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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026060
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/58 20060101AFI20220203BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B60N2/58
A47C31/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129341
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109738
【氏名又は名称】デルタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】遠地 淳司
(72)【発明者】
【氏名】礒田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】平野 真弘
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DE03
(57)【要約】
【課題】高い作業性をもってパッドに対してトリムを着脱することができる構造を有するシートを提供する。
【解決手段】シートは、クッションパッドとトリム12とを有する。クッションパッドは、相対的に硬い硬質パッド111と相対的に柔軟な軟質パッドとが積層されてなる。硬質パッド111は、クッションパッドの裏面(着座者が着座するのとは反対側の面)11bに一部が露出している。クッションパッド1の裏面11bにおいて、硬質パッド111には、溝部11cが設けられている。そして、溝部11cにはトリム12の端縁部12aが固定されたクリップ13の一部が挿入される。クリップ13は、トリム12を固定するトリム固定部13a、溝部11c内に挿入されるベース部13bおよび押圧部13dを有する。押圧部13dは、X方向での可撓性を有し、且つ、溝部11cの側壁面11fの窪み部11dに対して外向きの押圧力を付加する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者を支持する支持領域と、当該支持領域を除く領域であって厚み方向に穴部が設けられた他領域とを有するクッションパッドと、
前記クッションパッドにおける前記支持領域を覆う被覆領域と、前記穴部の近傍に配された端縁部を有するトリムと、
前記トリムの前記端縁部が固定されるとともに、前記穴部に挿入されることで、前記トリムと前記クッションパッドとを固定するクリップと、
を備え、
前記クリップは、
前記トリムの前記端縁部が固定されるトリム固定部と、
前記トリム固定部に連続し、前記クッションパッドの前記穴部内に挿入される板形状のベース部と、
一端が前記ベース部に連続し、他端が自由端であって、前記ベース部に沿った状態で前記ベース部とともに前記穴部内に挿入され、且つ、可撓性を有する押圧部と、
を有し、
前記押圧部は、前記ベース部とともに前記穴部に挿入された状態で、前記一端よりも前記他端側の部分が前記ベース部側に撓むように変形することにより、当該押圧部が当接する前記穴部の第1側壁面に対して外向きの押圧力を付加する、
シート。
【請求項2】
請求項1に記載のシートにおいて、
前記クッションパッドは、相対的に硬質な硬質パッドと、相対的に軟質であって、前記硬質パッドに積層されてなる軟質パッドとを有し、
前記クッションパッドにおける前記他領域では、前記硬質パッドが外方に露出しており、
前記穴部は、前記硬質パッドに設けられている、
シート。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のシートにおいて、
前記クリップにおける前記ベース部は、平板形状を有し、
前記クリップにおける前記押圧部は、前記ベース部とともに前記穴部内に挿入された状態で、前記ベース部における前記穴部の底側の底端に前記一端が連続し、前記穴部の開口側に前記他端が配置されており、
前記押圧部は、前記穴部の深さ方向における前記一端と前記他端との間に、前記一端から前記穴部の前記開口側に行くのに従って前記ベース部から離間するように湾曲した第1湾曲部と、前記第1湾曲部の前記開口側の端部に連続し、前記穴部の前記開口側に行くのに従って前記ベース部側に近づくように湾曲した第2湾曲部とを有する、
シート。
【請求項4】
請求項3に記載のシートにおいて、
前記クリップは、前記ベース部の厚み方向における前記押圧部とは反対側に向けて突出し、先端が尖った返し部を更に有し、
前記クリップの前記返し部は、前記押圧部による押圧力に対する前記第1側壁面からの反力により、前記第1側壁面と対向する第2側壁面に対して前記先端が押し込まれて、前記第2側壁面に係合される、
シート。
【請求項5】
請求項4に記載のシートにおいて、
前記返し部は、前記ベース部における前記底端の近傍に設けられている、
シート。
【請求項6】
請求項3から請求項5の何れかに記載のシートにおいて、
前記ベース部は、当該ベース部における前記底端の近傍に、当該ベース部における他の部分よりも厚みが薄くなるように凹入されてなる凹入部を有する、
