(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026333
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220203BHJP
A42B 3/18 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A41D13/11 H
A42B3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129739
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000110893
【氏名又は名称】ニチレイマグネット株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前橋 清
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 洋一
(72)【発明者】
【氏名】笠原 修
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107DA00
3B107DA07
3B107DA18
(57)【要約】
【課題】使用頻度に関わらずヘッドバンドの端部側同士の強い連結力を維持できるフェイスシールドを提供する。
【解決手段】ヘッドバンド10と透明なシールドシート50とを備えるフェイスシールド1であって、ヘッドバンドは、使用者の頭部に巻き付け可能なサイズの長尺帯状のバンド本体20と、バンド本体20の端部側同士を脱着自在に連結する連結部30とを有し、連結部は、バンド本体の長手方向一端側に設けられた第1マグネットシート31と、バンド本体の長手方向他端側に設けられた第2マグネットシート32とを有し、第1マグネットシートと第2マグネットシートとは互いに同じ着磁ピッチとされ、それぞれの着磁ピッチ方向P1がバンド本体の長手方向に平行となるように設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部のまわりに装着されるヘッドバンドと、使用者の顔の前方に顔面から所定の距離を離して保持するようにヘッドバンドに固着される透明なシールドシートとを備えるフェイスシールドであって、
ヘッドバンドは、使用者の頭部に巻き付け可能なサイズの長尺帯状のバンド本体と、バンド本体の端部側同士を脱着自在に連結する連結部とを有し、
連結部は、バンド本体の長手方向一端側に設けられた第1マグネットシートと、バンド本体の長手方向他端側に設けられた第2マグネットシートとを有し、
第1マグネットシートと第2マグネットシートとは互いに同じ着磁ピッチとされ、それぞれの着磁ピッチ方向がバンド本体の長手方向に平行となるように設けられていることを特徴とするフェイスシールド。
【請求項2】
第1マグネットシートの着磁面と第2マグネットシートの着磁面との少なくとも一方に弱粘着層が設けられている請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項3】
第1マグネットシート及び第2マグネットシートのそれぞれの一方の長辺に沿って設けられた第1補助マグネットシート及び第2補助マグネットシートを有し、第1補助マグネットシートと第2補助マグネットシートとは互いに同じ着磁ピッチとされ、それぞれの着磁ピッチ方向が第1マグネットシート及び第2マグネットシートの着磁ピッチ方向と直交するように設けられている請求項1または請求項2に記載のフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフェイスシールドに関する。より詳しくは、使用者の頭部のまわりに装着されるヘッドバンドと、使用者の顔の前方に顔面から所定の間隔を保持して顔面を覆うようにヘッドバンドに固着される透明なシールドシートとを備えるフェイスシールド(顔面保護具)に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザやCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)等の呼吸系感染症は、例えば近くにいる感染者の咳やくしゃみ、会話の際に口から出てくる飛沫に含まれるウイルスが、非感染者の口や鼻を通じて気道に侵入することで感染が伝播する。このような感染症が流行している時期には、感染防止のため、また咳やくしゃみなどにより発生する飛沫等の拡散防止のため、外出先でのマスクの装着が推奨されている。
【0003】
しかしウイルスの粒子は非常に細かくマスクを通過してしまうこともあることから、特に接客業など対人を伴う職種では、顔面を透明なシールドシートで覆うフェイスシールドの併着が有効であるとされている。
【0004】
