(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026521
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】カンゾウ多糖及びキキョウ多糖を含む植物抽出物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/484 20060101AFI20220203BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220203BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220203BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220203BHJP
C08B 37/00 20060101ALI20220203BHJP
A61K 36/346 20060101ALI20220203BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220203BHJP
A61K 125/00 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
A61K36/484
A61P37/02
A61P37/08
A61P31/12
C08B37/00 Z
A61K36/346
A23L33/105
A61K125:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130044
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】595132360
【氏名又は名称】株式会社常磐植物化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】本田 遥乃
(72)【発明者】
【氏名】小林 夕希子
(72)【発明者】
【氏名】國吉 智子
(72)【発明者】
【氏名】楊 金緯
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
4C090
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD61
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF04
4B018MF06
4B018MF14
4C088AB30
4C088AB60
4C088AC11
4C088BA09
4C088BA26
4C088CA05
4C088CA11
4C088CA17
4C088MA04
4C088NA14
4C088ZB07
4C088ZB13
4C088ZB33
4C090AA08
4C090AA09
4C090BA91
4C090BC10
4C090BC11
4C090BD37
4C090CA10
4C090CA11
4C090CA15
4C090CA19
4C090CA44
4C090DA23
4C090DA27
(57)【要約】
【課題】新たな植物抽出物の製造方法及びこれにより製造される植物抽出物を提供する。
【解決手段】
本発明の一観点に係る植物抽出物の製造方法は、カンゾウとキキョウを混合してから加圧により抽出するものである。また、この結果得られる本発明の他の一観点に係る植物抽出物は、カンゾウ多糖及びキキョウ多糖を含むことを特徴とするものである。本観点において、限定されるわけではないが、分子量10,000以上の多糖を含有すること、カンゾウとキキョウを混合し、大気圧より高く0.18MPa以下の密封状態の加圧下で100℃より高く120℃より低い温度の熱水により抽出することが好ましい。なお、この植物抽出物は、食品組成物、医薬品組成物として適用することが可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンゾウ多糖及びキキョウ多糖を含むことを特徴とする植物抽出物。
【請求項2】
カンゾウとキキョウを混合してから加圧により抽出した請求項1に記載の植物抽出物。
【請求項3】
分子量10,000以上の多糖を含有することを特徴とする請求項1記載の植物抽出物。
【請求項4】
カンゾウとキキョウを混合し、大気圧より高く0.18MPa以下の密封状態の加圧下で100℃より高く120℃より低い温度の熱水により抽出した請求項1に記載の植物抽出物。
【請求項5】
請求項1に記載の植物抽出物を含む食品組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の植物抽出物を含む医薬品組成物。
【請求項7】
カンゾウとキキョウを混合してから加圧により抽出するカンゾウ多糖及びキキョウ多糖を含む植物抽出物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンゾウ多糖及びキキョウ多糖を含む植物抽出物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カンゾウ(学名 Glycyrrhiza glabra、G.uralensis、G.echinata、G.inflata、G.yunnanensis、G.eurycarpa、G.aspera、G.pallidiflora、和名 甘草、英名 Licorice)は、中国の東北部、北部、西北部、さらに蒙古、シベリアなどに広く分布する多年生草本である。大きな根茎と四方に地下茎を走出し、主根は長く1~2mに達するのが特徴である。
