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特開2022-27021ソールおよびそれを備えた野球用スパイクシューズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027021
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ソールおよびそれを備えた野球用スパイクシューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 5/00 20220101AFI20220203BHJP
   A43B 13/26 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A43B5/00 302
A43B13/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130777
(22)【出願日】2020-07-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 眞吾
(72)【発明者】
【氏名】松井 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】見邨 康平
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA15
4F050HA41
4F050HA46
4F050HA47
4F050HA53
4F050HA56
4F050HA58
4F050HA60
4F050HA73
4F050JA03
(57)【要約】
【課題】野球用スパイクシューズのソールにおいて、投球動作における球速を向上させることにある。
【解決手段】ソール1は、ソール本体2の前足部領域Fに配置された複数の第1突出部7を備えている。第1突出部7は、底面視において長手方向が足幅方向に沿って延びるように形成されている。ソール本体2を前方から見て複数の第1突出部7を仮想的な投影面Pに投影させたときに、複数の第1突出部7における足幅方向の投影長さの合計値は、最も内甲側寄りに位置する第1突出部7fの側部と最も外甲側寄りに位置する第1突出部7gの側部とを足幅方向に直線で結んだ距離Lの85%以上100%以下の長さとなる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投球動作における利き腕の反対側の足に適用可能な野球用スパイクシューズのソールであって、
ソール本体と、
前記ソール本体の剛性よりも高い剛性を有し、各々が前記ソール本体から下方に向かって突出するように構成された複数の第1突出部と、を備え、
前記複数の第1突出部は、前記ソール本体において着用者の足の前足部に対応する前足部領域に配置されており、
前記第1突出部は、底面視において長手方向が足幅方向に沿って延びるように形成されており、
前記ソール本体を前方から見て前記複数の第1突出部を仮想的な投影面に投影させたときに、前記複数の第1突出部における足幅方向の投影長さの合計値は、最も内甲側寄りに位置する前記第1突出部の側部と最も外甲側寄りに位置する前記第1突出部の側部とを足幅方向に直線で結んだ距離の85%以上100%以下の長さとなる、ソール。
【請求項2】
請求項1に記載のソールにおいて、
前記複数の第1突出部の各々は、底面視において前記長手方向の足長方向に対する角度が80度以上100度以下の範囲で傾くように構成されている、ソール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のソールにおいて、
最も内甲側寄りに位置する前記第1突出部は、前記前足部領域において着用者の足の母指球に対応する位置の近傍に配置されており、
最も外甲側寄りに位置する前記第1突出部は、前記前足部領域において着用者の足の小指球に対応する位置の近傍に配置されている、ソール。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のソールにおいて、
前記複数の第1突出部の各々は、金属材料またはセラミックス材料からなる、ソール。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のソールにおいて、
前記複数の第1突出部の各々は、板状を有していて、前面部が前記ソール本体の前側に向くように構成されている、ソール。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のソールにおいて、
最も前側に位置する前記第1突出部は、前記前足部領域において着用者の足の爪先部に対応する位置に配置されている、ソール。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のソールを備えた、野球用スパイクシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソールおよびそれを備えた野球用スパイクシューズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、投手の投球動作に適した野球用スパイクシューズとして、例えば特許文献1のようなシューズが提案されている。
【0003】
特許文献1には、アウトソール下面において前足部に対応する位置に配置された複数の金属製スパイクを備えた野球用スパイクシューズが開示されている。この野球用スパイクシューズでは、投手の軸足と該軸足が接地しているときの地面との係合力を考慮した上で、複数のスパイクの形状および配置が定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-124401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、野球用スパイクシューズでは、地面に対するグリップ力が、投球動作において球速を向上させるための重要な要素となる。特に、球速を向上させるためには、投球動作における利き腕の反対側の足(以下「踏み出し足」という)が地面に接地したときに、シューズのソールにおいて踏み出し足の前足部に対応する領域と当該領域に作用する床反力のせん断成分との関係を考慮した上で、踏み出し足に適用されるシューズの上記グリップ力を高めることが望ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1の野球用スパイクシューズでは、上述のように、投手の軸足(投球動作における利き腕と同じ側の足)と該軸足が接地しているときの地面との係合力を考慮した上で、複数のスパイクの形状および配置が定められているに過ぎない。すなわち、上記シューズでは、ソールにおいて踏み出し足の前足部に対応する領域と当該領域に作用する床反力のせん断成分との関係が全く考慮されていなかった。このため、上記シューズでは、踏み出し足の上記グリップ力が十分に得られず、投球動作における球速の向上に寄与し得なかった。
【0007】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、投球動作における球速を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、第1の開示は投球動作における利き腕の反対側の足に適用可能な野球用スパイクシューズのソールに係るものであり、このソールは、ソール本体と、ソール本体の剛性よりも高い剛性を有し、各々がソール本体から下方に向かって突出するように構成された複数の第1突出部と、を備えている。複数の第1突出部は、ソール本体において着用者の足の前足部に対応する前足部領域に配置されている。第1突出部は、底面視において長手方向が足幅方向に沿って延びるように形成されている。そして、ソール本体を前方から見て複数の第1突出部を仮想的な投影面に投影させたときに、複数の第1突出部における足幅方向の投影長さの合計値は、最も内甲側寄りに位置する第1突出部の側部と最も外甲側寄りに位置する第1突出部の側部とを足幅方向に直線で結んだ距離の85%以上100%以下の長さとなる。
【0009】
第1の開示では、投球動作において利き腕の反対側の足(踏み出し足)が接地したときに、踏み出し足に適用されるソールにおいて床反力のせん断成分のほとんどが、足幅方向において密に配置された複数の第1突出部により受け止められるようになる。これにより、踏み出し足に適用されるソールにおいて、前足部領域に作用する床反力のせん断成分が増大する。その結果、踏み出し足において地面に対するグリップ力を高めることが可能となる。したがって、第1の開示では、投球動作における球速を向上させることができる。