このようなフェイスシールドとして、下記特許文献1,2は、装着バンドと可撓性透明シールド部材を備えるものを開示している。これらのフェイスシールドでは、装着バンドの端部側同士の連結に面ファスナを用いている。すなわち装着バンドの一方の端部側の表側面および他方の端部側の裏側面にそれぞれ一対の面ファスナが取り付けられている(特許文献1では「面ファスナ14a,14b」、特許文献2では「マジックテープ(登録商標)のバンド2´´」が相当している)。使用者は、フェイスシールドの装着にあたり、装着バンドを頭部に巻き付け、ちょうどよい長さサイズとなるところで面ファスナ同士を貼り合わせることができる。つまり、使用者の頭部の大きさに応じて適切な長さに調整できるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特許第3962392号
【特許文献2】実公平4-14418号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に面ファスナは、着脱の回数が例えば1000回を越えるあたりから、連結用の面素材(フック材とループ材)の劣化が目立ちはじめてくるといわれる。このため上記フェイスシールドでは、ヘッドバンドの端部側同士の連結力が低下し、ヘッドバンドを装着するとき、希望する長さ位置での固定ができなかったり、装着中にヘッドバンドが外れたりすることがある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、使用頻度に関わらずヘッドバンドの端部側同士の強い連結力を維持できるフェイスシールドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段をとる。
なお、本欄において各構成手段に付した括弧書きの符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すためのものであり、本発明の構成手段をこれに限定するものではない。
【0009】
本発明の一の態様は、使用者の頭部のまわりに装着されるヘッドバンド(10)と、使用者の顔の前方に顔面から所定の距離を離して保持するようにヘッドバンド(10)に固着される透明なシールドシート(50)とを備えるフェイスシールド(1)であって、ヘッドバンド(10)は、使用者の頭部に巻き付け可能なサイズの長尺帯状のバンド本体(20)と、バンド本体(20)の端部側同士を脱着自在に連結する連結部(30)とを有し、連結部(30)は、バンド本体(20)の長手方向一端側に設けられた第1マグネットシート(31)と、バンド本体(20)の長手方向他端側に設けられた第2マグネットシート(32)とを有し、第1マグネットシート(31)と第2マグネットシート(32)とは互いに同じ着磁ピッチとされ、それぞれの着磁ピッチ方向(P1)がバンド本体(20)の長手方向に平行となるように設けられていることを特徴とする。
【0010】
本態様によると、ヘッドバンド(10)の端部側同士の連結は、第1マグネットシート(31)と第2マグネットシート(32)とが、同じ着磁ピッチの縞状の磁極の異極同士で磁着し合うことでなされる。第1マグネットシート(31)と第2マグネットシート(32)とは、それぞれの着磁ピッチ方向(P1)がバンド本体(20)の長手方向に平行となるようにバンド本体(20)に設けられているため、当該長手方向の引張に対して強固な連結となる。また着磁ピッチ単位でヘッドバンド(10)の長手方向の長さの微調整が可能になる。つまり、使用者の頭部の大きさに応じて適切な長さに細かに調整できる。
ここでマグネットシートは、面ファスナとは異なり、着脱、つまり連結及び解除の回数が多くなっても素材の劣化がほとんどなく結合力が低下しない。つまり、使用頻度に関わらずヘッドバンドの端部側同士の強い連結力を維持できるフェイスシールドが提供される。
【0011】
本発明の他の態様は、第1マグネットシート(31)の着磁面(31a)と第2マグネットシート(32)の着磁面(32a)との少なくとも一方に弱粘着層が設けられている。
【0012】
本態様によると、弱粘着層の接着力と、マグネットシート同士の吸着力とによって、より強固な連結を達成できる。
【0013】
本発明の他の態様は、第1マグネットシート(31)及び第2マグネットシート(32)のそれぞれの一方の長辺に沿って設けられた第1補助マグネットシート(33)及び第2補助マグネットシート(34)を有し、第1補助マグネットシート(31)と第2補助マグネットシート(32)とは互いに同じ着磁ピッチとされ、それぞれの着磁ピッチ方向(P2)が第1マグネットシート(31)及び第2マグネットシート(32)の着磁ピッチ方向(P1)と直交するように設けられている。
【0014】
本態様によると、第1補助マグネットシート(31)と第2補助マグネットシート(32)とが磁着することで、第1マグネットシート(31)及び第2マグネットシート(32)の着磁ピッチ方向(P1)と直交する方向(P2)についての滑りが抑制され、より強固な連結が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、使用頻度に関わらずヘッドバンドの端部側同士の強い連結力を維持できるフェイスシールドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るフェイスシールドの斜視図である。
【
図8】ヘッドバンドの両端のマグネットシート同士を磁着させた状態を示す平面図である。
