(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025962
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】型枠及び型枠の転用方法
(51)【国際特許分類】
E04G 9/05 20060101AFI20220203BHJP
E04G 19/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
E04G9/05
E04G19/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129185
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】宮田 佳和
(72)【発明者】
【氏名】中島 航
(72)【発明者】
【氏名】宇野 昌利
(72)【発明者】
【氏名】黒田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大高 正裕
(72)【発明者】
【氏名】根本 浩史
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150AA02
2E150AA05
2E150AA08
2E150AA36
2E150BA02
2E150BA12
2E150BA32
2E150BA42
2E150BA52
2E150BA53
2E150BA54
2E150CA01
2E150CA11
2E150DA01
2E150MA01Y
2E150MA11W
2E150MA11X
2E150MA11Y
2E150MA16W
2E150MA17W
2E150MA46Y
2E150MA46Z
(57)【要約】
【課題】 転用回数が多く、外部から内側を的確に観察することが可能な型枠を提供する。
【解決手段】 型枠1は、閉じた形状を形成するフレーム2と、フレーム2によって形成される面に貼り付けられる透明な板3と、板3に貼り付けられる透明なフィルム4と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じた形状を形成するフレームと、
前記フレームによって形成される面に貼り付けられる透明な板と、
前記板に貼り付けられる透明なフィルムと、
を備える
ことを特徴とする型枠。
【請求項2】
前記フィルムは、ポリオレフィン系樹脂素材を用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の型枠。
【請求項3】
前記フィルムは、アクリル製の透明な粘着剤で前記板に貼り付けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の型枠。
【請求項4】
閉じた形状を形成するフレームと、
前記フレームによって形成される面に貼り付けられる透明な板と、
前記板に貼り付けられる透明なフィルムと、
を備える型枠において、
前記透明なフィルムを貼り替えることによって、前記型枠を転用する
ことを特徴とする型枠の転用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場等で使用される型枠及び型枠の転用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート打込み時に用いられる型枠は、安価で加工性に優れた合板が使用されていた。しかしながら、合板を利用した型枠は、外部から内部の状態を観察することができないので、コンクリート打込み前の清掃状況やコンクリート打込み時の充填状況が確認できず、型枠を取り除いた後に不具合がわかるという問題があった。
【0003】
この問題を解決するために、コンクリートの状態を外部から観察しながら打込み作業が可能な透明のコンクリート型枠が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載されたコンクリート型枠は、合成樹脂製の芯枠に透明な合成樹脂板を挟むように張り付けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたコンクリート型枠の透明な合成樹脂板は、コンクリートの打込み時に表面が傷つきやすい。傷ついた箇所では何度も繰り返し使用するうち、内部の状態を観察することができなくなる。そのため、傷ついた透明な合成樹脂板は、交換しなければならず、繰り返し転用する回数が少ないと、購入する量が増加し、高いコストがかかっていた。
【0006】
本発明は、転用回数が多く、外部から内側を的確に観察することができる型枠及び型枠の転用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる型枠は、
閉じた形状を形成するフレームと、
前記フレームによって形成される面に貼り付けられる透明な板と、
前記板に貼り付けられる透明なフィルムと、
を備える
ことを特徴とする。
【0008】
本発明にかかる型枠は、
前記フィルムは、ポリオレフィン系樹脂素材を用いる
ことを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる型枠は、
前記フィルムは、アクリル製の透明な粘着剤で前記板に貼り付けられる
ことを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる型枠の転用方法は、
閉じた形状を形成するフレームと、
前記フレームによって形成される面に貼り付けられる透明な板と、
前記板に貼り付けられる透明なフィルムと、
を備える型枠において、
前記透明なフィルムを貼り替えることによって、前記型枠を転用する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる型枠によれば、転用回数が多く、外部から内側を的確に観察することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明にかかる一実施形態の型枠を説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の型枠1の一例を示す。
図2は、本実施形態の型枠1の他の例を示す。
【0015】
本実施形態の型枠1は、外枠21及び内枠22を有するフレーム2と、フレーム2の外枠21及び内枠22に貼り付けられる板3と、板3に貼り付けられるフィルム4と、を備える。
【0016】
フレーム2は、木製、金属製、又は、樹脂製である。本実施形態のフレーム2は、ウレタン樹脂を塗布したラワン材等の木材を用いている。なお、フレーム2は、透明な樹脂で形成してもよい。フレーム2を透明な樹脂で形成すると、外部から内側をより的確に観察することができる。
【0017】
