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特開2022-26419運行計画生成装置、学習装置、運行計画生成方法、学習方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026419
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】運行計画生成装置、学習装置、運行計画生成方法、学習方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20220203BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20220203BHJP
   G08G 3/00 20060101ALI20220203BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20220203BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20220203BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G08G3/00 A
G08G5/00 A
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129887
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】喜田 弘司
(72)【発明者】
【氏名】中島 碩人
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129AA11
2F129AA14
2F129CC13
2F129CC16
2F129CC17
2F129CC25
2F129DD39
2F129DD53
2F129EE52
2F129EE84
2F129FF02
2F129FF32
2F129FF61
2F129FF63
2F129FF64
5H181AA01
5H181AA25
5H181AA26
5H181BB04
5H181EE02
5H181EE12
5H181FF01
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF21
5H301KK03
5H301KK18
5H301LL03
5H301MM03
(57)【要約】
【課題】自律移動装置の運行計画を自動的に作成すること、並びに自律移動装置の収容密度及び同時運行数を向上させることを可能にする。
【解決手段】運行計画生成装置1は、自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する生成部1aと、予測部1bと、を備える。経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含む。予測部1bは、少なくとも運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画とそれに基づき実際に運行される実績である運行実績との差異を予測する。生成部1aは、予測部1bで予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、運行条件に基づく自律移動装置の運行計画を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、前記自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する生成部と、
予測部と、
を備え、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記予測部は、少なくとも前記運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行される実績である運行実績との差異を予測し、
前記生成部は、前記予測部で予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、前記運行条件に基づく前記自律移動装置の運行計画を生成する、
運行計画生成装置。
【請求項2】
前記予測部で予測された区画毎の差異に応じて新たな区画を生成し、前記新たな区画を運行計画の生成用として設定する区画更新部を備える、
請求項1に記載の運行計画生成装置。
【請求項3】
前記差異は、前記運行予定に含まれる区画と同時刻に実際に運行されていた区画との空間的な差異である空間的差異を含み、
前記区画更新部は、前記運行予定に含まれる区画について前記空間的差異が小さかった区画が前記空間的差異が大きかった区画に比べて、空間的及び時間的の少なくとも一方で小さくなるように前記新たな区画を設定する、
請求項2に記載の運行計画生成装置。
【請求項4】
前記差異は、前記運行予定に含まれる区画を通過する予定の時刻と実際に通過した時刻との差異である時間的差異を含み、
前記区画更新部は、前記運行予定に含まれる区画について前記時間的差異が小さかった区画が前記時間的差異が大きかった区画に比べて、空間的及び時間的の少なくとも一方で小さくなるように前記新たな区画を設定する、
請求項2又は3に記載の運行計画生成装置。
【請求項5】
前記区画更新部は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための区画について、空間的及び時間的の少なくとも一方で最小限となるように、前記新たな区画を設定する、
請求項2~4のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
【請求項6】
自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画と、前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績と、を入力する入力部と、
学習部と、
を備え、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記学習部は、前記運行計画の生成に使用される前記区画毎に、前記運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績との差異を分析し、新たな運行計画で生じ得る前記差異を予測する学習済みモデルを分析結果に基づき生成する、
学習装置。
【請求項7】
自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、前記自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する生成ステップと、
予測ステップと、
を備え、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記予測ステップは、少なくとも前記運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行される実績である運行実績との差異を予測し、
前記生成ステップは、前記予測ステップで予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、前記運行条件に基づく前記自律移動装置の運行計画を生成する、
運行計画生成方法。
【請求項8】
自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画と、前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績と、を入力する入力ステップと、
学習ステップと、
を備え、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記学習ステップは、前記運行計画の生成に使用される前記区画毎に、前記運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績との差異を分析し、新たな運行計画で生じ得る前記差異を予測する学習済みモデルを分析結果に基づき生成する、
学習方法。
【請求項9】
コンピュータに、自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、前記自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する生成ステップと、予測ステップと、を実行させ、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記予測ステップは、少なくとも前記運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行される実績である運行実績との差異を予測し、
前記生成ステップは、前記予測ステップで予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、前記運行条件に基づく前記自律移動装置の運行計画を生成する、
プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画と、前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績と、を入力する入力ステップと、学習ステップと、を実行させ、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記学習ステップは、前記運行計画の生成に使用される前記区画毎に、前記運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績との差異を分析し、新たな運行計画で生じ得る前記差異を予測する学習済みモデルを分析結果に基づき生成する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運行計画生成装置、学習装置、運行計画生成方法、学習方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンや自動運転車や自動運転船などの自律的に移動する装置(以下、自律移動装置)の研究が盛んになされ、一部で実際に利用されてきている。自律移動装置は、与えられた運行経路に沿うよう自律的に経路制御を行い移動する装置であり、一般的に移動中に外乱があった場合でも運行経路に沿うよう自律的に軌道を修正して移動することが可能に構成されている。
【0003】
自律移動装置の代表的な例は目視外で自律飛行をするドローンである。自律飛行をするドローンは、操作者から逐次指示を受けるのではなく、与えられた経路に沿うように自身で判断を行いながら移動する。自律移動装置が例えばドローンのような空を運行する装置や洋上を移動する船舶のような装置であれば、運行経路を外れるような外乱の代表例は風である。自律移動装置はこのような外乱があった場合でも極力、運行経路に沿うよう自律的に機体を制御して移動することができる。
【0004】
自律移動装置は、ある程度の自律航行機能を有してはいるが、不測の事態に対応するため、安全な運行を確保するために、運行管理システムから遠隔で監視しながら運行されることが通常である。このような運行経路の監視も、運行管理システムの機能の一つであると言える。また、自律移動装置には、センサなどを用いて互いに衝突を回避する機能を備える自律移動装置もあるが、街中などでも使われる可能性があるため、万が一にも自律移動装置同士の衝突が起きることは避ける必要がある。よって、複数の自律移動装置が同時に運行されても、自律移動装置が衝突しないために、自律移動装置同士が接触しないよう、予め経路や時刻を調整して運行計画を作成することが必要となる。ここで、運行計画は、調整計画済みの運行経路や通過時刻を示すものとなる。
【0005】
運行計画の策定(作成)機能は、運行管理システムの機能の一つである。運行計画の作成機能を用いた例として、非特許文献1には、一般のドローン事業者も参画したドローン運航管理システムの相互接続試験に成功した事例が記載されている。
【0006】
また、運行計画システムの例(ドローンの場合)として、非特許文献2には、ドローン情報基盤システムにおける、現状の申請から運行までの流れが記載されている。非特許文献2に記載の流れでは、メールを介した人手による手続きが行われている。
【0007】
非特許文献3には、運航管理統合機能のフライト管理に関する研究において、航路の設計や衝突判定を一律固定の幅の経路で取り扱うことが記載されている。非特許文献3では、この幅をもった経路を保護空域と称している。
【0008】
また、特許文献1には、船舶の航路の管制精度を計算量を抑制しつつ向上させることを目的とし、記憶部、指示応答性推定部、地理Eマップ生成部、及び移動予測部を備えた交通管制支援システムが記載されている。上記記憶部は、移動体の行動に関する行動データと、地図をメッシュで分割した個々の区画に、移動体の移動基準に関する情報である地理属性情報が付与されている地理データと、指示に対する移動体の応答性に関する応答性データと、を有する。上記指示応答性推定部は、応答性データに基づいて移動体の理想的な行動を推定し、その推定した行動と行動データの行動との差分を算出し、その算出結果に基づいて応答性データを更新する。上記地理Eマップ生成部は、行動データ、地理データ及び応答性データに基づいて移動体が各時刻において或る座標に存在する確からしさを推定し、地理Eマップを生成する。上記移動予測部は、地理Eマップに基づいて、移動体の未来の座標を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2018-036958号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、日本電気株式会社、外8法人、”一般のドローン事業者も参画したドローン運航管理システムの相互接続試験に成功-29事業者が飛行試験を実施-”、[online]、令和1年10月30日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、[令和2年6月1日]、インターネット<URL:https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101228.html>
