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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026275
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/03 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
B29C45/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129659
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】特許業務法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 誠
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206JA07
4F206JL02
4F206JT01
4F206JT03
4F206JT40
(57)【要約】
【課題】ベルトの破断をより確実に検出できる射出成形機を提供する。
【解決手段】射出成形機の射出装置駆動機構23では、駆動プーリ110と中間プーリ114とに駆動側タイミングベルト115が架けられている。ローラ122が、駆動側タイミングベルト115の外周面における駆動プーリ110と中間プーリ114との間の箇所に接するように配置されている。支持アーム121は、ローラを回転可能に支持しており、ばね部材123によって駆動側タイミングベルト115にローラ122が押し付けられる方向(押し付け方向D1)に揺動させる力が加えられている。そして、リミットスイッチ130が、支持アーム121が押し付け方向D1に揺動されたときに閉成状態と開成状態とが切り替わるように、支持アーム121に操作部130bが接している。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体を駆動する駆動機構を有する射出成形機であって、
前記駆動機構が、
電動モータの回転軸に取り付けられた駆動プーリと、
複数の従動プーリと、
前記複数の従動プーリのうちの一の従動プーリに同軸に固定された中間プーリと、
前記駆動プーリと前記中間プーリとに架けられた駆動側タイミングベルトと、
前記複数の従動プーリに架けられた従動側タイミングベルトと、
前記駆動側タイミングベルトの外周面における前記駆動プーリと前記中間プーリとの間の箇所に接するように配置されるローラと、
前記ローラを回転可能に支持し、前記駆動側タイミングベルトに前記ローラが押し付けられる方向(以下、「押し付け方向」という。)に揺動可能な支持アームと、
前記支持アームに対して前記押し付け方向に揺動させる力を加えるばね部材と、
前記支持アームが前記押し付け方向に揺動されたときに閉成状態と開成状態とが切り替わるように配置されたリミットスイッチと、を有することを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記複数の従動プーリのうちの他の従動プーリに固定され、当該他の従動プーリとともに回転されるストッパ体と、
前記支持アームが前記押し付け方向に揺動されたときの前記リミットスイッチの閉成状態と開成状態との切り替わりに応じて、前記ストッパ体の回転軌道上にピストンを突出させるシリンダ装置と、を有している、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記支持アームが、前記駆動プーリと前記中間プーリとの間の箇所に前記駆動側タイミングベルトと交差するように配置され、
前記支持アームの一方の端部には、前記ローラが配置され、
前記支持アームの他方の端部には、前記電動モータの回転軸と平行な揺動軸と、前記一の従動プーリ側に延びる回転規制アームと、が設けられ、
前記回転規制アームの前記一の従動プーリ側の端部には、当該回転規制アームが前記支持アームとともに前記押し付け方向に揺動されたときに、前記一の従動プーリと前記従動側タイミングベルトとの間に進入する回転規制体が取り付けられている、請求項1または請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記回転規制体が、前記一の従動プーリの歯および前記従動側タイミングベルトの歯と噛み合う突起部を有している、請求項3に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記回転規制体が、柔軟性を有する帯状部材である、請求項3に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記駆動機構が、垂直方向に沿って配置されたボールねじ軸および前記ボールねじ軸に螺合されたナット体を有するボールねじ機構を複数有し、
前記ナット体が、前記従動プーリに固定され、
