(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026022
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】寄せ植え用プランター
(51)【国際特許分類】
A01G 9/04 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
A01G9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129287
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】390013435
【氏名又は名称】アップルウェアー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平尾 勝志
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327ND01
2B327QA02
2B327QB12
2B327QB24
2B327QC07
2B327QC29
2B327RA02
2B327RA13
2B327RA14
2B327RA26
2B327TA27
2B327TC13
2B327UA16
2B327UA21
(57)【要約】
【課題】寄せ植え全体の美観を損なわず、簡単且つ自由なレイアウトで寄せ植え可能な使い勝手の良い寄せ植え用プランターを提供する。
【解決手段】本発明の寄せ植え用プランター1は、上方に開口する複数のインナー容器2と、内部にインナー容器2を複数並べて収容可能な上方に開口するアウター容器3と、を備えた寄せ植え用プランターであって、インナー容器2は、上方開口部21の開口面積が異なり、且つ下面部22から上方開口部21までの高さ寸法が略同一である複数種類からなる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する複数のインナー容器と、内部に前記インナー容器を複数並べて収容可能な上方に開口するアウター容器と、を備えた寄せ植え用プランターであって、
前記インナー容器は、上方開口部の開口面積が異なり、且つ下面部から上方開口部までの高さ寸法が略同一である複数種類からなることを特徴とする、寄せ植え用プランター。
【請求項2】
前記アウター容器は、内部に水が一定以上溜まらないようにするためのオーバーフロー孔を備え、
前記インナー容器は、内外に水を流通可能とする通水孔を備え、
前記通水孔は、前記インナー容器が前記アウター容器内に収容された状態において、少なくとも一部が前記オーバーフロー孔の配置高さより下方に配されたことを特徴とする、請求項1に記載の寄せ植え用プランター。
【請求項3】
前記インナー容器は、下面部から周面部に沿って上方へ凹没する窪み部を備え、
前記窪み部の上底部は、前記インナー容器が前記アウター容器内に収容された状態において、前記オーバーフロー孔の配置高さより上方に配され、
前記通水孔は、少なくとも一部が前記窪み部を構成する側面部に設けられたことを特徴とする、請求項2に記載の寄せ植え用プランター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の植物を寄せ集めて栽培可能な寄せ植え用プランターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
古来より、観賞用の草花や低木など複数種類の植物を1つのプランターや庭の1か所にまとめて植え、その植生を楽しむ所謂寄せ植えが行われている。一般に、寄せ植えには、植木鉢や育苗ポットで個々に育成された植物が用いられるが、この場合、植木鉢や育苗ポット等の容器から1つずつ植物を取り出してプランターや庭に植え替える作業が必要であるため、非常に手間がかかるし、植物を取り出した後の不要な空の容器の保管場所や廃棄の問題も生じる。また、寄せ植えが完成した後に、植物の配置を変更したり、枯れた植物を取り替えたりするのにも手間がかかる。
【0003】
これらの問題を考慮して、例えば、植物を植木鉢に植えられた状態のまま寄せ集めて並べる方法も考えられる。ところが、家庭で草花や低木などを栽培するのに用いられる一般的な植木鉢は、様々な大きさのものがあり、植物の品種や生育度に合わせて使い分けられる。従って、上記のように単に植木鉢を並べただけでは、各植木鉢の大きさや植物の植え付け高さが不揃いであることが外部に露見され、寄せ植え全体の美観が損なわれる。また、植木鉢の大きさによって植物の植え付け高さが異なるため、小さな植木鉢の植木が大きな植木鉢によって隠れないようなレイアウトに制限される問題もある。さらに、上記従来の一般的な植木鉢は、その大きさによって容量が大きく異なるため、上記のように並べられた各植木鉢へ一律に水やりが行われた場合に、小さな植木鉢への給水量が多くなり過ぎて、根腐れを招く虞もある。
【0004】