シート。
【請求項7】
請求項3から請求項6の何れかに記載のシートにおいて、
前記押圧部における前記第1湾曲部および前記第2湾曲部の厚みは、前記ベース部の厚みよりも薄い、
シート。
【請求項8】
請求項3から請求項7の何れかに記載のシートにおいて、
前記穴部における前記第1側壁面は、前記穴部の外向きに窪み、且つ、前記押圧部における前記ベース部から最も離間した部分が嵌まり込む窪み部を有する、
シート。
【請求項9】
請求項3から請求項8の何れかに記載のシートにおいて、
前記ベース部および前記押圧部が前記穴部内に挿入された状態において、前記押圧部における前記他端の指向方向は、前記穴部の開口側であって、且つ、前記ベース部側に向く方向である、
シート。
【請求項10】
請求項3から請求項9の何れかに記載のシートにおいて、
前記穴部は、溝形状を有する第1溝部であり、
前記クッションパッドは、前記第1溝部に沿って開けられた第2溝部を有し、
前記クッションパッドにおける前記第1溝部と前記第2溝部との間の領域は、可撓性を有する、
シート。
【請求項11】
請求項10に記載のシートにおいて、
前記トリム固定部は、板形状を有するとともに、前記第1溝部と前記第2溝部との間の箇所まで前記クッションパッドの外面に沿って延設されており、
前記クッションパッドは、前記第1溝部から前記第2溝部に向かう方向における前記トリム固定部の端辺およびその近傍領域において、当該クッションパッドの厚み方向に凹入されてなる凹部を有する、
シート。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れかに記載のシートにおいて、
前記穴部は、溝形状を有する溝部であり、
前記トリム固定部は、前記溝部に沿うように延びる長尺形状を有し、
前記溝部の開口を外側からの平面視する場合において、前記トリム固定部への前記トリムの固定箇所は、当該トリム固定部の長手方向に沿って線状に延びる、
シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに関し、特にクッションパッドに対するトリムの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用シートなどのシートには、着座者の臀部を支持するシートクッションや着座者の背中を支持するシートバックにおいて、樹脂材料などからなるクッションパッドが皮革やビニールレザーなどからなるトリムによって覆われた構造が採用されている。クッションパッドに対するトリムの固定は、クッションパッドの裏面(臀部や背中が当たる側とは反対側の面)でなされる。
【0003】
特許文献1には、クッションパッドの裏面において、クッションパッドと一体成形されたシートフレームに対して、トリムの端縁部をオームクリップを用いて固定してなる構造が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、クッションパッドの裏面において、クッションパッドに設けられた穴部に対して、先端が鏃形状をし、トリムの端縁部が固定された留め具を押し込むことでクッションパッドにトリムを固定してなる構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09-276091号公報
【特許文献2】特許第6107460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2に開示の構造では、高い作業性をもってクッションパッドにトリムを固定することが困難である。具体的に、特許文献1に開示の構造では、シートフレームに対してオームクリップを取り付ける際にホックリンガーを用いる必要があるが、ホックリンガーは重いため作業性がよくない。
【0007】
また、上記特許文献2に開示の構造では、クッションパッドに設けた穴から押し込んだ留め具が容易に抜けないようにするために、留め具の先端の鏃状部分の幅を穴の幅よりも大きくすることが必要であり、押し込み時に大きな力を必要とする。そのため、特許文献2に開示の構造でも、高い作業性でのトリム固定が困難である。さらに、エンドユーザーがトリムを交換する際、留め具の鏃状部分をクッションパッドから取り外す必要があるが、特許文献2に開示の鏃状部分は可撓性を有しておらず、鏃状部分をクッションパッドから抜こうとすると、鏃状部分の角によりクッションパッドが削れてしまう。そのため、鏃状部分を穴に再度固定することができなくなり、クッションパッドごと交換せざるを得なくなるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、高い作業性をもってクッションパッドに対してトリムを着脱することができる構造を有するシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るシートは、着座者を支持する支持領域と、当該支持領域を除く領域であって厚み方向に穴部が設けられた他領域とを有するクッションパッドと、前記クッションパッドにおける前記支持領域を覆う被覆領域と、前記穴部の近傍に配された端縁部を有するトリムと、前記トリムの前記端縁部が固定されるとともに、前記穴部に挿入されることで、前記トリムと前記クッションパッドとを固定するクリップと、を備え、前記クリップは、前記トリムの前記端縁部が固定されるトリム固定部と、前記トリム固定部に連続し、前記クッションパッドの前記穴部内に挿入される板形状のベース部と、一端が前記ベース部に連続し、他端が自由端であって、前記ベース部に沿った状態で前記ベース部とともに前記穴部内に挿入され、且つ、可撓性を有する押圧部と、を有し、前記押圧部は、前記ベース部とともに前記穴部に挿入された状態で、前記一端よりも前記他端側の部分が前記ベース部側に撓むように変形することにより、当該押圧部が当接する前記穴部の第1側壁面に対して外向きの押圧力を付加する。
