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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026062
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】浴室用椅子
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/00 20060101AFI20220203BHJP
   A47C 9/00 20060101ALI20220203BHJP
   A47C 4/20 20060101ALI20220203BHJP
   A47C 4/24 20060101ALI20220203BHJP
   A47C 1/027 20060101ALI20220203BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61H33/00 310Z
A47C9/00 Z
A47C4/20
A47C4/24
A47C1/027
A47C7/54 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129343
(22)【出願日】2020-07-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000102234
【氏名又は名称】ウチヱ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】内山 稔章
【テーマコード(参考)】
3B095
3B099
4C094
【Fターム(参考)】
3B095AA04
3B095CA05
3B099BA04
3B099CA32
4C094BC25
4C094GG02
(57)【要約】
【課題】 椅子本体および座部の開閉回動と肘掛けの上下回動を同時に行うことが可能で、かつ椅子本体閉脚時の椅子本体、座部、肘掛けの折り畳みを片手だけで行うことができる浴室用椅子の提供。
【解決手段】 椅子本体および座部の開閉回動に肘掛けの上下回動を連動させ、背もたれ部に取付けられた操作レバーにより椅子本体および座部の開閉回動と肘掛けの上下回動を同時に行う仕組みとなすとともに、椅子本体開脚時には、前記前脚と後脚を閉じる方向に回動付勢する引張りばねに抗して当該椅子本体が開いて、後脚上端部間に横設した連結パイプが座部裏面と前記摺動体との間に係合されて開脚状態が保持され、椅子本体閉脚時には、前記後脚上端部間に横設した連結パイプの係合が解除され、脚体と座部、肘掛けの折りたたみ回動が同時に行われる仕組みとなしたロック装置を備えた浴室用椅子。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のクロスパイプからなる前脚と後脚とからなる脚体と、該脚体に支持された座部および前記座部に取着された背もたれ部とから椅子本体が構成され、該椅子本体は前記脚体の前脚の背もたれ部側端部に、座部背面の後端側両端部が回動可能に枢着され、前記座部の背もたれ側端部に回動可能に枢着された前記脚体の背もたれ部の下端部と前脚の上端部間に左右一対のリンクが枢着され、後脚上端部と座部側面部との間に両端部を回動可能に枢着された左右一対のリンクと座部の背もたれ側端部間に、前脚と後脚を閉じる方向に回動付勢する引張りばねを備え、前記背もたれ部の下端部と前脚の上端部間に両端部を回動可能に枢着された左右一対のリンクを介して、前記脚体と座部および背もたれ部が前記引張りばねにより前後方向に折りたたみ可能となし、前記背もたれ部には背もたれ角度可変式の背もたれ部材が取付けられ、前記座部の両サイドには後端を背もたれ部に上下方向に回動可能に枢着され、かつ座部側面に下端部を回動可能に枢着された支持部材を介して前端側を支持された左右一対の跳ね上げ式肘掛けを備えた浴室用椅子であって、
