(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026533
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】推定装置、推定方法および光通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/073 20130101AFI20220203BHJP
【FI】
H04B10/073
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130068
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】橋本 祥斉
(72)【発明者】
【氏名】三浦 真広
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA41
5K102LA06
5K102LA18
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH21
5K102MH22
5K102PA00
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】光ファイバの種類を推定し得る推定装置、推定方法および光通信システムを提供する。
【解決手段】推定装置20は、通信対象の光ファイバ16を、伝送損失がないと仮定した模範光ファイバとした場合に、送信側から模範光ファイバを伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第1光量を取得する第1取得部30と、送信側から通信対象の光ファイバ16を伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第2光量を取得する第2取得部32と、通信対象の光ファイバ16の線長を取得する第3取得部34と、第1光量、第2光量および線長に基づいて、通信対象の光ファイバ16の減衰率を算出する算出部36と、減衰率に基づいて、通信対象の光ファイバ16の種類を推定する推定部38と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1装置と第2装置とが光通信する通信対象の光ファイバの種類を推定する推定装置であって、
前記通信対象の光ファイバを、伝送損失がないと仮定した模範光ファイバとした場合に、送信側から前記模範光ファイバを伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第1光量を取得する第1取得部と、
送信側から前記通信対象の光ファイバを伝送して受信側で受光されたときの前記テスト光の第2光量を取得する第2取得部と、
前記通信対象の光ファイバの線長を取得する第3取得部と、
前記第1光量、前記第2光量および前記線長に基づいて、前記通信対象の光ファイバの減衰率を算出する算出部と、
前記減衰率に基づいて、前記通信対象の光ファイバの種類を推定する推定部と、
を備える推定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の推定装置であって、
前記第3取得部は、前記通信対象の光ファイバを前記テスト光が伝送しているときの時間を取得し、取得した前記時間に基づいて、前記通信対象の光ファイバの線長を取得する、推定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の推定装置であって、
前記算出部は、前記第1光量から前記第2光量を減算し、減算した結果得られた値に対して前記線長を除算することで、前記通信対象の光ファイバの減衰率を算出する、推定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の推定装置であって、
前記線長が、前記推定部が推定した種類に対して許容される伝送距離を超える場合には、通信障害が生じる可能性があることを通知する通知部を備える、推定装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の推定装置であって、
前記推定部は、複数の光ファイバの種類と、複数の前記光ファイバの各々に規定される規定減衰率とが対応付けられたテーブルを用いて、前記算出部が算出した前記減衰率に最も近い前記規定減衰率に対応付けられた前記光ファイバの種類を、前記通信対象の光ファイバの種類として推定する、推定装置。
【請求項6】
第1装置と第2装置とが光通信する通信対象の光ファイバの種類を推定する推定方法であって、
前記通信対象の光ファイバを、伝送損失がないと仮定した模範光ファイバとした場合に、送信側から前記模範光ファイバを伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第1光量を取得する第1取得ステップと、
送信側から前記通信対象の光ファイバを伝送して受信側で受光されたときの前記テスト光の第2光量を取得する第2取得ステップと、
前記通信対象の光ファイバの線長を取得する第3取得ステップと、
