(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026114
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】高周波受動部品
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20220203BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20220203BHJP
H01P 1/203 20060101ALI20220203BHJP
H01P 7/08 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H01L23/12 301Z
H05K1/14 G
H01P1/203
H01P7/08
H01L23/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129429
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】土谷 信之介
【テーマコード(参考)】
5E344
5J006
【Fターム(参考)】
5E344AA02
5E344AA19
5E344AA22
5E344BB06
5E344BB08
5E344BB10
5E344CC24
5E344CD09
5E344DD02
5E344EE21
5J006HB03
5J006HB15
5J006HB21
5J006JA01
5J006PA03
(57)【要約】
【課題】量産性よく製造することができる高周波受動部品を提供する。
【解決手段】高周波受動部品10は、高周波用基板1と、被接続基板2と、接続部3とを備える。高周波用基板1は、第1基材11と、第1導体層12と、第2導体層13とを有する。第1基材11は、被接続基板2と対向する第1対向面11aを有する。第1導体層12は、第1対向面11aに形成された共振器14を含む。第2導体層13は、第1基材11の第1対向面11aとは反対の面である第1外面11bに形成された接地導体層である。被接続基板2は、第2基材21と、第3導体層22とを有する。第2基材21は、高周波用基板1と対向する第2対向面21aを有する。第3導体層22は、第2対向面21aに形成された接地導体層を含む導体層である。接続部3は、第1導体層12と第3導体層22とを電気的に接続する。共振器14は、空間4を隔てて第3導体層22と対向する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波用基板と、被接続基板と、前記高周波用基板と前記被接続基板とを接続する接続部と、を備え、
前記高周波用基板は、
前記被接続基板と対向する第1対向面を有する絶縁性の第1基材と、
前記第1対向面に形成され、電磁結合を利用して高周波の電力または信号の授受を行う共振器を含む第1導体層と、
前記第1基材の前記第1対向面とは反対の面である第1外面に形成された接地導体層である第2導体層と、を有し、
前記被接続基板は、
前記高周波用基板と対向する第2対向面を有する第2基材と、
前記第2対向面に形成された接地導体層を含む第3導体層と、を有し、
前記接続部は、前記第1導体層と前記第3導体層とを電気的に接続し、
前記共振器は、空間を隔てて前記第3導体層と対向する、高周波受動部品。
【請求項2】
前記第1導体層は、前記接続部を介して前記第3導体層と接続され、
前記第1導体層と前記第1対向面との間の少なくとも一部の領域に、第1応力緩和層が形成されている、請求項1記載の高周波受動部品。
【請求項3】
前記第1応力緩和層は、平面視において、前記第1導体層の外縁部を含む領域に形成されている、請求項2記載の高周波受動部品。
【請求項4】
前記第2導体層と前記第1外面との間の少なくとも一部の領域に、第2応力緩和層が形成されている、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の高周波受動部品。
【請求項5】
前記第1導体層の表面に、前記接続部が形成される開口を有するカバー層が形成されている、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の高周波受動部品。
【請求項6】
前記第1対向面と前記第2対向面の少なくとも一方に、調整凹部または調整凸部が形成され、
前記調整凹部または前記調整凸部が前記第1対向面に形成されている場合、前記共振器は、前記第1対向面に形成された前記調整凹部の内面、または前記第1対向面に形成された前記調整凸部の突出面に形成され、
前記調整凹部または前記調整凸部が前記第2対向面に形成されている場合、前記共振器に対向する前記第3導体層は、前記第2対向面に形成された前記調整凹部の内面、または前記第2対向面に形成された前記調整凸部の突出面に形成されている、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の高周波受動部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波受動部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁結合を利用して高周波の電力または信号の授受を行う共振器を備えた電子部品が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に記載の電子部品は、誘電体フィルタであり、誘電体基板と、アース電極と、共振電極とを備える。誘電体基板は、複数の誘電体層が積層されて構成される。アース電極および共振電極は誘電体基板内に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記電子部品は、複数の誘電体層が積層された誘電体基板を用いるため、量産性よく製造するのが容易でなかった。
【0005】
