローラの上端よりも下方に位置する。パレットホルダ50が水平状態である場合、室内コンベア40を構成するローラの上端から各上辺部51H,52Hの下端までの距離寸法が、パレットPの高さ寸法よりも大きくなっている。このため、搬入側枠部51の開口からパレットホルダ50へとパレットPが入り込むことができ、パレットホルダ50に収容されているパレットPは、搬出側枠部52の開口から室内コンベア40へと出て行くことができる。なお、本実施形態では、第1リブ104の延びる方向がパレットPの搬送方向となるようにパレットPがパレットホルダ50に収容される。このため、その後パレットPが起立状態になると、第1リブ104の延びる方向が水平方向となる。
【0032】
図8及び
図9に示すように、パレットホルダ50は、第1カバー55及び第2カバー56を備えている。
図8は、起立状態のパレットPを振動部70が支持している状態を示し、
図9は、起立状態のパレットPを搬送方向の中間部で切断した場合の断面図である。各カバー55,56は、例えばステンレス板により構成されている。第1カバー55は、2つの搬入側枠部51のうち搬送方向において外側の搬入側枠部51の下辺部51Uから、2つの搬出側枠部52のうち搬送方向において外側の搬出側枠部52の下辺部52Uまでの間を覆うように設けられている。ただし、第1カバー55は、2つの下側連結フレーム部53のうち第2側辺部51L側の下側連結フレーム部53よりも第2側辺部51L側には設けられていない。これは、パレットPが水平状態とされる場合において、第1カバー55と可動コンベア40aとの干渉を回避するためである。
【0033】
第1カバー55において、2つの下側連結フレーム部53のうち第1側辺部51R側の下側連結フレーム部53よりも第1側辺部51R側の部分には、第1カバー55の端から延びる切り欠き部57が複数形成されている。各切り欠き部57は、パレットPが水平状態とされる場合において、第1カバー55と、固定コンベア40bを構成するローラとの干渉を回避するためのものである。
【0034】
第2カバー56は、2つの搬入側枠部51のうち搬送方向において外側の搬入側枠部51の上辺部51Hから、2つの搬出側枠部52のうち搬送方向において外側の搬出側枠部52の上辺部52Hまでの間を覆うように設けられている。ただし、第2カバー56は、2つの上側連結フレーム部54のうち第2側辺部51L側の上側連結フレーム部54よりも第2側辺部51L側には設けられていない。
【0035】
パレットホルダ50は、
図1に示すように、搬入側カバー60及び搬出側カバー61を備えている。搬入側カバー60は、搬入側枠部51の開口を塞ぐ可動式のカバーであり、搬出側カバー61は、搬出側枠部52の開口を塞ぐ可動式のカバーである。搬入側カバー60は、蝶番を介して搬入側枠部51の上辺部51Hに取り付けられている。搬入側カバー60は、シリンダが制御されることにより、搬入側枠部51の開口を開状態又は閉状態にする。搬出側カバー61は、蝶番を介して搬出側枠部52の上辺部52Hに取り付けられている。搬出側カバー61は、シリンダが制御されることにより、搬出側枠部52の開口を開状態又は閉状態にする。搬入側カバー60及び搬出側カバー61により開口が閉状態とされることにより、パレットホルダ50には、断面が矩形状(具体的には長方形状)のエアの流路が形成される。
【0036】
パレット脱水装置30は、振動部70を備えている。振動部70は、
図8に示すように、振動子71と、振動子71を昇降させる昇降シリンダ72(昇降部)とを備えている。振動部70は、底板部34においてパレットホルダ50の下方位置に設けられている(
図1及び
図4参照)。振動部70は、起立状態のパレットホルダ50と干渉しない位置に設けられている。
【0037】
振動子71は、振動子本体73と、モータ74と、パレット受け部76とを備えている。振動子本体73は、矩形状をなしている。振動子本体73の下部には、パレットPの搬送方向に並んでモータ74が複数(2つ)設けられている。振動子本体73の上部は平坦面とされている。
【0038】
振動子本体73には、振動子本体73、昇降シリンダ72及びモータ74を被水から保護する保護カバー75が取り付けられている。保護カバー75は、平板部75aと、側板部75bとを有している。平板部75aは、矩形状をなしており、振動子本体73の平坦面に設けられている。側板部75bは、平板部75aの4つの縁部から下方に延びる部分である。
【0039】
