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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026057
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】宅配ボックス
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/122 20060101AFI20220203BHJP
   B66F 7/06 20060101ALI20220203BHJP
   B66F 19/02 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A47G29/122 D
B66F7/06 F
B66F19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129337
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】古橋 正得
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA43
3K100CA47
3K100CC10
(57)【要約】
【課題】転倒を抑制しつつ、設置場所を容易に変更可能な宅配ボックスを提供する。
【解決手段】宅配ボックス100は、設置面SFへの設置時において、ボックス本体部101の転倒を抑制する転倒抑制機構11を備えている。転倒抑制機構11がボックス本体部101の転倒を抑制することができる。また、宅配ボックス100は、移動機構10による移動を許容する移動可能状態、及び設置面SFにボックス本体部101を設置した設置状態を切り替える切替機構12を備えている。従って、宅配ボックス100の設置場所を変更する場合は、切替機構12によって、移動機構10による移動を許容する移動可能状態に容易に切り替えることができる。そのため、作業者は、移動機構10を用いてボックス本体部101をスムーズに移動させて容易に設置場所を変更することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収納可能なボックス本体部と、
前記ボックス本体部を設置面上で移動可能に支持する移動機構と、
前記設置面への設置時において、前記ボックス本体部の転倒を抑制する転倒抑制機構と、
前記移動機構による移動を許容する移動可能状態、及び前記設置面に前記ボックス本体部を設置した設置状態を切り替える切替機構と、を備える、宅配ボックス。
【請求項2】
前記転倒抑制機構は、転倒抑制プレートを有し、
前記転倒抑制プレートは、前記設置面に設置された状態において、前記設置面に沿って広がる設置部、及び前記設置部から立ち上がって前記ボックス本体部側に取り付けられる取付部を有し、
前記切替機構は、前記ボックス本体部及び前記転倒抑制プレートに対して、前記移動機構を相対的に昇降させる昇降部を有する、請求項1に記載の宅配ボックス。
【請求項3】
前記昇降部は、ジャッキアップ構造によって構成される、請求項2に記載の宅配ボックス。
【請求項4】
前記ボックス本体部は、上下方向から見て長辺及び短辺を有し、
前記ジャッキアップ構造において、ジャッキアップのための駆動力付与部は、前記ボックス本体部における短辺側に設けられる、請求項3に記載の宅配ボックス。
【請求項5】
前記転倒抑制機構は、前記宅配ボックスの重心を下側に設定する重心位置調整機構によって構成され、
前記切替機構は、前記移動機構の車輪の回転をロックするロック部によって構成される、請求項1に記載の宅配ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されるような宅配ボックスが知られている。この宅配ボックスは、収納部を有するボックス本体部を台座に載置させた状態で設置している。このような台座は組み立て式になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-98108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、宅配ボックスは、設置場所を容易に変更可能であることが求められる。例えば、コンビニエンスストアなどへの宅配ボックスの設置先では、営業時間短縮などの影響で、時間帯により店舗の屋内(営業時間内)に宅配ボックスを設置したり、店舗の屋外(営業時間外)に宅配ボックスを設置するなど、設置場所が変わる場合がある。あるいは、提供するサービス・商品により宅配ボックスの使い方(前入れ前出し、前入れ後ろ出し)の変更によるレイアウト変更に対応可能とする必要がある。以上より、作業者が、宅配ボックスの設置場所を容易に変更できることが求められていた。その一方で、宅配ボックスは、地震などで容易に転倒しないような状態で設置することが求められる。