【非特許文献2】国土交通省、”Drone/UAS Information Platform System「ドローン情報基盤システム操作マニュアル(操作マニュアル申請者編3.0版)」”、[online]、令和2年3月26日、国土交通省、[令和2年6月1日]、インターネット<URL:https://www.dips.mlit.go.jp/portal/file_download>
【非特許文献3】日本電気株式会社、外4法人、”Japan Drone 2018 DRESSプロジェクトフォーラム プロジェクト名「安心・安全で効率的な物流等のサービスを実現する運航管理システムの研究開発」”、10~13頁、[online]、平成30年9月、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、[令和2年6月1日]、インターネット<URL:https://nedo-dress.jp/wp-content/uploads/2018/09/kenkyuu_006.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、非特許文献2に記載の流れではメールを介した人手による手続きが行われているに過ぎない。なお、非特許文献1に記載の試験は、ドローン運航管理システムの相互接続試験に過ぎず、運行計画の作成に係る手続きについては考慮されていない。よって、始点と終点を設定するだけで、経路の設計をして他の自律移動装置の経路と調整された運行計画を生成するという一連の手続きを自動で行う方法が望まれる。
【0012】
また、上述のように、自律移動装置は、運行経路を定めた場合でも外乱などで一時的に計画経路からズレることがあり、通常、他の自律移動装置などと衝突しないように大きな余裕範囲をとるように経路が設計される。例えば、ドローンのような空を飛ぶ自律移動装置の水平面方向の場合、運行が許される最大の風速下において、流されたとしても、他の運行区画にはみ出さない程度の距離的余裕をとる。この大きな余裕は、時間的にも確保する必要がある。例えば、ドローンのような空を飛ぶ自律移動装置の場合、同じ空間上の区画内に同じ時間帯に複数のドローンが入ると衝突が起きるため、あるドローンがある空間を占有できる時間帯を、遅れを考慮して長くとる必要がある。この大きな余裕により、空間の利用効率が下がり、一定の空間内に同一の時間帯に同時に運行できる自律移動装置の数が少なく抑えられてしまう。
【0013】
しかしながら、非特許文献3に記載の技術では、航路の設計や衝突判定を一律固定の幅の経路で取り扱うものの、空間上のドローン等の自律移動装置の収容密度、同時運行数を十分に高めるに至っていない。よって、運行経路の設計方法では空間利用の効率(空間的な効率、時間的な効率)を向上させ、複数の自律移動装置を効率良く運行できるような運行経路の計画(設計)方法の提案が望まれる。
【0014】
また、特許文献1に記載の技術は、人間が乗務する船舶を念頭においたものであり、大きなメッシュの1区画内に複数の船舶が入ることを許容する考え方に基づく技術である。これは、人間が乗務しているため、区画内で衝突が発生しそうになっても、人間の判断で回避できるためである。また、特許文献1に記載の技術は、船舶を念頭においた技術であることからも分かるように、2次元平面を区割りしたメッシュを用いているだけでなく、このメッシュを均一の大きさとしている。さらに、特許文献1に記載の技術は、衝突回避を主眼とし、人間の判断が可能な環境で用いる技術であるため、このメッシュを均一の大きさとしており、船舶の収容密度及び同時運行数の向上といった観点に基づく技術ではない。
【0015】
このように、特許文献1に記載の技術では、人間が搭乗しない自律移動装置についての運行計画を自動的に作成し且つ自律移動装置の収容密度及び同時運行数を向上させることはできない。
【0016】
本開示の目的は、自律移動装置の運行計画を自動的に作成すること、並びに自律移動装置の収容密度及び同時運行数を向上させることが可能な運行計画生成装置、学習装置、運行計画生成方法、学習方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示の第1の態様に係る運行計画生成装置は、自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、前記自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する生成部と、予測部と、を備え、前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、前記予測部は、少なくとも前記運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行される実績である運行実績との差異を予測し、前記生成部は、前記予測部で予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、前記運行条件に基づく前記自律移動装置の運行計画を生成する、ものである。
【0018】
本開示の第2の態様に係る学習装置は、自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画と、前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績と、を入力する入力部と、学習部と、を備え、前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、前記学習部は、前記運行計画の生成に使用される前記区画毎に、前記運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績との差異を分析し、新たな運行計画で生じ得る前記差異を予測する学習済みモデルを分析結果に基づき生成する、ものである。
【0019】
本開示の第3の態様に係る運行計画生成方法は、自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、前記自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する生成ステップと、予測ステップと、を備え、前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、前記予測ステップは、少なくとも前記運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行される実績である運行実績との差異を予測し、前記生成ステップは、前記予測ステップで予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、前記運行条件に基づく前記自律移動装置の運行計画を生成する、ものである。
【0020】
本開示の第4の態様に係る学習方法、自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画と、前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績と、を入力する入力ステップと、学習ステップと、を備え、前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、前記学習ステップは、前記運行計画の生成に使用される前記区画毎に、前記運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績との差異を分析し、新たな運行計画で生じ得る前記差異を予測する学習済みモデルを分析結果に基づき生成する、ものである。
【0021】
本開示の第5の態様に係るプログラムは、コンピュータに、自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、前記自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する生成ステップと、予測ステップと、を実行させ、前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、前記予測ステップは、少なくとも前記運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行される実績である運行実績との差異を予測し、前記生成ステップは、前記予測ステップで予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、前記運行条件に基づく前記自律移動装置の運行計画を生成する、ものである。
【0022】
本開示の第6の態様に係るプログラムは、コンピュータに、自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画と、前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績と、を入力する入力ステップと、学習ステップと、を実行させ、前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、前記学習ステップは、前記運行計画の生成に使用される前記区画毎に、前記運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績との差異を分析し、新たな運行計画で生じ得る前記差異を予測する学習済みモデルを分析結果に基づき生成する、ものである。
【発明の効果】
【0023】
本開示により、自律移動装置の運行計画を自動的に作成すること、並びに自律移動装置の収容密度及び同時運行数を向上させることが可能な運行計画生成装置、学習装置、運行計画生成方法、学習方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態1に係る運行計画生成装置の一構成例を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る運行計画生成装置で利用可能な学習済みモデルを生成する学習装置の一構成例を示すブロック図である。
図3図2の学習装置における処理例を説明するためのフロー図である。
図4図1の運行計画生成装置における処理例を説明するためのフロー図である。
図5】実施形態2に係る運行管理装置の一構成例を示すブロック図である。
図6図5の運行管理装置で保持される運行計画の一例を示す模式図である。
図7】比較例に係る運行管理装置で保持される、静的運行区画のみに基づいて生成された運行計画の一例を示す模式図である。
図8図5の運行管理装置で生成される運行計画の一例を示す模式図である。
図9図8の運行計画に基づき運行された運行実績の一例を示す模式図である。
図10図5の運行管理装置で保持される運行実績の一例を示す模式図である。
図11図5の運行管理装置で保持される静的運行区画の一例を示す模式図である。
図12図11の静的運行区画に含まれる情報を説明するための模式図である。
図13図5の運行管理装置における学習部の一構成例を示すブロック図である。
図14図13の学習部で抽出される位置差情報の一例を示す模式図である。
図15図13の学習部で抽出される時間差情報の一例を示す模式図である。
図16図13の学習部で実行される学習前処理の一例を説明するための模式図である。
図17図13の学習部で保持される、学習前処理の実行結果の一例を示す模式図である。
図18図13の学習部で実行される重回帰分析処理の一例を説明するための模式図である。
図19図13の学習部で保持される、重回帰分析処理の実行結果の一例を示す模式図である。
図20図13の学習部で保持される、重回帰分析処理の実行結果の他の例を示す模式図である。
図21図19及び図20の実行結果を説明するための模式図である。
図22図5の運行管理装置における予測部の一構成例を示すブロック図である。
図23図22の予測部で予測された運行区画毎の予測値の一例を示す模式図である。
図24図22の予測部で生成され動的運行区画保持部で保持される動的運行区画の一例を示す模式図である。
図25図24の動的運行区画を説明するための模式図である。
図26図24の動的運行区画を説明するための模式図である。
図27図24の動的運行区画を説明するための模式図である。
図28図24の動的運行区画を説明するための模式図である。
図29図5の運行管理装置で生成される運行計画の一例を示す模式図である。
図30図5の運行管理装置における運行計画の生成方法の一例を説明するための模式図である。
図31図5の運行管理装置における運行計画の生成方法の一例を説明するための模式図である。
図32図30及び図31の生成方法で生成された運行計画の一例を示す模式図である。
図33図5の運行管理装置を利用した自律移動装置の運行申請から目的地到着までの流れの一例を説明するためのフロー図である。
図34図5の運行管理装置における学習処理の一例を説明するためのフロー図である。
図35図5の運行管理装置における予測処理の一例を説明するためのフロー図である。
図36図5の運行管理装置における運行計画生成処理の一例を説明するためのフロー図である。
図37図22の予測部における予測処理の他の例を説明するための模式図である。
図38図22の予測部における予測処理の他の例を説明するための模式図である。
図39図22の予測部における予測処理の他の例を説明するための模式図である。
図40】装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付すことがあり、重複する説明は適宜省略される。
【0026】
<実施形態1>
