(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025930
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】収容箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
B65D5/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129130
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 孟
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA04
3E060AB05
3E060CB02
3E060CB16
3E060CB22
3E060CC02
3E060CC18
3E060CC37
3E060DA03
3E060DA25
3E060EA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安価に製造することができ、物品を見栄えよく陳列することができる収容箱を提供する。
【解決手段】複数のシート状の物品Oを立位で重ねて収容する収容箱10は、重ね方向の一端にある物品Oに対向して略鉛直方向に延設され、物品Oより鉛直方向の高さが低い前面板2と、複数の物品Oの重ね方向の他端側で前面板2と略平行に配置され、前面板2より鉛直方向の高さが高い背面板3と、前面板2の鉛直方向の下端2bと背面板3の鉛直方向の下端3bを一体につないで略水平に設けた底板4と、背面板3の鉛直方向の上端3aから一体に内側に折り返されて重ね方向の他端にある物品Oに対向して配置され、背面板3の鉛直方向の高さより長い支持板5と、支持板5の下端5bに一体に設けられ、底板4の内面に対向して配置され、支持板5の下端5bを前面板2の下端2bと背面板3の下端3bの間で位置決めする位置決め板6と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート状の物品を立位で重ねて収容する収容箱であって、
重ね方向の一端にある物品に対向して略鉛直方向に延設され、当該物品より鉛直方向の高さが低い前面板と、
前記複数の物品の前記重ね方向の他端側で前記前面板と略平行に配置され、前記前面板より鉛直方向の高さが高い背面板と、
前記前面板の鉛直方向の下端と前記背面板の鉛直方向の下端を一体につないで略水平に設けた底板と、
前記背面板の鉛直方向の上端から一体に内側に折り返されて前記重ね方向の他端にある物品に対向して配置され、前記背面板の鉛直方向の高さより長い支持板と、
前記支持板の前記上端と反対の下端に一体に設けられ、前記底板の内面に対向して配置され、前記支持板の下端を前記前面板の下端と前記背面板の下端の間で位置決めする位置決め板と、を有し、
前記支持板が、前記上端と略平行で且つ前記上端から離間した位置に折罫線を有し、当該支持板が前記背面板に向けて凸となる方向に当該支持板を前記折罫線で折り曲げた屈曲部を有する、
収容箱。
【請求項2】
前記支持板は、前記折罫線と当該支持板の前記上端との間に、前記背面板と略平行な平行部分を有する、
請求項1の収容箱。
【請求項3】
前記支持板は、前記折罫線と当該支持板の前記下端との間に、前記前面板に向けて突出する方向に湾曲した湾曲部分を有する、
請求項1又は請求項2の収容箱。
【請求項4】
前記支持板は、前記折罫線と当該支持板の前記下端との間に、前記背面板に向けて突出する方向に湾曲した湾曲部分を有する、
請求項1又は請求項2の収容箱。
【請求項5】
前記位置決め板は、前記前面板の下端と前記支持板の下端との間の距離が前記複数の物品の重ね方向の幅と略同じになる位置で前記支持板の下端を位置決めする、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項の収容箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、シート状の物品を立位で重ねて収容する収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を収容する箱には、種々のものがあり、例えば、所定形状に切り抜いた1枚の紙を折り曲げて接着することで組み立て可能な箱が広く普及している。1枚の紙を加工して箱を作ると、箱の製造コストを低く抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙製の箱は、折り曲げ部が紙の腰によって膨らむ傾向があるため、所望する形状に組み立てることが難しい。特に、折り曲げ部で紙を180度折り返すような場合には、折り曲げ部を挟んだ両側の紙同士を接着しない限り、折り曲げ部近くの膨らみを無くすことは難しい。
