(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026218
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20220203BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20220203BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220203BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/73
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129579
(22)【出願日】2020-07-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】591045471
【氏名又は名称】アピ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 大祐
(72)【発明者】
【氏名】福地 智也
(72)【発明者】
【氏名】森 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】松永 彩花
(72)【発明者】
【氏名】水谷 安理沙
(72)【発明者】
【氏名】五十川 健太
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC182
4C083AD041
4C083AD052
4C083AD211
4C083AD212
4C083BB04
4C083CC02
4C083DD08
4C083DD47
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】泡立ち及び泡の持続性が良好でありながらも、泡切れも良好である、外用組成物を提供すること。
【解決手段】(A1成分)ソルビトール、(B成分)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、及び(C成分)ヘパリン類似物質を含有する、外用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1成分)ソルビトール、(B成分)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、及び(C成分)ヘパリン類似物質を含有する、外用組成物。
【請求項2】
前記A1成分がD-ソルビトールを含む、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
前記外用組成物中の前記A1成分の含有率が0.1~40質量%である、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項4】
さらに、(A2成分)グリセリンを含有する、請求項1~3のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項5】
前記外用組成物中の前記A2成分の含有率が0.5~45質量%である、請求項4に記載の外用組成物。
【請求項6】
前記外用組成物中の前記B成分の含有率が0.05~10質量%である、請求項1~5のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項7】
前記外用組成物中の前記C成分の含有率が0.01~10質量%である、請求項1~6のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項8】
前記外用組成物中の水の含有率が25質量%以上である、請求項1~7のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項9】
泡吐出装置用である、請求項1~8のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項10】
請求項1~10のいずれかに記載の外用組成物を泡吐出装置を備える容器に充填してなる、外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
外用剤の剤形として、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤等がある。軟膏剤やクリーム剤は、半固形状であるので、広範囲に塗り広げ難い。また、ローション剤は、液状であるので、広範囲に塗り広げることには向いているが、使用時に液が垂れることがあり使い難い。
【0003】
一方、近年、簡便で広範囲に使用可能なフォーム剤が注目されている。フォーム剤は、吐出時は泡状態であるので液垂れが抑制されており、また液体であるので広範囲に塗り広げることにも適している。フォーム剤としては、皮膚への刺激を抑える目的で、非イオン性界面活性剤を用いた、ポンプ型泡吐出装置等の非ガス型泡吐出装置を用いたフォーム剤が望ましい。特許文献1には、非イオン性界面活性剤と一定量以上のアルコールを組合わせることにより、泡を長時間保持することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、研究を進める中で、従来技術のフォーム剤は、泡の持続性は良く液垂れは抑制されているものの、塗り広げても泡がなかなか消失せず、塗り広げた部分が白化したように見えるという問題(泡切れが悪いという問題)を有することに着目した。
【0006】
そこで、本発明は、泡立ち及び泡の持続性が良好でありながらも、泡切れも良好である、外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究を進めた結果、(A1成分)ソルビトール、(B成分)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、及び(C成分)ヘパリン類似物質を含有する、外用組成物、であれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はこの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
【0008】
項1. (A1成分)ソルビトール、(B成分)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、及び(C成分)ヘパリン類似物質を含有する、外用組成物.
項2. 前記A1成分がD-ソルビトールを含む、項1に記載の外用組成物.
項3. 前記外用組成物中の前記A1成分の含有率が0.1~40質量%である、項1又は2に記載の外用組成物.
項4. さらに、(A2成分)グリセリンを含有する、項1~3のいずれかに記載の外用組成物.
項5. 前記外用組成物中の前記A2成分の含有率が0.5~45質量%である、項4に記載の外用組成物.
項6. 前記外用組成物中の前記B成分の含有率が0.05~10質量%である、項1~5のいずれかに記載の外用組成物.
項7. 前記外用組成物中の前記C成分の含有率が0.01~10質量%である、項1~6のいずれかに記載の外用組成物.
項8. 前記外用組成物中の水の含有率が25質量%以上である、項1~7のいずれかに記載の外用組成物.
