(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026983
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】法務ナレッジ共有システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20220203BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130719
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】514080763
【氏名又は名称】株式会社サイトビジット
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 政人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】 社内におけるFAQシステムを容易に構築でき、回答の正確性を向上させることができる法務ナレッジ共有システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】 法務サーバ1が標準FAQシステムを社内用としてFAQDB2aから提供しており、一般的な相談については当該FAQシステムで対応し、特殊な相談については、法務サーバ1が弁護士DB2bに基づいて回答者を法務担当者端末5にレコメンドし、回答者に回答依頼を行い、回答者からの回答を相談者に提供し、当該回答が重要性の高いものである場合には相談と回答をFAQシステムに登録するよう法務担当者端末5にレコメンドするとする法務ナレッジ共有システム及びプログラムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
法務関連の知識を共有する法務ナレッジ共有システムであって、
ネットワークに接続する法務サーバが、
提供するFAQシステムの質問と回答の情報を記憶するFAQ情報記憶部と、連携する弁護士の情報を記憶する弁護士情報記憶部とを備え、
社内の従業員の端末から法務関連の質問があると、当該質問に対する回答が前記FAQ情報記憶部から得られる場合には、得られた回答を前記従業員の端末に提供し、当該質問に対する回答が前記FAQ情報記憶部から得られない場合には、前記弁護士情報記憶部を検索して前記質問に回答可能な弁護士の情報を抽出して法務担当者の端末に提供することを特徴とする法務ナレッジ共有システム。
【請求項2】
法務サーバは、法務担当者の端末から質問に回答可能な弁護士の端末に前記質問に対する回答を依頼した場合に、前記弁護士の端末から回答が得られると、前記法務担当者の端末に前記回答を提供すると共に前記質問のあった従業員の端末に前記回答を提供し、前記回答の重要度を算出して、前記回答の重要度が高いと判定した場合に、前記質問と前記回答をFAQ情報記憶部に登録するよう前記法務担当者の端末にレコメンドすることを特徴とする請求項1記載の法務ナレッジ共有システム。
【請求項3】
法務サーバは、従業員の端末に提供する回答に、法改正の情報を付加することを特徴とする請求項1又は2記載の法務ナレッジ共有システム。
【請求項4】
法務サーバは、複数の会社に共通の標準FAQシステムを提供すると共に、各社固有のFAQシステムを提供するものであり、法務担当者の端末にレコメンドしてFAQ情報記憶部に登録した質問と回答を前記各社固有のFAQシステムで利用可能としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の法務ナレッジ共有システム。
【請求項5】
法務関連の知識を共有する法務ナレッジ共有システムの法務サーバで動作するプログラムであって、
ネットワークに接続する前記法務サーバを、
社内の従業員の端末から法務関連の質問があると、提供するFAQシステムの質問と回答の情報を記憶するFAQ情報記憶部から当該質問に対する回答が得られる場合には、得られた回答を前記従業員の端末に提供し、当該質問に対する回答が前記FAQ情報記憶部から得られない場合には、連携する弁護士の情報を記憶する弁護士情報記憶部を検索して前記質問に回答可能な弁護士の情報を抽出して法務担当者の端末に提供するよう機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
法務サーバを、法務担当者の端末から質問に回答可能な弁護士の端末に前記質問に対する回答を依頼した場合に、前記弁護士の端末から回答が得られると、前記法務担当者の端末に前記回答を提供すると共に前記質問のあった従業員の端末に前記回答を提供し、前記回答の重要度を算出して、前記回答の重要度が高いと判定した場合に、前記質問と前記回答をFAQ情報記憶部に登録するよう前記法務担当者の端末にレコメンドするよう機能させることを特徴とする請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
