(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026982
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】スリーブ、スリーブセット及び袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/36 20060101AFI20220203BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B65D33/36
B65D33/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130718
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】310024066
【氏名又は名称】太陽インキ製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】槇田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】米山 成美
(72)【発明者】
【氏名】椎名 桃子
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064BA01
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA35
3E064BA36
3E064BA37
3E064BB03
3E064EA30
3E064FA04
3E064FA07
3E064HA01
3E064HA10
3E064HB01
3E064HB02
3E064HM01
3E064HR10
3E064HS04
(57)【要約】
【課題】気体や流体を収容する袋の汎用性を改善することを目的とする。
【解決手段】スリーブ30は、気体または液体を収容する袋10の袋本体15に通じる移送路を形成するスリーブである。スリーブ30は、第1筒状部31と、軸方向ADにおける第1筒状部31の袋本体側に位置する第2筒状部32と、を有している。第2筒状部32は、第1筒状部31の外寸法よりも大きい外寸法および第1筒状部31の内寸法よりも小さい内寸法の少なくともいずれか一方を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体または液体を収容する袋の袋本体に通じる移送路を形成するスリーブであって、
第1筒状部と、
前記第1筒状部の前記袋本体側に位置する第2筒状部と、を備え、
前記第2筒状部は、前記第1筒状部の外寸法よりも大きい外寸法および前記第1筒状部の内寸法よりも小さい内寸法の少なくともいずれか一方を有する、スリーブ。
【請求項2】
請求項1に記載されたスリーブと、
前記スリーブと前記袋本体とを固定するための固定具と、を備える、スリーブセット。
【請求項3】
前記スリーブの前袋本体から離間する側となる開口を塞ぐキャップを更に備え、
前記キャップは、固定具と連結されている、請求項2に記載のスリーブセット。
【請求項4】
袋本体と、
前記袋本体から突出した請求項1に記載のスリーブと、を備える、袋。
【請求項5】
前記袋本体はプラスチックからなる、請求項4に記載の袋。
【請求項6】
前記袋本体に収容される物質に関する情報を有する情報部を更に備える、請求項4又は5に記載の袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリーブ、スリーブセット及び袋に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているように、気体や液体等を収容する袋が知られている。これらの袋は、気体や液体を収容する袋本体と、袋本体から突出した筒状の注出入口と、を有している。注出入口には、気体や液体を吐出するチューブが注出入口に挿入される。チューブから吐出された気体や液体は、注出入口を介して、袋本体に回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-227336号公報
【特許文献2】特開平7-43050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された袋は、特定のチューブから吐出される流体の回収を意図されている。したがって、異なる太さのチューブから吐出される流体を回収する際には、異なる注出入口を有した袋を用意する必要がある。すなわち、チューブ毎に異なる袋を用意しておき、且つ、チューブに応じて適切な袋を選択して使用する必要がある。複数種類の袋を用意しておくことは保管コストや製造コストの上昇につながり、適切な袋を選択して使用することは作業負担の増大につながる。
【0005】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、気体や流体を収容する袋の汎用性の改善を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 気体または液体を収容する袋の袋本体に通じる移送路を形成するスリーブであって、
第1筒状部と、
前記第1筒状部の前記袋本体側に位置する第2筒状部と、を備え、
前記第2筒状部は、前記第1筒状部の外寸法よりも大きい外寸法および前記第1筒状部の内寸法よりも小さい内寸法の少なくともいずれか一方を有する、スリーブ。
[1A] 前記第1筒状部と前記第2筒状部との間に位置し、前記第1筒状部の側から前記第2筒状部の側に向けてしだいに太くなっていくテーパ部をさらに備える、[1]に記載のスリーブ。
[1B] 前記第2筒状部の前記袋本体側に位置するフランジ部を更に備える、[1]又は[1A]に記載のスリーブ。
[1C] 前記第2筒状部と前記フランジ部との間に固定具が固定される固定部を更に備える、[1B]に記載のスリーブ。
[1D] 前記固定部は、前記固定具の雌螺子と噛み合う雄螺子を有する、[1C]に記載のスリーブ。
[1E] 前記第2筒状部の側から前記固定部に隣接する位置に設けられ、軸方向に直交する径方向に突出した保持膨出部を有する、[1C]に記載のスリーブ。
[1F] 前記固定部に設けられ、軸方向に直交する径方向に突出した保持凸部を有する、[1C]又は[1E]に記載のスリーブ。
[2] [1]~[1F]のいずれかに記載されたスリーブと、
前記スリーブと前記袋本体とを固定するための固定具と、を備える、スリーブセット。
[2A] 前記第2筒状部の前記袋本体側に位置するフランジ部を更に有し、
前記スリーブ上に固定された前記固定具と前記フランジ部との間で、前記袋本体を挟持する、[2]に記載されたスリーブセット。
[2B] 前記固定具は、前記スリーブの雄螺子と噛み合う雌螺子を有したナットを有する、[2]又は[2A]に記載されたスリーブセット。
[2C] 前記固定具は、前記スリーブに設けられた保持膨出部よりも前記袋本体側に前記スリーブ上を移動可能であり且つ前記保持膨出部によって前記袋本体から離間する側への前記スリーブ上での移動を規制される環状部材を有する、[2]又は[2A]に記載されたスリーブセット。
[2D] 前記固定具は、前記スリーブに設けられた保持凸部を収容する保持凹部を設けられ且つ前記保持凸部が前記保持凹部に収容された状態で前記袋本体から離間する側への前記スリーブ上での移動を規制される環状部材を有する、[2]、[2A]又は[2B]に記載されたスリーブセット。
[2E] 前記固定具は、前記スリーブ上を移動可能な環状部材を有し、
前記前記環状部材の内面および前記スリーブの外面の一方に保持凸部が設けられ、他方に前記保持凸部を収容する保持凹部が設けられ、
前記保持凸部が前記保持凹部に収容されることで、前記袋本体から離間する側への前記スリーブに対する前記環状部材の相対移動が規制される、[2]、[2A]又は[2B]に記載されたスリーブセット。
[2F] 前記固定具は、一以上のワッシャを更に有する、[2A]、[2B]又は[2C]に記載されたスリーブセット。
[3] 前記スリーブの前袋本体から離間する側となる開口を塞ぐキャップを更に備え、
前記キャップは、固定具と連結されている、[2]~[2F]のいずれかに記載のスリーブセット。
[4] 袋本体と、前記袋本体から突出した[1]~[1F]のいずれかに記載のスリーブと、を備える、袋。
[5] 前記袋本体はプラスチックからなる、[4]に記載の袋。
