(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026201
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】リクライニング可能な背座一体型ソファー
(51)【国際特許分類】
A47C 1/024 20060101AFI20220203BHJP
A47C 17/04 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A47C1/024
A47C17/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129554
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】592026325
【氏名又は名称】東海金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136113
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寿浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 典幸
【テーマコード(参考)】
3B099
【Fターム(参考)】
3B099BA05
3B099CA36
(57)【要約】
【課題】着座部と背凭れ部との相対角度が不動な背座一体型のソファーであっても、着座部を含めて安定してリクライニング可能な背座一体型ソファーを提供する。
【解決手段】着座部1aと背凭れ部1bとを一体に有するソファー本体1と、支持基台2と、ソファー本体1に軸支されている前方第1回動部15f及び支持基台2に軸支されている前方第2回動部15sを有する前方リンク11と、ソファー本体1に軸支されている後方第1回動部16f、及び支持基台2に軸支されている後方第2回動部16sを有する後方リンク12と、捻りコイルバネ13とを含む。前方リンク11は後方リンク12よりも短い。前方リンク11は前傾斜しており、後方リンク12は後傾斜していることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座部と、前記着座部に対して相対角度が不動な背凭れ部とを一体に有する背座一体型のソファー本体を備えるソファーであって、
前記ソファー本体を下方から支持する支持基台と、
前記ソファー本体と前記支持基台とを連結し、前記支持基台に対して前記ソファー本体を傾動可能に連結する連結機構とを備え、
前記連結機構は、
前記ソファー本体に回動可能に軸支連結されている前方第1回動部と、前記支持基台に回動可能に軸支連結されている前方第2回動部とを有する前方リンクと、
前記前方リンクよりも後方において、前記ソファー本体に回動可能に軸支連結されている後方第1回動部、及び前記支持基台に回動可能に軸支連結されている後方第2回動部を有する後方リンクと、
少なくとも使用者が着座した状態で前記後方リンクを前方側へ付勢する付勢部材と、を含み、
前記前方リンクは前記後方リンクよりも短く、
前記前方リンクは、前記前方第1回動部が前記前方第2回動部より前方に位置するように前傾斜しており、
前記後方リンクは、前記後方第1回動部が前記後方第2回動部より後方に位置するように後傾斜している、ソファー。
【請求項2】
前記付勢部材の付勢力を調節可能な付勢力調節機構を有し、
前記ソファー本体が不使用時の基本姿勢より前傾姿勢とならないように、前記後方リンクの前方側への回動限界を規制するストッパーを備える、請求項1に記載のソファー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座部と背凭れ部との相対角度が不動な背座一体型のソファーであって、特に使用者の体重移動や安楽姿勢に応じて傾動(リクライニング)可能なソファーに関する。
【背景技術】
【0002】
椅子(ソファーを除く狭義の椅子。チェアーと称される部類のもの)は、基本的に机等において何らかの作業をすることが前提の家具であって、ソファーと比べると軽量である。したがって、使用者の体重や姿勢の変動に対応させる椅子のリクライニング機構としては、着座部(座面)の傾動も含めて多様な構造開発が容易である。これに対し、ソファーは基本的にゆったり座ることが前提の家具であって、椅子と比べて着座部や背凭れ部のクッション性が高いため、重量が重い。したがって、使用者が後傾した安楽姿勢に対応させるために、ソファーのリクライニング機構としては、一般的に着座部は不動で、背凭れ部を着座部に対して相対的に前後へ傾動可能となっているものが多い。