【0005】
このため、例えば、物品(商品)を陳列するための収容箱を紙で作ると、箱の一部が不所望に膨らんで収容箱を所望する形状に組み立てることができず、物品を安定して収容箱に収容して見栄えよく陳列することが難しい。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、安価に製造することができ、物品を見栄えよく陳列することができる収容箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の収容箱の一態様は、複数のシート状の物品を立位で重ねて収容する。この収容箱は、重ね方向の一端にある物品に対向して略鉛直方向に延設され、当該物品より鉛直方向の高さが低い前面板と、複数の物品の重ね方向の他端側で前面板と略平行に配置され、前面板より鉛直方向の高さが高い背面板と、前面板の鉛直方向の下端と背面板の鉛直方向の下端を一体につないで略水平に設けた底板と、背面板の鉛直方向の上端から一体に内側に折り返されて重ね方向の他端にある物品に対向して配置され、背面板の鉛直方向の高さより長い支持板と、支持板の上端と反対の下端に一体に設けられ、底板の内面に対向して配置され、支持板の下端を前面板の下端と背面板の下端の間で位置決めする位置決め板と、を有する。支持板は、支持板の上端と略平行で且つ上端から離間した位置に折罫線を有し、支持板が背面板に向けて凸となる方向に支持板を折罫線で折り曲げた屈曲部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、安価に製造することができ、物品を見栄えよく陳列することができる収容箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る収容箱に複数のシート状の物品を収容した状態を示す外観斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の収容箱の第1の状態を示す外観斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の第1の状態の収容箱を線F4-F4に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図5は、支持板に屈曲部を設けていない収容箱を示す外観斜視図である。
【
図6】
図6は、
図3の収容箱の支持板を反対側に湾曲させた第2の状態を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る収容箱10について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の収容箱10は、複数の扁平なシート状の物品Oを立位で重ねて収容する収容部20を有する。物品Oは、略長方形のシート状であり、全て同じ形状を有する。物品Oは、例えば、複数のシールを貼った台紙(いずれも図示せず)を複数枚(本実施形態では4枚)重ねて扁平な袋Pに入れたものであってもよい。収容部20は、このようなシート状の物品Oを複数個(本実施形態では8個)重ねて収容可能な大きさを有する。本実施形態では、物品Oは、その長手方向が鉛直方向に沿う向きで水平方向に重ねて収容部20に収容されている。
【0011】
収容部20に収容する物品Oは、立位で重ねることができる薄いシート状或いは板状のものであればよく、その個数や形状などはいかなるものであってもよい。なお、物品Oの重ね方向に沿った収容部20の幅は、位置決め板6(後述する)の支持板5(後述する)に対する折り曲げ位置を変えることで、収容する物品Oの重ね方向の幅に容易に合わせることができる。
【0012】
収容箱10は、所定数の物品Oを重ねて収容部20内に収容した状態(例えば
図1に示す状態)で、図示しない外箱に複数組まとめて梱包されて出荷される。そして、出荷先の店舗などにおいて、外箱が開梱されて、所定数の物品Oを収容した収容箱10が取り出され、そのままの状態(複数の物品Oを収容部20内に重ねて収容した例えば