【0010】
上記態様に係るシートでは、予めトリムの端縁部が固定されたクリップのベース部および押圧部をクッションパッドの穴部内に押し込むという簡易な作業で、クッションパッドにトリムを固定することができる。よって、上記態様に係るシートでは、クッションパッドへのトリムの固定に際して、上記特許文献1に開示の技術のように重いホックリンガーを用いる必要はない。
【0011】
また、上記態様に係るシートでは、クリップにおける押圧部が可撓性を有するように形成されているので、穴部へのベース部および押圧部の挿入時において、上記特許文献2に開示の技術のような大きな力を必要とすることもない。
【0012】
また、上記態様に係るシートでは、クッションパッドに設けられた穴部内において、クリップの押圧部が第1側壁面に対して外向きの押圧力を付加するので、穴部からクリップが容易に抜けてしまうことがない。よって、上記態様に係るシートでは、上記のように高い作業性でクッションパッドにトリムを固定できるとともに、シート使用時にクッションパッドからトリムが外れてしまうような事態を抑制することができる。
【0013】
また、上記態様に係るシートでは、クリップの押圧部が可撓性を有することとしているので、仮にクリップを穴部から抜こうとした場合にも押圧部で第1側壁面を削ってしまうことを抑制することができる。即ち、上記特許文献2に開示の留め具では、鏃状部分が可撓性を有さないので、例えば、エンドユーザーがトリムの交換などで留め具を抜こうとした場合には穴部の側壁面を削ってしまい、そのままでは再度クッションパッドを使用することができなくなる。
【0014】
従って、上記態様に係るシートでは、クッションパッドに対してトリムを着脱する際の高い作業性を実現することができる。
【0015】
これに対して、上記態様に係るシートでは、クリップの押圧部が可撓性を有するので、仮にクッションパッドの穴部からクリップを抜こうとしても第1側壁面を削ることがなく、そのままの状態で再度クッションパッドを使用することも可能である。
【0016】
上記態様に係るシートにおいて、前記クッションパッドは、相対的に硬質な硬質パッドと、相対的に軟質であって、前記硬質パッドに積層されてなる軟質パッドとを有し、前記クッションパッドにおける前記他領域では、前記硬質パッドが外方に露出しており、前記穴部は、前記硬質パッドに設けられている、ことにしてもよい。
【0017】
上記のように、硬質パッドと軟質パッドとの積層構造を有するクッションパッドを採用する場合において、硬質パッドに穴部を設けるようにすれば、穴部にクリップをより確実に固定するのに優位である。よって、上記構成を採用する場合には、クッションパッドへのトリムの固定をより確実にすることができる。
【0018】
上記態様に係るシートにおいて、前記クリップにおける前記ベース部は、平板形状を有し、前記クリップにおける前記押圧部は、前記ベース部とともに前記穴部内に挿入された状態で、前記ベース部における前記穴部の底側の底端に前記一端が連続し、前記穴部の開口側に前記他端が配置されており、前記押圧部は、前記穴部の深さ方向における前記一端と前記他端との間に、前記一端から前記穴部の前記開口側に行くのに従って前記ベース部から離間するように湾曲した第1湾曲部と、前記第1湾曲部の前記開口側の端部に連続し、前記穴部の前記開口側に行くのに従って前記ベース部側に近づくように湾曲した第2湾曲部とを有する、ことにしてもよい。
【0019】
上記のように、押圧部の一端がベース部の底端(穴部への挿入時に穴底側となる端部)に連続するようにクリップを一体成形することにより、ベース部と押圧部とを別部材として形成する場合に比べて部品点数を削減することができ、製造コストの削減を図るのに優位である。
【0020】
また、上記のように、押圧部が第1湾曲部および第2湾曲部を有する構造とすることにより、穴部への挿入時および穴部からの取り外し時において、押圧部が第1側壁面に引っ掛かり難くなる。よって、挿入時および取り外し時に穴部の第1側壁面を削り難くすることができる。
【0021】
上記態様に係るシートにおいて、前記クリップは、前記ベース部の厚み方向における前記押圧部とは反対側に向けて突出し、先端が尖った返し部を更に有し、前記クリップの前記返し部は、前記押圧部による押圧力に対する前記第1側壁面からの反力により、前記第1側壁面と対向する第2側壁面に対して前記先端が押し込まれて、前記第2側壁面に係合される、ことにしてもよい。
【0022】
上記のように、ベース部を穴底まで挿入した際に返し部が第2側壁面に係合する構成を採用すれば、穴部からのクリップの抜け止めという観点から優位である。
【0023】
上記態様に係るシートにおいて、前記返し部は、前記ベース部における前記底端の近傍に設けられている、ことにしてもよい。
