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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026649
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】毛髪入り込み抑制用首掛けシート
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/05 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
A41D13/05 112
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130215
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】520227444
【氏名又は名称】秋山 すなお
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】秋山 すなお
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB05
3B011AC22
3B011AC24
(57)【要約】
【課題】着用者の首周り又は胸元に生じる開口をより適切に調節することができる着衣物を提供すること。
【解決手段】着衣物1は、人体の頚部と係合する開口14を有し、開口14の周囲において人体の少なくとも一部を被覆する着衣体10と、着衣体10に設けられ、磁石からなる第1接合部材20と、着衣体10に設けられ、第1接合部材20と磁力により接合する第2接合部材30と、を備え、第1接合部材20と第2接合部材30とが接合する位置に応じて、開口14の大きさが可変となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の頚部と係合する開口を有し、前記開口の周囲において人体の少なくとも一部を被覆する着衣体と、
前記着衣体に設けられ、磁石からなる第1接合部材と、
前記着衣体に設けられ、前記第1接合部材と磁力により接合する第2接合部材と、
を備え、
前記第1接合部材と前記第2接合部材とが接合する位置に応じて、前記開口の大きさが可変となる着衣物。
【請求項2】
請求項1に記載の着衣物において、
前記第2接合部材は、磁性体である着衣物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の着衣物において、
前記着衣体は、撥水性又は防水性を有すると共に、柔軟性を有する素材により形成される着衣物。
【請求項4】
請求項1~3までのいずれか一項に記載の着衣物において、
前記着衣体が人体に装着されたときに、前記着衣体の位置を維持する押え部を備える着衣物。
【請求項5】
請求項1~4までのいずれか一項に記載の着衣物において、
前記着衣体は、人体に装着されたときに、人体の肩、胸部及び背部を覆うように形成された首掛けシートである着衣物。
【請求項6】
請求項1~4までのいずれか一項に記載の着衣物において、
前記着衣体は、人体の少なくとも上半身を覆う衣服である着衣物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に装着される着衣物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容院、理髪店等において、髪の毛のカット、毛染め、パーマ等を行う場合、カットした毛髪が客の首筋に入り込んだり、液体が衣服等に付着したりしないようにケープが用いられている。この種のケープとして、例えば、客の首筋と接する部分にヒダ加工を施したものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3107951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、美容院、理髪店等においては、客の首周りにペーパーやタオルを巻き付け、そのペーパーやタオルの上からケープを着用することが行われている。したがって、ケープにヒダ加工が施されていたとしても、実際には、客の首周りとペーパーやタオルとの間のわずかな隙間から毛髪が入り込むことが考えられる。そのため、ケープを着用した人(着用者)の首筋の開口をより適切に調節できるようにすることが求められている。
一方、人が衣服を身に着けた場合においても、例えば、体温調節等のために、首周り又は胸元の開口を閉じたり、開口を広げたりすることがある。そのため、一般的な衣服においても、衣服を着用した人(着用者)の首周り又は胸元の開口をより適切に調節できるようにすることが求められている。
