IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧 ▶ 三井住友海上火災保険株式会社の特許一覧 ▶ アクセンチュア グローバル ソリューションズ リミテッドの特許一覧

特開2022-26378車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システム
<>
  • 特開-車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システム 図1
  • 特開-車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システム 図2
  • 特開-車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システム 図3
  • 特開-車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026378
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129797
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399106192
【氏名又は名称】三井住友海上火災保険株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516172237
【氏名又は名称】アクセンチュア グローバル ソリューションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇津木 拓己
(72)【発明者】
【氏名】圖師 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】島谷 肇
(72)【発明者】
【氏名】向田 行伸
(72)【発明者】
【氏名】田中 準二
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 健一
(72)【発明者】
【氏名】松井 豊
(72)【発明者】
【氏名】中畑 良介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 真樹
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181BB19
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF10
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】適正に事故予測を行うことができる車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システムを提供することを目的とする。
【解決手段】車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システムは、車両のドライバの属性を表す第1特徴量D11、車両の状態を表す第2特徴量D12、及び、複数の第2特徴量D12を組み合わせた第3特徴量D13を含む特徴量群データD1と車両の事故に関する事故データD2とからなる学習用データセットD3を取得し、取得された複数の学習用データセットD3を用いて、特徴量群データD1から車両の事故を予測する学習済みモデルMを学習により生成し、予測対象となる特徴量群データD1を入力し、生成された学習済みモデルMを用いて、入力された特徴量群データD1から車両の事故を予測する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得する前処理部と、
前記前処理部によって取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成するモデル生成部と、
予測対象となる前記特徴量群データを入力する予測対象入力部と、
前記モデル生成部によって生成された前記学習済みモデルを用いて、前記予測対象入力部によって入力された前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する予測部とを備えることを特徴とする、
車両事故予測システム。
【請求項2】
前記特徴量群データは、前記車両の運転シーンを表す第4特徴量を含む、
請求項1に記載の車両事故予測システム。
【請求項3】
車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得するステップと、
取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成するステップと、
予測対象となる前記特徴量群データを入力するステップと、
生成された前記学習済みモデルを用いて、入力された前記特徴量群データから前記車両の事故を予測するステップとを含むことを特徴とする、
車両事故予測方法。
【請求項4】
車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得し、
取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成し、
予測対象となる前記特徴量群データを入力し、
生成された前記学習済みモデルを用いて、入力された前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する、
各処理をコンピュータに実行させることを特徴とする、
車両事故予測プログラム。
【請求項5】
車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得する前処理部と、