本発明の一態様は、量産性よく製造することができる高周波受動部品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、高周波用基板と、被接続基板と、前記高周波用基板と前記被接続基板とを接続する接続部と、を備え、前記高周波用基板は、前記被接続基板と対向する第1対向面を有する絶縁性の第1基材と、前記第1対向面に形成され、電磁結合を利用して高周波の電力または信号の授受を行う共振器を含む第1導体層と、前記第1基材の前記第1対向面とは反対の面である第1外面に形成された接地導体層である第2導体層と、を有し、前記被接続基板は、前記高周波用基板と対向する第2対向面を有する第2基材と、前記第2対向面に形成された接地導体層を含む第3導体層と、を有し、前記接続部は、前記第1導体層と前記第3導体層とを電気的に接続し、前記共振器は、空間を隔てて前記第3導体層と対向する、高周波受動部品を提供する。
【0007】
前記構成によれば、第1外面に第2導体層(接地導体層)を有する高周波用基板の共振器は、空間を隔てて、接地導体層を含む第3導体層に対向する。平面視において、前記共振器の少なくとも一部は、前記第2導体層と、前記第3導体層における接地導体層との両方と重なっている。前記高周波受動部品は、複数の誘電体層が積層された基板を用いた電子部品に比べて構造が簡単であるため、製造が容易である。よって、前記構成の高周波受動部品は、量産性の点で優れている。
前記構成によれば、共振器は、第2導体層と、第3導体層における接地導体層との間に配置されている。すなわち、共振器は、2つの接地導体層の間に配置されている。よって、高周波特性(例えば、誘電正接の小ささ)に優れた高周波受動部品が得られる。
【0008】
前記高周波受動部品は、共振器と第2導体層とが絶縁性の第1基材で隔てられ、共振器と第3導体層とが空間で隔てられた構造を有する。そのため、信号の損失(例えば、誘電損失)を低く抑えることができる。
【0009】
前記第1導体層は、前記接続部を介して前記第3導体層と接続され、前記第1導体層と前記第1対向面との間の少なくとも一部の領域に、第1応力緩和層が形成されていることが好ましい。
【0010】
前記第1応力緩和層は、平面視において、前記第1導体層の外縁部を含む領域に形成されていてもよい。
【0011】
前記高周波受動部品は、前記第2導体層と前記第1外面との間の少なくとも一部の領域に、第2応力緩和層が形成されている構成であってもよい。
【0012】
前記第1導体層の表面に、前記接続部が形成される開口を有するカバー層が形成されていてもよい。
【0013】
前記高周波受動部品は、前記第1対向面と前記第2対向面の少なくとも一方に、調整凹部または調整凸部が形成され、前記調整凹部または前記調整凸部が前記第1対向面に形成されている場合、前記共振器は、前記第1対向面に形成された前記調整凹部の内面、または前記第1対向面に形成された前記調整凸部の突出面に形成され、前記調整凹部または前記調整凸部が前記第2対向面に形成されている場合、前記共振器に対向する前記第3導体層は、前記第2対向面に形成された前記調整凹部の内面、または前記第2対向面に形成された前記調整凸部の突出面に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、量産性よく製造することができる高周波受動部品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図2】第1導体層の第1の例の模式的な平面図である。
【
図4】第1導体層の第2の例の模式的な平面図である。
【
図5】第2実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図6】第3実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図7】第4実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図8】第5実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図9】第6実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図10】第7実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図11】第8実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図12】第9実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図13】第10実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図14】第11実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図15】第12実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図16】第13実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【
図17】第14実施形態の高周波受動部品の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[高周波受動部品](第1実施形態)
図1は、第1実施形態の高周波受動部品10の模式的な断面図である。
以下、
図1に即して各構成の位置関係を規定する。例えば、高周波用基板1はモジュール基板2に対して上方に位置する。ここで定めた位置関係は、高周波受動部品10の使用時の姿勢を限定しない。高周波用基板1およびモジュール基板2の厚さ方向から見ることを平面視という。
【0017】
図1は、高周波受動部品10の模式的な断面図である。
図1は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
図2は、第1導体層12の第1の例である第1導体層12Aを示す平面図である。
図3は、第3導体層22の模式的な平面図である。
【0018】
図1に示すように、高周波受動部品10は、高周波用基板1と、モジュール基板2(被接続基板)と、1または複数の接続部3とを備える。
高周波用基板1は、第1基材11と、第1導体層12と、第2導体層13とを備える。
