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  • 特開-マスク内側冷却装置 図1
  • 特開-マスク内側冷却装置 図2
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  • 特開-マスク内側冷却装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026328
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】マスク内側冷却装置
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129729
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】520285891
【氏名又は名称】合同会社サステイン・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小柴 修一
(57)【要約】
【課題】一般的な普通のマスクを使用する場合でも比較的高温の環境下で不快感のない呼吸を可能にするマスク内側冷却装置を提供する。
【解決手段】マスク内側冷却装置1は、冷媒が流通し、一部が人の頭部2に装着される管路3と、冷媒を冷却しつつ管路3に流通させる冷媒流通手段11とを備える。管路3は、その一部が頭部2に装着された状態において、頭部2に着用されたマスク4と頭部2との間かつ頭部2の鼻5と上唇6との間の空間内で螺旋を成して左右方向に延びる螺旋状部分7を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流通し、一部が人の頭部に装着される管路と、
前記冷媒を冷却しつつ前記管路に流通させる冷媒流通手段とを備え、
前記管路は、前記一部が頭部に装着された状態において、該頭部に着用されたマスクと該頭部との間かつ該頭部の鼻と上唇との間の空間内で螺旋を成して左右方向に延びる螺旋状部分を備えることを特徴とするマスク内側冷却装置。
【請求項2】
前記管路は、前記頭部に装着された状態において、前記螺旋状部分の両端から該頭部の両頬の表面を通り、該頭部の両耳の上部と該頭部との間に掛けられる両側部分を有することを特徴とする請求項1に記載のマスク内側冷却装置。
【請求項3】
前記冷媒流通手段は、
前記管路の途中に介在し、前記冷媒を蓄える容器と、
前記管路の途中に介在し、該管路内で前記冷媒を循環させる電動ポンプと、
前記電動ポンプを駆動するためのバッテリと、
前記管路を流通する冷媒を冷却する冷却部とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク内側冷却装置。
【請求項4】
前記冷媒流通手段が取り付けられた衣類又は人体装着物を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のマスク内側冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクの内側と顔の間の空間を冷却するマスク内側冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスクに関連した冷却機能を有するものとして、マスクを着用した作業者が吸気する空気の温度を、マスク内を循環する循環液体によって下げるようにした冷却機能付きマスクが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の冷却機能付きマスクは、口と鼻の両方を覆うカップ部と、このカップ部からの吸気を可能にする吸気部と、カップ部に設けられ、水等の液体が循環する冷却用の液体路と、この液体路の熱交換面積が大きくなるようにその形状を維持する液体路構成部材とを備える。
【0004】
この液体路構成部材は、例えば、マスク装着者の顔面側又は外方側に複数の凹凸部と、吸気部からの吸気を可能にする開口部とを備える。そして、該複数の凹凸部に液体管を保持するように係合させることによって、カップ部での液体管の形状が維持される。この冷却機能付きマスクによれば、高温の空気を吸う作業者等の不快感や苦痛を低減させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6714904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の冷却機能付きマスクによれば、マスクのカップ部に組み込まれる液体路構成部材の構成が複雑であるため、マスクが高価なものとなる。また、マスクのカップ部に液体路構成部材が組み込まれるので、これに合わせて、マスクのカップ部も特殊な構成を備える必要がある。
【0007】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、一般的な普通のマスクを使用する場合でも比較的高温の環境下で不快感のない呼吸を可能にするマスク内側冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマスク内側冷却装置は、