[6] 前記袋本体に収容される物質に関する情報を有する情報部を更に備える、[4]又は[5]に記載の袋。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、気体や流体を収容する袋の汎用性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施の形態を説明するための図であって、袋、スリーブセット及びスリーブの一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されたスリーブセットを分解して示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示されたスリーブセットのスリーブを示す上面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示された袋の組み立て方法の一例を説明するための平面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示された袋の組み立て方法の一例を説明するための平面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示された袋の組み立て方法の一例を説明するための平面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示された袋の組み立て方法の一例を説明するための平面図である。
【
図9】
図9は、
図1に示された袋の使用方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、
図2に対応する図であって、キャップを設けた例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、
図3に対応する図であって、スリーブの一変形例を説明するための平面図である。
【
図15】
図15は、
図2に対応する図であって、スリーブの他の変形例を説明するための平面図である。
【
図18】
図18は、
図2に対応する図であって、スリーブの更に他の変形例を説明するための平面図である。
【
図19】
図19は、
図2に対応する図であって、スリーブと袋本体との固定方法に関する一変形例を説明するための平面図である。
【
図20】
図20は、
図19とともにスリーブと袋本体との固定方法に関する一変形例を説明するための上面図である。
【
図21】
図21は、
図19に対応する図であって、スリーブと袋本体との固定方法に関する他の変形例を説明するための平面図である。
【
図22】
図22は、
図21とともにスリーブと袋本体との固定方法に関する他の変形例を説明するための上面図である。
【
図23】
図23は、
図21及び
図22とともにスリーブと袋本体との固定方法に関する他の変形例を説明するための上面図である。
【
図24】
図24は、
図19に対応する図であって、スリーブと袋本体との固定方法に関する更に他の変形例を説明するための平面図であって、環状部材を断面にて示している。
【
図25】
図25は、
図24とともにスリーブと袋本体との固定方法に関する更に他の変形例を説明するための平面図であって、環状部材を断面にて示している。
【
図26】
図26は、
図19に対応する図であって、スリーブと袋本体との固定方法に関する更に別の変形例を説明するための平面図である。
【
図27】
図27は、
図26とともにスリーブと袋本体との固定方法に関する更に別の変形例を説明するための平面図である。
【
図29】
図29は、
図2に対応する図であって、スリーブ及びスリーブセットの更に他の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態について、図示された具体例を参照して説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0010】
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0011】
図1~
図30は、一実施の形態を説明するための図であって、袋10、スリーブセット20及びスリーブ30の複数の具体例を示している。このうち、
図1は、袋10の一例を示す平面図であり、
図2は、
図1の部分拡大図である。
図1に示すように、袋10は、袋本体15と、袋本体15から突出したスリーブ30と、を有している。また、
図3は、
図2の袋10に用いられたスリーブセット20を示す分解図である。スリーブセット20は、スリーブ30と、スリーブ30を袋本体15に固定するための固定具50と、を有している。また、
図4はスリーブ30を示す上面図である。さらに、
図5~
図8は、
図1の袋10の作製方法の一例を説明するための図であり、
図9及び
図10は、袋10の使用方法を説明するための図である。
【0012】
図9及び
図10に示すように、袋10は、流路90に接続したチューブ95から気体または液体の供給を受け、当該気体または液体を収容する。或いは、袋10は、収容した気体または液体をチューブ95に排出して流路90に放出する。袋10の袋本体15が気体または液体を収容する。スリーブ30はチューブ95に接続する。スリーブ30は、袋本体15とチューブ95との間で気体または液体の移送路Pを形成する。とりわけ本実施の形態によるスリーブ30は、異なる寸法を有した複数のチューブ95との接続を可能にする工夫を施され、優れた汎用性を有している。なお、本明細書で用いる「気体または液体」や「気体や液体」といった表現は、気体および液体の少なくともいずれか一方を含む意味であり、したがって「気体」、「液体」、「気体及び液体の混合物」を含む概念である。
【0013】
以下、袋10を構成する各構成要素について説明する。
【0014】
まず、スリーブ30について説明する。
図2に示すように、スリーブ30は、筒状の部材である。スリーブ30は、その中心軸線CAに沿って延びる貫通孔を有している。
図1に示すように、スリーブ30は、中心軸線CAと平行な軸方向ADに袋本体15から突出している。スリーブ30の貫通孔は、袋本体15側となる基端側において、袋本体15の内部に開口している。また、スリーブ30の貫通孔は、袋本体15とは反対側となる先端側において、袋本体15外に開口している。これにより、スリーブ30の貫通孔は袋本体15の内外を連通させ、スリーブ30が気体や液体等の流体の移送路Pを形成する。
【0015】
図3に示すように、スリーブ30は、第1筒状部31と、移送路Pに沿って第1筒状部31の袋本体側(すなわち、基端側)に位置する第2筒状部32と、を有している。第2筒状部32は、第1筒状部31の外寸法よりも大きい外寸法および第1筒状部31の内寸法よりも小さい内寸法の少なくともいずれか一方を有している。第2筒状部32は、第1筒状部31よりも太くなっている。すなわち、第2筒状部32の軸方向ADに直交する径方向RDへの外寸法(幅)は、第1筒状部31の径方向RDへの外寸法(幅)よりも大きくなっている。例えば、第1筒状部31の径方向RDへの寸法と第2筒状部32の径方向RDへの寸法との差を、0.5mm以上5mm以下とすることができ、より好ましくは1mm以上4mm以下とすることができ、更に好ましくは1.5mm以上3mm以下とすることができる。好ましくは、
図4に示すように、軸方向ADへの投影において、第1筒状部31は、その全域において、第2筒状部32内に位置している。より好ましくは、軸方向ADへの投影において、第1筒状部31の重心と第2筒状部32の重心は一致している。
【0016】
第1筒状部31及び第2筒状部32の外形状は特に限定されない。例えば、第1筒状部31及び第2筒状部32の外形状は、円筒、楕円筒、四角形筒や六角形筒のような角筒として形状を有してもよい。同様に、第1筒状部31及び第2筒状部32の内形状は、特に限定されず、円筒、楕円筒、四角形筒や六角形筒のような角筒としての形状を有してもよい。さらに、第1筒状部31の内形状および外形状が互いに同一(相似)であってもよいし、異なっていてもよい。第2筒状部32の内形状および外形状が互いに同一(相似)であってもよいし、異なっていてもよい。第1筒状部31の外形状と第2筒状部32の外形状が互いに同一(相似)であってもよいし、異なっていてもよい。第1筒状部31の内形状と第2筒状部32の内形状が互いに同一(相似)であってもよいし、異なっていてもよい。
【0017】
スリーブ30の上面図である