【0005】
本発明の目的は、着用者の首周り又は胸元に生じる開口をより適切に調節することができる着衣物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、人体の頚部と係合する開口を有し、前記開口の周囲において人体の少なくとも一部を被覆する着衣体と、前記着衣体に設けられ、磁石からなる第1接合部材と、前記着衣体に設けられ、前記第1接合部材と磁力により接合する第2接合部材と、を備え、前記第1接合部材と前記第2接合部材とが接合する位置に応じて、前記開口の大きさが可変となる着衣物に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る着衣物によれば、着用者の首周り又は胸元に生じる開口をより適切に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における首掛けシート1の構成を説明する図である。
図2図1のI-I線断面図である。
図3図1のII-II線断面図である。
図4】(A)及び(B)は、首掛けシート1の使用形態を説明する図である。
図5】第2の首掛けシート1の構成を説明する図である。
図6】(A)及び(B)は、第2の首掛けシート1の使用形態を説明する図である。
図7】(A)及び(B)は、衣服1Aの使用形態を説明する図である。
図8】(A)及び(B)は、衣服1Bの使用形態を説明する図である。
図9】(A)及び(B)は、ケープ1Cの構成及び使用形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る着衣物の実施形態について説明する。なお、本明細書に添付した図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。
本明細書においては、着衣物(例えば、首掛けシート1)を図1のように平面的に見た状態において、左右方向をX(X1-X2)方向、前後方向をY(Y1-Y2)方向として説明する。なお、本明細書においては、「~方向」を、適宜に「~側」ともいう。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態として、本発明に係る着衣物を、美容室や理髪店で使用する首掛けシートに適用した例について説明する。
図1は、第1実施形態における首掛けシート1の構成を説明する図である。図1は、首掛けシート1を着用者に装着していない状態(平置き状態)を示している。図2は、図1のI-I線断面図である。図3は、図1のII-II線断面図である。
図1に示すように、首掛けシート1は、シート本体10、第1接合部材20、第2接合部材30及び押え部40を備えている。
【0011】
シート本体(着衣体)10は、着用者の肩、胸部及び背部を覆うシート状の部材である。シート本体10は、耐水性及び柔軟性を有する素材により形成される。シート本体10の素材としては、例えば、ゴム、シリコン等を挙げることができる。また、シート本体10の素材として、生地表面に樹脂やゴムの被膜を形成して、耐水性を持たせたシート材を用いることもできる。厚み方向に関して、本実施形態のシート本体10は、図2に示すように、シート材10a及び10bを貼り合せることにより構成されている。シート材10aと10bとの間には、後述する第1接合部材20、第2接合部材30及び押え部40が内蔵されている。
【0012】
なお、シート本体10の大きさは、特に限定されないが、例えば、以下の寸法を挙げることができる。シート本体10の左右方向(X方向)の長さは、300mm~500mm程度である。前後方向(Y方向)の長さは、350mm~550mm程度である。首掛けシート1は、ベースとなるシート本体10が柔軟性を有する素材により構成されているため、1サイズで幅広い体格の着用者に適用させることができる。なお、首掛けシート1は、一部又は全体が着色されていてもよいし、図柄等が形成されていてもよい。
【0013】
図1に示すように、展開状態において、シート本体10は、背面部11、左肩部12、右肩部13及び開口14を備えている。
背面部11は、首掛けシート1を着用者に装着したときに、着用者の背部を覆う部分である。背面部11は、シート本体10の後側(Y2側)に設けられている。左肩部12は、首掛けシート1を着用者に装着したときに、着用者の左肩及び左胸を覆う部分である。左肩部12は、シート本体10の左側(X1側)に設けられている。左肩部12の前側(Y1側)には、右肩部13と接合される左接合部12aが設けられている。右肩部13は、首掛けシート1を着用者に装着したときに、着用者の右肩及び右胸を覆う部分である。左肩部12は、シート本体10の右側(X2側)に設けられている。右肩部13の前側(Y1側)には、左肩部12と接合される右接合部13aが設けられている。