【0010】
第2の開示は、第1の開示において、複数の第1突出部の各々は、底面視において長手方向の足長方向に対する角度が80度以上100度以下の範囲で傾くように構成されている。
【0011】
この第2の開示では、各第1突出部の長手方向が実質的に足幅方向に沿うようになることから、各第1突出部の前側部分がソール本体の前側に向きやすくなる。このため、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部が床反力のせん断成分を効率よく受け止めるようになる。その結果、踏み出し足に適用されるソールでは、前足部領域に作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0012】
第3の開示は、第1または第2の開示において、最も内甲側寄りに位置する第1突出部は、前足部領域において着用者の足の母指球に対応する位置の近傍に配置されており、最も外甲側寄りに位置する第1突出部は、前足部領域において着用者の足の小指球に対応する位置の近傍に配置されている。
【0013】
この第3の開示では、前足部領域において着用者の足の母指球および小指球の双方に対応する位置のグリップ力を高めることができる。また、踏み出し足が接地したときに、ソールを、前足部領域において着用者の足の母指球および小指球のそれぞれに対応する位置の近傍に配置された第1突出部を支点として足幅方向に亘り安定させることができる。
【0014】
第4の開示は、第1~第3のいずれか1つの開示において、複数の第1突出部の各々は、金属材料またはセラミックス材料からなる。
【0015】
この第4の開示では、各第1突出部が金属材料またはセラミックス材料からなることから、各第1突出部において比較的高い剛性が担保されている。このため、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部が地面に刺さりやすくなり、ソールを地面に対して安定させることができる。
【0016】
第5の開示は、第1~第4のいずれか1つの開示において、複数の第1突出部の各々は、板状を有していて、前面部がソール本体の前側に向くように構成されている、ソール。
【0017】
この第5の開示では、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部が床反力のせん断成分を効率よく受け止めるようになる。その結果、前足部領域に作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0018】
第6の開示は、第1~第5のいずれか1つの開示において、最も前側に位置する第1突出部は、前足部領域において着用者の足の爪先部に対応する位置に配置されている。
【0019】
この第6の開示では、踏み出し足が接地し始めた時点から、着用者の足の爪先部に対応する位置に配置された第1突出部が床反力のせん断成分を受け止めるようになる。その結果、前足部領域に作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0020】
第7の開示は、第1~第6の開示のいずれか1つのソールを備える野球用スパイクシューズである。
【0021】
この第7の開示では、上記第1~第6の開示と同様の作用効果を奏する野球用スパイクシューズを得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本開示によると、投球動作における球速を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本開示の実施形態に係るソールを示す全体斜視図である。
図2図2は、ソールを内甲側の上方から見て示す側面図である。
図3図3は、ソールを外甲側の上方から見て示す側面図である。
図4図4は、ソールの底面図である。
図5図5は、図4のV-V線断面図である。
図6図6は、アウトソールと第1および第2突出部とを示す全体斜視図である。
図7図7は、アウトソールと第1および第2突出部とを下方から見て示す斜視図である。
図8図8は、支持部材と第1突出部(または第2突出部)とが一体に形成された状態を下方から見て示す斜視図である。
図9図9は、支持部材と第1突出部(または第2突出部)とが一体に形成された状態を上方から見て示す斜視図である。
図10図10は、第1および第2突出部と着用者の足の骨格構造とを重ね合わせた状態を、上方から見て概略的に示す透視図である。
図11図11は、アウトソールの前足部領域および複数の第1突出部を、アウトソールの前方から見て仮想的な投影面に投影させた状態を概略的に示した投影図である。
図12図12は、本開示の実施形態に係るシューズを着用した投手が投球動作に入った状態を示す概略図である。
図13図13は、投球動作において踏み出し足が接地したときに、踏み出し足のソールに作用する床反力のせん断成分の向きを概略的に示した概略図である。
図14図14は、その他の実施形態における第1突出部(または第2突出部)を示す図8相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
図1図4は、本開示の実施形態に係るソール1の全体を示している。ソール1は、着用者の足裏を支持するための部材である。図12に示すように、ソール1を備えた野球用スパイクシューズSは、特に野球の投球動作における利き腕(例えば右腕)の反対側の足(例えば左足、以下「踏み出し足」という)に適している。このシューズSは、図12に示したような着用者の足を覆うためのアッパー20を備えている。なお、このシューズSは、踏み出し足に限らず、踏み出し足の反対側の足(投球動作の軸足)にも適用可能である。
【0026】
本開示の実施形態において、ソール1は、左足用のみを例示している。右足用シューズのソールは、左足用シューズのソール1と左右対称になるように構成されている。以下の説明では、左足用シューズのソール1のみについて説明し、右足用シューズのソールの説明は省略する。
【0027】
以下の説明において、上側および下側とはシューズSの上下方向の位置関係を表し、前方(前側)および後方(後側)とはシューズSの足長方向(前後方向)の位置関係を表し、内甲側および外甲側とはシューズSの足幅方向の位置関係を表すものとする。なお、上記「足長方向」は、アウトソール4の前端部と後端部とを結んだ直線(図4に示した一点鎖線を参照)に平行な方向を指すものとする。
【0028】
また、以下の説明において、「前足部」とは、足長方向において着用者の足の爪先部から第1~第2中足骨MT1~MT5の遠位骨頭に亘る範囲を指すものとする(図10参照)。「中足部」とは、足長方向において前足部および後足部を除いた位置を指すものとする。「後足部」とは、足長方向において着用者の足の踵骨HLに対応する位置を指すものとする。
【0029】
さらに、「前足部領域F」とは、後述のソール本体2において着用者の足の前足部に対応する領域を指す。「中足部領域M」とは、ソール本体2において着用者の足の中足部に対応する領域を指す。「後足部領域H」とは、ソール本体2において着用者の足の後足部に対応する領域を指す。
【0030】
(ソール本体)
図1図4に示すように、ソール1は、ソール本体2を有している。ソール本体2は、ミッドソール3およびアウトソール4により構成されている。
【0031】
ミッドソール3は、接着剤などによりアウトソール4の上側に積層配置されている。ミッドソール3は、アウトソール4よりも剛性が低い軟質の弾性材により形成されている。具体的に、ミッドソール3の材料としては、例えばエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、ブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材やその発泡体などが適している。なお、ミッドソール3の硬度は、アスカーCスケールで、例えば15C~65Cに設定されているのが好ましい。
【0032】