【0005】
本発明の目的は、転倒を抑制しつつ、設置場所を容易に変更可能な宅配ボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る宅配ボックスは、荷物を収納可能なボックス本体部と、ボックス本体部を設置面上で移動可能に支持する移動機構と、設置面への設置時において、ボックス本体部の転倒を抑制する転倒抑制機構と、移動機構による移動を許容する移動可能状態、及び設置面にボックス本体部を設置した設置状態を切り替える切替機構と、を備える。
【0007】
宅配ボックスは、設置面への設置時において、ボックス本体部の転倒を抑制する転倒抑制機構を備えている。従って、地震等でボックス本体部に揺れが生じた場合には、転倒抑制機構がボックス本体部の転倒を抑制することができる。また、宅配ボックスは、移動機構による移動を許容する移動可能状態、及び設置面にボックス本体部を設置した設置状態を切り替える切替機構を備えている。従って、宅配ボックスの設置場所を変更する場合は、切替機構によって、移動機構による移動を許容する移動可能状態に容易に切り替えることができる。そのため、作業者は、移動機構を用いてボックス本体部をスムーズに移動させて容易に設置場所を変更することができる。以上より、転倒を抑制しつつ、設置場所を容易に変更可能となる。
【0008】
転倒抑制機構は、転倒抑制プレートを有し、転倒抑制プレートは、設置面に設置された状態において、設置面に沿って広がる設置部、及び設置部から立ち上がってボックス本体部側に取り付けられる取付部を有し、切替機構は、ボックス本体部及び転倒抑制プレートに対して、移動機構を相対的に昇降させる昇降部を有してよい。転倒抑制プレートは、取付部にてボックス本体部側に取り付けられつつ、設置部を設置面に面接触させた状態とすることで、十分にボックス本体部を支持することができる。その一方、昇降部がボックス本体部及び転倒抑制プレートに対して移動機構を相対的に昇降させることで、ボックス本体部及び設置面に設置されている転倒抑制プレートを持ち上げて、移動機構を設置面上に配置できる。このように、昇降部を用いて容易に移動可能状態に切り替えることができる。
【0009】
昇降部は、ジャッキアップ構造によって構成されてよい。この場合、作業者は、少ない力で重量物であるボックス本体部を容易に昇降させることができる。
【0010】
ボックス本体部は、上下方向から見て長辺及び短辺を有し、ジャッキアップ構造において、ジャッキアップのための駆動力付与部は、ボックス本体部における短辺側に設けられてよい。この場合、駆動力を付与するための軸部が長辺に沿って延びるため、当該軸部を長くすることができる。この場合、ジャッキアップのためのストロークに余裕を持たせることができるため、作業者が少ない力でジャッキアップを行うことができる。
【0011】
転倒抑制機構は、宅配ボックスの重心を下側に設定する重心位置調整機構によって構成され、切替機構は、移動機構の車輪の回転をロックするロック部によって構成されてよい。この場合、宅配ボックスの重心が下側に設定されることで、ボックス本体部を転倒しにくくすることができる。また、車輪のロック部を操作するだけで、容易に切替を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、転倒を抑制しつつ、設置場所を容易に変更可能な宅配ボックスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る宅配ボックスの設置状態を示す概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る宅配ボックスを移動可能とした状態を示す概略構成図である。
図3】ボックス支持部を上側から見た平面図である。
図4】ボックス支持部を下側から見た底面図である。
図5】設置状態におけるボックス支持部の正面図である。
図6】移動可能状態におけるボックス支持部の正面図である。
図7】昇降部の駆動機構の拡大図である。
図8】変形例に係る宅配ボックスを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