図1に示す状態)で物品Oが陳列される。つまり、本実施形態の収容箱10は、物品Oを収容するための箱として機能するとともに、物品Oを陳列するための箱として機能する。
【0013】
本実施形態の収容箱10は、
図2に示す1枚の所定形状のシート材1を複数個所で折り曲げて所定箇所を接着することにより組み立てられる。
図2において、実線はシート材1に切り込みを入れる線を示し、一点鎖線はシート材1を紙面手前側が凸となる山折りにする線を示し、二点鎖線はシート材1を紙面奥側が凸となる谷折りにする線を示す。組み立てた状態の収容箱10の一例を
図3に示す。
図3は、収容箱10の第1の状態を示す。収容箱10は、
図6に示す第2の状態にすることもできる。シート材1は、例えばティッシュ箱の素材と同様のボール紙であり、或いは、樹脂シートや不織布などの他の素材をシート材1として用いることもできる。本実施形態ではボール紙をシート材1として用いた。
【0014】
以下、第1の状態にした収容箱10の構造について詳細に説明する。
図1乃至
図3に示すように、収容箱10は、前面板2、背面板3、底板4、支持板5、及び位置決め板6を有する。また、収容箱10は、一対の側板8R、8Lを有する。複数個の物品Oを重ねて収容する収容部20は、前面板2、支持板5、位置決め板6、及び一対の側板8R、8Lによって囲まれた空間である。収容箱10の前方及び上方は大きく開放しており、収容部20の前方及び上方に比較的大きな開口部12が設けられている。開口部12は、前面板2の上端2a、背面板3の上端3a(すなわち支持板5の上端5a)、及び一対の側板8R、8Lの傾斜した上端8a、8aを矩形につなげた形状を有する。物品Oは、開口部12を介して収容部20に収容可能であり、開口部12を介して収容部20から取り出し可能である。
【0015】
前面板2、背面板3、支持板5、位置決め板6、及び一対の側板8R、8Lはシート材1の一部により構成されており、底板4はシート材1の複数の部分を重ねて接着することにより構成されている。以下、説明を分かり易くするため、底板4を1枚の板状物とみなす場合もある。また、以下の説明では、収容箱10を
図3の矢印方向から見て上下方向、左右方向、及び前後方向を規定する。
【0016】
前面板2は、収容箱10の前方に配置され、略鉛直方向に延設されている。前面板2は、左右の幅が高さより大きい略長方形状に形成されている。前面板2の高さは、収容箱10に収容する物品Oの高さより低くされている。物品Oの前面板2側の表面には、物品Oを陳列した状態で利用者に見える位置に商品名などが印刷してある。言い換えると、このような印刷物21(
図1)を前面板2で隠してしまうことがないように、前面板2の高さを印刷物21の高さ位置に合わせてある程度低く設定している。
【0017】
背面板3は、前面板2と離間して収容箱10の後方に配置され、前面板2と略平行に延設されている。背面板3は、左右の幅が前面板2の幅と略同じであり、左右の幅より高さが大きい略矩形状に形成されている。背面板3の高さは、少なくとも前面板2より高く、例えば物品Oの高さと略同じ高さであり、本実施形態では物品Oの高さよりわずかに高くした。複数個の物品Oを重ねて収容した収容箱10を外箱に詰めて輸送する際に、物品Oが外箱にぶつかって折れ曲がったりする不具合を抑制するため、背面板3を物品Oより一回り大きいサイズに設定した。
【0018】
底板4は、前面板2の下端2bと背面板3の下端3bを一体につないで略水平に配置されている。底板4は、左右の幅が前面板2及び背面板3と略同じであり、左右の幅が前後の幅より大きい略長方形状に形成されている。底板4の前後方向の幅は、8個の物品Oの重ね方向の幅より十分に大きく、底板4を台などに面で接触させて収容箱10を置いた場合に、収容箱10を安定させることができる程度の幅に設定されている。シート状の物品Oを重ねて立位で収容する場合、収容部20の幅は物品Oの重ね方向の幅よりわずかに大きければよく、底板4の前後方向の幅も収容部20の幅と同程度でよい。しかし、本実施形態では、収容箱10の設置安定性を考慮して、底板4の前後方向の幅を物品Oの重ね方向の幅より十分に大きくした。本実施形態では、収容箱10の底板4の前後方向の幅を収容部20の幅の2倍以上とした。
【0019】