【0024】
上記のように、返し部をベース部の底端近傍に設ける構造を採用する場合には、クリップに対して穴部から抜ける向きの力が加わった際にも、穴部からクリップが簡単に抜けてしまうのを抑制することができる。即ち、返し部がベース部における穴部開口近傍の部分に設けられる場合には、上記のような力が加わった際に返し部が穴部の開口から抜け出てしまう。
【0025】
これに対して、上記のように、返し部をベース部の底端近傍に設ける構造を採用する場合には、ベース部が穴部から抜ける向きの力が加わっても、当初の第2側壁面との位置から穴部の開口まで距離があるため、返し部が第2側壁面に食い込む食い込み代を十分にとることができ、返し部が穴部の開口からすぐに抜け出てしまうことはない。よって、上記構成を採用する場合には、穴部からクリップが簡単に抜けてしまうのを抑制することができる。
【0026】
上記態様に係るシートにおいて、前記ベース部は、当該ベース部における前記底端の近傍に、当該ベース部における他の部分よりも厚みが薄くなるように凹入されてなる凹入部を有する、ことにしてもよい。
【0027】
上記のように、ベース部の底端近傍に凹入部(切欠き部)を設けるようにし、当該部分の厚みがベース部の他の部分よりも薄くなるようにすることにより、当該凹入部が設けられた部分を起点に押圧部を撓みやすくすることができる。なお、凹入の程度、換言すると、どの程度凹入部の厚みを薄くするかにより、押圧部の可撓性を調整することができる。
【0028】
上記態様に係るシートにおいて、前記押圧部における前記第1湾曲部および前記第2湾曲部の厚みは、前記ベース部の厚みよりも薄い、ことにしてもよい。
【0029】
上記のように、押圧部における第1湾曲部および第2湾曲部の厚みをベース部の厚みよりも薄くすることにより、穴部に対してクリップのベース部および押圧部を挿入した際に、ベース部よりも押圧部をより確実に撓ませることができる。よって、押圧部による第1側壁面に対する確実な押圧を実現することができる。
【0030】
上記態様に係るシートにおいて、前記穴部における前記第1側壁面は、前記穴部の外向きに窪み、且つ、前記押圧部における前記ベース部から最も離間した部分が嵌まり込む窪み部を有する、ことにしてもよい。
【0031】
上記のように、第1側壁面に窪み部を設け、当該窪み部に押圧部の上記部分が嵌まり込むように構成することにより、押圧部の上記部分が窪み部に到達した際に作業者に対して勘合した感触が伝わることになる。このため、作業性を高めるのに有効である。
【0032】
また、窪み部に押圧部の上記部分が嵌まり込む構造を採用することにより、穴部からクリップが抜けてしまうことを抑制するのに有効である。
【0033】
上記態様に係るシートにおいて、前記ベース部および前記押圧部が前記穴部内に挿入された状態で、前記押圧部における前記他端の指向方向は、前記穴部の開口側であって、且つ、前記ベース部側に向く方向である、ことにしてもよい。
【0034】
上記のように、押圧部における指向方向を、穴部の開口側、且つ、ベース部側に向く方向とすることにより、トリムの張替えなどで穴部からクリップを抜こうとする場合にも、押圧部の他端が第1側壁面を削るのを防ぐことができる。よって、穴部からクリップを抜いた場合にも、そのままクッションパッドを再使用することができる。
【0035】
上記態様に係るシートにおいて、前記穴部は、溝形状を有する第1溝部であり、前記クッションパッドは、前記第1溝部に沿って開けられた第2溝部を有し、前記クッションパッドにおける前記第1溝部と前記第2溝部との間の領域は、可撓性を有する、ことにしてもよい。
【0036】
上記のように、第1溝部(クリップのベース部および押圧部が挿入される穴部)に沿って第2溝部を設け、クッションパッドにおける第1溝部と第2溝部との間の領域が可撓性を有するとの構成を採用すれば、第1溝部と第2溝部との間の領域を撓ませることで、第1溝部の側壁面に対する押圧部の押圧力が緩和または解除され、第1溝部からクリップを容易に取り外すことが可能となる。
【0037】
上記態様に係るシートにおいて、前記トリム固定部は、板形状を有するとともに、前記第1溝部と前記第2溝部との間の箇所まで前記クッションパッドの外面に沿って延設されており、前記クッションパッドは、前記第1溝部から前記第2溝部に向かう方向における前記トリム固定部の端辺およびその近傍領域において、当該クッションパッドの厚み方向に凹入されてなる凹部を有する、ことにしてもよい。
【0038】
上記のように、クッションパッドにおけるトリム固定部の端辺が位置する箇所およびその近傍領域に凹部を設けることにより、作業者が凹部に指などを差し込みトリム固定部をクッションパッドの外面から離間するように持ち上げることで、第1溝部の側壁面に対する押圧部の押圧力が緩和または解除され、第1溝部からクリップを容易に取り外すことが可能となる。
【0039】
上記態様に係るシートにおいて、前記穴部は、溝形状を有する溝部であり、前記トリム固定部は、前記溝部に沿うように延びる長尺形状を有し、前記溝部の開口を外側から平面視する場合において、前記トリム固定部への前記トリムの固定箇所は、当該トリム固定部の長手方向に沿って線状に延びる、ことにしてもよい。
【0040】
