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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026619
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】パラペット吊り下げ式アンテナ架台
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
H01Q1/12 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130179
(22)【出願日】2020-07-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000162593
【氏名又は名称】エクシオグループ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】597138106
【氏名又は名称】太新産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(72)【発明者】
【氏名】仲地 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】五藤 岳治
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA09
5J047AA17
5J047BC08
5J047BF04
5J047BG10
5J047EF01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】身を乗り出すことなく安全にアンテナのメンテナンス作業を行うことができるパラペット吊り下げ式アンテナ架台を提供する。
【解決手段】パラペット吊り下げ式アンテナ架台は、架台本体11に、パラペットPの外壁面に沿って垂直に垂れ下がる垂直支柱部12aを備える。垂直支柱部12aにアンテナAをパラペットの上方に突き出ないように設置し、垂直支柱部12aの上端に、パラペットの内壁面側に向かってパラペットに対して直交する方向に屈曲して水平に延びる水平支柱部12bを設ける。架台本体11に、水平支柱部を、その長さ方向の中心軸に沿って前後動可能、かつ、中心軸を回転中心にして回転可能に保持する支柱保持筒13を設ける。水平支柱部を、中心軸を回転中心にして回転させて垂直支柱部の先端を天に向けた状態とし、水平支柱部を中心軸に沿ってパラペットの内壁側に移動させて、垂直支柱部をパラペットの内壁側に引き込み可能とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋上のパラペット上部に固定される架台本体に、パラペットの外壁面に沿って垂直に垂れ下がる垂直支柱部を備え、この垂直支柱部に、アンテナをパラペットの上方に突き出ないように設置するパラペット吊り下げ式アンテナ架台であって、前記垂直支柱部の上端に、パラペットの内壁面側に向かってパラペットに対して直交する方向に屈曲して水平に延びる水平支柱部を備え、前記架台本体に、前記水平支柱部を、その長さ方向の中心軸に沿って前後動可能、かつ、前記中心軸を回転中心にして回転可能に保持する支柱保持筒を設け、前記水平支柱部を、前記中心軸を回転中心にして回転させて前記垂直支柱部の先端を天に向けた状態とし、前記水平支柱部を中心軸に沿ってパラペットの内壁側に移動させて、前記垂直支柱部をパラペットの内壁側に引き込み可能としたことを特徴とするパラペット吊り下げ式アンテナ架台。
【請求項2】
前記支柱保持筒を、パラペットの内壁側に延長し、この延長部に、架台本体の前方側の荷重と、架台本体の後方側の荷重との均衡を図るカウンターウェイトを設置したことを特徴とする請求項1記載のパラペット吊り下げ式アンテナ架台。
【請求項3】
