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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026852
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】充填装置
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/28 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
B67C3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130513
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】宮本 康史
(72)【発明者】
【氏名】高島 和己
【テーマコード(参考)】
3E079
【Fターム(参考)】
3E079AA07
3E079AB01
3E079BB01
3E079CC23
3E079CD25
3E079DD04
3E079DD32
3E079DD35
3E079FF03
(57)【要約】
【課題】粘度の高い充填液を容器に充填する場合であっても迅速に液バルブを閉鎖させて、液垂れを防止する。
【解決手段】充填バルブ6の昇降軸12は、電動シリンダ15に連結された第1軸12Aと、その下方のピストン12Bと、ピストン12Bと一体になった第2軸12Cとからなる。第2軸12Cの下端に設けた弁体18とバルブ本体11内の弁座19とによって液バルブ14が構成される。
第2圧力室23内の低圧エアによって昇降軸12全体が上方へ付勢されており、その状態で電動シリンダ15によって昇降軸12が上昇されると、液バルブ14が開放されて容器2内への充填液3の充填が開始される(図3(a)参照)。その後、液バルブ14の閉鎖時に第1圧力室22に高圧エアが供給されるので、ピストン12Bと第2軸12Cが速やかに下降されて、液バルブ14が迅速に閉鎖される(図3(b)参照)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に充填液を充填する複数の充填バルブを備え、
上記充填バルブは、下端に充填液の吐出口が形成された筒状のバルブ本体と、上記バルブ本体内に昇降可能に設けられた昇降軸と、該昇降軸とバルブ本体の内周部との間に形成された液通路と、上記昇降軸に設けられた弁体と上記バルブ本体の内周部に形成された弁座とからなる液バルブと、上記昇降軸を昇降させる電動駆動手段とを備え、
上記電動駆動手段によって上記昇降軸を昇降させることで、上記液バルブを開閉させるように構成された充填装置において、
上記昇降軸は、上記電動駆動手段によって昇降される第1軸と、該第1軸とは分離して、その下方側に配置されるとともに上記弁体が設けられた第2軸とを備え、
上記第2軸を上記第1軸に向けて付勢する付勢手段と、上記第2軸に設けられたピストンの隣接上方側に形成された圧力室と、該圧力室に高圧エアを供給する高圧エア供給手段と、上記電動駆動手段及び上記高圧エア供給手段の作動を制御する制御装置とを備え、
上記制御装置は、上記付勢手段によって上記第2軸が上記第1軸に当接した状態において、上記電動駆動手段により上記第1軸、上記第2軸および上記ピストンを一体的に昇降させるとともに、
上記制御装置は、開放された液バルブを閉鎖させる際に上記高圧エア供給手段によって上記圧力室に高圧エアを供給させることで、上記第1軸から上記第2軸を分離させて下降させて液バルブを閉鎖させることを特徴とする充填装置。
【請求項2】
上記ピストンは上記第2軸の上端にそれと一体に形成されており、該ピストンが上記第1軸と接離するように構成されており、
上記ピストンの隣接上方側に上記圧力室としての第1圧力室が形成されており、上記バルブ本体におけるピストンの隣接下方側に第2圧力室が形成されており、
上記第2圧力室に低圧エアを供給する低圧エア供給手段を備え、
上記付勢手段は、低圧エア供給手段から第2圧力室に供給される低圧エアからなり、
