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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026918
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】電池温調装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20220203BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220203BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20220203BHJP
   H01M 10/635 20140101ALI20220203BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20220203BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20220203BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20220203BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220203BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20220203BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220203BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20220203BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/635
H01M10/615
H01M10/6555
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/6551
H01M2/10 S
H01M10/617
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130614
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】特許業務法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 友宏
(72)【発明者】
【氏名】國方 裕平
(72)【発明者】
【氏名】茶木田 浩
(72)【発明者】
【氏名】左右木 高広
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓善
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 基正
(72)【発明者】
【氏名】杉下 知隆
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK01
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA29
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC20
5H040CC24
5H040CC34
5H040JJ02
5H040JJ03
(57)【要約】
【課題】電池の冷却能力を向上させつつ、電池性能の安定化を図ることができる電池温調装置を提供する。
【解決手段】予め定められたセル積層方向に積層された複数の電池セル11と、熱媒体が充填されるとともに、複数の電池セル11が収容されるケース20と、ケース20の外側に配置されるとともに、複数の電池セル11およびケース20にセル積層方向の外側から拘束荷重をかけるエンドプレート40と、を備え、エンドプレート40は、ケース20の外側に配置される電池パック60に固定されており、複数の電池セル11は、熱媒体に浸漬されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた積層方向に積層された複数の電池セル(11)と、
熱媒体が充填されるとともに、前記複数の電池セルが収容されるケース(20)と、
前記ケースの外側に配置されるとともに、前記複数の電池セルおよび前記ケースに前記積層方向の外側から拘束荷重をかける拘束部材(40)と、を備え、
前記拘束部材は、前記ケースの外側に配置される被固定部材(60)に固定されており、
前記複数の電池セルは、前記熱媒体に浸漬されている電池温調装置。
【請求項2】
前記拘束部材は、前記ケースの前記積層方向における両外側に設けられる一対のエンドプレート(40)である請求項1に記載の電池温調装置。
【請求項3】
前記ケースは、前記積層方向の長さの変化を吸収する吸収部(25、25A、25B)を有している請求項1または2に記載の電池温調装置。
【請求項4】
前記ケースは、少なくとも六面を有する立体形状に形成されており、
前記ケースは、少なくとも一面に開口部を有する箱状に形成された本体部(23)と、前記開口部を塞ぐ蓋部(24)と、により構成されており、