上記のように、トリム固定部に対するトリムの固定箇所が、トリム固定部の長手方向に沿って線状に延びるようにすれば、トリムの引っ張り度合いにムラが生じ難い。具体的に、上記特許文献1に開示の構造では、トリムがオームクリップを用いてシートフレームに固定されている。そして、シートフレームへの固定箇所は互いに間隔を空けて配された点でトリムが固定される。よって、上記特許文献1に開示の構造では、トリムの引っ張り度合いにムラが生じるため、皺が発生することが考えられる。
【0041】
これに対して、上記のように、トリム固定部に対してトリムの端縁部を線状に固定することとすれば、トリムの引っ張り度合いにムラが生じ難くなり、皺の発生が抑制される。
【発明の効果】
【0042】
上記の各態様に係るシートでは、高い作業性をもってクッションパッドに対してトリムを着脱することができる。
【0043】
また、上記の各態様に係るシートでは、クッションパッドの損傷を防ぎながら当該クッションパッドからクリップを取り外すことが可能であり、トリムの交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】実施形態に係るシートの構成を示す展開図である。
図2】クッションパッドにおける裏面の構成を示す斜視図である。
図3図2のIII-III線断面を示す断面図である。
図4】硬質パッドに設けられた溝部に対してクリップが係合された状態を示す断面図である。
図5】クリップの構成を示す斜視図である。
図6】クリップの構成を示す側面図である。
図7】硬質パッドに設けられた溝とクリップとの関係を示す展開図である。
図8】溝部からクリップを抜く場合の操作手順を示す断面図であって、(a)は、作業者が指を凹部に挿入してクリップを撓ませている状態を示し、(b)は、硬質パッドにおける溝部と可撓用溝部との間の領域を撓ませている状態を示す。
図9】溝部からクリップを抜く場合の別の操作手順を示す断面図であって、(a)は、作業者がクリップを把持した状態を示し、(b)は、クリップに力を加えて、硬質パッドにおける溝部と可撓用溝部との間の領域を撓ませている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0046】
[実施形態]
1.シート1の概略構成
本実施形態に係るシート1は、自動車等の乗物用シートであって、後部座席を一例として採用している。
【0047】
シート1の概略構成について、図1から図3を用いて説明する。なお、本明細書に添付の各図においては、シート1の構成の内、シートクッション10のみを図示し、シートバックの図示を省略している。
【0048】
図1に示すように、シート1のシートクッション10は、クッションパッド11と、トリム12とを備える。クッションパッド11は、オモテ面11aで着座者における臀部を支持する。即ち、クッションパッド11のオモテ面11aが「支持領域」に該当し、それ以外の領域が「他領域」に該当する。
【0049】
図3に示すように、クッションパッド11は、相対的に硬質な硬質パッド111と、相対的に軟質な軟質パッド112とが積層されてなる。軟質パッド112は、クッションパッド11におけるオモテ面11aと前面11eとにおいて、硬質パッド111を覆うように積層されている。硬質パッド111は、クッションパッド11における裏面11b側において、外部に露出している。
【0050】
なお、硬質パッド111は、軟質パッド112に対して相対的に硬質であり、軟質パッド112は、硬質パッド111に対して相対的に軟質である。具体的に、硬質パッド111はビーズ発泡体から構成され形状保持性を有し、軟質パッド112は発泡ウレタン樹脂から構成され弾力性を有する。
【0051】
図1に戻って、トリム12は、クッションパッド11のオモテ面11aおよび前面11eを少なくとも覆うように設けられている。本実施形態では、トリム12におけるオモテ面11aおよび前面11eを覆う領域が「被覆領域」に該当する。トリム12は、例えば、皮革やビニールレザーなどのシート状素材により構成されている。
【0052】
図2に示すように、クッションパッド11を裏面11b側から平面視すると、縁部分を除き硬質パッド111が外部に露出している。そして、硬質パッド111の外縁に沿った状態で、複数の溝部11cが設けられている。複数の溝部11cの各々は、長尺形状の開口を有している。
【0053】
図3に示すように、各溝部11cでは、深さ方向の中程部分に溝部11cの断面方向外向きに窪んだ窪み部11dが設けられている。
【0054】
図2に戻って、各溝部11cに沿った状態で、且つ、各溝部11cと離間した状態で可撓用溝部11jが設けられている。溝部11cが「穴部」であって、且つ、「第1溝部」に該当し、可撓用溝部11jが「第2溝部」に該当する。
【0055】
図3に示すように、可撓用溝部11jは、溝部11cと略同一の溝深さを有するように形成されている。なお、硬質パッド111における溝部11cと可撓用溝部11jとの間の領域は、外力が加えられることによりX方向に撓む。
【0056】
図2に戻って、溝部11cと可撓用溝部11jとの間の領域であって、溝部11cおよび可撓用溝部11jの開口における長手方向の両側部分には、凹部11kがそれぞれ設けられている。
【0057】
図3に示すように、凹部11kの深さは、溝部11cや可撓用溝部11jの溝深さに比べて浅く形成されている。