第1圧力室に高圧エアが供給されていない状態では、付勢手段としての低圧エアによってピストンは第1軸と当接しており、その状態において、上記第1軸、上記ピストンおよび上記第2軸が上記電動駆動手段によって一体となって昇降されることを特徴とする請求項1に記載の充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充填装置に関し、より詳しくは、電動駆動手段によって充填バルブの液バルブを開閉させることで、容器内に充填液を充填する充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動駆動手段によって充填バルブの液バルブを開放させて容器内に充填液を充填するように構成された充填装置は知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1の充填バルブにおいては、電動駆動手段によって液バルブを開放させる際の開度(弁体と弁座の距離)を変更することで、液種に応じた最適な充填流量を設定できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-176783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような電動駆動手段を用いて液バルブを作動させる充填装置においては次のような問題があった。すなわち、電動駆動手段によって液バルブを作動させる場合において、エアシリンダで作動させる場合と同様の速やかな液バルブの動作速度を得ようとすると、液バルブの弁体の締付推力が低下するという欠点がある。他方、液バルブの弁体の締付推力を重視すると、液バルブの弁体の動作速度が遅くなるという問題があった。特に、粘度の高い充填液を容器に充填する場合には、できるだけ迅速に液バルブを閉鎖しないと、液バルブの先端部に液がつらら状に付着し、それが時間が経つにつれて落下する液垂れが発生して、製品容器が汚染する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、容器内に充填液を充填する複数の充填バルブを備え、
上記充填バルブは、下端に充填液の吐出口が形成された筒状のバルブ本体と、上記バルブ本体内に昇降可能に設けられた昇降軸と、該昇降軸とバルブ本体の内周部との間に形成された液通路と、上記昇降軸に設けられた弁体と上記バルブ本体の内周部に形成された弁座とからなる液バルブと、上記昇降軸を昇降させる電動駆動手段とを備え、
上記電動駆動手段によって上記昇降軸を昇降させることで、上記液バルブを開閉させるように構成された充填装置において、
上記昇降軸は、上記電動駆動手段によって昇降される第1軸と、該第1軸とは分離して、その下方側に配置されるとともに上記弁体が設けられた第2軸とを備え、
上記第2軸を上記第1軸に向けて付勢する付勢手段と、上記第2軸に設けられたピストンの隣接上方側に形成された圧力室と、該圧力室に高圧エアを供給する高圧エア供給手段と、上記電動駆動手段及び上記高圧エア供給手段の作動を制御する制御装置とを備え、
上記制御装置は、上記付勢手段によって上記第2軸が上記第1軸に当接した状態において、上記電動駆動手段により上記第1軸、上記第2軸および上記ピストンを一体的に昇降させるとともに、
上記制御装置は、開放された液バルブを閉鎖させる際に上記高圧エア供給手段によって上記圧力室に高圧エアを供給させることで、上記第1軸から上記第2軸を分離させて下降させて液バルブを閉鎖させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、液バルブを開放状態から閉鎖させる際に高圧エアによって弁体を迅速に移動させて液バルブを迅速に閉鎖することができる。したがって、粘性が高い充填液を容器に充填する場合であっても、吐出口からの液垂れを防止して周辺が汚染されることを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す平面図。
図2図1の要部の縦断面図。
図3図2の要部の拡大図であり、図3(a)は液バルブが開放されて容器内に充填液を充填中の状態を示しており、図3(b)は第1圧力室に高圧エアが供給されて液バルブが閉鎖された状態を示している。
図4図2に示す液バルブが開放されてから閉鎖されるまでの充填液の充填流量と経過時間との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2において、1は容器2内に充填液3を充填する回転式の充填装置であり、この充填装置1は、回転体4の外周部に等ピッチで複数の充填バルブ6を備えている。