図1を参照しながら、実施形態1に係る運行計画生成装置について説明する。図1は、実施形態1に係る運行計画生成装置の一構成例を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る運行計画生成装置1は、自律移動装置の運行計画を生成する装置であり、生成部1a及び予測部1bを備えることができる。運行計画生成装置1は、自律移動装置の経路を生成(設計)するとも言えるため、経路生成装置、経路設計装置などと称することもできる。なお、運行計画生成装置1は、単独の装置として構築することができるが、機能を分散させた分散型のシステムとして構築することもできる。
【0028】
運行計画生成の対象となる自律移動装置について説明する。自律移動装置は、自律的に移動することが可能な装置であり、運行計画に沿った移動を、具備された位置センサや姿勢センサ等の各種センサの検知結果に基づき制御することが可能になっている。
【0029】
自律移動装置としては、ドローン(無人航空機)、自動運転車(手動運転可能な自動車である場合も含む)、自動航行機能を備えた航空機や船舶、ロボット電動車いすなど、その種類を問わず、自律移動装置全般が適用できる。ここで、ドローンは、地上、上空、水上、水中、宇宙など、その動作環境を問わず、ロボットは、走行、歩行など、その移動方式を問わない。さらに、自律移動装置としては、その用途も問わず、例えば、工場や倉庫等で用いられるフォークリフトや無人搬送車(自動搬送車)、建機や重機等の工事用車両、鉄道車両、タクシー、トラック等の物流に用いられる車両、警察車両、消防車両なども挙げられる。ここで、鉄道車両は、ライトレール、鉄輪式、新交通システム、モノレール、磁気浮上式など、その移動方式を問わない。
【0030】
手動運転可能な自動車で例示したように、自律移動装置は、人間の搭乗が可能な構成を有するものであってもよく、また、搭乗者による運転や外部からの制御による運転も可能に構成しておくこともできる。このように、自律移動装置は、自律的に移動可能であればよく、搭乗者の操作に従い、或いは外部のコントローラからの制御に従い、移動する機能を有することもできる。
【0031】
そして、本実施形態に係る運行計画生成装置1は、ドローンを例に挙げて説明すると、荷物の輸送や撮影、監視などの業務で目視外飛行を行うような業者に対して、運行経路などを調停、管理、払い出しするような業務に利用されることができる。なお、このような調停等の業務は、日本国においては国交省などが行っている業務である。無論、運行計画生成装置1を利用可能な業務としては、ドローン限らず、上述したような様々な自律移動装置の運用管理やこれらを用いた業務も挙げられる。自律移動装置を用いた業務としては、運輸業や製造業に限らず、インフラストラクチャの点検保守維持管理、建築土木、公共(治水、ダム管理、防災、災害対応、警察、消防)、警備などの業務も挙げられる。
【0032】
生成部1aは、自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する。運行条件の入力は、外部装置からの通信による入力とすることが利用者の利便性の点及び運行計画生成装置1の管理者の処理負担の低減の点から好ましいと言える。
【0033】
ここで、運行条件とは、時間的な条件と空間的な条件とを含むことができる。時間的な条件とは、希望出発日時及び/又は希望到着日時(いずれの時刻もある程度の幅をもたせた時間帯であってもよい)を示す条件とすることができる。空間的な条件とは、希望出発地と希望到着地を含むことができ、希望経由地など、ある程度の希望経路を示す条件も含めることもできる。希望経路は、自律移動装置が飛行する装置である場合、高度も含めた経路とすることができ、自律移動装置の規則上及び/又は性能上の飛行可能高度を含めることもできる。
【0034】
そして、本実施形態で言うところの経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在(同時刻又は同時間帯での干渉)を避けるための領域である区画の連続で表現される情報(区画経路情報)を含むものとする。この区画は、他の自律移動装置の同時刻又は同時間帯での侵入を排除するように設定された区画であり、自律移動装置の運行経路の余裕範囲に応じて設定されることができる。この区画は、2次元平面の区画とすることもできるが、自律移動装置が飛行を行う自律飛行装置である場合などには3次元空間を想定した区画とする。後述するが、本実施形態ではこの区画を可変としている。このように、本実施形態での運行予定経路は、連続的な運行予定区画で表現されることができる。
【0035】
予測部1bは、少なくとも運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画とその運行計画に基づき運行実績(実際に運行される実績)との差異を予測する。上記差異は、差分、ズレなどと称することもできる。無論、運行計画に含まれる経路以外の区画についても予測の対象とすることができる。例えば、希望出発地と希望到着地との間の区画の全てについて差異の予測を行ってもよい。また、第1の自律移動装置について上記差異を予測する場合、同時間帯での運行希望がある第2の自律移動装置について、時間的には回避されたとしても経路が交わることがあるためである。なお、経路が交わるということは、第2の自律移動装置の経路には第1の自律移動装置の経路とは無関係の区画も含まれることを指す。このように、予測部1bは、他の同期間中の運行計画も考慮して予測することができる。
【0036】
さらに、生成部1aは、予測部1bで予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、上記運行条件に基づく自律移動装置の運行計画を生成する。この運行計画は、業者等の利用者(運行計画の作成を依頼した依頼者)に提示することができる。このように、本実施形態では、区画は可変となっている。
【0037】
補足すると、生成部1aは、設定済みの区画を用いて自律移動装置の運行計画を生成し、予測部1bによる予測を経て区画を必要に応じて更新し、更新した区画を用いてその自律移動装置の運行計画を更新することができる。但し、生成部1aは、予測部1bでの予測を経た区画を用いて運行条件に基づく運行計画の生成を行うように構成しておけばよい。よって、生成部1aは、既にそのような区画が設定されているタイミングであれば、再度予測を実行しなくてもそのままの運行計画を最終版として利用者に提示するようにすればよい。
【0038】
また、運行計画生成装置1は、その全体を制御する制御部(図示せず)を備えることができ、この制御部が生成部1a及び予測部1bの機能を実行するように構成することができる。この制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、作業用メモリ、及びプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。このプログラムは、運行計画生成プログラムとすることができる。この制御部は、例えば集積回路(Integrated Circuit)を含んで実現することもできる。
【0039】
また、予測部1bは、学習済みモデルを用いて上記差異の予測を実行することが好ましい。なお、ここで学習済みモデルとは、運用段階で用いると決定した学習モデルであればよく、更なる精度の向上等のために逐次更新されることができる。
【0040】
次に、図2を参照しながら、このような、運行計画生成装置1で利用可能な学習済みモデルについて説明する。図2は、運行計画生成装置1で利用可能な学習済みモデルを生成する学習装置の一構成例を示すブロック図である。
【0041】
図2で示すように、学習装置2は、学習部2a及び入力部2bを備えることができる。なお、学習装置2は、単独の装置として構築することができるが、機能を分散させた分散型のシステムとして構築することもできる。また、学習装置2は、運行計画生成装置1の外部に備えることを前提として説明するが、学習部として運行計画生成装置1の内部に備えることもできる。
【0042】
入力部2bは、自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画と、その運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績と、を入力する。運行実績は、例えば、自律移動装置から随時又は運行の終了時点など、任意のタイミングで入力させることができる。経路については上述した通りであり、運行計画にはそれに区画の情報が含まれていることになる。なお、運行実績については、入力の時点では区画の情報を含まないで入力後に運行予定に基づき区画の情報が付加されてもよい。
【0043】
学習部2aは、上記運行計画の生成に使用される区画毎に、上記運行計画と上記運行計画に基づき実際に運行された運行実績との差異を分析する。ここでの分析対象のデータセットは、様々な時間帯について複数の自律移動装置に対して生成された運行計画とそれに対応する運行実績とを示すデータ、好ましくはその運行実績に気象などの環境情報も含めたデータとすることで、分析精度を上げることができる。
【0044】
そして、学習部2aは、この分析結果に基づき、新たな運行計画で(少なくともその新たな運行計画の経路に含まれる区画について)生じ得る差異を予測する学習済みモデルを生成する。予測対象の差異は、上述したように、それぞれの区画についての運行計画と運行実績との差異とする。便宜上、分析、モデル生成と段階的に説明しているが、学習部2aは、このような段階的な処理を適用するに限らず、上述のような分析をした結果としての学習済みモデルを生成してもよい。
【0045】
学習部2aで生成される学習済みモデルは、そのアルゴリズムや手法等は問わず、統計学的な学習手法により得られるモデルとすることも、深層学習等の機械学習手法により得られるモデルとすることもでき、無論、双方の範疇に入るモデルとすることもできる。
【0046】
例えば、学習済みモデルは、実施形態2で後述するように重回帰分析を用いて生成されたモデルとすることができる。また、学習装置2で生成される学習済みモデルの元となる未学習モデルのアルゴリズムは、例えば、畳み込み層、プーリング層、及び全結合層を有するCNN(Convolutional Neural Network)とすることができる。また、アルゴリズムは、RNN(Recurrent Neural Network)等の再帰的な構造をもつ予測に適したものなどであってもよい。また、RNNは、勾配消失問題を緩和するためにLSTM(Long short-term memory)ブロックを有するように拡張したニューラルネットワークとすることもできる。無論、未学習モデル、学習済みモデルは機械学習手法を用いる場合であってもこれらのようなDNNを用いるものに限らない。
【0047】
なお、生成された学習済みモデルは、その精度をチェックし、精度が良ければそのまま実装し、精度が悪ければ畳み込み処理等の前処理を変更する、或いはチューニングを行うなどの処理を実行してもよい。その後、学習済みモデルの生成、評価を行い、実装する学習済みモデルを決定すればよい。また、チューニングの対象となるハイパーパラメータは問わない。ハイパーパラメータとしては、例えば、NNの層数、各層のユニット数(ノード数)、同じデータセットを使用した反復学習の回数(エポック数)など、様々なものが挙げられる。
【0048】
また、上述したように、学習済みモデルの生成の処理は更新の処理であってもよい。つまり、学習済みモデルは新たな学習データが一定量貯まった段階などの運用方法に応じた任意のタイミングで更新されることができる。
【0049】
学習装置2は、学習部2aで生成された学習済みモデルを記憶する記憶部(図示せず)を備えることができ、この記憶部には未学習モデルを記憶させておきそれを更新することで学習済みモデルとすることもできる。予測部1bは、運用段階においてこのようにして生成された学習済みモデルを用いて差異の予測を実行することになる。そのため、学習装置2は、運行計画生成装置1からアクセス可能な状態に接続しておけばよい。また、学習装置2は、生成した学習済みモデルを、例えば、運行計画生成装置1にネットワークを介して送信するように又は運行計画生成装置1からアクセス可能なサーバ装置にネットワークを介して送信するように、構成することもできる。
【0050】
なお、学習装置2は、その全体を制御する制御部(図示せず)を備えることができ、この制御部が学習部2a及び入力部2bの一部の機能を実行するように構成することができる。この制御部は、例えば、CPU、作業用メモリ、及びプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。このプログラムは、学習プログラムとすることができる。この制御部は、例えば集積回路を含んで実現することもできる。
【0051】
このように、本実施形態に係る運行計画生成装置1は、上述した学習装置2とともに運行計画生成システムを構成することができ、さらにこの運行計画生成システムは、上述したようなサーバ装置を備えることもできる。
【0052】
次に、図3及び図4を参照しながら、学習装置2及び運行計画生成装置1の処理の一例を説明する。図3は、学習装置2における処理例を説明するためのフロー図で、図4は、運行計画生成装置1における処理例を説明するためのフロー図である。
【0053】
まず、学習段階(モデル生成処理)では、学習装置2は、自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画と、前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績と、を入力する(ステップS1)。次いで、学習装置2は、運行計画の生成に使用される前記区画毎に、運行計画とそれに対応する運行実績との差異を分析し、新たな運行計画で生じ得る上記差異を予測する学習済みモデルを分析結果に基づき生成する(ステップS2)。なお、ステップS2での分析対象のデータは、ステップS1で入力されたデータそのものとすることができるが、必要に応じて前処理を施しておくとよい。なお、上記ステップS1、S2はそれぞれ入力ステップ、学習ステップと称することができる。
