(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026006
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】指先湿らせ器
(51)【国際特許分類】
B43M 11/00 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
B43M11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129264
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】520277829
【氏名又は名称】金指 博文
(71)【出願人】
【識別番号】505064138
【氏名又は名称】ゼロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000464
【氏名又は名称】特許業務法人 いしい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金指 博文
(57)【要約】
【課題】簡単に指先を湿らせることができる携帯に適した指先湿らせ器を提供する。
【解決手段】指先湿らせ器1は、天面部21に開口22を有する中空状のケース部材2の内部に、開口22を内側から塞ぐボタン部材3と、吸液性を有する吸液部材4とを備え、ボタン部材3を押し込むことで、ケース部材2の天面部21とボタン部材3との隙間から液体が染み出すように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面部に開口を有する中空状のケース部材の内部に、前記開口を内側から塞ぐボタン部材と、吸液性を有する吸液部材とを備えており、
前記ボタン部材を押し込むことで、前記ケース部材の前記天面部と前記ボタン部材との隙間から液体が染み出すように構成した、
指先湿らせ器。
【請求項2】
前記ケース部材の内部に、前記ボタン部材の周縁部を前記ケース部材の天面部下面に押し付ける弾性部材を備えている、
請求項1に記載の指先湿らせ器。
【請求項3】
前記開口に露出する前記ボタン部材の上面は凹状に形成されている、
請求項1又は2に記載の指先湿らせ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指先を液体で湿らせることができる指先湿らせ器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉する蓋付き容器の内部にスポンジを収容した携帯用湿潤器が知られている(例えば特許文献1を参照)。このような携帯用湿潤器を使用することで、例えば外出先でレジ袋を開いたり紙類をめくったりする際に、指先を衛生的に湿らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の携帯用湿潤器では、指先を湿らせる際に蓋を開いてスポンジを露出させる動作が必要であり、指先を湿らせるのに手間と時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、簡単に指先を湿らせることができる携帯に適した指先湿らせ器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る指先湿らせ器は、天面部に開口を有する中空状のケース部材の内部に、前記開口を内側から塞ぐボタン部材と、吸液性を有する吸液部材とを備えており、前記ボタン部材を押し込むことで、前記ケース部材の前記天面部と前記ボタン部材との隙間から液体が染み出すように構成したものである。
【0007】
本発明の指先湿らせ器によれば、液体が染み出す開口がボタン部材で塞がれているので携帯性に優れるとともに、ボタン部材を指先で押し込むだけで、その指先を染み出した液体(例えば水)で湿らせることができる。例えば親指又は人差し指の腹がボタン部材に接触するようにして指先湿らせ器を親指と人差し指とで挟持し、そしてボタン部材を押し込むことで、親指又は人差し指の腹を簡単に湿らせることができる。
【0008】
本発明の指先湿らせ器において、前記ケース部材の内部に、前記ボタン部材の周縁部を前記ケース部材の天面部下面に押し付ける弾性部材を備えているようにしてもよい。
【0009】
このような態様によれば、ケース部材とボタン部材との密着性を向上でき、液体の漏れ及び蒸発を抑制できる。ここで、ボタン部材の周縁部とケース部材の天面部下面との間にシール部材を備えているようにすれば、より効果的に液体の漏れ及び蒸発を抑制できる。
【0010】
本発明の指先湿らせ器において、前記開口に露出する前記ボタン部材の上面は凹状に形成されているようにしてもよい。
【0011】