【
図10】連結部の変形例のマグネットシート同士を磁着させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明に係るフェイスシールド1の斜視図、
図2はヘッドバンド10の2面図、
図3はマグネットシート31,32の2面図、
図4は額当てパッド40の2面図、
図5はシールドシート50の2面図、
図6はフェイスシールド1の平面図、
図7はフェイスシールド1の装着例を示す図、
図8はヘッドバンド10の両端のマグネットシート31,32同士を磁着させた状態を示す平面図である。なお、
図2から
図5の各図において(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示す。
【0018】
図1に示すように、フェイスシールド1は、ヘッドバンド10とシールドシート50を備える。
【0019】
ヘッドバンド10は、使用者の頭部のまわりに着脱自在となるように構成され、
図1,2に示すように、バンド本体20と連結部30と額当てパッド40を備える。
【0020】
バンド本体20は、使用者の頭部に巻き付け可能な長さを有する可撓性の帯状体であり、長さ600mm~750mm、幅20mm~30mm、厚さ0.1~0.5mmの長尺で無色透明のプラスチックフィルムからなる。材質は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニールとされる。透明材としたのは、後述する無色透明のシールドシート50との統一を図るためである。
図2に示すように、バンド本体20の中央部とその長手方向両脇には、雌ホック21が取り付けられている。これら雌ホック21は、シールドシート50に取り付けられた雄ホック51と着脱自在に嵌合されるものであり、互いに隣合う雌ホック21間の間隔はL1である。
【0021】
連結部30は、バンド本体20の両端部側同士を脱着自在に連結する部材であり、バンド本体20の長手方向一端側に設けられたマグネットシート31と、他端側に設けられたマグネットシート32を有する。
マグネットシート31とマグネットシート32は、それぞれバンド本体20と略同一幅の長方形状を呈し、厚さ0.2mm~0.8mmとされる可撓性シート状の磁石体である。
図3に示すように、その着磁面31a,32aは、N極とS極が交互に一定ピッチで直線縞状に着磁された多極着磁型となっている。
【0022】
このような可撓性シート状の磁石体は、硬磁性材料(例えばバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等のフェライト系磁石材料又はサマリウム・コバルト系磁石、ネオジウム・鉄・ホウ素系磁石等、希土類磁石材料)の微粉末と、粘結材となる少量の有機高分子エラストマー(例えば塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニール共重合体、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム)との混合体を、圧延または押出しなどの成形方式によりシート状に成形し、シート面に着磁を施して製作される。なお、フェイスシールド1でのマグネットシート31,32の着磁ピッチは1.0mm以上3.0mm以下であることが好ましい。1.0mm未満では、相応の磁着力が期待できず、また3.0mmを超えると、ヘッドバンドを頭部に装着するときの、長さの微調整の度合いが荒くなってしまうためである。
【0023】
マグネットシート31は、その非着磁面31bを接着面として接着剤によりバンド本体20の表側面20Sに接着固定される。固定に際しては、マグネットシート31の着磁ピッチ方向P1が、バンド本体20の長手方向に平行となる配置とされる。着磁ピッチ方向P1は、着磁ライン31c,32cと直交する方向である。なお、着磁ライン31c,32cというのは、多極着磁されたマグネットシートの表面に現れている1つの磁極と、その両隣の異極との仮想の境界線を言う。現実的には、磁気パターンを目視できる測定器具「マグネビュアー」(ニチレイマグネット株式会社の登録商標)を当てたときに白くなる部分であって、シート表面の垂直方向の磁場が著しく弱いか又は零の領域である。
マグネットシート32は、その非着磁面32bを接着面として接着剤によりバンド本体20の裏側面20Rに接着固定される。マグネットシート32についても、その着磁ピッチ方向P1が、バンド本体20の長手方向に平行となる配置とされる。
ここでは、片面着磁型のマグネットシートを例示したが、両面着磁型でもよい。この場合、バンド本体20への接着固定面は、当然ながら着磁面となる。
【0024】
額当てパッド40は、使用者がフェイスシールド1を装着したときに額からでた汗を吸収するための部材であり、親水性の不織布を主構成とした長尺体からなる。
図4に示すように、額当てパッド40は、2枚の親水性の不織布41を、間に無延伸ポリプロピレンフイルム42を介在させた状態で貼り合わせた構成とされる。貼り合わせには、例えばドライラミネート方式が用いられる。