平板部75aのうち、各モータ74の上方位置には、パレット受け部76が設けられている。パレット受け部76は、矩形状をなしており、パレット受け部76の上部は、平坦面とされている。パレット受け部76の平坦面にパレットPが載置される。パレットPの搬送方向におけるパレット受け部76の幅寸法は、搬送方向における差込み開口103の幅寸法よりも小さい。
【0040】
パレット受け部76が平板部75aに対して上側に突出している。このため、振動子71の上側表面には、パレットPの内部を流れたエアが排出される流路が形成されている。パレット受け部76の平坦面には、搬送方向と直交する方向であって、かつ、水平方向に延びる溝が、パレット受け部76の一端から他端にわたって形成されている。本実施形態では、平坦面に溝が複数(2つ)形成されている。パレット受け部76に形成された溝は、起立状態のパレットPにおける下側の差込み開口103がパレット受け部76により極力塞がれないようにし、エアが流れる流路を極力確保するために設けられている。
【0041】
図8に示すように、搬入側枠部51及び搬出側枠部52それぞれの開口の幅方向寸法Wfは、パレットPの幅方向寸法Wpよりも大きくされている。パレットホルダ50が起立状態である場合、振動子71が最も下降した位置において、パレット受け部76は、第2側辺部51L及び第2側辺部52Lそれぞれの上側端よりも下方に位置する。このため、パレット受け部76は、パレットPに当接しない。
【0042】
一方、パレットホルダ50が起立状態である場合、振動子71が上昇することにより、パレット受け部76はパレットPの側面に当接する。上昇するパレット受け部76によってパレットPが持ち上げられた量Hpは、「Wf-Wp」よりも小さい。この場合、振動子71が最も上昇した位置において、パレットPの側面を各側辺部51R,52R,51L,52Lから離間させることができる。
【0043】
パレット受け部76がパレットPの側面に当接した状態において、モータ74が作動させられることにより、パレット受け部76を振動させる。これにより、パレットPが振動させられ、パレットPに付着した水気を落下させることができる。本実施形態において、パレット受け部76の振動周波数は、例えば、50Hz~100Hzであり、より具体的には60Hzである。
【0044】
脱水機本体31は、
図4に示すように、パレットPから排出された水気を受ける水受け部80を備えている。水受け部80は、板状の部材であり、脱水室37において底板部34を覆うように設けられている。水受け部80は、一対の側壁部36のうち一方側から他方側へと傾斜した状態で設けられている。これにより、水受け部80に落下した水気は、一対の側壁部36のうち、いずれか一方側に集められる。集められた水気は、側壁部36に形成された排出孔を介して、脱水機本体31の外部に設けられた貯留部82に貯留される。貯留された水気は、洗浄脱水システムが備えるポンプ83により、洗浄装置10に送られる。洗浄装置10に送られた水気は、パレットPの洗浄水として再度利用される。
【0045】
水受け部80のうち振動部70近傍の部分は、上側に屈曲する屈曲部81とされている。
図4に示すように、振動子71が最も下降した位置において、屈曲部81は、側板部75bの内側に入り込んでいる。一方、
図5に示すように、振動子71が最も上昇した位置においても、屈曲部81は、側板部75bの内側に入り込んでいる。これにより、パレットPから落下した水気がモータ74等にかかるのを的確に防止できる。
【0046】
パレット脱水装置30は、吹き出し部90(送風部)、ブロー配管91及び第1ブロワ92を備えている。第1ブロワ92には、ブロー配管91を介して吹き出し部90が接続されている。吹き出し部90は、パレットホルダ50の上方からパレットPに向けてエアを吹き出す位置に設けられている。本実施形態では、
図1に示すように、吹き出し部90は、パレットPの搬送方向に3つ並んで設けられている。また、吹き出し部90は、上下方向に昇降可能とされている。第1ブロワ92が作動すると、吹き出し部90からエアが吹き出す。
【0047】
パレット脱水装置30は、ブローノズル93及び第2ブロワ94を備えている。ブローノズル93は、脱水室37において、パレットホルダ50よりも搬出口OUT側に設けられている。ブローノズル93は、
図12に示すように、パレットPの表裏両面に向けてエアを吹き出す位置に設けられている。ブローノズル93からは、第2ブロワ94が作動されることによりエアが吹き出す。パレットPの表裏正面に水気が残っていた場合、ブローノズル93から吹き出されたエアにより水気が吹き飛ばされる。その後、パレットPは、搬出口OUTから搬出コンベア22に搬出される。