本発明の実施形態に係る宅配ボックス100は、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストア、駅、飲食や衣類等の店舗内外や、オフィス等の施設内などに配置され、荷物を収納しておき、利用者が目的の荷物を取り出すことができる設備である。本実施形態に係る宅配ボックス100は、設置面に対して設置された設置状態と、設置面に対して移動が許容された移動可能状態を切り替えることができる。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る宅配ボックス100の設置状態を示す概略構成図である。図1(а)は宅配ボックス100の正面図である。図1(b)は宅配ボックス100の側面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る宅配ボックス100を移動可能とした状態を示す概略構成図である。図2(а)は宅配ボックス100の正面図である。図2(b)は宅配ボックス100の側面図である。なお、本実施形態では、宅配ボックス100に対して設定したXYZ座標を用いて位置関係等について説明を行う場合がある。X軸方向は、水平方向の所定の方向に平行な方向である。X軸方向の一方側を正側とする。Y軸方向は、水平方向であってX軸方向に平行な方向である。Y軸方向の一方側を正側とする。Z軸方向は、上下方向に平行な方向である。上側をZ軸方向の正側とする。
【0017】
図1及び図2に示すように、宅配ボックス100は、ボックス本体部101と、ボックス本体部101を支持するボックス支持部102と、を備える。
【0018】
図1(a)に示すように、ボックス本体部101は、荷物を収納可能な収納ボックス103を複数個積み重ねた機器である。収納ボックス103は、荷物を入れた後に、扉を閉めてロックすることができる。本実施形態では、収納ボックス103が二列に並べられた状態で上下方向に積み上げられているが、列の数や段数は特に限定されない。ボックス本体部101は、操作パネル104を有する。例えば、宅配業者は荷物を所定の収納ボックス103に収納する。その後、当該収納ボックス103はロックされる。荷物の受取者が操作パネル104を操作することで、対象となる収納ボックス103のロックを解除し、収納ボックス103から荷物を取り出すことができる。
【0019】
なお、本実施形態では、ボックス本体部101は、Y軸方向の正側の側面に操作パネル104や、収納ボックス103の扉が配置されるように、設置面SF上に設置される。すなわち、本実施形態では、Y軸方向が宅配ボックス100の前後方向に該当し、Y軸方向の正側が宅配ボックス100の正面側となり、Y軸方向の負側が宅配ボックス100の背面側となる。宅配ボックス100の背面は、図示されない壁面などと対向してもよい。X軸方向が宅配ボックス100の幅方向に該当する。ボックス本体部101は、上下方向から見て長辺及び短辺を有する長方形状をなす。本実施形態では、X軸方向の両側に短辺が配置され、Y軸方向の両側に長辺が配置される。すなわち、宅配ボックス100の正面側にボックス本体部101の長辺が配置される。
【0020】
ボックス支持部102は、ボックス本体部101を下側から支持する機器である。ボックス支持部102は、設置面SFとボックス本体部101との間に配置される。ボックス支持部102は、ベース部2と、転倒抑制プレート3A,3Bと、台車部4を備える。
【0021】
ベース部2は、ボックス本体部101を上面に載置させた状態で、当該ボックス本体部101を支持する部材である。ベース部2は、設置状態(図1に示す状態)において、ボックス本体部101の下面と上端部で接触し、設置面SFと下端部で接触する。ベース部2は、ボックス本体部101を載置させるフレーム部20と、フレーム部20の各角部から設置面SFへ向かって延びる脚部21と、を備える。フレーム部20は、XY平面と略平行をなすように広がる長方形状の枠状の部材である。フレーム部20の外周部の形状及び寸法は、ボックス支持部102の下端部の外周部の形状及び寸法と略同様となる。
【0022】
転倒抑制プレート3A,3Bは、設置状態(図1に示す状態)にあるボックス本体部101が転倒することを抑制するプレート状の部材である。転倒抑制プレート3A,3Bは、ボックス本体部101に対して、幅方向における両側において、それぞれ前後方向に延びるように設けられる。本実施形態では、転倒抑制プレート3A,3Bは、X軸方向における両側において、Y軸方向に延びるように配置される。すなわち、本実施形態では、転倒抑制プレート3A,3Bは、宅配ボックス100の幅方向である、ボックス本体部101の短辺側に設けられる。転倒抑制プレート3A,3Bは、設置部23と、取付部24と、を備えており、Y軸方向から見たときに断面L字状の形状を有している。