前記前処理部によって取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成するモデル生成部とを備えることを特徴とする、
学習済みモデル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の事故予測するに関する技術として、例えば、特許文献1には、事故発生パターン学習手段と、事故発生予報手段と、を備える交通事故発生予報装置が開示されている。事故発生パターン学習手段は、過去の交通データを用い所定の学習アルゴリズムで事故発生パターンを学習する。事故発生予報手段は、現在時刻の交通データ実測値または現在時刻以降の交通データ予測値と、事故発生パターン学習手段による学習結果とを基に、交通事故発生の傾向を定量的に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-35639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の交通事故発生予報装置は、例えば、事故予測の精度向上の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正に事故予測を行うことができる車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両事故予測システムは、車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得する前処理部と、前記前処理部によって取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成するモデル生成部と、予測対象となる前記特徴量群データを入力する予測対象入力部と、前記モデル生成部によって生成された前記学習済みモデルを用いて、前記予測対象入力部によって入力された前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する予測部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記車両事故予測システムでは、前記特徴量群データは、前記車両の運転シーンを表す第4特徴量を含むものとすることができる。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両事故予測方法は、車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得するステップと、取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成するステップと、予測対象となる前記特徴量群データを入力するステップと、生成された前記学習済みモデルを用いて、入力された前記特徴量群データから前記車両の事故を予測するステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両事故予測プログラムは、車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得し、取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成し、予測対象となる前記特徴量群データを入力し、生成された前記学習済みモデルを用いて、入力された前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する、各処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る学習済みモデル生成システムは、車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得する前処理部と、前記前処理部によって取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成するモデル生成部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システムは、適正に事故予測を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る車両事故予測システムの概略構成を表すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る車両事故予測システムの処理回路によって行われる学習フェーズ、及び、使用フェーズの処理を示す模式図である。
図3図3は、実施形態に係る車両事故予測システムの処理回路によって行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、変形例に係る車両事故予測システムの概略構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
[実施形態]
図1に示す本実施形態の車両事故予測システム1は、車両の事故を予測するシステムである。車両事故予測システム1では、図2に示すように、車両の事故を予測するための学習済みモデルMを生成する処理を行う学習フェーズと、学習済みモデルMを用いて車両の事故を予測する処理を行う使用フェーズとがある。車両事故予測システム1は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、タブレット端末等の種々のコンピュータ機器によって実現される。以下、図1図2を参照して車両事故予測システムの各構成について詳細に説明する。
【0015】
具体的には、車両事故予測システム1は、入力機器10と、出力機器20と、記憶回路30と、処理回路40とを備える。入力機器10、出力機器20、記憶回路30、及び、処理回路40は、ネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。