外側を囲む外枠21と、外枠21の内側に形成される内枠22と、を有する。外枠21と内枠22は、一つの部材で一体に形成してもよく、別の部材を組み付けて形成してもよい。なお、フレーム2は、外枠21のみで形成してもよい。
【0018】
外枠21は、閉じた形状を形成する。本実施形態の外枠21は、長方形状に形成される。なお、外枠21は、長方形に限らず、正方形又はその他の多角形でもよい。また、外枠21は、円形又は楕円形でもよい。さらに、外枠21は、一部が角形で他の一部が曲線でできる形状でもよい。
【0019】
内枠22は、外枠21の内側に形成され、外枠21をつなぎ、フレーム2を補強する。本実施形態の内枠22は、外枠21をつなぐ一本の直線状で形成される。なお、内枠22は、複数本有してもよい。また、内枠22は、曲線状でもよい。さらに、内枠22は、枝分かれする形状でもよい。
【0020】
外枠21及び内枠22は、所定の端面を覆う面を形成することができる。本実施形態の外枠21及び内枠22によって形成される面は、平面である。なお、外枠21によって形成される面は、
図2に示すような曲面でもよい。また、外枠21によって形成される面は、屈曲した平面でもよく、一部が平面で他の一部が曲面でもよい。
【0021】
板3は、透明な材料で形成される。本実施形態の板3は、アクリル樹脂等の合成樹脂を用いている。板3は、外枠21及び内枠22によって形成される面に貼り付けられる。したがって、平面、曲面、屈曲した平面、又は、一部が平面で他の一部が曲面等でもよい。
【0022】
フィルム4は、透明で強度の高い材料で形成される。本実施形態のフィルム4は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂素材を用いている。フィルム4は、板3に隙間無く貼り付けられることが好ましい。また、フィルム4は、コンクリート打込みによる擦り傷等を防ぐ強度を有することが望ましい。フィルム4は、コンクリートからの衝撃から型枠を防護することができ、転用回数をさらに多くすることが可能となる。
【0023】
フィルム4は、接着剤で板3に貼り付けられる。本実施形態のフィルム4は、アクリル製の透明な粘着剤で板3に貼り付けられる。したがって、粘着剤によって、フィルム2と板3は、強度及び透明度を落とすことなく貼り付けられる。
【0024】
【0025】
型枠1は、鉄筋10を囲むように設置される。本実施形態の鉄筋10は、長手方向に延びる複数の主筋11と、長手方向に直交する面内で主筋11の周囲を囲む補強筋12と、を有する。型枠1はコンクリート打込み時の側圧により頂部の開きが生じないように、不図示の手段によって外側から支えられるか、セパレータ等によって型枠同士が連結されている。
【0026】
本実施形態の複数の型枠1は、鉄筋10の下方と側方を覆う。複数の型枠1は、コンクリートが打込まれる鉄筋10側にフィルム4を向けて隙間無く配置される。この状態で、複数の型枠1の内側にコンクリートが打込まれる。なお、複数の型枠1は、同じ形状及び寸法である必要はなく、異なる形状及び寸法でよい。
【0027】
本実施形態の型枠1は、透明な板3及びフィルム4を通して内部を見ることができる。したがって、コンクリート打込み前の清掃状況、及び、打込み時のコンクリートの充填状況を的確にチェックすることができる。
【0028】
しかしながら、コンクリートの打込み時、型枠1は、コンクリートの落下による衝撃を受ける。また、コンクリートの締固め時、型枠1は、バイブレータによって生じる振動を受ける。これらの衝撃と振動によって型枠1のフィルム4は、コンクリートとの間に摩擦が生じて傷がつくことが多い。
【0029】
従来の型枠は、フィルム4がなかったため、透明な板に傷がついてしまい、型枠を繰り返し使用すると板の傷が増加して徐々に内部が見えにくくなっていた。そのため、型枠の転用回数は、少なく抑えられていた。
【0030】
本実施形態の型枠1は、透明な板3に透明なフィルム4を貼り付けている。したがって、本実施形態の型枠1は、フィルム4が傷ついた場合、フィルム4を剥がして、新しいフィルム4を貼り付けることで、型枠1を繰り返し使用することができる。
【0031】
そのため、本実施形態の型枠1の転用回数は、従来の型枠の転用回数よりも多くすることができる。また、新しい透明なフィルム4を貼り付けることで内部の視認性を維持することができる。さらに、フィルム4は柔軟な素材から形成されるので、型枠1を脱型する際にコンクリートとの離型性を向上させることができる。
【0032】
以上、本実施形態の型枠1は、閉じた形状を形成するフレーム2と、フレーム2によって形成される面に貼り付けられる透明な板3と、板3に貼り付けられる透明なフィルム4と、を備える。したがって、本実施形態の型枠1によれば、従来の型枠よりも転用回数が多く、外部から内側を的確に観察することが可能となる。
【0033】
また、本実施形態の型枠1では、フィルム4は、コンクリート打込みによる擦り傷等を防ぐ強度を有する。したがって、本実施形態の型枠1によれば、コンクリートからのさらに強い衝撃から型枠を防護することができ、転用回数をさらに多くすることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態の型枠1では、フィルム4は、ポリオレフィン系樹脂素材を用いる。したがって、本実施形態の型枠1によれば、柔軟で、熱に強く、高強度で、透明性があるので、内側をさらに的確に観察することができ、型枠1を脱型する際の離型性をさらに向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態の型枠1では、フィルム4は、アクリル製の透明な粘着剤で板3に貼り付けられる。したがって、本実施形態の型枠1によれば、強度及び透明度を落とすことなく、フィルム4と板3を貼り付けることが可能となる。
【0036】
さらに、本実施形態の型枠1の転用方法は、閉じた形状を形成するフレーム2と、フレーム2によって形成される面に貼り付けられる透明な板3と、板3に貼り付けられる透明なフィルム4と、を備える型枠において、透明なフィルム4を貼り替えることによって、型枠1を転用する。したがって、本実施形態の型枠1の転用方法によれば、従来の型枠の転用方法よりも容易に転用することが可能となる。
【0037】
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。例えば、本実施形態では一層のフィルム4を貼り付けているが、透明度が確保されれば、二層、三層にフィルム4を貼り付けてもよい。このような場合には一層のフィルム4を剥がすだけで転用が可能となる。また、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…型枠
2…フレーム
3…板
4…フィルム
10…鉄筋
11…主筋
12…補強筋