さらに、前記脚体、座部および肘掛けのワンタッ方式の自動折り畳み機構を備え、前記ワンタッチ方式の自動折り畳み機構は、座部裏面に突設したスライド式ロック装置と、前記スライド式ロック装置をリリースワイヤを介して作動させる操作レバーとから構成され、前記スライド式ロック装置は左右一対の後脚上端部間に横設した連結パイプを着脱可能に保持する押しばね内蔵のケースと、該ケースに押しばねに抗してスライド可能に嵌合された摺動体とから構成され、前記操作レバーは背もたれ部に設けられ、椅子本体開脚時には、前記前脚と後脚を閉じる方向に回動付勢する引張りばねに抗して当該椅子本体が開いて、後脚上端部間に横設した連結パイプが座部裏面と前記摺動体との間に係合されて開脚状態が保持され、椅子本体閉脚時には、前記操作レバーにより前記リリースワイヤを引っ張るとスライド式ロック装置による係合が解除され、脚体、座部、肘掛けの折りたたみ回動が同時に自動的に行われることを特徴とする浴室用椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に高齢者や身体の不自由な方の浴室用椅子としてより好適な折り畳み式の浴室用椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
特に介護を必要とする高齢者や身体障害者用の浴室用椅子としては、例えば、シートパイプに4本の脚が取り付けられ、脚と一体のハンドルパイプに支持パイプにて支持された手摺が固着され、シートパイプに座面シートが取り付けられた構造となしたもの、前記脚にキャスターを取付けて移動式としたもの、あるいは座ったままで自由に回転できる機能を備えたもの等が知られている。しかし、固定式や移動式あるいは回転式の浴室用椅子は、折り畳み式となっていないため、不使用時において収納、保管する場合や適当な場所に置く場合に比較的スペースをとるなど、取扱いの面で不便であった。
【0003】
そこで、前記した浴室用椅子の難点を解消するために、本出願人は椅子本体をワンタッチ操作で簡単に折り畳める構造とすることにより、不使用時には狭いスペースに立てて置くことができ、かつ収納、保管にも広いスペースを必要としない浴室用折り畳み式椅子を先に提案した(特許文献1参照)。この浴室用折り畳み式椅子は、椅子本体が前後方向に折たためる構造となしたもので、折りたたんだ場合には椅子本体の前後方向幅が大幅に縮まり持ち運びに便利であるのみならず、狭いスペースに立てて置くことができ、かつ収納、保管にも広いスペースを必要としない利点があり、又、折り畳み機構にクロスパイプ方式を採用しているので、構造がコンパクトでかつ脚の開閉もワンタッチ操作で簡易迅速に行うことができ、さらに、肘掛けが背もたれに連動する跳ね上げ式となっているので、椅子への乗り降りが容易でかつ楽にできる上、椅子の背面側に跳ね上げて立てておくことができるので、手足や背中などを洗滌する際にも邪魔にならず便利であるという特徴を有している。
【0004】
又、特許文献2には、折り畳みをより簡単に行うことができる肘掛け付きの浴室用椅子が提案されている。この浴室用椅子は、座部が水平状態から上方へ回動して折り畳まれるように脚部に取り付けられた構造となすとともに、脚部は前脚と後脚を回動連結して折り畳み開閉可能に形成され、前脚と後脚が閉じて折り畳まれる方向への回動と、座部の折り畳まれる方向への回動を連動させ、かつ、前脚と後脚が開かれる方向への回動と、座部の水平状態への回動を連動させる機構を備え、前脚と後脚を回動付勢するバネの作用で脚部と座部の折り畳み回動を可能となし、さらに水平状態に回動した座部を水平状態に保持するロック装置(回動方式)を備え、該ロック装置による係合が解除されるとバネの作用で脚部と座部の回動が自動的に行われる仕組みとなしたものである。なお、この浴室用椅子の肘掛けは背もたれに取り付けられて手作業で上下に回動位置させる方式となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3106591号
【特許文献2】特許第6228251号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記の特許文献1に記載の浴室用椅子の場合は、椅子本体の開閉をワンタッチ操作で簡易迅速に行うことができるも、その椅子本体の開閉操作はその都度両手で座部側と背面側を把持して行わなければならなかった。即ち、椅子本体を閉じる際は、座部側と背面側を両手で把持して椅子本体を前後方向に回動させて折り畳み、椅子本体を開く際は、同じく座部側と背面側を両手で把持して椅子本体を前後方向に回動させて開く必要があった。又、特許文献2に記載の浴室用椅子の場合はその構造上、椅子本体を折り畳む際の動力として、特殊バネ、具体的には両端の係止用線部とその間のコイル部とからなる特殊なねじりコイルバネを必須とし、引張りバネ等の一般的なバネを用いることができないという難点がある。又、座部を水平状態に保持する手段に、回転させてパイプを挟み込む方式のロック装置を採用しているため、ロック装置自体も機構的に複雑にならざるを得ない上、コストも高くつくという問題があった。さらに、肘掛けは背もたれ部に枢着されているだけで椅子本体に連動しないため、椅子本体の開閉と同時にワンタッチ操作で上下に回動位置させることができなかった。