【0058】
2.クッションパッド11へのトリム12の固定
クッションパッド11へのトリム12の固定形態について、図4を用いて説明する。
【0059】
図4に示すように、トリム12の端縁部12aがクッションパッド11の裏面11bにくるように配されている。トリム12の端縁部12aは、クリップ13に固定されている。クリップ13は、その一部が硬質パッド111に設けられた溝部11cに挿入されている。
【0060】
クリップ13におけるトリム12が固定された部分の端辺は、硬質パッド111に設けられた凹部11k上に位置する。
【0061】
なお、クリップ13の詳細な構造については後述する。
【0062】
3.クリップ13の構造
クリップ13の構造について、図5および図6を用いて説明する。
【0063】
図5に示すように、クリップ13は、X方向の寸法およびZ方向の寸法に比べてY方向の寸法L13が長い長尺形状を有する。寸法L13は、例えば、50mm~150mmである。図5および図6に示すように、クリップ13は、トリム固定部13aと、ベース部13bと、押圧部13dと、返し部13gと、が一体形成されてなる。クリップ13は、例えば、ポリプロピレンを用いて形成されている。
【0064】
図6に示すように、トリム固定部13aとベース部13bとは、トリム固定部13aにおけるX方向の一端とベース部13bにおけるZ方向の一端とが連続するように形成されている。トリム固定部13aは、X方向の幅がW13であり、Z方向の厚みがT1である。ベース部13bは、Z方向の高さがH13であり、X方向の厚みがT2である。
【0065】
なお、各寸法は、例えば、幅W13が15~20mm、厚みT1が1~4mm、高さH13が15~20mm、厚みT2が1~4mmである。本実施形態では、一例として、W13=17.4mm、T1=2mm、H13=18.8mmとしている。
【0066】
押圧部13dは、当該押圧部13dにおけるZ方向の一端13iが、ベース部13bにおけるZ方向の底端13cに連続するように形成されている。押圧部13dは、第1湾曲部13jと第2湾曲部13eとを有する。第1湾曲部13jは、一端13iからZ方向におけるトリム固定部13aの側(図6の上側)に行くのに従ってベース部13bから離間するように湾曲した形状で形成されている。
【0067】
第2湾曲部13eは、第1湾曲部13jに対して、当該第1湾曲部13jの端(トリム固定部13a側の端)で連続し、Z方向におけるトリム固定部13aの側(図6の上側)に行くのに従ってベース部13bに近づくように湾曲した形状で形成されている。
【0068】
第2湾曲部13eにおけるZ方向のトリム固定部13aの側(図6の上側)の端部13hは、トリム固定部13aおよびベース部13bなどと接続されていない。そして、押圧部13dに対して外力が作用していない状態(図6に示す状態)では、トリム固定部13aとの間に隙間G1が空き、ベース部13bとの間に隙間G2が空いた状態となっている。
【0069】
図6に示すように、第2湾曲部13eは、当該第2湾曲部13eの他端13hが矢印Bで示す方向を指向するよう形成されている。矢印Bで示す方向は、トリム固定部13a側であって、且つ、ベース部13b側を指向する向きである。
【0070】
ここで、本実施形態に係るクリップ13では、押圧部13dの他端13hが曲面をもって形成されている。
【0071】
押圧部13dに対して外力が作用していない状態(図6に示す状態)では、第1湾曲部13jと第2湾曲部13eとの境界の箇所P13dがベース部13bから最も離間している。箇所P13dでのベース部13bの外側から押圧部13dの外側までの距離は、W13dである。なお、距離W13dは、クッションパッド11に設けられた溝部11c(図3および図4を参照)の溝幅との関係で設定されるが、本実施形態では、例えば、5~10mm(一例として、6.5mm)としている。
【0072】
また、押圧部13dの最大厚みはT3である。厚みT3は、ベース部13bの厚みT2よりも薄く設定されている。本実施形態では、一例として、T3=1.2mmとしている。このように厚みT3を厚みT2よりも薄くすることにより、ベース部13bおよび押圧部13dを溝部11c内に挿入した際に、当該溝部11cの側壁面からの反力により押圧部13dを矢印Aで示すように確実に撓ませることができる。
【0073】
さらに、ベース部13bの底端13cの近傍、換言すると、ベース部13bと押圧部13dとの接続部分には、ベース部13bにおける他の部分よりも厚みが薄くなるように凹入されてなる凹入部13fが形成されている。凹入部13fの形成によっても、当該凹入部13fが設けられた部分を起点に押圧部13dを矢印Aで示すように撓みやすくすることができる。なお、凹入の程度、換言すると、どの程度凹入部13fでの厚みを薄くするかにより、押圧部13dの可撓性を調整することができる。
【0074】
返し部13gは、ベース部13bにおける底端13cの近傍から、押圧部13dが延出された側とは反対側(図6のX方向右側)に向けて突出し、先端が尖っている。返し部13gは、Z方向における上側の面がトリム固定部13aと略平行な平面で形成されている。返し部13gの突出量はW13gである。突出量W13gは、例えば、1~2mmであり、本実施形態では一例として、W13g=1.5mmとしている。