【0014】
開口14は、首掛けシート1を着用者に装着したときに、着用者の首(頚部)と係合したり、首の周辺に配置したりする部分である。開口14は、背面部11、左肩部12、右肩部13に囲まれるように、シート本体10の略中央に設けられている。図1に示すように、首掛けシート1を着用者に装着する前の状態において、左接合部12aと右接合部13aとの間には隙間Sが形成されている。そのため、着用者の首の後側から隙間Sを通すように首掛けシート1を装着することにより、開口14を着用者の首に係合させることができる。後述するように、首掛けシート1を着用者の首に係合させた状態で、左接合部12aと右接合部13aとの重なりを調整して、第1接合部材20と第2接合部材30とを接合することにより、首掛けシート1の開口14を着用者の首周りの大きさに合わせることができる。
【0015】
第1接合部材20は、シート本体10の開口14の大きさを調整するための一方の部材である。第1接合部材20は、例えば、フェライト磁石、ネオジム磁石等の磁石により構成されている。第1接合部材20は、図2に示すように、2枚のシート材10a及び10bの間に、例えば、接着剤により貼り付けられている。本実施形態のように、第1接合部材20を円形(コイン状)とした場合、直径は、例えば、20mm~40mm程度である。また、厚みは、2mm~5mm程度である。
【0016】
第2接合部材30は、シート本体10の開口14の大きさを調整するための一方の部材である。第2接合部材30は、第1接合部材20と磁力により接合する部材であり、本実施形態では、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の金属の磁性体により構成されている。第2接合部材30は、図3に示すように、2枚のシート材10a及び10bの間に、例えば、接着剤により貼り付けられている。本実施形態のように、第2接合部材30を板状(略ブーメラン状)とした場合、長手方向の長さは、例えば、200mm~300mm程度である。また、厚みは、1mm~5mm程度である。
第1接合部材20、第2接合部材30は、それぞれ左接合部12a、右接合部13aの前側(Y1側)に配置されている。すなわち、第1接合部材20、第2接合部材30は、いずれも開口14から離れた位置に配置されている。
【0017】
押え部40は、首掛けシート1を着用者に装着したときに、首掛けシート1の位置がずれないようにするための部材である。具体的には、押え部40は、重みにより首掛けシート1の位置を維持する部材である。押え部40は、左接合部12a(第1接合部材20)と右接合部13a(第2接合部材30)の略中央に、それぞれ1つ設けられている。押え部40は、2枚のシート材10a及び10bの間に、例えば、接着剤により貼り付けられている(図2図3参照)。押え部40は、例えば、鉄等の金属材料により構成されてもよいし、樹脂材料により構成されてもよい。1つの押え部40の重さは、例えば、50g~150g程度である。押え部40の形状、大きさ、厚み等は、第1接合部材20、第2接合部材30の配置を妨げない範囲で任意に設定することができる。
【0018】
次に、上記のように構成された首掛けシート1の使用方法について説明する。
図4(A)及び(B)は、首掛けシート1の使用形態を説明する図である。図4(A)は、首掛けシート1を首周りの大きい着用者P(P1)に装着した場合の使用形態を示している。図4(B)は、首掛けシート1を首周りの小さい着用者P(P2)に装着した場合の使用形態を示している。なお、図4(A)及び(B)では、首掛けシート1の押え部40及び首掛けシート1の下に着用されるケープ等の図示を省略している。
【0019】
首掛けシート1を着用者Pに装着する場合、着用者Pの首周りにペーパーやタオルを巻き付け、そのペーパーやタオルの上からケープを着用し、更にケープの上から着用者Pの首周りに首掛けシート1を装着する。これにより、首掛けシート1は、着用者Pの首周りの最も上に位置することになる。
【0020】
図4(A)に示すように、首掛けシート1を首周りの大きい着用者P(P1)に装着する場合、左接合部12aと右接合部13aとの重なりを少なくした状態で第1接合部材20と第2接合部材30とを接合することにより、首掛けシート1の開口14を大きくして着用者P(P1)に装着することができる。
また、図4(B)に示すように、首掛けシート1を首周りの小さい着用者P(P2)に装着する場合、左接合部12aと右接合部13aとの重なりを多くした状態で第1接合部材20と第2接合部材30とを接合することにより、首掛けシート1の開口14を小さくして着用者P(P2)に装着することができる。
【0021】