【0007】
本発明は前記した従来の浴室用椅子の難点に鑑みてなされたものであり、椅子本体の開閉機構と座部の水平状態保持機構の簡易化とコスト低減をはかるとともに、椅子本体および座部の開閉回動に肘掛けの上下回動を連動させ、椅子本体および座部の開閉回動と肘掛けの上下回動を同時に行うことが可能で、かつ椅子本体閉脚時の椅子本体および肘掛けの折り畳みを片手だけの操作でワンタッチ操作できる浴室用椅子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る浴室用椅子は、左右一対のクロスパイプからなる前脚と後脚とからなる脚体と、該脚体に支持された座部および前記座部に取着された背もたれ部とから椅子本体が構成され、該椅子本体は前記脚体の前脚の背もたれ部側端部に、座部背面の後端側両端部が回動可能に枢着され、さらに前記座部の背もたれ側端部に突設したブラケット部に回動可能に枢着された前記脚体の背もたれ部の下端部と前脚の上端部間に左右一対のリンクが枢着され、後脚上端部と座部側面部との間に両端部を回動可能に枢着された左右一対のリンクと座部の背もたれ側端部間に、前脚と後脚を閉じる方向に回動付勢する引張りばねを備え、前記背もたれ部の下端部と前脚の上端部間に両端部を回動可能に枢着された左右一対のリンクを介して、前記脚体と座部および背もたれ部が前記引張りばねにより前後方向に折りたたみ可能となし、かつ前記背もたれ部には背もたれ角度可変式の背もたれ部材が取付けられ、前記座部の両サイドには後端を背もたれ部に上下方向に回動可能に枢着され、かつ座部側面に下端部を回動可能に枢着された支持部材を介して前端側を支持された左右一対の跳ね上げ式肘掛けを備えた浴室用椅子であって、さらに前記脚体、座部および肘掛けのワンタッ方式の自動折り畳み機構を備え、前記ワンタッチ方式の自動折り畳み機構は、座部裏面に突設したスライド式ロック装置と、前記スライド式ロック装置をリリースワイヤを介して作動させる操作レバーとから構成され、前記スライド式ロック装置は左右一対の後脚上端部間に横設した連結パイプを着脱可能に保持する押しばね内蔵のケースと、該ケースに押しばねに抗してスライド可能に嵌合された摺動体とから構成され、前記操作レバーは背もたれ部に取付けられ、椅子本体開脚時には、前記前脚と後脚を閉じる方向に回動付勢する引張りばねに抗して当該椅子本体が開いて、後脚上端部間に横設した連結パイプが座部裏面と前記摺動体との間に係合されて開脚状態が保持され、椅子本体閉脚時には、前記操作レバーにより前記リリースワイヤを引っ張るとスライド式ロック装置の摺動体が前記押しばねに抗して引っ張られることにより前記引張りばねの作用で前記ロック装置による係合が解除され、脚体、座部、肘掛けの折りたたみ回動が同時に自動的に行われることを特徴とするものである。
【0009】
この発明において、左右一対のクロスパイプからなる脚体は、それぞれ2本のパイプを縦向きにX形にクロスさせ、そのクロス部を結合ピンにて前後方向に回動可能に枢着し、該クロスパイプに支持される座部が前後方向に折りたたみ可能に各クロスパイプの上端と座部をリンク、ピン、引張りばねなどにより結合している。
なお、脚体にキャスターを取付けて移動式とした場合には、介護人などが後や前に動き回ることなく使用者の体の向きを容易に変えることができるが、手足や背中など体を洗滌する際椅子を手や足などで固定しなければならず不便であるため、椅子は固定キャップ付きの非移動式とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上記のごとく、椅子本体と肘掛けを連動させているので、椅子本体の背もたれ部に設けた操作レバーの一動作で椅子本体と肘掛けを同時に自動的に折りたたむことが可能であり、また、その椅子の折り畳みは片手のみで簡易迅速に行うことができるので、椅子の片付けや持ち運び、収納にも便利である。また、この発明は椅子本体を折たたむ時の動力として、従来の浴室用椅子に採用されている特殊なねじりコイルバネとは異なる引張りバネ等の一般的なバネを用いているのみならず、座部を水平状態に保持する手段もパイプを挟み込む方式のロック装置とは異なる、嵌合方式によるロック装置を採用しているので、構造簡単にしてコストも安価につくという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る浴室用椅子の一例を示す側面図である。