一方の側板8Rは、収容箱10の右側に配置され、前面板2及び背面板3と略直交するとともに略鉛直方向に延設されている。側板8Rは、隣接する2つの直角を含む直角台形状に形成されている。側板8Rの平行な2辺のうち長い方の辺は背面板3の高さと略同じ長さを有し、背面板3の右端に一体に接続している。側板8Rの平行な2辺のうち短い方の辺は前面板2の高さと略同じ長さを有し、前面板2の右端に一体に接続している。側板8Rの平行な2辺と直交する下端8bは底板4の右端に一体に接続している。側板8Rの上端8aは背面板3の上端3aから前面板2の上端2aに向けて下方に傾斜している。
【0020】
もう一方の側板8Lは、収容箱10の左側に配置され、前面板2及び背面板3と略直交するとともに略鉛直方向に延設されている。側板8Lは、側板8Rと合同な略直角台形状に形成されている。側板8Lの平行な2辺のうち長い方の辺は背面板3の高さと略同じ長さを有し、背面板3の左端に一体に接続している。側板8Lの平行な2辺のうち短い方の辺は前面板2の高さと略同じ長さを有し、前面板2の左端に一体に接続している。側板8Lの平行な2辺と直交する下端8bは底板4の左端に一体に接続している。側板8Lの上端8aは背面板3の上端3aから前面板2の上端2aに向けて下方に傾斜している。
【0021】
支持板5は、背面板3の上端3aでもある上端5aを有する。支持板5は、上端5a(上端3a)を介して背面板3と一体に接続している。支持板5は、背面板3の上端3aで収容箱10の内側に折り返され、収容部20の後方に配置される。支持板5は、その上端5aで背面板3に対して略180度折り返されている。支持板5の左右の幅は、背面板3の幅と略同じである。折罫線Lk(後述する)で折り曲げていない状態の支持板5の上端5aと下端5bの間の長さは、背面板3の高さより十分に長い。支持板5は、左右の幅より上下が長い略長方形状に形成されている。
【0022】
支持板5は、上端5aから下方に離間した位置で、上端5aと略平行に延びた直線状の折罫線Lkを有する。支持板5は、上端5aと折罫線Lkの間の略平らな平行部分51と、折罫線Lkと下端5bの間の湾曲部分52と、を有する。湾曲部分52の上下方向の長さは平行部分51の上下方向の長さより長い。平行部分51は、背面板3と略平行に配置されている。湾曲部分52は、前面板2に向けて突出する方向に湾曲している。支持板5は、折罫線Lkの位置で支持板5を背面板3に向けて突出する方向に折り曲げることによって形成された屈曲部50を有する。湾曲部分52の湾曲の程度は、折罫線Lkの高さ位置や支持板5の上下方向の長さを変更することで調節可能である。
【0023】
位置決め板6は、支持板5の下端5bに一体に接続している。位置決め板6は、底板4の内面に対向して底板4と略平行に配置される。
図2に示すように、折り曲げ加工する前のシート材1において、支持板5と位置決め板6の間には、支持板5の下端5bとなる線L5から折罫線Lkに向けてU字状に突出させた切り込み60が設けられている。切り込み60の両端は線L5で終端しており、切り込み60は線L5の両端から中央寄りに離間した位置に設けられている。位置決め板6は、
図3に示すように支持板5に対して略直角に配置した状態で、切り込み60によって囲まれた突出部分61とそれ以外の幅決め部分62を含む。
【0024】
位置決め板6は、切り込み60の左右両端の外側にある線L5でシート材1を
図2で手前側が凸となる方向に略直角に折り曲げることで支持板5と直交する姿勢に配置される。つまり、位置決め板6は、支持板5と略直交する方向に延設されて支持板5の下端5bに一体に設けられている。位置決め板6の前後方向の最大幅は底板4の幅と略同じである。位置決め板6の幅決め部分62は、収容部20の底に配置される。位置決め板6の突出部分61は、背面板3と支持板5の間に配置される。位置決め板6の前後方向の両端は、それぞれ前面板2の内面及び背面板3の内面に当接する。
【0025】
位置決め板6の幅決め部分62の前後方向の幅は、収容部20の前後方向の幅を規定する。つまり、収容箱10に収容する複数個の物品Oの重ね方向の幅に合わせて、幅決め部分62の幅(位置決め板6の前端6aと線L5の間の距離)を設定することにより、前面板2の下端2bと支持板5の下端5bとの間の距離を物品Oの重ね方向の幅と略同じ幅にすることができる。本実施形態では、前面板2の下端2bと支持板5の下端5bとの間の距離を物品Oの重ね方向の幅と略同じ幅にした。
【0026】