前記回転規制体が、前記ナット体が下方に移動する場合に前記従動プーリの歯と前記従動側タイミングベルトの歯との噛み合いの起点となる箇所に進入するように配置されている、請求項3~請求項5のいずれか一項に記載の射出成形機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を駆動する駆動機構を有する射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の射出成形機の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の射出成形機は、竪型締め機構部のベルトの近傍に配置されたリミットスイッチを有している。リミットスイッチは、操作部の先端に取り付けられた転動ローラがベルトに押し付けられている。ベルトが破断すると操作部が変位して、リミットスイッチが閉成状態から開成状態に切り替わり、ベルトの破断が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-88922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した射出成形機では、転動ローラとプーリとの間に、ベルトが配置されている。そのため、破断したベルトがプーリに巻き付いてしまった場合、ベルトの破断を検出できないおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、ベルトの破断をより確実に検出できる射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る射出成形機は、可動体を駆動する駆動機構を有する射出成形機であって、前記駆動機構が、電動モータの回転軸に取り付けられた駆動プーリと、複数の従動プーリと、前記複数の従動プーリのうちの一の従動プーリに同軸に固定された中間プーリと、前記駆動プーリと前記中間プーリとに架けられた駆動側タイミングベルトと、前記複数の従動プーリに架けられた従動側タイミングベルトと、前記駆動側タイミングベルトの外周面における前記駆動プーリと前記中間プーリとの間の箇所に接するように配置されるローラと、前記ローラを回転可能に支持し、前記駆動側タイミングベルトに前記ローラが押し付けられる方向(以下、「押し付け方向」という。)に揺動可能な支持アームと、前記支持アームに対して前記押し付け方向に揺動させる力を加えるばね部材と、前記支持アームが前記押し付け方向に揺動されたときに閉成状態と開成状態とが切り替わるように配置されたリミットスイッチと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駆動側タイミングベルトが破断すると、そのテンションが緩んで支持アームが押し付け方向に揺動する。そのため、プーリにベルトが巻き付いてしまった場合でも必ず支持アームが揺動して、リミットスイッチの閉成状態と開成状態とが確実に切り替わる。したがって、ベルトの破断をより確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施例に係る射出成形機の正面図である。
図2図1の射出成形機が有する型締装置およびその近傍の平面図である。
図3図1の射出成形機の機能ブロックを説明する図である。
図4図1の射出成形機の型締装置およびその近傍の断面図である。
図5図1の射出成形機が有する射出装置駆動機構の斜視図である。
図6図5の射出装置駆動機構の他の斜視図である。
図7図5の射出装置駆動機構の平面図である。
図8図5の射出装置駆動機構の斜視図である(ベルト破断状態)。
図9図5の射出装置駆動機構の平面図である(ベルト破断状態)。
図10】本発明の第2実施例に係る射出成形機が有する射出装置駆動機構の斜視図である。
図11図10の射出装置駆動機構の他の斜視図である。
図12図10の射出装置駆動機構の側面図である。
図13図10の射出装置駆動機構の要部を拡大した斜視図である。
図14図10の射出装置駆動機構の要部を拡大した他の斜視図である。
図15図10の射出装置駆動機構の平面図である。
図16図10の射出装置駆動機構の要部を拡大した斜視図である(ベルト破断状態)。
図17図10の射出装置駆動機構の要部を拡大した平面図である(ベルト破断状態)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例に係る射出成形機について、図1図9を参照して説明する。
【0010】
各図に示すように、射出成形機1は、型締装置10と、射出装置20と、成形品取出装置40と、表示入力装置60と、制御装置70と、を有している。これらの装置は基台5に設置されている。
【0011】
型締装置10は、ロータリーテーブル11と、可動ダイプレート12と、回転駆動機構13と、型締駆動機構14と、を有している。ロータリーテーブル11には、複数の金型80が設置される。回転駆動機構13は、ロータリーテーブル11を時計方向に所定角度(本実施例では90度)ずつ間欠回転させる。