アウトソール4は、ミッドソール3よりも高硬度の硬質弾性部材により構成されている。具体的に、アウトソール4の材料としては、例えばポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂材、ポリウレタン(PU)、ナイロン系エラストマーなどの樹脂材、または、合成ゴム、天然ゴム等のゴム材が適している。なお、アウトソール4の硬度は、アスカーAスケールで、例えば50A~80Aに設定されているのが好ましい。
【0033】
図5および図6に示すように、アウトソール4には、アウトソール4の上面から上方に向かって突出した複数の台座部5が形成されている。複数の台座部5は、平面視において略三角形状を有している。複数の台座部5は、アウトソール4の前足部領域Fおよび後足部領域Hの各々に対応する位置に配置されている。
【0034】
(支持部材)
図2図5および図7に示すように、アウトソール4には、複数の支持部材6が設けられている。支持部材6は、後述する第1および第2突出部7,8の各々をアウトソール4に対して移動不能に支持するための部材である。支持部材6は、例えばアウトソール4と同じ材料からなる。
【0035】
図5に示すように、支持部材6は、例えば射出成形により後述する第1および第2突出部7,8の各々と一体に形成されている。そして、支持部材6は、下部がアウトソール4の下面から外側に露出する一方、下部以外の部分が台座部5の内部に埋設されるように構成されている。
【0036】
図8および図9に示すように、本実施形態の支持部材6は、側面視で略L字状を有している。支持部材6の上部周縁には、略板状の周縁部6aが設けられている。また、本実施形態の支持部材6の上面には、複数(図示例では2つ)の凸部6bが設けられている。凸部6bは、支持部材6の上面から上方に向かって半球状に突出している。なお、周縁部6aおよび凸部6bについては、特に設けなくてもよい。
【0037】
(第1突出部)
図1図7に示すように、ソール1は、複数(図示例では7つ)の第1突出部7を備えている。各第1突出部7は、ソール本体2から下方に向かって突出するように構成されている。
【0038】
第1突出部7は、ソール本体2の剛性よりも高い剛性を有している。具体的に、第1突出部7の材料としては、鉄鋼材、アルミニウム合金、チタニウム合金などの金属材料、またはセラミックス材料が挙げられる。
【0039】
図5に示すように、第1突出部7は、側面視で略L字の平板状を有している。具体的に、第1突出部7は、上側片部10および下側片部11を含む。
【0040】
上側片部10は、アウトソール4の下面に沿う方向に延びている。上側片部10は、中途部から前端部に亘る部分が台座部5と一体に形成される一方、中途部から後端部に亘る部分が支持部材6の外側に露出するように構成されている(図8および図9参照)。
【0041】
下側片部11は、断面視において上端部が上側片部10の前端部と連続するように形成されている。下側片部11は、上側片部10の前端部から下方に向かって延びている。下側片部11は、上端部から中途部に亘る部分が台座部5と一体に形成される一方、中途部から下端部に亘る部分が支持部材6の外側に露出するように構成されている(図8および図9参照)。この実施形態において、下側片部11の厚みは、断面視において上端部から下端部に亘って同じ厚みとなっている。
【0042】
支持部材6が台座部5に埋設された状態において、下側片部11の中途部から下端部に亘る部分は、アウトソール4の下面から下方に向かって突出している。下側片部11は、前面部12がソール本体2の前側に向くように配置されている。下側片部11は、正面視で略矩形状に形成されている(図7および図8参照)。
【0043】
図10に示すように、複数の第1突出部7は、アウトソール4(ソール本体2)の前足部領域Fに配置されている。この実施形態において、複数の第1突出部7は、第1突出部7a~7gにより構成されている。第1突出部7a~7gは、前足部領域Fにおいて互いに間隔をあけて配置されている。
【0044】
第1突出部7aは、前足部領域Fにおいて最も前側の位置に配置されている。具体的に、第1突出部7aは、前足部領域Fにおいて着用者の足の爪先部(図示例では第2末節骨DP2)に対応する位置に配置されている。
【0045】
第1突出部7bは、着用者の足の親指に対応する位置に配置されている。具体的に、第1突出部7bは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第1基節骨PP1に対応する位置に配置されている。
【0046】
第1突出部7cは、着用者の足の中指に対応する位置に配置されている。具体的に、第1突出部7cは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第3末節骨DP3および/または第3中節骨IP3に対応する位置に配置されている。
【0047】
第1突出部7dは、前足部領域Fの足幅方向略中央に配置されている。具体的に、第1突出部7dは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第2中足骨MT2の遠位骨頭および/または第3中足骨MT3の遠位骨頭に対応する位置に配置されている。
【0048】
第1突出部7eは、着用者の足の薬指および/または小指に対応する位置に配置されている。具体的に、第1突出部7eは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第4基節骨PP4および/または第5中節骨IP5に対応する位置に配置されている。
【0049】
第1突出部7fは、前足部領域Fにおいて最も内甲側寄りの位置に配置されている。具体的に、第1突出部7fは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第1中足骨MT1の遠位骨頭に対応する位置(すなわち、足の母指球に対応する位置の近傍)に配置されている。
【0050】
第1突出部7gは、前足部領域Fにおいて最も外甲側寄りの位置に配置されている。具体的に、第1突出部7gは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第5中足骨MT5の遠位骨頭に対応する位置(すなわち、足の小指球に対応する位置の近傍)に配置されている。
【0051】
図4および図10に示すように、第1突出部7は、底面視において下側片部11の長手方向が足幅方向に沿って延びるように構成されている。具体的に、下側片部11は、底面視において長手方向の足長方向に対する角度が80度以上100度以下の範囲で傾くように構成されていればよい。
【0052】
ここで、第1突出部7の横幅寸法は、10mm以上が好ましく、13mm以上がより好ましい。この場合、ソール1の地面に対するグリップ力を特に向上させることができる。第1突出部7の横幅寸法は、20mm以下が好ましく、16mm以下がより好ましい。この場合、第1突出部7を地面に刺さりやすくすることができる。
【0053】
ソール1に設けられる複数の第1突出部7の数量は、5本以上が好ましく、6本以上がより好ましい。この場合、グリップ力と、踏み出し時の安定性を向上させることができる。ソール1に設けられる複数の第1突出部7の数量は、9本以下が好ましく、8本以下がより好ましい。この場合、複数の第1突出部7を備えるソール1の重量が過度に重くなることを抑制できる。
【0054】
(第2突出部)
図1図4に示すように、ソールは、複数(図示例では3つ)の第2突出部8を備えている。第2突出部8は、ソール本体2から下方に向かって突出するように構成されている。
【0055】
第2突出部8は、第1突出部7と同様に、金属材料またはセラミックス材料からなる板材として構成されていて、上側片部10および下側片部11を含む(第2突出部8について援用する図8および図9を参照)。第2突出部8は、上側片部10および下側片部11が支持部材6と一体に形成された状態でアウトソール4の台座部5に埋設されている(図6参照)。第2突出部8は、下側片部11の中途部から下端部に亘る部分がアウトソール4の下面から下方に向かって突出している。
【0056】
図10に示すように、複数の第2突出部8は、ソール本体2の後足部領域Hに配置されている。この実施形態において、複数の第2突出部8は、第2突出部8a~8cにより構成されている。第2突出部8a~8cは、後足部領域Hにおいて互いに間隔をあけて配置されている。
【0057】
(特徴的構成)