前記本体部は、前記吸収部を有している請求項3に記載の電池温調装置。
【請求項5】
前記本体部は、前記積層方向に第1本体部(231)および第2本体部(232)に分割されている請求項4に記載の電池温調装置。
【請求項6】
前記第1本体部および前記第2本体部は、前記積層方向に対向する端部同士を突き合わせた状態で接続されており、
前記第1本体部と前記第2本体部との接続部に、前記吸収部が設けられている請求項5に記載の電池温調装置。
【請求項7】
前記第1本体部および前記第2本体部は、溶着または接着にて接合されている請求項5または6に記載の電池温調装置。
【請求項8】
前記蓋部および前記本体部は、シール部材を介して溶着または接着にて接合されている請求項4ないし7のいずれか1つに記載の電池温調装置。
【請求項9】
前記電池セルには、電気配線(10d)が接続されており、
前記電気配線は、前記蓋部から前記ケースの外部へ取り出されている請求項4ないし8のいずれか1つに記載の電池温調装置。
【請求項10】
前記ケースにおける前記拘束部材と対向していない面(202)には、前記ケース内に前記熱媒体を流入させる熱媒体入口(21)と、前記ケース内から前記熱媒体を流出させる熱媒体出口(22)と、が設けられている請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電池温調装置。
【請求項11】
前記拘束部材は、前記ケースの前記積層方向における両外側に設けられる一対のエンドプレート(40)であり、
前記ケースの外部には、前記一対のエンドプレート同士を接続する拘束バンド(50)が設けられている請求項1ないし10のいずれか1つに記載の電池温調装置。
【請求項12】
前記ケースは樹脂により構成されている請求項1ないし11のいずれか1つに記載の電池温調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の温度を調整する電池温調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気密な電池収容室を有する外ケースと、電池収容室内に設置されるとともに、電池収容室内に充填された液冷媒に浸漬される電池セルと、を備える電池温調装置が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の電池温調装置では、複数の電池セルが電池収容室内に互いに隙間を空けて積層配置されている。そして、電池収容室内に充填された液冷媒が複数の電池同士の隙間を循環することにより、電池セルを効率よく冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-60088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電池温調装置では、電池セル内部の正負極材料によっては、充電状態、温度環境、経時劣化によるガス発生等に起因して、電池セルが膨張収縮するおそれがある。電池セルが膨張収縮すると、電池容量や耐劣化性等の電池性能に悪影響を及ぼす。
【0006】
本発明は、上記点に鑑みて、電池の冷却能力を向上させつつ、電池性能の安定化を図ることができる電池温調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の電池温調装置では、予め定められた積層方向に積層された複数の電池セル(11)と、
熱媒体が充填されるとともに、複数の電池セルが収容されるケース(20)と、
ケースの外側に配置されるとともに、複数の電池セルおよびケースに積層方向の外側から拘束荷重をかける拘束部材(40)と、を備え、
拘束部材は、ケースの外側に配置される被固定部材(60)に固定されており、
複数の電池セルは、熱媒体に浸漬されている。
【0008】
これによれば、複数の電池セルを熱媒体に浸漬して冷却することにより、電池セルを効率よく冷却できるので、電池の冷却能力を向上させることができる。また、複数の電池セルおよびケースに積層方向の外側から拘束荷重をかける拘束部材をケースの外側に設けることで、電池セルを拘束することができる。このため、電池性能の安定化を図ることができる。
【0009】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る電池温調装置を示す全体構成図である。
図2】第1実施形態における電池セルおよび流路プレートを示す模式的な斜視図である。
図3】第1実施形態における電池セルおよび流路プレートを示す部分的な正面図である。
図4】第1実施形態における流路プレートをセル積層方向から見た正面図である。
図5】第1実施形態における流路プレートを幅方向から見た側面図である。
図6】第1実施形態に電池セルおよび流路プレートを示す模式的な分解斜視図である。
図7】第1実施形態における電池セルおよびケースを示す模式的な断面図である。
図8】第1実施形態におけるエンドプレートおよび拘束バンドのケースへの取付状態を示す説明図である。
図9】第1実施形態におけるケースを示す模式的な分解斜視図である。
図10】第2実施形態におけるケースを示す模式的な分解斜視図である。
図11】第3実施形態におけるケースを示す模式的な断面図である。