回転体4が矢印方向に回転中において、供給位置Aにおいて供給ホイール7から充填バルブ6の下方側に順次、空の容器2が供給されるようになっている。各容器2は充填装置1が備える図示しないグリッパによって把持されるとともに、回転体4の回転に伴って搬送されつつ、充填バルブ6によって所定量の充填液3が充填される。そして、充填バルブ6によって充填液3が充填された各容器2は、グリッパによる把持状態を解放されるとともに、排出位置Bにおいて排出ホイール8によって充填装置1の回転体4から排出されて図示しないキャッピング装置へ受け渡されるようになっている。
【0009】
図2に示すように、充填バルブ6は、下端が吐出口11Aとなった円筒状のバルブ本体11と、バルブ本体11内に昇降自在に設けられた細長い円柱状の昇降軸12と、この昇降軸12の外周部とバルブ本体11の内周部との間に形成された液通路13と、バルブ本体11内の下方側に設けられて液通路13を開閉させる液バルブ14と、昇降軸12を昇降させることで液バルブ14を開閉させる電動シリンダ15を備えている。
バルブ本体11は、回転体4の外周部に所定高さで鉛直方向となるように連結されており、したがって、吐出口11Aは、容器2に充填液3を充填するための所定高さで下方に向けられている。
【0010】
昇降軸12は、上方側に位置して上端を電動シリンダ15に連結された第1軸12Aと、この第1軸12Aとは分離して、その隣接下方側に位置する段付円柱状のピストン12Bと、このピストン12Bの下方側に位置してそれと一体に形成された第2軸12Cとによって構成されている。つまり、ピストン12Bは第2軸12Cの上端に一体に設けられている。
後に詳述するが、昇降軸12全体(第1軸12A、ピストン12B、第2軸12C)は電動シリンダ15によって昇降されるとともに、所要時にピストン12Bに上方側から高圧エアを作用させることで、第1軸12Aからピストン12Bを離隔させて、該ピストン12B及び第2軸12Cだけを下降させることができるようになっている。
バルブ本体11の内周部の上方側に小径のガイド孔11Bが形成されており、このガイド孔11Bに第2軸12Cの上方側の外周部を摺動自在に貫通させている。これにより、第2軸12Cとピストン12Bは、ガイド孔11Bに案内されてバルブ本体11内で昇降可能となっている。
ガイド孔11Bよりも下方側となるバルブ本体11の内周部と、それに対向する第2軸12Cの外周部との隙間が液通路13として構成されている。
ガイド孔11Bの隣接下方側となるバルブ本体11の内周部と、それに対向する第2軸12Cの段部とにわたってベローズ16が取り付けられている。第2軸12Cが昇降される際には、ベローズ16が伸縮されるようになっている。
ベローズ16を設けた位置となるバルブ本体11の液通路13には、充填液供給管17の一端が接続されており、充填液供給管17の図示しない他端は充填液3の供給源に接続されている。回転体4が回転される充填作業中においては、充填液3の供給源から充填液供給管17を介して液通路13に充填液3が供給されて、液通路13内が充填液3で満たされるようになっている。
【0011】
第2軸12Cの下端外周部に弁体18が装着されており、この弁体18と対向するバルブ本体11の内周部が円錐状の弁座19となっている。弁体18と弁座19とによって液バルブ14が構成されている。
第2軸12Cとピストン12Bが上昇されると、弁体18が弁座19から離座して液バルブ14が開放されるので、液バルブ14と吐出口11Aを介して液通路13内の充填液3が容器2内に充填されるようになっている(図3(a)の状態)。
他方、第2軸12Cとピストン12Bが下降されて弁体18が弁座19に着座すると液バルブ14が閉鎖されるので、吐出口11Aからの充填液3の流下が阻止されるようになっている(図2図3(b)の状態)。
【0012】
上記ガイド孔11Bの上方側となるバルブ本体11の内周部は、順次、上方側の内径を大きくした段付ガイド孔11Cとなっている。
ピストン12Bは、上方側の大径部12Baと下方側の小径部12Bbとを備えており、小径部12Bbの下面の中央部は第2軸12Cの上端と一体に連結されている。それにより、ピストン12Bと第2軸12Cとが一体に構成されている。大径部12Baの上面中央には突出部12Bcが形成されており、この突出部12Bcは第1軸12Aの下端部と対向し、かつ、そこと接離するようになっている。
