(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026390
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】樹脂組成物及びそれを用いた接着シート
(51)【国際特許分類】
C08F 299/02 20060101AFI20220203BHJP
C08G 81/02 20060101ALI20220203BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220203BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20220203BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20220203BHJP
C09J 153/02 20060101ALI20220203BHJP
C09J 171/12 20060101ALI20220203BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
C08F299/02
C08G81/02
B32B27/00 M
B32B27/30 B
C09J7/35
C09J153/02
C09J171/12
C09J11/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129827
(22)【出願日】2020-07-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野依 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】田代 智史
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J031
4J040
4J127
【Fターム(参考)】
4F100AB17
4F100AB17C
4F100AB33
4F100AB33C
4F100AH02B
4F100AH06
4F100AH06B
4F100AK12B
4F100AK49
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4F100AK73B
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4F100AL02B
4F100AL06
4F100AL06B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
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4F100EH46
4F100EJ08
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4F100EJ67
4F100GB41
4F100JG05
4F100JK02
4F100JK06
4F100JK07
4F100JK08
4F100JL11
4F100JL11B
4F100YY00B
4J004AA05
4J004AA11
4J004AB05
4J004FA05
4J031AA38
4J031AA53
4J031AB01
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4J031AD01
4J031AE13
4J031AF13
4J031AF24
4J040DM011
4J040EE061
4J040NA19
4J127BB031
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC151
4J127BD231
4J127BG051
4J127BG05Y
4J127BG141
4J127BG14Y
4J127CA01
4J127DA28
4J127DA49
4J127EA05
4J127FA14
4J127FA38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】誘電率や誘電正接が十分低いと共に、低弾性率で伸び率が高い樹脂組成物及びそれを用いた接着シートを提供する。
【解決手段】スチレンとブタジエンからなる水素添加したブロック共重合体(A)と、スチレンとエチレンを含む水素添加したブロック共重合体(B)と、末端が(メタ)アクリロイル基で変性されたポリフェニレンエーテル共重合体(C)と、有機過酸化物(D)と、を含み、前記(C)の全固形分に対する配合量が8~45重量%であることを特徴とする樹脂組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレンとブタジエンからなる水素添加したブロック共重合体(A)と、スチレンとエチレンを含む水素添加したブロック共重合体(B)と、末端が(メタ)アクリロイル基で変性されたポリフェニレンエーテル共重合体(C)と、有機過酸化物(D)と、を含み、前記(C)の全固形分に対する配合量が8~45重量%であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)がアミン変性のブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記(D)が芳香環を有する過酸化物であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項4】