図12】第4実施形態におけるケースを示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の電池温調装置1は、走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得る電気自動車に搭載される。電気自動車は、車両停車時に外部電源から供給された電力を、車両に搭載された二次電池に充電可能となっている。外部電源は例えば商用電源である。二次電池に蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、電池温調装置1を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給される。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の電池温調装置1は、二次電池を構成する複数の電池セル11と、ケース20と、熱媒体循環回路30と、を備えている。
【0014】
ケース20には、熱媒体が充填されるとともに、複数の電池セル11が収容される。ケース20には、ケース20内に熱媒体を流入させる熱媒体入口21と、ケース20内から熱媒体を流出させる熱媒体出口22と、が設けられている。複数の電池セル11およびケース20の詳細については後述する。
【0015】
熱媒体循環回路30には、熱媒体ポンプ31と、チラー32と、が設けられている。熱媒体ポンプ31は、熱媒体をケース20の熱媒体入口21側へ圧送する水ポンプである。したがって、熱媒体ポンプ31は、ケース20内における熱媒体入口21から熱媒体出口22へ熱媒体を循環させる循環部である。熱媒体ポンプ31は、図示しない制御装置から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、圧送能力)が制御される電動ポンプである。
【0016】
ケース20の熱媒体出口22には、チラー32の入口側が接続されている。チラー32は、ケース20の熱媒体出口22から流出した熱媒体と外部流体とを熱交換させることによって熱媒体を加熱または冷却する熱交換器である。外部流体としては、例えば、図示しない車両用空調装置の冷凍サイクルの冷媒を採用することができる。チラー32の出口には、熱媒体ポンプ31の入口側が接続されている。
【0017】
ケース20の外側には、一対のエンドプレート40が設けられている。一対のエンドプレート40は、ケース20のセル積層方向における両外側に設けられている。一対のエンドプレート40は、複数の電池セル11およびケース20にセル積層方向の外側から拘束荷重をかける拘束部材である。一対のエンドプレート40の各々は、ケース20に固定されている。
【0018】
続いて、本実施形態における複数の電池セル11周辺の具体的な構成について、図2図6を参照しつつ説明する。なお、図2では、後述するバスバー10cおよびハーネス10dの図示を省略している。
【0019】
ケース20の内部には、充放電可能な複数の電池セル11と、流路プレート12と、が収容されている。複数の電池セル11は、予め定められた積層方向に積層されている。以下、複数の電池セル11の積層方向を、セル積層方向という。本実施形態では、1個のケース20内には、12個の電池セル11が積層配置されている。
【0020】
複数の電池セル11の同一面には、正極10aおよび負極10bが配置されている。そして、隣り合う電池セル11の正極10aと負極10bとがバスバー10cによって接続されている。
【0021】
以下、電池セル11における正極10aおよび負極10bが設けられている面が向く向きを上方といい、上方とは反対側の向きを下方といい、上方と下方とを含む方向を上下方向という。なお、これらの向きおよび方向は、本実施形態に係る電池温調装置1の構造を説明するための便宜的なものであり、電池温調装置1を使用する場合の電池温調装置1の向き等を規定するものではない。本実施形態では、上下方向は鉛直方向と平行である。
【0022】
流路プレート12は、電池セル11とともに積層されるとともに、熱媒体が流れる熱媒体流路120を形成する。電池セル11および流路プレート12は積層体100を構成している。積層された電池セル11および流路プレート12は、エンドプレート40によりセル積層方向の外側から拘束荷重をかけられることにより固定されている。
【0023】
電池セル11は、平坦な板面11aを有する扁平形状に形成されている。本実施形態の電池セル11は扁平な直方体形状であり、矩形状の板面11aを有している。複数の電池セル11は、それぞれの板面11aが平行となるように並列配置されている。電池セル11の板面11aは、セル積層方向と直交している。
【0024】
電池セル11は、任意の種類の電池を用いることができ、本実施形態ではリチウムイオン電池を用いている。リチウムイオン電池は充放電可能な二次電池である。この種の電池は、低温になると化学反応が進みにくく充放電に関して十分な性能を発揮することができない。一方、この種の電池は、高温になると劣化が進行しやすい。したがって、各電池セル11の温度は、充分な性能を発揮できる適正な温度の範囲内に調整される。
【0025】
また、電池セル11としては、角型やラミネート型といった形状の電池を好適に用いることができる。このような形状の電池セル11は、温度、SOCの変化あるいは使用に伴う劣化によって、板面の11a中央付近が膨張するおそれがある。