そして、ピストン12Bの大径部12Baを段付ガイド孔11Cの上方側の大径孔に気密を保持して摺動自在に嵌合させてあり、ピストン12Bの小径部12Bbは段付ガイド孔11Cの下方側の小径孔に嵌合できるようになっている。
【0013】
バルブ本体11の上端は円板状部材21で密封されており、該円板状部材21の上面に電動シリンダ15が配置されている。
円板状部材21とピストン12Bの間のバルブ本体11の内部空間が第1圧力室22となっている。他方、ピストン12Bの隣接下方側となる第2軸12Cの外周部とバルブ本体11の内周部との空間が第2圧力室23となっている。
第1軸12Aは、円板状部材21の中央の貫通孔21Aに気密を維持して摺動自在に貫通させてあり、第1軸12Aの上端は電動シリンダ15に連結されている。第1軸12Aの下方部分と下端は第1圧力室22内に位置しており、第1軸12Aの下端は、上記ピストン12Bの突出部12Bcと対向して、それと接離するようになっている。
ピストン12Bの隣接下方側となる第2圧力室23は、バルブ本体11のエア通路11D及びそれに接続された導管24を介して低圧エア供給手段25に連通させている。
回転体4が回転される充填液3の充填作業中においては、低圧エア供給手段25から導管24を介して低圧エアが継続して第2圧力室23に供給されるようになっている。充填作業中においては、第2圧力室23に供給された低圧エアによってピストン12Bと第2軸12Cは常時上方側に向けて付勢されている。そのため、ピストン12Bの突出部12Bcと第1軸12Aの下端とが当接した状態となっており、その状態において、昇降軸12全体が電動シリンダ15によって昇降されて液バルブ14が開閉されるようになっている(図2図3(a)参照)。
第2圧力室23に供給される低圧エアは、ピストン12B及び弁体18を上方側に付勢して、液バルブ14を常に開放させる方向に付勢する付勢手段として機能するようになっている。
【0014】
ピストン12Bの隣接上方側となる第1圧力室22は、バルブ本体11のエア通路11Eおよびそれに接続された導管26を介して高圧エア供給手段27に連通させている。導管26の途中には常閉の電磁弁28が設けられている。
上記電動シリンダ15、高圧エア供給手段27及び電磁弁28の作動は制御装置31によって制御されるようになっている。
回転体4が回転される充填作業中においては、第2圧力室23内に低圧エア供給手段25から低圧エアが継続して供給されており、その状態において、制御装置31は、電動シリンダ15によって昇降軸12全体を昇降させて液バルブ14を開閉させるようになっている。また、制御装置31は、充填作業中においては、高圧エア供給手段27を作動させて高圧エアを第1圧力室22に供給できる状態となっているが、閉鎖状態の電磁弁28によって第1圧力室22への高圧エアの供給は阻止されている。
そのため、第1圧力室22への高圧エアが供給されていない状態では、第2圧力室23に供給されている低圧エアによって、第1軸12Aにピストン12Bが当接している。そのため、昇降軸12(第1軸12A,ピストン12B、第2軸12C)全体が電動シリンダ15によって昇降されて、液バルブ14が開閉されるようになっている。それにより、開放状態の液バルブ14と吐出口11Aを介して容器2内に充填液3を充填できるようになっている。
本実施例においては、液バルブ14を開放させて容器2内へほぼ所定量の充填液3の充填が行われて液バルブ14を閉鎖する際に、制御装置31が電磁弁28を開放させるようになっている。このように電磁弁28が開放されると第1圧力室22内に導管26を介して高圧エアが供給されるので、付勢手段としての第2圧力室23の低圧エアの付勢力に打ち勝って、ピストン12B及び第2軸12Cが急速に下降されて弁体18が弁座19に着座して、液バルブ14が迅速に閉鎖されるようになっている。
なお、第1圧力室22内の高圧エアで下降されるピストン12B及び第2軸12Cは、ピストン12Bの大径部12Baの下面が段付孔11Cの段部端面に当接することで停止されるようになっており(図3(b)参照)、その状態で弁体18が弁座19に着座して液バルブ14が閉鎖されるようになっている。
【0015】