なお、支持板5の上端5aから折罫線Lkまでの長さ、すなわち屈曲部50の上下方向の高さ位置は、支持板5を折罫線Lkで折り曲げて、位置決め板6を底板4と平行に配置した状態で、支持板5の平行部分51が背面板3と略平行に配置される位置に設定されている。言い換えると、屈曲部50の上下方向の位置は、屈曲部50で支持板5を折り曲げた際に平行部分51が背面板3と略平行に配置される位置であればよく、シート材1の材質や厚みに応じて最適な位置に設定すればよい。
【0027】
ここで、シート材1の形状について
図2を参照して説明する。
図2において、背面板3の左端には、線L1を介して左側の側板8Lが一体に設けられている。側板8Lは、平行な2辺のうち長い方の辺が線L1を介して背面板3につながっている。側板8Lの平行な2辺のうち短い方の辺には、線L2を介して前面板2が一体に設けられている。前面板2の図示左端には、線L3を介して右側の側板8Rが一体に設けられている。側板8Rは、平行な2辺のうち短い方の辺が線L3を介して前面板2につながっている。
【0028】
背面板3の図示上端には、線L4を介して支持板5が一体に設けられている。より具体的には、背面板3の上端3aには、線L4を介して支持板5の平行部分51がつながっている。支持板5の図示上端(下端5b)には、線L5を介して位置決め板6が一体に設けられている。より具体的には、支持板5の下端5bは、線L5を介して位置決め板6の幅決め部分62につながっている。
【0029】
背面板3の図示右端には、線L6を介してグルーフラップ11が一体に設けられている。グルーフラップ11は、右側の側板8Rの平行な2辺のうち長い方の辺の内面側に接着する部分である。背面板3の図示下端には、線L7を介して、底板4の一部分を構成する背面側部分13が一体に設けられている。背面側部分13には、線L8を介してグルーフラップ14が一体に設けられている。左側の側板8Lの図示下端には、線L9を介してグルーフラップ15が一体に設けられている。グルーフラップ14はグルーフラップ15の外側に重ねられて接着されるものである。
【0030】
前面板2の図示下端には、線L10を介して、底板4の一部分を構成する前面側部分16が一体に設けられている。前面側部分16には、線L11を介してグルーフラップ17が一体に設けられている。右側の側板8Rの図示下端には、線L12を介してグルーフラップ18が一体に設けられている。グルーフラップ17はグルーフラップ18の外側に重ねられて接着されるものである。
【0031】
次に、上述した収容箱10の組み立て方法について、主に
図2を参照しながら説明する。
まず、シート材1の線L1、L2、L3、L6を谷折りにして前面板2、背面板3、及び一対の側板8R、8Lを筒状に配置する。この状態で、グルーフラップ11の外側の面と側板8Rの内側の面を接着剤により接着する。なお、ここでは、シート材1を折り曲げる方向は、
図2で紙面手前方向に凸となる方向を山折りと称し、紙面奥側が凸となる方向を谷折りと称する。また、特に説明しない場合には、各線Lにおけるシート材1の折り曲げ角度は直角であるものとする。
【0032】
次に、シート材1の線L7、L9、L10、L12を谷折りにして、線L8、L11を山折りにする。そして、底板4の背面側部分13の外側にグルーフラップ18を部分的に重ねて、前面側部分16の外側にグルーフラップ15を部分的に重ねる。さらに、背面側部分13の一部を前面側部分16の内側に配置して、前面側部分16の一部を背面側部分13の内側に配置し、前面側部分16と背面側部分13を互いに噛合わせる。
【0033】
そして、グルーフラップ18を前面側部分16の内側に配置してグルーフラップ17をグルーフラップ18の外側に重ねて接着剤により接着する。また、グルーフラップ15を背面側部分13の内側に配置してグルーフラップ14をグルーフラップ15の外側に重ねて接着剤により接着する。この状態で、背面側部分13、グルーフラップ14、グルーフラップ15、前面側部分16、グルーフラップ17、及びグルーフラップ18によって略矩形の底板4が形成される。
【0034】
さらに、この後、シート材1の線L5を山折りにして位置決め板6を支持板5に対して直交する方向に配置するとともに折罫線Lkで支持板5を山折りにし、シート材1の線L4を谷折りにする。線L5におけるシート材1の折り曲げ角度は略直角であり、折罫線Lkにおける支持板5の折り曲げ角度は鈍角であり、線L4におけるシート材1の折り曲げ角度は180度である。そして、支持板5に対して直角に配置した位置決め板6を支持板5とともに収容箱10の内側に挿入する。これにより、位置決め板6が底板4の内面に接触して底板4と平行に配置される。