第1基材11は、絶縁性の基材であり、矩形板状に形成されている。第1基材11としては、ガラス基材、樹脂基材、セラミックス基材などの誘電体基材が好適である。ガラス基材を構成するガラスは、例えば、石英ガラスである。樹脂基材を構成する樹脂は、例えば、フッ素樹脂である。セラミックス基材を構成するセラミックスは、例えば、Al
2O
3である。
第1基材11を構成する材料は、高周波特性の優れた材料が好ましい。高周波特性としては、例えば、誘電正接を挙げることができる。誘電正接が小さい場合、高周波特性が優れているといえる。
【0019】
図1において、第1基材11の下面は、モジュール基板2に対向する面である。第1基材11の下面を第1対向面11aという。第1基材11の上面は第1対向面11aとは反対の面である。第1基材11の上面を第1外面11bという。
第1導体層12は、第1基材11の第1対向面11aに形成される。第1導体層12は、導電性材料、例えば、銅、銀、これらの合金などの金属で構成される。
【0020】
図2に示すように、第1導体層12Aは、共振器14を形成する。共振器14は、共振パターン15(共振配線部)と、入力部16と、出力部17と、第1グランド部5と、第2グランド部6とを備える。なお、共振器14では、「16」は出力部であってもよい。「17」は入力部であってもよい。
図2における左右方向をX方向という。右方向を+X方向という。左方向を-X方向という。
図2における上下方向をY方向という。上方向を+Y方向という。下方向を-Y方向という。
【0021】
共振パターン15は、複数の主配線15a~15cを備える。この例では、主配線の数は3つである。3つの主配線15a~15cをそれぞれ第1~第3主配線15a,15b,15cという。主配線15a~15cは、それぞれY方向に延在する。主配線15a~15cの長さ(Y方向の寸法)は互いに等しい。
【0022】
第1主配線15aは、主配線15a~15cのうち最も-X方向寄りに位置する配線である。第2主配線15bは、第1主配線15aに対して+X方向に離れて位置する。第3主配線15cは、第2主配線15bに対して+X方向に離れて位置する。第3主配線15cは、主配線15a~15cのうち最も+X方向寄りに位置する配線である。
【0023】
第1主配線15aと第3主配線15cとは、Y方向の位置が互いに同じである。第2主配線15bの一端15b1(
図2において上端)は、主配線15a,15cの一端15a1,15c1に比べて+Y方向寄りに位置する。第2主配線15bの他端15b2(
図2において下端)は、主配線15a,15cの他端15a2,15c2に比べて+Y方向寄りに位置する。第2主配線15bの他端15b2は、主配線15a,15cの一端15a1,15c1に比べて-Y方向寄りに位置する。
【0024】
入力部16は、信号線16aと、第1グランド配線16bと、第2グランド配線16cと、を備える。信号線16aには、接続部3を介して第3導体層22の一方の信号線22a(
図3参照)と接続される接続パッド23Aが形成されている。第1グランド配線16bおよび第2グランド配線16cには、接続部3を介して第3導体層22の接地導体部22b(
図3参照)と接続される接続パッド23Aが形成されている。
【0025】
信号線16aは、第1主配線15aの外側縁15a3(-X方向側の側縁)の-Y方向寄りの部分(
図2における第1主配線15aの下部)から-X方向に延出する。
第1グランド配線16bは、信号線16aに対して+Y方向に離れて位置する。第1グランド配線16bは、X方向に延在する。第1グランド配線16bは、信号線16aと並行して形成されている。第1グランド配線16bは、第1主配線15aに対して-X方向に離れて形成されている。
【0026】
第2グランド配線16cは、信号線16aに対して-Y方向に離れて位置する。第2グランド配線16cは、X方向に延在する。第2グランド配線16cは、信号線16aと並行して形成されている。第2グランド配線16cは、第1主配線15aに対して-X方向に離れて形成されている。
信号線16a、第1グランド配線16bおよび第2グランド配線16cは、「配線16a~16c」ともいう。
【0027】
出力部17は、信号線17aと、第1グランド配線17bと、第2グランド配線17cと、を備える。信号線17aには、接続部3を介して第3導体層22の他方の信号線22a(
図3参照)と接続される接続パッド23Aが形成されている。第1グランド配線17bおよび第2グランド配線17cには、接続部3を介して第3導体層22の接地導体部22b(
図3参照)と接続される接続パッド23Aが形成されている。
【0028】
信号線17aは、第3主配線15cの外側縁15c3(+X方向側の側縁)の-Y方向寄りの部分(
図2における第3主配線15cの下部)から+X方向に延出する。
第1グランド配線17bは、信号線17aに対して+Y方向に離れて位置する。第1グランド配線17bは、X方向に延在する。第1グランド配線17bは、信号線17aと並行して形成されている。第1グランド配線17bは、第3主配線15cに対して+X方向に離れて形成されている。
【0029】
第2グランド配線17cは、信号線17aに対して-Y方向に離れて位置する。第2グランド配線17cは、X方向に延在する。第2グランド配線17cは、信号線17aと並行して形成されている。第2グランド配線17cは、第3主配線15cに対して+X方向に離れて形成されている。
信号線17a、第1グランド配線17bおよび第2グランド配線17cは、「配線17a~17c」ともいう。
【0030】
入力部16と出力部17とは、Y方向の位置(
図2における上下方向の位置)がほぼ同じである。詳しくは、信号線16aと信号線17aとはY方向の位置がほぼ同じである。第1グランド配線16bと第1グランド配線17bとは、Y方向の位置がほぼ同じである。第2グランド配線16cと第2グランド配線17cとは、Y方向の位置がほぼ同じである。
【0031】
第1グランド部5は、主延在部5aと、第1側延出部5bと、第2側延出部5cとを備える。主延在部5aは、X方向に延在する。主延在部5aの少なくとも一部は、主配線15a~15cに対して+Y方向側に離れて位置する。第1側延出部5bは、主延在部5aの一端から-Y方向に延出する。第1側延出部5bの先端5b1を含む部分は、第1主配線15aに対して-X方向側に位置する。第1側延出部5bの先端5b1は、第1グランド配線16bに対向する。第2側延出部5cは、主延在部5aの他端から-Y方向に延出する。第2側延出部5cの先端5c1を含む部分は、第3主配線15cに対して+X方向側に位置する。第2側延出部5cの先端5c1は、第1グランド配線17bに対向する。