【0054】
運用段階(運行計画生成処理)では、運行計画生成装置1は、自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、その自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する(ステップS11)。運行計画生成装置1は、少なくとも運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画とその運行計画に基づき実際に運行される実績である運行実績との差異を予測する(ステップS12)。
【0055】
ここで、ステップS11は、ステップS12で予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、上記運行条件に基づく上記自律移動装置の運行計画を生成するものとする。つまり、運用段階では、予測に基づく区画を使用して、上記運行条件に基づく運行計画を生成することができる。なお、上記ステップS11、S12はそれぞれ生成ステップ、予測ステップと称することができる。
【0056】
以上のような構成の運行計画生成装置1では、例えば始点(希望出発地)と終点(希望到着地)や時間的な条件などを設定するだけで、運行経路の設計をして他の自律移動装置の経路と調整された運行計画を生成するという一連の手続きを自動で行うことができる。
【0057】
さらに、運行計画生成装置1では、同時又は同時間帯での他の自律移動装置の共在を避ける区画が可変となっており、同時に使用する区画同士を不均一なサイズとすること(不均一に区割りとすることができる。よって、運行計画生成装置1では、区画のサイズを可変にしても衝突の発生を回避し安全を損なわずに空間あたりの収容効率(収容密度)を高めることができ、これにより同時運行できる台数を高めることができる。例えば、運行計画生成装置1では、運行経路の計画と実績との差異が小さい区画(小さい場所)については、空間あたりの同時収容台数(同時運行数)を増やすことができる。よって、運行計画生成装置1では、運行環境の利用効率を空間的、時間的に向上させることができ、複数の自律移動装置を効率良く運行させることができる。また、運行計画生成装置1では、可変の区画が保護空域等の保護領域に相当するため、自律移動装置に人間が搭乗してその搭乗した者の判断に基づく危険回避操作を行う必要もない。
【0058】
このように、本実施形態に係る運行計画生成装置1によれば、自律移動装置同士の衝突を回避させるような自律移動装置の運行計画を自動的に作成(生成)することができるだけでなく、自律移動装置の収容密度及び同時運行数を向上させることが可能になる。つまり、本実施形態では、衝突の予防と空間・時間の利用効率の向上の両立が可能となる。また、上述のような学習装置2によれば、運行計画生成装置1がこのような効果を奏する装置として構成できるように、運行計画生成装置1において使用可能な学習済みモデルを生成することができる。
【0059】
<実施形態2>
実施形態2について、図5図39を参照しながら、実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。例えば、実施形態2では、主にドローンのような自律移動装置の運行計画に適用する例を挙げて説明するが、これ以外の例にも適用できる。また、例えば、本実施形態では、学習部、予測部で重回帰分析を用いた例を挙げて説明するが、学習の方式は他の多変量解析等の他の統計学的手法を採用してもよく、深層学習などの機械学習を用いることもできる。
【0060】
<構成例>
図5図32を参照しながら、本実施形態の構成例について説明する。まず、図5を参照しながら、本実施形態に係る運行管理装置の構成例について説明する。図5は、本実施形態に係る運行管理装置の一構成例を示すブロック図である。
【0061】
図5に示すように、本実施形態に係る運行管理装置10は、学習部11、学習モデル保持部12、予測部13、動的運行区画保持部14、運行実績保持部15、静的運行区画保持部16、運行計画保持部17、及び運行計画生成部18を備えることができる。
【0062】
後述の説明から明らかなように、運行管理装置10は、図1の運行計画生成装置1の機能及び図2の学習装置2の機能を備える構成となっている。なお、動的運行区画保持部14、運行実績保持部15、静的運行区画保持部16、運行計画保持部17の各保持部は、情報の保持のために、共通又は別個の記憶装置を備えることができる。
【0063】
また、運行管理装置10は、利用者4が使用するPC(Personal Computer)等の端末装置からの入力を受け付けることが可能に構成されており、そのため、端末装置との通信を行う通信部(図示せず)を備えることができる。利用者4は、自律移動装置3を運行させたい人や業者などである。例えば、ドローンを例にすると、利用者4は、荷物の輸送や撮影、監視などの業務で目視外飛行を行いたい人となる。利用者4は、自律移動装置3の発着地や運行時間の希望を運行管理装置10に対し申請し、運行計画の払い出しを受けることになる。無論、利用者4は、人に限らず自律移動装置を運行するための別のシステムなどとすることもできる。
【0064】
運行管理装置10で管理の対象とする自律移動装置3は、実施形態1で説明したように、例えばドローンやロボット、自動運転車、工場の自動搬送車などや、自動航行機能を備えた船舶や航空機などを指す。自律移動装置3は、具備された測位機能やセンサ類を用いて、風などの外乱を補正しながら、極力与えられた運行経路と計画された通過時刻に沿うように(守るように)、自律制御で目的地へ移動することが可能に構成されている。無論、自律移動装置3は、一部人間による操作による制御が介入することがあってもよく、少なくとも自律的な移動制御が可能な装置であればよい。
【0065】
また、自律移動装置3は、自機の位置を測位でき、自機の運行実績(通った座標と日時)の履歴を保持することができ、運行管理装置10へそれらを送信(報告)する機能を備えることができる。そのため、自律移動装置3は、運行管理装置10との通信を行う通信部(図示せず)を備えることができる。この通信部は、自律移動装置3の種類、運行管理装置10とのデータの送受タイミングなどによって、無線通信部及び有線通信部の少なくとも一方とすることができる。この通信部が有線通信部である場合には、通常、運行計画に基づく移動が終了したタイミングで通信を行うことになる。
【0066】
運行管理装置10の各部について説明を行う。運行管理装置10は、自律移動装置3の安全確実な運行を支える装置であると言え、その主な機能は、運行中の自律移動装置3の運行状況(運行位置や状態など)を遠隔監視する機能と、自律移動装置3の運行計画を生成する機能(運行計画生成機能)である。
【0067】
運行管理装置10が遠隔監視を行う場合、その対象となる自律移動装置3は、運行管理装置10との通信を行う通信部を備えることになる。自律移動装置3が鉄道等の有線通信が可能なインフラストラクチャ上の移動を行う装置でない限り、この通信部は無線通信部に限られることとなる。
【0068】
運行計画生成機能は、図1の運行計画生成装置1の機能に相当し、自律移動装置同士が衝突をしないよう経路や時刻を調停し計画する機能である。また、運行管理装置10は、生成した運行計画を、対象となる自律移動装置3やその利用者4に提示する(払い出す)機能を有することができる。自律移動装置3への提示は通信により行うことができ、利用者4への提示は利用者4の端末装置との通信により行うことができる。
【0069】
運行計画生成部18は、利用者4からの自律移動装置3についての運行申請を受付けて、運行計画を生成する。運行計画生成部18で受け付ける運行申請は通常、複数となる。運行計画生成部18は、同じ時刻、時間帯に同じ区画内に複数の自律移動装置(自律移動装置3を含む)が入らないように運行計画を生成する。つまり、衝突の可能性がある経路での移動を希望する複数の自律移動装置3が存在する場合にも衝突を回避するように、運行計画生成部18は受け付けた複数の運行申請に対し、それぞれについての運行計画を生成する。
【0070】
このように、運行計画生成部18は、利用者4からの運行の起点、終点や希望する発着時刻などを受け付け、同区画内での他の自律移動装置の競合が起きず、且つ、極力希望に沿えるように運行計画を生成する。運行計画生成部18の詳細については、図22を参照しながらの予測部13についての説明において、それに関連する要素として後述する。
【0071】
運行計画保持部17は、運行計画生成部18が生成(計画)し払い出した運行計画を保持しておく。保持された運行計画は、自律移動装置同士の同時刻、同時間帯での同一区画内での競合、運行計画の重複を避けるために、新たに運行計画を生成する際に参照されることができる。
【0072】
ここで、図6及び図7を参照しながら、運行計画の例とともに、運行計画として保持する情報の形式の例について説明する。図6は、運行管理装置10の運行計画保持部17で保持される運行計画の一例を示す模式図である。図7は、比較例に係る運行管理装置で保持される、全区画のサイズを同じとする静的運行区画のみに基づいて生成された運行計画の一例を示す模式図である。
【0073】
運行計画は、利用者4からの申請1件(自律移動装置3の1運行)毎に1件生成される。1つの運行計画は、図6に例示するように、次のようなセットの情報を自律移動装置3が運行する際に辿るべき順に並べたものとすることができる。上記セットは、自律移動装置3が運行してよい区画を示す区画IDと、その区画を通過する際に目標とすべき目標到達座標(例えば区画の重心座標)と、目標到達座標を通過する時刻の目標である目標到達時刻と、を含むことができる。
【0074】
図6の例では、区画を動的区画とし、区画ID及び分割IDで区画を示しているが、この詳細についても、図22等を参照しながらの予測部13についての説明において、特に図24図28を参照した分割の仕組みについての説明において後述する。一方で、比較例に係る運行管理装置では、全区画を同サイズとする静的運行区画に基づいて運行計画を生成し、その結果として、図7に示すように、次のようなセットの情報を自律移動装置が運行する際に辿るべき順に並べたものとすることができる。図7におけるセットは、固定の区画を示す区画IDと、その区画を通過する際に目標とすべき目標到達座標(例えば区画の重心座標)と、その目標到達座標を通過する時刻の目標である目標到達時刻と、を含むことができる。
【0075】
図6及び図7の例では、目標到達座標を3次元で示しているが、地上や海面などを運行する自律移動装置の管理に適用する場合は2次元であってもよい。また、3次元の空間を緯度、経度、高度を用いて表現しているが、3次元の空間であっても、その空間内のある地点を一意に指し示せる情報であればよく、緯度、経度、高度を用いた表現に限定されるものではない。
【0076】
また、図6の例では、目標とすべき目標到達座標の例として区画の重心座標を挙げて示しているが、用途に応じて必ずしも重心でなくともよく、例えば、区画を2次元で扱うのであれば、その区画の中心座標であってもよい。また、例えばドローンのように空を運行する自律移動装置で、安全などの都合で上昇する場合よりも風などの影響で急降下することを警戒するような方針であれば、重心よりも垂直方向に高い位置に設定するなども応用も可能である。このように、目標到達座標は用途に応じて決めることができる。
【0077】
運行実績保持部15は、自律移動装置3の運行状況の実績を保持する。運行状況の実績、つまり運行実績は、自律移動装置3の運行状況を遠隔監視することによって、自律移動装置3から逐一送信されてくる情報の履歴とすることができる。上述したように、自律移動装置3が運行中に状況履歴を蓄積し、運行終了後にまとめて運行実績保持部15に登録するようにして、運行実績を収集することもできる。
【0078】
ここで、図8図10を参照しながら、運行実績の例とともに、運行実績として保持する情報の形式の例について説明する。図8は、運行管理装置10で生成される運行計画の一例を示す模式図で、図9は、図8の運行計画に基づき運行された運行実績の一例を示す模式図である。また、図10は、運行管理装置10で保持される運行実績の一例を示す模式図である。
【0079】
運行実績は、運行計画に対応して実際に運行された実績を示すものであり、自律移動装置の1運行毎に1件生成される。1つの運行実績は、図8で例示する1つの運行計画に対し、図9で例示するように、次のようなセットの情報を並べたものとすることができる。上記セットは、自律移動装置3の位置を記録した時刻である実績到達時刻と、その時刻において、自律移動装置3が居た位置を示す実績到達座標と、を含むことができる。
【0080】
図8図9において、hh:mmの表記はそれぞれ目標到達時刻、実績到達時刻を示している。また、図8の黒丸(●)は目標到達時刻における目標到達座標を示しており、図9の黒丸(●)は目標到達時刻に記録された実績到達座標を示している。また、図9の白丸(〇)は、運行監視の都合で一定時間おきや一定移動距離おきに記録された実績到達座標を示している。
【0081】
自律移動装置3の位置を記録するタイミングは、運行管理上必要なタイミングでよく、例えば、一定間隔おきに記録をする方法、一定の位置の変異があった場合に記録するような方法など、様々な方法を採用することができる。
【0082】
但し、本実施形態での記録方式では、基本的に、運行計画に定められた目標到達時刻において、自律移動装置3がどの場所に居たかの記録を残す必要がある。この記録については他の位置の記録と区別できるよう、区画IDもセットにして記録しておくとよい。なお、ここでセットにして記録する区画IDは、自律移動装置3が居た場所の区画IDではなく、この実績到達時刻と同じ計画到達時刻において運行計画上どの区画IDに居る計画であったかという、計画上の区画IDである。
【0083】