前記支柱保持筒に、中心軸に沿って前後方向に延びる縦切溝を設け、この縦切溝の前端から連続して支柱保持筒の周方向に、縦切溝に対して直交する横切溝を設け、前記垂直支柱部がパラペットの外壁面の前方で、前記垂直支柱部の先端が天を向いた状態で、前記支柱保持筒の縦切溝の前端に嵌るガイド突起を前記水平支柱部に設け、前記縦切溝に嵌る前記ガイド突起にガイドされながら前記水平支柱部の後方への引き込みを可能とし、前記縦切溝に嵌る前記ガイド突起が縦切溝の前端に位置する状態で、前記横切溝に沿って前記水平支柱部を、前記中心軸を回転中心にして回転可能とし、前記横切溝の先端位置に前記ガイド突起が位置する状態で、前記垂直支柱部の先端が垂直に下を向き、前記横切溝と前記縦切溝との接続位置に前記ガイド突起が位置する状態で、前記垂直支柱の先端が天に向くように、前記横切溝の周方向長さを設定している請求項1又は2記載のパラペット吊り下げ式アンテナ架台。
【請求項4】
前記垂直支柱部を、パラペットの外壁面の前方で先端を下に向けて垂直にした状態と、前記垂直支柱の先端を天に向け、前記垂直支柱部をパラペットの内壁側に引き込んだ状態とで、前記支柱保持筒と前記水平支柱部とを固定する押しボルトを前記支柱保持管に螺合させる請求項1~3のいずれかの項に記載のパラペット吊り下げ式アンテナ架台。
【請求項5】
前記水平支柱部の後端に、前記水平支柱部に対して直交する操作用アームを前記水平支柱部に対し着脱自在に備える請求項1~4のいずれかの項に記載のパラペット吊り下げ式アンテナ架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の屋上外周に形成されたパラペットに携帯電話基地局のアンテナを設置するために使用するパラペット吊り下げ式アンテナ架台に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代(5G)移動通信システムにおける通信網で使用する電波は、飛ぶ距離が4Gに比べて短く、建物に遮られやすい性質もあるため、通信環境を充実させるためには、町中に多数の基地局アンテナを設置しなければならない。
【0003】
従来、移動通信システムの基地局は、大きな鉄塔にアンテナを取り付けたり、オフィスビルやマンションなどの屋上の周囲に位置するパラペットにアンテナを取付けたりして設置されることが多い。
【0004】
屋上のパラペットにアンテナを設置する場合、パラペットにポールタイプのアンテナ設置用架台を取付けて設置されることが多い(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-237622号公報
【特許文献2】特開2003-69322号公報
【特許文献3】特開2018-186440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、オフィスビルやマンションなどの屋上のパラペットにポールタイプのアンテナ設置用架台を設置すると、屋上にポールタイプのアンテナが立ち並び景観を害するという問題がある。
【0007】
特に、景観規制が厳しい地域では、屋上のパラペットの上方にアンテナが突き出ないように設置することが要求されている。
【0008】
このため、例えば、図14に示すように、建物の屋上のパラペットPの上部に固定される架台本体100に、パラペットPの外壁面に沿って垂直に垂れ下がる垂直支柱101を設け、この垂直支柱101に、アンテナAをパラペットPの上方に突き出ないように設置して、景観に配慮するということが行われている。
【0009】
ところが、パラペットPの外壁面に沿って垂直に垂れ下がる垂直支柱101にアンテナAを設置した場合、アンテナAのメンテナンスを行おうとすると、作業者がパラペットPの内壁面側から外壁面側に身を乗り出して作業を行う必要があり、作業性が悪く、また、危険を伴うという問題がある。
【0010】