前記第1光量、前記第2光量および前記線長に基づいて、前記通信対象の光ファイバの減衰率を算出する算出ステップと、
前記減衰率に基づいて、前記通信対象の光ファイバの種類を推定する推定ステップと、
を含む推定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の推定方法であって、
前記第3取得ステップは、前記通信対象の光ファイバを前記テスト光が伝送しているときの時間を取得し、取得した前記時間に基づいて、前記通信対象の光ファイバの線長を取得する、推定方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の推定方法であって、
前記算出ステップは、前記第1光量から前記第2光量を減算し、減算した結果得られた値に対して前記線長を除算することで、前記通信対象の光ファイバの減衰率を算出する、推定方法。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の推定方法であって、
前記線長が、前記推定ステップで推定された種類に対して許容される伝送距離を超える場合には、通信障害が生じる可能性があることを通知する通知ステップを含む、推定方法。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項に記載の推定方法であって、
前記推定ステップは、複数の光ファイバの種類と、複数の前記光ファイバの各々に規定される規定減衰率とが対応付けられたテーブルを用いて、前記算出ステップで算出された前記減衰率に最も近い前記規定減衰率に対応付けられた前記光ファイバの種類を、前記通信対象の光ファイバの種類として推定する、推定方法。
【請求項11】
第1装置と、第2装置と、前記第1装置と前記第2装置とが光通信する通信対象の光ファイバとを備える光通信システムであって、
前記通信対象の光ファイバを、伝送損失がないと仮定した模範光ファイバとした場合に、送信側から前記模範光ファイバを伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第1光量を取得する第1取得部と、
送信側から前記通信対象の光ファイバを伝送して受信側で受光されたときの前記テスト光の第2光量を取得する第2取得部と、
前記通信対象の光ファイバの線長を取得する第3取得部と、
前記第1光量、前記第2光量および前記線長に基づいて、前記通信対象の光ファイバの減衰率を算出する算出部と、
前記減衰率に基づいて、前記通信対象の光ファイバの種類を推定する推定部と、
を備える光通信システム。
【請求項12】
請求項11に記載の光通信システムであって、
前記第3取得部は、前記通信対象の光ファイバを前記テスト光が伝送しているときの時間を取得し、取得した前記時間に基づいて、前記通信対象の光ファイバの線長を取得する、光通信システム。
【請求項13】
請求項11または12に記載の光通信システムであって、
前記算出部は、前記第1光量から前記第2光量を減算し、減算した結果得られた値に対して前記線長を除算することで、前記通信対象の光ファイバの減衰率を算出する、光通信システム。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載の光通信システムであって、
前記線長が、前記推定部が推定した種類に対して許容される伝送距離を超える場合には、通信障害が生じる可能性があることを通知する通知部を備える、光通信システム。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか1項に記載の光通信システムであって、
前記推定部は、複数の光ファイバの種類と、複数の前記光ファイバの各々に規定される規定減衰率とが対応付けられたテーブルを用いて、前記算出部が算出した前記減衰率に最も近い前記規定減衰率に対応付けられた前記光ファイバの種類を、前記通信対象の光ファイバの種類として推定する、光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1装置と第2装置とが光通信する通信対象の光ファイバの種類を推定する推定装置、推定方法および光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の分野では、下記の特許文献1のように、数値制御装置と、モータアンプとが光ファイバによって接続される場合がある。この場合、一般的に、数値制御装置とモータアンプとを現場に設置したときに、当該数値制御装置とモータアンプとの設置距離に適した種類の光ファイバが用意される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、数値制御装置とモータアンプとを現場に設置した後に、数値制御装置とモータアンプとの設置距離に適していない種類の光ファイバが通信対象の光ファイバとして交換されることが想定され得る。工作機械の分野以外であっても、第1装置と第2装置とを現場に設置した後に、第1装置と第2装置との設置距離に適していない種類の光ファイバが通信対象の光ファイバとして交換されることが想定され得る。