【0048】
パレット洗浄脱水システムは、
図10に示すように、コントローラ200と、コンベア駆動部201とを備えている。コンベア駆動部201は、搬入コンベア21、搬出コンベア22及び室内コンベア40それぞれのローラを回転させることにより、各コンベア21,22,40上のパレットPを搬送する。コントローラ200は、入口シャッタ38、出口シャッタ39、コンベア駆動部201、搬入側カバー60、搬出側カバー61、コンベア回転部41、ホルダ回転部42、振動部70、吹き出し部90、第1ブロワ92、第2ブロワ94、ポンプ83及び洗浄装置10の作動を制御する。
【0049】
続いて、
図11を用いて、パレット脱水装置30によるパレットPの脱水工程について説明する。
【0050】
ステップS10では、
図1に示すように、入口シャッタ38が開けられた状態にされ、搬入コンベア21から搬入口INを介して脱水室37の室内コンベア40へとパレットPが搬送される。パレットPが脱水室37に搬入されると、入口シャッタ38が閉じられる。
【0051】
ステップS11では、振動部70の上方位置に設けられたパレットホルダ50にパレットPが入り込むまで、室内コンベア40によりパレットPを搬送する。
【0052】
ステップS12では、搬入側カバー60及び搬出側カバー61により搬入側枠部51及び搬出側枠部52の開口を閉状態にする。また、コンベア回転部41により可動コンベア40aを回転させる。
【0053】
ステップS13では、ホルダ回転部42により、パレットPがパレットホルダ50に収容された状態で、パレットPの搬送方向を軸線としてパレットホルダ50を90°回転させ、パレットホルダ50を起立状態に保持する。パレットホルダ50が起立状態にされると、パレットPの側面が第1側辺部51L及び第2側辺部52Lによって支持される。パレットPが起立状態になると、第1リブ104の上面等に残留する水気の一部は、水気の自重により第1リブ104の先端から鉛直方向下側に落下する。
【0054】
ステップS14では、昇降シリンダ72を作動させることにより、パレット受け部76を上昇させる。この際、上述したように、パレット受け部76によってパレットPが持ち上げられた量Hpは、「Wf-Wp」よりも小さくなるようにする。これにより、パレットPの側面が第1側辺部51L及び第2側辺部52Lから離間し、その側面がパレット受け部76に支持される。また、
図8に示すように、パレットPの側面が第1側辺部51R及び第2側辺部52Rからも離間した状態となる。
【0055】
また、ステップS14では、
図5及び
図6に示すように、吹き出し部90を下降させることにより、吹き出し部90の先端部を起立状態のパレットホルダ50の上端に当接させる。これにより、吹き出し部90とパレットホルダ50との間の隙間を極力小さくし、エアの漏れを抑制する。第1ブロワ92を作動させることにより、吹き出し部90からエアの吹き出しが開始される。これにより、
図9に示すように、上側の差込み開口103からパレットPの内部を介して下側の差込み開口103を通る経路でエアが流れる。これにより、パレットPの内部に付着した水気WDの落下を促進させることができる。また、第1カバー55、第2カバー56、搬入側カバー60、搬出側カバー61及びパレットPの表側面で形成される流路にもエアが流れる。
【0056】
ステップS15では、モータ74を作動させることによりパレット受け部76を振動させ始める。パレット受け部76がパレットPを振動させることにより、パレットPに付着した水気を落下させることができる。下側の差込み開口103から排出された水気は、水受け部80に落下し、その後貯留部82に貯留される。振動させ始めてから所定時間継続すると、モータ74の作動を停止させることによりパレット受け部76の振動を停止させる。
【0057】
ステップS16では、昇降シリンダ72を作動させることにより、パレット受け部76を下降させる。これにより、パレットPの側面からパレット受け部76が離れ、パレットPの側面が各側辺部51L,52Lに支持される。
【0058】
また、ステップS16では、第1ブロワ92の作動を停止させることにより、吹き出し部90からのエアの吹き出しを停止させる。また、吹き出し部90を上昇させることにより、吹き出し部90の先端部をパレットホルダ50の上端から離間させる。