【0012】
複数の金型80は、ロータリーテーブル11の上面11aに等角度間隔で設置される。本実施例において、上面11aには、4つの金型80が設置されている。これらの金型80は、閉じた状態(上側金型81と下側金型82とを重ねた状態)でロータリーテーブル11によって移動される。複数の金型80は、射出ステーションP1、第1冷却ステーションP2、第2冷却ステーションP3および成形品取出ステーションP4に位置づけられる。
【0013】
射出ステーションP1は、金型80を型締して可塑化した樹脂を射出充填するための射出位置である。第1冷却ステーションP2および第2冷却ステーションP3は、金型80に射出した樹脂を冷却するための冷却位置であり、射出ステーションP1を0時の位置としたときに3時および6時の位置にある。成形品取出ステーションP4は、金型80を開いて成形品を取り出すための成形品取出位置であり、射出ステーションを0時の位置としたときに9時の位置にある。なお、射出成形機1において、第1冷却ステーションP2および第2冷却ステーションP3の両方または一方を省略し、ロータリーテーブル11の上面11aに2つまたは3つの金型80が設置される構成としてもよい。
【0014】
型締駆動機構14は、ロータリーテーブル11と可動ダイプレート12との間に金型80を挟むように、可動ダイプレート12を垂直方向に移動させる。そして、型締駆動機構14は、金型80の上側金型81および下側金型82を垂直方向に締め付けて型締力を発生させる。型締駆動機構14は、電磁ブレーキおよび位置検出のためのエンコーダを備えた電動モータと、電動モータの回転動作を直線動作に変換するボールねじ機構と、型締力を発生させるためのトグルリンク機構と、を有している。
【0015】
射出装置20は、可動ダイプレート12の上方に配置されている。射出装置20は、垂直方向に移動可能である。射出装置20は、加熱シリンダ21と、スクリュー22と、を有している。加熱シリンダ21は、下方を向くノズル21aが先端に設けられている。スクリュー22は、加熱シリンダ21に回転可能かつ前後進可能に収容されている。スクリュー22の前後進とは、垂直方向への移動である。スクリュー22は、所定の前進限位置J1および所定の後退限位置J2において下限ストッパおよび上限ストッパに当接するストッパ部を有している。射出装置20は、スクリュー22のストッパ部が下限ストッパに当接することで、スクリュー22が前進限位置J1より下方に移動することを規制している。
【0016】
また、射出装置20は、射出装置駆動機構23と、スクリュー駆動機構24と、を有している。射出装置駆動機構23は、可動体としての射出装置20を垂直方向に移動させる。射出装置駆動機構23は、射出装置20を、加熱シリンダ21のノズル21aが可動ダイプレート12の貫通孔12aを通り上側金型81にタッチするノズルタッチ位置K1、および、ノズルタッチ位置K1より上方のノズルバック位置K2に移動させる。射出装置20がノズルタッチ位置K1に移動されると、ノズル21aはランナーやスプール、ゲートなどを有する金型80の樹脂流路85を通じてキャビティ84に接続される。射出装置駆動機構23の詳細については後述する。
【0017】
スクリュー駆動機構24は、加熱シリンダ21内でスクリュー22を回転および前後進させる。スクリュー駆動機構24は、電磁ブレーキおよび位置検出のためのエンコーダを備えた電動モータと、電動モータの回転動作を直線動作に変換するボールねじ機構と、を有している。
【0018】
成形品取出装置40は、金型開閉装置41と、エジェクタ装置42と、取出機43と、を有している。金型開閉装置41は、下側金型82に対して上側金型81を垂直方向に移動させる。エジェクタ装置42は、例えば、下側金型82に設けられた図示しないエジェクタピンを垂直方向に移動させる。エジェクタピンが、金型80のキャビティ84内に突出すると、キャビティ84から成形品を押し出される。取出機43は、キャビティ84から押し出された成形品を所定の場所に移動させる。
【0019】
表示入力装置60は、射出成形機1に係る情報を表示する表示装置61と、操作を入力する入力装置62と、を有している。表示装置61および入力装置62は、制御装置70に接続されている。表示装置61は、表示領域に各種画面を表示する。入力装置62は、入力キーを備えており、各入力キーに応じた信号を制御装置70に送信する。また、表示入力装置60は、入力装置62としてタッチパネルを備え、表示装置61の表示領域に重ねられたタッチパネルと当該表示領域に表示したアイコンとを組み合わせて構成したソフトウェアスイッチを有している。
【0020】
制御装置70は、マイクロコンピュータで構成されており、射出成形機1全体の動作を司る。制御装置70は、回転駆動機構13、型締駆動機構14、射出装置駆動機構23、スクリュー駆動機構24、金型開閉装置41、エジェクタ装置42および取出機43などの各駆動機構を制御する。「駆動機構を制御する」とは、駆動機構が有する電動モータやエアシリンダなどのアクチュエータを制御することを含む。