【0023】
設置部23は、設置面SFに設置された設置状態(図1参照)において、設置面SFに沿ってXY平面と平行に広がる部分である。これにより、設置部23は、設置面SFに対して面接触した状態で、転倒しそうになった際のボックス本体部101からの荷重を設置面SFに伝達することができる。設置部23のY軸方向の負側の端部は、ボックス本体部101及びフレーム部20のY軸方向の負側の端部と略同位置に配置される。一方、設置部23のY軸方向の正側の端部は、ボックス本体部101及びフレーム部20のY軸方向の正側の端部よりもY軸方向の正側へ突出するように配置される。これにより、Y軸方向の正側、すなわちボックス本体部101の前側においては、設置部23の突出した部分で十分に転倒を防止し、ボックス本体部101の後側においては、設置部23と壁面とが干渉することを抑制できる。
【0024】
取付部24は、設置部23から上方へ立ち上がってボックス本体部101側に取り付けられる部分である。取付部24は、設置部23のX軸方向におけるボックス本体部101側の端部から、上方へ90°屈曲するように立ち上がる。取付部24は、ベース部2のフレーム部20の高さまで延び、更に、ボックス本体部101の下端部付近まで延びている。取付部24は、フレーム部20に対して固定されることで、ボックス本体部101側に取り付けられる。このように、取付部24を「ボックス本体部側にとりつける」ことには、移動機構10に取り付けることもボックス本体部101そのものに取り付けることの両方の概念が含まれる。転倒抑制プレート3A,3Bの取付部24は、上端部付近においては、ボックス本体部101をX軸方向の両端側から挟み込むようにして支持することができる。
転倒抑制プレート3A,3Bの詳細な構造については後述する。取付部24のY軸方向の負側の端部は、ボックス本体部101及びフレーム部20のY軸方向の負側の端部と略同位置に配置される。取付部24のY軸方向の正側の端部は、ボックス本体部101及びフレーム部20のY軸方向の正側の端部と略同位置に配置される。
【0025】
台車部4は、移動可能状態(図2に示す状態)において、ボックス本体部101と設置面SFとの間に配置された状態で、設置面SFと接触することで、ボックス本体部101を設置面SF上で移動可能とするものである。台車部4は、フレーム部20の下側であって、脚部21よりもX軸方向及びY軸方向における内側に配置される。台車部4は、フレーム部26と、車輪27と、を備える。フレーム部26は、XY平面と略平行をなすように広がる長方形状の枠状の部材である。車輪27は、フレーム部26の各角部に設けられている。車輪27は、移動可能状態(図2に示す状態)において、設置面SFを接触して、当該設置面SF上を移動する。車輪27は、図1に示す設置状態においてはベース部2の脚部21及び転倒抑制プレート3A,3Bの下端よりも上側に配置され、設置面SFから離間した状態となる。車輪27は、図2に示す移動可能状態においてはベース部2の脚部21及び転倒抑制プレート3A,3Bの下端よりも下側に配置され、設置面SFと接触した状態となる。
【0026】
本実施形態では、台車部4によって移動機構10が構成される。移動機構10は、ボックス本体部101を設置面SF上で移動可能に支持する機構である。また、ベース部2及び転倒抑制プレート3A,3Bの組み合わせによって転倒抑制機構11が構成される。転倒抑制機構11は、宅配ボックス100の設置面SFへの設置時(図1参照)において、ボックス本体部101の転倒を抑制する機構である。
【0027】
また、ベース部2、台車部4、及び後述の昇降部30の組み合わせによって切替機構12が構成される。切替機構12は、移動機構10による移動を許容する移動可能状態(図2参照)、及び設置面SFにボックス本体部101を設置した設置状態(図1参照)を切り替える。切替機構12は、ボックス本体部101及び転倒抑制プレート3A,3Bに対して、移動機構10を相対的に昇降させる昇降部30を有する。昇降部30は、ベース部2と台車部4との間に設けられ、当該ベース部2と台車部4とを相対的に上下方向に移動させるジャッキアップ構造によって構成される。昇降部30の具体的な構成については後述する。
【0028】