【0075】
4.クッションパッド11へのトリム12の固定
クッションパッド11における硬質パッド111へのトリム12の固定について、図7を用いて説明する。
【0076】
図7に示すように、トリム12の端縁部12aは、クリップ13のトリム固定部13aに固定されている。なお、図7では、図示していないが、トリム固定部13aは溝部11cに沿うように長尺形状に形成されており(図5を参照)、Z方向からの平面視において、トリム12は、トリム固定部13aに対して、当該トリム固定部13aの長手方向に沿って線状に延びる箇所で固定されている。
【0077】
上記のようにトリム固定部13aにトリム12の端縁部12aが固定されたクリップ13を硬質パッド111に設けられた溝部11c内に開口11hから嵌め込んで行く。溝部11c内へのクリップ13の嵌め込みは、特別な工具を用いることなく、クリップ13の底端13cが溝底11i側を向くように作業者が手で押し込んで行く。
【0078】
溝部11cに対してクリップ13のベース部13bおよび押圧部13dを押し込んで行くと、溝部11cの側壁面11f,11gにクリップ13のベース部13bおよび押圧部13dの一部が当接する。そして、側壁面(第1側壁面)11fからの反力を受けた押圧部13dは、X方向(側壁面(第2側壁面)11gに向かう方向)に撓む。なお、クリップ13においては、ベース部13bも若干は撓むこととなるが、ベース部13bと押圧部13dとの厚みの違い、および、凹入部13fの形成により主として押圧部13dが撓む。
【0079】
そして、図4で示したように、クリップ13の底端13cが溝底11iの近傍に到達した時点で、クリップ13のトリム固定部13aがクッションパッド11の裏面11b(硬質パッド111の外面)に当接または近接する。このとき、クリップ13の押圧部13dにおける箇所P13dおよびその近傍部分(矢印Cで指し示す部分)が溝部11cの側壁面11fに設けられた窪み部11d(矢印Dで指し示す部分)に嵌まり込む。
【0080】
また、クリップ13の構成材料はポリプロピレンであり、ビーズ発泡体から構成された硬質パッド111よりも固いので、クリップ13の返し部13g(矢印Eで指し示す部分)が溝底11iの近傍で側壁面(第2側壁面)11gに係合する。より具体的には、返し部13gは、ベース部13bが側壁面11gに当接または近接するまで側壁面11gから外方に向けて侵入する。
【0081】
クリップ13のベース部13bおよび押圧部13dが図4に示す状態まで押し込まれた状態において、押圧部13dから側壁面11fに押圧力が作用し、ベース部13bから側壁面11gに押圧力が作用する。これにより、クッションパッド11に対するトリム12の固定がなされる。
【0082】
本実施形態に係るシート1では、予めトリム12の端縁部12aがトリム固定部13aに固定されたクリップ13のベース部13bおよび押圧部13dをクッションパッド11の溝部11c内に押し込むという簡易な作業で、クッションパッド11にトリム12を固定することができる。よって、シート1では、クッションパッド11へのトリム12の固定に際して、重いホックリンガーなどの工具を用いる必要がなく、高効率に固定作業が可能である。
【0083】
また、シート1では、クリップ13における押圧部13dが可撓性を有するように形成されているので、溝部11c内へのベース部13bおよび押圧部13dの挿入時において、可撓性を有しないクリップを溝部内に押し込む場合に比べて、大きな力を必要とすることもない。
【0084】
5.溝部11cからのクリップ13の抜き取り
(1)第1の抜き取り方法
クッションパッド11からトリム12を取り外すために、溝部11cからクリップ13を抜き取る第1の方法について、図8を用いて説明する。
【0085】
先ず、図8(a)に示すように、硬質パッド111の溝部11cと可撓用溝部11jとの間に設けられた凹部11kに対して作業者が親指などを差し込み、トリム固定部13aを硬質パッド111の外面から離間するように持ち上げる。これにより、矢印Fで示すように、側壁面11fに設けられた窪み部11dからクリップ13の押圧部13dを離間させることができる。
【0086】
次に、図8(b)に示すように、作業者が凹部11kに差し込んだ指をX方向に動かすことにより、硬質パッド111における溝部11cと可撓等溝部11jとの間の領域を矢印Iのように撓ませる。
【0087】
この操作により、クリップ13の押圧部13dが矢印Fで示すように撓む。これにより、側壁面11fに設けられた窪み部11dからクリップ13の押圧部13dをさらに離間させることができる。
【0088】
本実施形態では、以上の操作を実行することにより、クッションパッド11からクリップ13を容易に取り外すことができ、トリム12の張替えなどを容易に行うことができる。
【0089】
(2)第2の抜き取り方法
クッションパッド11からトリム12を取り外すために、溝部11cからクリップ13を抜き取る第2の方法について、図9を用いて説明する。
【0090】
先ず、図9(a)に示すように、硬質パッド111の溝部11cと可撓用溝部11jとの間に設けられた凹部11kに対して作業者が左右両手の親指を差し込み、トリム固定部13aの端部13kに親指を当接させる。そして、作業者は、左右両手の残りの指を角部13lに当接させる。