項9. 皮膚への塗布に用いるための、項1~8のいずれかに記載の外用組成物.
項10. 泡吐出装置用である、項1~9のいずれかに記載の外用組成物.
項11. 前記泡吐出装置が非ガス型泡吐出装置である、項10に記載の外用組成物.
項12. 項1~11のいずれかに記載の外用組成物を泡吐出装置を備える容器に充填してなる、外用剤.
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、泡立ち及び泡の持続性が良好でありながらも、泡切れも良好である、外用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0011】
本発明は、その一態様において、(A1成分)ソルビトール、(B成分)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、及び(C成分)ヘパリン類似物質を含有する、外用組成物(本明細書において、「本発明の外用組成物」と示すこともある。)に関する。以下、これについて説明する。
【0012】
ソルビトール(A1成分)は、糖アルコールであり、D-ソルビトール、及びL-ソルビトールのいずれも包含する。本発明の一態様において、これらの中でも、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、好ましくはD-ソルビトールが挙げられる。
【0013】
A1成分は、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0014】
本発明の一態様において、A1成分は、D-ソルビトールを含むことが好ましい。
【0015】
本発明の外用組成物中のA1成分の含有率は、泡立ち、泡の持続性、及び泡切れを良好に発揮できる限り、特に制限されない。該含有率は、例えば0.1~40質量%である。該含有率は、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、好ましくは0.2~40質量%、より好ましくは0.4~35質量%、さらに好ましくは0.5~30質量%である。泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、本発明の好ましい一態様において、該含有率の下限は、例えば1質量%、2質量%、3質量%、4質量%、5質量%、6質量%、7質量%、8質量%、9質量%、10質量%であり得る。
【0016】
本発明の外用組成物は、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等(特に、泡の持続性)の観点から、グリセリン(A2成分)を含有することが好ましい。
【0017】
本発明の外用組成物がA2成分を含有する場合、本発明の外用組成物中のA2成分の含有率は、泡立ち、泡の持続性、及び泡切れを良好に発揮できる限り、特に制限されない。該含有率は、例えば0.5~45質量%である。該含有率は、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、好ましくは1~45質量%、より好ましくは2~40質量%、さらに好ましくは4~35質量%、よりさらに好ましくは6~30質量%、とりわけ好ましくは6~25質量%、特に好ましくは8~25質量%である。
【0018】
本発明の外用組成物がA2成分を含有する場合、本発明の外用組成物中のA1成分とA2成分との合計含有率は、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、好ましくは1~85質量%、より好ましくは2~75質量%、さらに好ましくは4~70質量%、よりさらに好ましくは5~65質量%、とりわけ好ましくは7~55質量%、とりわけさらに好ましくは9~50質量%である。本発明の一態様において、該含有率の下限は、例えば12質量%、14質量%、16質量%、18質量%、又は19質量%であり得る。
【0019】
本発明の外用組成物がA2成分を含有する場合、本発明の外用組成物中のA1成分とA2成分との含有比は、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、A1成分1質量部に対して、A2成分が、好ましくは0.05~45質量部、より好ましくは0.1~40質量部、さらに好ましくは0.2~35質量部、よりさらに好ましくは0.3~30質量部である。本発明のさらに好ましい態様において、A1成分1質量部に対して、A2成分は、好ましくは0.4~10質量部、0.5~5質量部、0.6~3質量部、0.8~2質量部である。
【0020】
本発明の一態様において、本発明の外用組成物は、A1成分及びA2成分以外の他の多価アルコールを含有することができる。他の多価アルコールとしては、例えばA1成分及びA2成分以外の糖アルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3,6-ヘキサントリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。ただ、その場合、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、他の多価アルコールの含有量はより低いことが好ましい。
