(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026008
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】残存型枠パネル連結具及び残存型枠パネルの連結構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/16 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
E04B1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129266
(22)【出願日】2020-07-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】393010215
【氏名又は名称】山下 譲二
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】山下 譲二
(57)【要約】 (修正有)
【課題】残存型枠パネルの施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃によりパネル連結具の接続不良が生じることを回避できる残存型枠パネル連結具を提供する。
【解決手段】残存型枠パネル連結具20は、残存型枠パネル1によって、屈折多面体壁を構築する際に使用するものであって、第一楔部を有する第一挿入部23と、第一挿入部23とつながる中間部と、中間部に回動可能に接続された第二挿入部33と、を備え、第一楔部は第一傾斜部23bを有し、この第一傾斜部23bの傾斜角は3度から10度の範囲であり、第一傾斜部23bが、残存型枠パネル1の第一被連結具3の所定の位置まで挿入されると、第一挿入部23は、第一傾斜部23bを介して、第一被連結金具3と残存型枠パネル1の背面2aとの間で、第一被連結金具3の弾性撓み反力を受けることにより、残存型枠パネル1の背面2aの所定の位置に緩みなく当接される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面の上側左右の所定位置に第一被連結具接続孔が形成された、鋼線からなる第一被連結具及び裏面の下側左右の所定位置に第二被連結具接続孔が形成された、鋼線からなる第二被連結具を有する残存型枠パネルによって、屈折多面体壁を構築する際に使用する、鋼板からなる残存型枠パネル連結具であって、
前記残存型枠パネルに接触する側面と反対側の側面に第一楔部を有する第一挿入部と、前記第一挿入部とつながる中間部と、前記中間部に回動可能に接続された第二挿入部と、を備え、
前記第一楔部は、少なくとも前記第一挿入部側から前記中間部側の方向に向けて幅が大きくなる第一傾斜部を有し、前記第一挿入部の側面に対する前記第一傾斜部の傾斜角は、3度から10度の範囲であり、
前記第一挿入部の前記第一傾斜部が、隣接した前記残存型枠パネルの前記第一被連結具の所定の位置まで挿入されると、前記第一挿入部は、少なくとも前記第一傾斜部を介して、前記第一被連結具と前記隣接した残存型枠パネルの背面との間で、前記第一被連結具の弾性撓み反力を受けることにより、前記隣接した残存型枠パネルの背面の所定の位置に緩みなく当接され、前記残存型枠パネルの施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃により、前記第一挿入部が前記第一被連結具内で緩み、所定の位置からずれることを回避する、
ことを特徴とする残存型枠パネル連結具。
【請求項2】
前記第二挿入部が、前記残存型枠パネルに接触する側面と反対側の側面に第二楔部を有し、この第二楔部は、前記第二挿入部側から前記中間部側の方向に向けて幅が大きくなる第二傾斜部を有し、前記第二挿入部の側面に対する前記第二傾斜部の傾斜角は、3度から10度の範囲であり、
前記第二挿入部の前記第二傾斜部が、隣接した前記残存型枠パネルの前記第二被連結具の所定の位置まで挿入されると、前記第二挿入部は、少なくとも前記第二傾斜部を介して、前記第二被連結具と前記隣接した残存型枠パネルの背面との間で、前記第二被連結具の弾性撓み反力を受けることにより、前記隣接した残存型枠パネルの背面の所定の位置に緩みなく当接され、前記残存型枠パネルの施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃により、前記第二挿入部が前記第二被連結具内で緩み、所定の位置からずれることを回避する、
ことを特徴とする請求項1に記載の残存型枠パネル連結具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の残存型枠パネル連結具によって、隣接した残存型枠パネルが連結された残存型枠パネルの連結構造であって、