更にエポキシシランオリゴマーを含むことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項5】
銅張積層板の接着シート用であることを特徴とする請求項1~4いずれか記載の樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低誘電特性を有する熱ラジカル反応性の樹脂組成物及びそれを用いた接着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンに代表される電子機器は高性能化、高機能化が急速に進んでおり、電子機器に用いられる電子部品の素材についても、耐熱性や機械的強度、電気特性等の諸物性に関して更なる改善が要求されるようになっている。例えば、コンデンサや半導体部品を実装するプリント配線板についても、より高密度、高機能化が求められている。
【0003】
特に高精細で動きの早い動画などで求められる伝送信号の高速化に対応するためには、高周波領域における信号遅延や伝送損失を抑えることができるような電気特性が必要となり、リジットプリント配線板やフレキシブルプリント配線板(以下FPC)の構成材料(例えば接着剤組成物)には、低誘電率、低誘電正接といった低誘電特性が求められている(特許文献1)。
【0004】
こうした低誘電特性を持つ基板材料としては、ポリフェニレンエーテルがよく知られているが、融点(軟化点)が非常に高く、常温では硬い性質を持つため、低誘電率、低誘電正接という電気特性を十分満足できるような配合割合で構成した場合には弾性率が高くなると共に、伸び率や耐屈曲性が低下する傾向があり、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、誘電率や誘電正接が十分低いと共に、高弾性率でも伸び率が高い樹脂組成物及びそれを用いた接着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、スチレンとブタジエンからなる水素添加したブロック共重合体(A)と、スチレンとエチレンを含む水素添加したブロック共重合体(B)と、末端が(メタ)アクリロイル基で変性されたポリフェニレンエーテル共重合体(C)と、有機過酸化物(D)と、を含み、前記(C)の全固形分に対する配合量が8~45重量%であることを特徴とする樹脂組成物を提供する。
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記(A)がアミン変性のブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物を提供する。
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記(D)が芳香環を有する過酸化物であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の樹脂組成物を提供する。
【0010】
また請求項4記載の発明は、更にエポキシシランオリゴマーを含むことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の樹脂組成物を提供する。
【0011】
また請求項5記載の発明は、銅張積層板の接着シート用であることを特徴とする請求項1~4いずれか記載の樹脂組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂組成物は、誘電率や誘電正接が十分低いと共に、高弾性率でも伸び率が高いため、プリント配線板、特にFPCで用いる接着剤や接着シートの材料として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明の樹脂組成物の構成は、スチレンとブタジエンからなる水素添加したブロック共重合体(A)と、スチレンとエチレンを含む水素添加したブロック共重合体(B)と、末端が(メタ)アクリロイル基で変性されたポリフェニレンエーテル共重合体(C)と、有機過酸化物(D)である。なお本明細書において、(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
【0015】
本発明に使用されるスチレンとブタジエンからなる水素添加したブロック共重合体(A)は、ハードセグメントであるポリスチレンブロックと、ソフトセグメントであるポリブタジエンからなるブロックコポリマーを水添した、幅広い温度でゴム弾性を示す熱可塑性ポリマーで、耐熱性向上の目的で配合する。水添していないスチレンブタジエンブロックコポリマー(以下SBS)と比較し、特に耐候性、耐熱老化性、低温加工性に優れている。
【0016】
前記(A)の水添は部分的にされたものでも良いが、完全水添されたものが、より耐候性、耐熱性が優れると同時に(B)及び(C)との相溶性が向上するため好ましい。またアミン変性することにより、シート化したときの伸び率が向上する傾向があり特に好ましい。水添していないSBSでは、(B)及び(C)との相溶性が低下したり、経時的な接着力の低下等が懸念されたりするため不可である。市販品ではタフテックHシリーズ(商品名:旭化成社製、水添されたSEBS)及び同MPシリーズ(水添されたアミン変性SEBS)等がある。