図4に示すように、図示されたスリーブ30では、第1筒状部31及び第2筒状部32は、それぞれ、円筒状に形成されている。軸方向ADへの投影において、第1筒状部31の重心と第2筒状部32の重心は同一の位置にある。また、第1筒状部31の直径(外寸法)と第2筒状部32の直径(外寸法)との差を0.5mm以上5mm以下とすることができ、より好ましくは1mm以上4mm以下とすることができ、更に好ましくは1.5mm以上3mm以下とすることができる。
【0018】
図3に示すように、スリーブ30は、軸方向ADにおける第1筒状部31及び第2筒状部32の間に位置するテーパ部33を更に有している。テーパ部33の外寸法(外直径)は、第1筒状部の側(先端側)から第2筒状部32の側(基端側)に向けてしだいに大きくなっている。テーパ部33の外形状は特に限定されない。図示された例のように、テーパ部33の外面が、第1筒状部31の外面および第2筒状部32の外面に段差無く接続していることが好ましい。この例によれば、後述するように、チューブ95を円滑に第2筒状部32の外面上に案内することができ、チューブ95の損傷等を効果的に回避することができる。
【0019】
テーパ部33の外形状および内形状は、第1筒状部31及び第2筒状部32と同様に、特定に限定されることなく、種々の形状を採用することができる。図示されたテーパ部33の外形状および内形状は、円錐台の側面に相当する形状を有している。
【0020】
更に
図3に示すように、スリーブ30は、軸方向ADにおける第2筒状部32の袋本体15の側(基端側)に、フランジ部35を有している。スリーブ30は、軸方向ADにおける第2筒状部32とフランジ部35との間に、固定部34を更に有している。フランジ部35は、スリーブ30内において、径方向RDにおける最大の寸法を有している。図示された例において、フランジ部35は、固定部34から拡径している。フランジ部35は、軸方向ADからの観察において円形状となっている。固定部34には、スリーブセット20に含まれる固定具50が固定される。
図3に示すように、固定部34は、固定具50の雌螺子61と噛み合うようになる雄螺子41を有している。
【0021】
図示されたスリーブ30は、軸方向ADにおける先端側から基端側に向けて、第1筒状部31、テーパ部33、第2筒状部32、固定部34及びフランジ部35を、この順で有している。図示された例において、第1筒状部31が最も先端側に位置している。また、フランジ部35が最も基端側に位置している。
図2に示すように、フランジ部35は、袋本体15の内部に位置するようになる。
【0022】
スリーブ30は、切削加工、金型加工、3Dプリンタなど、公知慣用の方法で製造することができる。スリーブ30は、同一の材料を用いて継ぎ目無しで作製されていてもよい。
【0023】
スリーブ30は、特に限定されることなく、種々の公知材料を用いて作製され得る。スリーブ30をなす材料として、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタンなどの金属;塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの汎用樹脂;ポリアセタール(POM)、MCナイロン、6ナイロン、66ナイロン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの汎用エンジニアリングプラスチック;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリールエーテルケトンケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルホン(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、液晶ポリマー(LCP)などのスーパーエンジニアリングプラスチックなどを例示することができる。これらの中で、汎用樹脂、汎用エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチック等のプラスチックが、スリーブ30の材料として特に好ましく、とりわけ汎用エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチック等のプラスチックが好ましい。なお、以上に列挙した材料を、単独、混合、あるいは積層して用いて、スリーブ30を作製することができる。更に、スリーブ30をなす材料が樹脂の場合、この樹脂材料が可塑剤、紫外線吸収剤、ラジカル吸収剤、着色剤、および硬化剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの樹脂材料が、その表面に金属、金属酸化物及び無機酸化物等の蒸着膜を含むようにしてもよい。
【0024】
なお、図示された例において、スリーブ30は、互いに太さの異なる二種類の筒状部、すなわち第1筒状部31及び第2筒状部32を有している。しかしながら、この例に限られず、スリーブ30は、例えば
図14に示すように互いに太さの異なる三種類以上の筒状部を有するようにしてもよい。スリーブ30に含まれる複数種類の筒状部の径方向RDへの太さ(幅、直径)は、先端側から基端側へ向けてしだいに太くなっていく、すなわち、外寸法が大きくなっていく。異なる太さの筒状部の数は特に限定されないが、好ましくは2種以上10種以下、より好ましくは2種以上8種以下、さらに好ましくは2種以上5種以下である。
【0025】
図14に示された例において、スリーブ30は、軸方向ADに隣接して配置された五つの筒状部(第1筒状部36A、第2筒状部36B、第3筒状部36C、第4筒状部36D、第5筒状部36E)を有している。しかしながら、
図12に示された例において、軸方向ADに隣り合ういずれか二つの筒状部の間に、上述したテーパ部33が介在してもよい。
【0026】
スリーブ30が異なる太さ(外寸法、外直径)の筒状部を2種以上10種以下有する場合、スリーブ30に含まれる筒状部の径方向RDへの太さ(幅、直径)を、4mm、6mm、8mm、10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、20mm、22mmの内から、異なる太さの筒状部の数と同数選択した値とすることができる。スリーブ30が異なる太さの筒状部を2種以上8種以下有する場合、スリーブ30に含まれる筒状部の径方向RDへの太さ(幅、直径)を、4mm、6mm、8mm、10mm、12mm、14mm、16mm、18mmの内から、異なる太さの筒状部の数と同数選択した値とすることができる。スリーブ30が異なる太さの筒状部を2種以上5種以下有する場合、スリーブ30に含まれる筒状部の径方向RDへの太さ(幅、直径)を、4mm、6mm、8mm、10mm、12mmの内から、異なる太さの筒状部の数と同数選択した値とすることができる。
【0027】
次に、スリーブ30とともにスリーブセット20を構成する固定具50について説明する。上述したように、固定具50は、スリーブ30と袋本体15とを固定する。固定具50は、スリーブ30を袋本体15に固定し得る限りにおいて、特に限定されることなく種々の構成を採用することができる。
【0028】
図示された例において、固定具50は、スリーブ30の固定部34上に固定される。
図2に示すように、スリーブ30上に固定された固定具50とフランジ部35との間で、袋本体15を挟持する。これにより、袋本体15とスリーブ30とが固定される。
【0029】
図2及び
図3に示された例において、固定具50は、ナット51を含んでいる。
図3に示すように、ナット51は、スリーブ30の固定部34に設けられた雄螺子41と噛み合う雌螺子61を有している。
図2に示すように、雄螺子41と雌螺子61との噛み合いによって、ナット51を固定部34上に固定することができる。固定具50に用いられるナット51は、スリーブ30上に固定される限りにおいて特に限定されることなく、種々の公知なナットを用いることができる。
【0030】
図2及び
図3に示された例において、固定具50は、ナット51に加えて、ワッシャ53を更に含んでいる。ワッシャ53を用いることで、袋本体15とスリーブ30とをより高い密閉性で接続することが可能となる。密閉性の向上が実現され得る限りにおいて、特に限定されることなく、種々の公知なワッシャを用いることができる。ワッシャ53の外形状は、特に限定されることなく、三角形、四角形、六角形等の角形状や、円形状、楕円形状とすることができる。
【0031】
図示された固定具50は、基端側に位置する第1ワッシャ53Aおよび先端側に位置する第2ワッシャ53Bを有している。