前記残存型枠パネルは、裏面の上側左右の所定位置に前記第一被連結具接続孔が形成された前記第一被連結具、及び裏面の下側左右の所定位置に前記第二被連結具接続孔が形成された前記第二被連結具を有し、
前記第一挿入部は、少なくとも前記第一傾斜部を介して、前記第一被連結具と前記隣接した残存型枠パネルの背面との間で、前記第一被連結具の弾性撓み反力を受け、かつ、前記第二挿入部が、前記隣接した残存型枠パネルの前記第二被連結具に挿入されたことで形成される、
ことを特徴とする残存型枠パネルの連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折多面体壁を構築するための残存型枠パネル連結具及び残存型枠パネルの連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、壁面を構築する施工において、残存型枠パネルを積み重ねる際に、残存型枠パネル連結具が使用されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載されている残存型枠パネル連結具は、裏面の上下左右に被連結具が設けられた型枠パネルを積み重ねる場合に使用される。この残存型枠パネル連結具は、一端側が所定位置に固定される支持杆の他端側に揺動可能に取り付けられた連結部の下側挿入部分を、下側の残存型枠パネルの被連結具へ上側から挿入し、嵌合させると、下側挿入部分の前端面が残存型枠パネルの裏面に当接する。そして、連結部の上側挿入部分を、上側の残存型枠パネルの被連結具へ下側から挿入すると、上側挿入部分が被連結具内に遊嵌し、上側挿入部分の前端面と残存型枠パネルの裏面との間に所定の間隔が生じる。
【0003】
上記の残存型枠パネル連結具は、上側挿入部分を残存型枠パネルの被連結具内に間隔を確保して遊嵌させるため、下側の残存型枠パネルの前面(壁面)が5mm程度ずれていても、上側の残存型枠パネルの上端を前後へ移動させ、残存型枠パネルを積み重ねながら残存型枠パネルの前面を簡単に調整、修正することができる。そのため、この残存型枠パネル連結具を利用することで、残存型枠パネルの積み上げ作業を効率よく行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の残存型枠パネル連結具の下側挿入部分は、ハンマーで残存型枠パネル連結具の頭部を打撃することで、下側の残存型枠パネルの被連結金具に嵌合される。しかし、
図10に示すように、下側の残存型枠パネル101の被連結金具102に嵌合された残存型枠パネル連結具103の下側挿入部104は、施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃等によって、被連結金具102内で緩んでしまい、ずれたり、傾いたりすることがあった。この場合、残存型枠パネル連結具103の上側挿入部105を、積み重ねる上側の残存型枠パネル100の被連結金具106内に挿入するために、残存型枠パネル連結具103の位置を適切な位置に戻す必要があった。
そのため、作業者は、施工中に、できるだけ振動を生じさせないように配慮する必要があり、さらに、残存型枠パネル連結具103がずれてしまった場合、適切な位置に戻す修正作業が生じていた。
【0006】
また、残存型枠パネル連結具がずれた状態で、上側の残存型枠パネルを積み重ねると、上側の残存型枠パネルと残存下側の型枠パネルとの間に隙間が生じる。そのため、残存型枠パネルの背面にコンクリートを打設すると、その隙間からコンクリートが残存型枠パネルの前面に漏れ出すことがあり、その場合は、大掛かりな修復作業が必要となる。
そのため、残存型枠パネルの積み重ね作業の効率化の観点から、施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃等が生じた場合でも、下側挿入部分が下側の残存型枠パネルの被連結金具内でずれたり、傾いたりすることを確実に防止できる残存型枠パネル連結具の開発が強く望まれている。
【0007】
また、屈折した多面体壁(以下、屈折多面体壁とも記す。)を構築する場合、隣接する残存型枠パネルの背面同士は、屈折した状態で接合しなければならない。この際、例えば、特許文献1に記載の残存型枠パネル連結具を使用すると、上側挿入部の残存型枠パネルと当接される面と下側挿入部の残存型枠パネルと当接される面は、ほぼ同一平面である条件に基づく連結金具であり、隣接する残存型枠パネル背面同士は屈折した状態で接合される屈折多面体壁構築用の連結金具としては、使用できない。
【0008】