図4(A)及び(B)のいずれにおいても、第1接合部材20と第2接合部材30とは磁力で接合されているため、着用者P又は施術者が接合位置を動かさなければ、首掛けシート1の開口14の大きさを維持することができる。
なお、本実施形態の首掛けシート1を着用者Pに装着する場合、図4(A)及び(B)に示すように、左接合部12aを右接合部13aの上に被せてもよいし、右接合部13aを左接合部12aの上に被せてもよい。
【0022】
上述した第1実施形態の首掛けシート1によれば、例えば、以下のような効果を奏する。
第1実施形態の首掛けシート1では、第1接合部材20と第2接合部材30とを接合する位置を変えることにより、首掛けシート1の開口14を着用者の首に隙間なく係合させることができる。これによれば、カットした毛髪が着用者の首筋から入り込みにくいため、カット中に着用者に不快感を与えることを抑制することができる。また、シート本体10は、柔軟性を有するため、首掛けシート1を着用者Pの首周りに、快適に且つ隙間なく密着させることができる。
【0023】
第1実施形態の首掛けシート1において、第1接合部材20、第2接合部材30は、いずれも開口14から離れた位置に配置されている。これによれば、第1接合部材20と第2接合部材30とを接合したときに、着用者の首と係合する開口14の柔軟性が損なわれないため、着用者Pの首周りの圧迫感を軽減することができる。
【0024】
第1実施形態の首掛けシート1において、第1接合部材20は磁石により構成され、第2接合部材30は板状の磁性体により構成されている。そのため、首掛けシート1は、フックやボタンで接合する構成とは異なり、互いの部材が接合する位置を無段階に調節することができる。したがって、首掛けシート1は、着用者それぞれの首周りに合うように最適な大きさで装着することができる。また、第1接合部材20と第2接合部材30は、シート本体10の内部に内蔵されているため、面ファスナーのようにカットした毛髪が付着することがない。そのため、施術者においては、消毒やメンテナンスを容易に行うことができる。
【0025】
また、首掛けシート1に毛髪が付着しても、シート本体10の表面には凹凸がほとんどないため、シート本体10の表面に毛髪が絡みついたり、挟まったりしにくい。これによれば、首掛けシート1に毛髪が付着したとしても、その毛髪を簡単に除去することができるため、着用者に不衛生な印象を与えにくい。なお、第1接合部材20と第2接合部材30のいずれか一方又は両方を、シート本体10の外側に取り付けた場合でも、上記と同等の効果を得ることができる。また、面ファスナーは、着脱を繰り返すことにより接合力が低下するが、磁石と磁性体であれば、接合力の低下を懸念することなしに使い続けることができる。
【0026】
第1実施形態の首掛けシート1において、シート本体10は、耐水性を有するため、毛染め、パーマ等を行った場合に、液体が首掛けシート1の下のケープに達することを抑制することができる。これによれば、ケープに滲み込んだ液体が着用者の衣服等に付着しにくくなるため、施術者は、安心して作業を行うことができる。
【0027】
第1実施形態の首掛けシート1は、シート本体10の左接合部12aと右接合部13aにそれぞれ押え部40を備えている。押え部40は、重みがあるため、首掛けシート1を着用者に装着した場合に、首掛けシート1の位置をずれにくくすることができる。また、着用者が肩の周辺にボリューム感のある衣服を着ている場合において、ケープの浮き上がりや位置ずれを抑制することができる。なお、着用者に装着した首掛けシート1は、押え部40の効果により位置がずれにくくなっているが、押え部40の部分を僅かに持ち上げることにより、首掛けシート1の位置を簡単にずらすことができる。
第1実施形態の首掛けシート1において、第1接合部材20及び第2接合部材30の形状を、細長い板状としてもよい。以下、第1実施形態に示す首掛けシート1の別形態について説明する。ここでは、第1実施形態に示す首掛けシート1の別形態を「第2の首掛けシート1」として説明する。
【0028】
図5は、第2の首掛けシート1の構成を説明する図である。図6(A)及び(B)は、第2の首掛けシート1の使用形態を説明する図である。図6(A)は、第2の首掛けシート1を首周りの大きい着用者P(P1)に装着した場合の使用形態を示している。図6(B)は、第2の首掛けシート1を首周りの小さい着用者P(P2)に装着した場合の使用形態を示している。なお、図6(A)及び(B)では、第2の首掛けシート1の押え部40及び第2の首掛けシート1の下に着用されるケープ等の図示を省略している。また、第2の首掛けシート1の基本的な構成は、第1実施形態の首掛けシート1と同じである。そのため、第2の首掛けシート1の説明及び図面において、第1実施形態と同等の部材等には、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