【0021】
次に、射出成形機1の成形動作の一例について説明する。
【0022】
(1)制御装置70は、回転駆動機構13を制御し、ロータリーテーブル11を時計方向に間欠回転させて、複数の金型80を、射出ステーションP1、第1冷却ステーションP2、第2冷却ステーションP3および成形品取出ステーションP4に順番に移動させる。
【0023】
(2)制御装置70は、型締駆動機構14を制御し、射出ステーションP1において、可動ダイプレート12を下方に移動して、ロータリーテーブル11と可動ダイプレート12との間に金型80を挟み、上側金型81および下側金型82を型締する。
【0024】
(3)制御装置70は、射出装置駆動機構23を制御し、射出ステーションP1において、射出装置20を上側金型81にノズル21aがタッチするノズルタッチ位置K1に移動させる。
【0025】
(4)制御装置70は、スクリュー駆動機構24を制御し、射出ステーションP1において、スクリュー22を前進させて、金型80のキャビティ84に樹脂を射出充填する。その後、スクリュー22を回転および後退させて、次の成形のために可塑化計量する。
【0026】
(5)制御装置70は、射出装置駆動機構23を制御し、射出装置20をノズルタッチ位置K1より上方のノズルバック位置K2に移動させる。
【0027】
(6)制御装置70は、型締駆動機構14を制御し、可動ダイプレート12を上方に移動して、上側金型81および下側金型82の型締を解除する。
【0028】
(7)制御装置70は、金型開閉装置41、エジェクタ装置42および取出機43を制御し、成形品取出ステーションP4において、金型80から成形品を取り出す。以降、上記(1)~(7)の動作を繰り返し実行する。
【0029】
ここで、射出装置駆動機構23について、図5図9を参照して説明する。図5図7は、駆動側タイミングベルト115が正常な状態(破断していない状態)を示し、図8図9は、駆動側タイミングベルト115が破断した状態を示す。なお、図5図9では、ボールねじ機構102の図示を省略している。
【0030】
射出装置駆動機構23は、駆動機構本体101と、ボールねじ機構102と、電動モータ105と、駆動プーリ110と、従動プーリ111、112、113と、中間プーリ114と、駆動側タイミングベルト115と、従動側タイミングベルト116と、支持アーム121と、ローラ122と、ばね部材123と、リミットスイッチ130と、ストッパ体140と、シリンダ装置150と、を有している。
【0031】
駆動機構本体101には、加熱シリンダ21が固定される。ボールねじ機構102(図1)は、図示しないボールねじ軸とナット体とを有している。ボールねじ軸は、垂直方向に沿って配置されている。ナット体は、ボールねじ軸に螺合されている。ナット体は、駆動機構本体101の内側に回転可能に配置されている。ボールねじ機構102は、複数(本実施例では3つ)設けられている。
【0032】
電動モータ105は、駆動機構本体101に固定されている。電動モータ105の回転軸105aには、駆動プーリ110が取り付けられている。回転軸105aは、垂直方向に沿うように配置されている。従動プーリ111、112、113は、複数のボールねじ機構102のそれぞれのナット体に同軸に固定されている。ナット体は、従動プーリ111、112、113とともに回転する。中間プーリ114は、従動プーリ111(一の従動プーリ)に同軸に固定されている。従動プーリ111は、中間プーリ114とともに回転する。従動プーリ111、112、113および中間プーリ114には、ボールねじ軸が挿通されている。
【0033】
駆動側タイミングベルト115は、駆動プーリ110と中間プーリ114とに架けられている。従動側タイミングベルト116は、従動プーリ111、112、113およびテンションプーリ117に架けられている。
【0034】
支持アーム121は、駆動プーリ110と中間プーリ114との間の箇所に配置されている。支持アーム121は、駆動側タイミングベルト115と交差するように直線状に延在している。
【0035】
支持アーム121の一方の端部121aには、ローラ122が配置されている。ローラ122は、支持アーム121に回転可能に支持されている。ローラ122は、駆動側タイミングベルト115の外周面における駆動プーリ110と中間プーリ114との間の箇所に接している。
【0036】
支持アーム121の他方の端部121bには、支持アーム121の揺動軸121cが設けられている。揺動軸121cは、電動モータ105の回転軸105aと平行となるように配置されている。支持アーム121は、揺動軸121cを中心として揺動可能である。
【0037】