そこで、本発明は、残存型枠パネルの施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃により、被連結具内の所定の位置からずれることを回避できるとともに、湾曲した壁面を構築する場合にも使用できる残存型枠パネル連結具及びその残存型枠パネル連結具を利用した残存型枠パネルの連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る残存型枠パネル連結具は、裏面の上側左右の所定位置に第一被連結具接続孔が形成された、鋼線からなる第一被連結具及び裏面の下側左右の所定位置に第二被連結具接続孔が形成された、鋼線からなる第二被連結具を有する残存型枠パネルによって、屈折多面体壁を構築する際に使用する、鋼板からなるものであって、残存型枠パネルに接触する側面と反対側の側面に第一楔部を有する第一挿入部と、第一挿入部とつながる中間部と、中間部に回動可能に接続された第二挿入部とを備え、第一楔部は、少なくとも第一挿入部側から中間部側の方向に向けて幅が大きくなる第一傾斜部を有し、第一挿入部の側面に対する第一傾斜部の傾斜角は、3度から10度の範囲であり、第一挿入部の第一傾斜部が、隣接した残存型枠パネルの第一被連結具の所定の位置まで挿入されると、第一挿入部は、少なくとも第一傾斜部を介して、第一被連結具と隣接した残存型枠パネルの背面との間で、第一被連結具の弾性撓み反力を受けることにより、隣接した残存型枠パネルの背面の所定の位置に緩みなく当接され、残存型枠パネルの施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃により、第一挿入部が第一被連結具内で緩み、所定の位置からずれることを回避することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る残存型枠パネル連結具は、第二挿入部が、残存型枠パネルに接触する側面と反対側の側面に第二楔部を有し、この第二楔部は、第二挿入部側から中間部側の方向に向けて幅が大きくなる第二傾斜部を有し、第二挿入部の側面に対する第二傾斜部の傾斜角は、3度から10度の範囲であり、第二挿入部の第二傾斜部が、隣接した残存型枠パネルの第二被連結具の所定の位置まで挿入されると、第二挿入部は、少なくとも第二傾斜部を介して、第二被連結具と隣接した残存型枠パネルの背面との間で、第二被連結具の弾性撓み反力を受けることにより、隣接した残存型枠パネルの背面の所定の位置に緩みなく当接され、残存型枠パネルの施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃により、第二挿入部が第二被連結具内で緩み、所定の位置からずれることを回避することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る残存型枠パネルの連結構造は、上記の残存型枠パネル連結具によって、隣接した残存型枠パネルが連結された構造であって、残存型枠パネルは、裏面の上側左右の所定位置に第一被連結具接続孔が形成された第一被連結具、及び裏面の下側左右の所定位置に第二被連結具接続孔が形成された第二被連結具を有し、第一挿入部は、少なくとも第一傾斜部を介して、第一被連結具と隣接した残存型枠パネルの背面との間で、第一被連結具の弾性撓み反力を受け、かつ、第二挿入部が、隣接した残存型枠パネルの第二被連結具に挿入されたことで形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る残存型枠パネル連結具は、鋼板からなるものであり、残存型枠パネルに接触する側面と反対側の側面に第一楔部を有する第一挿入部と、この第一挿入部とつながる中間部と、この中間部に接続された第二挿入部とを備えている。そして、第一楔部は、第一挿入部側から中間部側の方向に向けて幅が大きくなる第一傾斜部を有し、第一挿入部の側面に対する第一傾斜部の傾斜角は、3度から10度の範囲である。そのため、第一傾斜部が、隣接した残存型枠パネルの第一被連結具の所定の位置まで挿入されると、第一挿入部は、第一傾斜部を介して、第一被連結具と隣接した残存型枠パネルの背面との間で、第一被連結具の弾性撓み反力を受け、隣接した残存型枠パネルの背面の所定の位置に緩みなく当接され、残存型枠パネルの施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃により、第一挿入部が前記第一被連結具内で緩み、所定の位置からずれることを回避できる。
【0013】
また、本発明に係る残存型枠パネル連結具では、第一挿入部とつながる中間部に対し、第二挿入部が回動可能に接続されている。そのため、例えば、上側の残存型枠パネルと下側の残存型枠パネルを連結する際、下側の残存型枠パネルに対し、上側の残存型枠パネルが少し傾斜していても、第二挿入部を回動させ、第二挿入部を第二被連結具接続孔に挿入することで、第二挿入部の側面を上側の残存型枠パネルの背面にしっかり当接することができる。さらに、本発明に係る残存型枠パネル連結具は、湾曲した壁面にも使用できる。例えば、円柱状の壁面を構築する場合、隣接する右側の残存型枠パネルと左側の残存型枠パネルは、直線状に連結されず、隣りの残存型枠パネルに対し、傾けて、連結される。この場合でも、第一挿入部に対し、第二挿入部を回動させて、残存型枠パネルの傾きに対応させて、使用することができる。