このため、使用中の光ファイバの種類がどのような種類であるのかを判別できるようにすることが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、光ファイバの種類を推定し得る推定装置、推定方法および光通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、第1装置と第2装置とが光通信する通信対象の光ファイバの種類を推定する推定装置であって、前記通信対象の光ファイバを、伝送損失がないと仮定した模範光ファイバとした場合に、送信側から前記模範光ファイバを伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第1光量を取得する第1取得部と、送信側から前記通信対象の光ファイバを伝送して受信側で受光されたときの前記テスト光の第2光量を取得する第2取得部と、前記通信対象の光ファイバの線長を取得する第3取得部と、前記第1光量、前記第2光量および前記線長に基づいて、前記通信対象の光ファイバの減衰率を算出する算出部と、前記減衰率に基づいて、前記通信対象の光ファイバの種類を推定する推定部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様は、第1装置と第2装置とが光通信する通信対象の光ファイバの種類を推定する推定方法であって、前記通信対象の光ファイバを、伝送損失がないと仮定した模範光ファイバとした場合に、送信側から前記模範光ファイバを伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第1光量を取得する第1取得ステップと、送信側から前記通信対象の光ファイバを伝送して受信側で受光されたときの前記テスト光の第2光量を取得する第2取得ステップと、前記通信対象の光ファイバの線長を取得する第3取得ステップと、前記第1光量、前記第2光量および前記線長に基づいて、前記通信対象の光ファイバの減衰率を算出する算出ステップと、前記減衰率に基づいて、前記通信対象の光ファイバの種類を推定する推定ステップと、を含む。
【0008】
本発明の第3の態様は、第1装置と、第2装置と、前記第1装置と前記第2装置とが光通信する通信対象の光ファイバとを備える光通信システムであって、前記通信対象の光ファイバを、伝送損失がないと仮定した模範光ファイバとした場合に、送信側から前記模範光ファイバを伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第1光量を取得する第1取得部と、送信側から前記通信対象の光ファイバを伝送して受信側で受光されたときの前記テスト光の第2光量を取得する第2取得部と、前記通信対象の光ファイバの線長を取得する第3取得部と、前記第1光量、前記第2光量および前記線長に基づいて、前記通信対象の光ファイバの減衰率を算出する算出部と、前記減衰率に基づいて、前記通信対象の光ファイバの種類を推定する推定部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、光ファイバの種類を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の光通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】推定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明について、好適な実施形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0012】
〔実施形態〕
図1は、本実施形態の光通信システム10を説明する。光通信システム10は、第1装置12と、第2装置14と、第1装置12と第2装置14とが光通信する通信対象の光ファイバ16と、を備える。
【0013】
第1装置12は、制御を司るマスタ装置であってもよい。第1装置12として、例えば工作機械の数値制御装置などが挙げられる。第2装置14は、第1装置12の制御に基づいて作動するスレーブ装置であってもよい。第2装置14として、例えばモータを駆動するモータアンプなどが挙げられる。通信対象の光ファイバ16の一方の端部は第1装置12に接続され、通信対象の光ファイバ16の他方の端部は第2装置14に接続される。
【0014】
第1装置12には、送受信部18および推定装置20が設けられ、第2装置14には、送受信部22が設けられる。
【0015】
送受信部18および送受信部22は、通信対象の光ファイバ16を用いて光通信することで信号を伝達するものである。送受信部18から送受信部22に信号を伝達する場合、送受信部18は、伝達対象の信号を光に変換し、変換した光を通信対象の光ファイバ16に出力することで、伝達対象の信号を送受信部22に送信する。この場合、送受信部22は、通信対象の光ファイバ16を伝送する光を受光し、受光した光を伝達対象の信号に変換することで、伝達対象の信号を受信する。一方、送受信部22から送受信部18に信号を伝達する場合、送受信部22は、伝達対象の信号を光に変換し、変換した光を通信対象の光ファイバ16に出力することで、伝達対象の信号を送受信部22に送信する。この場合、送受信部18は、通信対象の光ファイバ16を伝送する光を受光し、受光した光を伝達対象の信号に変換することで、伝達対象の信号を受信する。