本開示の実施形態における特徴的構成として、図11に示すように、アウトソール4(ソール本体2)を前方から見て複数の第1突出部7を仮想的な投影面P(図6および図7参照)に投影させたときに、複数の第1突出部7における足幅方向の投影長さの合計値は、前足部領域Fにおいて最も内甲側寄りに位置する第1突出部7fの側部と最も外甲側寄りに位置する第1突出部7gの側部とを足幅方向に直線で結んだ距離(以下「直線距離L」という)の85%以上100%以下の長さとなる。なお、図11では、投影面Pに投影させた複数の第1突出部7の領域を、ドットハッチングにより強調して示している。
【0058】
例えば、上記直線距離Lが82mmに設定されていて、アウトソール4を前方から見て複数の第1突出部7を仮想的な投影面Pに投影させたときに第1突出部7,7同士の足幅方向における隙間(図11に示したg1,g2,g3)の合計値が7.3mmであったとする。この場合、複数の第1突出部7における足幅方向の投影長さの合計値は74,7mmである。すなわち、この合計値(74,7mm)は、直線距離L(82mm)の約91.1%の長さに相当するものであり、直線距離Lの85%以上100%以下の長さとなる。なお、複数の第1突出部7を投影面Pに投影させたときに第1突出部7,7同士が重なった部分の長さ寸法については、上記の合計値(74,7mm)に含めないものとする。
【0059】
[実施形態の作用効果]
一般的に、野球用スパイクシューズでは、地面に対するグリップ力が、投球動作において球速を向上させるための重要な要素となる。特に、球速を向上させるためには、投球動作における利き腕の反対側の足(以下「踏み出し足」という)が地面に接地したときに、踏み出し足に適用されるシューズのソールと、ソールに作用する床反力のせん断成分との関係を考慮し、その上で踏み出し足に適用されるシューズの上記グリップ力を高めることが望ましい。なお、「床反力」とは、身体(主に足底)と床(地面)との接触部分から生じる反力を指す一般的な概念である。
【0060】
具体的に、投球動作の理想的な足の動作としては、踏み出し足(例えば図12に示した左足)を前足部から後足部に向かって順に接地させるとともに、踏み出し足の足長方向を投球方向(図12に示した矢印Dを参照)と同じ方向に沿わせるのが望ましい。この場合において、図13に示すように、接地した踏み出し足の前足部には、投球方向(矢印D)と反対方向に向かう床反力のせん断成分(図13に示した複数の矢印Rfを参照)が作用する。このことから、本開示の実施形態において、踏み出し足に適用されるソール1のグリップ力を高めるためには、上記床反力のせん断成分の向きを考慮した上で、複数の第1突出部7における具体的構成を定めればよいとの知見を得た。なお、図13では、投球動作において踏み出し足が接地したときに、踏み出し足に作用する床反力のせん断成分を、プレート型の圧力分布センサ(ノベル社、製品名「Emed」)を用いて測定した結果を概略的に示している。
【0061】
上記知見に基づいて、ソール1は、ソール本体2を前方から見て複数の第1突出部7を仮想的な投影面Pに投影させたときに、複数の第1突出部7における足幅方向の投影長さの合計値が、上記直線距離Lの85%以上100%以下の長さとなるように構成されている。かかる構成によれば、投球動作において利き腕の反対側の足(踏み出し足)が接地したときに、踏み出し足に適用されるソール1において上記床反力のせん断成分のほとんどが、足幅方向において密に配置された複数の第1突出部7により受け止められるようになる。すなわち、複数の第1突出部7は、上述した投球方向と反対方向に向かう床反力のせん断成分を漏れなく吸収するように構成されている。これにより、踏み出し足に適用されるソール1において、前足部領域Fに作用する床反力のせん断成分が増大する。その結果、踏み出し足において地面に対するグリップ力を高めることが可能となる。したがって、本開示の実施形態に係るソール1およびそれを備えた野球用スパイクシューズSでは、投球動作における球速を向上させることができる。
【0062】
なお、例えば野球の投手が野球用スパイクシューズSを着用したときに、球速が1.0km/hでも恒常的に向上していれば、打者に対する影響が強まることが明らかであり、上述の作用効果が十分に発揮された状態にあるといえる。
【0063】
また、各第1突出部7は、底面視において長手方向の足長方向に対する角度が80度以上100度以下の範囲で傾くように構成されている。かかる構成により、各第1突出部7の長手方向が実質的に足幅方向に沿うようになることから、各第1突出部7の前面部12がソール本体2の前側に向きやすくなる。このため、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部7が床反力のせん断成分を効率よく受け止めるようになる。その結果、踏み出し足に適用されるソール1では、前足部領域Fに作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0064】
また、最も内甲側寄りに位置する第1突出部7fは、前足部領域Fにおいて着用者の足の母指球に対応する位置の近傍に配置されており、最も外甲側寄りに位置する第1突出部7gは、前足部領域Fにおいて着用者の足の小指球に対応する位置の近傍に配置されている。これにより、前足部領域Fにおいて着用者の足の母指球および小指球の双方に対応する位置のグリップ力を高めることができる。また、踏み出し足が接地したときに、ソール1を、第1突出部7f,7gを支点として足幅方向に亘り安定させることができる。
【0065】
また、各第1突出部7が金属材料またはセラミックス材料からなるため、各第1突出部7では比較的高い剛性が担保されている。このため、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部7が地面に刺さりやすくなり、ソール1を地面に対して安定させることができる。
【0066】
また、各第1突出部7は、板状を有していて、前面部12がソール本体2の前側に向くように構成されている。これにより、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部7が床反力のせん断成分を効率よく受け止めるようになる。その結果、前足部領域Fに作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0067】
また、第1突出部7aは、前足部領域Fにおいて着用者の足の爪先部に対応する位置に配置されている。これにより、踏み出し足が接地し始めた時点から、第1突出部7aが床反力のせん断成分を受け止めるようになる。その結果、前足部領域Fに作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0068】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、ソール本体2がミッドソール3およびアウトソール4により構成された形態を示したが、この形態に限られない。例えば、ソール本体2はアウトソール4からなる形態であってもよい。
【0069】
上記実施形態では、支持部材6を設けた形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、支持部材6を設けずに、各第1突出部7をアウトソール4の台座部5と一体に形成してもよい。各第2突出部8についても同様である。
【0070】
上記実施形態では、第1および第2突出部7,8の各々の下側片部11が平板状を有する形態を示したが、この形態に限られない。例えば、下側片部11は、底面視において足幅方向略中央が前方または後方に向かって僅かに湾曲または屈曲した形状を有していてもよい。
【0071】
上記実施形態では、第1および第2突出部7,8の各々の下側片部11が正面視で略矩形状を有する形態を示したが、この形態に限られない。例えば、図14に示すように、下側片部11は、正面視において上端部から下端部に向かって先細るような逆台形状を有していてもよい。また、下側片部11の下端部には、正面視において当該下端部から凹陥した少なくとも1つの凹部13が設けられていてもよい。
【0072】
上記実施形態では、下側片部11が、断面視において上端部から下端部に亘って同じ厚みを有する形態を示したが、この形態に限られない。例えば、下側片部11は、中途部から下端部に亘る範囲の厚みが、上端部から中途部に亘る範囲の厚みよりも大きくなるように形成されていてもよい。
【0073】
上記実施形態では、複数の第1突出部7をソール本体2の前足部領域Fに配置しかつ複数の第2突出部8をソール本体2の後足部領域Hに配置した形態を示したが、この形態に限られない。例えば、第1突出部7と同様の構成を有する第3突出部(図示せず)をソール本体2の中足部領域M(図10参照)に配置してもよい。