一方で、複数の植木鉢に自動で給水可能な底面灌水機能を備えたプランターとして、複数の植木鉢を並べて収容可能なプランター本体を備え、プランター本体に貯留した水を毛細管現象により各植木鉢の載置部に吸い上げて供給するように構成されたものが提案されている(例えば、特許文献1および2)。
【0005】
特許文献1および2のプランターは、プランター本体の内側中間部に台座が設けられており、その台座の上面に前後左右規則的に並べて設けられた凹部(鉢載置部)に植木鉢を載置して使用される。また、プランター本体内には、上記凹部の下面より下方位置まで水を貯留可能であり、このプランター本体内に貯留された水を吸水材によって凹部に吸い上げることで、各植木鉢に水を供給するように構成されている。これにより、各植木鉢へ頻繁に水やりを行わなくてもよいから、給水量が多くなり過ぎることがなく、根腐れし難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-22650号
【特許文献2】特開平5-49350号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2のプランターは、予め決められた位置(凹部)にしか植木鉢を載置できず、また、使用可能な植木鉢の大きさも制限されるため、植物の自由なレイアウトが望まれる寄せ植えには不向きであった。
【0008】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、複数種類の植物を寄せ集めて栽培可能な寄せ植え用プランターにおいて、寄せ植え全体の美観を損なわず、簡単且つ自由なレイアウトで寄せ植え可能な使い勝手の良い寄せ植え用プランターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の寄せ植え用プランターは、以下の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明の寄せ植え用プランターは、上方に開口する複数のインナー容器と、内部に前記インナー容器を複数並べて収容可能な上方に開口するアウター容器と、を備えた寄せ植え用プランターであって、前記インナー容器は、上方開口部の開口面積が異なり、且つ下面部から上方開口部までの高さ寸法が略同一である複数種類からなることを特徴としている。
【0011】
好ましくは、前記アウター容器は、内部に水が一定以上溜まらないようにするためのオーバーフロー孔を備え、前記インナー容器は、内外に水を流通可能とする通水孔を備え、前記通水孔は、前記インナー容器が前記アウター容器内に収容された状態において、少なくとも一部が前記オーバーフロー孔の配置高さより下方に配される。
【0012】
好ましくは、前記インナー容器は、下面部から周面部に沿って上方へ凹没する窪み部を備え、前記窪み部の上底部は、前記インナー容器が前記アウター容器内に収容された状態において、前記オーバーフロー孔の配置高さより上方に配され、前記通水孔は、少なくとも一部が前記窪み部を構成する側面部に設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の寄せ植え用プランターによれば、インナー容器に別個に植えられた複数種類の植物を、インナー容器に植えられた状態のままアウター容器内に並べて収容させるだけで、所望のレイアウトの寄せ植えを簡単に完成させることができる。またその際、各インナー容器の上方開口部は、同一平面上に配されるから、それらインナー容器における植物の植え付け面の高さを一致させることができるし、インナー容器の大きさの不揃い感も低減される。よって、寄せ植え全体の美観が損なわれることもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態の寄せ植え用プランターの上方斜視図である。
【
図2】実施形態の寄せ植え用プランターの平面図である。
【
図3】実施形態の寄せ植え用プランターの上方斜視分解図である。
【
図4】実施形態の寄せ植え用プランターの正面視概略断面図である。
【
図5】実施形態の寄せ植え用プランターのインナー容器の下方斜視図である。
【
図6】実施形態の寄せ植え用プランターのインナー容器の底面図である。
【
図7】実施形態の変形例1を示す寄せ植え用プランターのアウター容器の部分拡大図である。
【
図8】実施形態の変形例2を示す寄せ植え用プランターの平面図である。
【
図9】実施形態の変形例3を示す寄せ植え用プランターの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る寄せ植え用プランターを、図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0016】
図1~