運行実績として保持する情報の形式は、例えば図10に示すように、区画ID、実績到達座標、及び実績到達時刻を関連づけたものとすることができる。図10では、区画IDの列が歯抜けになっている例を挙げているが、漏れなく区画IDを記録するようにすることもでき、その場合は、計画到達時刻に対応した実績到達座標の記録である旨を区別できるようにするためのフラグ情報の列を追加して記録するとよい。
【0084】
また、図10の例では、目標到達座標を3次元で示しているが、地上や海面などを運行する自律移動装置の管理に適用する場合は2次元であってもよい。また、3次元の空間を緯度、経度、高度を用いて表現しているが、3次元の空間であっても、その空間内のある地点を一意に指し示せる情報であればよく、緯度、経度、高度を用いた表現に限定されるものではない。
【0085】
また、図10の例では、目標とすべき目標到達座標の例として区画の重心座標を挙げて示しているが、用途に応じて必ずしも重心でなくともよく、例えば、区画を2次元で扱うのであれば、その区画の中心座標であってもよい。実績到達座標は、目標到達座標と同種の座標であることが差異の算出が容易になるため好ましいが、異なるものであっても変換により差異を算出することは可能である。
【0086】
なお、運行計画での区画と運行実績での位置及び時刻情報とがあれば、最終的に両者を対応付けるような記録を行うことは可能である。例えば、図9の白丸(○)のみの記録であっても、補間処理により図9の黒丸(●)の位置を近似的に算出することもできる。
【0087】
静的運行区画保持部16は、自律移動装置3が移動可能な空間を、一定、一律の大きさの箱状の空間に区分けし、その情報を、その各区画の座標情報として保持する。ここでの区画を静的運行区画と称している。この静的運行区画は予め定められた大きさのものである。本実施形態で生成され払い出される運行計画は、この静的運行区画を数珠つなぎに並べた運行経路ではなく、動的運行区画(可変の区画)を数珠つなぎに並べた運行経路となっている。
【0088】
ここで、図11及び図12を参照しながら、本実施形態での静的運行区画の例とともに、静的運行区画として保持する情報の形式の例について説明する。図11は、運行管理装置10で保持される静的運行区画の一例を示す模式図で、図12は、図11の静的運行区画に含まれる情報を説明するための模式図である。
【0089】
図11に示す静的運行区画を示す情報は、区画ID、第1頂点(頂点1)、第2頂点(頂点2)、及び高度が関連付けられている。1つの静的運行区画は、図12の左図にあるような3次元空間を一律に区分けした区画であって、図12の右図に示す頂点1、頂点2、及び、高度の下限及び上限で表現されることができる。
【0090】
図11及び図12の例では、目標到達座標を3次元で示しているが、地上や海面などを運行する自律移動装置の管理に適用する場合は2次元であってもよく、その場合、例えば高度の上限及び下限は不要となる。また、3次元の空間を緯度、経度、高度を用いて表現しているが、3次元の空間であっても、その空間内のある地点を一意に指し示せる情報であればよく、緯度、経度、高度を用いた表現に限定されるものではない。
【0091】
また、図11及び図12の例では、平面上の2頂点と高度の上限下限で区画を表現しているが、これに限らず空間内の区画を表現できればよい。例えば、8頂点の座標での表現する方法、1区画あたりの辺の長さと空間を区切る方角を規定しておき代表する1頂点の座標で表現する方法、空間を区切る方角を規定しておき3頂点の座標で表現する方法などが例示できる。
【0092】
学習部11は、静的運行区画毎に運行計画と運行実績から予定及び実績を分析し、学習済みモデルを生成する。学習モデル保持部12は、学習部11で学習を行った結果である学習済みモデルを保持する。ここで保持される学習済みモデルを使って予測が実行され、動的運行区画が決定されることになる。学習部11及び学習モデル保持部12の詳細については、図13を参照しながら後述する。
【0093】
予測部13は、学習済みモデルを元に、運行計画生成部18から与えられた運行条件の期間中の運行計画と実際の運行実績との差異を予測し、動的運行区画を算出する。予測部13、動的運行区画保持部14、及び運行計画生成部18の詳細は、図22を参照しながら後述する。
【0094】
図13図21を参照しながら、学習部11の詳細について、それと関連する要素とともに説明する。図13は運行管理装置10における学習部11の一構成例を示すブロック図である。
【0095】
図13に示すように、学習部11は、計画実績差異保持部11a、学習前処理部11b、目的変数説明変数保持部11c、計画実績差異抽出部11d、及び学習本処理部11eを備えることができる。また、学習部11は、上述した運行計画保持部17、運行実績保持部15、及び静的運行区画保持部16と計画実績差異抽出部11dにおいて接続され、学習モデル保持部12と学習本処理部11eにおいて接続されている。
【0096】
計画実績差異抽出部11dは、運行計画保持部17に保持されている運行計画とそれに対応する運行実績保持部15に保持された運行実績を比較できるよう必要に応じてデータ数をそろえるなど加工したうえで、運行計画と運行実績の差異を求める。また、計画実績差異抽出部11dでの処理結果は、計画実績差異保持部11aで保持される。
【0097】
差異を求める方法としては、時刻を揃えて位置の差を求める方法と位置を揃えて時刻の差を求める方法、また、その両方を用いてもよい。運行計画と運行実績との間の位置の差(ベクトル差)を求めることで、つまり目標到達時刻の目標到達座標と目標到達時刻と同時刻における実績到達座標とのベクトル差を求めることで、位置ズレ距離、位置ズレ方向を得ることができる。このとき、目標到達時刻における計画情報と目標到達時刻と同時刻における実績情報の各行には、必ず区画IDが記録されているため、どの区画に居るべき時に発生したズレかという情報が得られる。位置ズレ方向については、例えば、2次元の場合は方位や基準方向(磁北など)からの方角、3次元の場合は3次元ベクトルなどで表現した情報を得ることができる。
【0098】
また、運行計画と運行実績との間の時刻の差(遅れ進み時間)を求めることで、目標到達時刻と目標到達座標と目標到達時刻に対する遅れ又は進みの時間を得ることができる。
【0099】
このような処理の結果として得られる情報の項目例について、図14及び図15を参照しながら説明する。図14図15はそれぞれ、図13の学習部11の計画実績差異抽出部11dで抽出される位置差情報の一例、時間差情報の一例を示す模式図である。
【0100】
図14で例示するように、運行計画と運行実績との間の位置差(位置ズレ距離)を求めた結果として、位置ズレ距離、位置ズレ方向、目標到達座標(緯度、経度、高度)、目標到達時刻、及び区画IDを関連付けた情報を得ることができる。また、図15で例示するように、運行計画と運行実績との間の時刻の差(遅れ進み時間)を求めた結果として、遅れ進み時間、目標到達座標(緯度、経度、高度)、及び目標到達時刻を関連付けた情報を得ることができる。
【0101】
計画実績差異保持部11aは、計画実績差異抽出部11dで求めた、運行計画と運行実績の差異を保持する。例えば、計画実績差異保持部11aは、計画実績差異抽出部11dで運行計画と運行実績との間の位置差(ベクトル差)を求めるなどの処理を行った結果を保持することができる。ここで保持される結果は、目標到達時刻とその目標到達時刻にいる計画であった区画IDと目標到達座標とその目標到達座標に対する位置ズレ距離、位置ズレ方向である。より具体的には、計画実績差異保持部11aは、差異として、例えば、図14の情報を保持することができる。保持される位置ズレ方向について、も、2次元の場合は基準方向(磁北など)からの方角、3次元の場合は3次元ベクトルなどで表現されることができる。
【0102】
運行計画と運行実績との間の時刻の差(遅れ進み時間)を求めた結果の場合、計画実績差異保持部11aは、目標到達時刻と目標到達座標と目標到達時刻に対する遅れ又は進みの時間を保持することができる。より具体的には、計画実績差異保持部11aは、差異として、例えば、図15の情報を保持することができる。
【0103】
また、図14及び図15の例では、目標到達座標を3次元で示しているが、地上や海面などを運行する自律移動装置の管理に適用する場合は2次元であってもよく、その場合、例えば高度の上限及び下限は不要となる。また、3次元の空間を緯度、経度、高度を用いて表現しているが、3次元の空間であっても、その空間内のある地点を一意に指し示せる情報であればよく、緯度、経度、高度を用いた表現に限定されるものではない。
【0104】
また、図14図15では、それぞれ位置ズレの情報、進み遅れ時間の情報をテーブル形式で保持される例を挙げている。このような位置ズレのテーブル、進み遅れ時間のテーブルは、運行の便(1回の運行のこと)毎や、自律移動装置の機種、型式毎にテーブルを分けた状態として保持することや、天候毎にテーブルを分けた状態として保持することもできる。この例のように、運行計画と運行実績との差異の保持動作は、データのひとまとめの仕方にバリエーションを持たせることができ、特にこの後の工程にある学習部11での処理の仕方に応じて最適なデータとなるように実行しておくことが好ましい。
【0105】
これにより、例えば、その学習結果を用いる予測部13は、上記差異の予測を、自律移動装置の種類、自律移動装置の型式、及び運行環境の少なくとも1つ毎に実行することができる。
【0106】
学習前処理部11bは、計画実績差異保持部11aに保持された、運行計画と運行実績の差異を示す情報に対し、後段の学習本処理部11eで機械学習を行えるようにするため、前処理としてデータの加工や置き換えを行う。図16を参照しながら、学習前処理の一例について説明する。図16は、学習部11の学習前処理部11bで実行される学習前処理の一例を説明するための模式図である。
【0107】
学習前処理部11bは、目的変数及び説明変数を目的変数説明変数保持部11cに保持することができる。図16で例示する学習前処理では、運行計画と運行実績の位置差(位置ズレ距離、位置ズレ方向)を求め、位置ズレ距離、位置ズレ方向を目的変数として抜き出して、目的変数説明変数保持部11cに保持する。
【0108】
そして、この学習前処理では、目的変数に対応した目標到達時刻に対し、目標到達時刻の月日を季節帯番号に、目標到達時刻の時分を時間帯番号にそれぞれ変換し、説明変数として目的変数説明変数保持部11cに保持する。例えば、目標到達時刻に対し次のような前処理をして、季節番号と時間帯番号のカラムに分ける。季節については、3≦M≦5なら0、6≦M≦8なら1、9≦M≦11なら2、それ以外なら3とする。時間帯については、0≦H≦12なら0、13≦H≦17なら1、それ以外なら2とする。これにより、図16の例において、データのカラムである季節は、春は0、夏は1、秋は2、冬は3とし、時間帯は、午前0、午後1、夕方2として表現することができる。なお、図16を参照した例は、季節帯を4分類する、時間帯を2分類するといった分類の数を限定する意図はなく、より疎な分類でもより密な分類であってもよい。
【0109】
自律移動装置の中でも特に、空を飛ぶもの、洋上を航行するものは、風の影響によって、目標到達時刻や目標到達座標から差が出がちであるため、風速と相関が見込める他の情報を説明変数として用いてもよい。例えば、時間帯や季節帯以外にも、目標到達座標や区画に対して、その地表面の標高帯に対応する番号を割り当て説明変数とすることができる。また、その地表面の種別、区画毎の気温の温度帯などを説明変数への変換に用いたり、説明変数の項目として加えたりすることもできる。地表面の種別とは、例えば、地上、海上を区別できるように番号を割り当てたものや、森林、砂漠、岩場、都市などを区別できるように番号を割り当てたものとすることができる。
【0110】
また、位置ズレ距離、位置ズレ方向の代わりに、時刻ズレ(進み、遅れ)を目的変数とすると進み遅れの傾向も学習させることができる。さらに位置ズレと時間ズレと目的変数とすることで、区画内における位置ズレの傾向と進み遅れ傾向の両方を学習させることができる。
【0111】
目的変数説明変数保持部11cは、学習前処理部11bの処理結果である、目的変数と説明変数を保持する。ここで保持する情報の形式の例を図17を参照しながら説明する。図17は、学習部11の目的変数説明変数保持部11cで保持される、学習前処理の実行結果の一例を示す模式図である。
【0112】
図16で示した学習前処理の例では、図17に例示するような形式で情報が保持される。図17の例では、位置ズレ距離、位置ズレ方向を目的変数として抜き出した情報と、目標到達時刻の月日を季節帯番号に、目標到達時刻の時分を時間帯番号にそれぞれ変換し、説明変数とした情報とが、関連付けて保持されている。
【0113】
なお、図17を参照した例も図16の例と同様に、季節帯を4分類する、時間帯を2分類するといった分類の数を限定する意図はなく、より疎な分類でもより密な分類であってもよい。その他、説明変数についての応用例も、目的変数説明変数保持部11cで保持される情報に対応する例として挙げられる。
【0114】
即ち、自律移動装置の中でも特に、空を飛ぶもの、洋上を航行するものは、風の影響によって、目標到達時刻や目標到達座標から差が出がちであるため、風速と相関が見込める他の情報を説明変数として用いてもよい。例えば、時間帯や季節帯以外にも、目標到達座標や区画に対して、その地表面の標高帯に対応する番号を割り当て説明変数としたり、その地表面の種別など、区画毎の気温の温度帯などを用いたり、項目として加えたりしてもよい。地表面の種別とは、例えば、地上、海上を区別できるように番号を割り当てたものや、森林、砂漠、岩場、都市などを区別できるように番号を割り当てたものとすることができる。また、位置ズレ距離、位置ズレ方向の代わりに、時刻ズレ(進み、遅れ)を目的変数とすると進み遅れの傾向も学習させることができる。さらに位置ズレと時間ズレと目的変数とすることで、区画内における位置ズレの傾向と進み遅れ傾向の両方を学習させることができる。
【0115】