【0017】
前記(A)のスチレン比率は15~70重量%が好ましく、18~40重量%が更に好ましく、20~35重量%が特に好ましい。18重量%以上とすることで充分な引張強度を確保することができ、70重量%以下とすることで充分な弾性力を確保することが出来る。
【0018】
前記(A)の組成物全固形分に対する比率は25~55重量%が好ましく、30~50重量%が更に好ましい。25重量%以上とすることで、シート化した時に充分な凝集力と耐熱性を確保でき、55重量%以下とすることで、充分な低誘電特性を確保することが出来る。
【0019】
本発明に使用されるスチレンとエチレンを含む水素添加したブロック共重合体(B)は、誘電特性の向上と共に、シート化した際の伸びを大きくする目的で配合する。例えばスチレン-エチレン/プロピレンの水素添加したジブロック共重合体、スチレン-エチレン-エチレン/プロピレン-スチレンの水素添加したブロック共重合体(以下SEEPS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンの水素添加したブロック共重合体(以下SEPS)などが挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、(A)および(C)との相溶性に優れる点で、SEEPSおよびSEPSが好ましい。市販品ではセプトン2000シリーズ(商品名:クラレ社製、SEPS)及び同4000シリーズ(SEEPS)等がある。
【0020】
前記(B)のスチレン比率は15~40重量%が好ましく、18~35重量%が更に好ましい。15重量%以上とすることで充分な伸び率を確保することができ、40重量%以下とすることでゲル化を抑え十分な保存安定性を確保することが出来る。
【0021】
前記(B)の組成物全固形分に対する比率は15~40重量%が好ましく、16~38重量%が更に好ましく、18~35重量%が特に好ましい。15重量%以上とすることで十分な伸び率を確保でき、40重量%以下とすることで相溶性が低下せず十分な保存安定性を確保できる。
【0022】
本発明に使用される末端が(メタ)アクリロイル基で変性されたポリフェニレンエーテル(以下PPE)共重合体(C)は、PPE主鎖の末端に存在するヒドロキシル基を(メタ)アクリロイルで変性した構造で、誘電特性及びガラス転移温度の向上と共に、耐熱性を向上させる目的で配合する。
【0023】
前記(C)は、例えば下記一般式(1)で表すことができる。
【化1】
・・・(1)
(式中、R1~R7はそれぞれ独立して、水素原子、炭素が1~8個の直鎖または分岐鎖アルキル基を示し、Yは、酸素原子、メチレン基、ジメチルメチレン基を示し、Zは、カルボニル基、チオカルボニル基、メチレン基を示し、nは1~100の整数、mは1~100の整数である。)
【0024】
前記(C)は、前記一般式(1)におけるR1~R7がそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であることが好ましく、Yはジメチルメチレン基であることが好ましく、Zはカルボニル基であることが好ましい。市販品ではノリルSA9000及びSA6000(商品名:SABIC社製)等がある。
【0025】
前記(C)の組成物全固形分に対する比率は8~45重量%であり、10~40重量%が好ましく、12~35重量%が特に好ましい。8重量%以下では十分な低誘電特性を確保できず、45重量%以上では弾性率が高くなりすぎ十分な伸び率を確保できない。
【0026】
本発明に使用される有機過酸化物(D)は、ラジカル重合の開始剤として配合する。(C)は公知のラジカル開始剤として機能する有機過酸化物であればよい。例えばジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキサイド)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキサイド)ヘキシン-3、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α’-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。市販品ではパーブチルP及びパーブチルD(商品名:日本油脂社製)等がある。
【0027】
前記(D)の、ラジカル反応成分である(C)100重量部に対する比率は、1~10重量部であることが好ましく、3~8重量部であることが更に好ましい。この範囲内とすることで、過剰添加とならず十分な硬化性を確保することができる。
【0028】
本発明の樹脂組成物には性能を損なわない範囲で、必要に応じシランカップリング剤、酸化防止剤、無機充填材、有機微粒子、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
【0029】
