IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカラトミーの特許一覧 ▶ 株式会社ギャングの特許一覧

<>
  • 特開-歩行玩具 図1
  • 特開-歩行玩具 図2
  • 特開-歩行玩具 図3
  • 特開-歩行玩具 図4
  • 特開-歩行玩具 図5
  • 特開-歩行玩具 図6
  • 特開-歩行玩具 図7
  • 特開-歩行玩具 図8
  • 特開-歩行玩具 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026488
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】歩行玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 11/18 20060101AFI20220203BHJP
   A63H 13/02 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A63H11/18 A
A63H13/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020129990
(22)【出願日】2020-07-31
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(71)【出願人】
【識別番号】503439167
【氏名又は名称】株式会社ギャング
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 智人
(72)【発明者】
【氏名】岩神 美咲
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA01
2C150DA04
2C150DA27
2C150DA28
2C150DF01
2C150DG02
2C150EB01
2C150EC03
2C150EC15
(57)【要約】
【課題】左右の揺すりが大きく、且つ、簡素な構造で左右の重心移動を円滑に行うことができる歩行玩具を提供すること。
【解決手段】胴と、所定範囲で前後に揺動可能な左右の脚と、前記左右の脚を揺動させて歩行させる脚動作装置を備えた歩行玩具であって、前記左右の脚の各々に対応して左右に付設され、足裏内側近くに位置し爪先側から踵側に向けて延びる足軸を中心に上下に揺動可能する足と、前記左右の足の各々に対応して左右に付設され、前記脚の揺動に伴って前記足軸を中心に前記足を揺動させて前記脚に対する足裏の角度を変える足動作機構を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴と、所定範囲で前後に揺動可能な左右の脚と、前記左右の脚を揺動させて歩行させる脚動作装置とを備えた歩行玩具であって、
前記左右の脚の各々に対応して左右に付設され、足裏の内側近くに位置し爪先側から踵側に向けて延びる足軸を中心に上下に揺動可能する足と、
左右の足の各々に対応して左右に付設され、前記脚の揺動に伴って前記足軸を中心に前記足を揺動させて前記脚に対する足裏面の角度を変える足動作機構を備えたことを特徴とする歩行玩具。
【請求項2】
前記足は、足裏面が前記脚に対して直角となる面を基準とした場合、前記足裏面が前記面よりも前記脚の根元側に近付く第1位置と、前記足裏面が前記面よりも前記脚から遠ざかる第2位置との間で揺動可能に構成され、前記足動作機構は、前記脚が前端位置にあるときには前記第1位置を取らせ、前記脚が後端位置にあるときに前記第2位置を取らせることを特徴とする請求項1に記載の歩行玩具。
【請求項3】
前記足動作機構は、前記脚に連動して回転動作する端面カムと、前記脚から前記足に亘って設けられ前記端面カムのカム面に摺接して前記足を揺動させる従動子とを含んで構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歩行玩具。
【請求項4】
前記脚動作機構は、前記脚を後端位置から前方に揺動させるときに前後方向の中間位置で当該脚が最上位置に至るように前記胴に対して当該脚を上昇させ、前記脚を前端位置から後方に揺動させるときに前後方向の中間位置で当該脚が最下位置に至るように前記胴に対して当該脚を降下させる偏心カムを備えることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の歩行玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行玩具として、例えば、二本の脚を交互に前後方向で揺動させて歩行する歩行玩具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この歩行玩具では、足裏は、内側から外側へ向けて上り勾配を有するように構成しているので、左右に胴を揺すりながら前進歩行することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61-60988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の歩行玩具では、左右の揺すりを大きくすることが難しい。