額当てパッド40のサイズは、バンド本体20の裏側面20Rに重ね合わせたときに全ての雌ホック21の突出部分を覆うことができる長さとされ、幅はバンド本体20と略同一とされる。不織布41の厚さは0.5mm~1mm、無延伸ポリプロピレンフイルム42の厚さは20μm~40μmとされる。
【0025】
額当てパッド40は、バンド本体20の裏側面20Rのうち各雌ホック21を囲う位置に熱融着法(電磁波パルスによる接着)により、符号43で示すように断続した複数点で接合される。熱融着法により、額当てパッド40における無延伸ポリプロピレンフイルム42がバンド本体20に接着される。この接着性が最もよい材質として無延伸ポリプロピレンを選択したが、ポリエチレンテレフタレート(PET)としてもよい。
【0026】
シールドシート50は、使用者の顔の前方に顔面から所定の間隔を保持して顔面を覆うための部材であり、可撓性の無色透明のプラスチックシートからなり、
図5に示すように、耳部52を備えた略「凸」字形状を呈する。厚さは0.1~0.5mmとされる。材質は、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニールなど透明性に優れたものが好ましい。また各角部分には、隅取り、縁の丸味つけなどの仕上加工が施されている。シールドシート50の中央上縁側と両耳部52には、前述したバンド本体20の各雌ホック21と一対となる雄ホック51が取り付けられている。互いに隣合う雄ホック51間の間隔はL2である。ここでL2>L1である。また、シールドシート50における中央上縁側の雄ホック51の上下には、シールドシート50の上端辺に沿うように互いに平行に設けられた一対の切り込み53を有する。なお、本願で言う「顔の前方」は、顔の真正面だけでなく斜め前方も含める。
【0027】
次に、以上のような構成要素を備えるフェイスシールド1の使用方法について説明する。
【0028】
フェイスシールド1は、梱包時や不使用時は平坦な状態で収納されており、使用者は装着前に次のようにして組立てる。
すなわち、ヘッドバンド10の雌ホック21とシールドシート50の雄ホック51とを嵌合わせる。具体的には、ヘッドバンド10における中央の雌ホック21とシールドシート50における中央の雄ホック51、ヘッドバンド10における中央左側の雌ホック21とシールドシート50における中央左側の雄ホック51、およびヘッドバンド10における中央右側の雌ホック21とシールドシート50における中央右側の雄ホック51のそれぞれを嵌合わせる。なお嵌合わせの順序は問わない。
【0029】
シールドシート50とヘッドバンド10のどちらも可撓性を有し、更にL2>L1であることから、上記各ホック対21,51を嵌合わせることにより、平面的だったシールドシート50とヘッドバンド10は、
図1に示すように湾曲面を有した立体的な形状とすることができる。なお、ヘッドバンド10における中央の雌ホック21と、シールドシート50における中央の雄ホック51との嵌合わせに際しては、シールドシート50における矩形帯54を手前(シールドシート50の湾曲中心側)に引き出して行うので、シールドシート50には矩形窓55が開口することになる。
【0030】
このとき
図6に示すように、シールドシート50の円弧がバンド本体20の円弧に外接する形となり、両円弧間に空間Sが形成される。この空間Sが生じることにより、
図7に示すように、シールドシート50を使用者の顔面から所定の距離だけ隔離して保持することが可能となる。
【0031】
使用者は、組立てられたフェイスシールド1の左右の耳部52のあたりをそれぞれ左右の手で持ち、シールドシート50が顔の前方を覆うような形に配置する。その後、額当てパッド40を額に当てた状態で、ヘッドバンド10を自らの頭部に巻き付け、その端部側同士を連結させる。具体的には、頭部にバンド本体20を巻き付けた後、
図8に示すように、マグネットシート31の着磁面31aと、マグネットシート32の着磁面32aとを重ね合わせて磁着させる。これにより、ヘッドバンド10は両端部側同士が着脱自在に連結される。
以上のようにして、シールドシート50は、使用者の顔の前方に顔面から所定の間隔を保持して配置され、飛沫などの侵入を遮蔽し感染予防が可能となる。
【0032】
次に、フェイスシールド1の奏する特徴的な作用効果について説明する。
フェイスシールド1において、ヘッドバンド10の端部側同士の連結は、マグネットシート31とマグネットシート32とが、縞状の磁極の異極同士で磁着し合うことでなされる。これにより、ヘッドバンド10は、ワンタッチで連結できるとともに、特に着磁ピッチ方向P1、つまりバンド本体20の長手方向についての引張や滑りに対して強固な連結となる。そして着磁ピッチ単位でヘッドバンド10の長手方向の長さの微調整が可能になる。つまり、使用者の頭部の大きさに応じて適切な長さに細かに調整できる。
【0033】
マグネットシートは、面ファスナとは異なり、着脱の回数が多くなっても素材の劣化がほとんどなく結合力が低下しない。つまり、使用頻度に関わらずヘッドバンドの端部側同士の強い連結力を維持できるフェイスシールドが提供される。