ばね部材123は、コイルばねである。ばね部材123は、一方の端部が支持アーム121の一方の端部121aに取り付けられ、他方の端部が駆動機構本体101に取り付けられている。ばね部材123は、支持アーム121に対して、駆動側タイミングベルト115にローラ122が押し付けられる方向(以下、「押し付け方向D1」という。)に揺動させる力を加える。押し付け方向D1は、図7において、時計方向である。
【0038】
リミットスイッチ130は、マイクロスイッチが封入されたスイッチ本体130aと、マイクロスイッチに接続された操作部130bと、を有する位置検出スイッチである。リミットスイッチ130は、駆動側タイミングベルト115が正常な状態(破断していない状態)において、操作部130bが支持アーム121の一方の端部121aに設けられた当接片121dに接するように配置されている。リミットスイッチ130は、駆動側タイミングベルト115が破断して支持アーム121が押し付け方向D1に揺動されると、当接片121dが操作部130bから離れて閉成状態と開成状態とが切り替わる。リミットスイッチ130は、制御装置70に接続されている。
【0039】
ストッパ体140は、直方体形状を有しており、従動プーリ112(他の従動プーリ)の上面に固定されている。本実施例では、4つのストッパ体140が従動プーリ112に固定されている。4つのストッパ体140は、90度間隔で配置されている。
【0040】
シリンダ装置150は、シリンダ本体150aと、ピストン150bと、を有するエアシリンダである。シリンダ装置150は、制御装置70に接続されている。シリンダ装置150は、制御装置70から動作命令信号を受信すると、シリンダ本体150aからピストン150bを突出させる。シリンダ装置150は、従動プーリ112の近傍に配置されており、ピストン150bはストッパ体140の回転軌道上に突出される。
【0041】
次に、射出装置駆動機構23の動作の一例について説明する。
【0042】
図5図7に示すように、駆動側タイミングベルト115が正常な状態では、電動モータ105の回転が、駆動プーリ110から、駆動側タイミングベルト115を介して中間プーリ114に伝わる。そして、中間プーリ114とともに従動プーリ111が回転し、従動プーリ111の回転が、従動側タイミングベルト116を介して従動プーリ112、113に伝わる。従動プーリ111、112、113とともにナット体が回転し、ボールねじ軸とのねじ送り作用によって、加熱シリンダ21を有する射出装置20が垂直方向に移動する。図7において従動プーリ111、112、113(すなわちナット体)が時計方向に回転すると射出装置20が下方に移動し、反時計方向に回転すると射出装置20が上方に移動する。
【0043】
射出装置駆動機構23では、支持アーム121に対して押し付け方向D1に揺動させる力が加えられており、ローラ122が駆動側タイミングベルト115の外周面に押し付けられている。また、支持アーム121の当接片121dにリミットスイッチ130の操作部130bが接しており、リミットスイッチ130は閉成状態になっている。シリンダ本体150a内に、ピストン150bが収容されている。
【0044】
そして、図8図9に示すように、何らかの原因によって駆動側タイミングベルト115が破断すると、従動プーリ111、112、113が回転自在となり、射出装置20が自重によって下方への移動を始める。このとき、駆動側タイミングベルト115のテンションが緩み、支持アーム121が押し付け方向D1に揺動する。これにより、支持アーム121の当接片121dが操作部130bから離れて、リミットスイッチ130が閉成状態から開成状態に切り替わる。制御装置70は、リミットスイッチ130の状態の切り替わりを検出すると、現在実行中の動作を停止するなどの作業者の安全を確保するための動作(安全確保動作)を実行する。
【0045】
制御装置70は、安全確保動作と並行して、シリンダ装置150に動作命令信号を送信する。シリンダ装置150は、この動作命令信号を受信すると、シリンダ本体150aからピストン150bを突出させる。これにより、ピストン150bがストッパ体140の回転軌道上に突出してストッパ体140に当たり、従動プーリ112の回転が止まり、射出装置20の下方への移動が規制される。
【0046】
なお、射出装置駆動機構23において従動側タイミングベルト116が破断した場合には、電動モータ105が駆動側タイミングベルト115を介して従動プーリ111の回転を止めることにより、射出装置20の下方への移動が規制される。
【0047】