昇降軸12の第1軸12Aを昇降させる電動シリンダ15の構成自体は従来すでに公知である。具体的には、電動シリンダ15は正逆に回転されるサーボモータと、このサーボモータの駆動軸のネジ部と螺合されて昇降可能なナット部材を備えており、そのナット部材に第1軸12Aの上端部が連結されている。サーボモータの回転位置や回転速度を制御装置31によって制御することで、上記第1軸12Aの昇降位置や昇降速度を制御できるようになっている。なお、サーボモータの電源が入っていない場合は、サーボモータの回転軸がある程度自由に回転可能となっている。サーボモータには、ロータリーエンコーダが接続されており、サーボモータに電圧が印加されて回転される際には、ロータリーエンコーダから発信された信号が制御装置31に送信されるようになっている。
それによって、制御装置31はサーボモータの回転位置と回転速度を認識できるようになっている。また、サーボモータに電圧を印加している作動中において、ウォータハンマなどによりサーボモータが過負荷となった場合等には、制御装置31は、当該電動シリンダ15のサーボモータに異常が発生したことを認識できるようになっている。
第2圧力室23内の低圧エアによって付勢されたピストン12Bの突出部12Bcが第1軸12Aの下端と当接した状態において、電動シリンダ15のサーボモータが制御装置31によって正転されることで、昇降軸12全体が一体となって下降される一方、電動シリンダ15のサーボモータが制御装置31によって逆転されると昇降軸12全体が上昇されるようになっている。つまり、電動シリンダ15によって、昇降軸12全体が一体となって昇降されることで液バルブ14が開閉されるようになっている。
【0016】
以上の構成において、充填装置1の各充填バルブ6による容器2への充填液3の充填作業は、次のようにして行われる。
充填バルブ6は、第2圧力室23に低圧エアが供給されることで、ピストン12Bが第1軸12Aと当接し、かつ、電動シリンダ15によって昇降軸12全体が下降端に下降されて液バルブ14が閉鎖されている。そして、その状態で回転体4の回転に伴って供給位置Aに充填バルブ6が位置すると、空の容器2が充填バルブ6の下方に供給されて、該容器2は図示しないグリッパによって保持される。なお、この時には、充填バルブ6に接続された高圧エア供給手段27が作動されているが、電磁弁28が閉鎖されているので、第1圧力室22には高圧エアは供給されていない。
その後、回転体4の回転に伴って制御装置31によって充填バルブ6の電動シリンダ15が逆転されるので、昇降軸12全体が上昇されて液バルブ14が開放される(図2図3(a)参照)。
このように液バルブ14が開放されることで、吐出口11Aから充填液3が流下して容器2内への充填液3の充填が開始される。
この後、本実施例においては、電動シリンダ15によって昇降軸12を所要量、昇降させることで容器2内へ充填される充填液3の流量を変化させるようにしている。具体的には、図4に示すようにT1の時点で液バルブ14を開放させてから先ず小流量X1で充填液3を充填し、その後、小流量X1から大流量X2に切り換えて充填を継続し、その後、再度小流量X1で充填をするようにしている。この小流量X1で所要時間充填を継続したら、その時点T2から電動シリンダ15によって昇降軸12全体を下降させて液バルブ14の閉鎖作動に移行するが、電動シリンダ15によって昇降軸12全体を下降させ始めた直後の時点T3において制御装置31は電磁弁28を開放させる。
これにより、第2圧力室22に高圧エアが供給されるので、該高圧エアによってピストン12Bと第2軸12Cが、第2圧力室23内の低圧エアの付勢力に打ち勝って速やかに下降されて弁体18が弁座19に迅速に着座し、液バルブ14が閉鎖される(図3(b)の状態)。この時点T4で容器2内への充填液3の充填が終了する。
つまり、本実施例では、液バルブ14を開放した時点T1から液バルブ14を閉鎖するために昇降軸12全体(弁体18)を下降させる時点T2までは電動シリンダ15によって弁体18を昇降させるようにしてあり、時点T2から液バルブ14の閉鎖作動に移行した直後の時点T3で第1圧力室22に供給された高圧エアによってピストン12B,第2軸12C(弁体18)を迅速に下降させ、T3の時点で液バルブ14が完全に閉鎖されるようになっている。