【0059】
ステップS17では、ホルダ回転部42により、パレットホルダ50を回転させてパレットPを水平状態に戻す。また、ステップS17では、搬入側カバー60及び搬出側カバー61により、搬入側枠部51及び搬出側枠部52の開口を開状態にする。
【0060】
ステップS19では、
図12に示すように、出口シャッタ39が開けられた状態にされ、パレットホルダ50から室内コンベア40及び搬出口OUTを介して搬出コンベア22へとパレットPが搬送される。この際、第2ブロワ94の作動によりブローノズル93からパレットPの表裏両面にエアが吹き付けられる。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得られるようになる。
【0062】
パレットPがパレットホルダ50に収容され、ホルダ回転部42によりパレットホルダ50を回転させることにより、差込み開口103を下側に向けてパレットPが起立状態に保持される。これにより、第1リブ104の先端から水気を落下させることができる状態にされる。
【0063】
この状態において、振動部70のパレット受け部76がパレットPに当接してパレットPを振動させる。振動部70の振動により、デッキ部100の裏側面と第1リブ104との角部を含む第1リブ104の上面に残留した水気や、デッキ部100の裏側面と中間支柱部102との角部に残留した水気、デッキ部100の裏側面と隅支柱部101との角部に残留した水気を第1リブ104の先端側へと移動させることができる。そして、移動させた水気を第1リブ104の先端から鉛直方向下側に落下させることができる。落下した水気は、差込み開口103からパレットPの外部へと排出される。これにより、パレットPに付着した水気の脱水を十分に行うことができる。
【0064】
これに対し、
図13に示す遠心脱水を行う比較例では、デッキ部100の裏側面と第1リブ104との角部に付着する水気PDを十分に除去することはできない。
図13に示す比較例は、パレットPを水平状態に維持しつつ、上下方向に延びる軸線を回転中心として、パレットPを一定方向に回転させるものである。
【0065】
遠心力は、パレットPの回転角速度の2乗に比例し、また、回転中心からの距離に比例する。このため、パレットPの内部において、回転中心付近に付着する水気WDはほどんど移動しない。したがって、比較例では、パレットPの内部において回転中心付近に付着した水気WDを十分除去することができない。また、比較例では、回転中心から離れた部分に付着する水気WDをパレットPの回転により移動させることはできるものの、移動させられた水気は、パレットPの裏側面と第1リブ104との角部に溜まってしまう。このように、比較例では、パレットPに付着した水気の脱水を十分に行うことができない。
【0066】
本実施形態では、振動子71を最も上昇させた位置において、起立状態のパレットPを持ち上げてパレット受け部76にパレットPを支持させ、この支持状態においてパレット受け部76を振動させる。これにより、パレット受け部76の振動を、一対のデッキ部100それぞれに極力均等に伝えることができる。その結果、振動部70の数を増やすことなく、一対のデッキ部100それぞれにおいて、裏側面と第1リブ104との角部等に溜まった水気を効率よく落下させることができる。
【0067】
振動子71によるパレットPの持ち上げ量Hpが、搬入側枠部51及び搬出側枠部52それぞれの開口の幅方向寸法WfからパレットPの幅方向寸法Wpを差し引いた値よりも小さくされている。これにより、振動子71を最も上昇させた位置において、パレットPの側面を、搬入側枠部51を構成する各側辺部51R,51L及び搬出側枠部52を構成する各側辺部52R,52Lから離間させた状態で、パレットPを振動させることができる。このため、パレット受け部76の振動をパレットPに的確に伝えることができ、パレットPの裏側面と第1リブ104との角部等に溜まった水気をより効率よく落下させることができる。その結果、パレットPの脱水効果を高めることができる。
【0068】
また、パレット受け部76の振動がパレットホルダ50に伝わること極力抑制できるため、パレットホルダ50の破損を抑制することもできる。
【0069】
振動子本体73の下部に、パレットPの搬送方向に並んでモータ74が2つ設けられている。振動子本体73の上部のうち、2つのモータ74それぞれの上方位置に個別にパレット受け部76が設けられている。これにより、各モータ74で発生した振動を各パレット受け部76を介してパレットPに的確に伝えることができ、パレットPの脱水効果を高めることができる。