【0003】
一方、着座部に対して背凭れ部の相対角度が不動な背座一体型のソファーもある。このような背座一体型のソファーの場合、基本的に着座部が不動なので、必然的に背凭れ部も含めて全体が不動で使用者の安楽姿勢に対応していないものが多い。しかし、背座一体型のソファーでも使用者の体重移動や安楽姿勢に応じてリクライニングできるものが求められている。
【0004】
そこで、使用者の後傾に応じて着座部も含めてリクライニング可能なソファーとして、例えば下記特許文献1がある。特許文献1のソファーは、背凭れ部も着座部に対して独立して傾動可能なものであるが、着座部も傾動可能となっている。特許文献1のソファーは、内部骨格となるソファーフレーム全体がクッション性に富む厚手のウレタンフォームで覆われた構造であり、そのソファーフレームは、前方両端部が上方へ延設する立ち上り部を有した脚フレームと、座フレームと、背フレームとからなり、座フレーム前方両端が脚フレームの立上両端部に回動自在に連結され、座フレーム後部両端が、背フレーム下部両端と回動自在に連結されている。すなわち、特許文献1の座フレーム(及びこれを含む着座部)は、その前端のみが脚フレームに連結され、後端部の支持機構は無い片持ち梁状となっている。そのうえで、脚フレームの前縁から座フレームの中央部にかけて、角度調節用の開閉弁装置を有するガススプリングが架設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、着座部は前端のみが脚フレームに連結された片持ち梁状であって、使用者の体重も含めてガススプリング1本ですべての重量を支えている。これでは、ガススプリングの反力を極めて高く設定する必要があると共に、設定によっては使用者が意図せず着座部が後傾したり、着座部の傾動が不安定となる恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、着座部と背凭れ部との相対角度が不動な背座一体型のソファーであっても、着座部を含めて安定してリクライニング可能な背座一体型ソファーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段として、本発明のソファーは、着座部と、前記着座部に対して相対角度が不動な背凭れ部とを一体に有する背座一体型のソファー本体を備え、前記ソファー本体を下方から支持する支持基台と、前記ソファー本体と前記支持基台とを連結し、前記支持基台に対して前記ソファー本体を傾動可能に連結する連結機構とを備える。
【0009】
前記連結機構は、前記ソファー本体に回動可能に軸支連結されている前方第1回動部、及び前記支持基台に回動可能に軸支連結されている前方第2回動部を有する前方リンクと、前記前方リンクよりも後方において、前記ソファー本体に回動可能に軸支連結されている後方第1回動部、及び前記支持基台に回動可能に軸支連結されている後方第2回動部を有する後方リンクと、少なくとも使用者が着座した状態で前記リンク機構を前方側へ付勢する付勢部材と、を含む。そのうえで、前記前方リンクは前記後方リンクよりも短く、前記前方リンクは、前記前方第1回動部が前記前方第2回動部より前方に位置するように前傾斜しており、前記後方リンクは、前記後方第1回動部が前記後方第2回動部より後方に位置するように後傾斜していることを特徴とする。
【0010】
前記付勢部材の付勢力を調節可能な付勢力調節機構を設けることが好ましい。この場合、前記ソファー本体が不使用時の基本姿勢より前傾姿勢とならないように、前記後方リンクの前方側への回動限界を規制するストッパーを設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ソファー本体からの重量を前方と後方の両リンクで支持しているため、ソファー本体を安定して支持できると共に、傾動動作も安定する。このとき、前方リンクの基本姿勢(不使用時の姿勢)は前傾斜である一方、後方リンクの基本姿勢は後傾斜であり、前方リンクは前記後方リンクよりも短い。また、前方リンクと後方リンクは共に第1回動部がソファー本体に連結されているので、両者の動きはソファー本体を介して常に一体である。したがって、使用者の体重が作用すると、前方リンクは前傾する方向へ力が作用するが、後方リンクへは前方リンクへ作用する力よりも大きな後傾する力が作用するため、ソファー本体が前傾することはない。