なお、図4における右端に参考として想像線で示した斜線は、T2の時点から継続した電動シリンダ15によって昇降軸12を下降させて液バルブ14が完全に閉鎖される場合の流量と時間との関係を示しており、この場合には、液バルブ14が閉鎖される時点T5が遅くなる。
これと比較すると、本実施例においては、液バルブ14の閉鎖時に高圧エアによって弁体18を下降させることで、液バルブ14が完全に閉鎖される時点T4が速くなっている。
以上のようにして充填装置1が備える各充填バルブ6によって充填液3の充填が終了した容器2は、その後、グリッパによる保持を解放されてから排出ホイール8によって回転体4から排出されるようになっている。
【0017】
以上のように、本実施例の充填装置1は、容器2内への充填液3の充填時に液バルブ14を閉鎖する際に第1圧力室22に高圧エアを供給することでピストン12Bと第2軸12C(弁体18)を迅速に下降させて液バルブ14を閉鎖することができる。
換言すると、充填バルブ6は基本的に電動シリンダ15を用いて液バルブ14を開閉して充填液3を充填する構成となっているが、液バルブ14を閉鎖する際には電動シリンダ15の代わりに高圧エアを用いて液バルブ14を閉鎖する構成となっている。これにより、液バルブ14を閉鎖する際には、十分な弁体18の締付推力を得ることができるとともに、弁体18を迅速に弁座19に着座させて液バルブ14を迅速に閉鎖することができる。
したがって、粘性が高いケチャップ等の充填液3を容器2に充填する場合であっても、充填液3の充填完了時に充填バルブ6の吐出口11Aから液垂れを防止して周辺が汚染されることを確実に防止することができる。
また、本実施例によれば、粘性が大きく異なる複数の種類の充填液であっても充填バルブ6を用いて充填を行うことができるので、汎用性の高い充填装置1を提供することができる。
【0018】
なお、上記実施例においては、第2軸12Cの上端にピストン12Bを一体に設けて、ピストン12Bを第1軸12Aに接離させているが、ピストン12Bは第2軸12Cの上端ではなく、上端よりも下方側となる外周部に設けても良い。その場合、第2軸12Cの上端が直接、第1軸12Aと接離する構成となる。
また、上記実施例においては、液バルブ14を開放した後に、小流量X1、大流量X2そして再度小流量X1に切り換えて充填液3の充填を行っているが、液バルブ14を開放してからの流量の変更は、充填液3の種類等に応じて適宜変更することができる。つまり、例えば液バルブ14の開放後に、先ず大流量X2で充填を進めて、その後に小流量X1に切り換えてから第1圧力室22に高圧エアを供給して液バルブ14を閉鎖するようにしても良い。あるいは、液バルブ14を開放してから閉鎖する直前まで小流量X1又は大流量X2の一定流量で充填液3を充填するようにしても良い。例えば、果汁の粒等の固形物を含む充填液3を容器2に充填する場合には、液バルブ14を開放してから大流量X2だけで充填することで、充填液3を円滑に容器2内に充填することができる。このように、液バルブ14を開放してから閉鎖するまでの充填中における流量は、充填液3の液種に応じて適宜変更しても良い。
また、充填液3の充填作業中において、個別の充填バルブ6の電動シリンダ15(サーボモータ)に何らかの異常が生じた場合には、制御装置31は、それに接続された導管25の電磁弁28の弁体の位置を強制的に切り換えて開放させることができる。それにより、開放された電磁弁28に対応する充填バルブ6の第1圧力室22に高圧エアが供給されるので、ピストン12B及び第2軸12Cが下降されて液バルブ14が強制的に閉鎖される。それによって、当該異常が生じた充填バルブ6からの液漏れを防止することができる。
また、上記実施例においては、付勢手段として第2圧力室23に供給される低圧エアを想定しているが、低圧エアの代わりに第2圧力室内にコイルばねを弾装してピストン12B及び第2軸を上方に向けて付勢するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1…充填装置 2…容器
3…充填液 6…充填バルブ
11…バルブ本体 11A…吐出口
12…昇降軸 12A…第1軸
12B…ピストン 12C…第2軸
13…液通路 14…液バルブ
15…電動シリンダ(電動駆動手段) 18‥弁体
19‥弁座 22…第1圧力室
27…高圧エア供給手段 31…制御装置
図1
図2
図3
図4