以上より、本実施例の射出成形機1は、射出装置20を垂直方向に移動させる射出装置駆動機構23を有している。射出装置駆動機構23は、電動モータ105の回転軸105aに取り付けられた駆動プーリ110と、複数の従動プーリ111、112、113と、従動プーリ111に同軸に固定された中間プーリ114と、駆動プーリ110と中間プーリ114とに架けられた駆動側タイミングベルト115と、従動プーリ111、112、113に架けられた従動側タイミングベルト116と、を有している。また、射出装置駆動機構23は、駆動側タイミングベルト115の外周面における駆動プーリ110と中間プーリ114との間の箇所に接するように配置されるローラ122と、ローラ122を回転可能に支持し、押し付け方向D1に揺動可能な支持アーム121と、支持アーム121に対して押し付け方向D1に揺動させる力を加えるばね部材123と、を有している。そして、射出装置駆動機構23は、支持アーム121が押し付け方向D1に揺動されたときに閉成状態と開成状態とが切り替わるように配置されたリミットスイッチ130を有している。
【0048】
これにより、射出成形機1では、駆動側タイミングベルト115が破断すると、そのテンションが緩んで支持アーム121が押し付け方向D1に揺動する。そのため、駆動プーリ110や中間プーリ114に駆動側タイミングベルト115が巻き付いてしまった場合でも必ず支持アーム121が揺動して、リミットスイッチ130の閉成状態と開成状態とが確実に切り替わる。したがって、駆動側タイミングベルト115の破断をより確実に検出できる。
【0049】
また、射出装置駆動機構23は、従動プーリ112に固定され、従動プーリ112とともに回転されるストッパ体140と、支持アーム121が押し付け方向D1に揺動されたときのリミットスイッチ130の閉成状態と開成状態との切り替わりに応じて、ストッパ体140の回転軌道上にピストン150bを突出させるシリンダ装置150と、を有している。このようにすることで、駆動側タイミングベルト115の破断を検出したとき、シリンダ装置150のピストン150bが突出して従動プーリ112の回転が止まり、射出装置20の移動を規制できる。
【0050】
(第2実施例)
以下、本発明の第2実施例に係る射出成形機について、図10図17を参照して説明する。
【0051】
第2実施例に係る射出成形機は、射出装置駆動機構23と構成の異なる射出装置駆動機構23Aを有する以外は、上述した第1実施例に係る射出成形機1と同一の構成を有する。以下では射出装置駆動機構23Aについて説明し、射出成形機1と同一の構成については、説明を省略する。
【0052】
図10図15は、駆動側タイミングベルト115が正常な状態(破断していない状態)を示し、図16図17は、駆動側タイミングベルト115が破断した状態を示す。なお、図10図17では、ボールねじ機構102の図示を省略している。
【0053】
射出装置駆動機構23Aは、駆動機構本体101と、ボールねじ機構102と、電動モータ105と、駆動プーリ110と、従動プーリ111、112、113と、中間プーリ114と、駆動側タイミングベルト115と、従動側タイミングベルト116と、支持アーム121と、ローラ122と、ばね部材123と、リミットスイッチ130と、を有している。また、射出装置駆動機構23Aは、回転規制アーム124と、回転規制体125と、を有している。なお、射出装置駆動機構23Aは、ストッパ体140とシリンダ装置150とを有していないが、射出装置駆動機構23と同様にストッパ体140およびシリンダ装置150を有していてもよい。
【0054】
回転規制アーム124は、支持アーム121の他方の端部121bに固定されている。回転規制アーム124は、円弧形状を有しており、他方の端部121bから従動プーリ111側に延びている。回転規制アーム124は、支持アーム121とともに揺動軸121cを中心として揺動される。
【0055】
回転規制体125は、回転規制アーム124の先端部(従動プーリ111側の端部)に取り付けられている。本実施例において、回転規制体125は、金属製または硬質の合成樹脂製である。回転規制体125は、従動プーリ111の外周面の歯と噛み合う突起部125aと、従動側タイミングベルト116の内周面の歯と噛み合う突起部125bと、を有している。回転規制体125は、回転規制アーム124が支持アーム121とともに押し付け方向D1に揺動されたときに、従動プーリ111と従動側タイミングベルト116との間に進入するように配置されている。具体的には、回転規制体125は、ボールねじ機構102のナット体が下方に移動する場合(すなわち、従動プーリ111が時計方向に回転する場合)に従動プーリ111の歯と従動側タイミングベルト116の歯との噛み合いの起点となる箇所C1(図13図15)に進入するように配置されている。なお、回転規制体125として、例えば、破断に強いカーボン繊維などからなる柔軟性を有する帯状部材を採用してもよい。
【0056】
次に、射出装置駆動機構23Aの動作の一例について説明する。
【0057】
図10図15に示すように、射出装置駆動機構23Aは、駆動側タイミングベルト115が正常な状態では、上述した射出装置駆動機構23と同様に動作する。
【0058】