法務サーバを、従業員の端末に提供する回答に、法改正の情報を付加するよう機能させることを特徴とする請求項5又は6記載のプログラム。
【請求項8】
法務サーバを、複数の会社に共通の標準FAQシステムを提供すると共に、各社固有のFAQシステムを提供し、法務担当者の端末にレコメンドしてFAQ情報記憶部に登録した質問と回答を前記各社固有のFAQシステムで利用可能とするよう機能させることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法務関連の知識(法務ナレッジ)を共有するシステムに係り、特に、社内のFAQ(Frequently Asked Questions)システムを容易に構築でき、回答の正確性を向上できる法務ナレッジ共有システム及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、社内の従業員から法務部及び総務部に対する法務的な問合せ又は相談について、担当者(法務担当者)が個別に電話又は電子メールで対応するようになっていた。
また、従業員からのよくある質問については、社内においてFAQシステムを構築し、担当者の労力軽減と対応の正確性を向上させるものがある。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特開2010-113421号公報「ナレッジ情報蓄積管理システム、サーバ、オペレータ端末、およびサポート情報管理方法」(特許文献1)がある。
【0004】
特許文献1には、オペレータがユーザ端末に対して行った操作をサポート情報としてサーバがサポート情報DBに記憶し、ユーザの要求に応じてサポート情報をサーバがユーザ端末にFAQ情報として提供することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の法務知識を共有する仕組み、またはシステムでは、従業員からの法務的な問合せ及び相談を法務担当者が整理して、多い問合せに対する回答を準備しなければならず、その作業が煩雑になり、更に複雑な相談については正確な回答を得るために弁護士に確認する作業も増大するという問題点があった。
【0007】
尚、特許文献1には、FAQ情報にない回答を弁護士への回答依頼によって容易に取得して、更にFAQシステムに重要度の高い回答を追加登録してFAQシステムの使い勝手を向上させる構成の記載がない。
【0008】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、社内におけるFAQシステムを容易に構築でき、回答の正確性を向上させることができる法務ナレッジ共有システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、法務関連の知識を共有する法務ナレッジ共有システムであって、ネットワークに接続する法務サーバが、提供するFAQシステムの質問と回答の情報を記憶するFAQ情報記憶部と、連携する弁護士の情報を記憶する弁護士情報記憶部とを備え、社内の従業員の端末から法務関連の質問があると、当該質問に対する回答がFAQ情報記憶部から得られる場合には、得られた回答を従業員の端末に提供し、当該質問に対する回答がFAQ情報記憶部から得られない場合には、弁護士情報記憶部を検索して質問に回答可能な弁護士の情報を抽出して法務担当者の端末に提供することを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記法務ナレッジ共有システムにおいて、法務サーバが、法務担当者の端末から質問に回答可能な弁護士の端末に質問に対する回答を依頼した場合に、弁護士の端末から回答が得られると、法務担当者の端末に回答を提供すると共に質問のあった従業員の端末に回答を提供し、回答の重要度を算出して、回答の重要度が高いと判定した場合に、質問と回答をFAQ情報記憶部に登録するよう法務担当者の端末にレコメンドすることを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記法務ナレッジ共有システムにおいて、法務サーバが、従業員の端末に提供する回答に、法改正の情報を付加することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記法務ナレッジ共有システムにおいて、法務サーバが、複数の会社に共通の標準FAQシステムを提供すると共に、各社固有のFAQシステムを提供するものであり、法務担当者の端末にレコメンドしてFAQ情報記憶部に登録した質問と回答を各社固有のFAQシステムで利用可能としたことを特徴とする。
【0013】