このように、本発明に係る残存型枠パネル連結具は、縦方向(高さ方向)や横方向(幅方向、周方向)で連結する場合にも使用できるとともに、屈折多面体壁を構築する際に使用することもできる。
【0014】
また、本発明に係る残存型枠パネル連結具は、第二挿入部が、残存型枠パネルに接触する側面と反対側の側面に第二楔部を有し、この第二楔部は、第二挿入部側から中間部側の方向に向けて幅が大きくなる第二傾斜部を有し、第二挿入部の側面に対する第二傾斜部の傾斜角は、3度から10度の範囲である。そのため、第二挿入部の前記第二傾斜部が、隣接した残存型枠パネルの第二被連結具の所定の位置まで挿入されると、第二挿入部は、第二傾斜部を介して、第二被連結具と隣接した残存型枠パネルの背面との間で、第二被連結具の弾性撓み反力を受けることにより、隣接した残存型枠パネルの背面の所定の位置に緩みなく当接され、第一挿入部と同様に、残存型枠パネルの施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃により、第二挿入部が前記第二被連結具内の所定の位置からずれることを回避できる。
このように、本発明の残存型枠パネル連結具の両側(第一挿入部と第二挿入部)に、傾斜部を有する楔部を設けることで、残存型枠パネル連結具がずれることをより確実に回避でき、屈折多面体壁を含む残存型枠壁を構築する作業効率が向上する。
【0015】
本発明に係る残存型枠パネルの連結構造は、上記の残存型枠パネル連結具によって、隣接した残存型枠パネル(例えば、上下方向、左右方向において隣接した残存型枠パネル)が連結された構造であり、第一挿入部は、第一傾斜部を介して、第一被連結具と隣接した残存型枠パネルの背面との間で、第一被連結具の弾性撓み反力を受け、かつ、第二挿入部が、隣接した残存型枠パネルの第二被連結具に挿入されたことで形成される。
そのため、残存型枠パネルの施工途中に生じる作業工具による振動や衝撃等により、第一挿入部が第一被連結具内で緩み、残存型枠パネル連結具が接続不良となることが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る残存型枠パネル連結具を使用して連結される残存型枠パネルを示す図である。(a)は側面図(部分的に断面図)であり、(b)は正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る残存型枠パネル連結具を示す図である。(a)は平面図であり、(b)は楔部の部分拡大図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る残存型枠パネル連結具を示す図である。(a)は底部図であり、(b)は残存型枠パネル連結具によって、残存型枠パネルを連結している状態を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る残存型枠パネル連結具を、隣接する残存型枠パネルに嵌合する手順を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る残存型枠パネル連結具が取り付けられた状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る残存型枠パネル連結具を使用して構築される残存型枠壁を示す図である。
【
図7】深礎杭(柱状構築体)に取り付けられた残存型枠パネル連結具を示す図である。
【
図8】前方側が垂直で、壁厚が下に向かって増大するように後方側が傾斜したコンクリート擁壁に取り付けられた残存型枠パネル連結具を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る残存型枠パネル連結具の変形例を示す図である。(a)は平面図、(b)は楔部の部分拡大図である。
【
図10】従来の残存型枠パネル連結具を使用して、残存型枠パネルを積み重ねた際に生じる課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態に係る残存型枠パネル連結具及び残存型枠パネル連結構造を、
図1から
図9を参照し説明する。本実施形態に係る残存型枠パネル連結具は、隣接する残存型枠パネル同士を連結する場合に使用され、具体的には、残存型枠パネルを積み重ねた際の上側の残存型枠パネルと下側の残存型枠パネルを連結する場合や、右側の残存型枠パネルと左側の残存型枠パネルを連結する際等に使用される。
【0018】
残存型枠パネル1は、
図1に示すように、パネル本体2と、第一被連結金具3と、第二被連結金具4を備えている。パネル本体2は、