【0021】
他の多価アルコールは、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0022】
本発明の外用組成物において、多価アルコール中のA1成分とA2成分との合計含有率(本発明の外用組成物がA2成分を含有しない場合は、A1成分の含有率を意味する)、或いは多価アルコール中の糖アルコールの合計含有率は、例えば70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、とりわけ好ましくは97質量%以上、とりわけさらに好ましくは98質量%、特に好ましくは99質量%以上である。該含有率は、100質量%以下である。
【0023】
本発明の一態様において、本発明の外用組成物は、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、他の多価アルコール(例えば、1,3-ブチレングリコール、マクロゴール400、及び1,3,6-ヘキサントリオールからなる群より選択される少なくとも1種の多価アルコール)の含有量がより低いことが好ましい。本発明の外用組成物中の該多価アルコール(一例として、1,3-ブチレングリコール)の含有率は、例えば0質量%以上5質量%未満、好ましくは0質量%以上4質量%未満、より好ましくは0質量%以上3質量%未満、さらに好ましくは0質量%以上2質量%未満、よりさらに好ましくは0質量%以上1質量%未満、とりわけ好ましくは0質量%以上0.5質量%未満、とりわけさらに好ましくは0質量%以上0.1質量%未満、とりわけよりさらに好ましくは0質量%以上0.01質量%未満である。本発明の一態様において、該含有率は、0質量%であることができる。
【0024】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(B成分)は、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位を含む非イオン性界面活性剤である。オキシエチレン単位におけるエチレンオキサイドの平均付加モル数は、特に制限されないが、例えば10~300、好ましくは50~250、より好ましくは100~200である。オキシプロピレン単位におけるプロピレンオキサイドの平均付加モル数は、特に制限されないが、例えば10~300、好ましくは20~150、より好ましくは25~70である。
【0025】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのHLB値は、泡立ち、泡の持続性、及び泡切れを良好に発揮できる限り、特に制限されない。該HLB値は、例えば10~20、好ましくは12~18である。
【0026】
B成分は、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0027】
本発明の外用組成物中のB成分の含有率は、泡立ち、泡の持続性、及び泡切れを良好に発揮できる限り、特に制限されない。該含有率は、例えば0.02~15質量%である。該含有率は、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、好ましくは0.05~12質量%、より好ましくは0.05~10質量%、さらに好ましくは0.1~9質量%、よりさらに好ましくは0.2~9質量%、とりわけ好ましくは0.3~9質量%、とりわけさらに好ましくは0.4~9質量%である。泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、本発明の好ましい一態様において、該含有率の上限は、例えば8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量、0.8質量%であり得る。
【0028】
本発明の一態様において、本発明の外用組成物は、B成分以外の他の界面活性剤を含有することができる。他の界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等)、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪族アルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤; 陰イオン性界面活性剤; 陽イオン性界面活性剤; 両性界面活性剤等が挙げられる。ただ、その場合、皮膚への刺激性、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、他の界面活性剤の含有量はより低いことが好ましい。
【0029】
他の界面活性剤は、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0030】