図4に示すように、本実施形態の寄せ植え用プランター1は、上方に開口する複数の有底略円筒状のインナー容器2と、上方に開口する有底略矩形箱状のアウター容器3とを備えており、各インナー容器2に草花や低木などの植物を植え付け、それらインナー容器2をアウター容器3内の所望の位置に並べて使用される。
【0017】
なお、以降の説明においては、
図2の平面図における上下方向、即ち、アウター容器3の短手方向を寄せ植え用プランター1の前後方向、同平面図における左右方向、即ち、アウター容器3の長手方向を寄せ植え用プランター1の左右方向、同平面図に対して垂直な方向、即ち、アウター容器3の開口面に直交する方向を寄せ植え用プランター1の上下方向とする。
【0018】
本実施形態では、3種類の異なる大きさ(4号型、5号型、6号型)のインナー容器2が用いられるが、4種類以上の異なる大きさのインナー容器2が用いられてもよいし、2種類または1種類の大きさのインナー容器2のみ用いられてもよい。また、本実施形態のインナー容器2およびアウター容器3は、ポリプロピレンなどの合成樹脂により形成されるが、屋内外で植物を栽培するのに適した強度や耐水性、耐候性を有していれば、金属、セラミック、耐水加工された木材など、その形成素材に何ら限定されない。
【0019】
インナー容器2の上方開口部21の開口面積は、インナー容器2の大きさによって異なっている。具体的には、本実施形態の場合、4号型のインナー容器(以下、適宜「4号ポット」ともいう)2Aの上方開口部21は、内径約12cmに設定され、5号型のインナー容器(以下、適宜「5号ポット」ともいう)2Bの上方開口部21は、内径約15cmに設定され、6号型のインナー容器(以下、適宜「6号ポット」ともいう)2Cの上方開口部21は、内径約18cmに設定されている。従って、例えば、比較的小さな植物を栽培する場合は、開口面積が小さな4号ポット2Aが用いられ、中型の植物を栽培する場合は、開口面積が中間の5号ポット2Bが用いられ、比較的大きな植物を栽培する場合は、開口面積が大きな6号ポットが用いられる。このように、本実施形態の寄せ植え用プランター1は、品種や生育度が異なる複数種類の植物を、開口面積が異なる複数のインナー容器2の中から選択し、それぞれ別個に植え付けて栽培することができる。
【0020】
インナー容器2の下面部22から上方開口部21までの高さ寸法は、インナー容器2の大きさにかかわらず、全て同一に設定されている。具体的には、本実施形態の場合、インナー容器2はいずれも、高さ約23cmに設定されている。従って、上記のように異なる種類の植物が植えられた複数の大きさのインナー容器2をアウター容器3内に並べて収容されても、それらインナー容器2の上方開口部21は、全て同一平面上に配される。
【0021】
図3~
図6に示すように、インナー容器2の下面部22の中央には、インナー容器2の上方へ凹没する略円錐台状の窪み部(以下、適宜「中央窪み部」ともいう)23が形成されている。また、インナー容器2の下面部22の外周には、インナー容器2の周面部20に沿って上方へ凹没し、インナー容器2の外部空間と中央窪み部23の内部空間とを連通させる溝状の窪み部(以下、適宜「外周窪み部」という)24が形成されている。本実施形態では、外周窪み部24は、中央窪み部23を中心としてその外周側に90度の間隔で設けられており、インナー容器2の下面部22を底面視略十字状に分割している。即ち、外周窪み部24は、インナー容器2の底部を4つに分割し、下方へ凸の4つの底脚部25を形成している。なお、インナー容器2内に収容される植物の培養土は、底脚部25の内部まで充填される。
【0022】
窪み部23,24は、インナー容器2の下面部22からインナー容器2の全高の略1/3の高さ位置まで凹没形成されており、その上底部(以下、「窪み部上底」という)26
は、インナー容器2がアウター容器3内に収容された状態において、アウター容器3の周面部30に設けられた貫通孔33,34の配置高さより上方に配される。
【0023】
底脚部25にはそれぞれ、底脚部25の内外に水を流通可能とする単数または複数の通水孔27が設けられている。本実施形態では、通水孔27は、インナー容器2の下面部(以下、適宜「底脚下面部」ともいう)22から中央窪み部23へ向かって延び、さらに底脚部25の中央窪み部23側の側面部(以下、「底脚内側面部」という)250に沿って上方に延びる1本のスリット状に形成されている。従って、アウター容器3内に水が溜められた状態のとき、通水孔27は、その少なくとも一部が水没し、底脚部25内に水を流入させる。
【0024】
通水孔27は、底脚内側面部250の上下間における下縁部から略7/8の高さ位置まで延設されている。即ち、通水孔27は、窪み部23,24を構成する底脚内側面部250に設けられており、アウター容器3内に水が上記7/8の高さ位置まで溜められていない状態のとき、或いはアウター容器3から取り出して単体で使用されるとき、通水孔27は、窪み部23,24を通じてインナー容器2内に空気を流通させるための通気孔にもなるし、インナー容器2内に供給された水を外部に排出するための排水孔にもなる。