本発明は、法務関連の知識を共有する法務ナレッジ共有システムの法務サーバで動作するプログラムであって、ネットワークに接続する法務サーバを、社内の従業員の端末から法務関連の質問があると、提供するFAQシステムの質問と回答の情報を記憶するFAQ情報記憶部から当該質問に対する回答が得られる場合には、得られた回答を従業員の端末に提供し、当該質問に対する回答がFAQ情報記憶部から得られない場合には、連携する弁護士の情報を記憶する弁護士情報記憶部を検索して質問に回答可能な弁護士の情報を抽出して法務担当者の端末に提供するよう機能させることを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記プログラムにおいて、法務サーバを、法務担当者の端末から質問に回答可能な弁護士の端末に質問に対する回答を依頼した場合に、弁護士の端末から回答が得られると、法務担当者の端末に回答を提供すると共に質問のあった従業員の端末に回答を提供し、回答の重要度を算出して、回答の重要度が高いと判定した場合に、質問と回答をFAQ情報記憶部に登録するよう法務担当者の端末にレコメンドするよう機能させることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記プログラムにおいて、法務サーバを、従業員の端末に提供する回答に、法改正の情報を付加するよう機能させることを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記プログラムにおいて、法務サーバを、複数の会社に共通の標準FAQシステムを提供すると共に、各社固有のFAQシステムを提供し、法務担当者の端末にレコメンドしてFAQ情報記憶部に登録した質問と回答を各社固有のFAQシステムで利用可能とするよう機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ネットワークに接続する法務サーバが、提供するFAQシステムの質問と回答の情報を記憶するFAQ情報記憶部と、連携する弁護士の情報を記憶する弁護士情報記憶部とを備え、社内の従業員の端末から法務関連の質問があると、当該質問に対する回答がFAQ情報記憶部から得られる場合には、得られた回答を従業員の端末に提供し、当該質問に対する回答がFAQ情報記憶部から得られない場合には、弁護士情報記憶部を検索して質問に回答可能な弁護士の情報を抽出して法務担当者の端末に提供する法務ナレッジ共有システムとしているので、FAQ情報記憶部に回答がない場合に、回答可能な弁護士を法務担当者にレコメンドでき、弁護士から適正な回答を容易に得ることができる効果がある。
【0018】
本発明は、法務サーバが、法務担当者の端末から質問に回答可能な弁護士の端末に質問に対する回答を依頼した場合に、弁護士の端末から回答が得られると、法務担当者の端末に回答を提供すると共に質問のあった従業員の端末に回答を提供し、回答の重要度を算出して、回答の重要度が高いと判定した場合に、質問と回答をFAQ情報記憶部に登録するよう法務担当者の端末にレコメンドする上記法務ナレッジ共有システムとしているので、重要度の高い回答をFAQ情報記憶部に容易に登録でき、当該回答をFAQシステムにおいて利用可能にできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】応用例2のFAQの情報管理テーブルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る法務ナレッジ共有システム(本システム)は、クラウド型の法務サーバが標準的なFAQシステムを社内用として提供しており、従業員からのよくある質問等については当該FAQシステムで対応し、特殊な質問、問合せ、相談については、法務サーバが予め登録された弁護士のデータベース(弁護士DB)に基づいて回答者を法務担当者にレコメンドし、回答者に回答要求を行い、回答者からの回答を特殊な質問等を行った従業員に提供し、当該回答が重要度の高いものである場合には質問等と回答をFAQシステムに登録するよう法務担当者にレコメンドするものであり、標準的なFAQシステムに社内特有の質問等と回答が追加されてFAQシステムがカスタマイズされるので、社内のFAQシステムを容易に構築でき、更に弁護士DBから選ばれた適正な弁護士の回答が用いられることで回答の正確性を向上できるものである。
【0021】
また、本システムは、クラウド型の法務サーバが、複数の会社に対してFAQシステムを提供しており、複数の会社で共通する質問と回答、法律改正に関連する質問と回答、重要度が高い質問と回答を分析し、標準的なFAQシステムに追加が必要な質問と回答を登録するものであり、社内のFAQシステムをアップデートできると共に最適化できるものである。
【0022】
また、本システムは、質問等に対する回答に、法改正前後の情報を付加するようにしているので、質問者には現在の回答だけでなく、過去の法改正に関する情報、将来の法改正に関する情報をも提供できるので、質問者の状況に応じて必要な情報が参照可能となり、質問者にとって利便性の高いものとなる。
【0023】
[本システム:
図1]
本システムについて
図1を参照しながら説明する。
図1は、本システムの概略図である。
本システムは、