前記シランカップリング剤は分子内に有機材料及び無機材料と結合する官能基を併せ持ち、機械的強度の向上、接着性の向上を目的に配合する。有機材料と反応する官能基としては、例えばビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基などが挙げられ、無機材料とは加水分解性シリル基が反応する。これらの中では、エポキシ官能基を有するオリゴマータイプが、高い耐熱性と共に分子量が大きく嵩高い構造のため揮発性が低く、またイソシアヌレート骨格を有するタイプが、接着力及び耐熱性の向上に効果が大きく好ましい。前者の市販品としてはCOATOSIL MP 200(商品名:モメンティブ社製)があり、後者の市販品としてはKBM9659(商品名:信越化学社製)等が挙げられる。シランカップリング剤の配合量としては、全固形分に対し0.1~5重量%であることが好ましく、0.5~3.0重量%であることが更に好ましい。
【0030】
前記酸化防止剤は、配合することにより硬化後の皮膜物性劣化を防止することができる。酸化防止剤としてはフェノール系、リン系、フェノールリン系、硫黄系などが挙げられ、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。酸化防止剤の配合量としては、全固形分に対し5重量%以下が好ましく、2重量%以下が更に好ましい。市販品ではスミライザーGP(商品名:住友化学社製、フェノールリン系)等が挙げられる。
【0031】
本発明の組成物は、トルエン等の親溶媒で溶解し、溶液の状態で基材フィルムに塗布し、その後乾燥し、更に保護フィルムをラミネートした、基材フィルム/粘着層/保護フィルムの3層構造の積層シートにすることができる。粘着層の厚さは10~50μmが例示されるが特に限定されるものではなく、用途、被着体の種類により自由に設定できる。組成物を塗布する基材フィルム及び保護フィルムは、後で剥離可能であれば特に限定されないが、入手性、コスト、塗工や貼り合わせ時の加工性の点で、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下離型PET)が好ましい。
【0032】
以下、本発明を実施例、比較例に基づき詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温は25℃相対湿度65%の条件下で測定を行った。なお配合量は重量部を示す。
【0033】
実施例1
容器に、前記(A)としてタフテックMP10(商品名:旭化成社製、水添されたアミン変性SEBS、スチレン比率30%)を、前記(B)としてセプトン4044(商品名:クラレ社製、SEEPS、スチレン比率32%)を、前記(C)としてSA9000(商品名:SABIC社製)を、前記(D)としてパーブチルP(商品名:日本油脂社製、α,α’-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン)を、シランカップリング剤としてMP200(商品名:モメンティブ社製、エポキシ官能基を有するオリゴマータイプ)及びKBM9659(商品名:市熱化学社製、イソシアヌレート骨格)を、酸化防止剤としてSumilizerGP(商品名:住友化学、フェノールリン系酸化防止剤)を表1に示す量を入れ、更にトルエンを固形分が20%となるように加え、混合攪拌して実施例1の樹脂組成物を調製した。
【0034】
実施例2~5
実施例1で用いた材料の他、前記(A)としてタフテックH1041(商品名:旭化成社製、水添されたSEBS、スチレン比率30%)を、前記(B)としてセプトン2005(商品名:クラレ社製、SEPS、スチレン比率20%)を表1に示す量を入れ、更にトルエンを固形分が20%となるように加え、混合攪拌して実施例2~5の樹脂組成物を調製した。
【0035】
比較例1~5
実施例で用いた材料の他、ポリマー成分としてTE-2000(商品名:日本曹達社製、ポリブタジエン系ウレタンメタクリレート)及びUC-203M(商品名:クラレ社製、メタクリル変性ポリ磯プレン)を表1に示す量を入れ、更にトルエンを固形分が20%となるように加え、混合攪拌して比較例1~5の樹脂組成物を調製した。
【0036】
評価用接着シートの作成
上記で得た樹脂組成物を、離形PETフィルム(50μm)上に、乾燥後の厚みで25μmになるよう均一に塗布し、その後80℃オーブンで5分間乾燥してトルエンを揮発させ、剥離力の異なる離形PETフィルムを貼り合わせて接着シート(未硬化)を作成した。
【0037】
評価用積層板の作成
上記で作成した接着シートの離形フィルムを片面剥がし、100℃、0.2MPaの条件で厚さ50μmのカプトン200H(商品名:東レ・デュポン社製、ポリイミドフィルム)に貼り合わせ、残った離形フィルムを剥がして、厚さ12μmの銅箔CF-T9FZ-HS-12(商品名:福田金属箔粉工業社製)の平滑面に120℃、0.2MPaの条件で貼り合わせ、180℃、0.3MPa、1時間の条件で接着層を硬化させて積層板を作成した。
【0038】
【0039】
評価方法は以下とした。
【0040】
粘度:東機産業製のコーンプレート型粘度計RC-550を用い、コーン角3°R17.65で25±1℃、回転数は粘度範囲500mPa・s未満は50rpm、500~2000mPa・sは20rpm、2000~5000mPa・sは10rpmで測定した。
【0041】
剥離力:上記で作成した積層板を用いて幅10mm×長さ150mmにカットし、ミネベア社製の引張り試験機TGI-1kNを用い、銅箔の90°引きはがし強度を、クロスヘッドスピード50mm/min.、測定温度 25℃で測定し、5N以上を〇、5N未満を×とした。