【0016】
推定装置20は、通信対象の光ファイバ16の種類を推定する装置である。
図2を用いて、推定装置20を説明する。推定装置20は、入力部24、記憶部26およびプロセッサ28を有する。
【0017】
入力部24は、情報を入力するものである。入力部24として、マウス、キーボード、あるいは、タッチパネルなどが挙げられる。記憶部26は、情報を記憶するものである。記憶部26として、ハードディスク、あるいは、可搬型メモリなどが挙げられる。記憶部26には、通信対象の光ファイバ16の種類を推定するための推定プログラムなどが記憶される。
【0018】
プロセッサ28は、情報を処理するものである。プロセッサ28として、CPU、あるいは、MPUなどが挙げられる。プロセッサ28は、入力部24から、通信対象の光ファイバ16の種類を推定する推定処理の開始指令が入力された場合、記憶部26に記憶された推定プログラムを実行する。この場合、プロセッサ28は、第1取得部30、第2取得部32、第3取得部34、算出部36、推定部38および通知部40として機能する。
【0019】
第1取得部30は、通信対象の光ファイバ16を、伝送損失がないと仮定した模範光ファイバとした場合に、送信側から模範光ファイバを伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第1光量を取得するものである。
【0020】
模範光ファイバとして、例えば、伝送損失がないとみなし得る程度の長さの光ファイバが挙げられる。なお、模範光ファイバは、伝送損失がないと仮定した光ファイバであるため、通信対象の光ファイバ16の種類にかかわらず第1光量は一定である。第1光量は、測定値であってもよく、シミュレーションから得られた値であってもよい。テスト光は、テスト用として用意された信号(テスト信号)が所定の波長の光に変換されたものである。
【0021】
第1取得部30は、オペレータに対して第1光量を入力すべきことを例えば表示部に表示させ、当該入力部24から入力された第1光量を取得してもよい。記憶部26に第1光量が記憶される場合、第1取得部30は、記憶部26から第1光量を取得してもよい。
【0022】
第2取得部32は、送信側から通信対象の光ファイバ16を伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第2光量を取得するものである。第2取得部32は、オペレータに対して第2光量を入力すべきことを例えば表示部に表示させ、当該入力部24から入力された第2光量を取得してもよい。第2取得部32は、第2装置14に対して第2光量を要求し、第2装置14から通信対象の光ファイバ16を介して送信された第2光量を取得してもよい。
【0023】
なお、第2取得部32は、第2装置14に対して第2光量を要求する場合、テスト信号を送受信部18に出力し、第2装置14に対して第2光量を要求するように送受信部18を制御する。この場合、第2装置14は、送受信部18から通信対象の光ファイバ16に出力されたテスト光を送受信部22が受光したときの受光量を測定し、測定した受光量を第2光量として、通信対象の光ファイバ16を介して第1装置12の送受信部18に送信する。第2取得部32は、通信対象の光ファイバ16を介して送受信部18が受信(受光)した第2光量を取得する。
【0024】
第3取得部34は、通信対象の光ファイバ16の線長を取得するものである。第3取得部34は、オペレータに対して通信対象の光ファイバ16の線長を入力すべきことを例えば表示部に表示させ、当該入力部24から入力された通信対象の光ファイバ16の線長を取得してもよい。第3取得部34は、通信対象の光ファイバ16を伝送するテスト光の時間を取得し、取得した時間に基づいて通信対象の光ファイバ16の線長を取得してもよい。
【0025】
第3取得部34は、通信対象の光ファイバ16を伝送するテスト光の時間を取得する場合、例えば、テスト光が送受信部18から通信対象の光ファイバ16に出力されたときから、第2光量が送受信部18に受光されるまでの時間を計時する。この場合、第3取得部34は、計時した時間から、第2装置14が第2光量を測定した測定時間を減算し、減算した結果得られた時間を2で除算することで、通信対象の光ファイバ16を伝送するテスト光の時間を取得する。なお、測定時間は、第2装置14から第2光量とともに送信されてもよく、記憶部26に予め記憶されていてもよい。
【0026】
第3取得部34が、取得した時間に基づいて通信対象の光ファイバ16の線長を取得する場合、記憶部26には、複数の光の伝送時間の各々に対してファイバ長が対応付けられたファイバ長テーブルが記憶される。第3取得部34は、ファイバ長テーブルを用いて、取得した時間に最も近い光の伝送時間に対応付けられたファイバ長を、通信対象の光ファイバ16の線長として取得する。
【0027】