【0026】
電池セル11と流路プレート12とは、交互に積層して配置されている。隣り合う流路プレート12の間には、一以上の電池セル11が配置されている。本実施形態では、隣り合う流路プレート12の間に1つの電池セル11が配置されている。隣り合う電池セル11の間には、流路プレート12が一枚配置されている。
【0027】
流路プレート12は、絶縁性を有する材質によって構成することができる。具体的には、流路プレート12は、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材によって構成することができる。
【0028】
ここで、電池セル11の板面11aは、電池セル11および流路プレート12を積層した状態で、流路プレート12と対向している。すなわち、電池セル11の板面11aは、電池セル11および流路プレート12を積層した状態で、流路プレート12と対向する面である。
【0029】
続いて、本実施形態の電池温調装置1における流路プレート12の具体的な構成について、図3図6を参照しつつ説明する。図3は、2つの電池セル11と2つの流路プレート12を示している。
【0030】
流路プレート12は、セル積層方向に垂直な板状に形成された基板部121を有している。基板部121の両面には、それぞれ、電池セル11の板面11aに向かって突出する凸部122が設けられている。凸部122は、隣り合う電池セル11の板面11aと接触する。凸部122は、電池セル11にエンドプレート40からの拘束荷重を伝達する。
【0031】
基板部121のうち、凸部122が設けられていない部位により、凹部123が形成されている。流路プレート12を電池セル11の間に配置した状態において、凹部123により熱媒体流路120が形成される。
【0032】
以下、セル積層方向および上下方向の双方に直交する方向を、幅方向という。図4図6に示すように、本実施形態の流路プレート12では、凸部122は、幅方向に延びる矩形状に形成されている。基板部121の両面の各々に、複数の凸部122が設けられている。複数の凸部122は、上下方向に所定間隔で並列配置されている。
【0033】
隣り合う凸部122の間に、凹部123が形成されている。基板部121の両面の各々に、複数の凹部123が設けられている。複数の凹部123は、上下方向に所定間隔で並列配置されている。すなわち、複数の凹部123は、上下方向に並んで配置されている。
【0034】
流路プレート12の下端部には、上下方向に垂直な矩形板状に形成された底面部16が接続されている。底面部16の上面には、電池セル11が配置されている。底面部16におけるセル積層方向の一端側に、流路プレート12の下端部が接続されている。
【0035】
図7に示すように、電池セル11および流路プレート12の積層体100は、ケース20内に収容されている。ケース20内には、熱媒体が充填されている。このため、電池セル11および流路プレート12は、熱媒体に浸漬されている。
【0036】
熱媒体は、ケース20内を循環している。具体的には、熱媒体入口21からケース20内に流入した熱媒体は、流路プレート12により形成された熱媒体流路120を幅方向の一方側から他方側に向かって流れた後、熱媒体出口22からケース20の外部へ流出する。
【0037】
このとき、流路プレート12の熱媒体流路120を流通する熱媒体と電池セル11との間で熱交換が行われる。これにより、電池セル11が冷却または加熱され、電池セル11が温度調整される。なお、熱媒体としては、絶縁性を有する液体を用いることができる。具体的には、熱媒体としては、例えばフッ素系不活性液体やシリコンオイルを用いることができる。
【0038】
続いて、本実施形態の電池温調装置1におけるケース20周辺の具体的な構成について、図7図9を参照しつつ説明する。
【0039】
図7および図8に示すように、ケース20は、少なくとも六面を有する立体形状に形成されている。本実施形態では、ケース20は、四つの側面201、202、天面203および底面204を有する略直方体形状に形成されている。
【0040】
天面203は、側面201、202の上方側に接続されている。底面204は、側面201、202の下方側に接続されている。天面203および底面204は、上下方向に直交している。以下、側面201、202のうち、セル積層方向に直交する側面を第1側面201といい、幅方向に直交する側面を第2側面202という。
【0041】
エンドプレート40は、セル積層方向に直交する板面40a、40bを有する矩形板状に形成されている。一対のエンドプレート40の各々は、ケース20における二つの第1側面201の各々に接触している。エンドプレート40は、チューブ積層方向内側の板面40aがケース20の第1側面201と接触している。
【0042】
また、エンドプレート40は、後述する上面ボルト62により、電気自動車の電池パック60に固定されている。電池パック60は、二次電池を温度調整可能に収容するパッケージである。電池パック60は、ケース20の外側に配置されており、被固定部材の一例に相当する。
【0043】
一対のエンドプレート40同士は、拘束バンド50で接続されている。本実施形態では、1個のケース20に対し、拘束バンド50が4個設けられている。より詳細には、1個のケース20に対し、拘束バンド50として、2個の第1拘束バンド50Aおよび2個の第2拘束バンド50Bが設けられている。