図2に示すように、第1ワッシャ53A及び第2ワッシャ53Bの間に、袋本体15を挟持するようになる。
【0032】
なお、
図11に示すように、スリーブセット20は、キャップ70を更に有している。キャップ70は、スリーブ30の先端開口を塞ぐために設けられる。キャップ70は、この目的が達成される限りにおいて、特に限定されることなく種々の構成を採用することができる。キャップ70がスリーブ30の先端開口を塞ぐことで、袋本体15内の気体や液体が意図せずに袋10から流出してしまうことを抑制することができる。
【0033】
図11に示された例において、キャップ70は、天板部71と、天板部71の周縁から垂れ下がる筒状の側壁部72と、を有している。キャップ70は、スリーブ30の先端部に取り付け可能となっている。より具体的には、キャップ70の側壁部72内にスリーブ30の第1筒状部31の先端が嵌め込まれることによって、キャップ70がスリーブ30の先端部に取り付けられる。キャップ70がスリーブ30の第1筒状部31の先端に取り付けられると、天板部71がスリーブ30の先端開口を覆うことによって、スリーブ30によって形成される移送路Pが閉鎖される。
【0034】
図12A及び
図12Bには、キャップ70の他の具体例を示している。
図12Aに示されたキャップ70は、天板部71及び側壁部72を有している。側壁部72の内面には、雌螺子73が設けられている。また、
図12Aに示すように、スリーブ30は、第1筒状部31の先端側に先端螺子部37を有しており、先端螺子部37は側壁部72の雌螺子73と噛み合う雄螺子38を有している。
図12Bに示すように、雄螺子38及び雌螺子73が噛み合うことによって、側壁部72及び先端螺子部37の間が密閉され移送路Pが閉鎖されるようになる。
【0035】
図13A及び
図13Bは、キャップ70の更に他の具体例を示している。
図13Aに示すように、キャップ70は、天板部71と、天板部71から突出した挿入突出部74を有するようにしてもよい。
図13Bに示すように、挿入突出部74は、スリーブ30の先端側の開口から、移送路Pをなすスリーブ30の貫通孔に挿入可能となっている。挿入突出部74がスリーブ30の移送路Pに嵌め込まれることによって、キャップ70がスリーブ30に保持されて移送路Pが閉鎖される。なお、
図13A及び
図13Bに示された例において、挿入突出部74に雄螺子が形成され、スリーブ30の移送路Pを形成する貫通孔の先端に挿入突出部74の雄螺子と噛み合う雌螺子が形成されるようにしてもよい。
【0036】
図11~
図13Bに示された例において、天板部71及び側壁部72の形状は特に限定されない。キャップ70の開閉時に握り易い種々の形状を天板部71や側壁部72に付与することができる。
【0037】
また、
図11に示された例において、キャップ70は固定具50と連結されている。具体的には、スリーブセット20は、キャップ70と固定具50とを連結する連結部75を更に有している。キャップ70と固定具50とを連結して一体化させることにより、袋10の使用中に一時的にしか使用されないキャップ70の紛失を抑制することができる。また連結部75を介してキャップ70の存在を把握することができるので、キャップ70のスリーブ30への取り付け作業、及び、キャップ70のスリーブ30からの取り外し作業を円滑かつ容易に行うことができる。
【0038】
図示された例において、連結部75は、キャップ70と固定具50の第2ワッシャ53Bとを連結している。連結部75は、キャップ70のスリーブ30への着脱作業やスリーブ30の袋本体15への取り付け作業を容易に行える長さを有している。図示された例において、第1ワッシャ53Aは、袋本体15の内部に配置される。第2ワッシャ53Bは、ナット51とともに、袋本体15外に位置する。また、第2ワッシャ53Bは、固定具50の袋本体15への取り付け時に、スリーブ30に対して大きく相対移動することもない。したがって、連結部75を第2ワッシャ53Bに接続させることによって、固定具50の袋本体15への作業性を大きく害することもない。
【0039】
連結部75は、キャップ70のスリーブ30からの着脱を可能とする範囲で、種々の材料を用いて作製することができ、また種々の構成を採用することができる。連結部75として、湾曲や屈曲が可能な部材、例えばチェーンや、柔軟性を有した部材、例えば紐やワイヤを用いることができる。
【0040】
なお、キャップ70は、
図11に示された例以外においても固定具50と連結されるようにしてもよい。例えば
図12A~
図13Bに示されたキャップ70、さらにはスリーブセット20に適用される種々のキャップ70が、連結部75を介して固定具50と連結されるようにしてもよい。
【0041】
ナット51、ワッシャ53、キャップ70及び連結部75は、特に限定されることなく、種々の公知材料を用いて作製され得る。ナット51、ワッシャ53、キャップ70及び連結部75をなす材料として、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、真鍮、チタンなどの金属;塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの汎用樹脂;ポリアセタール(POM)、MCナイロン、6ナイロン、66ナイロン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのエンジニアリングプラスチック;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルホン(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、液晶ポリマー(LCP)などのスーパーエンジニアリングプラスチック;およびシリコーン樹脂などを例示することができる。これらの中で、高分子樹脂、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック及びシリコーン樹脂等のプラスチックが、ナット51、ワッシャ53、キャップ70及び連結部75の材料として特に好ましく、とりわけエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック及びシリコーン樹脂等のプラスチックが好ましい。なお、以上に列挙した材料を、単独、混合、あるいは積層して用いて、ナット51、ワッシャ53、キャップ70及び連結部75を作製することができる。更に、ナット51、ワッシャ53、キャップ70及び連結部75をなす材料が樹脂の場合、この樹脂材料が可塑剤、紫外線吸収剤、ラジカル吸収剤、着色剤、および硬化剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの樹脂材料が、その表面に金属、金属酸化物及び無機酸化物等の蒸着膜を含むようにしてもよい。ナット51、第1ワッシャ53A、第2ワッシャ53B、キャップ70及び連結部75は、互いに異なる材料で作製されてもよいし、互いに同一の材料で作製されてもよい。また、ナット51、ワッシャ53、キャップ70及び連結部75は、切削加工、金型加工、打抜加工、3Dプリンタなど、公知慣用の方法で製造することができる。
【0042】
次に、スリーブ30を取り付けられる袋本体15について説明する。袋本体15は、気体や液体を収容する。袋本体15は、所望する気体や液体を収容し得る限りにおいて、材料や構成を特に限定されることなく、種々の材料を用いて作製され、種々の構成を有することができる。したがって、袋本体15の外形状等も特に限定されない。また、袋本体15の容積、すなわち袋本体15に収容可能な気体や液体の体積も、種々設定することができ、例えば0.5L以上20L以下とすることができる。
【0043】
気体や液体を収容する上で、袋本体15は柔軟性を有する又は変形可能であることが好ましい。柔軟性を有する又は変形可能である袋本体15によれば、取扱性に優れ、保管や作業において好都合である。とりわけ、複数の樹脂製フィルムを接合することによって又は一以上の樹脂製フィルムを折り重ねて接合することによって作製された袋本体15は、取扱性の観点から好適である。
【0044】
図1に示された具体例において、袋本体15は、二枚の樹脂フィルムの周縁に位置するシール部17で当該二枚の樹脂フィルムの接合することによって作製されている。後に参照する