算出部36は、第1取得部30が取得した第1光量と、第2取得部32が取得した第2光量と、第3取得部34が取得した線長とに基づいて、通信対象の光ファイバ16の減衰率(単位長さあたりの減衰量)を算出するものである。
【0028】
算出部36は、第1光量から第2光量を減算し、減算した結果得られた値に対して線長を除算することで、通信対象の光ファイバ16の減衰率を算出する。なお、算出部36は、減算器と除算器とのハードウェアにより構成されてもよい。
【0029】
推定部38は、算出部36が算出した減衰率に基づいて、通信対象の光ファイバ16の種類を推定するものである。記憶部26には、
図3に示すように、複数の光ファイバの種類と、当該光ファイバの各々に規定される規定減衰率と、当該光ファイバの各々に許容される伝送距離とが対応付けられたテーブルが記憶される。複数の光ファイバの各々は、製品として流通するものであってもよい。また、複数の光ファイバには、石英ガラスのコアを有する光ファイバと、プラスチックガラスのコアを有する光ファイバとが含まれてもよい。
【0030】
推定部38は、記憶部26に記憶されたテーブル(
図3)を用いて、算出部36が算出した減衰率に最も近い規定減衰率に対応付けられた光ファイバの種類を、通信対象の光ファイバ16の種類として推定する。
【0031】
通知部40は、第3取得部34が取得した線長が、推定部38が推定した種類に対して許容される伝送距離を超える場合に、通信障害が生じる可能性があることを通知するものである。通知部40は、記憶部26に記憶されたテーブル(
図3)を用いて、推定部38が推定した光ファイバの種類に対応付けられる伝送距離と、第3取得部34が取得した線長とを比較する。ここで、第3取得部34が取得した線長が伝送距離を超える場合、通知部40は、通信障害が生じる可能性があることを通知する。
【0032】
表示部、スピーカおよび発光部の少なくとも1つが第1装置12に備えられている場合、通知部40は、表示部、スピーカおよび発光部の少なくとも1つを用いて、通信障害が生じる可能性があることを通知してもよい。また、表示部、スピーカおよび発光部の少なくとも1つを備えた外部装置が第1装置12に接続される場合、通知部40は、その外部装置に作動信号を送信することで、通信障害が生じる可能性があることを通知してもよい。
【0033】
次に、光ファイバ16の種類を推定する推定方法に関し、
図4を用いて、上記の推定装置20の推定処理の手順を説明する。なお、第1取得部30は、記憶部26から第1光量を取得するものとする。第2取得部32は、第2装置14に対して第2光量を要求し、第2装置14から通信対象の光ファイバ16を介して送信された第2光量を取得するものとする。第3取得部34は、通信対象の光ファイバ16を伝送するテスト光の時間を取得し、取得した時間に基づいて通信対象の光ファイバ16の線長を取得するものとする。
【0034】
ステップS1において、第1取得部30は、記憶部26から第1光量を取得する。第1取得部30が第1光量を取得すると、推定処理はステップS2に移行する。
【0035】
ステップS2において、第2取得部32は、第2装置14に対して第2光量を要求し、第2装置14から通信対象の光ファイバ16を介して送信された第2光量を取得する。ここで、第3取得部34は、テスト光が送受信部18から通信対象の光ファイバ16に出力されたときから、第2光量が送受信部18に受光されるまでの時間を計時する。第2取得部32が第2光量を取得すると、推定処理はステップS3に移行する。
【0036】
ステップS3において、第3取得部34は、ステップS2で計時した時間から、第2装置14が第2光量を測定した測定時間を減算し、減算した結果得られた時間を2で除算することで、通信対象の光ファイバ16を伝送するテスト光の時間を取得する。その後、第3取得部34は、ファイバ長テーブルを用いて、取得した時間に最も近い光の伝送時間に対応付けられたファイバ長を、通信対象の光ファイバ16の線長として取得する。第3取得部34が通信対象の光ファイバ16の線長を取得すると、推定処理はステップS4に移行する。
【0037】
ステップS4において、算出部36は、ステップS1で取得された第1光量から、ステップS2で取得された第2光量を減算し、減算した結果得られた値に対して、ステップS3で取得された線長を除算することで、通信対象の光ファイバ16の減衰率を算出する。算出部36が通信対象の光ファイバ16の減衰率を算出すると、推定処理はステップS5に移行する。
【0038】
ステップS5において、推定部38は、記憶部26に記憶されたテーブル(
図3)を用いて、ステップS4で算出された減衰率に最も近い規定減衰率に対応付けられた光ファイバの種類を、通信対象の光ファイバ16の種類として推定する。推定部38が通信対象の光ファイバ16の種類を推定すると、推定処理はステップS6に移行する。
【0039】
ステップS6において、通知部40は、記憶部26に記憶されたテーブル(
図3)を用いて、ステップS5で推定された光ファイバの種類に対応付けられる伝送距離と、ステップS3で取得された線長とを比較する。ここで、第3取得部34が取得した線長が伝送距離以下である場合、推定処理は終了する。これに対して、第3取得部34が取得した線長が伝送距離を超える場合、推定処理はステップS7に移行する。