【0016】
入力機器10は、車両事故予測システム1に対する種々の入力を行う機器である。入力機器10は、例えば、ユーザからの各種の操作入力を受け付ける操作入力機器、車両事故予測システム1外の他の機器からのデータ(情報)入力を受け付けるデータ入力機器等によって実現される。操作入力機器は、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド、タッチスクリーン、非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。データ入力機器は、例えば、有線、無線を問わず通信を介して機器との間で各種データの送受信を行う通信インターフェース、フレキシブルディスク(FD)、光磁気ディスク(Magneto-Optical disk)、CD-ROM、DVD、USBメモリ、SDカードメモリ、Flashメモリ等の記録媒体から各種データを読み出す記録媒体インターフェース等によって実現される。
【0017】
出力機器20は、車両事故予測システム1から種々の出力を行う機器である。出力機器20は、例えば、各種画像情報を出力して表示するディスプレイ、音情報を出力するスピーカ、車両事故予測システム1外の他の機器に対するデータ(情報)出力を行うデータ出力機器等によって実現される。データ出力機器は、例えば、有線、無線を問わず通信を介して機器との間で各種データの送受信を行う通信インターフェース、上記と同様の記録媒体に各種データを書き込む記録媒体インターフェース等によって実現される。データ入力機器とデータ出力機器とは、一部又は全部の構成が兼用されてもよい。
【0018】
記憶回路30は、各種データを記憶する回路である。記憶回路30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。 記憶回路30は、例えば、車両事故予測システム1が各種の機能を実現するためのプログラムを記憶する。記憶回路30に記憶されるプログラムには、入力機器10を機能させるプログラム、出力機器20を機能させるプログラム、処理回路40を機能させるプログラム等が含まれる。また、記憶回路30は、入力機器10を介して入力された生データD0、処理回路40での各種処理に必要なデータ、学習済みモデルMの学習に用いる学習用データセットD3、学習済みモデルM、出力機器20を介して出力する予測結果データD5等の各種データを記憶する。記憶回路30は、処理回路40等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。なお、記憶回路30は、ネットワークを介して車両事故予測システム1に接続されたクラウドサーバ等により実現されてもよい。
【0019】
処理回路40は、車両事故予測システム1における各種処理機能を実現する回路である。処理回路40は、例えば、プロセッサによって実現される。プロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路を意味する。処理回路40は、例えば、記憶回路30から読み込んだプログラムを実行することにより、各処理機能を実現する。
【0020】
以上、本実施形態に係る車両事故予測システム1の全体構成の概略について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係る処理回路40は、学習フェーズにおいて、車両の事故を予測するための学習済みモデルMを生成する各種処理を行うための機能を有している。また、本実施形態に係る処理回路40は、使用フェーズにおいて、学習済みモデルMを用いて車両の事故を予測する各種処理を行うための機能を有している。
【0021】
本実施形態の処理回路40は、上記各種処理機能を実現するために、機能概念的に、前処理部41、モデル生成部42、予測対象入力部43、予測部44、及び、出力部45を含んで構成される。処理回路40は、例えば、記憶回路30から読み込んだプログラムを実行することにより、これら前処理部41、モデル生成部42、予測対象入力部43、予測部44、及び、出力部45の各処理機能を実現する。
【0022】
前処理部41は、学習フェーズにおいて、学習済みモデルMを学習させるためのデータに対して各種前処理を実行可能な機能を有する部分である。本実施形態の前処理部41は、特徴量群データD1と事故データD2とからなる学習用データセットD3を取得する処理を実行可能である。
【0023】
前処理部41によって取得される学習用データセットD3は、学習済みモデルMを機械学習によって生成する際に用いられる教師データである。学習用データセットD3は、車両の走行に関する特徴量群データD1と、当該特徴量群データD1によって規定される車両の走行状態の際の当該車両の事故に関する事故データD2とが1組のセットとして紐づけられることで構成される。さらに言えば、学習用データセットD3は、説明変数として定量化された当該特徴量群データD1と、目的変数として定量化された当該事故データD2とから構成される。
【0024】
特徴量群データD1は、典型的には、車両の走行に関する様々な特徴量を含むデータである。本実施形態の特徴量群データD1は、第1特徴量D11、第2特徴量D12、第3特徴量D13、及び、第4特徴量D14を含むデータである。第1特徴量D11、第2特徴量D12、第3特徴量D13、及び、第4特徴量D14は、車両の事故の発生に影響を与える特徴量であり、それぞれ車両の事故発生に対して相関する。第1特徴量D11、第2特徴量D12、第3特徴量D13、及び、第4特徴量D14は、例えば、多数の車両の事故のデータを分析することで得られた知見に基づいて、事故発生のリスクと相関を有する特徴量として設定される。以下、第1特徴量D11、第2特徴量D12、第3特徴量D13、及び、第4特徴量D14の一例について説明する。