次に、図3図7を参照して、ボックス支持部102の詳細な構成について説明する。図3は、ボックス支持部102を上側から見た平面図である。ただし、ベース部2の理解を容易とするため、図3においては、台車部4の構成の一部を省略している。図4は、ボックス支持部102を下側から見た底面図である。ただし、台車部4の理解を容易とするため、図4においては、ベース部2の構成の一部を省略している。図5は、設置状態におけるボックス支持部102の正面図である。図6は、移動可能状態におけるボックス支持部102の正面図である。図7は、昇降部30の駆動機構の拡大図である。
【0029】
図3に示すように、ベース部2のフレーム部20は、Y軸方向に対向する一対の長辺フレーム31,32と、X軸方向に対向する一対の短辺フレーム33,34は、と、を備える。長辺フレーム31,32は、ボックス本体部101の下面の長辺部分に対応する縁部を支持する。短辺フレーム33,34は、ボックス本体部101の下面の短辺部分に対応する縁部を支持する。図4に示すように、四つの脚部21が、フレーム部20の四つの角部、すなわち各フレーム同士の接続部に設けられる。脚部21は、フレーム部20の下面から下方へ向かって延びる。転倒抑制プレート3A,3Bの取付部24は、短辺フレーム33,34の外周側の側面にそれぞれ固定される。また、フレーム部20は、X軸方向における中央位置にて、Y軸方向に延びて長辺フレーム31,32を連結するフレーム35を有する。
【0030】
図4及び図5に示すように、台車部4のフレーム部26は、Y軸方向に対向する一対の長辺フレーム36,37と、X軸方向に対向する一対の短辺フレーム38,39と、を備える。長辺フレーム36,37は、ベース部2の長辺フレーム31,32の下方に配置される。長辺フレーム36,37は、ベース部2の短辺フレーム33,34よりもX軸方向における内側に配置される。長辺フレーム36のX軸方向の両端側には、一対の車輪27がそれぞれ設けられている。長辺フレーム37のX軸方向の両端側には、一対の車輪27がそれぞれ設けられている。
【0031】
次に、ジャッキアップ構造を有する昇降部30の構成について説明する。図3に示すように、昇降部30は、リンク機構40と、駆動機構60と、を備える。リンク機構40は、ベース部2に対して台車部4を相対的に昇降可能に接続する機構である。駆動機構60は、リンク機構40を介して、台車部4が昇降するための駆動力を付与する機構である。
【0032】
図4に示すように、リンク機構40は、Y軸方向の正側の位置において長辺フレーム31と長辺フレーム36とを接続するリンク部材41,42を備える。図5に示すように、リンク部材41,42は、X字状に互いに交差し、互いの中央位置をピンで互いに回転可能に連結されている。リンク部材41はX軸方向の負側から正側へ向かうに従って上方へ向かうように傾斜している。リンク部材41のX軸方向の負側の端部は台車部4の長辺フレーム36に接続片51を介して接続される(図4も参照)。リンク部材41のX軸方向の正側の端部はベース部2の長辺フレーム31に接続片52を介して接続される(図3も参照)。リンク部材42はX軸方向の負側から正側へ向かうに従って下方へ向かうように傾斜している。リンク部材42のX軸方向の負側の端部はベース部2の長辺フレーム31に接続片53を介して接続される(図3も参照)。リンク部材42のX軸方向の正側の端部は台車部4の長辺フレーム36に接続片54を介して接続される(図4も参照)。なお、リンク機構40の様子を示すため、図5及び図6においては、Y軸方向の正側の長辺フレーム31,36は一部破断されている。また、接続片51,53,54は、Y軸方向の負側の長辺フレーム31,36のものが示されている。
【0033】
図4に示すように、リンク機構40は、Y軸方向の負側の位置において長辺フレーム32と長辺フレーム37とを接続するリンク部材41,42を備える。Y軸方向の負側のリンク部材41,42は、Y軸方向の正側のリンク部材41,42と同趣旨の構造を有している。従って、リンク部材41はY軸方向の負側の長辺フレーム37,32の接続片51,52に接続され、リンク部材42はY軸方向の負側の長辺フレーム32,37の接続片53,54に接続される。図3及び図4に示すように、Y軸方向の正側のリンク部材41,42の各端部及び接続片51,53,54と、Y軸方向の負側のリンク部材41,42の両端部及び接続片51,53,54は、Y軸方向に延びる三本のバー43でそれぞれ接続される。ただし、Y軸方向の両側のリンク部材41のX軸方向の正側の端部は、送りねじ金具44で接続される(図3参照)。また、送りねじ金具44のY軸方向の端部及びリンク部材41のX軸の正側の端部は、接続片52によってX軸方向にスライド可能に支持される。同じく、リンク部材42のX軸の正側の端部及びバー43のY軸方向の端部は、接続片54によってX軸方向にスライド可能に支持される。