本発明の外用組成物において、界面活性剤中のB成分の含有率、或いはポリオキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤(B成分を含む。好ましくはB成分と、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種と)の合計含有率は、例えば70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、とりわけ好ましくは97質量%以上、とりわけさらに好ましくは98質量%、特に好ましくは99質量%以上である。該含有率は、100質量%以下である。
【0031】
本発明の外用組成物において、非イオン性界面活性剤中のB成分の含有率は、例えば70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、とりわけ好ましくは97質量%以上、とりわけさらに好ましくは98質量%、特に好ましくは99質量%以上である。該含有率は、100質量%以下である。
【0032】
本発明の外用組成物中の他の界面活性剤(特に、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤)の含有率は、例えば0質量%以上5質量%未満、好ましくは0質量%以上4質量%未満、より好ましくは0質量%以上3質量%未満、さらに好ましくは0質量%以上2質量%未満、よりさらに好ましくは0質量%以上1質量%未満、とりわけ好ましくは0質量%以上0.5質量%未満、とりわけさらに好ましくは0質量%以上0.1質量%未満、とりわけよりさらに好ましくは0質量%以上0.01質量%未満である。本発明の一態様において、該含有率は、0質量%であることができる。
【0033】
ヘパリン類似物質(C成分)は、コンドロイチン多硫酸等の多硫酸化ムコ多糖であり、保湿作用や血流量増加作用等を有することが知られている公知の薬剤である。ヘパリン類似物質の由来については、特に制限されないが、例えば、ムコ多糖類を多硫酸化することにより得られたもの、食用獣の組織(例えば、ウシの気管軟骨を含む肺臓)から抽出したもの等が挙げられる。ヘパリン類似物質としては、日本薬局方外医薬品規格に収戴されているヘパリン類似物質を好適に使用することができる。
【0034】
C成分は、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0035】
本発明の外用組成物中のC成分の含有率は、薬効を発揮することができ、且つ泡立ち、泡の持続性、泡切れ等を著しく阻害しない限りにおいて、特に制限されない。該含有率は、例えば0.01~10質量%、0.05~3質量%、又は0.1~1質量%である。
【0036】
本発明の一態様において、本発明の外用組成物は、上記以外の他の成分を含有することができる。他の成分としては、例えば、エステル油類(例えば、トリアセチン、クエン酸トリエチル、トリ(カプリル、カプリン酸)グリセリン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジエチル等の二塩基酸、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、酢酸ベンジル等の一塩基酸等)、炭化水素類(例えば、流動パラフィン、スクワラン等)、溶剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルエチルケトン、N-アルキルピロリドン、アルキレンカーボネート、アセトン、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等)、水溶性高分子(例えば、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、キトサン、ポビドン、ポリビニルアルコール等)、防腐剤、保存剤、安定化剤等が挙げられる。
【0037】
本発明の外用組成物中の他の成分の含有率は、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等を著しく阻害しない限りにおいて、特に制限されない。該含有率は、例えば、0~10質量%、0~5質量%、0~2質量%、0~1質量%、又は0~0.1質量%である。
【0038】
本発明の外用組成物は、泡立ち、泡の持続性、泡切れ等の観点から、通常、水を含有する。本発明の組成物中の水の含有率は、例えば15質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、よりさらに好ましくは35質量%以上、とりわけ好ましくは40質量%以上、とりわけさらに好ましくは50質量%以上、とりわけよりさらに好ましくは60質量%以上である。該含有率の上限は、例えば95質量%、90質量%、85質量%、又は80質量%であることができる。上記下限及び上限は、任意に組合わせることができる。
【0039】
本発明の外用組成物は、皮膚への塗布に用いることができる。本発明の外用組成物は、泡の持続性が良好であるので、泡状で吐出した際の液垂れを抑制しつつ、泡切れも良好であるので、容易に塗り広げることができる。本発明の外用組成物は、皮膚外用医薬、化粧料等の皮膚外用組成物の形態であることが好ましい。本発明の外用組成物は、塗布後に除去しない態様で用いられるものであり、泡立て使用した後に水で除去(例えば洗い流す)ことを目的とした洗浄剤とは区別されるものである。
【0040】