【0025】
第1特徴量D11は、車両のドライバの属性を表す「ドライバ属性特徴量」であり、車両のドライバの属性を定量化した値である。第1特徴量D11は、例えば、ドライバの勤怠情報等を定量化した値を含んでもよい。一例として、第1特徴量D11は、例えば、車両を管理する事業者における当該ドライバの在籍日数、当該ドライバの過去の走行距離・走行時間、当該ドライバの過去の所定期間内の拘束時間、当該ドライバの前回運行日からの経過日数等を定量化した値を含む。第1特徴量D11は、例えば、車両のドライバの属性(例えば、直近の勤怠の状態等)が車両の事故の発生に影響を与えているという知見等に基づいて設定される。
【0026】
第2特徴量D12は、車両の状態を表す「車両状態特徴量」であり、車両の状態を定量化した値である。第2特徴量D12は、例えば、車両において、当該車両に搭載された各種車載機器、センサ、カメラ、位置測定器等によって検出された検出結果を定量化した値を含んでもよい。第2特徴量D12は、典型的には、上記検出結果をそれぞれ単独データとして扱ったものである。一例として、第2特徴量D12は、例えば、車両の速度(最大、最小、平均、分散)、車両の加速度、車両の減速度、車両の走行用動力源回転数、車両の方向変化量等を定量化した値を含む。第2特徴量D12は、例えば、車両の状態が車両の事故の発生に影響を与えているという知見等に基づいて設定される。
【0027】
第3特徴量D13は、複数の第2特徴量D12を組み合わせた「組み合わせ特徴量」であり、複数の第2特徴量D12の組み合わせを定量化した値である。第3特徴量D13は、例えば、車両において、当該車両に搭載された各種車載機器、センサ、カメラ、位置測定器等によって検出された検出結果を複数組み合わせて定量化した値を含んでもよい。第3特徴量D13は、典型的には、上記検出結果をそれぞれ単独のデータとして扱った第2特徴量D12を、特定の走行局面(フェーズ)を表すように複数組み合わせた複合データとして扱ったものである。一例として、第3特徴量D13は、例えば、速度帯毎の加速度分布、速度帯毎の減速度分布、速度帯毎の平均加速・減速時間、速度帯毎の方向変化量分布、速度帯毎の方向変化時間、加速度帯毎の走行用動力源回転数分布、減速度帯毎の方向変化量分布等を定量化した値を含む。第3特徴量D13は、例えば、第1の第2特徴量D12(例えば、加速度)の分布が同等であっても、第2の第2特徴量D12(例えば、速度帯)が異なると、車両の事故の発生率が異なる場合があるという知見等に基づいて設定される。
【0028】
第4特徴量D14は、車両の運転シーンを表す「シーン特徴量」であり、車両の運転シーンを定量化した値である。第4特徴量D14は、例えば、車両の走行において、当該車両の取り巻く外部環境、気候、地形、ドライバの心理状態等を踏まえた種々の運転シーンを定量化した値を含んでもよい。第4特徴量D14は、例えば、車両に搭載された各種車載機器、センサ、カメラ、位置測定器等によって検出された検出結果を用いて定量化されてもよいし、それ以外の値を用いて定量化されてもよい。一例として、第4特徴量D14は、例えば、交通量の多い時間帯における運転シーン、休憩後の運転シーン、目的地への到着予測より遅れている運転シーン、狭い路地に入った際の運転シーン、荒天時の運転シーン等を定量化した値を含む。第4特徴量D14は、例えば、第1特徴量D11、第2特徴量D12、第3特徴量D13が同等であっても、運転シーンが異なると、車両の事故の発生率が異なる場合があるという知見等に基づいて設定される。
【0029】
事故データD2は、車両の事故に関するデータである。事故データD2は、紐づけられる特徴量群データD1によって規定された車両の走行状態の際の当該車両の事故についての情報を含む。ここでは一例として、事故データD2は、少なくとも事故の発生の有無を表す情報を含み、この他、事故位置(緯度経度)、事故要因、事故種別、損害額等を表す情報を含んでもよい。
【0030】
前処理部41は、上記特徴量群データD1と、当該特徴量群データD1に対応する上記事故データD2とを1組のセットとして紐づけることで構成された学習用データセットD3を取得する。前処理部41は、例えば、入力機器10を構成するデータ入力機器を介して車両事故予測システム1外の他の機器から、予め作成された学習用データセットD3を直接取得してもよい。また、前処理部41は、例えば、車両事故予測システム1外の他の機器等から入力された生データD0に対して、様々な前処理を施すことで学習用データセットD3を作成、取得してもよい。前処理部41は、例えば、生データD0が入力されたタイミングで、都度、生データD0に対して前処理を行ってもよいし、入力機器10を構成する操作入力機器を介したユーザの操作に応じて適時のタイミングで生データD0に対して前処理を行ってもよい。
【0031】
この場合、前処理部41によって前処理が施される生データD0は、入力機器10を構成するデータ入力機器を介して車両事故予測システム1外の他の機器から入力されてもよいし、入力機器10を構成する操作入力機器を介してユーザの操作によって入力されてもよい。当該生データD0は、例えば、車載システムデータ、事業者データ、事故統計データ、外部データ等を含んでいてもよい。車載システムデータは、例えば、車両の車両信号や当該車両に搭載されたドライブレコーダ、デジタルタコグラフ等の車載機器、センサ、カメラ、位置測定器等が検出したデータであり、車両の速度(最大、最小、平均、分散)、車両の加速度、車両の減速度、車両の走行用動力源回転数、車両の方向変化量等の情報を含んでもよい。事業者データは、例えば、運動会社・バス会社等の事業者が保有するデータであり、事業者ID、車両ID、ドライバID、勤怠、車内外動画、ドライババイタル等の情報を含んでもよい。事故統計データは、例えば、損害保険会社が保有するデータであり、事故発生事業者ID、事故発生車両ID、事故発生日時、事故発生緯度経度、事故種別、損害額等の情報を含んでもよい。外部データは、例えば、その他の外部機器やデータベースが保有するデータであり、地図(道路種別、建物・施設種別)、交通渋滞、天気、人流分布・人口密度等の情報を含んでもよい。