図5に示すように、第2の首掛けシート1において、第1接合部材20及び第2接合部材30は、いずれも細長い板状に形成されている。第1接合部材20は、第1実施形態と同じく磁石により構成されている。第2接合部材30は、第1実施形態と同じく金属の磁性体により構成されている。なお、第2の首掛けシート1において、第1接合部材20と第2接合部材30の形状は、同一となるように構成されているが、第1接合部材20と第2接合部材30の形状は、それぞれ異なっていてもよい。例えば、第1接合部材20を直線状とし、第2接合部材30を略ブーメラン状としてもよい。
【0030】
図6(A)に示すように、第2の首掛けシート1を首周りの大きな着用者P(P1)に着用する場合、左接合部12aと右接合部13aとの重なりを少なくした状態で第1接合部材20と第2接合部材30とを接合することにより、首掛けシートAの開口14を大きくして着用者P(P1)に装着することができる。また、図6(B)に示すように、第2の首掛けシート1を首周りの小さい着用者P(P2)に装着する場合、左接合部12aと右接合部13aとの重なりを多くした状態で第1接合部材20と第2接合部材30とを接合することにより、第2の首掛けシート1の開口14を小さくして着用者P(P2)に装着することができる。
【0031】
図6(A)及び(B)のいずれにおいても、第1接合部材20と第2接合部材30とは磁力で接合されているため、着用者P又は施術者が接合位置を動かさなければ、第2の首掛けシート1の開口14の大きさを維持することができる。
なお、第2の首掛けシート1を着用者Pに装着する場合、図6(A)及び(B)に示すように、左接合部12aを右接合部13aの上に被せてもよいし、右接合部13aを左接合部12aの上に被せてもよい。
【0032】
上述した第2の首掛けシート1においても、実施形態の首掛けシート1と同様の効果を得ることができる。第2の首掛けシート1においては、第1接合部材20及び第2接合部材30が細長い板状に形成されているため、第1接合部材20と第2接合部材30とを接合する位置を、より細かく調節することができる。したがって、第2の首掛けシート1においては、第1接合部材20と第2接合部材30とを接合する位置の自由度を、より高めることができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態として、本発明に係る着衣物を前合わせ式の衣服に適用した例について説明する。
第2実施形態の衣服1Aにおいて、第1接合部材20、第2接合部材30等の基本的な構成は、第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態の説明及び図面において、第1実施形態と同等の部材等には、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
図7(A)及び(B)は、衣服1Aの使用形態を説明する図である。図7(A)は、衣服1Aの胸元を広くした場合の使用形態を示している。図7(B)は、衣服1Aの胸元を狭くした場合の使用形態を示している。図7(A)及び(B)に示す衣服1Aは、例えば、前合わせ式の上着である。
図7(A)及び(B)に示すように、第2実施形態の衣服1Aは、衣服本体(着衣体)10Aの前合わせ部分の左右に第1接合部材20と第2接合部材30を備えている。第2実施形態では、衣服本体10Aの前合わせ部分の左右を、「左接合部12a」、「右接合部13a」として説明する。左接合部12aには、上下方向に沿って2つの第1接合部材20が設けられている。また、右接合部13aには、縦長の第2接合部材30が設けられている。2つの第1接合部材20及び第2接合部材30は、それぞれ左接合部12a、右接合部13aの生地の間に縫い付けられている。第1接合部材20及び第2接合部材30の機能は、第1実施形態と同じである。
【0035】
図7(A)に示すように、着用者Pは、衣服本体10Aの左接合部12aと右接合部13aとの重なりを少なくした状態で、下側の第1接合部材20と第2接合部材30とを接合することにより、衣服1Aの開口14を大きくすることができる。これにより、着用者Pは、胸元を広くした状態で衣服1Aを着ることができる。
また、図7(B)に示すように、着用者Pは、衣服本体10Aの左接合部12aと右接合部13aとの重なりを多くした状態で、上側の第1接合部材20と第2接合部材30とを接合することにより、衣服1Aの開口14を小さくすることができる。これにより、着用者Pは、胸元を狭くした状態で衣服1Aを着ることができる。
【0036】
上述のように、着用者Pは、左接合部12aと右接合部13aとの重なり少なくしたり、多くしたりすることにより、衣服1Aの胸元の開き具合を自在に調節することができる。