【0012】
また、本発明も含めて一般的に使用者が普通に座った状態を想定した使用者の体重が作用する中心点(以下、座位中心点と称す)は、着座部の前後方向中央部に設定されているが、リンクが前方と後方に設けられていることで、座位中心点から後方リンクまでの距離も短くなるため、後方リンクを元の姿勢に付勢する付勢部材の付勢力も、比較的小さく設計することができる。
【0013】
付勢部材の付勢力を調節可能な付勢力調節機構を設けていれば、使用者の体重や安楽姿勢に応じたソファー本体の後傾し易さを調節できるため、快適性が向上する。このとき、後方リンクの前方側への回動限界を規制するストッパーを設けていれば、仮に付勢部材の付勢力を増大してソファー不使用時の基本姿勢でも後方リンクに付勢力が付加されたとしても、ソファー本体が不用意に基本姿勢より前傾姿勢となることを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
図1~
図3に示すように、本実施形態のソファーは、ソファー本体1と、ソファー本体1を下方から支持する支持基台2と、ソファー本体1と支持基台2とを連結し、支持基台2に対してソファー本体1を傾動可能に連結する連結機構とを備える。
【0016】
ソファー本体1は、着座部1aと背凭れ部1bとを一体的に有する背座一体型であり、背凭れ部1bは着座部1aに対して不動である。したがって、ソファー本体1が傾動する際、着座部1aと背凭れ部1bとの相対角度は常に一定である。図示していないが、ソファー本体1の内部構造は特に限定されず、従来から公知の一般的な構造であればよい。具体的には、骨格となるボードないしフレームと、クッション材とが表皮で覆われている。クッション材としては、ウレタンフォームやスポンジ等が挙げられる。但し、ソファーは基本的にゆったり座ってリラックスできることが前提なので、椅子(ソファーを除く狭義の椅子。チェアーと称される部類のもの)と比べてクッション性が高く設定されており、クッション材は椅子に使用されるクッション材よりも厚手である。また、クッション材と共に、クッションスプリングも内設することもできる。そのため、ソファー本体1は、椅子の座板や背凭れよりも重い。
【0017】
着座部1aの下面中央には上方へ窪んだ凹部1cが形成されており、その内部上面に、ソファー本体1の構成部材として連結フレーム3が固定されている。連結フレーム3の外枠は矩形であり、その左右両枠の前後2個所、合計4個所に、連結機構との連結部3aが形成されている。
【0018】
支持基台2は、ソファー本体1や使用者の体重等を支持できる程度の強度を有すると共に、上面に連結機構を設置可能なものであればよく、その具体的構造は特に限定されない。本実施形態では、上面中央の連結機構設置面から前後左右に末広がった台形状を呈する。なお、支持基台2の前面には、後述の調節機構を構成する調節ノブ20用の凹部2aが形成されている。
【0019】
図4~
図6に示すように、連結機構は、連結ベース10と、前方リンク11と、後方リンク12と、後方リンク12を前方側へ付勢する捻りコイルバネ13と、ストッパー14とを有する。連結ベース10は、左右側壁10aを有する上面が開口した略箱状であって、支持基台2の上面に固定されている。
【0020】
前方リンク11は、ソファーの前方部において前後方向に回動可能となっており、上端部が軸ピン15fを介して連結フレーム3の連結部3aへ回動可能に軸支連結されている。前方リンク11の下端部は、軸ピン15sを介して連結ベース10の左右側壁10aへ回動可能に軸支連結されている。これにより、前方リンク11の下端部は、支持基台2に固定された連結ベース10を介して、支持基台2へ実質的に連結されている。以下、前方リンク11上端部の回動軸となる軸ピン15fの位置を前方第1回動部15fと称し、前方リンク11下端部の回動軸となる軸ピン15sの位置を前方第2回動部15sと称す。
【0021】
後方リンク12は、ソファーの後方部において前後方向に回動可能となっており、上端部が軸ピン16fを介して連結フレーム3の連結部3aへ回動可能に軸支連結されている。後方リンク12の下端部は、軸ピン16sを介して連結ベース10の左右側壁10aへ回動可能に軸支連結されている。これにより、後方リンク12の下端部も、連結ベース10を介して支持基台2へ実質的に連結されている。以下、後方リンク12上端部の回動軸となる軸ピン16fの位置を後方第1回動部16fと称し、後方リンク12下端部の回動軸となる軸ピン16sの位置を後方第2回動部16sと称す。