図1(b)に示すように、矩形状であり、コンクリート等から構成されている。このパネル本体2には、例えば、高さ300mm、幅900mmのサイズのものが使用される。パネル本体2の裏面(背面)2aの上側左右の所定位置に第一被連結金具3、裏面2aの下側左右の所定位置に第二被連結金具4がそれぞれ設けられている。第一被連結金具3及び第二被連結金具4は、鋼線からなる。第一被連結金具3は、パネル本体2の裏面2aから突出するように設けられ、この第一被連結金具3には、第一被連結金具接続孔3aが形成されている。同様に、第二被連結金具4は、パネル本体2の裏面2aから突出するように設けられ、この第二被連結金具4には、第二被連結金具接続孔4aが形成されている。
【0019】
第一被連結金具接続孔3aの直径及び第二被連結金具接続孔4aの直径は、それぞれ20mmに設計されている。ここで、第一被連結金具接続孔3aの直径とは、残存型枠パネル1の裏面2aから残存型枠パネル連結具20と第一被連結金具接続孔3aとが接する位置までの距離をいい、第二被連結金具接続孔4aの直径も同様である。また、パネル本体2の内部の左右方向及び上下方向には、パネル本体2の強度を確保するために、複数の鉄筋5が設けられている。
【0020】
第一被連結金具3は、フック部6と、このフック部6の両端に連結された埋設部7とを備えている。第一被連結金具3は、埋設部7がパネル本体2の内部に埋め込まれ、フック部6をパネル本体2の裏面2aから突出させ、パネル本体2に設けられる。この第一被連結金具3には、鋼製のものを使用でき、耐食性に優れた素材を使用することが好ましく、例えば、ステンレス鋼材(SUS304)や亜鉛メッキ鋼等を使用できる。
第二被連結金具4は、第一被連結具3と同様な構成となっている。
この残存型枠パネル1は、残存型枠パネル1の長手方向が上下方向Yとなるような縦型、残存型枠パネル1の長手方向が左右方向Xとなるような横型で使用できる。残存型パネル1を縦型で使用する場合、第一被連結金具接続孔3a及び第二被連結金具接続孔4aは左右方向に開口し、一方、残存型パネル1を横型で使用する場合、第一被連結金具接続孔3a及び第二被連結金具接続孔4aは上下方向に開口している。
【0021】
次に、本実施形態に係る残存型枠パネル連結具20について説明する。
残存型枠パネル連結具20は、
図2に示すように、第一連結具片21と、第二連結具片31とが回動可能に接続されることで、構成されている。具体的には、第一連結具片21と第二連結具片31は、同じ形状であり、第二連結具片31は、第一連結具片21を180度反転させて、第一連結具片21に接続されている。この残存型枠パネル連結具20の長さLは、約180mmに設計されている。
【0022】
第一連結具片21は、板状であり、例えば、ステンレス鋼が使用される。そして、この第一連結具片21は、第一挿入部23と、第一挿入部23と連結し、中間部を構成する第一接続部24とを備えている。この第一接続部24の先端には、支持具(セパレーター)11を取り付けるために取付け孔25が形成されている。取付け孔25の直径は、約8mmである。
【0023】
第一挿入部23には、楔部(第一楔部)23aが形成され、第一挿入部23の一端側から第一接続部24側に向けて幅が大きくなる傾斜部(第一傾斜部)23bを有している。この傾斜部23bの長さL23bは10mm、高さH23bは1mmに設計されている(
図2(b))。さらに、傾斜部23bの第一挿入部23の側面23cに対する傾斜角度θ1は、3度から10度の範囲に設計されている。この傾斜角度θ1は、3度から10度が好ましく、5度から8度が最も好ましい。
【0024】
第一挿入部23の楔部23aよりも第一接続部24側には、楔部23aとつながって形成されたストッパー部23dが形成されている。このストッパー部23dは、下側に傾斜部23eを有する三角形状であり、その頂点が、前後方向Zの後方に突き出すように形成されている。この傾斜部23eの高さは4mmに設計されている。さらに、傾斜部23eの傾斜角度θ2は、第一挿入部23の側面23cに対して、15度以上で形成されている。また、第一挿入部23の平坦部23fの幅Wは、平坦部23fの側部と第一被連結金具3との間に形成される隙間が0.1mmから0.5mmとなるように設計されている。
【0025】
一方、第二連結具片31は、第二挿入部33と、第二挿入部33と連結し、中間部を構成する第二接続部34とを備えている。この第二接続部34の先端には、支持具(セパレーター)11を取り付けるために取付け孔35が形成されている(
図5)。
上述したように、第二連結具片31は、第一連結具片21を反転させたものであるため、同じ構成を有している。具体的には、第二連結具片31の第二挿入部33には、楔部(第二楔部)33aが形成され、第二挿入部33の一端側から第二接続部34側に向けて幅が大きくなる傾斜部(第二傾斜部)33bを有し、楔部33aの第二接続部34側には、楔部33aとつながって形成されたストッパー部33dが形成され、このストッパー部33dは、下側に傾斜部33eを有する三角形状であり、その頂点が、前後方向Zの後方に突き出すように形成されている。傾斜部33eの傾斜角度θ2は、第二挿入部33の側面33cに対して、15度以上で形成され、第二挿入部33の平坦部33fの幅Wは、平坦部33fの側部と第二被連結金具4との間に形成される隙間が0.1mmから0.5mmとなるように設計されている。そして、第一連結具片21の第一接続部24は、