【0025】
アウター容器3の上方開口部31は、複数のインナー容器2を前後左右に並べて収容可能な大きさの平面視略長方形状に形成されている。具体的には、本実施形態の場合、アウター容器3の上方開口部31は、前後内寸(縦幅)約38cm、左右内寸(横幅)約62cmに設定されており、例えば4号ポット2Aであれば、前後に3つ左右に5つ並べて収容することができる。また、5号ポット2Bであれば、前後に2つ左右に4つ並べて収容することができ、6号ポット2Cであれば、前後に2つ左右に3つ並べて収容することができる。
【0026】
なお、アウター容器3の内底部は、凹凸の少ない略平面状に形成されており、インナー容器2を安定して起立させることができるが、さらにその内底部に、対応する大きさおよび形状のスノコを敷設し、その上から培養土を入れれば、プランター単体として使用することもできる。また、本実施形態では、アウター容器3の内底部に、インナー容器2の底脚部25を係合保持可能な凹凸を形成してもよいし、上記凹凸を有する支持トレーを敷設してもよい。これにより、インナー容器2をより安定して起立させることができる。
【0027】
アウター容器3の上方開口部31から下面部32までの高さ寸法は、インナー容器2の全体をアウター容器3の内側に埋没させることが可能な高さに設定されている。具体的には、本実施形態の場合、アウター容器3は、高さ約24cmに設定されている。従って、インナー容器2をアウター容器3内に収容させたとき、各インナー容器2の上方開口部21は、アウター容器3の上方開口部31にそれぞれ略面一致した状態で配される。
【0028】
図1、
図3および
図4に示すように、アウター容器3の周面部30には、アウター容器3の内外の空間を繋ぐ2つの貫通孔33,34が設けられている。これら貫通孔33,34は、周面部30の前後間の略中央位置に、上下縦並びで配置されている。なお、本実施形態では、貫通孔33,34は、周面部30における左右一方の面に設けられているが、左右両方の面に設けられてもよいし、前後一方または両方の面に設けられてもよい。
【0029】
アウター容器3の周面部30の上側に位置する貫通孔33は、水がアウター容器3内に一定以上溜まらないようにするためのオーバーフロー孔として、周面部30の下からアウター容器3の全高の略1/4の高さ位置に設けられている。従って、インナー容器2の通水孔27は、インナー容器2がアウター容器3内に収容された状態において、その少なくとも一部が上記貫通孔33より下方となる高さ位置に配される。一方、周面部30の下側
に位置する貫通孔34は、アウター容器3内の水を全て外部に排出させるための排水孔として、周面部30の下縁部に隣接して設けられている。
【0030】
底面灌水栽培を行う場合は、上側の貫通孔(以下、「オーバーフロー孔」という)33を開放させた状態のまま、下側の貫通孔(以下、「排水孔」という)34を外側から止水栓35で封止させる。従って、この状態でアウター容器3内に水を注入すれば、内底部から略1/4の高さ位置まで水が貯留される。これにより、各インナー容器2の底脚部25の下端から略5/6の範囲が水没し、窪み部上底26とアウター容器3内の水面WSとの間には、空気の層が形成される(
図4参照)。
【0031】
上記のようにアウター容器3内にオーバーフロー孔33の高さまで水を貯留させ、各インナー容器2の底脚部25が水没した状態にすることで、アウター容器3内の水が通水孔27を通じて底脚部25内の培養土に浸潤し、さらにその毛細管現象によって、底脚部25より上方の領域に吸い上げられる。これにより、各インナー容器2へ頻繁に水やりを行わなくても、長時間に亘って水を供給することができる。またその際、通水孔27の一部が水面WS上に露出することで、上記空気の層から通水孔27を通じて底脚部25内に空気が流通するから、培養土中に適度な空気を供給することができるし、植物の根が長時間水に浸かったままの状態になるのを防ぐこともできる。
【0032】
一方、アウター容器3内に、オーバーフロー孔33の高さ以上に水を貯留させて使用する場合は、オーバーフロー孔33および排水孔34を共に止水栓35で封止させる。なお、止水栓35の紛失を防止するため、アウター容器3の上縁部外周に設けられたフランジ部36や周面部30の上縁部寄りの位置に、オーバーフロー孔33や排水孔34から取り外された止水栓35を係合保持させておくための孔や凹凸、引掛け部等が設けられてもよい。或いは止水栓35とフランジ部36とを紐やチェーン等で連結させてもよい。
【0033】
このように、上記寄せ植え用プランター1によれば、異なる種類の植物が別個に植えられたインナー容器2を、そのままの状態でアウター容器3内に並べて収容することにより、寄せ植えを完成させることができるから、寄せ植え作業の手間が軽減されるし、不要な空の容器の保管場所や廃棄の問題も生じない。また、寄せ植え作業の途中や寄せ植えが完成した後で、植物の配置変更や追加、交換等を簡単且つ自由にすることができるから、使い勝手も良好である。