【0042】
比誘電率:上記で作成した未硬化の接着シートを40枚重ねて厚さ1mmとし、180℃、0.3MPa、1時間の条件で硬化して測定サンプルとし、Wayne Kerr Electronics社製のLCRメーター6440Bを用い、周波数1MHz、測定温度 25℃における比誘電率を測定し、3.0以下を〇、3.0超を×とした。
【0043】
誘電正接:比誘電率と同じサンプルを、同じ測定器を用いて、周波数1MHz、測定温度 25℃における誘電正接を測定し、0.005以下を〇、0.005超を×とした。
【0044】
弾性率:比誘電率を測定した時と同じ厚さ1mmのサンプルを用い、幅5mm×長さ30mmにカットし、TA insturument社製の動的粘弾性測定装置DMA Q800を用い、引張りモードでチャック間距離15mm、測定周波数1Hz、測定温度 25℃の条件で測定し、100MPa以上を〇、100MPa未満を×とした。
【0045】
伸び率:8号ダンベル型の厚さ25μmの未硬化接着シートを作成し、ミネベア社製の引張り試験機TGI-1kNを用い、チャックと垂直にダンベルをセットし、チャックの中心とダンベルの中心を一致させ、チャック間距離20mm、クロスヘッドスピード300mm/min.で破断するまでの変位から伸び率を測定温度 25℃の条件で測定した。
計算式:20mmを基準として何mm伸びたかで計算。
伸びた長さ(mm)/20mm×100=伸び率%
100mmの場合は、伸び率500%
【0046】
評価結果
評価結果を表2に示す。
【0047】
【0048】
実施例の樹脂組成物は、剥離力、比誘電率、誘電正接、弾性率及び伸び率の評価項目でいずれも良好な結果を得た。
【0049】
一方、(A)を含まない比較例1は液の安定性が劣りゲル化し、(C)の代わりにウレタンアクリレートを用いた比較例2は剥離力が低く、(C)の代わりに変性ポリイソプレンを用いた比較例3は相溶性に劣り、(C)の配合量が上限を超える比較例4及び、(B)を含まない比較例5は伸び率が低く、いずれも本願発明に適さないものであった。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレンとブタジエンからなる水素添加したブロック共重合体(A)と、スチレンとエチレンを含む水素添加したブロック共重合体(B)(但し(A)を除く)と、末端が(メタ)アクリロイル基で変性されたポリフェニレンエーテル共重合体(C)と、有機過酸化物(D)と、を含み、前記(C)の全固形分に対する配合量が8~45重量%であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)が水添されたSEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンのブロック共重合体)、及び/又は水添されたアミン変性SEBSであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B)がスチレン-エチレン/プロピレンの水素添加したジブロック共重合体、及び/又はスチレン-エチレン-エチレン/プロピレン-スチレンの水素添加したブロック共重合体、及び/又はスチレン-エチレン/プロピレン-スチレンの水素添加したブロック共重合体であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項4】
更にエポキシシランオリゴマーを含むことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項5】
銅張積層板の接着シート用であることを特徴とする請求項1~4いずれか記載の樹脂組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、スチレンとブタジエンからなる水素添加したブロック共重合体(A)と、スチレンとエチレンを含む水素添加したブロック共重合体(B)(但し(A)を除く)と、末端が(メタ)アクリロイル基で変性されたポリフェニレンエーテル共重合体(C)と、有機過酸化物(D)と、を含み、前記(C)の全固形分に対する配合量が8~45重量%であることを特徴とする樹脂組成物を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記(A)が水添されたSEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンのブロック共重合体)、及び/又は水添されたアミン変性SEBSであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物を提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また請求項3記載の発明は、 前記(B)がスチレン-エチレン/プロピレンの水素添加したジブロック共重合体、及び/又はスチレン-エチレン-エチレン/プロピレン-スチレンの水素添加したブロック共重合体、及び/又はスチレン-エチレン/プロピレン-スチレンの水素添加したブロック共重合体であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の樹脂組成を提供する。