そこで、この発明は、建物の屋上のパラペット上部に固定される架台本体に、パラペットの外壁面に沿って垂直に垂れ下がる垂直支柱部を設け、この垂直支柱部に、アンテナをパラペットの上方に突き出ないように設置するようにしたアンテナ設置用架台において、アンテナのメンテナンスの際に、作業者がパラペットの内壁面側から外壁面側に身を乗り出すことなく、安全に作業を行うことができるパラペット吊り下げ式アンテナ架台を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するために、この発明は、建物の屋上のパラペット上部に固定される架台本体に、パラペットの外壁面に沿って垂直に垂れ下がる垂直支柱部を備え、この垂直支柱部に、アンテナをパラペットの上方に突き出ないように設置するパラペット吊り下げ式アンテナ架台において、前記垂直支柱部の上端に、パラペットの内壁面側に向かってパラペットに対して直交する方向に屈曲して水平に延びる水平支柱部を備え、前記架台本体に、前記水平支柱部を、その長さ方向の中心軸に沿って前後動可能、かつ、前記中心軸を回転中心にして回転可能に保持する支柱保持筒を設け、前記水平支柱部を、前記中心軸を回転中心にして回転させて前記垂直支柱の先端を天に向けた状態とし、前記水平支柱部を中心軸に沿ってパラペットの内壁側に移動させて、前記垂直支柱部をパラペットの内壁側に引き込み可能としたことを特徴とする。
【0012】
前記支柱保持筒を、パラペットの内壁側に延長し、この延長部に、架台本体の前方側の荷重と、架台本体の後方側の荷重との均衡を図るカウンターウェイトを設置するようにしてもよい。
【0013】
また、前記支柱保持筒に、中心軸に沿って前後方向に延びる縦切溝を設け、この縦切溝の前端から連続して支柱保持筒の周方向に、縦切溝に対して直交する横切溝を設け、前記垂直支柱部がパラペットの外壁面の前方で、前記垂直支柱部の先端が天を向いた状態で、前記支柱保持筒の縦切溝の前端に嵌るガイド突起を前記水平支柱部に設け、前記縦切溝に嵌る前記ガイド突起にガイドされながら前記水平支柱部の後方への引き込みを可能とし、前記縦切溝に嵌る前記ガイド突起が縦切溝の前端に位置する状態で、前記横切溝に沿って前記水平支柱部を、前記中心軸を回転中心にして回転可能とし、前記横切溝の先端位置に前記ガイド突起が位置する状態で、前記垂直支柱部の先端が垂直に下を向き、前記横切溝と前記縦切溝との接続位置に前記ガイド突起が位置する状態で、前記垂直支柱の先端が天に向くように、前記横切溝の周方向長さを設定してもよい。
【0014】
前記垂直支柱部を、パラペットの外壁面の前方で先端を下に向けて垂直にした状態と、前記垂直支柱の先端を天に向け、前記垂直支柱部をパラペットの内壁側に引き込んだ状態とで、前記支柱保持筒と前記水平支柱部とを固定する押しボルトを前記支柱保持筒に螺合させてもよい。
【0015】
前記水平支柱部の後端に、前記水平支柱部に対して直交する操作用アームを前記水平支柱部に対し着脱自在に備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、この発明によれば、建物の屋上に携帯電話基地局のアンテナを設置する際に、町並みの景観との調和を図ることができるように、アンテナをパラペットの上部から突き出ないように、パラペットの前方の外壁面に沿って先端が下を向き垂直に垂れ下がる垂直支柱部にアンテナを設置することができ、また、アンテナのメンテナンスの際には、アンテナを設置した垂直支柱部を、先端を天に向けてパラペットの後方の内壁側に引き込むことができるので、パラペットの内壁側の屋上から安全に作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施形態に係るパラペット吊り下げ式アンテナ架台を使用してアンテナをパラペットの外壁面に沿って設置した状態を示す斜視図である。
図2図1の側面図である。
図3図1の平面図である。
図4図1のパラペット吊り下げ式アンテナ架台の架台本体部分の展開斜視図である。
図5図1のパラペット吊り下げ式アンテナ架台を使用してアンテナをパラペットに設置した状態を示す部分斜視図である。
図6図1のパラペット吊り下げ式アンテナ架台の水平支柱部の後端に操作用アームを装着した状態を示す斜視図である。
図7図1のパラペット吊り下げ式アンテナ架台の水平支柱部の後端の操作用アームを90°回転させて垂直支柱部を水平にした状態を示す斜視図である。
図8図7の状態における部分拡大斜視図である。
図9図7の状態から水平支柱部を後方に少し引き込んだ状態を示す部分拡大斜視図である。
図10図9の状態から水平支柱部の後端の操作用アームを90°さらに回転させて垂直支柱部の先端が天に向くようにした状態を示す斜視図である。