すなわち、左右の揺すりを大きくするためには、足裏における内側から外側へ向けての上り勾配を大きくすることが必要となる。しかしながら、例えば左足で胴を支えて左に身体を揺すらせ後、右足で胴を支えて右に身体を揺すらせるには、左から右への重心移動が必要となる。しかしながら、足裏における内側から外側へ向けての上り勾配を大きくすると、重心移動が難しくなる。また、足裏の勾配は固定であることから、瞬間的に重心移動が起こってしまい、動きがぎこちないものとなってしまう。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、左右の揺すりが大きく、且つ、簡素な構造で左右の重心移動を円滑に行うことができる歩行玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
胴と、所定範囲で前後に揺動可能な左右の脚と、前記左右の脚を揺動させて歩行させる脚動作装置とを備えた歩行玩具であって、
前記左右の脚の各々に対応して左右に付設され、足裏の内側近くに位置し爪先側から踵側に向けて延びる足軸を中心に上下に揺動可能する足と、
左右の足の各々に対応して左右に付設され、前記脚の揺動に伴って前記足軸を中心に前記足を揺動させて前記脚に対する足裏面の角度を変える足動作機構を備えたことを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、前記足は、足裏面が前記脚に対して直角となる面を基準とした場合、前記足裏面が前記面よりも前記脚の根元側に近付く第1位置と、前記足裏面が前記面よりも前記脚から遠ざかる第2位置との間で揺動可能に構成され、前記足動作機構は、前記脚が前端位置にあるときには前記第1位置を取らせ、前記脚が後端位置にあるときに前記第2位置を取らせることを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段であって、前記足動作機構は、前記脚に連動して回転動作する端面カムと、前記脚から前記足に亘って設けられ前記端面カムのカム面に摺接して前記足を揺動させる従動子とを含んで構成されていることを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第1の手段~第3の手段のいずれかであって、前記脚動作機構は、前記脚を後端位置から前方に揺動させるときに前後方向の中間位置で当該脚が最上位置に至るように前記胴に対して当該脚を上昇させ、前記脚を前端位置から後方に揺動させるときに前後方向の中間位置で当該脚が最下位置に至るように前記胴に対して当該脚を降下させる偏心カムを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1の手段によれば、脚の揺動に伴って足軸を中心に足を揺動させて脚に対する足裏面の角度を変える足動作機構を備えるので、左右の揺すりが大きく、且つ、簡素な構造で左右の重心移動を円滑に行うことができる歩行玩具が実現される。
【0010】
第2の手段によれば、後方位置で一方の足の足裏面が地面を押すこととなり、反対側の足への重心移動が簡易な構成で簡単に行えることになる。
【0011】
第3の手段によれば、端面カムと従動子により重心移動手段及び傾動手段が構成されるので、構造を簡素なものとすることができる。
【0012】
第4の手段によれば、脚を後端位置から前方に揺動させるときに前後方向の中間位置で当該脚が最上位置に至るように胴に対して当該脚を上昇させるので、前側の脚を追い越しやすくなるとともに、自然に近い足の運びを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の歩行玩具を示した斜視図である。
図2】実施形態の歩行玩具の背面図である。
図3図1の歩行玩具の内部構造を示した斜視図である。
図4図1の歩行玩具の脚動作機構及び足動作機構を示した前方斜視図である。
図5図1の歩行玩具の脚動作機構及び足動作機構を示した後方斜視図である。
図6図1の歩行玩具の脚動作機構及び足動作機構の一部を切り欠いて示した斜視図である。
図7図1の歩行玩具の腕動作機構を示した前方斜視図である。
図8図1の歩行玩具の腕動作機構を示した後方斜視図である。