【0034】
図3に示すように、駆動機構60は、送りねじ軸61と、ナット部62と、前述の送りねじ金具44と、を備える。送りねじ軸61は、外周面にねじが形成されたX軸方向に延びる軸部材である。送りねじ軸61は、フレーム35と短辺フレーム33との間において、Y軸方向の中央位置に配置される。また、送りねじ軸61は、フレーム33,35よりも低い位置に配置される(図5参照)。送りねじ軸61のX軸方向の正側の端部は、フレーム33に取り付けられた軸受部63で回転可能に支持される。送りねじ軸61のX軸方向の負側の端部は、フレーム35に取り付けられた軸受部64で回転可能に支持される。ナット部62は、送りねじ軸61に設けられており、当該送りねじ軸61の回転に伴ってX軸方向に往復移動する部材である。送りねじ金具44は、ナット部62に固定されており、当該ナット部62の移動に伴ってX軸方向に往復移動する部材である。
【0035】
図5図7を参照して、昇降部30の動作について説明する。図7に示すように、送りねじ軸61のX軸方向の正側の端部は、軸受部63からX軸方向の正側に突出している。当該部分は、ラチェットレンチなどの工具71によって回転することで駆動力を付与することができる駆動力付与部70として構成される。このように、ジャッキアップ構造において、ジャッキアップのための駆動力付与部70は、ボックス本体部101における短辺側に設けられる。なお、転倒抑制プレート3Bの取付部24には、工具71を通過させるための切り欠きなどが形成されてよい。
【0036】
作業者が、工具71を操作して、送りねじ軸61を回転させると、ナット部62及び送りねじ金具44がX軸方向の負側へ移動する。ここで、送りねじ金具44のY軸方向の両端部のピン44aは、リンク部材41の端部に接続されており、且つ、接続片52に対してX軸方向にスライド可能である。そのため、図5から図6に示す状態となり、リンク部材41のX軸方向の正側の端部は、X軸方向の負側へ移動する。このとき、リンク部材41,42のX軸方向の正側の端部が、リンク部材42,41のX軸方向の負側の端部に近づき、その分、リンク部材41のX軸方向の負側の端部及びリンク部材42のX軸方向の正側の端部が、下方へ遠ざかるように移動する。その結果、昇降部30は、ベース部2のフレーム部20に対して台車部4のフレーム部26が相対的に下方へ移動する。このような昇降部30の動作により、切替機構12は、図1に示す設置状態の宅配ボックス100を図2に示す移動可能状態に切り替えることができる。なお、移動可能状態から設置状態へ戻す場合、工具71で送りねじ軸61を反対側へ回転させればよい。
【0037】
次に、本実施形態に係る宅配ボックス100の作用・効果について説明する。
【0038】
宅配ボックス100は、設置面SFへの設置時において、ボックス本体部101の転倒を抑制する転倒抑制機構11を備えている。従って、地震等でボックス本体部101に揺れが生じた場合には、転倒抑制機構11がボックス本体部101の転倒を抑制することができる。また、宅配ボックス100は、移動機構10による移動を許容する移動可能状態、及び設置面SFにボックス本体部101を設置した設置状態を切り替える切替機構12を備えている。従って、宅配ボックス100の設置場所を変更する場合は、切替機構12によって、移動機構10による移動を許容する移動可能状態に容易に切り替えることができる。そのため、作業者は、移動機構10を用いてボックス本体部101をスムーズに移動させて容易に設置場所を変更することができる。以上より、転倒を抑制しつつ、設置場所を容易に変更可能となる。
【0039】
転倒抑制機構11は、転倒抑制プレート3A,3Bを有し、転倒抑制プレート3A,3Bは、設置面SFに設置された状態において、設置面SFに沿って広がる設置部23、及び設置部23から立ち上がってボックス本体部101側に取り付けられる取付部24を有し、切替機構12は、ボックス本体部101及び転倒抑制プレート3A,3Bに対して、移動機構10を相対的に昇降させる昇降部30を有してよい。転倒抑制プレート3A,3Bは、取付部24にてボックス本体部101側に取り付けられつつ、設置部23を設置面SFに面接触させた状態とすることで、十分にボックス本体部101を支持することができる。その一方、昇降部30がボックス本体部101及び転倒抑制プレート3A,3Bに対して移動機構10を相対的に昇降させることで、ボックス本体部101、及び設置面SFに設置されている転倒抑制プレート3A,3Bを持ち上げて、移動機構10を設置面SF上に配置できる。このように、昇降部30を用いて容易に移動可能状態に切り替えることができる。