図11図10の状態から水平支柱部を後方に引き込んだ状態を示す斜視図である。
図12図11の状態の部分拡大斜視図である。
図13図11の状態からアンテナをパラペットの内壁側に旋回させた状態を示す斜視図である。
図14】従来のパラペット吊り下げ式アンテナ架台を使用してアンテナをパラペットの外壁面に沿って設置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態に係るパラペット吊り下げ式アンテナ架台を図1図13に基づき説明する。この実施形態に係るパラペット吊り下げ式アンテナ架台は、建物の屋上に携帯電話基地局のアンテナAを設置する際に、町並みの景観との調和を図ることができるように、アンテナAをパラペットPの上部から突き出ないように、パラペットPの前方の外壁面にアンテナAを設置することができ(図1に示す状態)、また、アンテナAのメンテナンスの際には、アンテナAをパラペットPの後方の内壁側に引き込んで、パラペットPの内壁側の屋上から安全に作業を行うことができるようにしたものである(図11図13に示す状態)。
【0019】
この発明に係るパラペット吊り下げ式アンテナ架台は、図1図3に示すように、建物の屋上のパラペットPに固定される架台本体11に、アンテナAを取付けるアンテナ支柱12を備える。
【0020】
アンテナ支柱12は、パラペットPの外壁面に沿って先端が下を向き垂直に垂れ下がる垂直支柱部12aと、垂直支柱部12aの上端からパラペットPの内壁面側に向かってパラペットPに対して直交する方向に屈曲する水平支柱部12bとからなり、垂直支柱部12aにアンテナAを取付け、水平支柱部12bを架台本体11に取付けるようになっている。
【0021】
前記架台本体11には、前記水平支柱部12bを、その長さ方向の中心軸に沿って前後動可能、かつ、前記中心軸を回転中心にして回転可能に保持する支柱保持筒13が設置されている。
【0022】
前記架台本体11は、パラペットPの上部に固定されるパラペット固定部14と、前記支柱保持筒13を設置する取付け台座15とを備える。
【0023】
前記パラペット固定部14は、開放部が下に向き、パラペットPの上部を跨ぐ左右一対のコ字形の枠部材16を備える。
【0024】
コ字形の枠部材16は、図4に示すように、水平部と垂直部とからなる前後一対のL形金具16a、16bを備える。この前後一対のL形金具16a、16bは、互いの水平部が上下に重なり、この重なり部分にボルト孔16dを前後方向に複数個間隔を空けて設けている。そして、前後一対のL形金具16a、16bの対向する垂直部の間隔をパラペットPの取付け幅に合わせて前後動させ、パラペットPの取付け幅に適合するボルト孔16dを選択してボルト16cを挿通し、このボルト16cにワッシャ16eを介してナット16fを締め付けることによって、前後一対のL形金具16a、16bの対向する垂直部の間隔をパラペットPの取付け幅に応じて調整できるようにしている。
【0025】
前記L形金具16a、16bの対向する垂直部の下端には、前面側圧接板16gと後面側圧接板16hが設置されている。後面側圧接板16hは、後方側のL形金具16bの下端にボルト16iによって前後動自在に設置され、ボルト16iによって後面側圧接板16hを前方に押出すことによって、前面側圧接板16gと後面側圧接板16hとによってパラペットPを挟持し、パラペット固定部14をパラペットPに対してしっかりと固定できるようにしている。
【0026】
前記支柱保持筒13の取付け台座15は、左右一対のコ字形の枠部材16に対して直交するように架け渡され、その両端が左右のL形金具16aの水平部に熔接固定されている。前記取付け台座15の下面には、図2に示すように、パラペットPの上面を押圧する押圧板16jが高さ調整可能に設置されている。
【0027】
前記支柱保持筒13は、架台本体11の前後の幅の少なくとも2倍以上の長さを有し、その前端が前記支柱保持筒13の取付け台座15に熔接固定され、後端がパラペットPの内壁側に大きく突き出している。
【0028】
アンテナ支柱12の水平支柱部12bは、前記支柱保持筒13内に挿通され、前記垂直支柱部12aがパラペットPの外壁面側に位置する状態で、後端が前記支柱保持筒13の後方に突き出す長さを有している。