図9図1の歩行玩具の脚動作機構の一部を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の歩行玩具を図面に示した実施形態に基づいて説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る歩行玩具1の斜視図である。
この歩行玩具1は、二足歩行人形として構成され、大別して、胴2、左右の脚3a,3b(図4図5参照)、左右の腕4a,4b及び頭5を備えている。この歩行玩具1は、後頭部の電源スイッチ6を操作することにより電源を投入すると、左右の脚3a,3bが前後に揺動して身体全体を左右に交互に揺すりながら前進歩行する。その際、歩行玩具1は、左右の腕4a,4bを動作させるとともに、頬を点滅させ、所定の音声を発する。
【0016】
図3は歩行玩具1の内部構造を示した斜視図である。
歩行玩具1の背中側には2本の電池73,73が着脱可能に配置され、頭5には回路基板72、スイッチボックス71及びスピーカ8が配置されている。また、頭5の内部の前側両横には頬を点滅させる発光ダイオード9a,9bが配置されている。さらに、歩行玩具1の内部には、脚動作機構10(図4,5,9参照)、左右の足動作機構11a,11b(図6参照)及び腕動作機構12(図7,8参照)が配置されている。
【0017】
(脚動作機構10)
図4は脚動作機構10の前方斜視図、図5は脚動作機構10の後方斜視図である。
動力源であるモータMは縦置きにされ、モータ歯車13の回転動力は、歯車14~19を介して歯車20に伝達される。歯車15はねじ歯車である。また、歯車20が固定された軸21の左右には、軸21から偏心した位置に円柱状の偏心カム22a,22bが付設されている。そして、胴2の内部で、偏心カム22aには左の脚3aが係合し、偏心カム22bには右の脚3bが係合している。すなわち、左の偏心カム22aは、前後に揺動可能な左の脚3aの長孔300aに挿入され、右の偏心カム22bは、前後に揺動可能な右の脚3bの長孔300bに挿入されている。この左の偏心カム22aと右の偏心カム22bとは軸周りに互いに180度付設位置がずれている。また、互いに噛み合う歯車19及び歯車20は同形で歯数が同じであり、互いに反対方向に同じ速度で回転する。
また、図9は脚動作機構10の一部を示した側面図である。脚3aは歯車19の軸27に付設された円柱状の偏心カム28aに係合している。つまり、脚3aの長手方向中間部には円形の孔301aが形成され、この孔301a内には偏心カム28aが配置されている。偏心カム28aはクランクを構成している。また、図示はしないが、左の脚3aも同様に偏心カムに係合している。そして、左の偏心カム28aと対応する右の偏心カムとは軸周りに互いに180度付設位置がずれている。この左右の偏心カム28a等によって、脚3a,3bを後端位置から前方に揺動させるときに前後方向の中間位置で当該脚3a,3bが最上位置に至るように胴2に対して当該脚3a,3bを上昇させ、脚3a,3bを後端位置から後方に揺動させるときに前後方向の中間位置で当該脚3a,3bが最下位置に至るように胴2に対して当該脚を降下させる。
その結果、モータMが駆動されると、左右の脚3a,3bが偏心カム22a,22b及び軸28a等の働きによって多少の上下動を伴って前後反対方向に揺動する。これにより、前側の脚を後側の脚が追い越しやすくなるとともに、自然に近い足の運びを実現できる。
なお、胴2の内部で偏心カム22a,22b,28a等と脚3a,3bとの係合がなされているため、係合部が外部に露出しないので、外観を損ねることはない。また、特に限定はされないが、本実施形態では、左右の偏心カム28a等は、歯車19,20の回転中は常時に左右の偏心カム22a,22bの下方に位置していてもよいが、歯車19,20の1歯数分ずらしてある。これによって、足31a,31bの動作態様がより楕円となり、より自然な足運びを実現できる。
【0018】
(足31a,31bの取付け構造)
左の脚3aの下には左の足31aが、また、右の脚3bの下には左の足31bが付設されている。なお、左右の足31a,31bの取付け構造は左右対称であるため、主に、左の足31aの取付け構造について説明し、右の足31bの取付け構造の対応部分は括弧内の符号のみで示すこととする。
足31a(31b)には、足首部分が一体的に形成されている。足31a(31b)は、内部が空洞となっており、足首部分の上端には、空洞に連なる開口が形成されている。開口からは、脚3a(3b)の下端部が挿入されている。そして、脚3a(3b)は、足軸32a(32b)を介して足31a(31b)に連結されている。足軸32a(32b)は、足31a(31b)の内側近くに位置し、前後方向に延在している。そして、足31a(31b)は足軸32a(32b)を中心に上下に揺動可能に構成されている。この場合の足31a(31b)の揺動範囲は、足31a(31b)の足裏面が脚3a(3b)に対して直角となる面(仮想面)を考えた場合、足31a(31b)の足裏面が仮想面よりも脚3a(3b)の根元側に近付く第1位置と、足31a(31b)の足裏面が仮想面よりも脚3a(3b)の根元側から遠ざかる第2位置との間とすることが好ましい。