冷媒が流通し、一部が人の頭部に装着される管路と、
前記人により携帯され、前記冷媒を冷却しつつ前記管路に流通させる冷媒流通手段とを備え、
前記管路は、前記一部が頭部に装着された状態において、該頭部に着用されたマスクと該頭部との間かつ該頭部の鼻と上唇との間の空間内で螺旋を成して左右方向に延びる螺旋状部分を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、管路の螺旋状部分は、頭部に着用されたマスクと頭部との間かつ頭部の鼻と上唇との間の空間内で螺旋を成して左右方向に延びるものであるため、マスクに組み込む必要はない。
【0010】
すなわち、マスク内側冷却装置を使用する際には、管路の螺旋状部分を頭部に装着してからマスクが装着される。このため、一般的な普通のマスクを、マスク内側冷却装置とは無関係に自由に取り換えながら、マスク内側冷却装置を使用することができる。
【0011】
また、管路の螺旋状部分が、マスクと頭部との間かつ頭部の鼻と上唇との間の空間に位置し、その螺旋状部分内を冷媒が螺旋状に旋回しながら循環するので、該空間を通る呼気・吸気を、効果的に効率よく、かつ本装置の使用者による呼吸のための空気の流れを妨げずに冷却することができる。したがって、本発明によれば、比較的高温の環境下で一般的な通常のマスクを使用する場合でも、不快感のない呼吸を可能にするマスク内側冷却装置を提供することができる。
【0012】
本発明において、前記管路は、前記頭部に装着された状態において、前記螺旋状部分の両端から該頭部の両頬の表面を通り、該頭部の両耳の上部と該頭部との間に掛けられる両側部分を有するのが好ましい。
【0013】
これによれば、管路の螺旋状部分を鼻の下に位置させ、管路の両側部分を両耳に掛けることにより、頭部への管路の装着を容易に行うことができる。
【0014】
本発明において、
前記冷媒流通手段は、
前記管路の途中に介在し、前記冷媒を蓄える容器と、
前記管路の途中に介在し、該管路内で前記冷媒を循環させる電動ポンプと、
前記電動ポンプを駆動するためのバッテリと、
前記管路を流通する冷媒を冷却する冷却部とを備えるのが好ましい。
【0015】
これによれば、冷媒流通手段をコンパクトに構成し、容易に携帯することができる。
【0016】
本発明において、前記冷媒流通手段が取り付けられた衣類又は人体装着物を備えるのが好ましい。これによれば、衣類又は人体装着物を身に着けることによって、容易に冷媒流通手段を携帯しながら、マスク内側冷却装置を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るマスク内側冷却装置の要部の正面を示す模式図である。
図2図1のマスク内側冷却装置の要部の側面を示す模式図である。
図3図1のマスク内側冷却装置の冷媒流通手段の構成を示す模式図である。
図4図3の冷媒流通手段が取り付けられた衣類又は人体装着物を示す模式図である。
図5図1のマスク内側冷却装置における冷却部の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るマスク内側冷却装置の要部の正面及び側面をそれぞれ示す。これらの図に示すように、マスク内側冷却装置1は、冷媒が流通し、一部が人の頭部2に装着される管路3と、冷媒を冷却しつつ管路3に流通させる冷媒流通手段とを備える。
【0019】
冷媒としては、例えば水等の液体が使用される。管路3としては、例えば、テフロン(登録商標)等の柔軟性を有するチューブを用いることができる。このようなチューブとしては、マスク内側冷却装置1を装着して作業を行う際の各種作業の妨げとならないように、可動性と伸縮可能な構造を有するものを用いるのが好ましい。
【0020】
管路3は、頭部2に装着された状態において、頭部2に着用されたマスク4と頭部2との間かつ頭部2の鼻5と上唇6との間の空間内で螺旋を成して左右方向に延びる螺旋状部分7を備える。
【0021】
また、管路3は、頭部2に装着された状態において、螺旋状部分7の両端から頭部2の両頬8の表面を通り、頭部2の両耳9の上部と頭部2との間に掛けられる両側部分10を有する。
【0022】
図3は、マスク内側冷却装置1の冷媒流通手段11を示す。同図に示すように、冷媒流通手段11は、管路3の途中に介在し、冷媒を蓄える容器としてのタンク12と、管路3の途中に介在し、管路3内で冷媒を循環させる電動ポンプ13と、電動ポンプ13を駆動するためのバッテリ14と、管路3を流通する冷媒を冷却する冷却部15とを備える。バッテリ14と電動ポンプ13との間には、電動ポンプ13をオン・オフするためのスイッチ16が介在する。
【0023】
冷却部15は、保冷剤17と、保冷剤17によって冷却される被冷却材18とを備える。被冷却材18としては、例えば、アルミニウム、銅等の金属や、樹脂材料などの熱伝導に優れた材料が用いられる。被冷却材18の内部には、被冷却材18により管路3内の冷媒が冷却されるように、管路3が通される。