【0032】
また、前処理部41によって生データD0に対して施す前処理とは、例えば、生データD0の収集・結合する処理、生データD0から第1特徴量D11、第2特徴量D12、第3特徴量D13、第4特徴量D14等の特徴量群データD1を抽出し説明変数として定量化する処理、生データD0から事故データD2を抽出し目的変数として定量化する処理、定量化された特徴量群データD1と定量化された事故データD2とを紐づけて組み合わせる処理等を含むものである。
【0033】
前処理部41は、上記のようにして取得した複数の学習用データセットD3を記憶回路30に記憶させる。
【0034】
モデル生成部42は、学習フェーズにおいて、特徴量群データD1から車両の事故を予測する学習済みモデルMを機械学習により生成する処理を実行可能な機能を有する部分である。本実施形態のモデル生成部42は、前処理部41によって取得された複数の学習用データセットD3を用いて、学習済みモデルMを機械学習により生成する処理を実行可能である。モデル生成部42は、例えば、入力機器10を構成する操作入力機器を介したユーザの操作に応じて適時のタイミングで、学習済みモデルMを学習させ、生成する処理を行う。
【0035】
モデル生成部42は、複数の学習用データセットD3を教師データとして、種々の機械学習アルゴリズムALに基づく機械学習を行うことによって、学習済みモデルMを生成する。使用する機械学習アルゴリズムALとしては、例えば、ディープラーニング(Deep Learning)、ニューラルネットワーク(Neural Network)、ロジスティック(Logistic)回帰、アンサンブル学習(Ensemble Learning)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine)、ランダムフォレスト(Random Forest)、ナイーブベイズ(Naive Bays)等の公知のアルゴリズムが挙げられる。モデル生成部42は、学習用データセットD3のうち、特徴量群データD1を説明変数とし 、事故データD2を目的変数として、学習済みモデルMの機械学習を行う。モデル生成部42は、当該機械学習の結果として、特徴量群データD1から車両の事故を予測するための機械学習を行った学習済みモデルMを生成する。
【0036】
学習済みモデルMは、例えば、ニューラルネットワークにより実現される。この場合、モデル生成部42は、複数の学習用データセットD3を用いた機械学習を行うことにより、当該ニューラルネットワークにおいて重み付けとして用いられる学習重み付け係数を学習し、当該学習済みモデルMを生成する。
【0037】
モデル生成部42によって生成された学習済みモデルMは、入力を特徴量群データD1とし、出力を車両の事故の予測を定量化した値としたモデルである。すなわち、学習済みモデルMは、特徴量群データD1の入力を受け付けて当該特徴量群データD1から車両の事故の予測を定量化した値を出力するように機能付けられる。より詳しくは、学習済みモデルMは、ニューラルネットワークの入力層に入力された特徴量群データD1に対して、ニューラルネットワークにおける学習重み付け係数に基づく演算を行い、ニューラルネットワークの出力層から事故の予測を定量化した値を出力するようにコンピュータを機能させる。
【0038】
ここで、学習済みモデルMから出力される車両の事故の予測を定量化した値とは、言い換えれば、当該車両の事故リスクを予測した値に相当する。当該車両の事故の予測を定量化した値は、一例として、事故の発生の有無を定量化した値であるが、例えば、事故要因、事故種別、損害額等を定量化した値等であってもよい。
【0039】
モデル生成部42は、上記のようにして生成した学習済みモデルMを記憶回路30に記憶させる。このとき、モデル生成部42は、以前に生成した学習済みモデルMが既に記憶回路30に記憶されていた場合には、記憶されている学習済みモデルMを新しく生成した学習済みモデルMで置き換える。
【0040】
予測対象入力部43は、使用フェーズにおいて、予測対象となる特徴量群データD1を入力する処理を実行可能な機能を有する部分である。ここでは、予測対象となる特徴量群データD1は、「予測対象データ(入力データ)D4」という場合がある。予測対象データD4は、入力機器10を構成するデータ入力機器を介して車両事故予測システム1外の他の機器から入力されてもよいし、入力機器10を構成する操作入力機器を介してユーザの操作によって入力されてもよい。本実施形態の予測対象入力部43は、入力機器10を介して受け付けた予測対象データD4を予測部44に入力する処理を実行可能である。予測対象入力部43は、例えば、車両の走行にあわせてリアルタイムで予測対象データD4を入力してもよいし、車両の走行終了後に適時のタイミングで事後的に予測対象データD4を入力してもよい。予測対象入力部43は、入力する予測対象データD4を一旦記憶回路30に記憶させるようにしてもよい。
【0041】
予測部44は、使用フェーズにおいて、学習済みモデルMを用いて車両の事故を予測する処理を実行可能な機能を有する部分である。本実施形態の予測部44は、モデル生成部42によって生成された学習済みモデルMを用いて、予測対象入力部43によって入力された予測対象となる特徴量群データD1、すなわち、予測対象データD4から車両の事故を予測する処理を実行可能である。
【0042】