【0019】
(足動作機構11a,11b)
図6は、歩行玩具1の脚動作機構10及び足動作機構11a,11bの一部を切り欠いて示した斜視図である。
歩行玩具1は左右の足動作機構11a,11bを備えている。なお、左右の足動作機構11a,11bの構造は左右対称であるため、主に、左の足動作機構11aの構造について説明し、右の足動作機構11bの構造の対応部分は括弧内の符号のみで示すこととする。
足動作機構11a(11b)は、カム面として山部及び谷部を有する端面カム33a(33b)と、端面カム33a(33b)によって動作される「く」の字状の従動子34a(34b)とを備えている。端面カム33a(33b)の谷部と山部は軸を挟んだ対向位置に形成されている。また、左右の端面カム33a,33bは位相が互いに180度ずらしてある。
端面カム33a(33b)は歯車19と同じ軸27に付設され、歯車19の回転に伴って回転する。
従動子34a(34b)は、中間部が軸35a(35b)を介して脚3a(3b)に支持されている。そして、従動子34a(34b)の上端部は端面カム33a(33b)のカム面にトーションばね36a(36b)によって押し付けられている。一方、従動子34a(34b)の下端部は足31a(31b)の隙間内に位置し、隙間画成部材に上下で摺接するように構成されている。
【0020】
(腕4a,4bの取付け構造)
図7は、歩行玩具の腕動作機構12を示した前方斜視図、図8は、歩行玩具の腕動作機構12を示した後方斜視図である。
左の腕4aは軸40aを介して胴2に支持され、右の腕4bは軸40bを介して胴2に支持されている。軸40aと軸40bは、軸心を共通にし、互いに連結部41によって連結されている。連結部41には操作片42が付設されている。操作片42には上端に切れ込み43が形成されている。
【0021】
(腕動作機構12)
上記歯車16の回転動力は、歯車44~47を介して回転板48に伝達される。回転板48には偏心ピン49が付設され、偏心ピン49は上記切れ込み43に挿入されている。その結果、モータMの回転動力によって左右の腕4a,4bが動作することになる。
【0022】
(歩行動作)
左右の脚3a,3bは互いに前後反対方向に揺動される。この場合の左右の脚3a,3b及び脚31a,31bの動作を説明すれば次の通りである。
【0023】
今、左の脚3aが揺動の前端位置にあり、足31aの足裏面が接地され、他方の足31bの足裏面が宙に浮いているものとする。このときには、従動子34aの上端部が端面カム33aの谷部に当接している。この場合、右の脚3bは揺動の後端位置にあり、従動子34bの上端部が端面カム33bの山部に当接している。そして、歩行玩具1は深く左に傾斜している。
【0024】
この状態から脚3aが後方に揺動され、反対に脚3bが前方に揺動されると、従動子34aの上端部と端面カム33aとの当接部が山部側に徐々に移行し、歩行玩具1の左への傾斜が徐々に浅くなってゆく。そして、前側にあった脚3aを後側にあった脚3bが追い越し前端に至ると、追い越された脚3aの足31aの足裏面によって地面が押されて、反対の足31b側に歩行玩具1の重心が移動する。これにより、足31bの足裏面が接地され、他方の足31aの足裏面が宙に浮く。このとき、左の脚3bは、従動子34bの上端部と端面カム33bとの当接部が谷部に至るので、歩行玩具1は深く右に傾斜する。
次に、脚3bが後方に揺動され、反対に脚3aが前方に揺動されると、従動子34bの上端部と端面カム33bとの当接部が山部側に徐々に移行し、歩行玩具1の右への傾斜が徐々に浅くなってゆく。そして、前側にあった脚3bを後側にあった脚3aが追い越し前端に至ると、追い越された脚3bの足31bの足裏面によって地面が押されて、反対の足31a側に歩行玩具1の重心が移動する。これにより、足31aの足裏面が接地され、他方の足31bの足裏面が宙に浮く。このとき、左の脚3aは、従動子34aの上端部と端面カム33aとの当接部が谷部に至るので、歩行玩具1は深く左に傾斜する。
歩行玩具1は、以上の動作を繰り返すことにより歩行を継続する。
【0025】
このように構成された歩行玩具1によれば次のような主たる効果を得ることができる。
すなわち、脚3a,3bの揺動に伴って足軸32a,32bを中心に足31a,31bを揺動させて脚2に対する足裏面の角度を変える、左右の揺すりが大きく、且つ、簡素な構造で左右の重心移動を円滑に行うことができる歩行玩具1が実現される。