図5に示すように、袋本体15は、孔15Aを有している。スリーブ30は、この孔15Aを貫通して配置されている。孔15Aの大きさは、フランジ部35及びワッシャ53(第1ワッシャ53A)が通過できない大きさとなっていることが好ましい。
図1及び
図2に示すように、袋本体15のうちの孔15Aの周囲となる部分が、スリーブ30のフランジ部35と固定具50との間で挟持される。より具体的には、フランジ部35上に位置する第1ワッシャ53Aと第2ワッシャ53Bとの間で、袋本体15のうちの孔15Aの周囲となる部分が挟持される。
【0045】
なお、
図1に示された例において、袋本体15は、平面視において四角形形状を有しているがこれに限られず、平面視において、円形状、楕円形状、四角形以外の角形状であってもよいし、立体的な形状を有していてもよい。また、図示された例において、孔15Aは、袋本体15の周縁のうちのシール部17の未形成部によって形成されている。しかしながら、この例に限られず、孔15Aは袋本体15の周縁の内側に形成されていてもよい。
【0046】
袋本体15は、特に限定されることなく、強度、耐久性、気密性、液密性等を考慮しながら、種々の公知材料を用いて作製され得る。袋本体15をなす材料として、塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの汎用樹脂;ポリアセタール(POM)、MCナイロン、6ナイロン、66ナイロン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのエンジニアリングプラスチック;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルホン(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、液晶ポリマー(LCP)などのスーパーエンジニアリングプラスチック;およびシリコーン樹脂などが挙げられる。これらの中で、ガスバリア性が高く加工性に優れることから、高分子樹脂、エンジニアリングプラスチックおよびスーパーエンジニアリングプラスチック等のプラスチックが、袋本体15の材料として特に好ましい。また、袋本体15に用いられる樹脂材料の数平均分子量Mnは、10,000以上1,000,000以下となっていることが好ましい。なお、以上に列挙した材料を、単独、混合、あるいは積層して用いて、袋本体15を作製することができる。更に、袋本体15をなす樹脂材料が可塑剤、紫外線吸収剤、ラジカル吸収剤、着色剤、および硬化剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの樹脂材料が、その表面に金属、金属酸化物及び無機酸化物等の蒸着膜を含むようにしてもよい。袋本体15の作製方法は、特に限定されることなく、例えば、ブロー成型、熱溶断加工、熱圧着加工、熱シール加工、ヒートシール加工、超音波シール加工、溶接加工など、公知の方法を採用することができる。
【0047】
ところで、
図1に示すように、袋10は、袋10に収容される物質に関する情報を有する情報部13を含むようにしてもよい。例えば、情報部13は、袋本体15に収容された、あるいはこれから収容しようとする気体や液体に関する情報、例えば当該気体や液体の名称、取得日、量等の情報を有している。情報部13は、情報を直接的に表示するものであってもよいし、情報を保存したものであってもよい。図示された例では、情報部13は矩形として示されているが、任意の形状であってよい。また、情報部13は、袋本体15の側面、底部等のいずれに設置されていてもよい。さらに、情報部13は、スリーブ30に設けられていてもよい。
【0048】
情報を表示する情報部13の具体例としては、紙、感圧紙、感熱紙、複写紙、防水紙、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、抵抗膜方式タッチパネル、静電容量方式タッチパネル、超音波方式タッチパネル、表面弾性波方式タッチパネル、赤外線方式タッチパネル、などが挙げられる。また、情報を保存した情報部13の具体例としては、磁気テープ、IC(Integrated Circuit)チップ、IC(Integrated Circuit)タグ、RF-ID(Radio Frequency-Identifiction)タグなどが挙げられる。これらのうち、紙、感圧紙、感熱紙、複写紙、防水紙、およびIC(Integrated Circuit)タグ、RF-ID(Radio Frequency-Identifiction)タグは、袋10への設置、とりわけ袋本体15への設置が容易であり、且つ、気体や液体を給排する際における袋本体15の変形を規制しにくいことから、特に好ましい。
【0049】
次に、
図5~
図8を主に参照しながら、袋本体15及びスリーブセット20から袋10を作製する方法の一例について説明する。
【0050】
まず、
図5に示すように、袋本体15を用意する。
図5に示された例において、袋本体15は、二枚の樹脂製フィルムを第1シール部17Aで接合することによって、袋状に形成されている。ただし、このとき用意された袋本体15は、孔15Aだけでなく、開口15Bも設けられている。なお、孔15A及び開口15Bは、二枚の樹脂製フィルムの未接合部によって構成されているが、この例に限られず、樹脂製フィルムに設けられた穴として構成されていてもよい。
【0051】
袋本体15の準備の前、袋本体15の準備の後、袋本体15の準備と並行して、スリーブ30及び固定具50を用意する。そして、スリーブ30をその先端側から第1ワッシャ53Aに挿入する。そして、第1ワッシャ53Aを保持したスリーブ30を、開口15Bから袋本体15内に入れる。したがって、開口15Bは、フランジ部35を含めスリーブ30を袋本体15内に入れることができる大きさとなっている。
【0052】
その後、
図6に示すように、スリーブ30の先端部を孔15Aに挿通させ、スリーブ30の第1筒状部31、テーパ部33、第2筒状部32及び固定部34を袋本体15外へ突出させる。その一方で、フランジ部35及び第1ワッシャ53Aは、袋本体15の内部に残す。最終的に、
図7に示すように、袋本体15のうちの孔15Aを区画している部分(孔15Aに隣接する部分)を、第1ワッシャ53A上に配置する。次に、
図7に示すように、袋本体15のうちの開口15Bを形成した部分を、ヒートシール、超音波接合、接着剤や粘着剤を用いた接合等によって接合し、第2シール部17Bを形成する。この第2シール部17Bと、予め形成した第1シール部17Aによって、気体や液体の収容区間を区画するシール部17が得られる。
【0053】
なお、
図7の配置を安定して実現する観点から、孔15Aの大きさは、フランジ部35及び第1ワッシャ53Aが通過できない大きさとなっていることが好ましい。ただし、図示された例に限られず、孔15Aが、フランジ部35や第1ワッシャ53Aが通過可能な大きさを有していてもよい。この例においては、第1ワッシャ53Aを保持したスリーブ30を、その基端側から、孔15Aを通過させて、
図7に示すように配置することができる。この場合、
図6のように開口15Bを袋本体15に設ける必要はない。
【0054】
次に、
図8に示すように、スリーブ30が第2ワッシャ53Bの中空部を通過するようにして、第1ワッシャ53A上に第2ワッシャ53Bを配置する。このとき、第1ワッシャ53A及び第2ワッシャ53Bの間に、袋本体15のうちの孔15Aの周囲となる部分が配置されるようにする。孔15Aの大きさが第1ワッシャ53Aの大きさよりも大きい場合は、袋本体15を適宜折り込んで、孔15Aのうちの孔15Aを区画する部分を二つのワッシャ53A,53B間に配置する。
【0055】
その後、
図8に示すように、スリーブ30をナット51に挿入するようにして、スリーブ30の固定部34上にナット51を配置する。固定部34の雄螺子41とナット51の雌螺子61とを噛み合わせることによって、ナット51をスリーブ30上に固定する。これにより、第1ワッシャ53A及び第2ワッシャ53Bの間に、袋本体15のうちの孔15Aの周囲となる部分が挟持される。以上の手順にて、袋本体15及びスリーブセット20から袋10を作製することができる。
【0056】