図3に示すように、第一挿入部23に対してクランク状に折曲している。同様に、第二連結具片31の接続部34も、第二挿入部33に対してクランク状に折曲している。
【0026】
取付け孔25と取付け孔35とが重ね合うように、第一連結具片21と第二連結具片31とを重ね、取付け孔25と取付け孔35に、セパレータ11の先端の直角折曲部を嵌め込み、ナット11aで締め付けることで、第一連結具片21と第二連結具片31は、回動可能に枢着される。
【0027】
次に、本実施形態に係る残存型枠パネル連結具20の使用方法について、説明する。
【0028】
残存型枠パネル連結具20は、
図4(a)に示したように、一方の残存型枠パネル1に設けられている第一被連結金具3の第一被連結金具接続孔3aに、左側から挿入される。第一挿入部23を挿入した初期段階では、
図4(b)に示したように、平坦部23fの側部と第一被連結金具3との間に形成される隙間が形成されており、抵抗なく挿入される。
なお、残存型枠パネル連結具20の挿入方向は、残存型枠パネル1の配置によって決定され、右側から挿入してもよい。
【0029】
第一挿入部23の傾斜部23bが、第一被連結金具接続孔3aに挿入されると、傾斜部23bと第一被連結金具3との間に形成される隙間が次第に狭くなり、
図4(c)に示すように、最終的には、所定の位置で、傾斜部23bが第一被連結金具3と接し、上記の間隔はなくなる。
傾斜部23bと第一被連結金具3とが接する位置まで差し込んだ後、第二挿入部33は、支持具11側に約90度回転させ、第一接続部24の端部を左側からハンマーで打撃し、第一挿入部23を所定の位置まで押し込む。そうすると、第一挿入部23は、
図4(c)及び
図5に示すように、傾斜部23bを介して、第一被連結具3と残存型枠パネル1の裏面2aとの間で、第一被連結金具3の弾性撓み反力を受けることにより、一方の残存型枠パネル1の裏面2aの所定の位置に緩みなく当接される。
なお、第二挿入部33は、支持具11側に回転させた状態で、第一挿入部23を第一被連結金具接続孔3aに取り付けてもよい。
【0030】
第一挿入部23が、残存型枠パネル1の裏面2aの所定の位置に緩みなく当接された後、
図6に示すように、左側から、他方の残存型枠パネル1を連結する。一方の残存型枠パネル1と他方の残存型枠パネル1によって、屈折多面体の残存型枠10が構築される場合、第二連結具片31は、
図7に示すように、第二連結具片31の側面が、他方の残存型枠パネル1の裏面2aに、面接触するように、回動させ、第二挿入部33が、他方の残存型枠パネル1に設けられた第二被連結金具4の第二被連結金具接続孔4aに押し込まれる。そうすると、第二挿入部33は、傾斜部33bを介して、第二被連結具4と残存型枠パネル1の裏面2aとの間で、第二被連結金具4の弾性撓み反力を受けることにより、他方の残存型枠パネル1の裏面2aの所定の位置に緩みなく当接される。その後、支持具11のL字状の端部を深礎杭(柱状構築体)13に溶接し、固定することによって、残存型枠パネル連結具20と深礎杭13を連結する。
【0031】
以上の操作を繰り返すことで、残存型枠パネル1を左右方向X(周方向)及び上下方向Yに残存型枠パネル1が固定され、深礎杭13の前面に残存型枠10を構築する。そして、残存型枠パネル1と深礎杭13との間にコンクリート12を打設し、コンクリート12を硬化させる。
【0032】
このように、本実施形態に係る残存型枠パネル連結具20を使用した残存型枠パネルの連結構造が形成される。この残存型枠パネルの連結構造は、残存型枠パネル1が、裏面2aの上側左右の所定位置に第一連結金具接続孔3aが形成された第一被連結金具3、及び裏面2aの下側左右の所定位置に第二被連結金具接続孔4aが形成された第二被連結金具4を有し、第一挿入部23は、少なくとも傾斜部23bを介して、第一被連結金具3と一方の残存型枠パネル1の裏面2aとの間で、第一被連結金具3の弾性撓み反力を受け、かつ、第二挿入部33が他方の残存型枠パネル1の第二被連結金具4に挿入されたことで形成される(
図7)。
【0033】
次に、本実施形態に係る残存型枠パネル連結具20の作用及び効果について説明する。
【0034】
本実施形態に係る残存型枠パネル連結具20は、第一挿入部23の傾斜部23bが一方の残存型枠パネル1の第一被連結金具3の所定の位置まで挿入されると、第一挿入部23は、傾斜部23bを介して、第一被連結金具3と一方の残存型枠パネル1の裏面2aとの間で、第一被連結金具3の弾性撓み反力を受け、下側の残存型枠パネル1の裏面2aの所定の位置に緩みなく確実に当接される。そうすると、残存型枠パネル1の施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃等により、第一挿入部23が第一被連結金具3内で緩み、所定の位置からずれたり、傾いたりすることを回避できる。