【0091】
次に、図9(b)に示すように、作業者は、左右両手の指に力をいれてクリップ13をしっかりと把持した状態で、矢印Jに示すように両手を手前に引き寄せる。これにより、クリップ13の押圧部13dから押圧力が付加された硬質パッド111における溝部11cと可撓等溝部11jとの間の領域が矢印Kで示すように撓む。そして、硬質パッド111の上記撓みに伴って、クリップ13の返し部13gと側壁面11gとの間に空間が生じる(矢印Lで示す部分)。
【0092】
第2の抜き取り方法を採用した場合でも、以上の操作を実行することにより、クッションパッド11からクリップ13を容易に取り外すことができ、トリム12の張替えなどを容易に行うことができる。
【0093】
[変形例]
上記実施形態では、自動車の後部座席に適用されるシート1を一例として採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、前部座席に適用されるシートや、室内で用いられるシートなどに適用することも可能である。
【0094】
また、上記実施形態では、着座者の臀部を支持するシートクッション10を一例としたが、本発明は、シートバックについても適用が可能である。
【0095】
上記実施形態では、図5で示したように、溝部11cの開口11hに沿った長尺形状のクリップ13を採用することとしたが、本発明は、クリップの形状を長尺形状に限定するものではない。ただし、トリム12の皺の発生を抑制するという観点からは、上記実施形態のように長尺形状のクリップを採用し、トリム固定部13aに対して線状にトリム12を固定することが望ましい。
【0096】
上記実施形態では、クリップ13におけるベース部13bの形状を平板形状としたが、本発明は、曲面を有するベース部を採用することもできる。
【0097】
上記実施形態では、クリップ13の押圧部13dについて、一端13iがベース部13bに接続され、他端13hが自由端である構造を採用したが、本発明は、トリム固定部側でベース部に接続され、溝底側となる端部が自由端である構造を採用することもできるし、溝深さ方向の中間点でベース部に接続され、溝底側となる端部および開口側となる端部の両方が自由端である構造を採用することもできる。
【0098】
上記実施形態では、クリップ13について、トリム固定部13a、ベース部13b、および押圧部13dが一体成形されてなる構造を採用したが、本発明は、部位の一部を別部品として他部に接合することにしてもよい。
【0099】
上記実施形態では、クリップ13の押圧部13dの他端13hを曲面をもって形成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。側面視で矩形状としてもよい。ただし、上記実施形態のように押圧部13dの他端13hを曲面をもって形成することとすれば、溝部11c内に押し込んだクリップ13を仮に引き抜こうとする場合にも、溝部11cの側壁面11fに引っ掛かり難く、側壁面11fを削り難くすることができる。
【0100】
上記実施形態では、クリップ13のベース部13bに一か所だけ返し部13gを設けることとしたが、本発明では、複数の返し部を設けることも可能である。また、返し部を設ける位置に関しても、ベース部13bの底端13cに近い位置だけでなく、ベース部におけるZ方向の中間部分などとすることもできる。
【0101】
上記実施形態では、クッションパッド11やクリップ13の構成材料や各寸法を一例として示したが、本発明は、シートのサイズや設計により構成材料や各寸法を適宜に変更可能である。
【0102】
上記実施形態では、クッションパッド11のオモテ面11aが支持領域、裏面11bが他領域であることとしたが、本発明は、溝部を設ける領域を裏面に限定するものではない。例えば、前面の下部や後面に溝部を設けることもできる。
【0103】
上記実施形態では、溝部11cに対してクリップ13を挿入することとしたが、本発明は、平面視で円形あるいは矩形の開口を有する穴部に対して、対応する形状のクリップを挿入することとしてもよい。
【0104】
上記実施形態では、可撓用溝部11jおよび凹部11kを硬質パッド111に設けることとしたが、本発明では、可撓用溝部および凹部を軟質パッドに設けることにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0105】
上記実施形態では、クッションパッド11からのクリップ13の抜き取り作業を容易にするために、硬質パッド111に凹部11kと可撓用溝部11jとを設けることとしたが、本発明は、どちらか一方を設けるだけでもよい。この場合にも、クリップ13の取り外し作業を容易にすることが可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 シート
10 シートクッション
11 クッションパッド
11c 溝部(穴部、第1溝部)
11d 窪み部
11f 側壁面(第1側壁面)
11g 側壁面(第2側壁面)
11j 可撓用溝部(第2溝部)
11k 凹部
12 トリム
13 クリップ
13a トリム固定部
13b ベース部
13d 押圧部
13g 返し部
111 硬質パッド
112 軟質パッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9