図7(A)及び(B)のいずれにおいても、第1接合部材20と第2接合部材30とは磁力で接合されているため、着用者Pが接合位置を動かさなければ、衣服1Aの胸元の開き具合を維持することができる。
なお、本実施形態の衣服1Aを着用者Pが着る場合、図7(A)及び(B)に示すように、右接合部13aを左接合部12aの上に被せてもよいし、左接合部12aを右接合部13aの上に被せてもよい。また、図7(A)及び(B)では、上下方向に沿って2つの第1接合部材20を設ける例について示しているが、第1接合部材20は、1つでもよいし、3つ以上設けてもよい。
【0037】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態として、本発明に係る着衣物を前合わせのない衣服に適用した例について説明する。
第3実施形態の衣服1Bにおいて、第1接合部材20、第2接合部材30等の基本的な構成は、第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態の説明及び図面において、第1実施形態と同等の部材等には、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0038】
図8(A)及び(B)は、衣服1Bの使用形態を説明する図である。図8(A)は、衣服1Bの胸元を広くした場合の使用形態を示している。図8(B)は、衣服1Bの胸元を狭くした場合の使用形態を示している。図8(A)及び(B)に示す衣服1Bは、例えば、前合わせのないTシャツである。
【0039】
図8(A)及び(B)に示すように、第3実施形態の衣服1Bは、衣服本体(着衣体)10Bの胸元部分の左右に第1接合部材20と第2接合部材30を備えている。第3実施形態では、衣服本体10Bの胸元部分の左右を、「左接合部12a」、「右接合部13a」として説明する。左接合部12aには、第1接合部材20が設けられている。また、右接合部13aには、第2接合部材30が設けられている。本実施形態の第1接合部材20及び第2接合部材30は、少なくとも着用者Pの肌に触れる部分が薄い樹脂材料によりコーティングされており、それぞれ左接合部12a、右接合部13aの生地の裏側に縫い付けられている。本実施形態の第1接合部材20及び第2接合部材30の機能は、第1実施形態と同じである。
【0040】
図8(A)に示すように、着用者Pは、衣服本体10Bの左接合部12aと右接合部13aとを重ねない状態とすることにより、衣服1Bの開口14を本来の大きさのままとすることができる。このように、本実施形態の衣服1Bでは、第1接合部材20と第2接合部材30とを接合しない状態も使用形態の一つとなる。第1接合部材20と第2接合部材30とを接合しない状態において、着用者Pは、胸元を広くした状態で衣服1Bを着ることができる。
【0041】
一方、図8(B)に示すように、着用者Pは、衣服本体10Bの左接合部12aと右接合部13aとを重ねた状態で、第1接合部材20と第2接合部材30とを接合することにより、衣服1Bの開口14を小さくすることができる。これにより、着用者Pは、胸元を狭くした状態で衣服1Bを着ることができる。なお、図8(B)に示す例では、左接合部12aを裏返すようにして右接合部13aと重ね合わせている。
上述のように、本実施形態の衣服1Bによれば、着用者Pは、左接合部12aと右接合部13aとを重ねない状態にしたり、重ねた状態にしたりすることにより、胸元の開き具合を自在に調節することができる。
図8(B)の状態において、第1接合部材20と第2接合部材30とは磁力で接合されているため、着用者Pが接合位置を動かさなければ、衣服1Bの胸元を狭くした状態を維持することができる。
【0042】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態として、本発明に係る着衣物を後ろ合わせ式のケープに適用した例について説明する。第4実施形態のケープ1Cは、例えば、美容院、理髪店等において、髪の毛のカット、毛染め、パーマ等を行う際に用いられる着衣物である。なお、第4実施形態に示す後ろ合わせ式の着衣物は、上記用途のケープに限らず、一般的な衣服にも適用することができる。
第4実施形態のケープ1Cにおいて、第1接合部材20、第2接合部材30等の基本的な構成は、第1実施形態と同じである。そのため、第4実施形態の説明及び図面において、第1実施形態と同等の部材等には、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0043】
図9(A)及び(B)は、ケープ1Cの構成及び使用形態を説明する図である。図9(A)は、ケープ1Cを後ろ合わせで接合する構成を説明する図である。図9(B)は、ケープ1Cの使用形態を説明する図である。