また、脚3a、3bを前端位置から後方に揺動させるときには、足裏が脚3a,3bから遠ざかる方向に足31a,31bを揺動させるので、当該足31a,31bの足裏面で地面が押されることになり、反対の足31b,31a側への重心移動が簡易な構成で簡単に行えることになる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、端面カム33a,33bを軸27を中心に回転させたが、脚3a,3bの揺動に伴って従動子34a,34bの方も端面カム33a,33bの周りで回転する構造となっているので、端面カム33a,33bのカム面の形状を適切なものとすれば、端面カム33a,33bを胴2に固定して設けてもよい。
【0027】
また、上記実施形態では、偏心カム22a,22b,28a等により脚3a,3bを動作させることとしたが、単に所定の軸を中心に脚3a,3bを揺動させるようにしてもよい。
【0028】
また、上記実施形態では、脚を後端位置から前方に揺動させるときには第1位置側に向けて足を揺動させ、脚を前端位置から後方に揺動させるときには第2位置側に向けて足を揺動させたが、脚を後端位置から前方に揺動させるときには、中間位置まで第2位置側に足を揺動させ、中間位置から前端位置まで第1位置側に足を揺動させ、脚を前端位置から後方に揺動させるときには、中間位置まで第1位置側に足を揺動させ、中間位置から後端位置まで第2位置側に足を揺動させるようにすることもできる。
この場合の歩行玩具1の動作を具体的に説明すれば以下の通りである。
【0029】
今、左の脚3aが揺動の前端位置にあり、足31aの足裏面が接地され、他方の足31bの足裏面が宙に浮いているものとする。このときには、従動子34aの上端部が端面カム33aの谷部と山部の中間に当接している。この場合、右の脚3bは揺動の後端位置にあり、従動子34bの上端部が端面カム33bの谷部と山部の中間に当接に当接している。そして、歩行玩具1は左に傾斜している。
【0030】
この状態から脚3aが後方に揺動されると、中間部までは、従動子34aの上端部と端面カム33aとの当接部が谷部側に徐々に移行し、歩行玩具1の左への傾斜が徐々に深くなってゆく。そして、中間部を過ぎると、今度は、従動子34aの上端部と端面カム33aとの当接部が徐々に山部側に移行し、歩行玩具1が起き上がってゆく。
一方、この状態から脚3bが前方に揺動されると、中間部までは、従動子34bの上端部と端面カム33bとの当接部が山部側に徐々に移行し、中間部を過ぎると、今度は、従動子34bの上端部と端面カム33bとの当接部が徐々に谷部側に移行する。
そして、前側にあった脚3aを後側にあった脚3bが追い越して前端位置に至り、追い越された脚3aが後端位置に至ると、脚3aの足31aの足裏面によって地面が押され、反対の足31b側に歩行玩具1の重心が移動する。これにより、足31bの足裏面が接地され、他方の足31aの足裏面が宙に浮く。
また、足31bが前端位置にある状態から脚3aが後方に揺動されると、中間部までは、従動子34bの上端部と端面カム33bとの当接部が谷部側に徐々に移行し、歩行玩具1の右への傾斜が徐々に深くなってゆく。そして、中間部を過ぎると、今度は、従動子34bの上端部と端面カム33aとの当接部が徐々に山部側に移行し、歩行玩具1が起き上がってゆく。
一方、後端位置にある脚3aが前方に揺動されると、中間部までは、従動子34aの上端部と端面カム33aとの当接部が山部側に徐々に移行し、中間部を過ぎると、今度は、従動子34aの上端部と端面カム33aとの当接部が徐々に谷部側に移行する。
そして、前側にあった脚3bを後側にあった脚3aが追い越して前端位置に至り、追い越された脚3bが後端位置に至ると、脚3bの足31bの足裏面によって地面が押され、反対の足31a側に歩行玩具1の重心が移動する。これにより、足31aの足裏面が接地され、他方の足31aの足裏が宙に浮く。
歩行玩具1は、以上の動作を繰り返すことにより歩行を継続する。
【0031】
このように構成された歩行玩具1によれば次のような主たる効果を得ることができる。
すなわち、脚3a,3bを前方に揺動させるときには足裏面が脚3a,3bの根元側に近付く方向に足31a,31bを揺動させるので、前端に至ったときに身体(胴2)を一方向に傾けさせることができる。また、脚3a,3bを後方に揺動させるときには足裏面が脚3a,3bの根元側から遠ざかる方向に揺動させるので、足裏面で地面を押すことになり、反対の足31b。31a側への重心移動が簡易な構成で簡単に行えることになる。
【符号の説明】
【0032】
1 歩行玩具
3a,3b 脚
4a,4b 腕
11a,11b 足動作機構
12 腕動作機構
22a,22b 偏心カム
24a,24b 軸
31a,31b 足
32a,32b 足軸
33a,33b 端面カム
34a,34b 従動子
M モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9