【0029】
前記支柱保持筒13の後端の下方には、架台本体11を中心にした前方側の荷重と、後方側の荷重との均衡を図るために、カウンターウェイト17を取付けている。
【0030】
カウンターウェイト17は、建物の屋上に設置される台座部17aと、この台座部17aから上方に立ち上がる立板部17bとからなる。前記支柱保持筒13の後端の下面には、カウンターウェイト17の立板部17bの上面にボルト固定される連結台座18が熔接されている。
【0031】
前記カウンターウェイト17の台座部17aと架台本体11とは、連結金具19によって連結されている。この連結金具19は、前記L形金具16bの左右の垂直部を繋ぐ連結板19aと、前端がこの連結板19aに連結され、後端がカウンターウェイト17の台座部17aの前端に連結される逆L字形の連結板19bとからなる。
【0032】
前記アンテナ支柱12の水平支柱部12bは、前記のように、支柱保持筒13内に、長手方向の中心軸に沿って前後方向に移動可能、かつ、前記中心軸を回転中心にして回転可能に保持されている。
【0033】
前記支柱保持筒13には、中心軸に沿って前後方向に延びる縦切溝13aと、この縦切溝13aの前端から連続して周方向に、縦切溝13aに対して直交する横切溝13bとが設けられ、この縦切溝13aと横切溝13bに嵌るガイド突起20を水平支柱部12bに取付けることにより、縦切溝13aに沿って水平支柱部12bが支柱保持筒13内で前後動し、また、横切溝13bに沿って水平支柱部12bが支柱保持筒13内で回転するようにしている。
【0034】
前記ガイド突起20は、前記支柱保持筒13の外面側から水平支柱部12bに挿し込むボルトによって構成している。
【0035】
前記ガイド突起20は、図1に示すように、アンテナ支柱12の垂直支柱部12aが、パラペットPの外壁面の前方で先端が下を向いた垂直の状態で、図5に示すように、横切溝13bの先端に位置する。
【0036】
前記横切溝13bは、支柱保持筒13の周方向に180°の範囲に設けられている。この横切溝13bは、縦切溝13aから横切溝13bの先端までの距離の半分の位置、即ち、縦切溝13aから周方向に90°の位置で前後方向に延びる連絡縦切溝13cによって前後2段に分け、横切溝13bが周方向に一直線にならないようにして、横切溝13bによって支柱保持筒13の強度が不足しないようにしている。前記縦切溝13aの前後方向の長さは、約200mm、また、前記連絡縦切溝13cの前後方向の長さは、約20mmにしている。
【0037】
前記支柱保持筒13には、前記のように、縦切溝13aの前端から連続して、縦切溝13aに直交するように横切溝13bが設けられ、縦切溝13aの前端にガイド突起20が位置する状態で垂直支柱部12aがパラペットPの外壁面の前方に位置し、この状態で、前記支柱保持筒13内の水平支柱部12bを、中心軸を中心にしてガイド突起20が横切溝13bの先端位置に当接する位置まで回転させると、垂直支柱部12aは、図1図3に示すように、先端が下向きの垂直状態になる。
【0038】
前記横切溝13bは、支柱保持筒13の周方向に180°の範囲で設けられているので、前記横切溝13bの先端位置に嵌るガイド突起20を横切溝13bに沿って縦切溝13aの前端位置まで移動するように、前記支柱保持筒13内の水平支柱部12bを、前記支柱保持筒13の中心軸を中心にして180°回転させると、図10に示すように、垂直支柱部12aの先端が天を向いた状態で垂直になる。
【0039】
そして、垂直支柱部12aの先端が天を向いた図10に示す状態から、水平支柱部12bを支柱保持筒13内で後方へ引き込むと、水平支柱部12bのガイド突起20が縦切溝13aにガイドされながら、図11及び図12に示すように、水平支柱部12bが後方に真っ直ぐに引き込まれ、垂直支柱部12aがパラペットPの外壁面の前方位置からパラペットPの内壁近くまで移動する。
【0040】