【0035】
支持板5は、背面板3より上下方向の長さが長く、屈曲部50で折り曲げられているため、上述したように位置決め板6を底板4と平行に配置するだけで、支持板5の平行部分51が背面板3と略平行に配置され、且つ湾曲部分52が前面板2に向けて突出する方向に湾曲される。或いは、湾曲部分52は、
図6に示す反対方向に湾曲される。以下、支持板5のこのような特性について、
図4を参照して説明する。
図4は、
図3に示すように第1の状態にした収容箱10を線F4-F4に沿って見た断面図である。
図4では、収容箱10の構造を見易くするため、底板4を実際とは異なる1枚の板状に図示している。
【0036】
上述したように、折罫線Lkで折り曲げていない状態の支持板5の上下方向の長さは背面板3の上下方向の長さより十分に長いため、支持板5の下端5bに一体に設けた位置決め板6を底板4に接触させて底板4と平行に配置すると、支持板5がその上端5aと下端5bの間で湾曲させられる。或いは、支持板5の長さが背面板3よりわずかに長いだけの場合には、上端5aと屈曲部50の間の支持板5の部分が湾曲せずに真っ直ぐなまま傾斜する場合もある。本実施形態では、背面板3に対して支持板5を十分に長くして、上端5aと下端5bの間で支持板5を積極的に湾曲させるようにした。また、本実施形態では、支持板5の屈曲部50を下端5bより上端5aに近い位置に設けて、支持板5の屈曲部50より上端5a側の部分(平行部分51)より下端5b側の部分(湾曲部分52)を湾曲し易く(曲率を大きく)した。
【0037】
このように平行部分51と比べて大きく湾曲させた湾曲部分52に着目すると、湾曲部分52は、シート材1の腰により真っ直ぐな状態に戻ろうとする復元力を生じる。このような湾曲部分52の復元力は、支持板5の下端5bを底板4に押し付ける方向に作用するとともに、屈曲部50を上方に押し上げる方向に作用する。支持板5の下端5bを底板4に押し付ける方向の力は、位置決め板6を底板4の内面に密着させるように作用する。屈曲部50を上方に押し上げる力は、平行部分51にもわずかな湾曲があるため、屈曲部50を背面板3に近付ける方向に作用する。つまり、本実施形態のように、支持板5を背面板3より十分長くして上端5aに近い側に屈曲部50を設けることにより、シート材1の腰を利用して、平行部分51と湾曲部分52を形成することができ、湾曲部分52の形状を所望する形状(第1の状態或いは第2の状態)に保持することができる。
【0038】
これに対し、仮に、支持板5に屈曲部50を設けない場合、支持板5を背面板3より十分に長くすると、
図5に示すように、支持板5が全体的に湾曲してしまう。この場合、支持板5の上端5aにおいて背面板3に対して支持板5を180度折り返しているため、支持板5は
図5に示す方向、すなわち前面板2に向けて突出する方向に湾曲し易くなってしまう。また、この場合、湾曲した支持板5が真っ直ぐな状態に戻ろうとする復元力が、支持板5の下端5bを底板4に押し付ける方向に作用するとともに、支持板5の上端5aを上方へ押し上げる方向に作用する。そして、
図5に示すように支持板5が全体的に湾曲してしまうと、背面板3と平行な平行部分51が形成されず、その分、収容部20の上方の空間が狭くなり、収容部20に重ねて収容した物品Oが前方に倒れ易くなってしまう。
【0039】
本実施形態のように、収容箱10を1枚のシート材1により形成して、背面板3と支持板5を一体につなげると、背面板3と支持板5の間の折り曲げ部が
図5に示すように膨らみ易い。仮に、支持板5を背面板3とは別のシート材により形成した場合、このような膨らみの問題は生じない。本実施形態では、1枚のシート材1により収容箱10を製造した上で、このような支持板5の膨らみを抑えて収容部20の上方の空間を拡げるため、支持板5の途中に折罫線Lkを設けて支持板5に屈曲部50を形成した。
【0040】
以下、上述した実施形態の収容箱10の機能及び効果について説明する。
上記のように組み立てられた収容箱10において、複数個の物品Oを重ねて収容する収容部20は、前後方向の幅が物品Oの重ね方向の幅と略同じ幅に設定されている。このため、収容箱10の支持板5の湾曲部分52を前面板2に向けて突出させた第1の状態において、予め決められた所定数の物品Oを重ねて収容部20に収容した