【0044】
第1拘束バンド50Aは、チューブ積層方向に延びる帯状に形成された第1バンド本体部51を有している。第1バンド本体部51は、ケース20の天面203に対向するように配置されている。
【0045】
第1バンド本体部51におけるチューブ積層方向の端部(以下、第1バンド端部52という)は、下方側に向かって直角に折り曲げられている。第1バンド端部52は、エンドプレート40におけるセル積層方向外側の板面40bに固定されている。エンドプレート40および第1拘束バンド50Aは、側面ボルト61によって締結固定されている。
【0046】
より詳細には、エンドプレート40には、第1側面ボルト61が挿通される第1側面貫通孔41が形成されている。第1側面貫通孔41は、エンドプレート40におけるセル積層方向外側の板面40bからセル積層方向の内側に向かって延びている。第1側面貫通孔41は、エンドプレート40のうち、セル積層方向から見たときにケース20と重なり合わない部位に配置されている。
【0047】
第1拘束バンド50Aの第1バンド端部52には、第1側面ボルト61が挿通される第1バンド貫通孔53が形成されている。エンドプレート40および第1拘束バンド50Aは、第1側面貫通孔41および第1バンド貫通孔53を貫通する第1側面ボルト61、および第1側面ボルト61に締め付けられるナット(図示しない)によって締結固定されている。
【0048】
第2拘束バンド50Bは、チューブ積層方向に延びる帯状に形成された第2バンド本体部54を有している。第2バンド本体部54は、ケース20の第2側面202に対向するように配置されている。
【0049】
第2バンド本体部54におけるチューブ積層方向の端部(以下、第2バンド端部55という)は、ケース20の幅方向内側に向かって直角に折り曲げられている。第2バンド端部55は、エンドプレート40におけるセル積層方向外側の板面40bに固定されている。エンドプレート40および第2拘束バンド50Bは、第2側面ボルト63によって締結固定されている。
【0050】
より詳細には、エンドプレート40には、第2側面ボルト63が挿通される第2側面貫通孔43が形成されている。第2側面貫通孔43は、エンドプレート40におけるセル積層方向外側の板面40bからセル積層方向の内側に向かって延びている。第2側面貫通孔43は、エンドプレート40のうち、セル積層方向から見たときにケース20と重なり合わない部位に配置されている。
【0051】
第2拘束バンド50Bの第2バンド端部55には、第2側面ボルト63が挿通される第2バンド貫通孔56が形成されている。エンドプレート40および第2拘束バンド50Bは、第2側面貫通孔43および第2バンド貫通孔56を貫通する第2側面ボルト63、および第2側面ボルト63に締め付けられるナット(図示しない)によって締結固定されている。
【0052】
2個の第2拘束バンド50Bのうち、一方の第2拘束バンド50Bは、ケース20における一方の第2側面202の下方側に対向するように配置されている。2個の第2拘束バンド50Bのうち、他方の第2拘束バンド50Bは、ケース20における他方の第2側面202の上方側に対向するように配置されている。
【0053】
図8に示すように、エンドプレート40には、上面ボルト62が挿通される上面貫通孔42が形成されている。上面貫通孔42は、エンドプレート40の上面40cから下方側に向かって延びている。エンドプレート40は、上面貫通孔42を貫通する上面ボルト62によって、電池パック60に締結固定されている。これにより、ケース20を、エンドプレート40を介して電池パック60に固定することができる。
【0054】
図7に示すように、ケース20は、少なくとも一面に開口部を有する箱状に形成された本体部23と、開口部を閉塞する蓋部24と、を有している。本体部23および蓋部24は、Oリング等のシール部材を介して溶着または接着にて接合されている。熱媒体入口21および熱媒体出口22は、本体部23に設けられている。
【0055】
ケース20(すなわち、本体部23および蓋部24)は、樹脂により構成されている。具体的には、ケース20は、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等によって構成することができる。
【0056】
本実施形態では、本体部23により、ケース20の側面201、202および底面204が形成されている。蓋部24により、ケース20の天面203が形成されている。
すなわち、本体部23は、4つの側面201、202および底面204の五面を有している。
【0057】
図9に示すように、本体部23は、セル積層方向に第1本体部231および第2本体部232の2つに分割されている。第1本体部231は、セル積層方向一方側(図9の紙面左側)の第1側面201、二つの第2側面202各々におけるセル積層方向一方側の一部、および底面204におけるセル積層方向一方側の一部の四面を有している。第2本体部232は、セル積層方向他方側(図9の紙面右側)の第1側面201、2つの第2側面202各々におけるセル積層方向他方側の一部、および底面204におけるセル積層方向他方側の一部の四面を有している。
【0058】