【0074】
以上、本開示についての実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態のみに限定されず、本開示の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示は、投球動作における利き腕の反対側の足に適用可能な野球用スパイクシューズとして産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0076】
S:野球用スパイクシューズ
1:ソール
2:ソール本体
3:ミッドソール
4:アウトソール
5:台座部
6:支持部材
7:第1突出部
8:第2突出部
10:上側片部
11:下側片部
12:前面部
F:前足部領域
M:中足部領域
H:後足部領域
L:直線距離
P:投影面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソールおよびそれを備えた野球用スパイクシューズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、投手の投球動作に適した野球用スパイクシューズとして、例えば特許文献1のようなシューズが提案されている。
【0003】
特許文献1には、アウトソール下面において前足部に対応する位置に配置された複数の金属製スパイクを備えた野球用スパイクシューズが開示されている。この野球用スパイクシューズでは、投手の軸足と該軸足が接地しているときの地面との係合力を考慮した上で、複数のスパイクの形状および配置が定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-124401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、野球用スパイクシューズでは、地面に対するグリップ力が、投球動作において球速を向上させるための重要な要素となる。特に、球速を向上させるためには、投球動作における利き腕の反対側の足(以下「踏み出し足」という)が地面に接地したときに、シューズのソールにおいて踏み出し足の前足部に対応する領域と当該領域に作用する床反力のせん断成分との関係を考慮した上で、踏み出し足に適用されるシューズの上記グリップ力を高めることが望ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1の野球用スパイクシューズでは、上述のように、投手の軸足(投球動作における利き腕と同じ側の足)と該軸足が接地しているときの地面との係合力を考慮した上で、複数のスパイクの形状および配置が定められているに過ぎない。すなわち、上記シューズでは、ソールにおいて踏み出し足の前足部に対応する領域と当該領域に作用する床反力のせん断成分との関係が全く考慮されていなかった。このため、上記シューズでは、踏み出し足の上記グリップ力が十分に得られず、投球動作における球速の向上に寄与し得なかった。
【0007】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、投球動作における球速を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、第1の開示は投球動作における利き腕の反対側の足に適用可能な野球用スパイクシューズのソールに係るものであり、このソールは、ソール本体と、ソール本体の剛性よりも高い剛性を有し、各々がソール本体から下方に向かって突出するように構成された複数の第1突出部と、を備えている。複数の第1突出部は、ソール本体において着用者の足の前足部に対応する前足部領域に配置され、かつ、前足部領域における足の第2末節骨、第1基節骨、第3末節骨および/または第3中節骨、第2中足骨の遠位骨頭および/または第3中足骨の遠位骨頭、第4基節骨および/または第5中節骨、第1中足骨の遠位骨頭、第5中足骨の遠位骨頭の全てに対応する位置に配置されている。複数の第1突出部の全ては、底面視において長手方向が足幅方向に沿って延びるように形成されている。そして、ソール本体を前方から見て複数の第1突出部の全てを仮想的な投影面に投影させたときに、複数の第1突出部における足幅方向の投影長さの合計値は、最も内甲側寄りに位置する第1突出部の側部と最も外甲側寄りに位置する第1突出部の側部とを足幅方向に直線で結んだ距離の85%以上100%以下の長さとなる。
【0009】
第1の開示では、投球動作において利き腕の反対側の足(踏み出し足)が接地したときに、踏み出し足に適用されるソールにおいて床反力のせん断成分のほとんどが、足幅方向において密に配置された複数の第1突出部により受け止められるようになる。これにより、踏み出し足に適用されるソールにおいて、前足部領域に作用する床反力のせん断成分が増大する。その結果、踏み出し足において地面に対するグリップ力を高めることが可能となる。したがって、第1の開示では、投球動作における球速を向上させることができる。
【0010】
また、第1の開示において、複数の第1突出部の各々は、底面視において長手方向の足長方向に対する角度が80度以上100度以下の範囲で傾くように構成されている。
【0011】
これにより、各第1突出部の長手方向が実質的に足幅方向に沿うようになることから、各第1突出部の前側部分がソール本体の前側に向きやすくなる。このため、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部が床反力のせん断成分を効率よく受け止めるようになる。その結果、踏み出し足に適用されるソールでは、前足部領域に作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0012】
さらに、第1の開示において、最も内甲側寄りに位置する第1突出部は、前足部領域において着用者の足の母指球に対応する位置の近傍に配置されており、最も外甲側寄りに位置する第1突出部は、前足部領域において着用者の足の小指球に対応する位置の近傍に配置されている。
【0013】
これにより、前足部領域において着用者の足の母指球および小指球の双方に対応する位置のグリップ力を高めることができる。また、踏み出し足が接地したときに、ソールを、前足部領域において着用者の足の母指球および小指球のそれぞれに対応する位置の近傍に配置された第1突出部を支点として足幅方向に亘り安定させることができる。
【0014】
の開示は、第1の開示において、複数の第1突出部の各々は、金属材料またはセラミックス材料からなる。
【0015】
この第の開示では、各第1突出部が金属材料またはセラミックス材料からなることから、各第1突出部において比較的高い剛性が担保されている。このため、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部が地面に刺さりやすくなり、ソールを地面に対して安定させることができる。
【0016】
の開示は、第1または第2の開示において、複数の第1突出部の各々は、板状を有していて、前面部がソール本体の前側に向くように構成されている。
【0017】
この第の開示では、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部が床反力のせん断成分を効率よく受け止めるようになる。その結果、前足部領域に作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0018】
の開示は、第1~第のいずれか1つの開示において、最も前側に位置する第1突出部は、前足部領域において着用者の足の爪先部に対応する位置に配置されている。
【0019】
この第の開示では、踏み出し足が接地し始めた時点から、着用者の足の爪先部に対応する位置に配置された第1突出部が床反力のせん断成分を受け止めるようになる。その結果、前足部領域に作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0020】
第5の開示は、第1~第4のいずれか1つの開示において、複数の第1突出部の全ては、底面視において互いに平行に延びるように形成されている。
【0021】
の開示は、第1~第の開示のいずれか1つのソールを備える野球用スパイクシューズである。
【0022】