【0024】
図4は、冷媒流通手段11が取り付けられた衣類又は人体装着物としてのアウタベスト19を示す。同図に示すように、アウタベスト19の背面には、冷媒流通手段11が取り付けられる。この取付けは、取り付けた冷媒流通手段11が、アウタベスト19の装着者にとって各種作業や安全性に支障が生じることのないように行われる。
【0025】
この構成において、マスク内側冷却装置1の使用者は、アウタベスト19を着た後、管路3の螺旋状部分7を、頭部2の鼻5と上唇6との間に位置させ、その両側部分10を、両頬8を這わせて両耳9と頭部2との間に掛けることによって、管路3を頭部2に装着することができる。その後、マスク4を装着することにより、マスク内側冷却装置1を使用する準備が完了する。
【0026】
この後、使用者が冷媒流通手段11のスイッチ16をオンすることにより、管路3内の冷媒は、電動ポンプ13により、タンク12、電動ポンプ13、冷却部15、及び螺旋状部分7を経て、管路3内を循環するようになる。この循環を繰り返す際に、冷媒は、冷却部15において、保冷剤17により被冷却材18を介して冷却される。
【0027】
また、この間に、冷媒は、管路3の螺旋状部分7を通過するときに、マスク4と頭部2との間かつ鼻5と上唇6との間の空間を冷却し、該空間から熱を受け取る。受け取った熱は、冷却部15において保冷剤17に吸収される。すなわち、冷媒が上記のように冷却される。
【0028】
これにより、頭部2の該空間に面する部分の温度が高まったり、吸気の温度が高まったりして使用者が不快な状態となることが防止される。なお、この間に冷媒は、その温度に応じて膨張又は収縮する場合があるが、この膨張又は収縮は、タンク12において吸収される。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、マスク内側冷却装置1を使用する際には、使用者は、管路3をその螺旋状部分7とともに装着してからマスク4を着用することがきる。このため、汎用のマスク4を、マスク内側冷却装置1とは無関係に自由に取り換えながら、マスク内側冷却装置1を使用することができる。
【0030】
また、管路3は、螺旋状部分7を有するので、冷媒は螺旋状部分7を通過するときに、マスク4と頭部2との間かつ鼻5と上唇との間の空間において、使用者の呼気・吸気を、効果的に効率よく、かつ呼吸のための空気の流れを妨げずに冷却することができる。したがって、比較的高温の環境下で汎用のマスク4を使用する場合でも不快感のない呼吸を可能にすることができる。
【0031】
また、管路3は、螺旋状部分7の両端から両頬8を通り、両耳9の上部と頭部2との間に掛けられる両側部分10を有するので、使用者は、螺旋状部分7を鼻5下に位置させ、両側部分10を両耳9に掛けることにより、頭部2へ容易に装着することができる。
【0032】
また、冷媒流通手段11は、電動ポンプ13やバッテリ14等を備えるので、容易に携帯可能に構成することができる。また、冷媒流通手段11をアウタベスト19に取り付けたので、使用者は、アウタベスト19を着ることによって、容易に冷媒流通手段11を携帯しながら、マスク内側冷却装置1を利用することができる。
【0033】
なお、本発明は上述の実施形態に制限されない。例えば、管路3を流通する冷媒を冷却する冷却部としては、冷媒の熱をペルチェ素子で外部に排出するものを用いてもよい。また、管路3内に流通させる冷媒としては、水等の液体に限らず、気体を用いてもよい。また、冷媒流通手段11は、ベルトに装着してもよい。また、冷媒流通手段11には、電動ポンプ13の回転数を制御して冷媒の流量を調整する制御手段を設けてもよい。
【0034】
さらに、管路3を流通する冷媒を冷却する冷却部としては、図5に示すように、管路3を、被冷却材18を介することなく直接的に保冷剤17中を通過させるようにした冷却部20を採用してもよい。これによれば、管路3における保冷剤17への入口21から出口22までの間で、冷媒が保冷剤17により直接的に冷却されるので、保冷剤17による冷媒の冷却効果を向上させることができる。
【0035】
この場合、冷却部20として、空いたペットボトルに保冷剤17としての保冷ジェルを充填したものを採用してもよい。その際に、図5のように、ペットボトルを立てた状態で使用する場合には、管路3は、ペットボトルに対して底部から導入し、内部でらせん状に旋回させ、上部から導出するのが好ましい。
【0036】
この場合、ペットボトル内の保冷ジェルの温度は、底部において低く、上部においてより高い。このため、底部において冷媒との温度差がより大きいので、冷媒と保冷ジェルとの間での熱交間を効率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
1…マスク内側冷却装置、2…頭部、3…管路、4…マスク、5…鼻、6…上唇、7…螺旋状部分、8…頬、9…耳、10…両側部分、11…冷媒流通手段、12…タンク、13…電動ポンプ、14…バッテリ、15…冷却部、16…スイッチ、17…保冷剤、18…被冷却材、19…アウタベスト。
図1
図2
図3
図4
図5