図1に示すように、クラウド型の法務サーバ1と、FAQデータベース(DB)2aと、弁護士データベース(DB)2bと、ネットワーク3と、従業員端末4(4a,4b)と、法務担当者端末5と、顧問弁護士端末6と、外部弁護士端末7とを基本的に備えている。
【0024】
法務サーバ1、従業員端末4、法務担当者端末5、顧問弁護士端末6及び外部弁護士端末7はネットワーク3により接続されている。
図1の紙面の関係から端末を最小数描いているが、実際には多くの各端末がネットワーク3によって接続している。
【0025】
[本システムの各部]
本システムの各部を具体的に説明する。
[法務サーバ1]
法務サーバ1は、コンピュータ等の処理装置であり、FAQDB2aと弁護士DB2bが接続されている。
また、法務サーバ1は、標準FAQシステム提供機能、質問等分析機能、弁護士レコメンド機能、FAQ登録レコメンド機能等を備えている。
【0026】
[標準FAQシステム提供機能]
標準FAQシステム提供機能は、FAQDB2aから各社に標準のFAQシステムを提供する機能である。
具体的には、質問(Q)等に対して回答(A)の候補を提供するものである。
【0027】
[質問等分析機能]
質問等分析機能は、従業員端末4からの質問、問合せ、相談の内容を分析し、標準FAQシステムで対応可能な一般的な法務相談か、特殊な法務相談かを判断する機能である。一般的な法務相談か否かは、FAQシステムの質問内容との関連性、類似性で判断し、一般的な法務相談でなければ、特殊な法務相談と判断するようにしている。
【0028】
[弁護士レコメンド機能]
弁護士レコメンド機能は、特殊な法務相談と判断された場合に、弁護士DB2bを参照して、顧問弁護士に相談すべきか、専門分野、実績等から外部の弁護士に相談すべきかを判定し、外部の弁護士の場合、どの弁護士が適任かを決定して法務担当者端末5に回答者となる弁護士のレコメンド(推奨)を行う機能である。
【0029】
[FAQ登録レコメンド機能]
FAQ登録レコメンド機能は、回答者の弁護士端末から回答があった場合に、回答内容の重要性(重要度)を判断して、重要と判断した場合に、当該回答と質問等をFAQシステムに登録すべきことを法務担当者端末5にレコメンドする機能である。
回答内容の重要性は、アクセスの多い回答とのキーワード等の類似性、関連性が高い回答を重要性(重要度)が高いものと判断する。キーワード等の類似性等は、AI(人工知能)を利用してスコアを算出して判定してもよい。
FAQシステムへの登録をレコメンドする代わりに、法務サーバ1が、自動的に重要性を判断してFAQシステムに登録するようにしてもよい。
【0030】
[FAQDB2a]
FAQDB2aは、FAQ情報記憶部であり、標準FAQの質問等と回答を記憶すると共に、各社の状況に合わせた質問等と回答も会社毎に記憶している。
【0031】
[弁護士DB2b]
弁護士DB2bは、弁護士情報記憶部であり、各社の顧問弁護士の情報、専門分野、実績等を保有する外部弁護士情報を記憶する。各社の顧問弁護士情報は、他社から参照できないように制限している。
弁護士DB2bは、特殊な質問等に対する回答者を選出する場合に利用される。
【0032】
[ネットワーク3]
ネットワーク3は、インターネットを想定しており、各端末は、各社の各担当者のIDとパスワードでログインするようになっている。
【0033】
[従業員端末4(4a,4b)]
従業員端末4(4a,4b)は、社内の従業員が使用するノートパソコン、スマートフォン、デスクトップパソコン等の端末であり、法務に関する質問、問合せ、相談を送信する。
【0034】
[法務担当者端末5]
法務担当者端末5は、パーソナルコンピュータ(PC)等の端末であり、従業員端末4からの特殊な法務相談について法務サーバ1から回答者のレコメンドを受け、適任と思われる弁護士の端末に特殊な法務相談を転送して回答を依頼(要求)する(回答要求)。
また、法務担当者端末5は、弁護士の端末から特殊な法務相談に対する回答があると、相談してきた従業員端末4にその回答を転送する。
【0035】
尚、法務担当者端末5では、レコメンドされた弁護士の端末に特殊な法務相談を転送せず、法務担当者自ら回答して従業員端末4に送信してもよく、回答者のレコメンド画面において、弁護士の端末への転送と自ら回答とを選択できるようにすることが望ましい。これにより、法務担当者にとっての裁量と利便性を向上させることができる。
また、法務担当者端末5における回答者のレコメンド画面において、「よく聞く弁護士」の問い合わせ先(依頼先)を一つ又は複数登録して依頼ボタンを設けるようにし、その依頼ボタンを選択してよく聞く弁護士の端末に回答を依頼してもよい。
【0036】
更に、法務担当者端末5は、法務サーバ1から回答内容について重要性が高いとの判断によりFAQシステムに追加すべきとのレコメンドを受信すると、法務担当者が当該レコメンド内容を検討する。そして、その会社のFAQシステムに追加する場合には、法務担当者端末5は、相談内容と回答をFAQDB2aに登録する。