この第の開示では、上記第1~第の開示と同様の作用効果を奏する野球用スパイクシューズを得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本開示によると、投球動作における球速を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本開示の実施形態に係るソールを示す全体斜視図である。
図2図2は、ソールを内甲側の上方から見て示す側面図である。
図3図3は、ソールを外甲側の上方から見て示す側面図である。
図4図4は、ソールの底面図である。
図5図5は、図4のV-V線断面図である。
図6図6は、アウトソールと第1および第2突出部とを示す全体斜視図である。
図7図7は、アウトソールと第1および第2突出部とを下方から見て示す斜視図である。
図8図8は、支持部材と第1突出部(または第2突出部)とが一体に形成された状態を下方から見て示す斜視図である。
図9図9は、支持部材と第1突出部(または第2突出部)とが一体に形成された状態を上方から見て示す斜視図である。
図10図10は、第1および第2突出部と着用者の足の骨格構造とを重ね合わせた状態を、上方から見て概略的に示す透視図である。
図11図11は、アウトソールの前足部領域および複数の第1突出部を、アウトソールの前方から見て仮想的な投影面に投影させた状態を概略的に示した投影図である。
図12図12は、本開示の実施形態に係るシューズを着用した投手が投球動作に入った状態を示す概略図である。
図13図13は、投球動作において踏み出し足が接地したときに、踏み出し足のソールに作用する床反力のせん断成分の向きを概略的に示した概略図である。
図14図14は、その他の実施形態における第1突出部(または第2突出部)を示す図8相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
図1図4は、本開示の実施形態に係るソール1の全体を示している。ソール1は、着用者の足裏を支持するための部材である。図12に示すように、ソール1を備えた野球用スパイクシューズSは、特に野球の投球動作における利き腕(例えば右腕)の反対側の足(例えば左足、以下「踏み出し足」という)に適している。このシューズSは、図12に示したような着用者の足を覆うためのアッパー20を備えている。なお、このシューズSは、踏み出し足に限らず、踏み出し足の反対側の足(投球動作の軸足)にも適用可能である。
【0027】
本開示の実施形態において、ソール1は、左足用のみを例示している。右足用シューズのソールは、左足用シューズのソール1と左右対称になるように構成されている。以下の説明では、左足用シューズのソール1のみについて説明し、右足用シューズのソールの説明は省略する。
【0028】
以下の説明において、上側および下側とはシューズSの上下方向の位置関係を表し、前方(前側)および後方(後側)とはシューズSの足長方向(前後方向)の位置関係を表し、内甲側および外甲側とはシューズSの足幅方向の位置関係を表すものとする。なお、上記「足長方向」は、アウトソール4の前端部と後端部とを結んだ直線(図4に示した一点鎖線を参照)に平行な方向を指すものとする。
【0029】
また、以下の説明において、「前足部」とは、足長方向において着用者の足の爪先部から第1~第2中足骨MT1~MT5の遠位骨頭に亘る範囲を指すものとする(図10参照)。「中足部」とは、足長方向において前足部および後足部を除いた位置を指すものとする。「後足部」とは、足長方向において着用者の足の踵骨HLに対応する位置を指すものとする。
【0030】
さらに、「前足部領域F」とは、後述のソール本体2において着用者の足の前足部に対応する領域を指す。「中足部領域M」とは、ソール本体2において着用者の足の中足部に対応する領域を指す。「後足部領域H」とは、ソール本体2において着用者の足の後足部に対応する領域を指す。
【0031】
(ソール本体)
図1図4に示すように、ソール1は、ソール本体2を有している。ソール本体2は、ミッドソール3およびアウトソール4により構成されている。
【0032】
ミッドソール3は、接着剤などによりアウトソール4の上側に積層配置されている。ミッドソール3は、アウトソール4よりも剛性が低い軟質の弾性材により形成されている。具体的に、ミッドソール3の材料としては、例えばエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、ブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材やその発泡体などが適している。なお、ミッドソール3の硬度は、アスカーCスケールで、例えば15C~65Cに設定されているのが好ましい。
【0033】
アウトソール4は、ミッドソール3よりも高硬度の硬質弾性部材により構成されている。具体的に、アウトソール4の材料としては、例えばポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂材、ポリウレタン(PU)、ナイロン系エラストマーなどの樹脂材、または、合成ゴム、天然ゴム等のゴム材が適している。なお、アウトソール4の硬度は、アスカーAスケールで、例えば50A~80Aに設定されているのが好ましい。
【0034】
図5および図6に示すように、アウトソール4には、アウトソール4の上面から上方に向かって突出した複数の台座部5が形成されている。複数の台座部5は、平面視において略三角形状を有している。複数の台座部5は、アウトソール4の前足部領域Fおよび後足部領域Hの各々に対応する位置に配置されている。
【0035】
(支持部材)
図2図5および図7に示すように、アウトソール4には、複数の支持部材6が設けられている。支持部材6は、後述する第1および第2突出部7,8の各々をアウトソール4に対して移動不能に支持するための部材である。支持部材6は、例えばアウトソール4と同じ材料からなる。
【0036】
図5に示すように、支持部材6は、例えば射出成形により後述する第1および第2突出部7,8の各々と一体に形成されている。そして、支持部材6は、下部がアウトソール4の下面から外側に露出する一方、下部以外の部分が台座部5の内部に埋設されるように構成されている。
【0037】
図8および図9に示すように、本実施形態の支持部材6は、側面視で略L字状を有している。支持部材6の上部周縁には、略板状の周縁部6aが設けられている。また、本実施形態の支持部材6の上面には、複数(図示例では2つ)の凸部6bが設けられている。凸部6bは、支持部材6の上面から上方に向かって半球状に突出している。なお、周縁部6aおよび凸部6bについては、特に設けなくてもよい。
【0038】
(第1突出部)
図1図7に示すように、ソール1は、複数(図示例では7つ)の第1突出部7を備えている。各第1突出部7は、ソール本体2から下方に向かって突出するように構成されている。
【0039】
第1突出部7は、ソール本体2の剛性よりも高い剛性を有している。具体的に、第1突出部7の材料としては、鉄鋼材、アルミニウム合金、チタニウム合金などの金属材料、またはセラミックス材料が挙げられる。
【0040】
図5に示すように、第1突出部7は、側面視で略L字の平板状を有している。具体的に、第1突出部7は、上側片部10および下側片部11を含む。
【0041】
上側片部10は、アウトソール4の下面に沿う方向に延びている。上側片部10は、中途部から前端部に亘る部分が台座部5と一体に形成される一方、中途部から後端部に亘る部分が支持部材6の外側に露出するように構成されている(図8および図9参照)。
【0042】
下側片部11は、断面視において上端部が上側片部10の前端部と連続するように形成されている。下側片部11は、上側片部10の前端部から下方に向かって延びている。下側片部11は、上端部から中途部に亘る部分が台座部5と一体に形成される一方、中途部から下端部に亘る部分が支持部材6の外側に露出するように構成されている(図8および図9参照)。この実施形態において、下側片部11の厚みは、断面視において上端部から下端部に亘って同じ厚みとなっている。
【0043】
支持部材6が台座部5に埋設された状態において、下側片部11の中途部から下端部に亘る部分は、アウトソール4の下面から下方に向かって突出している。下側片部11は、前面部12がソール本体2の前側に向くように配置されている。下側片部11は、正面視で略矩形状に形成されている(図7および図8参照)。
【0044】