【0022】
図1に示すように、前方リンク11の長さL
1は、後方リンク12の長さL
2よりも短い。また、ソファー不使用時の基本姿勢では、前方リンク11は、前方第1回動部15fが前方第2回動部15sより前方に位置するように前傾斜している。これに対し、後方リンク12の基本姿勢は、後方第1回動部16fが後方第2回動部16sより後方に位置するように後傾斜している。さらに、鉛直方向に対する前方リンク11の傾斜角度θ
1は、鉛直方向に対する後方リンク12の傾斜角度θ
2よりも小さい。すなわち、後方リンク12の傾斜角度θ
2は、前方リンク11の傾斜角度θ
1よりも大きい。これにより、前方第1回動部15fから前方第2回動部15sまでの前後距離T
1は、後方第1回動部16fから後方第2回動部16sまでの前後距離T
2よりも小さくなっている。後方リンク12の回動中心となる後方第2回動部16sは、想定座位中心点、すなわち前後方向における着座部1aの中心線に近い位置にあり、前方リンク11の回動中心となる前方第2回動部15sは、着座部1aの中心線から離れた位置にある。
【0023】
後方リンク12下端部の左右中央部は切り欠かれており、その間に2つの捻りコイルバネ13が左右に並設されている。捻りコイルバネ13は、軸ピン16sの外面に挿嵌されている。したがって、後方リンク12への付勢力は、後方第2回動部16sを中心に作用することになる。この捻りコイルバネ13が、本発明の付勢部材に相当する。
【0024】
捻りコイルバネ13の後端部13rは後方へ延出しており、後方リンク12の中間部に架設された受けバー17に引っ掛かるように配されている。捻りコイルバネ13の前端部13fは前方へ延出しており、左右2本の前端部13fの間に、押えピン18が配設されている。ストッパー14は、ソファー不使用時の基本姿勢において後方リンク12の前縁と当接し、後方リンク12がそれ以上前方側へ回動ないよう規制できる位置に架設されている。なお、本実施形態における基本姿勢では、ソファー本体1の着座部1aが水平となっている。
【0025】
また、本実施形態では、捻りコイルバネ13による付勢力を調節可能な付勢力調節機構として、調節ノブ20も有する。そのため、押えピン18の下端にはネジ溝が形成されており、調節ノブ20と螺合されている。調節ノブ20を回転操作して押えピン18が調節ノブ20内へ引き込まれると、捻りコイルバネ13の前端部13fが下方へ引き下げられ、これに追従して後端部13rが上方へ変位しようとすることで、後方リンク12への付勢力が増大する。反対に、調節ノブ20を反転操作して押えピン18が調節ノブ20外へ後退すると、前端部13fへの下方押圧力が小さくなることで、これに追従して後端部13rが元の基本姿勢へ変位しようとし、後方リンク12への付勢力が減少する。なお、調節ノブ20を最大限反転操作した場合、基本姿勢では後方リンク12へ捻りコイルバネ13の付勢力が作用していないように設定することもできる。すなわち、捻りコイルバネ13は、少なくとも使用者が着座した状態で後方リンク12を前方側へ付勢できればよい。
【0026】
次に作用について説明する。使用者が着座していない不使用時の
図1に示す基本姿勢では、着座部1aが水平になっている。このとき、前方リンク11は、前方第1回動部15fが前方第2回動部15sより前方に位置するように前傾斜している。後方リンク12は、後方第1回動部16fが後方第2回動部16sより後方に位置するように後傾斜している。また、鉛直方向に対する前方リンク11の傾斜角度θ
1は、鉛直方向に対する後方リンク12の傾斜角度θ
2よりも小さい。すなわち、後方リンク12の傾斜角度θ
2は、前方リンク11の傾斜角度θ
1よりも大きい。これにより、前方第1回動部15fから前方第2回動部15sまでの前後距離T
1は、後方第1回動部16fから後方第2回動部16sまでの前後距離T
2よりも小さい。
【0027】
本実施形態では、調節ノブ20を最大限緩めて(反転させて)押えピン18が調節ノブ20から最大限退出した状態では、押えピン18による捻りコイルバネ13への押圧力が作用しないよう設計されている。この場合、基本姿勢では捻りコイルバネ13の付勢力は後方リンク12に作用していない。すなわち、捻りコイルバネ13は、少なくとも使用者が着座した状態で後方リンク12を前方側へ付勢できればよい。なお、この付勢力フリー状態では、ストッパー14は機能していない。