【0040】
昇降部30は、ジャッキアップ構造によって構成されてよい。この場合、作業者は、少ない力で重量物であるボックス本体部101を容易に昇降させることができる。例えば、昇降部30として足踏み式のレバーを設けた場合、作業者はボックス本体部101の重量を足の力で持ち上げる必要がある。これに対し、本実施形態では、作業者は、少しずつ送りねじ軸61を回してゆけばよいので、小さい力での昇降が可能となる。
【0041】
ボックス本体部101は、上下方向から見て長辺及び短辺を有し、ジャッキアップ構造において、ジャッキアップのための駆動力付与部70は、ボックス本体部101における短辺側に設けられてよい。この場合、駆動力を付与するための送りねじ軸61が長辺に沿って延びるため、当該送りねじ軸61を長くすることができる。この場合、ジャッキアップのためのストロークに余裕を持たせることができるため、作業者が少ない力でジャッキアップを行うことができる。
【0042】
宅配ボックス100の設置場所の容易な変更が求められるケースは次の通りであり、本実施形態に係る宅配ボックス100を使用することで、これらのケースに容易に対応することができる。例えば、営業時間内は店舗内に宅配ボックス100を据え置き、顧客を店舗内へ誘導することが可能となり、営業時間外は店舗外に宅配ボックス100を据え置き、ロッカーサービスの継続提供が可能となる。また、コンビニなど店舗の窓側に接して置く場合、消防隊の突入経路や火災時の排気面積の確保のために固定設備には規制指導があるが、移動可能な設備は対象外となり据え置きであれば(=仮置きであれば)設置可能である。従って、このような状況下において、移動可能な宅配ボックス100を利用することができる。また、宅配ボックス100を利用すれば、設置先でのロッカー周辺機材のレイアウト変更などに対応して、ロッカーもフレキシブルな位置変更が可能となり設置に関し、固定したままにすることに対する設置先利用者の懸念が緩和する。
【0043】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0044】
例えば、図8に示すような宅配ボックス200を採用してよい。図8に示す宅配ボックス200において、転倒抑制機構11は、宅配ボックス200の重心を下側に設定する重心位置調整機構211によって構成される。重心位置調整機構211は、例えば、ボックス本体部201の内部のうち、下端側の領域に、錘212を配置することで構成されてよい。また、切替機構12は、移動機構10の車輪27の回転をロックするロック部202によって構成されてよい。この場合、宅配ボックス200の重心が下側に設定されることで、ボックス本体部201を転倒しにくくすることができる。また、車輪27のロック部202を操作するだけで、容易に切替を行うことができる。
【0045】
上述の実施形態では、ボックス本体部101の一対の長辺が前後方向を向くような構成であった。これに代えて、一対の短辺が前後方向を向くような構成であってもよい。この場合、転倒抑制プレート3A,3Bは、長辺側に配置される。
【0046】
切替機構は、上述のようなジャッキアップ構造を有する昇降部に限定されない。例えば、ジャッキアップの方法も送りねじ軸を回転させる以外の方法でジャッキアップできるようにしてもよい。また、作業者が足で踏み込むことで昇降させるようなカム式の昇降部が採用されてもよい。
【0047】
また、ジャッキアップのための駆動力付与部70は、ボックス本体部101における短辺側に設けられていたが、長辺側に設けられてもよい。
【0048】
宅配ボックス100を屋外に設置する場合、風に対する対応が必要となる。従って、転倒抑制プレート(転倒抑制機構)3A,3B上に重りを付帯することで、転倒抑制効果を更に向上させてもよい。
【符号の説明】
【0049】
3A,3B…転倒抑制プレート、10…移動機構、11…転倒抑制機構、12…切替機構、30…昇降部、70…駆動力付与部、100,200…宅配ボックス、101…ボックス本体部、211…重心位置調整機構。
図1
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図8