【0034】
しかも、このものでは、大きさの異なるインナー容器2を用いても、それら各インナー容器2の上方開口部21は、アウター容器3内にて同一平面上に並べて配されるから、各インナー容器2における植物の植え付け高さを均一に揃えることができるし、各インナー容器2の大きさの不揃い感も低減される。さらに、小さなインナー容器2(例えば、4号ポット2A)の植木が大きなインナー容器2(例えば、6号ポット2C)によって隠れる虞もない。従って、寄せ植え全体としての美観が損なわれず、且つレイアウトの自由度も高い。
【0035】
また、インナー容器2がいずれも略円筒状に形成されていることで、アウター容器3内に複数のインナー容器2を密接して収容しても、それらインナー容器2相互間には、常に一定の空間が画成されるから、アウター容器3に対してインナー容器2を容易に出し入れすることができるし、インナー容器2内の培養土や植物の蒸れも抑制できる。
【0036】
さらに、このものでは、アウター容器3内にオーバーフロー孔33の高さまで水を貯留させる底面灌水機能を使用すれば、各インナー容器2へ頻繁に水やりを行う必要がないから、給水量過多に伴う根腐れも防止できる。
【0037】
なお、上記寄せ植え用プランター1を用いた具体的な寄せ植え方法としては、別の植木鉢や育苗ポット等で育成された植物を、インナー容器2に植え替えてアウター容器3内に並べてもよいし、複数種類の植物をインナー容器2にて別個に育成させ、それらの中から所望の植物が植えられたインナー容器3を寄せ集めてアウター容器2内に並べてもよい。
【0038】
[変形例]
上記実施形態では、アウター容器3の下面部32は、略平面状に形成されているが、上記実施形態の変形例として、
図7(a)および(b)に示すように、アウター容器3の下面部32にキャスター4が設けられてもよい。
【0039】
図7(a)は、キャスター4を備えたアウター容器3の底コーナー部37を左側面側から見た状態を示す図であり、
図7(b)は、キャスター4を備えたアウター容器3の底コーナー部37を正面側から見た状態を示す図である。これらの図に示すように、アウター容器3の底部の前後左右4つのコーナー部37には、下面部32から下向きに突出する枠体(以下、「脚枠」という)38が形成されている。
【0040】
脚枠38には、キャスター4を回動可能に軸支する前後1対の軸受孔42が貫設されている。軸受孔42は、脚枠38の左右2か所に設けられており、その一方(ここでは、アウター容器3の外側)の軸受孔42は、他方の軸受孔42より低位置に設けられている。
【0041】
キャスター4は、外周面中央が外側へ膨出する横向き樽型に形成されており、その前後の端面部に形成された回転軸41を、低位置側の軸受孔42に嵌挿させることで、外周胴部の接地面40が脚枠38の下縁部380より下方に露出した状態で脚枠38に支持される。一方、回転軸41を高位置側の軸受孔42に嵌挿させれば、キャスター4の全体が脚枠38の内側の空間に隠蔽収容される。
【0042】
このように、キャスター4を脚枠38に対して下方に露出させた状態で取り付けることで、アウター容器3を載置面に対して4つのキャスター4で支持させることができる。また、キャスター4を脚枠38に対して内側に隠蔽させた状態で取り付ければ、アウター容器3を載置面に対して4つの脚枠38の下縁部380で支持させることができる。これにより、使い勝手が一層向上する。
【0043】
上記実施形態では、インナー容器2は、平面視略円形状に形成されているが(
図2参照)、平面視略楕円形状に形成されたものとしてもよいし、平面視略三角形や四角形、五角形以上の多角形状に形成されたものとしてもよい。同様に、アウター容器3は、平面視略長方形状に形成されているが(
図2参照)、平面視略円形状や略楕円形状に形成されたものとしてもよいし、平面視三角形状や五角形以上の多角形状に形成されたものとしてもよい。
【0044】
上記実施形態では、アウター容器3は、複数のインナー容器2を前後左右に並べて収容可能な大きさの平面視略長方形状に形成されているが(
図2参照)、
図8に示すように、複数のインナー容器2を左右一列にのみ並べて収容可能な大きさ(例えば、前後内寸約20cm、左右内寸約62cm)の平面視略長方形状に形成されたものとしてもよいし、
図9に示すように、複数のインナー容器2を円環状に並べて収容可能な大きさ(例えば、内径約45cm)の平面視略円形状に形成されたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 寄せ植え用プランター
2 インナー容器
3 アウター容器
21 インナー容器の上方開口部
22 インナー容器の下面部
23 中央窪み部(窪み部)
24 外周窪み部(窪み部)
25 底脚部
26 窪み部上底
27 通水孔
31 アウター容器の上方開口部
32 アウター容器の下面部
33 オーバーフロー孔
34 排水孔
35 止水栓