学習本処理部11eの処理について、目的変数説明変数保持部11cに保持されている、目的変数(位置ズレ距離)、説明変数(時間帯番号、季節番号)を入力とする例に基づき説明するが、他の例についても同様に適用可能である。学習本処理部11eは、目的変数(位置ズレ距離)、説明変数(時間帯番号、季節番号)を入力として区画毎に重回帰分析を行い、区画毎の重回帰式を得る処理を行うことができる。学習本処理部11eは、この生成された重回帰式と式の係数を学習済みモデルとして学習モデル保持部12に保持する。
【0116】
図18を参照しながら、本実施形態で適用可能な重回帰分析処理についてその仕組みを説明する。図18は、図13の学習部11で実行される重回帰分析処理の一例を説明するための模式図である。
【0117】
学習本処理部11eは、図17に示すテーブル(図18の右図のテーブル)における位置ズレ距離、季節帯、及び時間帯のデータから区画毎に図18の左グラフの黒丸(●)に相当するデータを得ることができ、これらのデータに基づき重回帰式を求める。図18の左のグラフは、位置ズレ距離を縦軸、季節帯を第1横軸、時間帯を第2横軸としてプロットしたものである。
【0118】
重回帰式のひな形としては、例えば以下のような関数が挙げられる。
y=w+ax+bx(1次関数)
y=w+ax +bx+cx +dx(2次関数)
【0119】
学習本処理部11eは、いくつかの次数の重回帰式(例えば1次式~6次式まで)のひな形用意しておき、それぞれの式で、係数(上の例ではw,a,b,c,d)を変化させる。そして、学習本処理部11eは、最も多くの黒丸(●)の近くを通り且つなるべく平滑となるような平面(超平面)表す式と係数を見つける。これを各区画IDを持つデータ毎に行う。そして、学習本処理部11eは、得られた区画毎の式と各係数のセットを学習モデル保持部12に保持する。なお、位置ズレ距離を縦軸とした場合を示したが、位置ズレ方向、時刻の進み遅れを縦軸とした場合も考え方は同じである。
【0120】
学習モデル保持部12は、このように、学習本処理部11eで生成された区画毎の重回帰式とその係数(学習済みモデル)を保持する。ここで保持する情報の形式の例を図19図21を参照しながら説明する。図19は、学習モデル保持部12で保持される、重回帰分析処理の実行結果の一例を示す模式図で、図20は、学習モデル保持部12で保持される、重回帰分析処理の実行結果の他の例を示す模式図である。また、図21は、図19及び図20の実行結果を説明するための模式図である。
【0121】
図19に示す保持例では、式のバリエーション毎にテーブルを設けて係数を保持している。図20に示す保持例では、式のテーブルと係数を保持するテーブルを分けて保持している。図19及び図20では情報の保持の形式として2例を挙げているが、これらの保持方法に限らず、重回帰式とその式の係数を区画IDに対応付けて保持できる保持方法であればよい。
【0122】
図19及び図20のいずれの保持例においても、図21に示すように、各区画(区画IDを各区画の内部に図示)に対し、係数を含めた重回帰式が対応するように保持されることになる。図21では説明の都合上区画を平面で図示しているが、区画を平面に限定しているわけではなく、3次元でも同じ考え方である。各区画が関数を持っており、その関数は1次式、2次式など形が異なることになる。関数は固定メッシュの数だけあり、図21の例では関数は16個存在することになる。図21において、zは目的変数(位置のズレ)、wは定数、a,b,c,dは偏回帰係数、x,yは説明変数(季節帯番号、時間帯番号)を示している。
【0123】
ここで例示したように、学習済みモデルは、時間帯番号で例示した運行時間帯、季節番号で例示した運行季節、その他の運行環境の少なくとも1つを含む情報を入力し、上記差異の予測値を出力するモデルとすることができる。
【0124】
次に、図22図32を参照しながら、予測部13の詳細について、それと関連する要素とともに説明する。図22は、運行管理装置10における予測部13の一構成例を示すブロック図である。
【0125】
図22に示すように、予測部13は、計画実績差異予測部13a及び動的運行区画生成部13bを備えることができる。また、予測部13は、上述した学習モデル保持部12と計画実績差異予測部13aにおいて接続され、上述した静的運行区画保持部16及び動的運行区画保持部14と動的運行区画生成部13bにおいて接続されている。
【0126】
計画実績差異予測部13aは、区画毎に発生が予想される位置のズレ(各区画を通過する際に将来起こるであろう計画到達座標に対する、実績到達座標のズレ)を求める。計画実績差異予測部13aは、学習本処理部11eで生成された学習済みモデル(学習モデル保持部12にて保持)を用いて、区画毎に発生する位置ズレを予測することで求める。
【0127】
計画実績差異予測部13aは、学習モデル保持部12で保持された区画毎の重回帰式を取得し、変数に予測をしたい季節帯(季節帯番号)、時間帯(時間帯番号)の値を代入する。これにより、計画実績差異予測部13aは、対応する運行区画における、指定の季節帯、時間帯に起こるであろう計画到達座標に対する、実績到達座標のズレの予測値を求めることができる。
【0128】
学習のためのデータセットが更新される毎(運行実績が変更される度に)に全時間帯、全季節の位置ズレを再計算してもよい。また、昼間に限るなど運行する時間帯や2か月先までの運行計画の払い出しに対応するなど、必要な季節帯、時間帯が決まっているのであれば、必要な期間に絞って差異を算出し直し、更新してもよい。
【0129】
また、運行計画生成部18に利用者4から計画生成の依頼があってから、計画実績差異予測部13aは、その依頼に含まれる運行条件に合う運行に必要な範囲、季節帯、及び時間帯に絞って、上述のような予測値の算出を実行してもよい。
【0130】
計画実績差異予測部13aは、求めた区画(運行区画)毎のズレの予測値を動的運行区画生成部13bに渡す。ここで渡される処理結果のデータ項目の例を図23を参照しながら説明する。図23は、図22の予測部13で予測された運行区画毎の予測値の一例を示す模式図である。図23で例示するように、計画実績差異予測部13aは、例えば、求めた予測値(位置ズレ距離)、説明変数(時間帯番号及び季節番号)、及び区画IDを関連付けたデータを、動的運行区画生成部13bに渡すことができる。
【0131】
動的運行区画生成部13bは、計画実績差異予測部13aで求めた、計画到達座標に対する、実績到達座標の位置ズレの予測値に基づき、そのズレ距離が発生しても区画をはみ出さない大きさで、且つ可能な限り区画が小さくなるように、区画の分割数を決定する。上記はみ出さない大きさは、安全のための余裕距離をさらに加算した大きさとすることもできる。そして、動的運行区画生成部13bは、分割された区画に分割IDを付与し、その座標を算出して、動的運行区画保持部14に保持する。
【0132】
動的運行区画生成部13b及び動的運行区画保持部14は、計画実績差異予測部13aで予測された区画毎の差異に応じて新たな区画を生成し、それを新たな区画を運行計画の生成用として設定する区画更新部の一例である。
【0133】
ここで、図24及び図25を参照しながら、このID付与の考え方と処理の結果として出力されるデータ項目について説明する。図24は、図22の予測部13で生成され動的運行区画保持部14で保持される動的運行区画の一例を示す模式図で、図25は、図24の動的運行区画を説明するための模式図である。
【0134】
図24で例示するテーブルでは、区画ID、分割IDの1段目、分割IDの2段目を含む動的区画IDと、頂点1と、頂点2と、高度と、説明変数(時間帯番号及び季節番号)と、が関連付けて保持されている。例えば図24の1レコード目の動的区画IDが指し示す区画は、図25で例示する区画ID1、1段目ID3、2段目ID4が示す区画を表している。
【0135】
なお、図24及び図25では、分割の段階を2段階までとした例を挙げているが、単なる例に過ぎず、自律運行装置の違いや用途の違いなどにより、段数を増減させることもできる。また、図24及び図25では、水平方向と垂直方向の分割数を同じにした例を挙げているが、単なる例に過ぎない。例えば、自律運行装置の違いや用途の違いなどにより、水平方向のみ分割することや、垂直方向のみ分割することや、水平、垂直の分割段数を異なるように分割することなど、様々な例が挙げられる。
【0136】
ここで、図26図28を参照しながら、分割の仕組みについて説明する。図26図28は、図24の動的運行区画を説明するための模式図である。なお、図26図28で例示した具体的な数値は説明の便のために付与した数値であり、これらの具体的な数値に限定されるものではない。
【0137】
まず、静的運行区画を1辺100mの立方体と考えた場合、区画1辺の長さが予想される位置ズレ距離の2倍以上になり、且つ1区画の大きさが最小となるように分割数を設定する。また、安全の余裕をみて、区画1辺の長さが予想される位置ズレ距離の2倍に更に余裕距離を加算したものとすることもできる。
【0138】
図26で示すように、区画ID1の予想位置ズレ距離が17m、区画ID8の予想位置ズレ距離が11mであった場合、区画ID1、区画ID8はそれぞれ図27図28で例示するように分割数を決定することができる。
【0139】
図27に示すように、区画ID1では、1辺100mの立方体を8分割すると1辺の1/2(区画の中心から隣の区画の端までの距離を考慮するため)が25mであり、予想位置ズレ距離の17mより大きいため、8分割は問題ない。一方で、64分割すると1辺の1/2が12.5mとなり、予想位置ズレ距離の17mより小さくなるので、ここまで分割した区画を使用すると他の自律移動装置との衝突が生じ得るため、問題である。従って、区画ID1は8分割とする。図28に示すように、区画ID8では、1辺100mの立方体を8分割、64分割すると1辺の1/2がそれぞれ25m、12.5mであり、いずれも予想位置ズレ距離の11mより大きいため、8分割、64分割は問題ない。一方で、512分割すると1辺が6.25mとなり、予想位置ズレ距離の11mより小さくなるので、ここまで分割した区画を使用すると他の自律移動装置との衝突が生じ得るため、問題である。従って、区画ID8は64分割とする。
【0140】
動的運行区画保持部14は、上述したように、動的運行区画生成部13bの結果である動的運行区画を保持する。ここでは、静的運行区画よりも細かく分割された区画の情報が保持されている。ここで保持される動的運行区画の形式としては、図24及び図25で例示したものなどを採用することができる。運行計画生成部18が、この動的運行区画を用いて運行計画を生成することで、静的運行区画を用いて生成する場合に比べて、空間の利用効率の良い運行計画を生成することができる。
【0141】
このように、動的運行区画生成部13b及び動的運行区画保持部14で例示した区画更新部は、区画について空間的及び時間的の少なくとも一方で最小限となるように新たな区画を設定することが好ましい。
【0142】
また、例えば、運行計画と運行実績との差異が、運行予定に含まれる区画と同時刻に実際に運行されていた区画(運行実績の区画)との空間的な差異(空間的差異、距離的差異)を含む場合には、上記区画更新部は次のように新たな区画を設定することができる。即ち、その場合、上記区画更新部は、運行予定に含まれる区画について空間的差異が小さかった区画が空間的差異が大きかった区画に比べて、空間的及び時間的の少なくとも一方で小さくなるように新たな区画を設定することができる。
【0143】
また、例えば、運行計画と運行実績との差異が、運行予定に含まれる区画を通過する予定の時刻と実際に通過した時刻(運行実績が示す時刻)との差異である時間的差異を含む場合には、上記区画更新部は次のように新たな区画を設定することができる。即ち、その場合、上記区画更新部は、運行予定に含まれる区画について時間的差異が小さかった区画が時間的差異が大きかった区画に比べて、空間的及び時間的の少なくとも一方で小さくなるように新たな区画を設定することができる。
【0144】
これらの例のように、本実施形態では、経路設計をする際に、全空間(全区画)の余裕範囲や排他時間を固定一律の大きさや長さにはしない。これらの例のように、本実施形態では、運行実績上、計画経路とのズレが少ない場所では、区割りを小さくし、逆にこのズレが大きければ、区割りを大きくすることが好ましい。また、本実施形態では、計画到達時刻と実績到達時刻の乖離が大きければ区画を排他する時間を長く、逆に乖離が少なければ短くすることが好ましい。
【0145】
運行計画生成部18は、上述したように、利用者4からの自律移動装置3についての運行申請を受け付けて、運行計画を生成する。運行計画生成部18は、同じ時刻、時間帯に同じ区画内に複数の自律移動装置が入らないように運行計画を生成することになる。運行計画生成部18は、利用者4からの運行の起点、終点と希望する発着時刻などの運行条件を受け付け、同区画内での自律移動装置の競合が起きず、且つ、極力希望する発着時刻の希望に沿えるように、運行計画を生成する。
【0146】
ここで、極力希望に沿えるとしているのは、例えば過去に払い出した他の自律移動装置についての運行計画の存在があり、運行条件に合致する運行経路が生成できない場面が生じ得るためである。より具体的に説明する。過去に払い出した運行計画で既に同じ時刻に同じ始点、終点を希望された場合や既に払い出し済みの運行計画で使用する区画を迂回する必要が生じることがある。また、このような迂回の代わりに又は迂回と併せて、その区画を運行する時刻をずらす必要が生じることもある。従って、運行条件が入力された場合でも、その運行条件が示す発着時刻の希望(要求)を完全に満たすことができない場合があり、そのため、入力された運行条件に合致する運行経路が生成できず、極力希望に沿える運行経路が生成される場合がある。
【0147】
運行計画について、図29を参照しながら説明する。図29は、運行管理装置10で生成される運行計画の一例を示す模式図である。運行計画は、図29で例示するように、利用者4からの希望(運行条件)に基づいて、動的運行区画保持部14に保持されている運行区画(動的運行区画)を始点から終点まで数珠つなぎにした情報で表現される。図29において、黒丸(●)で繋がれた経路が1運行分の運行計画となり、運行計画生成部18は、図29で示すように場所によって大きさが異なる動的運行区画に基づく経路で運行計画を作成することができる。