【0032】
第2グランド部6は、X方向に延在する。第2グランド部6の少なくとも一部は、主配線15a~15cに対して-Y方向側に離れて位置する。
【0033】
第1グランド部5および第2グランド部6は、概略、共振パターン15を包囲して形成されている。第1グランド部5および第2グランド部6には、接続部3を介して第3導体層22の接地導体部22b(
図3参照)と接続される接続パッド23Aが形成されている。第1グランド部5および第2グランド部6は、貫通配線18によって第2導体層13(接地導体層)と電気的に接続されている(
図1参照)。
【0034】
なお、
図2に示す共振器14における共振パターン15は、独立した複数の主配線を備えるが、複数の主配線の一部は互いに電気的に接続されていてもよい。複数の主配線の一部は、貫通配線を介して互いに接続されていてもよい。
【0035】
共振器14は、電磁結合を利用して高周波の電力または信号の授受を行うことができる。高周波の電力または信号の周波数は、例えば、10~300GHz、60~80GHz等が挙げられる。高周波の電磁波は、例えば、ミリ波である。共振器14は、平面視において、少なくとも一部が第2導体層13および第3導体層22(
図1参照)と重なる位置にある。
【0036】
第2導体層13は、第1基材11の第1外面11bに形成される。第2導体層13は、導電性材料、例えば、銅、銀、これらの合金などの金属で構成される。第2導体層13は、接地導体層である。
【0037】
図1に示すように、第1基材11には、複数の貫通孔11cが形成されている。貫通孔11cは、第1対向面11aから第1外面11bにかけて形成されている。貫通孔11cは、第1基材11を厚さ方向に貫通する。
貫通孔11cには、それぞれ貫通配線18が形成されている。貫通配線18の一端(
図1において下端)は、第1グランド部5および第2グランド部6(
図2参照)に達している。貫通配線18の他端(
図1において上端)は、第2導体層13に達している。
【0038】
モジュール基板2は、第2基材21と、第3導体層22とを備える。
第2基材21は、絶縁性の基材であり、板状に形成されている。
図1において、第2基材21の上面である第2対向面21aは、高周波用基板1に対向する面である。第2対向面21aは、例えば、高周波用基板1の下面(第1対向面11a)と平行である。
【0039】
第3導体層22は、第2基材21の第2対向面21aに形成される。第3導体層22は、導電性材料、例えば、銅、銀、これらの合金などの金属で構成される。第3導体層22は、平面視において、少なくとも一部が第1導体層12に重なる。
【0040】
図3に示すように、第3導体層22は、一対の信号線22aと、接地導体部22bとを備える。接地導体部22bは接地導体層であるため、第3導体層22は、接地導体層を含む導体層である。
信号線22aは、接地導体部22bに形成された開口22c内に形成される。信号線22aおよび接地導体部22bには、接続部3が接続される複数の接続パッド23Bが形成されている。
【0041】
第2基材21には、送受信回路、アンテナパターンを形成してもよい。第2基材21には、送受信IC、逓倍器等の電子部品を搭載してもよい。第2基材21は、誘電体層と配線層とが交互に積層されて構成されたビルドアップ基板であってもよい。
【0042】
接続部3は、高周波用基板1とモジュール基板2とを接続する。詳しくは、接続部3は、第1導体層12と第3導体層22とを電気的に接続する。
接続部3の一端(
図1において上端)は、第1導体層12に達している。例えば、
図2に示すように、複数の接続部3の一端は、それぞれ入力部16、出力部17およびグランド部5,6に形成された接続パッド23Aに接続される。接続部3の他端(
図1において下端)は、第3導体層22の信号線22aおよび接地導体部22bに形成された接続パッド23B(
図3参照)に接続される。
接続部3は、導電性材料、例えば、はんだなどの金属で構成される。
【0043】
本実施形態では、接続部3は、入力部16、出力部17およびグランド部5,6に形成されているが、これらに加え、入力部16、出力部17およびグランド部5,6以外の箇所にも接続部3を設けることができる。これにより、高周波用基板1とモジュール基板2との接続安定性を高めることができる。
入力部16、出力部17およびグランド部5,6以外の箇所にも接続部3を設ける場合には、第1対向面11aおよび第2対向面21aに導体層および接続パッドを形成し、この接続パッドに接続部を形成する。
【0044】
接続部3は、高周波用基板1とモジュール基板2とを間隔をおいた状態で接合している。これによって、第1導体層12の共振器14は、空間4(空隙層)を隔てて第3導体層22と対向する。
【0045】
[高周波受動部品の製造方法]
高周波受動部品10を製造する方法の一例を、
図1を参照して説明する。
【0046】
(準備工程)
図1に示すように、第1基材11および第2基材21を用意する。
【0047】
(穿孔工程)
第1基材11に、貫通孔11cを形成する。
【0048】
(導体層形成工程)
第1基材11の第1対向面11aに、接続パッド23Aを有する第1導体層12を形成する。第1基材11の第1外面11bに第2導体層13を形成する。第1基材11の貫通孔11cに貫通配線18を形成する。第1導体層12、第2導体層13、貫通配線18および接続パッド23Aは、無電解メッキ、電解メッキ、蒸着、スパッタ、導電ペーストなどにより形成することができる。
【0049】
第2基材21の第2対向面21aに、接続パッド23Bを有する第3導体層22を形成する。第3導体層22および接続パッド23Bは、無電解メッキ、電解メッキ、蒸着、スパッタ、導電ペーストなどにより形成することができる。
【0050】
はんだ付けなどにより接続部3を形成する。接続部3は、高周波用基板1とモジュール基板2とを接続する。これにより、高周波受動部品10を得る。
【0051】
[第1実施形態の高周波受動部品が奏する効果]