図2】同上浴室用椅子の背面図である。
図3】同上浴室用椅子を開脚した状態における座部の裏面側の要部を示す斜視図である。
図4】同上浴室用椅子の自動折り畳み機構のスライド式ロック装置を拡大して示す斜視図である。
図5】同上スライド式ロック装置の縦断側面図である。
図6】同上浴室用椅子を折り畳んだ状態を示す側面図である。
図7】同上浴室用椅子を折り畳んだ状態における座部の裏面側の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図7に示す浴室用椅子において、1は脚体、1-1は前脚、1-2は後脚、2は座部、3は背もたれパイプ、4は跳ね上げ式肘掛け、6、8はリンク、7は引張りばね、10はワンタッチ方式の自動折り畳み機構のスライド式ロック装置、11は同自動折り畳み機構の操作レバー、12は同自動折り畳み機構のリリースワイヤである。
【0013】
本発明に係る椅子本体は、左右一対のクロスパイプで構成された前脚1-1と後脚1-2とからなる脚体1と、該脚体に支持された座部2および前記脚体1と座部2に取着された背もたれパイプ3とから構成され、前記脚体1を構成する左右一対のクロスパイプで構成された前脚1-1と後脚1-2は、それぞれ2本のパイプを縦向きにX形にクロスさせ、そのクロス部を結合ピンP1にて前後方向に回動可能に枢着し、かつ後脚1-2の左右の上端部間と下端部間にそれぞれ後脚上部連結パイプ1-2-1(図3参照)、後脚下部連結パイプ1-2-2を横設している。背もたれパイプ3は、座部2の背もたれ側両端部に突設したブラケット部2-1に結合ピンP2にて前後方向に回動可能に枢着されている。
【0014】
座部2は、その裏面の背もたれパイプ3側の後端側に横設した前脚の上部連結パイプ1-1-1を軸に上下方向に回動可能に枢着され、さらに脚体1の後脚上端部と当該座部2の両側面部との間に両端部を回動可能に枢着された左右一対のリンク6と座部2の背もたれ側端部間に、前脚1-1と後脚1-2を閉じる方向に回動付勢する引張りばね7が掛けられ、背もたれパイプ3の下端部と前脚1-1の上部との間に両端部を回動可能に枢着された左右一対のリンク8を介して当該座部2が支持されるとともに、脚体1と座部2および背もたれパイプ3が前記引張りばね7により前後方向に折りたたみ可能となしている。なお、前記引張りばね7の背もたれ側は座部2の背面側端部に突設したばね係止ピン7-1に掛けられている。また、背もたれパイプ3には、背もたれ角度可変式の背もたれ部材3-1が締結バンド3-2により背もたれ角度可変に装着されている。なお、背もたれ部材3-1を背もたれ角度可変式としたのは、身長の違いや、高齢者や身体の不自由な方などを考慮したためである。
【0015】
跳ね上げ式肘掛け4は、その付根部を背もたれパイプ3に回動可能に枢着され、先端側を座部2との間に配置した支持パイプ4-1にて水平に保持され、座部2と連動して上下方向に回動するごとく設けられている。すなわち、跳ね上げ式肘掛け4は、その付根部を背もたれパイプ3に結合ピンP3にて上下方向に回動可能に枢着され、一端が当該肘掛け4の先端側に結合ピンP4にて回動可能に枢着された支持パイプ4-1の他端が、座部2の両側面に結合ピンP5にて回動可能に接続されている。
【0016】
次に、前記脚体1、座部2および跳ね上げ式肘掛け4のワンタッ方式の自動折り畳み機構を図3図7に基づいて説明する。