【0148】
同じ時刻又は同じ時間帯に同じ区画内に他の自律移動装置が入らないように運行計画を生成する方法の例について、図30及び図31を参照しながら説明する。また、その結果として生成された運行計画の例については、図32を参照しながら説明する。図30及び図31は、運行管理装置10における運行計画の生成方法の一例を説明するための模式図である。図32は、図30及び図31の生成方法で生成された運行計画の一例を示す模式図である。
【0149】
運行計画保持部17は、図30の右図に示すような、他の自律移動装置についての払い出し済みの運行計画を保持しているものとする。この払い出し済みの運行計画は、各区画ID(ここでは区画ID15,11,7)のそれぞれに対し、目標到達座標(緯度、経度、高度)及び目標到達時刻が関連付けられている。
【0150】
このような状態で、利用者4が自律移動装置3の運行について希望する始点及び終点についての座標(緯度、経度、高度)と希望到達時刻とを含む運行条件が入力された場合について例を挙げる。この場合、運行計画生成部18は、その運行条件に従い、始点側の座標に対応する区画ID(この例では区画ID2)と終点側に対応する区画ID(この例では区画ID12)とを、動的運行区画保持部14に保持された動的運行区画から検索する。そして、運行計画生成部18は、図30の左図のように、検索結果としての区画IDをそれらの座標及び希望到達時刻と関連付けて、運行計画の始点と終点の情報として一時的に運行計画保持部17に保持する。
【0151】
自律移動装置3についての運行計画の生成の続きについて、図31の例を挙げて説明する。図31では、運行エリア(利用者4が配送業者であれば配送エリア)に存在するメッシュ(四角の図形)を表している。この例では、説明の簡略化のため、メッシュは全部で16個と仮定する。図31におけるメッシュの右下の数字はウェイポイントIDとする。
【0152】
運行計画生成部18は、図31の左図で例示するように、始点座標から終点座標までの経路を探索する。例えば、ウェイポイントIDが2、6、10、11、12と進む経路とすると、運行計画保持部17に保持された払い出し済みの運行計画と11番の区画(ウェイポイントID=11)で競合することになる。なお、競合とは、同じ区画内に同じ時間帯に自律移動装置が2台以上存在する状態を指す。
【0153】
よって、運行計画生成部18は、この経路以外で最短となる経路を再探索する。例えば、図31の右図のように、ウェイポイントIDが2、3、4、8、12と進む経路とすると、払い出し済みの運行計画との競合が発生しない(経路が重ならない)ため、この経路に決定される。このように、始点(区画2)から終点(区画12)までの経路が決まると(競合が解消すると)運行計画が完成する。運行計画生成部18は、完成した自律移動装置3についての運行計画を、運行計画保持部17に保持する(更新する)。
【0154】
また、自律移動装置3が止まって待機できるような機器であれば、競合する区画の外で待機して時間帯をずらすことも考慮に入れ、再探索を実行しないこともでき、また、このような時間帯のずらしも考慮に入れて再探索を実行することもできる。
【0155】
完成した運行計画は、図32で例示するように、経路の順に並べた区画IDと、目標到達座標及び目標到達時間とが関連づけられて保持される。これらの区画IDは、図32では便宜上1列で表現しているが、図24等で例示したように並びに図32で吹き出しテーブルで図示するように、動的区画IDである。
【0156】
<動作例>
次に、本実施形態に係る運行管理装置10を用いた処理の全体の流れについて、図33を参照しながら説明する。図33は、運行管理装置10を利用した自律移動装置の運行申請から目的地到着までの流れの一例を説明するためのフロー図である。
【0157】
まず、利用者4が、運行管理装置10に対して、自律移動装置3を運行するための申請情報を登録する(ステップS21)。申請情報の詳細については運行計画生成部18に関する説明として上述した通りである。
【0158】
次に、運行管理装置10は登録された申請情報の基づき、運行計画(運行経路と運行スケジュール)を決定し、その運行計画を自律移動装置3に払い出す(ステップS22)。運行スケジュールは運行する日時に関する情報である。或いは、運行経路と運行スケジュールを利用者4に払い出し、利用者4が自律移動装置3に対してそれらを入力することもできる。運行経路と運行スケジュールの詳細については運行計画生成部18に関する説明として上述した通りである。
【0159】
自律移動装置3は、払い出された(或いは利用者4から入力された)運行経路と運行スケジュールに基づき、自律制御で目的地まで移動を開始する(ステップS23)。自律制御による目的地の移動の詳細については自律移動装置3に関する説明として上述した通りである。
【0160】
自律移動装置3は、所定のタイミングで、運行管理装置10に対して、自機の位置情報などの運行記録情報(運行実績)を通知する(ステップS24)。或いは、自律移動装置3内に運行記録情報所定のタイミングで記録しておき、目的地到着後や1日の運行の終わりなどに、運行記録情報を回収し、運行管理装置10に対して提出し運行実績保持部15に格納することもできる。運行実績の通知の詳細については運行実績保持部15に関する説明として上述した通りである。
【0161】
自律移動装置3は、払い出された(或いは利用者4から入力された)運行経路と運行スケジュールに基づき、自律制御で目的地へ到着する(ステップS25)。自律制御による目的地へ移動については自律移動装置3に関する説明として、運行経路と運行スケジュールについては運行計画保持部17に関する説明として、それぞれ上述した通りである。
【0162】
次に、運行管理装置10の動作について説明する。ここで説明する手順は順に行う必要はなく、それぞれの処理が入力データの更新を契機に行われてもよいし、定期、定時実行で行われてもよい。ここでは主要な3つの処理について、その概要を説明するが、その詳細については図34図36を参照しながら後述する。
【0163】
(第1処理)
学習部11では、運行計画保持部17、運行実績保持部15、静的運行区画保持部16に格納された情報を元に、学習済みモデルを生成し、学習モデル保持部12に保持する。
【0164】
(第2処理)
予測部13では、学習モデル保持部12に保持された学習済みモデルを用いて、将来運行される自律移動装置がどの場所でどれだけ、運行経路にズレが生じるかを予測する。そして、予測部13は、そのズレが発生しても衝突などが起きない運行区画の大きさを決定し、その結果を動的運行区画として動的運行区画保持部14に格納する。
【0165】
(第3処理)
運行計画生成部18は、利用者4から与えられた運行条件を極力満たせ、且つ、運行計画保持部17に格納されている既に払い出し済みの運行計画と重複しないように、動的運行区画を選択し、つなぎ合わせて、自律移動装置3の運行すべき経路として生成する。ここで、動的運行区画は動的運行区画保持部14に保持されている。そして、運行計画生成部18は、生成した経路を運行計画としてその自律移動装置3や利用者4に提供する。
【0166】
図34を参照しながら、上記第1処理、つまり学習部11での処理について説明する。図34は、運行管理装置10における学習処理の一例を説明するためのフロー図である。ここで説明する処理は、運行実績保持部15が更新される毎に、或いは、運行実績保持部15に予め定めたまとまった件数が溜まったタイミングや、或いは定期、定時実行等でタイミングで実行することができ、この処理により学習済みモデルが更新される。
【0167】
まず、計画実績差異抽出部11dは、運行計画保持部17に保持された運行計画と運行実績保持部15に保持された運行実績とを比較して、運行計画と運行実績とのズレを算出する(ステップS31)。このズレを算出する処理の詳細については計画実績差異抽出部11dに関する説明として上述した通りである。
【0168】
さらに、計画実績差異抽出部11dは、運行計画と運行実績のズレが、静的運行区画保持部16で保持しているどの運行区画内で発生したズレか(どの運行区画内で発生したズレか)の対応づけを行う(ステップS32)。動的運行区画を使用した運行計画に基づく運行実績である場合には、静的運行区画保持部16を動的運行区画を用いて更新しておいてもよいが、ステップS32での対応づけは一定の大きさの静的運行区画で実行することもできる。
【0169】
そして、計画実績差異抽出部11dは、その結果を計画実績差異保持部11aに保持する。静的運行区画保持部16で保持しているどの運行区画内で発生したズレか(どの運行区画内で発生したズレか)の対応づけ処理の詳細については、計画実績差異抽出部11dに関する説明として上述した通りである。
【0170】
次いで、学習前処理部11bは、計画実績差異保持部11aに保持された、運行計画と運行実績の差異の情報に対し、後段の学習本処理部11eで機械学習を行えるようにするため、前処理としてデータの加工や置き換えを行う(ステップS33)。学習前処理としてデータの加工や置き換えの詳細については、学習前処理部11bに関する説明として上述した通りである。
【0171】
次いで、学習本処理部11eは、区画毎に重回帰分析を行い、区画毎の重回帰式を得て、この得られた重回帰式と式の係数を学習モデル保持部12に保持する(ステップS34)。生成された重回帰式と式の係数の保持の詳細については、学習本処理部11e及び学習モデル保持部12に関する説明として上述した通りである。
【0172】
図35を参照しながら、上記第2処理、つまり予測部13での処理について説明する。図35は、運行管理装置10における予測処理の一例を説明するためのフロー図である。この処理は、学習部11により学習モデルが更新された場合に実行する処理であるが、学習済みモデルの更新処理から一連の処理として連動して実行する必要はなく、動的運行区画を更新してもよいタイミングで実行する。例えば、夜間処理、定期実行などの運行計画策定時において実行されることができる。
【0173】
なお、運行計画が払い出し済み且つ未だ運行されていない運行計画がある状態で、この処理を実行したうえで、さらに新規の運行計画を生成してしまうと、運行経路により下敷きとなる区画が変わってしまう。よって、そのようなタイミングでこの処理を実行する場合は、運行計画生成部18で、区画の分割の変動に対応するための判定処理を行う必要がある。
【0174】
まず、計画実績差異予測部13aは、学習モデル保持部12で保持されている、時間帯毎の静的運行区画内で発生する経路のズレ量を予測する(ステップS41)。各時間帯について予測がなされることになる。経路のズレ量の予測方法の詳細については、計画実績差異予測部13aの説明を参照自律制御による目的地の移動の詳細については自律移動装置3に関する説明として上述した通りである。
【0175】
次いで、動的運行区画生成部13bは、ステップS41で求めた時間帯毎の経路のズレ量を元に、静的運行区画に対する分割数(結合数や使用禁止、無結合もあり)を決定して、動的運行区画保持部14に保持する(ステップS42)。静的運行区画の分割数の決定方法の詳細については、動的運行区画生成部13b及び動的運行区画保持部14に関する説明として上述した通りである。
【0176】
図36を参照しながら、上記第3処理、つまり運行計画生成部18での処理について説明する。図36は、運行管理装置10における運行計画生成処理の一例を説明するためのフロー図である。この処理は、利用者4の申請を契機に実行される。
【0177】
まず、運行計画生成部18は、利用者4からの運行の起点、終点と希望する発着時刻を受付け、区画内での自律移動装置の競合が起きず、且つ、極力希望する発着時刻の希望に沿えるよう運行計画を生成し、運行計画保持部17に保持する(ステップS51)。運行計画の生成方法の詳細については、運行計画生成部18に関する説明として上述した通りである。
【0178】
次いで、運行計画生成部18は、生成した運行計画を利用者4や自律移動装置3に払い出す(ステップS52)。運行計画の払い出しの詳細については、運行計画生成部18に関する説明として上述した通りである。
【0179】
<他の応用例>
本実施形態では、3次元空間における運行計画についての例を主に示したが、地上を走行する自律移動装置のために、2次元平面における運行計画について適用することもできる。その場合、区画については上限高度、下限高度や目標到達座標や実績到達座標の高度の情報は使わなくともよい。また、走行する自律移動装置に適用する場合であっても、立体駐車場や車両が入れる大型物流センタや工場など、階層構造がある状況で使用する場合は、高度で表現する以外に、階高情報で表現してもよい。
【0180】
また、本実施形態では、学習結果に基づき、静的運行区画を分割した動的運行区画を用いることで、空間あたりの収容能力を高めた例を挙げた。しかし、これに限ったものではなく、学習した結果、静的運行区画を超えて位置ズレや時間ズレが発生するような学習結果が得られた場合、逆に分割ではなく、隣接する運行区画と連結して1区画を広くしてもよい。これは、動的運行区画の情報に、複数の隣接区画IDを保持する列を追加し、動的運行区画生成部13bで、予測されたズレが、静的運行区画の大きさを超えた場合に、隣接区画のIDを動的運行区画保持部14に登録するようにすればよい。これにより、運行経路からズレて区画からはみ出しが起きやすい区画が既に割り当てられている場合に、隣接する区画を別のドローンに割り当てずに済み、衝突が回避できるという効果がある。
【0181】