なお、固定具50がスリーブ30から外れることを防止する観点から、固定具50に含まれるナット51、第1ワッシャ53A及び第2ワッシャ53Bの一以上をスリーブ30と接合してもよい。接合方法としては、熱や超音波などによる物理的な接合や、無機系接着剤、有機系接着剤、天然系接着剤、合成接着剤、熱乾燥型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、嫌気性接着剤、瞬間接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤、粘着テープ、感圧接着テープ等を用いた接合を例示することができる。これらの接合方法の中で、物理的な接合法が、接合時間が短時間である点において好ましい。
【0057】
次に、
図9及び
図10を主として参照しながら、袋10の使用方法の一例について説明する。
【0058】
図9及び
図10に示すように、スリーブ30を外部のチューブ95に挿入することによって、スリーブ30が移送路Pを形成し、袋本体15の内部とチューブ95とを通じさせることができる。
図9及び
図10に示された例において、チューブ95は、気体や液体の流路90から分岐している。したがって、流路90内を流れる流体の一部がチューブ95内に流入し、スリーブ30を介して、袋本体15内に気体や液体を回収することができる。或いは、袋本体15内に収容した気体や液体を、スリーブ30及びチューブ95を介して、流路90内に流すことができる。なお、ポンプを設置して、気体や液体がスリーブ30内を移動させるようにしてもよい。このようなポンプは、チューブ95の途中に設置されていてもよいし、チューブ95と流路90との間に設置されていてもよい。さらに、スリーブ30とチューブ95との間にポンプを設置するようにしてもよい。
【0059】
図示された例では、流路90から分岐した分岐管がチューブ95内に挿入することで、チューブ95が流路90に接続している。しかしながら、この例に限られず、チューブ95が流路90から分岐した分岐管内に挿入されて、チューブ95と流路90が接続するようにしてもよい。チューブ95と流路90が螺子止め等の機械的な接続具で接続されていてもよい。チューブ95の材室は、ゴムや樹脂等に限定されることなく、金属でもよく、流路90を形成する部材と同一の材料で形成されていてもよい。また、チューブ95は、流路90と一体的に形成されていてもよい。
【0060】
具体例として、工場の製造ラインとしての流路90から、製造物としての気体や液体の検査用サンプルを回収するために、袋10を利用することができる。他の例として、工場の煙突等の排出路としての流路90から、成分分析用のサンプルとしての排気ガスを回収するために、袋10を利用することができる。袋10に収容される気体の例として、空気、酸素、水素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、水蒸気などの無機系気体や、メタン、エタン、n-ヘキサン、酢酸エチル、トルエン、キシレンなどの有機系気体を例示することができる。また、袋10に収容される液体の例として、水や油を例示することができる。
【0061】
ところで、
図9及び
図10に示すように、袋10の実際の使用にあたっては、チューブ95の太さが一定にはならないと考えるべきである。このため、従来技術では、チューブ95の太さに応じ、異なる太さの注出入口を有した袋を用いる必要があった。この場合、チューブ95の太さの種類に応じた種類の袋を用意しておく必要がある。したがって、従来の袋については、その製造や保管に手間と費用がかかっていた。
【0062】
一方、本実施の形態による袋10において、スリーブ30は、第1筒状部31と、軸方向ADにおける第1筒状部31の基端側に位置し第1筒状部31よりも太い第2筒状部32と、を有している。この袋10において、気体または液体を給排するチューブ95にスリーブ30を挿入することによって、袋本体15とチューブ95との間で気体または液体を移送することができる。このとき、
図9に示すように、チューブ95の内径が細ければ、スリーブ30の第1筒状部31をチューブ95内に挿入し、第1筒状部31上にチューブ95を保持することができる。一方、
図10に示すように、チューブ95の内径が太ければ、スリーブ30を第2筒状部32までチューブ95内に挿入し、第2筒状部32上にチューブ95を保持することができる。すなわち、第1筒状部31及び第2筒状部32は、チューブ95を保持する保持部として機能する。そして、スリーブ30が互いに異なる太さの第1筒状部31及び第2筒状部32を有しているので、適切な太さを有した筒状部31,32にチューブ95を嵌めることができる。これにより、チューブ95及びスリーブ30の間での気体又は液体の漏出を効果的に抑制しながら、チューブ95からの気体または液体を袋本体15内に収容することや、袋本体15からチューブ95に気体または液体を移送することができる。すなわち、本実施の形態によれば、スリーブ30に優れた汎用性を付与することができ、一つのスリーブ30を異なるサイズのチューブ95と接続することができる。なお、上述したようにスリーブ30をポンプと接続する場合には、異なるサイズの吐出口や吸引口を有したポンプとスリーブ30を接続することができる。したがって、袋10及びスリーブ30の製造コストや保管コストを低減することができ、且つ、袋10及びスリーブ30の使用する際の取扱性を改善することができる。
【0063】
なお、
図14を参照しながら既に説明したように、スリーブ30は、互いに太さが異なる三種類以上の筒状部を有するようにしてもよい。互いに太さが異なる筒状部の種類を増やすことで、スリーブ30及び袋10の汎用性を効果的に上昇させることができる。
【0064】
また、チューブ95の寸法が更に小さい場合、チューブ95をスリーブ30の孔に先端側から挿入して、チューブ95とスリーブ30とを接続するようにしてもよい。スリーブ30の最先端となる部分(図示された例においては、第1筒状部31)の径方向RDへの内寸法は、第1筒状部31の径方向RDへの外寸法よりも小さくなる。したがって、第1筒部31を挿入することができない程度に細いチューブ95を、スリーブ30の孔に挿入することによって、チューブ95をスリーブ30によって保持することができる。
【0065】
また、上述の一実施の形態の一具体例において、
図10に示すように、スリーブ30は、第1筒状部31と第2筒状部32との間に位置するテーパ部33を有している。テーパ部33の太さは、第1筒状部31の側(先端側)から第2筒状部32の側(基端側)に向けてしだいに太くなっていく。この具体例によれば、テーパ部33によって第1筒状部31から第2筒状部32へと、比較的に太さの太いチューブ95を円滑に案内することができる。したがって、チューブ95を損傷してしまうことを効果的に回避しながら、チューブ95を第2筒状部32上に容易に保持することができる。
【0066】
さらに、上述の一実施の形態の一具体例において、スリーブセット20は、スリーブ30に加え、スリーブ30と袋本体15とを固定するための固定具50を更に有している。この具体例によれば、固定具50によってスリーブ30を袋本体15と安定して固定することができる。例えば、一つのスリーブ30を種々の袋本体(例えば異なる容積を有した袋本体)15と固定して袋10を作製することができ、スリーブ30及び袋10の汎用性を更に改善することができる。
【0067】
とりわけ上述の具体例において、スリーブ30は、第2筒状部32の袋本体側(基端側)に位置するフランジ部35と、第2筒状部32とフランジ部35との間に固定具50が固定される固定部34と、を更に有している。この具体例によれば、スリーブ30上に固定された固定具50とフランジ部35との間で、袋本体15を挟持することができる。したがって、一つのスリーブ30を種々の袋本体(例えば異なる容積を有した袋本体)15と固定して袋を形成することができ、スリーブ30及び袋10に更に優れた汎用性を付与することができる。
【0068】
さらに、上述の一実施の形態の一具体例において、固定具50は雌螺子61を有したナット51を有しており、固定部34は固定具50の雌螺子61と噛み合う雄螺子41を有している。この具体例において、スリーブ30上から固定具50のナット51を取り外すことができる。したがって、複数の袋本体15を交換しながら、一つのスリーブ30を継続して使用することができる。これにより、スリーブ30の利便性を大幅に向上させることができる。
【0069】
また、上述した具体例において、固定具50は、一以上のワッシャ53を含んでいる。この具体例によれば、袋本体15とスリーブ30との間の密閉性を向上させて、袋本体15とスリーブ30との間からの気体や液体の漏出を効果的に防止することができる。
【0070】