【0040】
ステップS7において、通知部40は、通信障害が生じる可能性があることを通知する。例えば、通知部40が通知する時間が規定時間を経過すると、推定処理は終了する。
【0041】
〔変形例〕
上記の実施形態は、以下のように変形してもよい。
【0042】
(変形例1)
推定装置20は、第1装置12から第2装置14に置き換えられてもよい。つまり、推定装置20は、第2装置14に設けられていてもよい。推定装置20が第2装置14に設けられた変形例1の場合、上記の実施形態の場合と異なる事項がある。
【0043】
すなわち、上記の実施形態の場合、第2取得部32は、第2装置14に対して第2光量を要求し、第2装置14から通信対象の光ファイバ16を介して送信された第2光量を取得してもよいとした。これに対し、変形例1の場合、第2取得部32は、第1装置12に対してテスト光を要求し、第1装置12から通信対象の光ファイバ16を介して送信されるテスト光を送受信部22が受光したときの受光量を第2光量として測定することで取得してもよいとなる。
【0044】
また、変形例1の場合、通信対象の光ファイバ16を伝送するテスト光の時間を取得する第3取得部34の取得方法が、上記の実施形態の場合から変更になる。上記の実施形態の場合、第3取得部34は、テスト光が送受信部18から通信対象の光ファイバ16に出力されたときから、第2光量が送受信部18に受光されるまでの時間を計時する。第3取得部34は、この計時した時間から、第2装置14が第2光量を測定した測定時間を減算し、減算した結果得られた時間を2で除算することで、通信対象の光ファイバ16を伝送するテスト光の時間を取得した。これに対し、変形例1の場合、第3取得部34は、テスト光が送受信部18から通信対象の光ファイバ16に出力されたときから、第2光量が送受信部18に受光されるまでの時間を計時し、計時した時間を、通信対象の光ファイバ16を伝送するテスト光の時間として取得する。
【0045】
(変形例2)
推定装置20は、第1装置12と第2装置14とに分散されていてもよい。つまり、推定装置20における入力部24、記憶部26、第1取得部30、第2取得部32、算出部36、推定部38および通知部40のなかの一部が第1装置12に設けられ、残りが第2装置14に設けられていてもよい。なお、推定装置20における入力部24、記憶部26、第1取得部30、第2取得部32、算出部36、推定部38および通知部40のどれを第1装置12に設けるかは、任意に選択することができる。
【0046】
〔発明〕
上記の実施形態および変形例から把握し得る発明として、第1の発明、第2の発明および第3の発明を以下に記載する。
【0047】
(第1の発明)
第1の発明は、第1装置(12)と第2装置(14)とが光通信する通信対象の光ファイバ(16)の種類を推定する推定装置(20)である。推定装置(20)は、通信対象の光ファイバ(16)を、伝送損失がないと仮定した模範光ファイバとした場合に、送信側から模範光ファイバを伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第1光量を取得する第1取得部(30)と、送信側から通信対象の光ファイバ(16)を伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第2光量を取得する第2取得部(32)と、通信対象の光ファイバ(16)の線長を取得する第3取得部(34)と、第1光量、第2光量および線長に基づいて、通信対象の光ファイバ(16)の減衰率を算出する算出部(36)と、減衰率に基づいて、通信対象の光ファイバ(16)の種類を推定する推定部(38)と、を備える。これにより、通信対象の光ファイバ(16)の種類を推定することができる。
【0048】
第3取得部(34)は、通信対象の光ファイバ(16)をテスト光が伝送しているときの時間を取得し、取得した時間に基づいて、通信対象の光ファイバ(16)の線長を取得してもよい。これにより、通信対象の光ファイバ(16)の線長を計測しなくても、当該線長を取得することができる。
【0049】
算出部(36)は、第1光量から第2光量を減算し、減算した結果得られた値に対して線長を除算することで、通信対象の光ファイバ(16)の減衰率を算出してもよい。これにより、簡易な演算で減衰率を導くことができる。
【0050】
推定装置(20)は、線長が、推定部(38)が推定した種類に対して許容される伝送距離を超える場合には、通信障害が生じる可能性があることを通知する通知部(40)を備えてもよい。これにより、第1装置(12)と第2装置(14)との距離に適した通信対象の光ファイバ(16)に交換が必要であることをオペレータに教示することができる。
【0051】
推定部(38)は、複数の光ファイバの種類と、複数の光ファイバの各々に規定される規定減衰率とが対応付けられたテーブルを用いて、算出部(36)が算出した減衰率に最も近い規定減衰率に対応付けられた光ファイバの種類を、通信対象の光ファイバ(16)の種類として推定してもよい。これにより、推定精度が高まり易くなる。
【0052】
(第2の発明)