高周波受動部品10は、第1外面11bに第2導体層13(接地導体層)を有する高周波用基板1の共振器14が、空間4を隔ててモジュール基板2の第3導体層22(一部が接地導体層)に対向する構造を有する。高周波受動部品10は、複数の誘電体層が積層された基板を用いた電子部品に比べて構造が簡単であるため、製造が容易である。よって、高周波受動部品10は、量産性の点で優れている。
【0052】
高周波受動部品10では、共振器14は、第2導体層13(接地導体層)と、第3導体層22(一部が接地導体層)との間に配置されている。すなわち、共振器14は、2つの接地導体層の間に配置されている。共振器14は、誘電正接が最小となる空気の層(空間4)によって第3導体層22と隔てられている。よって、高周波特性(例えば、誘電正接の小ささ)に優れた高周波受動部品10が得られる。
【0053】
高周波受動部品10は、共振器14と第2導体層13とが絶縁性の第1基材11で隔てられ、共振器14と第3導体層22とが空間4で隔てられた構造を有する。そのため、信号の損失(誘電損失)を低く抑えることができる。
【0054】
高周波受動部品10は、高周波用基板1の第1基材11がガラス基材または樹脂基材である場合、高周波特性を高めることができる。例えば、誘電正接を小さくできる。
高周波受動部品10は前述の簡略な構造により、第1基材11に大きな力が加えられにくい。そのため、第1基材11が脆弱であっても破損が起こりにくい。
【0055】
図4は、第1導体層12の第2の例である第1導体層12Bの模式的な平面図である。
図4に示すように、第1導体層12Bは、共振器114を形成する。共振器114は、共振パターン115(共振配線部)と、入力部16と、出力部17と、第1グランド部105と、第2グランド部106とを備える。
図2に示す第1導体層12Aと共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。なお、共振器114では、「16」は出力部であってもよい。「17」は入力部であってもよい。
【0056】
共振パターン115は、複数の主配線115a~115dを備える。この例では、主配線の数は4つである。
入力部16は、出力部17に比べて、+Y方向寄りに位置する。
【0057】
第1グランド部105は、主延在部105aと、側延出部105bとを備える。主延在部105aは、X方向に延在する。主延在部105aの少なくとも一部は、主配線115a~115dに対して+Y方向側に離れて位置する。
側延出部105bは、主延在部105aの一端から-Y方向に延出する。側延出部105bの先端105b1を含む部分は、主配線115dに対して+X方向側に位置する。側延出部105bの先端105b1は、第1グランド配線17bに対向する。
【0058】
第2グランド部106は、主延在部106aと、側延出部106bとを備える。主延在部106aは、X方向に延在する。主延在部106aの少なくとも一部は、主配線115a~115dに対して-Y方向側に離れて位置する。
側延出部106bは、主延在部106aの一端から+Y方向に延出する。側延出部106bの先端106b1を含む部分は、主配線115aに対して-X方向側に位置する。側延出部106bの先端106b1は、第2グランド配線16cに対向する。
【0059】
第1グランド部105および第2グランド部106には、接続部3を介して第3導体層22の接地導体部22b(
図3参照)と接続される接続パッド23Aが形成されている。第1グランド部105および第2グランド部106は、貫通配線18によって第2導体層13と電気的に接続されている(
図1参照)。
【0060】
[高周波受動部品](第2実施形態)
図5は、第2実施形態の高周波受動部品10Aの模式的な断面図である。
図5は、
図2におけるy1-y1断面を示す。以下、既出の実施形態との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0061】
図5に示すように、高周波受動部品10Aは、第1導体層12と第1対向面11aとの間に、第1応力緩和層(応力緩和層)19が形成されている。第1応力緩和層19は、例えば、第1導体層12のうち、入力部16および出力部17の配線16a~16c,17a~17c(
図2参照。
図5には不図示)と、第1対向面11aとの間に形成されている。第1グランド部5および第2グランド部6と、第1対向面11aとの間にも、第1応力緩和層19が形成されている。
【0062】
第1応力緩和層19は、例えば、平面視において、配線16a~16c,17a~17cおよびグランド部5,6の全領域を包含して形成されている。配線16a~16c,17a~17cおよびグランド部5,6は、第1応力緩和層19によって第1対向面11aから隔てられている。
【0063】
第1応力緩和層(応力緩和層)19の構成材料としては、誘電体、例えば、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂が挙げられる。
応力緩和層の線膨張係数(例えば、JIS K7197に準拠)は、この層に接する導体層の線膨張係数より大きくてもよい。応力緩和層のヤング率(例えば、JIS K7161、JIS K7171等に準拠)は、この応力緩和層が接する基材および導体層のヤング率のいずれより小さいことが好ましい。応力緩和層のヤング率は、例えば、5GPa以下である。本実施形態では、第1応力緩和層19のヤング率は、第1基材11および第1導体層12のヤング率のいずれより小さいことが好ましい。
応力緩和層(本実施形態では第1応力緩和層19)は、この応力緩和層が接する基材(本実施形態では第1基材11)が硬質基材(例えば、ヤング率50GPa以上)である場合に、その機能を十分に発揮する。
高周波受動部品10Aの、第1応力緩和層19以外の構成は、
図1に示す高周波受動部品10と同様としてよい。
【0064】
高周波受動部品10Aは、第1導体層12と第1対向面11aとの間に第1応力緩和層19が設けられているため、第1導体層12と第1基材11との間の線膨張係数の差に起因して配線が第1基材11から剥離するのを抑制できる。
【0065】
[高周波受動部品](第3実施形態)
図6は、第3実施形態の高周波受動部品10Bの模式的な断面図である。