第1本体部231および第2本体部232は、セル積層方向に対向する端部同士を突合わせた状態で接続されている。また、第1本体部231および第2本体部232は、溶着または接着にて接合されている。このため、第1本体部231および第2本体部232は、セル積層方向に対向する端部同士を突合わせた状態で、溶着または接着にて接合されている。
【0059】
図7に示すように、ケース20は、ケース20におけるセル積層方向の長さの変化を吸収する吸収部25を有している。本実施形態では、吸収部25は、本体部23における底面204を形成する部位に設けられている。吸収部25は、第1本体部231及び第2本体部232の接続部に設けられている。
【0060】
続いて、第1本体部231及び第2本体部232の接続部の詳細について説明する。
【0061】
第2本体部232の底面204を形成する部位における第1本体部231側の端部には、下方側に凹んだ段差部232aが設けられている。以下、第1本体部231の底面204を形成する部位における第2本体部232側の端部を、第1端部231aという。また、第2本体部232における第1端部231aと対向する端部を、第2端部232bという。
【0062】
第2本体部232の第2端部232bの下方側には、上下方向に垂直な段差壁部232cが接続されている。段差壁部232cにより、段差部232aが構成されている。段差壁部232cは、第1本体部231の第1端部231aの下方側の面に接続されている。本実施形態では、段差壁部232cは、第1本体部231の第1端部231aの下方側の面に、溶着または接着にて接合されている。
【0063】
第1本体部231の第1端部231aと第2本体部232の第2端部232bとの間には、隙間が形成されている。この隙間により、ケース20におけるセル積層方向の長さの変化を吸収することができる。
【0064】
電池セル11には、電気配線としてハーネス10dが接続されている。ハーネス10dは、蓋部24からケース20の外部へ取り出されている。
【0065】
上述したように、エンドプレート40は、ケース20の第1側面201と対向しており、第2側面202とは対向していない。換言すると、エンドプレート40は、ケース20の第1側面201と接触しており、第2側面202とは接触していない。
【0066】
熱媒体入口21および熱媒体出口22は、ケース20におけるエンドプレート40と対向していない面に設けられている。換言すると、熱媒体入口21および熱媒体出口22は、ケース20におけるエンドプレート40と接触していない面に設けられている。つまり、本実施形態では、熱媒体入口21および熱媒体出口22は、ケース20の第2側面202に設けられている。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の電池温調装置1では、ケース20の外側に、複数の電池セル11およびケース20にセル積層方向の外側から拘束荷重をかけるエンドプレート40を設けている。これによれば、エンドプレート40により電池セル11をセル積層方向外側から拘束することができる。このため、電池セル11の膨張収縮を抑制できるので、電池性能の安定化を図ることが可能となる。
【0068】
また、本実施形態の電池温調装置1では、電池セル11は、ケース20内に充填された熱媒体に浸漬されている。これにより、電池セル11を効率よく冷却することができるので、電池の冷却能力を向上させることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態の電池温調装置1では、ケース20を樹脂により構成している。これによれば、ケース20の軽量化、断熱性向上および製造コストの低減を図ることができる。
【0070】
ここで、比較例として、樹脂製のケース20内にエンドプレート40が配置された電池温調装置1が考えられる。比較例では、エンドプレート40は、ケース20を介して電池パック60に固定される。このため、電気自動車からの振動等によりエンドプレート40がケース20にダメージを与え、ケース20が破損するおそれがある。
【0071】
これに対し、本実施形態の電池温調装置1では、エンドプレート40をケース20の外側に配置される電池パック60に固定している。すなわち、エンドプレート40が電池パック60に直接固定されるので、エンドプレート40がケース20にダメージを与えることを抑制できる。
【0072】
また、本実施形態の電池温調装置1では、ケース20内に熱媒体流路120を形成する流路プレート12を電池セル11とともに積層している。これによれば、電池セル11が膨張収縮した場合であっても、複数の電池セル11間の隙間を一定寸法に保つことができる。このため、積層配置された複数の電池セル11の均温化を実現することが可能となる。その結果、電池セル11の劣化を抑制できる。
【0073】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図に基づいて説明する。本実施形態は、上記第1実施形態と比較して、ケース20の構成が異なる。
【0074】
図10に示すように、本実施形態のケース20では、蓋部24と第1本体部231とが一体に形成されている。具体的には、蓋部24および第1本体部231は、蓋部24におけるセル積層方向の一端部と、第1本体部231における側面201を構成する部位の上端部とが接続された状態で一体化されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0075】