予測部44は、モデル生成部42によって生成された学習済みモデルMに対して、予測対象入力部43によって入力された予測対象データD4を入力データとして入力し、これに応じて当該学習済みモデルMから車両の事故の予測を定量化した値を出力させる。これにより、予測部44は、当該予測対象データD4(予測対処となる特徴量群データD1)によって規定される車両の走行状態の際の当該車両の事故を予測する。ここでは一例として、予測部44は、車両の事故の予測を定量化した値として、上述したように車両の事故の発生の有無を定量化した値を出力させ、当該車両の事故の発生の有無を予測する。予測部44は、出力された車両の事故の予測を定量化した値を、予測結果データ(出力データ)D5として記憶回路30に記憶させる。
【0043】
出力部45は、予測部44による車両の事故の予測結果に基づいて出力を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。本実施形態の出力部45は、予測部44によって予測された予測結果データD5を、出力機器20を介して出力する処理を実行可能である。予測結果データD5は、出力機器20を構成するディスプレイを介して画像情報として出力されてもよいし、出力機器20を構成するスピーカを介して音情報として出力されてもよい。また、予測結果データD5は、出力機器20を構成するデータ出力機器を介して車両事故予測システム1外の他の機器に出力されてもよい。出力部45は、例えば、車両の走行にあわせてリアルタイムで予測結果データD5を出力してもよいし、入力機器10を構成する操作入力機器を介したユーザの操作に応じて適時のタイミングで予測結果データD5を出力してもよい。
【0044】
次に、図3のフローチャート図を参照して、車両事故予測システム1おける車両事故予測方法の処理手順について説明する。
【0045】
図3に示す車両事故予測システム1おける車両事故予測方法は、取得ステップ(ステップS1)、生成ステップ(ステップS2)、入力ステップ(ステップS3)、予測ステップ(ステップS4)、出力ステップ(ステップS5)を含む。ここでは、上記各ステップに関する処理は、車両事故予測システム1の処理回路40によって実行される。
【0046】
まず、処理回路40の前処理部41は、第1特徴量D11、第2特徴量D12、第3特徴量D13、及び、第4特徴量D14を含む特徴量群データD1と事故データD2とからなる学習用データセットD3を取得するステップ(ステップS1)を実行する。この場合、前処理部41は、入力機器10を介して車両事故予測システム1外の他の機器から学習用データセットD3を直接取得してもよいし、入力機器10を介して車両事故予測システム1外の他の機器から入力された生データD0に対して、様々な前処理を施すことで学習用データセットD3を作成、取得してもよい。前処理部41は、取得した複数の学習用データセットD3を記憶回路30に記憶させる。
【0047】
次に、処理回路40のモデル生成部42は、取得ステップ(ステップS1)で取得された複数の学習用データセットD3を用いて、学習済みモデルMを機械学習により生成する生成ステップ(ステップS2)を実行する。モデル生成部42は、生成した学習済みモデルMを記憶回路30に記憶させる。このとき、モデル生成部42は、以前に生成した学習済みモデルMが既に記憶回路30に記憶されていた場合には、記憶されている学習済みモデルMを新しく生成した学習済みモデルMで置き換える。
【0048】
次に、処理回路40の予測対象入力部43は、予測対象となる特徴量群データD1である予測対象データD4を処理回路40の予測部44に入力する入力ステップ(ステップS3)を実行する。この場合、予測対象入力部43は、入力機器10を介して車両事故予測システム1外の他の機器から受け付けた予測対象データD4を入力してもよいし、入力機器10を介してユーザの操作によって受け付けた予測対象データD4を入力してもよい。また、予測対象入力部43は、入力する予測対象データD4を一旦記憶回路30に記憶させるようにしてもよい。
【0049】
次に、処理回路40の予測部44は、生成ステップ(ステップS2)で生成された学習済みモデルMを用いて、入力ステップ(ステップS3)で入力された予測対象データD4(予測対象となる特徴量群データD1)から車両の事故を予測する予測ステップ(ステップS4)を実行する。この場合、予測部44は、学習済みモデルMに対して、予測対象データD4を入力し、これに応じて当該学習済みモデルMから車両の事故の予測を定量化した値を出力させる。これにより、予測部44は、当該予測対象データD4によって規定される車両の走行状態の際の当該車両の事故を予測する。予測部44は、出力された車両の事故の予測を定量化した値を、予測結果データD5として記憶回路30に記憶させる。
【0050】
次に、処理回路40の出力部45は、予測ステップ(ステップS4)で予測された車両の事故の予測結果データD5を出力する出力ステップ(ステップS5)を実行し、本フローチャートによる処理を終了する。この場合、出力部45は、予測結果データD5を、出力機器20を介して画像情報や音情報として出力してもよいし、出力機器20を介して車両事故予測システム1外の他の機器に出力してもよい。
【0051】
上述した車両事故予測方法は、予め用意された車両事故予測プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この車両事故予測プログラムは、上述した取得ステップ(ステップS1)、生成ステップ(ステップS2)、入力ステップ(ステップS3)、予測ステップ(ステップS4)、出力ステップ(ステップS5)の各処理をコンピュータに実行させる。
【0052】