前記のように、水平支柱部12bは、支柱保持筒13内で、その長さ方向の中心軸に沿って前後動可能、かつ、前記中心軸を回転中心にして回転可能に、支柱保持筒13に支持されているが、垂直支柱部12aの先端が垂直に下を向く、図1に示すアンテナAの設置状態と、垂直支柱部12aの先端を天に向けて、パラペットPの内壁面側に引き込んだ図11に示す状態とで、水平支柱部12bが支柱保持筒13内で、前後に移動したり、回転したりしないように、支柱保持筒13と水平支柱部12bとを固定するために、支柱保持筒13に、水平支柱部12bを外面から押し付ける押ボルト21を螺合している。
【0041】
この押ボルト21は、支柱保持筒13の前端部と後端部にそれぞれ2個ずつ螺合している。また、前記支柱保持筒13と水平支柱部12bとには、垂直支柱部12aの先端が下を向いた図1に示すアンテナAの設置状態と、垂直支柱部12aの先端を天に向けて、パラペットPの内壁面側に引き込んだ図11に示す状態とで、前記支柱保持筒13と水平支柱部12bとに貫通孔を設け、この貫通孔に固定ボルト22を挿し込むことにより、前記押ボルト21の固定力を補強している。この固定ボルト22は、カウンターウェイト17の立板部17bに取付けられている。
【0042】
前記支柱保持筒13内で水平支柱部12bを前後動させたり、回転させたりするには、図6に示すように、支柱保持筒13の後端から後方に突き出たアンテナ支柱12の水平支柱部12bに操作用アーム23を、水平支柱部12bに対して直交するように取付けて行う。この操作用アーム23は、アンテナ支柱12の水平支柱部12bに対して取付け金具24を介して着脱自在に取付けることができ、操作用アーム23を操作しないときには、取付け金具24を外して、カウンターウェイト17の台座部17aの後面下端に保管できるようにしている。
【0043】
この発明に係る設置用架台を使用して、パラペットPにアンテナAを設置するには、次のような手順で行う。
【0044】
まず、前記架台本体11の前後一対のL形金具16a、16bの対向する垂直部の間隔をパラペットPの取付け幅に応じて調整し、架台本体11に設置された支柱保持筒13が水平でパラペットPに対して直交するように、パラペット固定部14をパラペットPの上部に取付ける。そして、後面側圧接板16hを前方に押出すことによって、前面側圧接板16gと後面側圧接板16hとによってパラペットPを挟持し、パラペット固定部14をパラペットPに対してしっかりと固定する。
【0045】
前記支柱保持筒13の後端の下方にカウンターウェイト17を取付け、カウンターウェイト17の台座部17aと架台本体11とを連結金具19によって連結する。
【0046】
次に、前記支柱保持筒13と水平支柱部12bとを固定する押ボルト21を緩め、前記支柱保持筒13と水平支柱部12bとを貫通する固定ボルト22を抜き取り、支柱保持筒13と水平支柱部12bとの固定を解除した状態にする。
【0047】
前記水平支柱部12bの後端に操作用アーム23を取付け、垂直支柱部12aの先端が天を向いた状態で、操作用アーム23を後方へ引き込むと、支柱保持筒13の縦切溝13aに水平支柱部12bのガイド突起20がガイドされながら支柱保持筒13内で水平支柱部12bが後方にスライドし、図13に示すように、アンテナ支柱12の垂直支柱部12aがパラペットPの内壁側近くまで引き込まれる。
【0048】
垂直支柱部12aをパラペットPの内壁側近くまで引き込んだ状態で、図13に示すように、アンテナAを、パラペットPの内壁側に向けた状態で垂直支柱部12aに取付けた後、図11及び図12に示すように、垂直支柱部12aを回転中心にしてアンテナAがパラペットPの外壁側に向くように回転させる。
【0049】
次いで、前記操作用アーム23を、図11の状態から図10に示すように、前方に押し出して、垂直支柱部12aをパラペットPの外壁側に移動させ、水平支柱部12bのガイド突起20を支柱保持筒13の縦切溝13aの前端位置に位置させる。
【0050】
この状態で、前記操作用アーム23を、図7図9に示すように、反時計方向に90°回転させて、水平支柱部12bのガイド突起20を支柱保持筒13の横切溝13bの中間位置まで移動させて、垂直支柱部12aを水平な状態にする。
【0051】