【0028】
一方、調節ノブ20を正転させると、その回転量に応じて押えピン18が調節ノブ20内へ引き込まれ、下方へ変位していく。すると、押えピン18の引込量(下方変位量)に応じて捻りコイルバネ13の前端部13fが下方に押圧される。これに伴い、捻りコイルバネ13の後端部13rは上方へ変位しようとし、後方リンク12の受けバー17が上方に押圧されることで、後方リンク12は前方へ回動する方向に付勢される。しかし、後方リンク12が基本姿勢より前方へ回動すると、着座部1aが前傾斜してしまう。そこで、後方リンク12及びソファー本体1がこの基本姿勢の角度よりも前方へ傾斜しないように、ストッパー14が設けられている。
【0029】
使用者がソファーへ着座すると、着座部1aを介して連結フレーム3へ上方から荷重が作用する。すると、前方リンク11の基本姿勢は前傾斜していることで、前方側へ回動する方向へ力が作用する。一方、後方リンク12の基本姿勢は後傾斜していることで、後方側へ回動する方向へ力が作用する。このとき、前方リンク11と後方リンク12とは、共に前方第1回動部15f及び後方第1回動部16fが連結フレーム3に連結されているので、前方リンク11による前方回動力と後方リンク12による後方回動力は打ち消しあう。また、前方リンク11が後傾斜姿勢となるには、鉛直角度(前方第1回動部15fが移動軌跡の頂点に来る位置)を超える力が必要である。したがって、着座者が想定座位中心点(着座部1aの中央部)に姿勢よく(背凭れ部1bに凭れない姿勢)着座しただけでは、ソファー本体1はほぼ変位しない。
【0030】
一方、使用者が着座部1aに深く(後端部寄り位置へ)腰掛けたり、背凭れ部1bに凭れ掛かると、ソファー本体1の後方部位に大きな荷重が作用する。すると、後方リンク12は前方リンク11より長いので、梃子の原理により後方リンク12による後方回動力が前方リンク11の前方回動力及び鉛直角度を超える力を上回り、前方リンク11が後傾斜となることで、ソファー本体1が後傾斜したリクライニング姿勢となる。このとき、調節ノブ20によって後方リンク12へ作用する捻りコイルバネ13からの付勢力を調節することで、リクライニング姿勢への変位のし易さや基本姿勢への戻り反力を調節しておくことができる。使用者がソファーから立ち上がると、捻りコイルバネ13の付勢力によってソファー本体1が基本姿勢へ戻る。
【0031】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、これに限られることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、
図7に示す変形例のように、後方リンク12への付勢力を調節する調節ノブ20は必ずしも必要ではない。この場合、押えピン18は連結ベース10へ溶接等によって固定しておけばよく、押えピン18の長さによって、捻りコイルバネ13による常時付勢力を設計できる。例えば、基本姿勢では後方リンク12へ付勢力が作用せず、ソファー本体1が後傾し始めた場合のみに付勢力が作用するよう設計することもできるし、基本姿勢の状態でも付勢力が作用しているように設計することもできる。すなわち、捻りコイルバネ13は、少なくとも使用者が着座した状態で後方リンク12を前方側へ付勢できればよい。
【0032】
基本姿勢では付勢力が作用しないよう設計した場合は、必ずしもストッパー14も不要である。前方リンク11の基本姿勢が前傾斜しており、後方リンク12の基本姿勢が後傾斜で、且つ前方リンク11が後方リンク12よりも短い限り、ソファー本体1が基本姿勢よりも前傾斜することはないからである。
【0033】
着座部1aの基本姿勢は、必ずしも水平である必要はなく、やや前傾斜となっていたり、やや後傾斜に設計しておくこともできる。使用者が着座した瞬間から(想定座位中心位置に姿勢良く着座した場合でも)ソファー本体1が後傾し始めるように設計してあってもよい。
【0034】
また、支持基台2の下面には、ソファーの移動を容易とするキャスターを設けることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 ソファー本体
1a 着座部
1b 背凭れ部
2 支持基台
3 連結フレーム
10 連結ベース
11 前方リンク
12 後方リンク
13 捻りコイルバネ
14 ストッパー
15f 前方第1連結部
15s 前方第2連結部
16f 後方第1連結部
16s 後方第1連結部
18 押えピン
20 調節ノブ