以上で説明した車両事故予測システム1、車両事故予測方法、車両事故予測プログラムは、車両の状態を表す第2特徴量D12だけでなく、車両のドライバの属性を表す第1特徴量D11や複数の第2特徴量D12を組み合わせた第3特徴量D13等によって、入力する特徴量自体の高度化を図った上で、予測精度の高い学習済みモデルMを生成し、車両の事故予測を行うことができる。この結果、車両事故予測システム1、車両事故予測方法、車両事故予測プログラムは、適正に事故予測を行うことができる。これにより、車両事故予測システム1、車両事故予測方法、車両事故予測プログラムは、例えば、事故リスクをより精緻に予測することができる。
【0053】
ここでは、以上で説明した車両事故予測システム1、車両事故予測方法、車両事故予測プログラムは、第1特徴量D11、第2特徴量D12、第3特徴量D13に加えて、さらに車両の運転シーンを表す第4特徴量D14も踏まえて、学習済みモデルMを生成し、車両の事故予測を行うことができるので、運転シーンに応じたより高次な事故予測を行うことができる。
【0054】
そして、車両事故予測システム1、車両事故予測方法、車両事故予測プログラムは、上記のようにして得られるより精度の高い事故予測の結果を、例えば、事業者やドライバに対して、リアルタイムでの運転警告、運転技術・運転癖・事故リスクの評価、改善点の可視化、事故リスク抑制行動の指導・教育、安全な運行計画の作成等の様々な目的で供することができる。また、車両事故予測システム1、車両事故予測方法、車両事故予測プログラムは、例えば、事故予測の結果を、1回の運行単位、ドライバ単位、車両単位、事業者単位で出力することもできる。
【0055】
なお、以上で説明した実施形態では、車両事故予測システム1として、1つのシステムで学習フェーズと使用フェーズとの双方を行う場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。
【0056】
例えば、図4に例示する変形例に係る車両事故予測システム1Aは、学習フェーズにおける各処理を実行する学習済みモデル生成システム100と、使用フェーズにおける各処理を実行する車両事故予測装置200とに分かれて構成される点で上述した車両事故予測システム1と異なる。
【0057】
学習済みモデル生成システム100は、入力機器110と、出力機器120と、記憶回路130と、処理回路140とを備え、学習用データセットD3を用いた機械学習によって学習済みモデルMを生成する処理を行う。処理回路140は、上記各種処理機能を実現するために、機能概念的に、前処理部141、及び、モデル生成部142を含んで構成される。
【0058】
前処理部141は、上述した前処理部41と同様に、第1特徴量D11、第2特徴量D12、第3特徴量D13、及び、第4特徴量D14を含む特徴量群データD1と事故データD2とからなる学習用データセットD3を取得する処理を実行可能である。前処理部141は、取得した複数の学習用データセットD3を記憶回路130に記憶させる。
【0059】
モデル生成部142は、上述したモデル生成部42と同様に、前処理部141によって取得された複数の学習用データセットD3を用いて、学習済みモデルMを機械学習により生成する処理を実行可能である。モデル生成部142は、生成した学習済みモデルMを記憶回路130に記憶させる。
【0060】
車両事故予測装置200は、入力機器210と、出力機器220と、記憶回路230と、処理回路240とを備え、学習済みモデルMを用いて車両の事故を予測する処理を行う。処理回路240は、上記各種処理機能を実現するために、機能概念的に、予測対象入力部243、予測部244、及び、出力部245を含んで構成される。
【0061】
予測対象入力部243は、上述した予測対象入力部43と同様に、予測対象となる特徴量群データD1である予測対象データD4を入力する処理を実行可能である。
【0062】
予測部244は、上述した予測部44と同様に、学習済みモデルMを用いて、予測対象入力部243によって入力された予測対象データD4から車両の事故を予測する処理を実行可能である。この場合、予測部244は、例えば、学習済みモデル生成システム100の出力機器120、及び、車両事故予測装置200の入力機器210を介して予め記憶回路230に記憶させた学習済みモデルMを用いることができる。この学習済みモデルMは、上述のように学習済みモデル生成システム100によって生成されたモデルである。
【0063】
出力部245は、上述した出力部45と同様に、予測部44によって予測された予測結果データD5を出力機器220を介して出力する処理を実行可能である。
【0064】
入力機器110、210、出力機器120、220、記憶回路130、230、処理回路140、240のその他の構成は、上述の入力機器10、出力機器20、記憶回路30、処理回路40と略同様の構成である。
【0065】
この場合であっても、車両事故予測システム1A、学習済みモデル生成システム100、車両事故予測装置200は、上述した車両事故予測システム1と同様に、適正に事故予測を行うことができ、例えば、事故リスクをより精緻に予測することができる。
【0066】
なお、この変形例の場合、車両事故予測装置200で用いる学習済みモデルMは、上述のように学習済みモデル生成システム100によって生成されたモデルに限らず、他のシステムで生成された学習済みモデルMであってもよい。
【0067】
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システムは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0068】
以上の説明では、特徴量群データD1は、第1特徴量D11、第2特徴量D12、第3特徴量D13、第4特徴量D14を含むデータであるものとして説明したがこれに限らない。例えば、特徴量群データD1は、第1特徴量D11、及び、第2特徴量D12を含み第3特徴量D13、第4特徴量D14を含まなくてもよいし、第1特徴量D11、及び、第3特徴量D13を含み第2特徴量D12、第4特徴量D14を含まなくてもよいし、第1特徴量D11、及び、第4特徴量D14を含み第2特徴量D12、第3特徴量D13を含まなくてもよいし、これら以外の組み合わせであってもよい。