【0037】
[顧問弁護士端末6]
顧問弁護士端末6は、特定の会社の顧問弁護士のPC等の端末であり、法務担当者端末5から回答要求を受け、回答を返信する。
【0038】
[外部弁護士端末7]
外部弁護士端末7は、顧問ではない外部の弁護士のPC等の端末であり、弁護士DB2bに記憶された専門分野、実績等に基づいて回答者に選出された外部の弁護士の端末である。
外部弁護士端末7は、法務担当者端末5から回答要求を受け、回答を返信する。
【0039】
[処理概要]
まず、
図1を参照しながら1つの社内での処理の概要を説明する。
本システムにおいて、従業員端末4が法務相談を送信する。
法務サーバ1は、その法務相談が一般的な相談か特殊な相談かを質問等分析機能により判断し、一般的な相談(S1)であれば、標準FAQシステム提供機能によりFAQDB2aから提供されたFAQシステムで対応させる(S2)。
【0040】
法務サーバ1は、特殊な相談(S3)と判断すると、弁護士レコメンド機能により弁護士DB2bを参照し、回答者を顧問弁護士にすべきか外部弁護士にすべきかを判定し、法務担当者端末5に回答者の弁護士をレコメンドする(S4)。
【0041】
法務担当者端末5は、法務サーバ1からの弁護士レコメンドを参考に顧問弁護士端末6又は外部弁護士端末7に特殊な相談を転送して回答要求を行う(S5,S6)。
尚、法務担当者は特殊な相談に対して自ら回答してもよく、その場合、法務担当者端末5は、自らの回答を従業員端末4に送信する。また、法務担当者は弁護士レコメンドにかかわらず、よく聞く弁護士の端末に特殊な相談を転送して回答を求めてもよい。
そして、法務担当者端末5は、顧問弁護士端末6又は外部弁護士端末7から回答(1)又は回答(2)を受信すると(S7,S8)、従業員端末4に回答(1)又は回答(2)を転送する(S9)。
【0042】
更に、法務サーバ1は、顧問弁護士端末6又は外部弁護士端末7からの回答(1)又は回答(2)について、FAQ登録レコメンド機能により重要性を判断し、重要性が高いと判断した回答については、FAQシステムに登録することを法務担当者端末5にレコメンドする。(S10)。
【0043】
[法務サーバ1の処理:
図2]
次に、法務サーバ1における処理フローについて
図2を参照しながら説明する。
図2は、法務サーバの処理を示すフロー図である。
法務サーバ1は、従業員端末4から法務相談を受信する(S11)。
法務サーバ1は、受信した法務相談が標準FAQシステムに登録されていない特殊な相談かどうかを判断する(S12)。
特殊な相談でなければ(Noの場合)、標準FAQシステムで回答を提供する(S13)して処理を終了する。特殊な相談であれば(Yesの場合)、法務サーバ1は、弁護士DB2bを検索する(S14)。
【0044】
そして、法務サーバ1は、弁護士DB2bにおける弁護士の専門分野、実績等のデータに基づいて相談内容に最適な弁護士を抽出し、法務担当者端末5に最適な弁護士をレコメンドする(S15)。
次に、法務サーバ1は、法務担当者端末5でレコメンドされた弁護士を選択したか否かを判定し(S16)、選択したのであれば(Yesの場合)、レコメンドされた弁護士の端末に相談内容を送信して回答を要求する(S17)。
レコメンドされた弁護士を法務担当者端末5で選択しなかった場合(Noの場合)、法務担当者端末5で別に選択された弁護士の端末に相談内容を送信して回答を要求する(S18)。ここで、法務担当者は、レコメンドされた弁護士を選択せず、別の弁護士も選択せず、自ら従業員端末4に直接回答しても構わない。
【0045】
そして、相談内容を送信した弁護士の端末から回答が得られたか否かを判定し(S19)、まだ、回答がえられていない場合(Noの場合)、判定処理S19を繰り返す。
回答が得られた場合(Yesの場合)、相談者の従業員端末4に回答内容を送信する(S20)。
更に、法務サーバ1は、得られた回答の重要度を算出して、特定の値より重要度が高いか否かを判定する(S21)。そして、回答の重要度が高い場合(Yesの場合)は、法務担当者端末5に標準FAQシステムへの追加登録をレコメンドする(S22)。回答の重要度が低い場合(Noの場合)は、処理を終了する。
追加登録の判断基準は、例えば、回答内容が標準FAQシステムにおける回答との類似性が高いものを追加登録するようにしている。
尚、後述する応用例1に示すように、追加登録する回答を標準FAQシステムではなく、自社の固有のFAQシステムに登録する方が、汎用性のあるFAQシステムを維持しつつ、自社のオリジナリティのあるFAQシステムを保持できる。
【0046】
[応用例]
[応用例1]
本システムは、複数の会社が利用するものとなっているので、標準FAQシステムにおける全社のアクセス数は1社のアクセス数に比べると膨大になる。このビッグデータを活用してアクセスの多い/少ない回答、アクセスが増加/減少傾向にある回答を分析し、標準FAQシステムをアップデートして最適化することができる。