なお、図示された例において、スリーブセット20は、更にキャップ70を有している。このキャップ70を用いて、スリーブ30の先端側の開口を塞ぐことで、袋本体15に収容した気体や液体の漏出を防止することができる。さらに、キャップ70は固定具50と連結されている。したがって、キャップ70の紛失を効果的に防止することができる。
【0071】
以上に説明してきた一実施の形態において、スリーブ30は、気体または液体を収容する袋10の袋本体15に通じる移送路Pを形成するスリーブであり、第1筒状部31と、第1筒状部31の袋本体側(基端側)に位置する第2筒状部32と、を有している。第2筒状部32の外寸法は、第1筒状部31の外寸法よりも大きくなっている。このような一実施の形態によれば、スリーブ30に優れた汎用性を付与することができ、一つのスリーブ30を異なるサイズのチューブ95との組合せにおいて用いることができる。
【0072】
一実施の形態を複数の具体例を参照しながら説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【0073】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0074】
例えば、上述した具体例において、一つの袋本体15に対して一つのスリーブ30が設けられている例を示したが、この例に限られない。一つの袋本体15に複数のスリーブ30が設けられていてもよい。この変形例において、各スリーブ30が、互いに異なる太さの筒状部を有し、且つ、一つのスリーブ30に含まれる筒状部の太さが他のスリーブ30に含まれる筒状部の太さと異なるようにしてもよい。このような変形例によれば、袋10の汎用性を更に向上させることができる。
【0075】
また、上述した一具体例において、第2筒状部32が第1筒状部31の外寸法よりも大きい外寸法を有する例について説明した。しかしながら、この例に代えて又はこの例に加えて、第2筒状部32が第1筒状部31の内寸法よりも小さい内寸法を有するようにしてもよい。
【0076】
図15に示された例において、第2筒状部32の軸方向ADに直交する径方向RDへの内寸法(幅)は、第1筒状部31の径方向RDへの内寸法(幅)よりも小さくなっている。例えば、第1筒状部31の径方向RDへの寸法と第2筒状部32の径方向RDへの寸法との差を、0.5mm以上5mm以下とすることができ、より好ましくは1mm以上4mm以下とすることができ、更に好ましくは1.5mm以上3mm以下とすることができる。図示された例において、軸方向ADへの投影において、第2筒状部32の内面は、その全域において、第1筒状部31の内面の内側に位置している。より好ましくは、軸方向ADへの投影において、第1筒状部31の重心と第2筒状部32の重心は一致している。
図15に示されたスリーブ30では、第1筒状部31及び第2筒状部32は、それぞれ、同心状に配置された円筒状に形成されている。
【0077】
内寸法(内直径)が異なる筒状部31,32の間に、内寸法(内直径)がしだいに変化するテーパ部33を設けるようにしてもよい。
図15に示されたスリーブ30は、軸方向ADにおける第1筒状部31及び第2筒状部32の間に位置するテーパ部33を更に有している。テーパ部33の内寸法(内直径)は、第1筒状部の側(先端側)から第2筒状部32の側(基端側)に向けてしだいに小さくなっている。テーパ部33の内形状は特に限定されない。図示された例のように、テーパ部33の内面が、第1筒状部31の内面および第2筒状部32の内面に段差無く接続していることが好ましい。
【0078】
なお、図示された例において、スリーブ30は、互いに内寸法の異なる二種類の筒状部、すなわち第1筒状部31及び第2筒状部32を有している。しかしながら、この例に限られず、スリーブ30は、互いに内寸法の異なる三種類以上の筒状部を有するようにしてもよい。スリーブ30に含まれる複数種類の筒状部の径方向RDへの内寸法(幅、直径)は、先端側から基端側へ向けてしだいに小さくなっていく。異なる内寸法の筒状部の数は、特に限定されず、上述した異なる外寸法の筒状部の数と同様にすることもできる。また、スリーブ30に含まれる各筒状部の径方向RDへの内寸法(内直径)の大きさも、特に限定されず、上述した異なる外寸法の筒状部を有したスリーブについて採用される外寸法の値と同様に設定することもできる。
【0079】
図15に示されたスリーブ30は、
図16及び
図17に示すように異なる太さのチューブ95に対して適用することができる。例えば、
図16に示すように、チューブ95の外寸法が細ければ、チューブ95をスリーブ30の第2筒状部32に挿入し、第2筒状部32によってチューブ95を保持することができる。一方、
図17に示すように、チューブ95の外寸法が太ければ、スリーブ30を第1筒状部31に挿入し、第1筒状部31によってチューブ95を保持することができる。すなわち、スリーブ30が互いに異なる内寸法の第1筒状部31及び第2筒状部32を有しているので、適切な太さを有した筒状部31,32にチューブ95を挿入して嵌め込むことができる。この変形例においても、スリーブ30に優れた汎用性を付与することができ、一つのスリーブ30を異なるサイズのチューブ95と接続することができる。したがって、袋10及びスリーブ30の製造コストや保管コストを低減することができ、且つ、袋10及びスリーブ30の使用する際の取扱性を改善することができる。
【0080】
なお、
図15~
図17に示された例において、
図17に示されたチューブよりも太いチューブ95への適用において、チューブ95内にスリーブ30を挿入して、スリーブ30上にチューブ95を保持するようにしてもよい。
【0081】
さらに、スリーブ30が、異なる外寸法を有する複数の筒状部と、異なる内寸法を有する複数の筒状部と、を有するようにしてもよい。一例として、
図18に示されたスリーブ30において、第2筒状部32の外寸法DOb、第1筒状部31の外寸法DOa、第1筒状部31の内寸法DIa及び第2筒状部32の内寸法DIbは、互いに異なる大きさとなっており、この記載順に小さくなっていく。さらに
図18の例とは異なり、内寸法DIaを有する筒状部及び外寸法DOaを有する筒状部が、軸方向ADにずれて位置していてもよい。同様に、内寸法DIbを有する筒状部及び外寸法DObを有する筒状部が、軸方向ADにずれて位置していてもよい。これらのスリーブ30は、四種類の大きさのチューブ95に対して適用可能となる。
【0082】
さらに別の変形例として、上述した一具体例において、スリーブ30が雌螺子41を有し、固定具50がナット51を有する例を示したがこの例に限られない。
【0083】
まず、
図19及び
図20に示すように、スリーブ30が、第2筒状部32の側から固定部34に隣接する位置に設けられた保持膨出部42を有するようにしてもよい。保持膨出部42は、固定部35や筒状部31、32よりも径方向RDにおける外側(スリーブ30の中心軸線CAから離間する側)に突出している。一方、固定具50は、環状に形成された環状部材52を有している。環状部材52は、スリーブ30上を保持膨出部42よりも軸方向ADにおける基端側まで移動可能となっている。
図19に示すように、軸方向ADにおいて保持膨出部42よりも基端側まで移動した環状部材52は、保持膨出部42に接触することで、軸方向ADにおいて先端側に移動することを規制される。このような例によっても、固定具50とフランジ部35との間で、袋本体15を挟持ことができる。とりわけ、この具体例によれば、簡易な構成によりスリーブ30上に環状部材52を安定して固定することができる。これにより、スリーブ30と袋本体15とを安定して固定することができる。
【0084】
なお、
図19及び
図20に示された例において、環状部材52が弾性変形することにより、環状部材52は保持膨出部42を乗り越えてスリーブ30上を移動することができる。環状部材52の弾性変形を促進するため、保持膨出部42の径方向RDへの突出高さは、軸方向ADにおける先端側から基端側に向けてしだいに大きくなっている。その一方で、環状部材52の軸方向ADにおける先端側への移動を安定して規制することができるように、保持膨出部42は軸方向ADにおける基端側を向く規制面42aを有している。規制面42aが環状部材52に面接触することで、環状部材52の軸方向ADにおける先端側への移動を安定して規制することができる。
【0085】
図19及び
図20に示された例において、スリーブ30は、その中心軸線CAを通過して径方向RDに離間した一対の保持膨出部42を有している、