【0070】
振動子71によりパレットPが振動させられるとともに、起立状態のパレットPの対となる差込み開口103のうち上側の差込み開口から下方に吹き出し部90からエアが吹き付けられる。これにより、パレットPの裏側面と第1リブ104との角部等に溜まった水気の落下を促進することができ、パレットPの脱水効果を高めたり、パレットP内部を乾燥させたりすることができる。
【0071】
パレットPの搬送方向におけるパレット受け部76の幅寸法が、搬送方向における差込み開口103の幅寸法よりも小さい。パレット受け部76が保護カバー75の平板部75aに対して突出しており、パレット受け部76によりパレットPが支持される。これにより、パレット受け部76により下側の差込み開口103が全て塞がれず、上側の差込み開口103からパレットP内部に流入したエアの抜け道を確保することができる。このため、パレットPの脱水効果及び乾燥効果を高めることができる。
【0072】
パレットホルダ50は、搬入側枠部51を構成する下辺部51Uから、搬出側枠部52を構成する下辺部52Uまでの間を覆うように設けられた第1カバー55を備えている。また、パレットホルダ50は、搬入側枠部51を構成する上辺部51Hから、搬出側枠部52を構成する上辺部52Hまでの間を覆うように設けられた第2カバー56とを備えている。これにより、吹き出し部90から吹き出したエアをパレットPの内部に効率よく供給することができる。また、各カバー55,56と各デッキ部100の表側面との間にエアの流路を形成でき、吹き出し部90から吹き出したエアを各デッキ部100の表側面に沿わせて流すことができる。これにより、パレットPの内外の脱水効果及び乾燥効果を高めることができる。
【0073】
各デッキ部100に水抜き孔106が形成されたパレットPの脱水がパレット脱水装置30により行われる。
【0074】
上側の差込み開口103から下方に吹き出し部90から吹き付けられたエアは、パレットPの内部に流れ込むものの、その一部は水抜き孔106を介してパレットPの外部に流れ出ようとする。この場合、パレットPの内部を流れるエアの流量が減ってしまい、パレットP内部の脱水効果及び乾燥効果が低下する懸念がある。この点、第1カバー55及び第2カバー56が設けられることにより、各カバー55,56と各デッキ部100の表側面との間にエアの流路が形成される。その流路を流れるエアにより、パレットPの内部から水抜き孔106を介してパレットPの外部へと流れ出ようとするエアを減らすことができる。その結果、パレットPの内部の脱水効果及び乾燥効果が低下することを効果的に抑制できる。
【0075】
パレットホルダ50は、搬入側枠部51の開口を開閉する可動式の搬入側カバー60と、搬出側枠部52の開口を開閉する可動式の搬出側カバー61とを備えている。起立状態のパレットPに吹き出し部90からエアが吹き付けられる場合、搬入側カバー60及び搬出側カバー61が閉じて搬入側枠部51及び搬出側枠部52の開口が閉状態にされる。これにより、搬入側カバー60、搬出側カバー61、第1カバー55及び第2カバー56によりエアの流路を形成でき、パレットPの内外の脱水効果及び乾燥効果をより高めることができる。
【0076】
また、パレットPがパレットホルダ50に収容される場合、搬入側カバー60が開いて搬入側枠部51の開口が開状態にされる。その後、パレットホルダ50からパレットPを搬出する場合、搬出側カバー61が開いて搬出側枠部52の開口が開状態にされる。これにより、パレットPの内外の脱水効果及び乾燥効果を高めつつ、搬入側カバー60及び搬出側カバー61が、パレットホルダ50に対するパレットPの出し入れの障害になることを防止できる。
【0077】
パレットPが水平状態とされる場合において、第1カバー55と、固定コンベア40bを構成するローラとの干渉を回避するために、第1カバー55に切り欠き部57が形成されている。これにより、ローラとの干渉を回避しつつ、吹き出し部90から吹き出されたエアがパレットホルダ50外へと漏れる量を減らすことができる。その結果、パレットPの脱水効果及び乾燥効果を高めることができる。
【0078】
ホルダ回転部42により回転させられるパレットPの回転中心が、パレットPの幅方向における中央位置又はその近傍位置とされている。このため、パレットPを回転させる場合にパレットPが通る空間を小さくでき、脱水室37の小型化を図ることができる。
【0079】