図1に示す状態では、重ね方向の最前列にある物品Oの前面が前面板2の内面に接触し、重ね方向の最後列にある物品Oの背面が支持板5の湾曲部分52に接触している。よって、本実施形態の収容箱10を第1の状態にすると、収容部20に所定数重ねて収容した物品Oを前面板2に沿って立位で収容することができ、物品Oを見栄えよく陳列することができる。
【0041】
また、第1の状態にした収容箱10は、
図4に示すように、収容部20に向けて突出する方向に湾曲した湾曲部分52を有するため、所定数重ねた物品Oは、前面板2と支持板5の湾曲部分52との間で挟持され、収容部20内にしっかりと保持される。言い換えると、本実施形態の収容箱10は、収容部20内に所定数の物品Oを重ねて収容した状態で、物品Oに所定の保持力を作用させることができる程度に湾曲部分52を収容部20に向けて突出させることができる。
【0042】
このため、本実施形態によると、所定数の物品Oを重ねて収容部20内に収容した
図1に示す状態で、収容箱10を図示しない外箱内に梱包して輸送するとき、或いは外箱から出して店舗内で或いは店舗間で収容箱10移動する際に、物品Oを収容部20内でしっかりと保持することができ、収容部20から物品Oが脱落する不具合を防止することができる。よって、本実施形態によると、収容箱10を取り扱う作業者による作業性を向上させることができ、物品Oの収容部20からの不用意な脱落による汚毀損を防止することができる。
【0043】
収容部20の前後方向の幅を物品Oの重ね方向の幅より狭くすると、支持板5の湾曲部分52を前面板2に向けて突出させた第1の状態において、前面板2が物品Oによって押されて前方に膨出してしまい、収容箱10としての見栄えが悪くなるとともに、物品Oが収容部20から脱落し易くなってしまう可能性がある。逆に、収容部20の前後方向の幅を物品Oの重ね方向の幅より大きくし過ぎると、支持板5の湾曲部分52を前面板2に向けて突出させた第1の状態にしても、収容部20に収容した物品Oに対する保持力が弱くなり、収容箱10の移動時などに物品Oが脱落し易くなってしまう。よって、本実施形態のように、収容部20の前後方向の幅を所定数重ねた物品Oの重ね方向の幅と略同じ幅にすることが効果的である。
【0044】
また、収容箱10の前面板2は、物品Oの正面に印刷した印刷物21が前面板2によって隠れてしまうことがないように、比較的その高さが低く設計されている。つまり、本実施形態の収容箱10は、物品Oを見栄えよく陳列するための箱でもあるため、そもそも、物品Oが前方に倒れ易い構造を有する。よって、本実施形態の収容箱10において、収容部20内で物品Oを挟持拘束して保持力を作用させることで、物品Oが前方に倒れ難くすることは有効である。
【0045】
なお、所定数の物品Oを収容部20内に収容した
図1の状態から、物品Oが収容部20から取り出されて収容数が減って保持力が弱まった場合に、シート状の物品Oが倒れ易くなることが考えられるが、本実施形態の収容箱10によると、支持板5の平行部分51が背面板3と略平行に配置されているため、物品Oの上端側が後方に倒れ込む空間を確保することができている。仮に、支持板5が屈曲部50を持たない
図5で説明したような収容箱であった場合には、物品Oが後方に倒れ込む空間が殆ど無く、前面板2が比較的低く設計されているため、物品Oが前方に倒れて見栄えが悪くなる可能性が高くなる。
【0046】
より詳細には、
図4に示すように、本実施形態の収容箱10は、支持板5の湾曲部分52が少なくとも前面板2に対向する位置で前面板2から離れる方向に傾斜した部分を有するため、収容部20内に収容した物品Oに対する保持力が弱まったときに物品Oがこの傾斜した部分に沿って後方に倒れ易く、物品Oが前方に倒れて見栄えが悪くなる不具合を生じ難い。なお、収容箱10を
図6に示す第2の状態にした場合には、収容部20に収容した物品Oを後方により倒れ易くすることができ、物品Oを見栄えよく陳列することができる。
【0047】