図10に示すように、複数の第1突出部7は、アウトソール4(ソール本体2)の前足部領域Fに配置されている。この実施形態において、複数の第1突出部7は、第1突出部7a~7gにより構成されている。第1突出部7a~7gは、前足部領域Fにおいて互いに間隔をあけて配置されている。
【0045】
第1突出部7aは、前足部領域Fにおいて最も前側の位置に配置されている。具体的に、第1突出部7aは、前足部領域Fにおいて着用者の足の爪先部(図示例では第2末節骨DP2)に対応する位置に配置されている。
【0046】
第1突出部7bは、着用者の足の親指に対応する位置に配置されている。具体的に、第1突出部7bは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第1基節骨PP1に対応する位置に配置されている。
【0047】
第1突出部7cは、着用者の足の中指に対応する位置に配置されている。具体的に、第1突出部7cは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第3末節骨DP3および/または第3中節骨IP3に対応する位置に配置されている。
【0048】
第1突出部7dは、前足部領域Fの足幅方向略中央に配置されている。具体的に、第1突出部7dは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第2中足骨MT2の遠位骨頭および/または第3中足骨MT3の遠位骨頭に対応する位置に配置されている。
【0049】
第1突出部7eは、着用者の足の薬指および/または小指に対応する位置に配置されている。具体的に、第1突出部7eは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第4基節骨PP4および/または第5中節骨IP5に対応する位置に配置されている。
【0050】
第1突出部7fは、前足部領域Fにおいて最も内甲側寄りの位置に配置されている。具体的に、第1突出部7fは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第1中足骨MT1の遠位骨頭に対応する位置(すなわち、足の母指球に対応する位置の近傍)に配置されている。
【0051】
第1突出部7gは、前足部領域Fにおいて最も外甲側寄りの位置に配置されている。具体的に、第1突出部7gは、前足部領域Fにおいて着用者の足の第5中足骨MT5の遠位骨頭に対応する位置(すなわち、足の小指球に対応する位置の近傍)に配置されている。
【0052】
図4および図10に示すように、第1突出部7は、底面視において下側片部11の長手方向が足幅方向に沿って延びるように構成されている。具体的に、下側片部11は、底面視において長手方向の足長方向に対する角度が80度以上100度以下の範囲で傾くように構成されていればよい。
【0053】
ここで、第1突出部7の横幅寸法は、10mm以上が好ましく、13mm以上がより好ましい。この場合、ソール1の地面に対するグリップ力を特に向上させることができる。第1突出部7の横幅寸法は、20mm以下が好ましく、16mm以下がより好ましい。この場合、第1突出部7を地面に刺さりやすくすることができる。
【0054】
ソール1に設けられる複数の第1突出部7の数量は、5本以上が好ましく、6本以上がより好ましい。この場合、グリップ力と、踏み出し時の安定性を向上させることができる。ソール1に設けられる複数の第1突出部7の数量は、9本以下が好ましく、8本以下がより好ましい。この場合、複数の第1突出部7を備えるソール1の重量が過度に重くなることを抑制できる。
【0055】
(第2突出部)
図1図4に示すように、ソールは、複数(図示例では3つ)の第2突出部8を備えている。第2突出部8は、ソール本体2から下方に向かって突出するように構成されている。
【0056】
第2突出部8は、第1突出部7と同様に、金属材料またはセラミックス材料からなる板材として構成されていて、上側片部10および下側片部11を含む(第2突出部8について援用する図8および図9を参照)。第2突出部8は、上側片部10および下側片部11が支持部材6と一体に形成された状態でアウトソール4の台座部5に埋設されている(図6参照)。第2突出部8は、下側片部11の中途部から下端部に亘る部分がアウトソール4の下面から下方に向かって突出している。
【0057】
図10に示すように、複数の第2突出部8は、ソール本体2の後足部領域Hに配置されている。この実施形態において、複数の第2突出部8は、第2突出部8a~8cにより構成されている。第2突出部8a~8cは、後足部領域Hにおいて互いに間隔をあけて配置されている。
【0058】
(特徴的構成)
本開示の実施形態における特徴的構成として、図11に示すように、アウトソール4(ソール本体2)を前方から見て複数の第1突出部7を仮想的な投影面P(図6および図7参照)に投影させたときに、複数の第1突出部7における足幅方向の投影長さの合計値は、前足部領域Fにおいて最も内甲側寄りに位置する第1突出部7fの側部と最も外甲側寄りに位置する第1突出部7gの側部とを足幅方向に直線で結んだ距離(以下「直線距離L」という)の85%以上100%以下の長さとなる。なお、図11では、投影面Pに投影させた複数の第1突出部7の領域を、ドットハッチングにより強調して示している。
【0059】
例えば、上記直線距離Lが82mmに設定されていて、アウトソール4を前方から見て複数の第1突出部7を仮想的な投影面Pに投影させたときに第1突出部7,7同士の足幅方向における隙間(図11に示したg1,g2,g3)の合計値が7.3mmであったとする。この場合、複数の第1突出部7における足幅方向の投影長さの合計値は74,7mmである。すなわち、この合計値(74,7mm)は、直線距離L(82mm)の約91.1%の長さに相当するものであり、直線距離Lの85%以上100%以下の長さとなる。なお、複数の第1突出部7を投影面Pに投影させたときに第1突出部7,7同士が重なった部分の長さ寸法については、上記の合計値(74,7mm)に含めないものとする。
【0060】
[実施形態の作用効果]
一般的に、野球用スパイクシューズでは、地面に対するグリップ力が、投球動作において球速を向上させるための重要な要素となる。特に、球速を向上させるためには、投球動作における利き腕の反対側の足(以下「踏み出し足」という)が地面に接地したときに、踏み出し足に適用されるシューズのソールと、ソールに作用する床反力のせん断成分との関係を考慮し、その上で踏み出し足に適用されるシューズの上記グリップ力を高めることが望ましい。なお、「床反力」とは、身体(主に足底)と床(地面)との接触部分から生じる反力を指す一般的な概念である。
【0061】
具体的に、投球動作の理想的な足の動作としては、踏み出し足(例えば図12に示した左足)を前足部から後足部に向かって順に接地させるとともに、踏み出し足の足長方向を投球方向(図12に示した矢印Dを参照)と同じ方向に沿わせるのが望ましい。この場合において、図13に示すように、接地した踏み出し足の前足部には、投球方向(矢印D)と反対方向に向かう床反力のせん断成分(図13に示した複数の矢印Rfを参照)が作用する。このことから、本開示の実施形態において、踏み出し足に適用されるソール1のグリップ力を高めるためには、上記床反力のせん断成分の向きを考慮した上で、複数の第1突出部7における具体的構成を定めればよいとの知見を得た。なお、図13では、投球動作において踏み出し足が接地したときに、踏み出し足に作用する床反力のせん断成分を、プレート型の圧力分布センサ(ノベル社、製品名「Emed」)を用いて測定した結果を概略的に示している。
【0062】
上記知見に基づいて、ソール1は、ソール本体2を前方から見て複数の第1突出部7を仮想的な投影面Pに投影させたときに、複数の第1突出部7における足幅方向の投影長さの合計値が、上記直線距離Lの85%以上100%以下の長さとなるように構成されている。かかる構成によれば、投球動作において利き腕の反対側の足(踏み出し足)が接地したときに、踏み出し足に適用されるソール1において上記床反力のせん断成分のほとんどが、足幅方向において密に配置された複数の第1突出部7により受け止められるようになる。すなわち、複数の第1突出部7は、上述した投球方向と反対方向に向かう床反力のせん断成分を漏れなく吸収するように構成されている。これにより、踏み出し足に適用されるソール1において、前足部領域Fに作用する床反力のせん断成分が増大する。その結果、踏み出し足において地面に対するグリップ力を高めることが可能となる。したがって、本開示の実施形態に係るソール1およびそれを備えた野球用スパイクシューズSでは、投球動作における球速を向上させることができる。