ワンタッ方式の自動折り畳み機構は、座部2の裏面に前後方向に取り付けられたスライド式ロック装置10と、背もたれパイプ3に枢着された操作レバー11とから構成され、スライド式ロック装置10は、押しばね10-3内蔵のケース10-1と該ケースに前後動可能に装着された摺動体10-2とから構成されている。摺動体10-2は当該本体部の上部を折り曲げて形成した屈曲片部10-4によりガイド溝10-5が形成され、さらに前記屈曲片部10-4の背面端部に突設した突起10-6の両サイドに前記ガイド溝10-5と隣接するガイド溝10-7が形成されている。すなわち、このスライド式ロック装置10は、ケース10-1の内壁に形成したガイド溝10-7に沿って摺動体10-2の屈曲片部10-4と突起10-6がケース10-1内にスライド可能に組み込まれ、かつ突起10-6と当接する押しばね10-3により当該摺動体10-2が弾性支持された構造となし、さらに前記摺動体10-2は当該摺動体の側面に摺動方向に穿設した長孔10-8と該長孔内にスライド可能に嵌合したガイドピン10-9により一定ストローク摺動する仕組みとなしている。前記摺動体本体部の前記屈曲片部10-4と反対側の端部にはリリースワイヤ12の接続部10-8が形成され、この接続部にストッパー球12-1を介してリリースワイヤ12が着脱可能に接続されている。
【0017】
椅子本体開脚時には、前記摺動体10-2の端部と座部2の裏面との間に後脚上部連結パイプ1-2-1が嵌合されて開脚状態が保持される仕組みとなしている。また、椅子本体を閉じる際に、前記スライド式ロック装置をリリースワイヤ12を介して作動させる操作レバー11は、背もたれパイプ3にネジピン11-1により一定方向の回転力を付勢されて回動可能に枢着されており、前記リリースワイヤ12の一端がこの操作レバー11に接続され、ワイヤ他端は前記したようにスライド式ロック装置10の摺動体10-2の端部に前記ストッパー球12-1を介して着脱可能に接続されている。
【0018】
すなわち、この自動折り畳み機構は、前記操作レバー11を操作してリリースワイヤ12を引くと、前記スライド式ロック装置10の摺動体10-2が押しばね10-3に抗して座部2の背面方向にスライドすることにより、図3に示すように摺動体10-2の端部と座部2の裏面との間に嵌合されている後脚上部連結パイプ1-2-1が、前脚1-1と後脚1-2を閉じる方向に回動付勢する引張りばね7の作用により座面前側に回動して前記ロック装置による係合が解除され、脚体1と座部2の折り畳み回動と、肘掛けの折り畳み回動が同時に自動的に行われる仕組みとなしている。したがって、このスライド式ロック装置10の場合は、従来のパイプ挟み込み方式のロック装置に比べて機構の簡易化がはかられ、コストも安価につく。
なお、前記リリースワイヤ12は、全体を外部に露出させても何等問題ないが、一部を背もたれパイプ3を挿通してつないでもよい。
【0019】
上記構成からなる浴室用椅子は、椅子本体の開脚時には、前記したように脚体1を構成する左右一対のクロスパイプで構成された前脚1-1と後脚1-2が引張りばね7に抗して開いて、後脚上部連結パイプ1-2-1が座部2の裏面と前記スライド式ロック装置10の摺動体10-2との間に嵌合されて開脚状態が保持され、椅子本体閉脚時には、前記操作レバー11によりリリースワイヤ12を引くと、後脚上部連結パイプ1-2-1が引張りばね7の作用により前記ロック装置による係合が解除され、脚体1と座部2が前後方向に回動して瞬時に折りたたまれる(図7)。この時、跳ね上げ式肘掛け4は座部2の回動に連動して当該座部2の両側面の結合ピンP5を支点にして上方に回動して、座部2と同時に折りたたまれる(図6)。このように椅子本体閉脚時の椅子本体および肘掛け4の回動は、操作レバー11の操作のみで同時に行なうことができるので、椅子本体の閉脚は片手だけの操作で簡易迅速に行うことができる。
【0020】
他方、図7に示す折り畳んだ浴室用椅子を開脚する場合は、座部2と背もたれパイプ3を把持して折り畳み時と逆方向すなわち外側に力を加えて開く。この時、肘掛け4も座部2の開動作に連動して下方に回動して使用時の状態になる。
【符号の説明】
【0021】
1 脚体
1-1 前脚
1-1-1 上部連結パイプ
1-2 後脚
1-2-1 後脚上部連結パイプ
1-2-2 後脚下部連結パイプ
2 座部
2-1 ブラケット部
3 背もたれパイプ
3-1 背もたれ部材
3-2 締結バンド
4 跳ね上げ式肘掛け
4-1 支持パイプ
6、8 リンク
7 引張りばね
7-1 ばね係止ピン
10 スライド式ロック装置
10-1 ケース
10-2 摺動体
10-3 押しばね
10-4 屈曲片部
10-5、10-7 ガイド溝
10-6 突起
10-8 長孔
10-9 ガイドピン
10-10 ワイヤ接続部
11 操作レバー
11-1 ネジピン
12 リリースワイヤ
12-1 ストッパー球