本発明の外用組成物は、各成分を溶媒と共に混合することにより調製することができる。本発明の組成物は、好ましくは可溶化状態である。可溶化状態とは、界面活性剤がミセルを形成し、溶媒に溶解しない物質が透明かつ均一に溶解し、一相の溶液となっている状態をいう。また、可溶化状態は、マイクロエマルションの状態を含む。マイクロエマルションは、100nm以下の微細な粒子径の乳化粒からなり、熱力学的に安定なミセル溶液である。可溶化状態であることは、外観が透明であることをもって確認できる。また、常法により、粒子サイズを測定することにより可溶化状態を確認することもできる。可溶化状態の組成物は、必要に応じて各成分を加温下で溶解して、その後冷却することにより得ることが可能である。
【0041】
本発明の外用組成物は、泡吐出装置用とすることができる。ここで、泡吐出装置とは、発泡させる機構を備えるものを意味する。すなわち、本発明の外用組成物は、泡吐出装置により発泡して用いるためのものである。泡吐出装置としては、皮膚への刺激の観点から、非ガス型泡吐出装置であることが好ましい。非ガス型泡吐出装置としては、例えばスクリーン型泡吐出装置が挙げられる。スクリーン型泡吐出装置とは、液体を加圧し、ネット状のスクリーンを通過させることにより、空気と混合せしめ、発泡させる機構のものを意味する。スクリーン型泡吐出装置としては、例えばポンプ型泡吐出装置、チューブ型泡吐出装置、スクイズ型泡吐出装置等が挙げられる。これらの中でも、ポンプ型泡吐出装置が好適である。
【0042】
泡吐出装置としては、公知のもの、市販されているもの等を採用することができる。例えばポンプ型泡吐出装置であれば、特開2012-45525号公報、特開2008-307478号公報等に記載のものを使用することができる。
【0043】
本発明の外用組成物は、泡吐出装置を備える容器に充填して用いることができる。この観点から、本発明は、その一態様において、本発明の外用組成物を泡吐出装置を備える容器に充填してなる、外用剤、にも関する。「外用剤」については、上記した本発明の外用組成物と同様である。
【実施例0044】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0045】
試験例1.泡の評価試験1
表1(数字の単位は質量部)に示す処方に従って、泡吐出装置を備える容器への充填用の組成物1~10を調製した。具体的には、各成分をそれぞれ秤量し、80℃で加熱溶解して攪拌下で可溶化させた後、室温まで攪拌しながら冷却して組成物1~16を得た。これらの組成物をポンプ型泡吐出装置容器に充填し、試験に供した。
【0046】
使用した材料の詳細は以下の通りである。
・70%Dソルビトール液(D-ソルビトール(富士フィルム和光純薬社製、商品名:D-ソルビトール(和光一級))を精製水に溶かして製造した)
・グリセリン(富士フィルム和光純薬社製、商品名:グリセリン(試薬特級))
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(日油社製、商品名:プロノン188P)
【0047】
ポンプ型泡吐出装置容器から組成物1~10それぞれをスライドガラス上に一定量吐出させた。吐出直後の泡立ちを、目視により観察し、以下の評価基準に従って4段階で評価した。また、泡の持続性を、吐出から5分間静置させた後の泡の状態の変化を目視により観察して、以下の評価基準に従って4段階で評価した。吐出直後の泡立ちについては、○以上の評価を泡立ち良好と判断し、泡の持続性については△以上の評価を持続性良好と判断した。
【0048】
<吐出直後の泡立ちの評価基準>
◎:泡質の良い(きめが細かい、泡が立つ)泡立ち。
○:泡立つ。
△:泡立ちが弱い。
×:泡にならない。
【0049】
<泡の持続性の評価基準>
◎:泡に変化が認められない。
○:泡高さが低くなる。
△:スライドガラス上で泡が占める面積が小さくなる。
×:泡がなくなる。
【0050】
一方で、ポンプ型泡吐出装置容器から組成物1~10それぞれを被検者の片方の腕に一定量吐出させ、指先に向けて塗り広げた。ただし、塗り広げる動作は1回のみとした。泡切れを、以下の評価基準に従って3段階で評価した。△以上の評価を泡切れ良好と判断した。
【0051】
<泡切れの評価基準>
○:1回塗り広げた後、腕に泡残りが認められたが、泡は1分以内に消失した。
△:1回塗り広げた後、腕に泡残りが認められ、泡は1分経過後も残っていた。ただ、何度も塗り広げることにより、泡は消え、白化も認められなかった。
×:1回塗り広げた後、腕に泡残りが認められ、それから何度も塗り広げたが泡が残り、腕に白化が認められた。
【0052】
結果を表1に示す。
【0053】
【0054】
表1の通り、組成物1~10から得られる泡は、泡立ち及び泡の持続性が良好でありながらも、泡切れも良好であった。
【0055】
試験例2.泡の評価試験2
表2(数字の単位は質量部)に示す処方に従って、泡吐出装置を備える容器への充填用の組成物11を、試験例1と同様にして調製した。吐出直後の泡立ち、泡の持続性、及び泡切れを、試験例1と同様にして評価した。
【0056】
結果を表2に示す。
【0057】
【0058】
表2の通り、組成物11から得られる泡は、泡立ち及び泡の持続性が良好でありながらも、泡切れも良好であった。