【0063】
なお、例えば野球の投手が野球用スパイクシューズSを着用したときに、球速が1.0km/hでも恒常的に向上していれば、打者に対する影響が強まることが明らかであり、上述の作用効果が十分に発揮された状態にあるといえる。
【0064】
また、各第1突出部7は、底面視において長手方向の足長方向に対する角度が80度以上100度以下の範囲で傾くように構成されている。かかる構成により、各第1突出部7の長手方向が実質的に足幅方向に沿うようになることから、各第1突出部7の前面部12がソール本体2の前側に向きやすくなる。このため、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部7が床反力のせん断成分を効率よく受け止めるようになる。その結果、踏み出し足に適用されるソール1では、前足部領域Fに作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0065】
また、最も内甲側寄りに位置する第1突出部7fは、前足部領域Fにおいて着用者の足の母指球に対応する位置の近傍に配置されており、最も外甲側寄りに位置する第1突出部7gは、前足部領域Fにおいて着用者の足の小指球に対応する位置の近傍に配置されている。これにより、前足部領域Fにおいて着用者の足の母指球および小指球の双方に対応する位置のグリップ力を高めることができる。また、踏み出し足が接地したときに、ソール1を、第1突出部7f,7gを支点として足幅方向に亘り安定させることができる。
【0066】
また、各第1突出部7が金属材料またはセラミックス材料からなるため、各第1突出部7では比較的高い剛性が担保されている。このため、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部7が地面に刺さりやすくなり、ソール1を地面に対して安定させることができる。
【0067】
また、各第1突出部7は、板状を有していて、前面部12がソール本体2の前側に向くように構成されている。これにより、踏み出し足が接地したときに、複数の第1突出部7が床反力のせん断成分を効率よく受け止めるようになる。その結果、前足部領域Fに作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0068】
また、第1突出部7aは、前足部領域Fにおいて着用者の足の爪先部に対応する位置に配置されている。これにより、踏み出し足が接地し始めた時点から、第1突出部7aが床反力のせん断成分を受け止めるようになる。その結果、前足部領域Fに作用する床反力のせん断成分が増大し、グリップ力をより一層高めることができる。
【0069】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、ソール本体2がミッドソール3およびアウトソール4により構成された形態を示したが、この形態に限られない。例えば、ソール本体2はアウトソール4からなる形態であってもよい。
【0070】
上記実施形態では、支持部材6を設けた形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、支持部材6を設けずに、各第1突出部7をアウトソール4の台座部5と一体に形成してもよい。各第2突出部8についても同様である。
【0071】
上記実施形態では、第1および第2突出部7,8の各々の下側片部11が平板状を有する形態を示したが、この形態に限られない。例えば、下側片部11は、底面視において足幅方向略中央が前方または後方に向かって僅かに湾曲または屈曲した形状を有していてもよい。
【0072】
上記実施形態では、第1および第2突出部7,8の各々の下側片部11が正面視で略矩形状を有する形態を示したが、この形態に限られない。例えば、図14に示すように、下側片部11は、正面視において上端部から下端部に向かって先細るような逆台形状を有していてもよい。また、下側片部11の下端部には、正面視において当該下端部から凹陥した少なくとも1つの凹部13が設けられていてもよい。
【0073】
上記実施形態では、下側片部11が、断面視において上端部から下端部に亘って同じ厚みを有する形態を示したが、この形態に限られない。例えば、下側片部11は、中途部から下端部に亘る範囲の厚みが、上端部から中途部に亘る範囲の厚みよりも大きくなるように形成されていてもよい。
【0074】
上記実施形態では、複数の第1突出部7をソール本体2の前足部領域Fに配置しかつ複数の第2突出部8をソール本体2の後足部領域Hに配置した形態を示したが、この形態に限られない。例えば、第1突出部7と同様の構成を有する第3突出部(図示せず)をソール本体2の中足部領域M(図10参照)に配置してもよい。
【0075】
以上、本開示についての実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態のみに限定されず、本開示の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示は、投球動作における利き腕の反対側の足に適用可能な野球用スパイクシューズとして産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0077】
S:野球用スパイクシューズ
1:ソール
2:ソール本体
3:ミッドソール
4:アウトソール
5:台座部
6:支持部材
7:第1突出部
8:第2突出部
10:上側片部
11:下側片部
12:前面部
F:前足部領域
M:中足部領域
H:後足部領域
L:直線距離
P:投影面
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投球動作における利き腕の反対側の足に適用可能な野球用スパイクシューズのソールであって、
ソール本体と、
前記ソール本体の剛性よりも高い剛性を有し、各々が前記ソール本体から下方に向かって突出するように構成された複数の第1突出部と、を備え、
前記複数の第1突出部は、前記ソール本体において着用者の足の前足部に対応する前足部領域に配置され、かつ、前記前足部領域における足の第2末節骨、第1基節骨、第3末節骨および/または第3中節骨、第2中足骨の遠位骨頭および/または第3中足骨の遠位骨頭、第4基節骨および/または第5中節骨、第1中足骨の遠位骨頭、第5中足骨の遠位骨頭の全てに対応する位置に配置されており、
前記複数の第1突出部の全ては、底面視において長手方向が足幅方向に沿って延びるように形成されており、
前記複数の第1突出部の各々は、底面視において前記長手方向の足長方向に対する角度が80度以上100度以下の範囲で傾くように構成されており、
最も内甲側寄りに位置する前記第1突出部は、前記前足部領域において着用者の足の母指球に対応する位置の近傍に配置されており、
最も外甲側寄りに位置する前記第1突出部は、前記前足部領域において着用者の足の小指球に対応する位置の近傍に配置されており、
前記ソール本体を前方から見て前記複数の第1突出部の全てを仮想的な投影面に投影させたときに、前記複数の第1突出部における足幅方向の投影長さの合計値は、最も内甲側寄りに位置する前記第1突出部の側部と最も外甲側寄りに位置する前記第1突出部の側部とを足幅方向に直線で結んだ距離の85%以上100%以下の長さとなる、ソール。
【請求項2】
請求項1に記載のソールにおいて、
前記複数の第1突出部の各々は、金属材料またはセラミックス材料からなる、ソール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のソールにおいて、
前記複数の第1突出部の各々は、板状を有していて、前面部が前記ソール本体の前側に向くように構成されている、ソール。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載のソールにおいて、
最も前側に位置する前記第1突出部は、前記前足部領域において着用者の足の爪先部に対応する位置に配置されている、ソール。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のソールにおいて、
前記複数の第1突出部の全ては、底面視において互いに平行に延びるように形成されている、ソール。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載のソールを備えた、野球用スパイクシューズ。