この後、操作用アーム23を前方へ少し押出し、ガイド突起20を、図8に示すように、連絡縦切溝13cの前端まで移動させ、この状態で、さらに前記操作用アーム23を、図6に示すように、反時計方向に90°回転させて、水平支柱部12bのガイド突起20を横切溝13bの先端位置まで移動させると、図6に示すように、垂直支柱部12aが、先端が下を向くよう垂直になり、垂直支柱部12aに取付けられたアンテナAが、パラペットPの外壁面に沿って、アンテナAの上部がパラペットPの上部から突き出ないように設置される。
【0052】
この後、図1に示すように、水平支柱部12bの後端の操作用アーム23を取外し、支柱保持筒13と水平支柱部12bに設けた貫通孔に固定ボルト22を挿し込み、押ボルト21を締め付けて、支柱保持筒13と水平支柱部12bとを固定することにより、アンテナAの設置作業が完了する。
【0053】
このアンテナAの設置状態からアンテナAのメンテナンスを行う際には、次のような手順で、垂直支柱部12aの先端が下を向いた図1に示すアンテナAの設置した状態から、垂直支柱部12aを、図13に示すパラペットPの内壁側に引き込むことができる。
まず、前記支柱保持筒13と水平支柱部12bとを固定する押ボルト21を緩め、前記支柱保持筒13と水平支柱部12bとを貫通する固定ボルト22を抜き取り、支柱保持筒13と水平支柱部12bとの固定を解除した状態にして、図6に示すように、前記水平支柱部12bの後端に操作用アーム23を取付ける。
【0054】
そして、前記操作用アーム23を、図7図8に示すように、時計方向に90°回転させて、水平支柱部12bのガイド突起20を支柱保持筒13の横切溝13bの中間位置まで移動させて、垂直支柱部12aを水平な状態にする。
【0055】
この後、操作用アーム23を前方へ少し引き込み、ガイド突起20を、図9に示すように、連絡縦切溝13cの後端まで移動させ、この状態で、さらに操作用アーム23を、図10に示すように、時計方向に90°回転させて、水平支柱部12bのガイド突起20を縦切溝13aの前端位置まで移動させると、図10に示すように、垂直支柱部12aが、先端が天を向くよう垂直になる。
【0056】
前記垂直支柱部12aの先端が天を向いた図10に示す状態で、操作用アーム23を後方へ引き込むと、支柱保持筒13の縦切溝13aに水平支柱部12bのガイド突起20がガイドされながら支柱保持筒13内で水平支柱部12bが後方にスライドし、図11に示すように、アンテナ支柱12の垂直支柱部12aがパラペットPの内壁側近くまで引き込まれる。
【0057】
この後、支柱保持筒13と水平支柱部12bに設けた貫通孔に固定ボルト22を挿し込み、押ボルト21を締め付けて、支柱保持筒13と水平支柱部12bとを固定してから、図13に示すように、アンテナAを、垂直支柱部12aを回転中心にしてパラペットPの内壁側に向けると、パラペットPの内壁側の屋上から作業者がパラペットPの外側に身を乗り出すことなく、安全にアンテナAのメンテナンスを行うことができる。
以上のように、この発明に係る設置用架台を使用すると、パラペットPの内壁側の屋上から安全に、アンテナAの設置作業とメンテナンス作業を行うことができる。
【0058】
この発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0059】
11 :架台本体
12 :アンテナ支柱
12a :垂直支柱部
12b :水平支柱部
13 :支柱保持筒
13a :縦切溝
13b :横切溝
13c :連絡縦切溝
14 :パラペット固定部
15 :取付け台座
16 :枠部材
16a、16b :L形金具
16c :ボルト
16d :ボルト孔
16e :ワッシャ
16f :ナット
16g :前面側圧接板
16h :後面側圧接板
16i :ボルト
16j :押圧板
17 :カウンターウェイト
17a :台座部
17b :立板部
18 :連結台座
19 :連結金具
19a、19b :連結板
20 :ガイド突起
21 :押ボルト
22 :固定ボルト
23 :操作用アーム
24 :取付け金具
A :アンテナ
P :パラペット
図1
図2
図3
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図5
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