P1、P2、P3、P4、P5 結合ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のクロスパイプからなる前脚と後脚とからなる脚体と、該脚体に支持された座部および前記座部に取着された背もたれ部とから椅子本体が構成され、該椅子本体は前記脚体の前脚の背もたれ部側端部に、座部背面の後端側両端部が回動可能に枢着され、前記座部の背もたれ側端部に回動可能に枢着された前記背もたれ部の下端部と前脚の上端部間に左右一対のリンクが枢着され、後脚上端部と座部側面部との間に両端部を回動可能に枢着された左右一対のリンクと座部の背もたれ側端部間に、前脚と後脚を閉じる方向に回動付勢する引張りばねを備え、前記背もたれ部の下端部と前脚の上端部間に両端部を回動可能に枢着された左右一対のリンクを介して、前記脚体と座部および背もたれ部が前記引張りばねにより前後方向に折りたたみ可能となし、前記背もたれ部には背もたれ角度可変式の背もたれ部材が取付けられ、前記座部の両サイドには後端を背もたれ部に上下方向に回動可能に枢着され、かつ座部側面に下端部を回動可能に枢着された支持部材を介して前端側を支持された左右一対の跳ね上げ式肘掛けを備えた浴室用椅子であって、
さらに、前記脚体、座部および肘掛けのワンタッ方式の自動折り畳み機構を備え、前記ワンタッチ方式の自動折り畳み機構は、座部裏面に突設したスライド式ロック装置と、前記スライド式ロック装置をリリースワイヤを介して作動させる操作レバーとから構成され、前記スライド式ロック装置は左右一対の後脚上端部間に横設した連結パイプを着脱可能に保持する押しばね内臓のケースと、該ケースに押しばねに抗してスライド可能に嵌合された摺動体とから構成され、前記操作レバーは背もたれ部に設けられ、椅子本体開脚時には、前記前脚と後脚を閉じる方向に回動付勢する引張りばねに抗して当該椅子本体が開いて、後脚上端部間に横設した連結パイプが座部裏面と前記摺動体との間に嵌合されて開脚状態が保持され、椅子本体閉脚時には、前記操作レバーにより前記リリースワイヤを引っ張るとスライド式ロック装置による係合が解除され、脚体、座部、肘掛けの折りたたみ回動が同時に自動的に行われることを特徴とする浴室用椅子。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明に係る浴室用椅子は、左右一対のクロスパイプからなる前脚と後脚とからなる脚体と、該脚体に支持された座部および前記座部に取着された背もたれ部とから椅子本体が構成され、該椅子本体は前記脚体の前脚の背もたれ部側端部に、座部背面の後端側両端部が回動可能に枢着され、さらに前記座部の背もたれ側端部に突設したブラケット部に回動可能に枢着された前記背もたれ部の下端部と前脚の上端部間に左右一対のリンクが枢着され、後脚上端部と座部側面部との間に両端部を回動可能に枢着された左右一対のリンクと座部の背もたれ側端部間に、前脚と後脚を閉じる方向に回動付勢する引張りばねを備え、前記背もたれ部の下端部と前脚の上端部間に両端部を回動可能に枢着された左右一対のリンクを介して、前記脚体と座部および背もたれ部が前記引張りばねにより前後方向に折りたたみ可能となし、かつ前記背もたれ部には背もたれ角度可変式の背もたれ部材が取付けられ、前記座部の両サイドには後端を背もたれ部に上下方向に回動可能に枢着され、かつ座部側面に下端部を回動可能に枢着された支持部材を介して前端側を支持された左右一対の跳ね上げ式肘掛けを備えた浴室用椅子であって、さらに前記脚体、座部および肘掛けのワンタッ方式の自動折り畳み機構を備え、前記ワンタッチ方式の自動折り畳み機構は、座部裏面に突設したスライド式ロック装置と、前記スライド式ロック装置をリリースワイヤを介して作動させる操作レバーとから構成され、前記スライド式ロック装置は左右一対の後脚上端部間に横設した連結パイプを着脱可能に保持する押しばね内臓のケースと、該ケースに押しばねに抗してスライド可能に嵌合された摺動体とから構成され、前記操作レバーは背もたれ部に取付けられ、椅子本体開脚時には、前記前脚と後脚を閉じる方向に回動付勢する引張りばねに抗して当該椅子本体が開いて、後脚上端部間に横設した連結パイプが座部裏面と前記摺動体との間に係合されて開脚状態が保持され、椅子本体閉脚時には、前記操作レバーにより前記リリースワイヤを引っ張るとスライド式ロック装置の摺動体が前記押しばねに抗して引っ張られることにより前記引張りばねの作用で前記ロック装置による係合が解除され、脚体、座部、肘掛けの折りたたみ回動が同時に自動的に行われることを特徴とするものである。