【0003】
また、キキョウ(学名 Platycodon grandiflorus、和名 桔梗、英名 Balloon flower)は、東アジアの温帯に広く分布する多年生草本であり、鮮青色、あるいは青白色の鐘状花を開く。根は肥大、肉質で、長い紡錘形となる。
【0004】
多糖は単糖分子がグルコシド結合でつながった糖ポリマーの総称である。多糖は大きく消化性多糖と不消化性多糖に分けられ、不消化性多糖では種々の機能性が報告されている。不消化性多糖は、食物繊維として働き、便量を増加させる作用、食物の腸管内の通過を促進する作用などが知られており、さらには、免疫賦活化作用や抗感染性作用などの生物応答性調節剤としての働きを持つ多糖が存在する。また、高分子性多糖においては種々の薬理作用が確認されており、分子量10,000以上の多糖ではその有効性が確認されている(下記特許文献1参照)。
【0005】
ところで、下記特許文献2にはカンゾウには機能性多糖が存在していることが確認されている。また、下記非特許文献1にはキキョウに機能性多糖が存在していることが知られている。そして、これら多糖にはそれぞれ免疫機能を調節する作用が報告されている。
【0006】
また、カンゾウにおいては、下記特許文献3に、加圧により分子量10,000以上の多糖を効率的に抽出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6-321792号公報
【特許文献2】特開2011-178679号公報
【特許文献3】特許第6700516号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Int Immunopharmacol.4,1477-1487(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、既知の植物であっても、その抽出方法が異なれば抽出される多糖の種類も大きく異なってくるものであり、これら植物抽出物の更なる検討によって新たな機能性多糖の提供が望まれる。上記特許文献1乃至3、非特許文献1に記載の技術は、いずれもカンゾウ、キキョウの単独での実施例が記載されるのみである。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、新たな製造方法及びこれにより製造される植物抽出物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行っていたところ、カンゾウとキキョウを混合することで、より多量に多糖が抽出可能となるとともに、分子量の大きな多糖を多く得ることができることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明の一観点に係る植物抽出物は、カンゾウ多糖及びキキョウ多糖を含むものである。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけではないが、カンゾウとキキョウを混合してから加圧により抽出したものであることが好ましい。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけではないが、分子量10,000以上の多糖を含有することが好ましい。
【0015】
また、本観点において、限定されるわけではないが、カンゾウとキキョウを混合し、大気圧より高く0.18MPa以下の密封状態の加圧下で100℃より高く120℃より低い温度の熱水により抽出したものであることが好ましい。
【0016】
また、本発明の他の一観点に係る食品組成物は、上記カンゾウ多糖及びキキョウ多糖を含む植物組成物を含むものである。
【0017】
また、本発明の他の一観点に係る医薬品組成物は、上記カンゾウ多糖及びキキョウ多糖を含む植物組成物を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例における各抽出物の分子量10,000以上の含有率について示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例における具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0020】
(製造方法)
本実施形態に係る植物抽出物の製造方法(以下「本方法」という。)は、カンゾウとキキョウを混合してから加圧により抽出するものである。
【0021】
本方法において、カンゾウ(学名 Glycyrrhiza glabra、G.uralensis、G.echinata、G.inflata、G.yunnanensis、G.eurycarpa、G.aspera、G.pallidiflora、和名 甘草、英名 Licorice)の使用部位は特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、全草、地上部、茎、葉、根を用いることができ、乾燥した根がより好ましい。
【0022】
また本方法において、キキョウ(学名 Platycodon Grandiflorus、和名 桔梗、英名 Balloon flower)の使用部位は特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、全草、地上部、茎、葉、根を用いることができ、乾燥した根がより好ましい。
【0023】