図20に示すように、スリーブ30は、軸方向ADに直交する断面において、四角形の断面形状、とりわけ正方形の断面形状を有している。環状部材52は、四角形筒状となる環状、とりわけ正方形筒状となる環状に形成されている。
【0086】
次に、
図21~
図23は、固定具50の環状部材52及びスリーブ30の保持膨出部42の組合せの他の例を示している。
図21~
図23に示す例において、環状部材52は、軸方向ADに延びる案内溝部62を有している。案内溝部62は、環状部材52の内面に形成されている。そして、
図21及び
図22に示すように、環状部材52がスリーブ30上を軸方向ADに移動する際、スリーブ30の保持膨出部42は案内溝部62内を通過可能となっている。すなわち、保持膨出部42及び案内溝部62の周方向CDにおける相対位置を揃えておくことで、環状部材52を大きく弾性変形させることなく、保持膨出部42よりも基端側となる位置まで環状部材52をスリーブ30上で移動させることができる。さらに、環状部材52はスリーブ30に対して、軸方向ADと平行な軸線を中心として、相対回転可能となっている。
図23に示すように、環状部材52をスリーブ30に対して相対回転させることで、保持膨出部42が案内溝部62に軸方向ADに対面しないようにすることができる。これにより、保持膨出部42の規制面42aが環状部材52に接触することによって、環状部材52のスリーブ上での軸方向ADにおける先端側への移動を安定して規制することができる。
【0087】
図21~
図23に示された例において、スリーブ30は、その中心軸線CAを通過して径方向RDに離間した一対の保持膨出部42を有している、
図22に示すように、スリーブ30は、軸方向ADに直交する断面において、円形状の断面形状を有している。環状部材52は、円筒状となる環状に形成されている。環状部材52は、スリーブ30の中心軸線CAを中心として、スリーブ30に対して相対回転可能となっている。
【0088】
更に、
図24及び
図25は、固定具50に関連した他の変形例を示している。
図24及び
図25に示した例において、スリーブ30が、固定部34に設けられた保持凸部43を有している。保持凸部43は、固定部35よりも径方向RDにおける外側(スリーブ30の中心軸線CAから離間する側)に突出している。一方、固定具50は、環状に形成された環状部材52を有している。環状部材52は、保持凸部43を収容する保持凹部63を有している。保持凸部43が保持凹部63に収容された状態で、環状部材52は軸方向ADにおいて先端側に移動することを規制される。このような例によっても、固定具50とフランジ部35との間で、袋本体15を挟持ことができる。とりわけ、この具体例によれば、簡易な構成によりスリーブ30上に環状部材52を安定して固定することができる。これにより、スリーブ30と袋本体15とを安定して固定することができる。
【0089】
図24及び
図25に示された例において、環状部材52が弾性変形することにより、環状部材52は保持凸部43を乗り越えることができる。環状部材52の弾性変形を促進するため、環状部材52は、軸方向ADにおける基端側に案内テーパ部64を有している。案内テーパ部64における内寸法(内直径)は、軸方向ADにおける先端側から基端側に向けてしだいに大きくなっている。その一方で、環状部材52の軸方向ADにおける先端側への移動を安定して規制することができるように、保持凹部63を軸方向ADにおける基端側から区画する規制壁面63aは、軸方向ADに直交する方向へ広がっている。
【0090】
なお、
図24及び
図25に示された例において、
図19及び
図20に示された保持膨出部42のように、保持凸部43の径方向RDへの突出高さが軸方向ADにおける先端側から基端側に向けてしだいに大きくなるように変化し、環状部材52の弾性変形を促進するようにしてもよい。また、
図24及び
図25に示された例における環状部材52の案内テーパ部64を、
図19及び
図20に示された例に適用することも可能である。
【0091】
次に、
図26及び
図27は、固定具50の環状部材52及びスリーブ30の保持凸部43の組合せの他の例を示している。
図26及び
図27に示す例において、環状部材52の保持凹部63は、溝状に形成されている。保持凹部63は、軸方向ADに延びる第1溝状凹部63Xと、周方向CDに延びる第2溝状凹部63Yと、を有している。第1溝状凹部63Xは、環状部材52に軸方向ADにおける基端側に開口している。
図26に示すように、保持凸部43は、第1溝状凹部63X内を軸方向ADに移動可能となっている。また、第2溝状凹部63Yは、第1溝状凹部63Xの軸方向ADにおける先端側端に接続し、周方向CDに延びている。
図27に示すように、保持凸部43は、第2溝状凹部63Y内を周方向CDに移動可能となっている。
図26及び
図27に示された例において、環状部材52はスリーブ30に対して、軸方向ADと平行な軸線を中心として、相対回転可能となっている。
図27に示すように、環状部材52をスリーブ30に対して相対回転させることで、保持凸部43が第1溝状凹部63Xに軸方向ADに対面しないようにすることができる。これにより、環状部材52の第2溝状凹部63Yを軸方向ADにおける基端側から区画する規制壁面63aに接触することによって、環状部材52のスリーブ上での軸方向ADにおける先端側への移動を安定して規制することができる。
【0092】
なお、
図24~
図27に示された例において、スリーブ30が保持凸部43を有し、環状部材52が保持凹部63を有しているが、この例に限られず、スリーブ30が保持凹部を有し、環状部材52が保持凸部を有するようにしてもよい。
【0093】
また、保持膨出部42や保持凸部43の数量、配置、形状等は特に限定されず、
図19~
図27に示された例から変更可能である。保持膨出部42や保持凸部43の構成に変更にともなって、案内溝部62や保持凹部63の構成も適宜変更することができる。一例として、
図28に示すように、保持凸部43は、三角形と四角形を足し合わせた形状を有するようにしてもよい。
【0094】
更に別の変形例として、
図29及び
図30に示すように、スリーブ30におけるフランジ部35等の位置を種々変更することができる。
図29及び
図30に示すように、軸方向ADにおいて、固定部34及びフランジ部35の位置が逆となっていてもよい。
図29及び
図30に示された例において、軸方向ADにおける先端側から基端側へと順に、第1筒状部31、テーパ部33、第2筒状部32、フランジ部35及び固定部34が配置されている。
【0095】
このような例においては、次のようにしてスリーブ30を袋本体15に対して固定することができる。この例では、スリーブ30に対して基端側から固定具50を固定することができる。まず、袋本体15の外側から、袋本体15の孔15Aにスリーブ30を基端側から挿入する。このとき、例えば第1ワッシャ53Aがスリーブ30の固定部34上に設けられていてもよい。次に、開口15Bから袋本体15内に持ち込まれた固定具50、例えば第2ワッシャ53B及びナット51を、袋本体15内において、スリーブ30の固定部34に固定する。これにより、固定具50とフランジ部35との間で袋本体15の孔15A周辺部を挟持することができる。
【0096】
なお、
図29及び
図30に示された例において、固定具50及び固定具50を保持するためのスリーブ30の構成(例えば固定部34の構成)は、図示された例に限られず、上述してきたように種々の変更が可能である。
【0097】
以上において、一実施の形態に関する複数の変形例を説明したが、複数の変形例を適宜組合せて用いることも可能である。
【符号の説明】
【0098】
10 袋
13 情報部
15 袋本体
15A 孔
15B 開口
17 シール部
17A 第1シール部
17B 第2シール部
20 スリーブセット
30 スリーブ
31 第1筒状部
32 第2筒状部
33 テーパ部
34 固定部
35 フランジ部
37 先端螺子部
38 雄螺子
41 雄螺子
42 保持膨出部
42a 規制面
43 保持凸部
50 固定具
51 ナット
52 環状部材
53 ワッシャ
53A 第1ワッシャ
53B 第2ワッシャ
61 雌螺子
62 案内溝部
63 保持凹部
63a 規制壁面
63X 第1溝状凹部
63Y 第2溝状凹部
64 案内テーパ部
70 キャップ
71 天板部
72 側壁部
73 雌螺子
74 挿入突出部
75 連結部
90 流路
95 チューブ
AD 軸方向
CD 周方向
RD 径方向
P 移送路