図6は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
【0066】
図6に示すように、高周波受動部品10Bは、第1導体層12と第1対向面11aとの間の一部の領域に、第1応力緩和層(応力緩和層)29が形成されている。第1応力緩和層29は、例えば、第1導体層12のうち、配線16a~16c,17a~17c(
図2参照。
図6には不図示)およびグランド部5,6と、第1対向面11aとの間の一部の領域に形成されている。
【0067】
第1応力緩和層29は、平面視において、第1導体層12の外縁部を含む領域に形成されている。第1応力緩和層29は、例えば、平面視において、配線16a~16c,17a~17cの外縁部、および、グランド部5,6の外縁部を包含するように形成されている。第1応力緩和層29は、第1導体層12の外縁部の全長に限らず、外縁部のうち少なくとも一部を包む領域に形成されていればよい。第1応力緩和層29は、例えば、平面視において、接続部3を外れた位置に形成されている。第1応力緩和層は、第1導体層と第1対向面との間の少なくとも一部の領域に形成されていればよい。
【0068】
第1応力緩和層29の構成材料としては、誘電体、例えば、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂が挙げられる。
高周波受動部品10Bの、第1応力緩和層29以外の構成は、
図1に示す高周波受動部品10と同様としてよい。
【0069】
高周波受動部品10Bは、第1導体層12と、第1対向面11aとの間の一部領域に第1応力緩和層29が設けられているため、第1導体層12と第1基材11との間の線膨張係数の差に起因して配線が第1基材11から剥離するのを抑制できる。
第1応力緩和層29は、平面視において、第1導体層12の外周縁を含む部分のみに形成されているため、第1応力緩和層29による信号の損失を最小限に抑えることができる。
【0070】
[高周波受動部品](第4実施形態)
図7は、第4実施形態の高周波受動部品10Cの模式的な断面図である。
図7は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
【0071】
図7に示すように、高周波受動部品10Cは、第2導体層13と、第1基材11の第1外面11bとの間の少なくとも一部の領域に、第2応力緩和層(応力緩和層)39が形成されている。第2応力緩和層39は、平面視において、第2導体層13の外周縁を包む領域に形成されている。第2応力緩和層39は、第2導体層13の外縁部の全長に限らず、外縁部のうち少なくとも一部を包む領域に形成されていればよい。
【0072】
第2応力緩和層39の構成材料としては、誘電体、例えば、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂が挙げられる。
高周波受動部品10Cの、第2応力緩和層39以外の構成は、
図7に示す高周波受動部品10Bと同様としてよい。高周波受動部品10Cの第2応力緩和層39以外の構成は、
図5に示す高周波受動部品10Aと同様としてもよいし、
図1に示す高周波受動部品10と同様としてもよい。
第2応力緩和層39は、第2導体層13と第1外面11bとの間の全領域を包含して形成されてもよい。
【0073】
高周波受動部品10Cは、第2導体層13と第1外面11bとの間に第2応力緩和層39が設けられているため、第2導体層13と第1基材11との間の線膨張係数の差に起因して第2導体層13が第1基材11から剥離するのを抑制できる。
【0074】
[高周波受動部品](第5実施形態)
図8は、第5実施形態の高周波受動部品10Dの模式的な断面図である。
図8は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
【0075】
図8に示すように、高周波受動部品10Dは、カバー層31が高周波用基板1に設けられ、カバー層32がモジュール基板2に設けられている。
カバー層31は、平面視において、第1導体層12の一部を含む領域に設けられている。カバー層31は、第1導体層12の入力部16、出力部17(
図2参照。
図8には不図示)およびグランド部5,6の少なくとも一部を覆う。カバー層31は、平面視において接続部3を包囲して形成されている。カバー層31は、接続部3が形成される開口31aを有する。
【0076】
カバー層32は、第3導体層22の表面の一部領域を覆って設けられている。カバー層32は、平面視において接続部3を包囲して形成されている。カバー層32は、接続部3が形成される開口32aを有する。
カバー層31,32の構成材料としては、誘電体、例えば、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂が挙げられる。
高周波受動部品10Dの、カバー層31,32以外の構成は、
図7に示す高周波受動部品10Cと同様としてよい。高周波受動部品10Dのカバー層31,32以外の構成は、
図6に示す高周波受動部品10B、
図5に示す高周波受動部品10A、または
図1に示す高周波受動部品10と同様としてもよい。
【0077】
高周波受動部品10Dは、接続部3が形成される開口31a,32aを有するカバー層31,32を備えるため、接続部3の形成が容易となる。
【0078】
[高周波受動部品](第6実施形態)
図9は、第6実施形態の高周波受動部品10Eの模式的な断面図である。
図9は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
【0079】
図9に示すように、高周波受動部品10Eは、高周波用基板1とモジュール基板2との間にサイドフィル33(充てん層)が設けられている。サイドフィル33は、高周波用基板1の下面と、モジュール基板2の上面との間であって、接続部3の周辺部に設けられている。
サイドフィル33の構成材料としては、誘電体、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0080】
高周波受動部品10Eの、サイドフィル33以外の構成は、
図8に示す高周波受動部品10Dと同様としてよい。高周波受動部品10Eのサイドフィル33以外の構成は、
図7に示す高周波受動部品10C、
図6に示す高周波受動部品10B、