また本方法は、カンゾウとキキョウを混合してから抽出することがその特徴である。カンゾウとキキョウの混合比は、限定されるわけではないが、カンゾウに対するキキョウの乾燥原料の重量比は0.1以上10以下であることが好ましく、0.5以上5以下であることがより好ましい。1以上3以下がさらに好ましい。合計重量(乾燥原料)は抽出するための水100gに対して1g以上50g以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5g以上20g以下の範囲内である。
【0024】
また本方法は、加圧下にて抽出することもその特徴である。加圧することにより、水であっても100℃より高い温度でより多くの多糖を抽出することが可能となる。
【0025】
また、本方法において、上記加圧における圧力は、限定されるわけではないが、大気圧より高く0.18MPa以下の範囲内で行われることが好ましい。大気圧より高く0.18MPa以下とすることで抽出温度を100℃ より高く120℃ よりも低い温度範囲にすることができるといった効果がある。120℃を超えると、カンゾウ及びキキョウに含まれる多糖は分解され、10,000以下の低分子となると考えられる。
【0026】
また、本方法では、本方法の効果を発揮することができる限りにおいて限定されるわけではないが、抽出作業を1時間以上3時間以下の範囲で行うことが好ましい。1時間以上とすることで十分に多糖を抽出することができる一方、3時間以下とすることで、抽出した多糖の分解を抑えることができると推察される。
【0027】
また、本方法において、抽出は密封状態で行われることが好ましい。密封状態とすることで圧力を一定にするとともに、抽出溶媒が容器外に拡散し逃げてしまうことを防止することができる。
【0028】
また、上記圧力を維持するために、本方法では加圧容器を用いて行うことが好ましい。加圧容器に、抽出溶媒及びカンゾウ、キキョウを投入し、ヒーター等を用いて加熱することで、容器内部を効率的に加圧することができる。
【0029】
また、上記加圧容器は油浴により加温されることが好ましい。油浴をすることで抽出温度を100℃ より高く120℃ よりも低い温度範囲にすることができるといった効果がある。
【0030】
また、本方法では、上記抽出法により抽出液を得た後、ろ過、乾燥処理を行い、多糖を含む粉体とすることが好ましい。
【0031】
また、本方法において、ろ過は、抽出残渣と抽出液に分離する処理であって、例えば、メッシュ及び珪藻土を用いた固液分離を例示することができる。
【0032】
また、本方法において、乾燥処理は、上記抽出物から水を除去して安定的に保存することができるようにする処理であり、限定されるわけではないが、例えば凍結乾燥やスプレー乾燥は、抽出した多糖の構造を安定的に保存することがきるようになるため好ましい。
【0033】
また本方法では、更に、抽出により得られた抽出残渣に対し、1回目の抽出と同様にして二次抽出を行うことが好ましい。
【0034】
以上、本方法によると、カンゾウ、キキョウそれぞれ単独に抽出した場合に比べ、高い多糖含有量を得ることができるといった効果がある。また、これら抽出によって抽出される多糖の効果については後述する。
【0035】
(植物抽出物)
本実施形態に係る植物抽出物(以下「本抽出物」という。)は、上記の製造方法によって抽出されるものである。具体的には、カンゾウ多糖及びキキョウ多糖を含むこと、より具体的にはカンゾウ多糖及びキキョウ多糖が混合されたものとなっている。
【0036】
また、上記の通り、本抽出物は、カンゾウとキキョウを混合してから加圧により抽出した物となっていることが好ましい。
【0037】
また、本抽出物は、分子量10,000以上の多糖を含有するものであることが好ましい。より具体的に、本抽出物は、分子量10,000以上の多糖をその重量比で3.6重量%より多く、より好ましくは4.5重量%以上、更に好ましくは5.0重量%以上含むものとなっている。
【0038】
また、本抽出物は、カンゾウとキキョウを混合し、大気圧より高く0.18MPa以下の密封状態の加圧下で100℃より高く120℃より低い温度の熱水により抽出したものとなっていることが好ましい。
【0039】
(医薬品組成物)
また、本抽出物は、様々な用途に用いることができるが、例えば医薬品組成物に用いることができる。医薬品組成物の場合、本抽出物を有効成分として含む。医薬品組成物としては、例えば、免疫調節機能を通して、花粉症などアレルギー症、インフルエンザなどウイルスの感染症等の予防及び治療薬としての態様がある。
【0040】
また本組成物が医薬である場合に、投与方法は、効果を発揮することができる限りにおいて限定されず、上記抽出物を有効成分錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤等の内服薬の形態であってもよく、湿布剤、軟膏剤等の外用薬、更には液剤等の注射薬のいずれの形態であってもよい。すなわち、本組成物は、経口投与、注射、舌下投与、皮膚投与等が可能である。
【0041】
また本組成物が医薬である場合、上記の形態をとる組成物の製造を容易にする、品質の安定化を図る、又は効果を高める等の観点から、医薬の形態に応じて、賦形剤、安定化剤、保存剤、緩衝材、懸濁化剤、乳化剤、着色剤、着香剤、粘度調整剤等の上記有効成分以外の成分、いわゆる医薬品添加物を含むことができる。もちろん、本組成物の品質や効果等を変化させない範囲で水や生理食塩水等の溶媒を含ませることも可能である。