なお、マグネットシート31,32の着磁面31a,32aの少なくとも一方に弱粘着層を設けてもよい。この場合、弱粘着層の接着力と、マグネットシート同士の吸着力とによって、より強固な連結を達成できる。ここで弱粘着層とは、繰り返し接着が可能な所謂再剥離可能な接着層であり、マグネットシートの着磁面の全面または部分的に被着される。
【0034】
また、装着中に額からでた汗は、額当てパッド40により吸収される。この額当てパッド40は、2枚の親水性の不織布41の間に無延伸ポリプロピレンフイルム42を介在させた構造であるため、使用者の額に接した裏側の不織布41で吸収された汗が無延伸ポリプロピレンフイルム42により制止され、表側の不織布41に滲みこまない。このため無色透明体であるシールドシート50とバンド本体20の重なり部分から見える表側の不織布41に汗の染跡が現れず、清潔感のある外観を保つことができる。したがって、接客業での使用に好適である。
また、額当てパッド40は、バンド本体20の各雌ホック21を覆うので、額の皮膚に各雌ホック21が直接当たることがなく快適性に優れる。
【0035】
フェイスシールド1は、シールドシート50における左右の耳部52におけるホック対21,51の嵌合部を支軸としてシールドシート50を回動させることで、顔面に対するシールドシート50の傾斜角を調整することができる。ここで、切り込み53の内側に形成される矩形帯54は、中央のホック対21,51を介して、ヘッドバンド10に引っ張られる形で固着している。これによりシールドシート50の回動に規制がかかり、シールドシート50が下に傾きすぎてしまうことが防止される。
【0036】
また、矩形帯54はシールドシート50の一部を利用したものであり、回動規制部材を別途必要としないことから、部品点数の節約ができる。更に矩形帯54を引き出すことにより形成される矩形窓55は、通気用の開口として有効に機能する。つまり、シールドシート50とヘッドバンド10との間に形成される空隙Sの上方に加えて、矩形窓55からも吐息が外部へと流れ出るので、装着中のシールドシート50の曇りや額の蒸れを防止することができ、この観点からも清潔感のある外観を保つことができる。またシールドシート50もバンド本体も薄手のプラスチックシートであるため軽量化が図れる。
【0037】
〔変形例〕
図9は連結部30の変形例のマグネットシートを示す正面図、
図10は連結部30の変形例のマグネットシート同士を磁着させた状態を示す図である。
図10において(a)は正面図、(b)は(a)のA-A線切断矢視図である。
本変形例では、上記したマグネットシート31の長辺に沿って設けられた補助マグネットシート33を有するとともに、マグネットシート32の長辺に沿って設けられた補助マグネットシート34を有する。なお、これらの各マグネットシートは、バンド本体20よりも若干幅広なバンド本体200に接着固定される。
【0038】
補助マグネットシート33は、その着磁ライン33cがマグネットシート31の着磁ライン31cと直交するように配置され、その非着磁面がバンド本体200の表側面に接着固定される。補助マグネットシート34は、その着磁ライン34cがマグネットシート32の着磁ライン32cと直交するように配置され、その非着磁面がバンド本体200の裏側面に接着固定される。つまり、補助マグネットシート33,34は。それぞれの着磁ピッチ方向P2がマグネットシート31及びマグネットシート32の着磁ピッチ方向P1と直交するように設けられている。
【0039】
連結部30では、マグネットシート31,32同士を磁着させた場合、着磁ピッチ方向P1に加わる力に対しては大きな抵抗力を有するが、着磁ピッチ方向P1と直交する方向については滑りやすい。一方、本変形例では、補助マグネットシート33,34同士の磁着によりマグネットシート31,32の着磁ピッチ方向P1と直交する方向についての滑りが抑制され、より強固な連結が可能となる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上に開示した実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこの実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。すなわち、フェイスシールド1の各部または全体の構成、構造、形状、寸法、個数、配置、材質などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
使用者の顔面を、ウイルスを含んだ飛沫などから防御するフェイスシールドとして幅広く活用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 フェイスシールド
10 ヘッドバンド
20 バンド本体
30 連結部
31 マグネットシート(第1マグネットシート)
31a 着磁面
32 マグネットシート(第2マグネットシート)
32a 着磁面
33 補助マグネットシート(第1補助マグネットシート)
33c 着磁ライン
34 補助マグネットシート(第2補助マグネットシート)
34c 着磁ライン
50 シールドシート
P1 着磁ピッチ方向
P2 着磁ピッチ方向