図5に示す高周波受動部品10A、または
図1に示す高周波受動部品10と同様としてもよい。
【0081】
高周波受動部品10Eでは、サイドフィル33を備えるため、高周波用基板1のモジュール基板2に対する接合強度を高めることができる。
【0082】
[高周波受動部品](第7実施形態)
図10は、第7実施形態の高周波受動部品10Fの模式的な断面図である。
図10は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
【0083】
図10に示すように、高周波受動部品10Fは、接続部3に代えて接続部43を備えること以外は、例えば、
図8に示す高周波受動部品10Dと同様の構成を有する。
接続部43は、コア部43aと、コア部43aの外周面を覆う接続層43bとを備える。接続部43は、いわゆるコアボールである。コア部43aは、例えば、球状に形成されている。コア部43aは、金属、樹脂などで構成される。コア部43aの構成材料の融点は接続層43bの構成材料の融点より高い。接続層43bは、導電性材料、例えば、はんだなどの金属で構成される。
【0084】
高周波受動部品10Fでは、コア部43aを有する接続部43を用いる。接続部43は高融点のコア部43aを有するため、変形しにくい。よって、高周波用基板1とモジュール基板2との距離を精度よく設定できる。
【0085】
[高周波受動部品](第8実施形態)
図11は、第8実施形態の高周波受動部品10Gの模式的な断面図である。
図11は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
【0086】
図11に示すように、高周波受動部品10Gは、接続部3に代えて、接続部53を備えること以外は、例えば、
図8に示す高周波受動部品10Dと同様の構成を有する。
接続部53は、柱状部53a(ピラー)と、柱状部53aの上面に設けられた接続層53bとを備える。柱状部53aは、例えば、対向面11a,21aに対して垂直な中心軸を有する円柱状に形成されている。柱状部53aの少なくとも表面は導電性材料、例えば、銅などの金属で構成される。柱状部53aの構成材料の融点は接続層53bの構成材料の融点より高い。接続層53bは、導電性材料、例えば、はんだなどの金属で構成される。柱状部53aの形状は円柱状に限らず、角柱状であってもよい。
【0087】
高周波受動部品10Gでは、柱状部53aを有する接続部53を用いる。接続部53は高融点の柱状部53aを有するため変形しにくい。よって、高周波用基板1とモジュール基板2との距離を精度よく設定できる。
【0088】
[高周波受動部品](第9実施形態)
図12は、第9実施形態の高周波受動部品10Hの模式的な断面図である。
図12は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
【0089】
図12に示すように、高周波受動部品10Hは、高周波用基板1の第1対向面11aに、調整凹部61が形成されている。
第1導体層12の共振器14は、調整凹部61の内面61a(詳しくは、内天面61b)に形成されている。内天面61bは、第2基材21に対向する面であって、例えば、第2基材21の第2対向面21aと平行である。
高周波受動部品10Hのその他の構成は、例えば、
図8に示す高周波受動部品10Dと同様とすることができる。
【0090】
高周波受動部品10Hでは、第1対向面11aに調整凹部61が形成されるため、調整凹部61の深さに応じて共振器14と第3導体層22との距離を調整することができる。よって、高周波受動部品10Hの特性向上を図ることができる。
【0091】
[高周波受動部品](第10実施形態)
図13は、第10実施形態の高周波受動部品10Iの模式的な断面図である。
図13は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
【0092】
図13に示すように、高周波受動部品10Iは、高周波用基板1の第1対向面11aに、調整凸部63が形成されている。調整凸部63は、モジュール基板2の第2対向面21aに近づく方向(
図13において下方)に突出する。
第1導体層12の共振器14は、調整凸部63の突出面63aに形成されている。突出面63aは、第2基材21に対向する面であって、例えば、第2基材21の第2対向面21aと平行である。
高周波受動部品10Iのその他の構成は、例えば、
図8に示す高周波受動部品10Dと同様とすることができる。
【0093】
高周波受動部品10Iでは、第1対向面11aに調整凸部63が形成されるため、調整凸部63の突出高さに応じて共振器14と第3導体層22との距離を調整することができる。よって、高周波受動部品10Iの特性向上を図ることができる。
【0094】
[高周波受動部品](第11実施形態)
図14は、第11実施形態の高周波受動部品10Jの模式的な断面図である。
図14は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
【0095】
図14に示すように、高周波受動部品10Jは、モジュール基板2の第2対向面21aに、調整凹部62が形成されている。62aは調整凹部62の内面である。62bは調整凹部62の内面62aのうち底面である。底面62bは、高周波用基板1の第1対向面11aに対向する面であり、例えば、第1対向面11aと平行である。調整凹部62は、平面視において共振器14を包含する領域に形成されている。
【0096】
第3導体層22Jは、一対の信号線22a(
図3参照。
図14には不図示)と、接地導体部22Jbとを備える。接地導体部22Jbは、第1層22Jb1と、第2層22Jb2と、接続配線22Jb3とを備える。第1層22Jb1は、第2基材21の第2対向面21aに形成されている。第2層22Jb2は、調整凹部62の底面62bを含む高さ位置に形成されている。接続配線22Jb3は、第1層22Jb1と第2層22Jb2とを接続する。
第2層22Jb2のうち共振器14に対向する部分は、調整凹部62の内面62a(詳しくは、底面62b)に形成されている。
高周波受動部品10Jのその他の構成は、例えば、
図8に示す高周波受動部品10Dと同様とすることができる。
【0097】