【0042】
(食品組成物)
また、本組成物が食品組成物である場合も、上記医薬品組成物の場合と同様、例えば、免疫調節機能を通して、花粉症などアレルギー症、インフルエンザなどウイルスの感染症等の予防及び治療に用いることができる。特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;飴、キャンディー、ガム、チョコレート等の菓子類;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤など種々の形態の健康食品、機能性表示食品や栄養補助食品が挙げられる。
【0043】
以上、本実施形態によって、新たな植物抽出物の製造方法及びこれにより製造される植物抽出物を提供することができる。
【実施例0044】
ここで、上記実施形態に記載の製造方法に関し、実際に多糖の抽出を行いその効果を確
認した。以下具体的に説明する。
【0045】
(抽出例1)
カンゾウ乾燥根30gとキキョウ乾燥根20gを混合して水500mLを加え、油浴を行い油浴温度105~107℃、0.080~0.082MPaにて1時間抽出した。その後、メッシュおよび珪藻土を用いたろ過によって固液分離を行った。また、二次抽出として、得られた抽出残渣に対して水400mLを加え加圧下で抽出を行い、続いてろ過による固液分離を行った。このろ過液に対して減圧濃縮を行い、得られた濃縮液を30分間加熱殺菌した後、凍結乾燥することによって、粉体21.19gを得た。
【0046】
(抽出例2)
カンゾウ乾燥根30gに水300mLを加え抽出を行った後、二次抽出を水240mLで行った。抽出は上記抽出例1と同じ条件において行った。この結果、粉体7.12gを得た。
【0047】
(抽出例3)
キキョウ乾燥根20gに水200mLを加え抽出を行った後、二次抽出を水160mLで行った。抽出は上記抽出例1と同じ条件において行った。この結果、粉体12.25gを得た。
【0048】
(抽出例4)
上記抽出例1において、抽出時に水浴を行い抽出する温度を大気圧下91℃とした以外は上記抽出例1と同じ条件において行った。この結果、粉体20.51gを得た。
【0049】
(実施例1)
上記抽出例1乃至3に得られた粉体に対し、含水エタノールを用いて多糖を含む画分を作成した。それらの画分に対し、フェノール硫酸法により定量を行うことで、上記抽出例1乃至3の抽出した多糖の量を算出した。すなわち、抽出例1乃至3の粉体から作成した多糖を含む画分を精密に秤量、水に溶解させ、これらの溶液に5%フェノール溶液を添加し撹拌、続いて濃硫酸を添加し撹拌することで、発色させた。発色した溶液の490nmの吸光度を測定し、グルコース溶液により作成した検量線から定量を行った。エタノール画分の収量及び抽出物の収量を用いて抽出した多糖の量(g)を算出した。なお、抽出例2及び抽出例3の結果を抽出例1の結果と比較するため、カンゾウ根およびキキョウ根の単独抽出における多糖の量から、カンゾウ30gとキキョウ20gとしたときの相加計算値を算出した。
【0050】
上記の結果、抽出した多糖の量は抽出例1で5.495g、抽出例2及び抽出例3の相加計算値で4.535gであり、抽出例1は抽出例2及び抽出例3の相加計算値と比較して1.2倍高かった。したがって、カンゾウ根およびキキョウ根の混合抽出は単独抽出と比較して多糖をより多く抽出したことが確認できた。
【0051】
(実施例2)
また上記抽出例1乃至4に対し、含水エタノールを用いて多糖画分を作成した。多糖画分約80mgを精密に量り、20mLを加え正確に20mLとした。0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、試料溶液とした。別に、サイズ排除クロマトグラフィ用標準試料プルラン約10mgに水を加えて一晩膨潤させた後、正確に10mLとして標準溶液とした。試料溶液100μLと標準溶液50μLをそれぞれ正確にとり、下記に示した条件で液体クロマトグラフ法により試験を行った。得られたクロマトグラムより、分子量9,600のプルラン標準溶液の溶出時間及びその面積値より推定される、分子量10,000以上の高分子多糖含量を算出し、さらにエタノール画分の収率を用いて抽出物あたりの分子量10,000以上の高分子多糖含量(%)を算出した。抽出例2及び抽出例3の結果を抽出例1の結果と比較するため、カンゾウ根及びキキョウ根の単独抽出物における含量から、カンゾウ:キキョウ=3:2としたときの相加計算値を算出した。この結果を
図1に示す。
【0052】
<HPLC分析条件>
検出器:示差屈折率検出器
カラム:Shodex Asahipak GS-320 HQ ,Shodex Asahipak GS-520 HQ
移動相:0.2M塩化ナトリウム水溶液
【0053】
本図の結果、抽出例1によると、抽出物中に分子量10,000以上の高分子多糖が5.09%以上含まれることが確認できた。また、本図の結果から、カンゾウ根及びキキョウ根をそれぞれ単独で加圧抽出した抽出例2及び抽出例3の相加計算値と比較して、混合して加圧抽出した抽出例1の抽出物が分子量10,000以上の高分子多糖を1.8倍多く含有することが確認できた。さらに、大気圧下熱水で抽出した抽出例4と比較して、加圧下で抽出した抽出例1の抽出物が分子量10,000以上の多糖を1.5倍多く含有することが確認できた。以上より、カンゾウ根およびキキョウ根の混合加圧抽出物は、単独加圧抽出物や混合熱水抽出物と比較して分子量10,000以上の高分子多糖をより多く含むことが確認できた。