したがって、作業者は、修復作業を行う必要がなく、効率よく、残存型枠パネル1を連結及び積み上げることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る残存型枠パネル連結具20では、楔部23aに傾斜部23bを有し、第一挿入部23の側面に対する傾斜部23bの傾斜角度θ1を3度から10度の範囲とすることで、残存型枠パネル連結具20は、確実に第一被連結金具3内に確実に嵌合され、所定の位置からずれたり、傾いたりすることを回避することができる。
傾斜部23bは、傾斜角度θ1が3度よりも小さく形成されている(例えばθ1が1度)と、楔の役割を果たさず、第一挿入部23は、第一被連結金具接続孔3aをすり抜けてしまい、傾斜部23bを介して、第一被連結金具3と一方の残存型枠パネル1の裏面2aとの間で、第一被連結金具3の弾性撓み反力を受けることはない。そうすると、第一挿入部23を第一被連結金具3に嵌合することはできなくなり、残存型枠パネル連結具20としての機能を果たさなくなる。
【0036】
本実施形態に係る残存型枠パネル連結具20において、傾斜部23bの傾斜角度θ1が10度よりも大きく形成されている(例えばθ1が30度)と、ハンマーで残存型枠パネル連結具20の頭部を打撃したときに一方の残存型枠パネル1の第一被連結金具3にしっかり嵌合されず、施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃等によって、第一被連結金具3内で緩んでしまい、ずれたり、傾いたりするおそれがある。
【0037】
本実施形態に係る残存型枠パネル連結具20は、楔部23a(楔部33a)にストッパー部23d(33d)が形成されている。ストッパー部23dが形成されていることで、仮に、第一挿入部23が、楔部23aの傾斜部23bの位置で、第一被連結金具3に当接されなかった場合でも、ストッパー部23dによって、第一挿入部23が第一被連結金具3から抜け落ちることを確実に回避できる。
【0038】
また、本実施形態に係る残存型枠パネル連結具20は、左右両側に楔部楔部23a、33a(傾斜部23b、33b)が形成されているため、残存型枠パネル連結具20がずれることをより確実に回避でき、作業効率が向上する。
【0039】
さらに、残存型枠パネル連結具20は、第二連結具片31を第一連結具片21に対し、回動させることができる。そのため、屈折多面体壁を含む残存型枠10を構築する際、一方の残存型枠パネル1に隣接して設けられる他方の残存型枠パネル1の配置に併せて、第二挿入部33の側面を他方の残存型枠パネル1の裏面2aに確実に当接させることができ、隣接する残存型枠パネル1同士をしっかり連結できる。
このように、本実施形態に係る残存型枠パネル連結具20を使用することにより、屈折多面体壁を含む残存型枠10を安定した状態で構築することができる。
【0040】
本実実施形態に係る残存型枠パネル連結具20は、湾曲した残存型枠10を構築する場合以外にも、隣接する残存型枠パネル1の背面同士が同一平面に配置されない場合にも利用することができる。例えば、
図8に示すように、前方側が垂直で、壁厚が下に向かって増大するように後方側が傾斜したコンクリート擁壁を構築する際にも使用できる。
前方側のように、残存型枠パネル1を垂直に積み重ねる場合、第二連結具片31は、第一連結具片21に対して、回動させずに使用する。一方、後方側のように、上側のパネルを、下側のパネルに対して、傾斜させて積み重ねる場合、第二連結具片31を、第一連結具片21に対して、回動させ、第二連結具片31の側面をパネルに確実に面接触させることができる。隣接するパネル同士を傾斜させて積み重ねる箇所は少なく、さらに、傾斜させる角度は施工現場ごとに異なる。そのため、本実施形態に係る残存型枠パネル連結具20のように、隣接するパネル同士の状態に応じて、第二連結具片31を回動させることができるため、価値が高い。
【0041】
以上、本実施形態について説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
残存型枠パネル連結具20のストッパー部23dは、残存型枠パネル連結具20が第一被連結金具3から抜け落ちてしまうことを回避できる形状であれば、本実施形態で示した形状に限定されない。例えば、このストッパー部23dは、
図9に示したように、第一挿入部23の平坦部23fに対し、略垂直に後方に突出している形状とすることができる。
【0042】
また、残存型枠パネル連結具20(各部)のサイズや第一連結金具3の直径、第二連結金具4の直径は、本実施形態で示したものに限定されず、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 残存型枠パネル