また、本実施形態では、説明変数として時間帯番号や季節帯番号を用いた例を主に挙げたが、この項目を増やしたり、別の項目に置き換えることもできる。つまり、目的変数との相関が見込める情報であれば、運行実績のみから学習対象のデータを得るだけでなく他の情報元からの項目も用いることができる。例えば、地上を運行する自律移動装置に適用する場合、各区画の地表面の状態種別に番号を付けたもの(舗装、未舗装、砂利、砂など)など追加して利用してもよいし、洋上を運行する自律移動装置に適用するのであれば、区画毎の波の高さを追加してもよい。また、空を運行する自律移動装置の場合でも、区画毎の気象情報を加えてもよい。また、運行実績から得る情報の項目を増やすこともできる。例えば、自律移動装置にセンサなどを搭載し、振動情報や気温情報、推進に使うモータやエンジンの出力の変動や、傾き、燃料消費状況などの情報を目的変数に加えてもよい。このような様々な応用により、予測精度の向上や、より実態に即した学習済みモデルを構築することができる。
【0182】
また、本実施形態では、目的変数を位置ズレ距離とした例を主に挙げたが、目的変数として位置ズレ方向を用いることもできる。位置ズレ距離に位置ズレの方向を併用することで、区画を分割する際にすべて、均等に分割するのではなく、特定の方向に向かってのみ分割或いは結合するということができ、さらに空間の利用効率を高める効果がある。
【0183】
また、本実施形態では、時間的余裕を運行実績に応じて短く又は長くするようにすることもできる。このような例について図37図39を参照しながら説明する。図37図39は、図22の予測部における予測処理の他の例を説明するための模式図である。
【0184】
図37の左図は運行計画を示すデータであり、図37の右図は運行実績を示すデータである。ここで、図37の右図において破線で囲むデータは、運行計画にはない座標間のデータを指している。このように運行計画にはない座標のデータが存在した場合には時間の遅れや進みについてその存在を考慮する必要がある。データ数が異なるため、対応がとれないためである。
【0185】
そのため、運行計画と運行実績の差異を求める処理を行う際に、まず、運行計画のデータ数を計算で増やして、運行実績のデータ数に合わせる。例えば、図38に示すように、2つのメッシュ間(この例では2番のメッシュと3番のメッシュとの間)で座標及び時間を、増加したデータ数に合わせて等間隔に算出する。これにより、図39の左図(運行計画を示す図)で例示するように、図39の右図(運行実績を示す図)と同様にデータを増やし、運行計画と運行実績との間の時間の遅れ進みを求めることができる。
【0186】
これを目的変数として用いると、運行計画を行う先、1つの自律移動装置に1つの運行区画を占有させる時間帯を過去の傾向に則して短く設定できるようになるため、空間の利用効率が一層高まるという効果が得られる。
【0187】
<他の実施形態>
[a]
各実施形態において、運行計画生成装置の機能、運行管理装置の機能、自律移動装置の機能、学習装置の機能などについて説明したが、各装置は、例示した構成例に限ったものではなく、各装置としてこれらの機能が実現できればよい。
【0188】
[b]
各実施形態に係る各装置は、次のようなハードウェア構成を有していてもよい。図40は、装置のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、上記他の実施形態[a]についても同様である。
【0189】
図40に示す装置100は、プロセッサ101、メモリ102、及びインタフェース103を有することができる。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPUなどであってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。各実施形態で説明した各装置における機能は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。この際、情報の入出力は、内部の他の部位や外部の他の装置との通信を行う通信インタフェース等のインタフェース103を介して行うことができる。
【0190】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、この例は、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0191】
[c]
さらに、上述した各実施形態において、運行計画生成装置における処理の手順や学習装置における処理の手順を例示したように、本開示は、運行計画生成装置における運行計画生成方法としての形態や学習装置における学習方法としての形態も採り得る。この運行計画生成方法は、図4で説明したような生成ステップ及び予測ステップを備えることができ、その他の例については、上述した各実施形態で説明した通りである。また、この学習方法は、図3で説明したような入力ステップ及び学習ステップを備えることができ、その他の例については、上述した各実施形態で説明した通りである。
【0192】
また、運行計画生成装置に関するプログラム(運行計画生成プログラム)は、運行計画生成装置に搭載された又は運行計画生成装置として機能させるコンピュータ(制御コンピュータ)に生成ステップ及び予測ステップを実行させるためのプログラムであると言える。学習装置に関するプログラム(学習プログラム)は、学習装置に搭載された又は学習装置として機能させるコンピュータ(制御コンピュータ)に入力ステップ及び学習ステップを実行させ、学習済みモデルを生成させるためのプログラムであると言える。
【0193】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0194】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
<付記>
(付記1)
自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、前記自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する生成部と、
予測部と、
を備え、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記予測部は、少なくとも前記運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行される実績である運行実績との差異を予測し、
前記生成部は、前記予測部で予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、前記運行条件に基づく前記自律移動装置の運行計画を生成する、
運行計画生成装置。
(付記2)
前記予測部で予測された区画毎の差異に応じて新たな区画を生成し、前記新たな区画を運行計画の生成用として設定する区画更新部を備える、
付記1に記載の運行計画生成装置。
(付記3)
前記差異は、前記運行予定に含まれる区画と同時刻に実際に運行されていた区画との空間的な差異である空間的差異を含み、
前記区画更新部は、前記運行予定に含まれる区画について前記空間的差異が小さかった区画が前記空間的差異が大きかった区画に比べて、空間的及び時間的の少なくとも一方で小さくなるように前記新たな区画を設定する、
付記2に記載の運行計画生成装置。
(付記4)
前記差異は、前記運行予定に含まれる区画を通過する予定の時刻と実際に通過した時刻との差異である時間的差異を含み、
前記区画更新部は、前記運行予定に含まれる区画について前記時間的差異が小さかった区画が前記時間的差異が大きかった区画に比べて、空間的及び時間的の少なくとも一方で小さくなるように前記新たな区画を設定する、
付記2又は3に記載の運行計画生成装置。
(付記5)
前記区画更新部は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための区画について、空間的及び時間的の少なくとも一方で最小限となるように、前記新たな区画を設定する、
付記2~4のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記6)
前記差異は、前記運行予定に含まれる区画と同時刻に実際に運行されていた区画との空間的な差異である空間的差異と、前記運行予定に含まれる区画を通過する予定の時刻と実際に通過した時刻との差異である時間的差異と、の少なくとも一方である、
付記1又は2に記載の運行計画生成装置。
(付記7)
前記予測部は、前記差異の予測を、自律移動装置の種類、自律移動装置の型式、及び運行環境の少なくとも1つ毎に実行する、
付記1~6のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記8)
前記予測部は、学習済みモデルを用いて前記差異の予測を実行する、
付記1~7のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記9)
運行計画の生成に使用される区画毎に、前記運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行された前記運行実績との差異を分析し、新たな運行計画で生じ得る前記差異を予測する学習済みモデルを分析結果に基づき生成する学習部を備え、
前記予測部は、前記学習部で生成された前記学習済みモデルを用いて前記差異の予測を実行する、
付記1~7のいずれか1項に記載の運行計画生成装置。
(付記10)
前記学習済みモデルは、運行時間帯、運行季節、運行環境の少なくとも1つを含む情報を入力し、前記差異の予測値を出力するモデルである、
付記8又は9に記載の運行計画生成装置。
(付記11)
自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画と、前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績と、を入力する入力部と、
学習部と、
を備え、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記学習部は、前記運行計画の生成に使用される前記区画毎に、前記運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績との差異を分析し、新たな運行計画で生じ得る前記差異を予測する学習済みモデルを分析結果に基づき生成する、
学習装置。
(付記12)
自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、前記自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する生成ステップと、
予測ステップと、
を備え、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記予測ステップは、少なくとも前記運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行される実績である運行実績との差異を予測し、
前記生成ステップは、前記予測ステップで予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、前記運行条件に基づく前記自律移動装置の運行計画を生成する、
運行計画生成方法。
(付記13)
自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画と、前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績と、を入力する入力ステップと、
学習ステップと、
を備え、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記学習ステップは、前記運行計画の生成に使用される前記区画毎に、前記運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績との差異を分析し、新たな運行計画で生じ得る前記差異を予測する学習済みモデルを分析結果に基づき生成する、
学習方法。
(付記14)
コンピュータに、自律移動装置の運行について入力された運行条件に基づき、前記自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画を生成する生成ステップと、予測ステップと、を実行させ、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記予測ステップは、少なくとも前記運行計画に含まれる経路上の区画のそれぞれについて、運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行される実績である運行実績との差異を予測し、
前記生成ステップは、前記予測ステップで予測された区画毎の差異に応じて更新された新たな区画を用い、前記運行条件に基づく前記自律移動装置の運行計画を生成する、
プログラム。
(付記15)
コンピュータに、自律移動装置の運行予定の経路を示す運行計画と、前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績と、を入力する入力ステップと、学習ステップと、を実行させ、
前記経路は、他の自律移動装置との同時又は同時間帯での共在を避けるための領域である区画の連続で表現される情報を含み、
前記学習ステップは、前記運行計画の生成に使用される前記区画毎に、前記運行計画と前記運行計画に基づき実際に運行された実績である運行実績との差異を分析し、新たな運行計画で生じ得る前記差異を予測する学習済みモデルを分析結果に基づき生成する、
プログラム。
【符号の説明】
【0195】
1 運行計画生成装置
1a 生成部
1b、13 予測部
2 学習装置
2a、11 学習部
2b 入力部
3 自律移動装置
4 利用者
12 学習モデル保持部
14 動的運行区画保持部
15 運行実績保持部
16 静的運行区画保持部
17 運行計画保持部
18 運行計画生成部
11a 計画実績差異保持部
11b 学習前処理部
11c 目的変数説明変数保持部
11d 計画実績差異抽出部
11e 学習本処理部
13a 計画実績差異予測部
13b 動的運行区画生成部
100 装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40