また、本実施形態の収容箱10のように、物品Oが後方に倒れ易い構造を有することで、シート状の物品Oを重ねて立位で陳列する際の安定性を高めることができる。シート状の物品Oを立位で陳列する収容箱において、収容箱10の設置安定性を高めるため、物品Oの重ね方向の幅より底板4の前後方向の幅を十分に大きくすることが望ましい。しかし、本実施形態のように、重ね合わせた状態の物品Oを前面板2に近い側に片寄った位置で収容すると、複数個の物品Oを収容した状態の収容箱10の重心が前方に片寄って収容箱10の設置安定性が悪くなってしまう可能性が考えられる。このため、本実施形態のように、収容部20内に収容した物品Oを背面板3側に倒れ易くすることで、複数個の物品Oを収容した状態の収容箱10の重心を後方にずらすことができ、収容箱10の設置安定性を高めることができる。
【0048】
また、本実施形態によると、収容箱10の支持板5を
図6に示す第2の状態に変形させて使用することもできる。例えば、所定数の物品Oを収容した
図1に示す初期状態から、物品Oが取り出されて収容部20における保持力が弱まった後に、
図6に示すように支持板5の湾曲部分52を背面板3側が凸となる逆方向に湾曲させるようにしてもよい。支持板5を
図3に示す状態から
図6に示す状態に変形させると、収容部20内の空間が前後方向に拡げられ、物品Oの上端側をより背面板3側に倒れ易くすることができ、保持力が弱くなった物品Oが前方に倒れてしまう不具合を抑制することができる。
【0049】
或いは、所定数の物品Oを収容した初期状態から、支持板5を
図6に示す第2の状態に湾曲させておいてもよい。この場合、所定数重ねた物品Oに対する保持力はほとんど無くなるが、複数個の物品Oの重心が初めから収容箱10の前後方向の中央近くになるため、収容箱10の使用開始時点から設置安定性を高めることができる。また、支持板5を第2の状態にすると、重ね方向の最前列にある物品Oが支持板5に沿って後方に寝た姿勢となり、保持力も作用しないため、物品Oを収容部20から取り出し易くなる。さらに、物品Oを支持板5に倒れ掛けることができ、物品Oが前方に倒れて見栄えが悪くなる不具合をほとんど無くすことができる。
【0050】
また、本実施形態によると、収容部20の底に位置決め板6の幅決め部分62を配置したため、物品Oの収容数が減ってきて収容部20の底が見えた際の見栄えを良くすることができる。位置決め板6は、線L5で本実施形態とは逆方向に折り曲げることもできるが、仮にそうした場合、位置決め板6の突出部分61が収容部20の底に見えて見栄えが悪くなる。また、幅決め部分62を収容部20の底に配置することで、収容部20内に収容した物品Oにより幅決め部分62を押圧して底板4に押し付けることができ、底板4に対する位置決め板6の浮き上がりを抑制することができる。逆に、収容部20の底に突出部分61を設けると、物品Oの下端が位置決め板6を押圧する左右方向の幅が狭くなり、位置決め板6を底板4に向けて十分に押圧することができなくなる。
【0051】
また、本実施形態の収容箱10は、前面板2の上端2aに突出片2cを一体に有する。突出片2cは、前面板2の高さを部分的に高くするため、収容部20内に収容した物品Oが前方に倒れて収容部20から脱落する不具合を抑制するように機能する。また、突出片2cは、収容箱10の意匠性を向上させるための機能を担うことができる。例えば、収容部20に収容した物品Oの表面の印刷物21に重ねて突出片2cの表面にデザインを施して面白い意匠を持たせることができる。
【0052】
以上、いくつかの実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、支持板5の折罫線Lkと下端5bとの間に前面板2或いは背面板3に向けて突出した湾曲部分52を設けたが、これに限らず、支持板5の折罫線Lkと下端5bとの間の部分は必ずしも湾曲している必要はなく、下端5bから折罫線Lkに向けて背面板3に近付く方向に傾斜していてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、単に位置決め板6を底板4と平行に配置した場合について説明したが、これに限らず、位置決め板6の突出部分61の背面板3側の端部に突起(図示せず)を設け、背面板3と底板4の間の稜部に突起を差し込む切り込み(図示せず)を設けてもよく、位置決め板6の背面側の端部を底板4と背面板3の間に固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…シート材、 2…前面板、 3…背面板、 4…底板、 5…支持板、 6…位置決め板、 8R、8L…側板、 10…収容箱、 12…開口部、 20…収容部、 50…屈曲部、 51…平行部分、 52…湾曲部分、 Lk…折罫線、 O…物品。