図9(A)に示すように、第4実施形態のケープ1Cは、ケープ本体(着衣体)10Cの首周り部分50と、後ろ合わせ部分60に、それぞれ第1接合部材20及び第2接合部材30を備えている。第4実施形態では、ケープ本体10Cの前合わせ部分の左右を、「左接合部12a」、「右接合部13a」として説明する。
【0044】
首周り部分50の一方の側(図中、左側)の端部には、襟元に沿って2つの第1接合部材20が設けられている。2つの第1接合部材20は、襟元を構成する生地の間に縫い付けられている。また、首周り部分50の他方の側(図中、右側)の端部には、襟元に沿って第2接合部材30が設けられている。第2接合部材30は、細長い板状に形成されている。第2接合部材30は、首周り部分50の他方の側に設けられたポケット51の内部に着脱自在に収納されている。図9(B)では、第1接合部材20と第2接合部材30の位置を分かり易くするため、ポケット51の図示を省略している。なお、第2接合部材30は、首周り部分50の内側(接合時に第1接合部材20と対向する側)に、例えば、接着剤により貼り付けられていてもよい。
【0045】
後ろ合わせ部分60において、左接合部12aの縦方向の中央付近には、第1接合部材20が設けられている。第1接合部材20は、左接合部12aの表側(図中、手前側)に、例えば、接着剤により貼り付けられている。また、右接合部13aの縦方向の中央付近には、第2接合部材30が設けられている。第2接合部材30は、右接合部13aの裏側に、例えば、接着剤により貼り付けられている。後ろ合わせ部分60において、第1接合部材20及び第2接合部材30は、水平方向において、ほぼ同じ位置に設けられている。
【0046】
着用者は、図9(A)に示すように、ケープ1Cの首周り部分50及び後ろ合わせ部分60を開いた状態とすることにより、体の正面側からケープ1Cを着ることができる。図示していないが、着用者がケープ1Cを着た状態において、後合わせ部分60は、着用者の背中側となる。着用者がケープ1Cを着た状態において、図9(B)に示すように、ケープ1Cの首周り部分50及び後ろ合わせ部分60を重ね合わせることにより、首周り部分50及び後ろ合わせ部分60を閉じることができる。具体的には、首周り部分50では、着用者Pの首周りに左接合部12aを巻き付け、その上から右接合部13aを重ね合わせることにより、首周り部分50の第1接合部材20と第2接合部材30とを接合することができる。なお、着用者Pの首周りにペーパーやタオルを巻き付けた状態で首周り部分50を閉じてもよい。
また、後ろ合わせ部分60では、着用者Pの背中側に左接合部12aを重ね合わせ、その上から右接合部13aを重ね合わせることにより、後ろ合わせ部分60の第1接合部材20と第2接合部材30とを接合することができる。
【0047】
第4実施形態のケープ1Cによれば、首周り部分50において、第1接合部材20と第2接合部材30とを接合する位置を調節することにより、ケープ1Cの首周り部分50を着用者Pの首に隙間なく係合させることができる。第4実施形態のケープ1Cは、首周り部分50に2つの第1接合部材20が設けられているため、首周り部分50において、第1接合部材20と第2接合部材30とを接合する位置を、より広範囲に調節することができる。また、後ろ合わせ部分60において、第1接合部材20と第2接合部材30とを接合する位置を変えることにより、ケープ1Cの身幅を着用者Pの体型に合わせて調節することができる。
【0048】
第4実施形態のケープ1Cにおいて、第2接合部材30は、ポケット51の内部に着脱自在に収納される。そのため、例えば、ケープ1Cを洗濯する際に、第2接合部材30をポケット51から取り外しておくことにより、洗濯の際に第2接合部材30を紛失したり、第2接合部材30が水分で錆びたりする不具合を抑制することができる。なお、ポケット51の開口部分にボタン、チャック、面ファスナー等を設けて、第2接合部材30の位置ずれや脱落を抑制するようにしてもよい。
【0049】
以上、本発明に係る着衣物の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本開示の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本開示から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0050】
(変形形態)
第1実施形態では、第1接合部材20及び第2接合部材30を1組設けた例について説明したが、これに限らず、第1接合部材20及び第2接合部材30を複数組設けた構成としてもよい。また、第1接合部材20を複数設け、第2接合部材30を1つ設けた構成としてもよいし、1つの第1接合部材20に対して、第2接合部材30を複数設けた構成としてもよい。更に、第1接合部材20及び第2接合部材30の形状、大きさ、配置等は、上記実施形態の例に限らず、適宜に変更可能である。第2~第4実施形態においても、第1接合部材20及び第2接合部材30の形状、大きさ、配置等は、適宜に変更可能である。