高周波受動部品10Jでは、第2対向面21aに調整凹部62が形成されるため、調整凹部62の深さに応じて共振器14と第3導体層22Jとの距離を調整することができる。よって、高周波受動部品10Jの特性向上を図ることができる。
【0098】
[高周波受動部品](第12実施形態)
図15は、第12実施形態の高周波受動部品10Kの模式的な断面図である。
図15は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
【0099】
図15に示すように、高周波受動部品10Kは、共振器14が接続部3Kを介して第3導体層22と電気的に接続されている。共振器14と第1対向面11aとの間の一部の領域には、応力緩和層29Kが形成されている。応力緩和層29Kは、平面視において、共振器14の外周縁を含む部分に形成されている。応力緩和層29Kは、接続部3Kを外れた位置に形成されている。
【0100】
共振器14の表面の一部領域には、カバー層31Kが形成されている。カバー層31Kは、平面視において接続部3Kを包囲して形成されている。カバー層31Kは、接続部3Kが形成される開口31Kaを有する。
第3導体層22の表面の一部領域には、カバー層32Kが形成されている。カバー層32Kは、平面視において接続部3Kを包囲して形成されている。カバー層32Kは、接続部3Kが形成される開口32Kaを有する。
高周波受動部品10Kのその他の構成は、例えば、
図8に示す高周波受動部品10Dと同様とすることができる。
【0101】
高周波受動部品10Kでは、接続部3Kによって共振器14と第3導体層22とを電気的に接続することができる。
【0102】
[高周波受動部品](第13実施形態)
図16は、第13実施形態の高周波受動部品10Lの模式的な断面図である。
図16は、
図2におけるx1-x1断面を示す。
【0103】
図16に示すように、高周波受動部品10Lは、高周波用基板1に複数の貫通孔11dが形成されている。貫通孔11dは、第1対向面11aから第1外面11bにかけて形成されている。貫通孔11dは、第1基材11を厚さ方向に貫通する。貫通孔11dにはそれぞれ貫通配線28が形成されている。入力部16のグランド配線16b,16c、および出力部17のグランド配線17b,17c(
図2参照)は、それぞれ貫通配線28によって第2導体層13と電気的に接続されている。
高周波受動部品10Lのその他の構成は、例えば、
図8に示す高周波受動部品10Dと同様とすることができる。
【0104】
高周波受動部品10Lでは、共振器14の入力部16および出力部17のグランドを強化することができる。
【0105】
[高周波受動部品](第14実施形態)
図17は、第14実施形態の高周波受動部品10Mの模式的な断面図である。
図17は、
図2におけるy1-y1断面を示す。
【0106】
図17に示すように、高周波受動部品10Mは、第2基材21の第2外面21b(
図17において下面)に、第4導体層24が形成されている。第2外面21bは、第2対向面21aと反対の面である。第2基材21には、複数の貫通孔21cが形成されている。貫通孔21cは、第2対向面21aから第2外面21bにかけて形成されている。貫通孔21cにはそれぞれ貫通配線25が形成されている。第4導体層24は、貫通配線25によって第3導体層22と電気的に接続されている。第4導体層24および貫通配線25は、導電性材料、例えば、銅、銀、これらの合金などの金属で構成される。
【0107】
第4導体層24には、接続用のバンプ64が形成されている。バンプ64は、導電性材料、例えば、はんだなどの金属で構成される。
高周波受動部品10Mのその他の構成は、例えば、
図8に示す高周波受動部品10Dと同様とすることができる。
【0108】
高周波受動部品10Mは、接続用のバンプ64を有するため、他の部品への接続が容易である。よって、取り扱い性を高めることができる。
【0109】
以上、本発明の高周波受動部品について説明してきたが、本発明は前記の例に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、
図12および
図14に示す高周波受動部品10H,10Jでは、高周波用基板1の第1対向面11aとモジュール基板2の第2対向面21aのいずれか一方に調整凹部が形成されているが、調整凹部は、高周波用基板の第1対向面とモジュール基板の第2対向面との両方に形成されてもよい。
図13に示す高周波受動部品10Iでは、高周波用基板1の第1対向面11aに調整凸部63が形成されているが、調整凸部はモジュール基板の第2対向面に形成されていてもよい。調整凸部は、高周波用基板の第1対向面とモジュール基板の第2対向面との両方に形成されてもよい。
【0110】
換言すれば、第1対向面11aと第2対向面21aのいずれか一方には、調整凹部または調整凸部が形成されてもよい。調整凹部(第1調整凹部と呼ぶ)または調整凸部(第1調整凸部と呼ぶ)が第1対向面11aに形成されている場合、共振器14は、第1調整凹部の内面または第1調整凸部の突出面に形成される。
調整凹部(第2調整凹部と呼ぶ)または調整凸部(第2調整凸部と呼ぶ)が第2対向面21aに形成されている場合、共振器14に対向する第3導体層22は、第2調整凹部の内面または第2調整凸部の突出面に形成される。
第1対向面11aに調整凹部が形成されている場合、第2対向面21aには調整凹部が形成されていてもよいし、調整凸部が形成されていてもよい。第1対向面11aに調整凸部が形成されている場合、第2対向面21aには調整凹部が形成されていてもよいし、調整凸部が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…高周波用基板、2…モジュール基板(被接続基板)、3,43,53…接続部、4…空間、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I,10J,10K,10L,10M…高周波受動部品、11…第1基材、11a…第1対向面、11b…第1外面、12…第1導体層、13…第2導体層、19…第1応力緩和層、21…第2基材、21a…第2対向面、22…第3導体層、29…第1応力緩和層、31…カバー層、31a…開口、39…第2応力緩和層、61,62…調整凹部、61a,62a…内面、63…調整凸部、63a…突出面。