このような態様によれば、ケース部材とボタン部材との隙間から染み出した液体をボタン部材の上面に誘導できるので、指先を確実に湿らせることができるとともに、液ダレを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、簡単に指先を湿らせることができる携帯に適した指先湿らせ器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】指先湿らせ器の一実施形態を示す斜視図であり、(A)は上面側、(B)は裏面側を示す。
【
図2】(A)は同実施形態の縦断面図、(B)は一部分を拡大して示す断面図である。
【
図4】(A)は使用時の同実施形態の縦断面図、(B)は一部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、指先湿らせ器の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図4に示すように、指先湿らせ器1は、天面部21に開口22を有する中空状のケース部材2と、ケース部材2の内部に設けられて開口22を内側から塞ぐボタン部材3と、吸液性を有する吸液部材4とを備えている。また、ケース部材2の内部には、ボタン部材3の周縁部をケース部材2の天面部21の下面に押し付ける弾性部材5が設けられている。
【0015】
ボタン部材3は、ケース部材2の内部で上下摺動可能に設けられている。ボタン部材3を押し込むことで、ケース部材2の天面部21とボタン部材3との間に隙間が形成されるとともに、水10(液体の一例)を含んだ吸液部材4が圧縮され、吸液部材4から染み出した水10がケース部材2の天面部21とボタン部材3との隙間から外部に染み出すように構成されている(
図1(A)参照)。
【0016】
次に、指先湿らせ器1の各部の詳細について説明する。
図1~4に示すように、中空状のケース部材2は、略円筒形のケース本体23と、ケース本体23の下部を塞ぐ略円板状の蓋24とで構成されている。ケース本体23及び蓋24は、例えば金属製(ここではアルミニウム合金製又はステンレス製)であり、ねじ結合にて接続されている。
【0017】
ケース本体23の上端側には、中央部に円形の開口22を有する天面部21が設けられる一方、ケース本体23の下端側は開放されている。開口22の上部は、上端側が大径のテーパ状に形成されている。ケース本体23内部の上寄り部位はボタン収容部25を構成し、ケース本体23内部の下寄り部位は蓋収容部26を構成している。ケース本体23の上角部及び下角部は丸みを帯びており、指先湿らせ器1がユーザの指や衣服などに接触したときの怪我や衣服の損傷が防止されている。
【0018】
略円板状の蓋24は、上側の小径部と下側の大径部とを有して側面視略T字形に形成されている。蓋24は、蓋24の小径部の外周面に形成された雄ねじ部27がケース本体23の内周面に形成された雌ねじ部28にねじ込まれることで、ケース本体23とねじ結合可能に構成されている。
【0019】
また、蓋24の小径部の下寄り部位(大径部寄り部位)には、雄ねじ部27よりも小径の蓋シール保持部29が設けられている。蓋シール保持部29に嵌め込まれたOリングからなる蓋用シール部材30が蓋収容部26の内周面に密着することで、ケース本体23と蓋24との液密性が確保されている。
【0020】
蓋24の小径部の上面には、円形凹状の吸液部材収容部31が形成されており、吸液部材収容部31の底部には、上向き凸状の略円柱形の突起部32が形成されている。吸液部材収容部31には、コイルばねからなる弾性部材5の下部が突起部32に嵌合して配置されるとともに、弾性部材5を挿通可能な穴を有するドーナツ状のスポンジからなる吸液部材4が配置される。吸液部材4の厚み(高さ)は吸液部材収容部31の深さよりも大きく設けられ、吸液部材4の上端部は吸液部材収容部31の上端部よりも上方に位置している。
【0021】
蓋24の大径部の下面中央部には、中央部が深くなるように深さ方向に湾曲した直線状の溝33が形成されており、溝33にコイン等を挿し込んで、蓋24を回転可能に構成されている。
【0022】
ボタン部材3は、例えば金属製(ここではアルミニウム合金製又はステンレス製)であり、開口22よりも大径でボタン収容部25よりも小径の略円板状の形態を有し、ボタン収容部25内に収容されて、開口22を内側から塞いでいる。ボタン部材3は、外径がボタン収容部25の内径よりも少し小さく形成されて、ボタン収容部25内で上下摺動可能に設けられている。ボタン部材3の上面35は、開口22内に露出している。ボタン部材3の下面中央部には、弾性部材5の上端部を収容する円形凹状の弾性部材保持部34が形成されている。
【0023】
弾性部材5は、ケース本体23に蓋24を取り付けた状態で圧縮変形する長さに設けられ、ボタン部材3の上面35の周縁部をケース本体23の天面部21下面に押し付けるように、ボタン部材3を上向きに付勢している。弾性部材5の上下端部の移動は、突起部32と弾性部材保持部34とで規制される。弾性部材5の弾性力によってボタン部材3を上向きに付勢することで、ケース部材2のケース本体23の天面部21とボタン部材3との密着性を向上でき、水10の漏れ及び蒸発を抑制している。