パレットPの搬送方向を軸線としてパレットホルダ50を回転させる。これにより、パレットホルダ50を回転させるに先立ち、一対の室内コンベア40のうち可動コンベア40aのみを退避させればよくなる。その結果、パレット脱水装置30の構成の簡素化を図ることができる。
【0080】
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0081】
・振動部70がパレット脱水装置30に備えられていなくてもよい。この場合であっても、起立状態のパレットPにおける上側の差込み開口103から下方に向けて吹き出し部90からエアを吹き付けることにより、パレットPの脱水を行うことができる。
【0082】
・吹き出し部90、ブロー配管91及び第1ブロワ92がパレット脱水装置30に備えられていなくてもよい。この場合であっても、起立状態のパレットPに対して振動部70の振動を付与することにより、パレットPの脱水を行うことができる。なお、この場合、第1カバー55、第2カバー56、搬入側カバー60及び搬出側カバー61がパレットホルダ50に備えられていなくてもよい。
【0083】
・振動部としては、起立状態のパレットPの下側面に当接するものに限らず、例えば、起立状態のパレットPの側面に当接するものであってもよい。この場合、起立状態のパレットPの両側面それぞれに振動部を当接させてもよい。
【0084】
・振動部70にパレット受け部76が備えられていなくてもよい。この場合、例えば、振動子本体73の上面側に、振動子本体73の平坦面に対して凹んでかつ振動子本体73の端まで伸びる溝が形成されていてもよい。この溝が、振動子本体73の上側表面に形成されたエアの流路となる。
【0085】
・パレットPの脱水方法としては、例えば以下に説明するものであってもよい。
図5等に示したように、ホルダ回転部42によりパレットホルダ50を90°回転させることにより、対となる差込み開口103のうち、一方を鉛直方向上側に向け、他方を鉛直方向下側に向けてパレットを起立状態に保持する。
【0086】
図14に示すように、パレット脱水装置30は、正逆回転部210を備えている。正逆回転部210は、鉛直方向に延びる軸線を回転中心として、起立状態に保持されたパレットPが収容されたパレットホルダ50を、回転方向を切り替えながら回転させる。回転方向を第1方向とする場合、一対のデッキ部100のうち一方の裏側面と第1リブ104との角部等に溜まった水気を落下させることができる。一方、回転方向を、第1方向とは逆方向の第2方向とする場合、一対のデッキ部100のうち他方の裏側面と第1リブ104との角部等に溜まった水気を落下させることができる。落下した水気は、下側の差込み開口103からパレットPの外部へ排出される。
【0087】
また、パレットPの脱水方法としては、例えば
図15に示すものであってもよい。詳しくは、
図15(a)に示す起立状態に保持されたパレットPを、
図15(b)に示すように、一対のデッキ部100のうち一方のデッキ部を上向き傾斜にした状態にする。デッキ部の傾斜角度θは、鋭角にすることができ、具体的には例えば、20°~45°の間の角度にすることができる。パレットPを
図15(b)の状態にすることにより、一対のデッキ部100のうち一方の裏側面と第1リブ104との角部等に溜まった水気を落下させることができる。
【0088】
その後、パレットPを、
図15(c)に示すように起立状態に戻す。その後、起立状態に保持されたパレットPを、
図15(d)に示すように、一対のデッキ部100のうち他方のデッキ部を上向き傾斜にした状態にする。これにより、一対のデッキ部100のうち他方の裏側面と第1リブ104との角部等に溜まった水気を落下させることができる。なお、
図15(a)~
図15(d)に示す脱水工程を1サイクルとし、この脱水工程が複数サイクル実施されてもよい。
【0089】
・脱水対象となるパレットとしては、4方差しタイプのものに限らず、4つの側面部のうち対向するいずれか2つの側面部にのみ差込み開口が形成された2方差しタイプのものであってもよい。
【0090】
また、脱水対象となるパレットとしては、一対のデッキ部それぞれの表側面がデッキ面とされる両面使用タイプのものに限らず、一対のデッキ部のうちいずれか一方のみの表側面がデッキ面とされる片面使用タイプのものであってもよい。
【符号の説明】
【0091】
30…パレット脱水装置、42…ホルダ回転部、50…パレットホルダ、70…振動部、90…吹き出し部、P…パレット。