したがって、本実施形態の電池温調装置1においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の電池温調装置1によれば、電池の冷却能力を向上させつつ、電池性能の安定化を図ることが可能となる。
【0076】
さらに、本実施形態では、ケース20における蓋部24と第1本体部231とを一体に形成している。このため、ケース20を二部品により構成することができるので、部品点数を削減することができる。
【0077】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図に基づいて説明する。本実施形態は、上記第1実施形態と比較して、ケース20の構成が異なる。
【0078】
図11に示すように、本実施形態のケース20は、本体部23は分割されておらず、一部品で構成されている。このため、本実施形態のケース20は、本体部23および蓋部24の二部品で構成されている。
【0079】
本体部23は、底面204を構成する面の一部を波状に折り曲げた波状部25Aを有している。波状部25Aが弾性変形することにより、ケース20におけるセル積層方向の長さの変化を吸収することができる。したがって、本実施形態の波状部25Aは、吸収部の一例に相当する。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0080】
したがって、本実施形態の電池温調装置1においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の電池温調装置1によれば、電池の冷却能力を向上させつつ、電池性能の安定化を図ることが可能となる。
【0081】
さらに、本実施形態では、ケース20の本体部23を一部品で構成するとともに、本体部23に波状部25Aを設けている。これによれば、部品点数を削減しつつ、ケース20におけるセル積層方向の長さの変化を吸収することが可能となる。
【0082】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図に基づいて説明する。本実施形態は、上記第3実施形態と比較して、ケース20に本体部23の構成が異なる。
【0083】
図12に示すように、本実施形態のケース20における本体部23は、底面204を構成する面の一部をU字状に湾曲させた湾曲部25Bを有している。湾曲部25Bが弾性変形することにより、ケース20におけるセル積層方向の長さの変化を吸収することができる。したがって、本実施形態の湾曲部25Bは、吸収部の一例に相当する。その他の構成は、第3実施形態と同様である。
【0084】
したがって、本実施形態の電池温調装置1においても、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の電池温調装置1によれば、部品点数を削減しつつ、ケース20におけるセル積層方向の長さの変化を吸収することが可能となる。
【0085】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、例えば以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【0086】
(1)上述した実施形態においては、1個のケース20内に12個の電池セル11を積層配置していたが、この態様に限定されるものではない。1個のケース20内に配置される電池セル11の数は適宜変更することができる。
【0087】
(2)上述した実施形態においては、ケース20を直方体形状に形成したが、この態様に限定されるものではない。例えば、ケース20を、立方体状に形成してもよいし、八面体等の多面体状に形成してもよい。また、ケース20を、円筒状に形成してもよい。
【0088】
(3)上述した実施形態においては、流路プレート12の凸部122を幅方向に延びる矩形状に形成するとともに、複数の凸部122を上下方向に所定間隔で並列配置したが、流路プレート12の構成はこの態様に限定されるものではない。例えば、流路プレート12の凸部122を、熱媒体の流れに沿って千鳥状に配置してもよい。
【0089】
(4)上述した実施形態においては、熱媒体循環回路30に熱媒体ポンプ31およびチラー32を設けたが、この態様に限定されるものではない。
【0090】
例えば、熱媒体循環回路30に、熱媒体を加熱する電気ヒータ等の加熱部を設けてもよい。熱媒体循環回路30に加熱部を設けることで、電池セル11の暖機を行うことができる。この場合、加熱部を、熱媒体循環回路30におけるチラー32と熱媒体入口21との間に設けてもよい。
【0091】
(5)上述した第4実施形態においては、湾曲部25BをU字状に形成したが、湾曲部25Bの形状はこの態様に限定されるものではない。湾曲部25Bを、例えばV字状等の弾性変形可能な形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0092】
11 電池セル
20 ケース
40 エンドプレート(拘束部材)
60 電池パック(被固定部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12