【0024】
本実施形態では、ボタン部材3の上面35の周縁部に、上向き開口の円形溝からなるボタンシール保持部36が形成されており、ボタンシール保持部36にOリングからなるボタン用シール部材37が嵌め込まれている。ボタン用シール部材37は、ボタンシール保持部36の溝深さよりも大きい線径(太さ)を有している。そして、ボタン部材3が天面部21に接触した状態で、ボタン用シール部材37が天面部21下面に密着するとともに弾性変形することでケース本体23とボタン部材3との間の液密性を向上させ、より効果的に水10の漏れ及び蒸発を抑制している。
【0025】
ケース本体23の開口22に露出するボタン部材3の上面35は、凹状に形成されている。本実施形態では、ボタン部材3の上面35は、中央部が窪んだすり鉢状に形成されている。これにより、ケース部材2のケース本体23とボタン部材3との隙間から染み出した水10をボタン部材3の上面35に誘導できるので、指先を確実に湿らせることができるとともに、液ダレを抑制できる。
【0026】
また、ボタン部材3の上面35は、開口22の下方に位置しており、ユーザは指先湿らせ器1を目視しなくても、指先の感覚(触覚)でケース部材2の天面部21の開口22を探ることでボタン部材3の位置を認識できるので、使い勝手が向上する。
【0027】
指先湿らせ器1の使用の際には、ケース本体23から蓋24を取り外し、吸液部材4に水10を含ませた後、蓋24をケース本体23に取り付ける。ここで、蓋24の下面にはコイン等を挿し込み可能な溝33が形成されているので、ユーザはねじ回し等の工具を使用しなくても容易に蓋24を取り外せる。
【0028】
図4に示すように、指先を湿らせる際には、湿らせたい指先で弾性部材5の弾性に抗してボタン部材3を押し込むことで、ケース部材2の天面部21とボタン部材3の上面35との間に隙間が形成されるとともに、水10を含んだ吸液部材4が圧縮される。そして、吸液部材4から水10が染み出し、その水10はケース本体23とボタン部材3との隙間を伝って、ボタン部材3の上面35に染み出し、ユーザの指先を湿らせる。
【0029】
このように、本実施形態の指先湿らせ器1は、水10が染み出す開口22がボタン部材3で塞がれているので指先湿らせ器1を傾けたり裏返したりしても液漏れが抑制されるので携帯性に優れている。そして、ボタン部材3を湿らせたい指先で押し込むという簡単な操作で、その指先を染み出した水10で迅速かつ容易に湿らせることができる。
【0030】
例えば片手の親指又は人差し指の腹がボタン部材3の上面35に接触するようにして指先湿らせ器1を親指と人差し指とで挟持し、ボタン部材3を押し込むことで、親指又は人差し指の腹を簡単に湿らせることができる。
【0031】
なお、ボタン部材3の摺動可能範囲(押し込み量)は、ボタン部材3の下面周縁部が蓋24の小径部上端に接触することで規制される。これにより、ケース部材2の天面部21とボタン部材3の上面35との間に、ユーザの指先が挟み込まれない程度の隙間が形成されるように構成されている。
【0032】
図1に示すように、指先湿らせ器1には、チェーン等の吊下げ具6を連結可能な取付け部7が設けられており、指先湿らせ器1を吊下げ具6にて腰ベルトやカバンなどに取り付けておくことで、例えばレジ袋を開いたり財布から紙幣を取り出したりする際に、指先を迅速かつ短時間でスマートに湿らせることができる。また、吊下げ具6としてネックレスチェーンを用いて、指先湿らせ器1をネックレスとして首からぶら下げて身に着けておくことも可能である。
【0033】
なお、吸液部材4に水以外の液体を吸収させておくことも可能である。例えば、吸液部材4に消毒用アルコールを吸液させておくことで、外出先で指先湿らせ器1にて指先を消毒できる。また、ケース部材2及びボタン部材3の材料は、金属に限定されず、例えばプラスチックやゴムなどの樹脂であってもよい。また、弾性部材5を設けずに、吸水部材4の弾性力でボタン部材3の周縁部をケース部材2の天面部21の下面に押し付けるようにしてもよい。
【0034】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 指先湿らせ器
2 ケース部材
3 ボタン部材
4 吸液部材
5 弾性部材
6 吊下げ具
7 取付け部
10 水(液体の一例)
21 天面部
22 開口
23 ケース本体
24 蓋
25 ボタン収容部
26 蓋収容部
27 雄ねじ部
28 雌ねじ部
29 蓋シール保持部
30 蓋用シール部材
31 吸液部材収容部
32 突起部
33 溝
34 弾性部材保持部
35 上面
36 ボタンシール保持部
37 ボタン用シール部材