2 パネル本体
2a 裏面(背面)
3 第一被連結金具
3a 第一被連結金具接続孔
4 第二被連結金具
4a 第二被連結金具接続孔
5 鉄筋
6 フック部
7 埋設部
10 残存型枠
11 支持具(セパレーター)
11a ナット
12 コンクリート
13 深礎杭(柱状構築体)
20 残存型枠パネル連結具
21 第一連結具片
23 第一挿入部
23a 楔部(第一楔部)
23b 傾斜部
23c 側面
23d ストッパー部
23e 傾斜部
23f 平坦部
24 第一接続部(中間部)
25 取付け孔
31 第二連結具片
33 第二挿入部
33a 楔部(第二楔部)
33b 傾斜部
33c 側面
33d ストッパー部
33e 傾斜部
33f 平坦部
34 第二接続部(中間部)
35 取付け孔
100 上側の残存型枠パネル
101 下側の残存型枠パネル
102 被連結金具
103 残存型枠パネル連結具
104 下側挿入部
105 上側挿入部
106 被連結金具
θ1、θ2 傾斜角度
L23b 長さ
H23b 高さ
L 長さ
W 幅
X 左右方向
Y 上下方向
Z 前後方向
【手続補正書】
【提出日】2021-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面の所定位置に第一被連結具接続孔が形成された、鋼線からなる第一被連結具及び裏面の所定位置に第二被連結具接続孔が形成された、鋼線からなる第二被連結具を有する残存型枠パネルによって、屈折多面体壁を構築する際に使用する、鋼板からなる残存型枠パネル連結具であって、
前記残存型枠パネルに接触する側面と反対側の側面に形成された第一楔部及びこの第一楔部につながる第一ストッパー部を有する第一挿入部と、前記第一挿入部とつながる中間部と、前記中間部に回動可能に接続された第二挿入部と、を備え、
前記第一挿入部が前記残存型枠パネルに接触する側面と反対側の側面に平坦部を有し、前記第一楔部が前記平坦部よりも前記中間部側に形成され、
前記第一楔部は、少なくとも前記第一挿入部側から前記中間部側の方向に向けて幅が大きくなる第一傾斜部を有し、前記第一挿入部の側面に対する前記第一傾斜部の傾斜角が5度から8度の範囲であり、
前記第一ストッパー部は、前記平坦部側から前記中間部側に向けて傾斜する第一傾斜面を有し、前記第一挿入部の側面に対する前記第一傾斜面の傾斜角が15度以上であり、
前記第一挿入部の前記第一傾斜部が、隣接した前記残存型枠パネルの前記第一被連結具の所定の位置まで挿入されると、前記第一被連結具が前記第一傾斜面と接し、前記第一挿入部は、少なくとも前記第一傾斜部を介して、前記第一被連結具と前記隣接した残存型枠パネルの背面との間で、前記第一被連結具の弾性撓み反力を受けることにより、前記隣接した残存型枠パネルの背面の所定の位置に緩みなく当接され、前記残存型枠パネルの施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃により、前記第一挿入部が前記第一被連結具内で緩み、所定の位置からずれることを回避する、
ことを特徴とする残存型枠パネル連結具。
【請求項2】
前記第二挿入部が、前記残存型枠パネルに接触する側面と反対側の側面に第二楔部を有し、この第二楔部は、前記第二挿入部側から前記中間部側の方向に向けて幅が大きくなる第二傾斜部を有し、前記第二挿入部の側面に対する前記第二傾斜部の傾斜角は、5度から8度の範囲であり、
前記第二挿入部の前記第二傾斜部が、隣接した前記残存型枠パネルの前記第二被連結具の所定の位置まで挿入されると、前記第二挿入部は、少なくとも前記第二傾斜部を介して、前記第二被連結具と前記隣接した残存型枠パネルの背面との間で、前記第二被連結具の弾性撓み反力を受けることにより、前記隣接した残存型枠パネルの背面の所定の位置に緩みなく当接され、前記残存型枠パネルの施工途中に生じる作業工具の振動や衝撃により、前記第二挿入部が前記第二被連結具内で緩み、所定の位置からずれることを回避する、
ことを特徴とする請求項1に記載の残存型枠パネル連結具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の残存型枠パネル連結具によって、隣接した残存型枠パネルが連結された残存型枠パネルの連結構造であって、
前記残存型枠パネルは、裏面の所定位置に前記第一被連結具接続孔が形成された前記第一被連結具、及び裏面の所定位置に前記第二被連結具接続孔が形成された前記第二被連結具を有し、
前記第一挿入部は、少なくとも前記第一傾斜部を介して、前記第一被連結具と前記隣接した残存型枠パネルの背面との間で、前記第一被連結具の弾性撓み反力を受け、かつ、前記第二挿入部が、前記隣接した残存型枠パネルの前記第二被連結具に挿入されたことで形成される、
ことを特徴とする残存型枠パネルの連結構造。