第2の発明は、第1装置(12)と第2装置(14)とが光通信する通信対象の光ファイバ(16)の種類を推定する推定方法である。推定方法は、通信対象の光ファイバ(16)を、伝送損失がないと仮定した模範光ファイバとした場合に、送信側から模範光ファイバを伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第1光量を取得する第1取得ステップ(S1)と、送信側から通信対象の光ファイバ(16)を伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第2光量を取得する第2取得ステップ(S2)と、通信対象の光ファイバ(16)の線長を取得する第3取得ステップ(S3)と、第1光量、第2光量および線長に基づいて、通信対象の光ファイバ(16)の減衰率を算出する算出ステップ(S4)と、減衰率に基づいて、通信対象の光ファイバ(16)の種類を推定する推定ステップ(S5)と、を含む。これにより、通信対象の光ファイバ(16)の種類を推定することができる。
【0053】
第3取得ステップ(S3)は、通信対象の光ファイバ(16)をテスト光が伝送しているときの時間を取得し、取得した時間に基づいて、通信対象の光ファイバ(16)の線長を取得してもよい。これにより、通信対象の光ファイバ(16)の線長を計測しなくても、当該線長を取得することができる。
【0054】
算出ステップ(S4)は、第1光量から第2光量を減算し、減算した結果得られた値に対して線長を除算することで、通信対象の光ファイバ(16)の減衰率を算出してもよい。これにより、簡易な演算で減衰率を導くことができる。
【0055】
推定方法は、線長が、推定ステップ(S5)で推定された種類に対して許容される伝送距離を超える場合には、通信障害が生じる可能性があることを通知する通知ステップ(S7)を含んでもよい。これにより、第1装置(12)と第2装置(14)との距離に適した通信対象の光ファイバ(16)に交換が必要であることをオペレータに教示することができる。
【0056】
推定ステップ(S5)は、複数の光ファイバの種類と、複数の光ファイバの各々に規定される規定減衰率とが対応付けられたテーブルを用いて、算出ステップ(S4)で算出された減衰率に最も近い規定減衰率に対応付けられた光ファイバの種類を、通信対象の光ファイバ(16)の種類として推定してもよい。これにより、推定精度が高まり易くなる。
【0057】
(第3の発明)
第3の発明は、第1装置(12)と、第2装置(14)と、第1装置(12)と第2装置(14)とが光通信する通信対象の光ファイバ(16)とを備える光通信システム(10)である。光通信システム(10)は、通信対象の光ファイバ(16)を、伝送損失がないと仮定した模範光ファイバとした場合に、送信側から模範光ファイバを伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第1光量を取得する第1取得部(30)と、送信側から通信対象の光ファイバ(16)を伝送して受信側で受光されたときのテスト光の第2光量を取得する第2取得部(32)と、通信対象の光ファイバ(16)の線長を取得する第3取得部(34)と、第1光量、第2光量および線長に基づいて、通信対象の光ファイバ(16)の減衰率を算出する算出部(36)と、減衰率に基づいて、通信対象の光ファイバ(16)の種類を推定する推定部(38)と、を備える。これにより、通信対象の光ファイバ(16)の種類を推定することができる。
【0058】
第3取得部(34)は、通信対象の光ファイバ(16)をテスト光が伝送しているときの時間を取得し、取得した時間に基づいて、通信対象の光ファイバ(16)の線長を取得してもよい。これにより、通信対象の光ファイバ(16)の線長を計測しなくても、当該線長を取得することができる。
【0059】
算出部(36)は、第1光量から第2光量を減算し、減算した結果得られた値に対して線長を除算することで、通信対象の光ファイバ(16)の減衰率を算出してもよい。これにより、簡易な演算で減衰率を導くことができる。
【0060】
光通信システム(10)は、線長が、推定部(38)が推定した種類に対して許容される伝送距離を超える場合には、通信障害が生じる可能性があることを通知する通知部(40)を備えてもよい。これにより、第1装置(12)と第2装置(14)との距離に適した通信対象の光ファイバ(16)に交換が必要であることをオペレータに教示することができる。
【0061】
推定部(38)は、複数の光ファイバの種類と、複数の光ファイバの各々に規定される規定減衰率とが対応付けられたテーブルを用いて、算出部(36)が算出した減衰率に最も近い規定減衰率に対応付けられた光ファイバの種類を、通信対象の光ファイバ(16)の種類として推定してもよい。これにより、推定精度が高まり易くなる。
【符号の説明】
【0062】
10…光通信システム 12…第1装置
14…第2装置 16…光ファイバ
18、22…送受信部 20…推定装置
24…入力部 26…記憶部
28…プロセッサ 30…第1取得部
32…第2取得部 34…第3取得部
36…算出部 38…推定部
40…通知部