【0069】
以上で説明した処理回路40は、単一のプロセッサによって各処理機能が実現されるものとして説明したがこれに限らない。処理回路40は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて各プロセッサがプログラムを実行することにより各処理機能が実現されてもよい。また、処理回路40が有する処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、処理回路40が有する処理機能は、その全部又は任意の一部をプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジック等によるハードウェアとして実現してもよい。
【0070】
以上で説明したプロセッサによって実行されるプログラムは、記憶回路30等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。
【0071】
本実施形態に係る車両事故予測システム、車両事故予測方法、車両事故予測プログラム、及び、学習済みモデル生成システムは、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1、1A 車両事故予測システム
10、110、210 入力機器
20、120、220 出力機器
30、130、230 記憶回路
40、140、240 処理回路
41、141 前処理部
42、142 モデル生成部
43、243 予測対象入力部
44、244 予測部
45、245 出力部
100 学習済みモデル生成システム
200 車両事故予測装置
AL 機械学習アルゴリズム
D0 生データ
D1 特徴量群データ
D11 第1特徴量
D12 第2特徴量
D13 第3特徴量
D14 第4特徴量
D2 事故データ
D3 学習用データセット
D4 予測対象データ
D5 予測結果データ
M 学習済みモデル
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得する前処理部と、
前記前処理部によって取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成するモデル生成部と、
予測対象となる前記特徴量群データを入力する予測対象入力部と、
前記モデル生成部によって生成された前記学習済みモデルを用いて、前記予測対象入力部によって入力された前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する予測部とを備えることを特徴とする、
車両事故予測システム。
【請求項2】
前記第1特徴量は、前記車両を管理する事業者における当該ドライバの在籍日数、当該ドライバの過去の走行距離・走行時間、当該ドライバの過去の所定期間内の拘束時間、又は、当該ドライバの前回運行日からの経過日数のうち少なくとも1つを定量化した値を含む、
請求項1に記載の車両事故予測システム。
【請求項3】
前記第3特徴量は、前記車両の速度帯毎の加速度分布、前記車両の速度帯毎の減速度分布、前記車両の速度帯毎の平均加速・減速時間、前記車両の速度帯毎の方向変化量分布、前記車両の速度帯毎の方向変化時間、前記車両の加速度帯毎の走行用動力源回転数分布、又は、前記車両の減速度帯毎の方向変化量分布のうち少なくとも1つを定量化した値を含む、
請求項1又は請求項2に記載の車両事故予測システム。
【請求項4】
前記特徴量群データは、前記車両の運転シーンを表す第4特徴量を含み、
前記第4特徴量は、交通量の多い時間帯における運転シーン、休憩後の運転シーン、目的地への到着予測より遅れている運転シーン、狭い路地に入った際の運転シーン、又は、荒天時の運転シーンのうち少なくとも1つを定量化した値を含む、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両事故予測システム。
【請求項5】
車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得するステップと、
取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成するステップと、
予測対象となる前記特徴量群データを入力するステップと、
生成された前記学習済みモデルを用いて、入力された前記特徴量群データから前記車両の事故を予測するステップとを含むことを特徴とする、
車両事故予測方法。
【請求項6】
車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得し、
取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成し、
予測対象となる前記特徴量群データを入力し、
生成された前記学習済みモデルを用いて、入力された前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する、
各処理をコンピュータに実行させることを特徴とする、
車両事故予測プログラム。
【請求項7】
車両のドライバの属性を表す第1特徴量、前記車両の状態を表す第2特徴量、及び、複数の前記第2特徴量を組み合わせた第3特徴量を含む特徴量群データと前記車両の事故に関する事故データとからなる学習用データセットを取得する前処理部と、
前記前処理部によって取得された複数の前記学習用データセットを用いて、前記特徴量群データから前記車両の事故を予測する学習済みモデルを学習により生成するモデル生成部とを備えることを特徴とする、
学習済みモデル生成システム。