【0051】
第1実施形態において、第1接合部材20及び第2接合部材30を、2枚のシート材10a及び10bの間に設ける構成に限らず、各シート材の表面に設けてもよい。例えば、第1実施形態において、第1接合部材20をシート材10aの厚み方向の裏側に設け、第2接合部材30をシート材10bの厚み方向の表側に設けた構成としてもよい。第2~第4実施形態においても、シート本体や衣服本体に第1接合部材20及び第2接合部材30を設ける位置は、適宜に変更可能である。
【0052】
第2接合部材30は、例示した鉄、ニッケル、コバルト等に限らず、鉄分を含む合金であってもよい。
第2接合部材30は、板状に限らず、例えば、コイル状に構成されていてもよい。第2接合部材30をコイル状とすることにより、第1接合部材20と第2接合部材30との接合位置に柔軟性を持たせることができる。このような構成は、第2実施形態のように、本発明に係る着衣物を衣服に使用した場合に適している。
第2接合部材30は、第1接合部材20と同じ磁石で構成してもよい。その場合、第1接合部材20の接合側がS(N)極、第2接合部材30の接合側がN(S)極となるように配置することにより、磁石間に生じる磁力によりシート本体の端部を閉じることができる。
【0053】
第1接合部材20及び第2接合部材30にある程度の重量がある場合、押え部40を省略することもできる。すなわち、第1接合部材20及び第2接合部材30を押え部40と兼用させることもできる。また、第1接合部材20及び第2接合部材30のいずれか一方を押え部40と兼用させてもよい。例えば、第1接合部材20に重量がある場合、押え部40を右接合部13aの側にのみ設けるようにしてもよい。
【0054】
第2実施形態において、第1接合部材20及び第2接合部材30のいずれか一方又は両方を、衣服本体10Aに対して着脱自在となるように構成してもよい。
上記各実施形態では、本発明に係る着衣物を衣服に適用した例について説明したが、本発明に係る着衣物は、例えば、マフラー、ストール等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1 首掛けシート,第2の首掛けシート(着衣物)
1A,1B 衣服(着衣物)
1C ケープ(着衣物)
10 シート本体(着衣体)
10A,10B 衣服本体(着衣体)
10C ケープ本体(着衣体)
11 背面部
12 左肩部
12a 左接合部
13 右肩部
13a 右接合部
14 開口
20 第1接合部材
30 第2接合部材
40 押え部
50 首周り部分
51 ポケット
60 後ろ合わせ部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に着用されたケープの上に配置されて毛髪のカット時に使用され、使用状態において、人体の肩、胸部及び背部を覆うように構成された毛髪入り込み抑制用首掛けシートであって、
使用状態において人体の頚部と係合する開口を有し、前記開口の周囲において人体の少なくとも一部を被覆するシート本体と、
前記シート本体における使用状態の人体の前側に設けられ、磁石からなる第1接合部材と、
前記シート本体における使用状態の人体の前側に設けられ、前記第1接合部材と磁力により接合する第2接合部材と、
を備え、
前記シート本体は、柔軟性を有する素材により形成され、
使用状態において、前記第1接合部材と前記第2接合部材とが人体の前側で接合されたときに、前記開口が人体の頚部の後部に隙間なく密着するように構成され、
前記第1接合部材と前記第2接合部材とが接合する位置に応じて、前記開口の大きさが可変となる、毛髪入り込み抑制用首掛けシート
【請求項2】
請求項1に記載の毛髪入り込み抑制用首掛けシートにおいて、
前記第2接合部材は、磁性体である、毛髪入り込み抑制用首掛けシート
【請求項3】
請求項1又は2に記載の毛髪入り込み抑制用首掛けシートにおいて、
前記シート本体は、撥水性又は防水性を有する素材により形成される、毛髪入り込み抑制用首掛けシート
【請求項4】
請求項1~3までのいずれか一項に記載の毛髪入り込み抑制用首掛けシートにおいて、
前記シート本体前記ケープの上に配置されたときに、前記シート本体の位置を維持する押え部を備える、毛髪入り込み抑制用首掛けシート
【請求項5】
請求項1~4までのいずれか一項に記載の毛髪入り込み抑制用首掛けシートにおいて、
前記第1接合部材及び前記第2接合部材は、前記シート本体に内蔵されている、毛髪入り込み抑制用首掛けシート。