そして、図16図17に示すように、何らかの原因によって駆動側タイミングベルト115が破断すると、従動プーリ111、112、113が回転自在となり、射出装置20が自重によって下方への移動を始める。このとき、駆動側タイミングベルト115のテンションが緩み、支持アーム121が押し付け方向D1に揺動する。これにより、支持アーム121の当接片121dが操作部130bから離れて、リミットスイッチ130が閉成状態から開成状態に切り替わる。制御装置70は、リミットスイッチ130の状態の切り替わりを検出すると、安全確保動作を実行する。
【0059】
また、支持アーム121が押し付け方向D1に揺動すると、支持アーム121とともに回転規制アーム124も押し付け方向D1に揺動して、回転規制体125が従動プーリ111と従動側タイミングベルト116との間に進入する。これにより、回転規制体125の突起部125aと従動プーリ111の歯とが噛み合うとともに、突起部125bと従動側タイミングベルト116の歯とが噛み合い、従動プーリ111の回転が止まり、射出装置20の下方への移動が規制される。
【0060】
第2実施例に係る射出成形機も、上述した第1実施例に係る射出成形機1と同様の作用効果を奏する。
【0061】
また、射出装置駆動機構23Aは、支持アーム121が、駆動プーリ110と中間プーリ114との間の箇所に駆動側タイミングベルト115と交差するように配置されている。支持アーム121の一方の端部121aには、ローラ122が配置されている。支持アーム121の他方の端部121bには、電動モータ105の回転軸105aと平行な揺動軸121cと、従動プーリ111側に延びる回転規制アーム124と、が設けられている。そして、回転規制アーム124の先端部には、回転規制アーム124が支持アーム121とともに押し付け方向D1に揺動されたときに、従動プーリ111と従動側タイミングベルト116との間に進入する回転規制体125が取り付けられている。このようにすることで、駆動側タイミングベルト115が破断すると、制御装置70による制御を介することなく、機械的に回転規制体125が従動プーリ111と従動側タイミングベルト116との間に進入する。これにより、回転規制体125が、従動プーリ111と従動側タイミングベルト116とに噛み込まれて、従動プーリ111の回転が止まり、射出装置20の下方への移動をより確実に規制できる。
【0062】
また、回転規制体125が、従動プーリ111の歯および従動側タイミングベルト116の歯と噛み合う突起部125a、125bを有している。このようにすることで、突起部125a、125bが、従動プーリ111の歯および従動側タイミングベルト116の歯と噛み合い、従動プーリ111の回転が止まり、射出装置20の下方への移動をより確実に規制できる。
【0063】
また、射出装置駆動機構23Aが、垂直方向に沿って配置されたボールねじ軸およびこのボールねじ軸に螺合されたナット体を有するボールねじ機構102を複数有している。複数のボールねじ機構102のそれぞれのナット体が、従動プーリ111、112、113に固定されている。そして、回転規制体125が、ナット体が下方に移動する場合に従動プーリ111の歯と従動側タイミングベルト116の歯との噛み合いの起点となる箇所C1に進入するように配置されている。このようにすることで、箇所C1に進入した回転規制体125を引き込む方向に従動プーリ111と従動側タイミングベルト116とが回転する。そのため、回転規制体125を従動プーリ111と従動側タイミングベルト116とにより確実に噛み込ませることができる。
【0064】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…射出成形機、5…基台、10…型締装置、11…ロータリーテーブル、11a…上面、12…可動ダイプレート、12a…貫通孔、13…回転駆動機構、14…型締駆動機構、20…射出装置、21…加熱シリンダ、21a…ノズル、22…スクリュー、23…射出装置駆動機構、24…スクリュー駆動機構、40…成形品取出装置、41…金型開閉装置、42…エジェクタ装置、43…取出機、60…表示入力装置、61…表示装置、62…入力装置、70…制御装置、80…金型、81…上側金型、82…下側金型、84…キャビティ、101…駆動機構本体、102…ボールねじ機構、105…電動モータ、105a…回転軸、110…駆動プーリ、111、112、113…従動プーリ、114…中間プーリ、115…駆動側タイミングベルト、116…従動側タイミングベルト、117…テンションプーリ、121…支持アーム、121a…一方の端部、121b…他方の端部、121c…揺動軸、121d…当接片、122…ローラ、123…ばね部材、124…回転規制アーム、125…回転規制体、125a、125b…突起部、130…リミットスイッチ、130a…スイッチ本体、130b…操作部、140…ストッパ体、150…シリンダ装置、150a…シリンダ本体、150b…ピストン、D1…押し付け方向、P1…射出ステーション、P2…第1冷却ステーション、P3…第2冷却ステーション、P4…成形品取出ステーション

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図17