【0047】
[応用例1のシステム概略:
図3]
次に、応用例1のシステム概略について
図3を参照しながら説明する。
図3は、応用例1のシステムを示す概略図である。
応用例1は、
図3に示すように、法務サーバ1がネットワーク3を介して提供されるFAQシステムを各社が利用している状況を示している。
FAQシステムは、全社共通の標準FAQシステム11と、各社固有の(オリジナルな)FAQシステム12とを有している。尚、これらFAQシステムのデータは、FAQDB2aに記憶され、各社の端末に提供されるものである。
【0048】
各社は、標準FAQシステム11と、自社の固有のFAQシステム12とを利用可能である。つまり、
図3の点線で囲った部分(10a,10b,10c)が利用可能となっている。
ここで、標準FAQシステム11は、法務サーバ1がサービスを利用する会社全てに提供する標準的なシステムであり、全社のFAQの利用状況、法改正等により適宜運用者によってアップデートされるものである。
また、各社固有のFAQシステム12は、
図1,2で説明した標準FAQシステムに追加登録された各社の状況に応じたFAQの情報を記憶している。
【0049】
各社が利用できるFAQシステムを標準FAQシステム11と各社特殊なFAQシステム12で構成することで、汎用性のあるFAQシステムを維持しつつ、各社のオリジナリティを加味できるものとなるので、使い勝手が向上する効果がある。
【0050】
尚、法務サーバ1は、各社固有のFAQシステム12に追加される質問(相談を含む)と回答が複数の会社で共通する場合には、標準FAQシステム11に登録し直してアップデートするようにしてもよい。つまり、各社固有のFAQシステム12で利用(参照)される質問と回答を標準FAQシステム11に移管して、標準FAQシステム11をアクティブに更新するものである。
【0051】
[応用例2]
本システムでは、法務サーバ1が、FAQシステムで回答する場合に、法改正前後の情報を付加する。これにより、相談者には現在の回答だけでなく、過去の法改正に関する情報、将来の法改正に関する情報をも提供でき、相談者の利便性を向上させることができる。
【0052】
[応用例2のFAQの情報管理の概要:
図4]
応用例2のFAQの情報管理について
図4を参照しながら説明する。
図4は、応用例2のFAQの情報管理テーブルを示す概略図である。
FAQDB2aには、
図4に示すFAQの情報管理テーブルが記憶されており、そのテーブルは、質問(Q)と回答(A)の組に対して、法律等の改正前情報、改正後情報が設定されている。改正前情報と改正後情報は、全ての回答に関連付けられているものではなく、改正前情報又は改正後情報を提供した方が相談者にとって利便性があると認定される回答に紐づけて設けるようにしている。
【0053】
つまり、質問によっては、法改正前が現在で、法改正後が将来となる場合と、法改正前が過去で、法改正後が現在となる場合があり、相談者(質問者)の状況に応じて、改正前情報と改正後の情報を参照して利用できるものである。
【0054】
尚、
図4のFAQの情報管理テーブルで、質問(Q)の欄には標準的な質問を設定しておき、法務サーバ1が相談者の従業員端末4から入力される相談内容について質問の欄の標準的な質問とのキーワード等の類似性を判断し、類似性の高い質問と回答、更に紐づけられた改正前情報、改正後情報を、類似性の高い順に一覧で相談者の従業員端末4に表示するようにしてもよい。
【0055】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、法務サーバ1が標準FAQシステムを社内用としてFAQDB2aから提供しており、一般的な相談については当該FAQシステムで対応し、特殊な相談については、法務サーバ1が弁護士DB2bに基づいて回答者を法務担当者端末5にレコメンドし、回答者に回答依頼を行い、回答者からの回答を相談者に提供し、当該回答が重要性の高いものである場合には相談と回答をFAQシステムに登録するよう法務担当者端末5にレコメンドするものとしているので、標準FAQシステムに社内特有の相談と回答が追加されてFAQシステムがカスタマイズされ、社内のFAQシステムを容易に構築でき、更に弁護士DB2bから選ばれた適正な弁護士の回答が用いられることで回答の正確性を向上させることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、社内におけるFAQシステムを容易に構築でき、回答の正確性を向上させることができる法務ナレッジ共有システム及びプログラムに好適である。
【符号の説明】
【0057】
1…法務サーバ、 2a…FAQデータベース(DB)、 2b…弁護士データベース(DB)、 3…ネットワーク、 4…従業員端末、 5…法務担当者端末、 6…顧問弁護士端末、 7…外部弁護士端末、 10a,10b,10c…各社利用のFAQシステム、 11…標準FAQシステム、 12…各社固有のFAQシステム