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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027070
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】状態判定システム、及び工作機械
(51)【国際特許分類】
   G05B 9/02 20060101AFI20220203BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G05B9/02 Z
H01H9/54 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130859
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】磯田 康吉
【テーマコード(参考)】
5G034
5H209
【Fターム(参考)】
5G034AC12
5H209AA06
5H209GG13
5H209HH04
5H209HH30
5H209JJ07
5H209JJ09
(57)【要約】
【課題】良好に接点の開閉状態を検出してスイッチのオン/オフ状態を判定する状態判定システム、及び工作機械を提供する。
【解決手段】状態判定システム5は、第一接点31を備えるスイッチ3と、第一接点31に対応する第一固有値Aを含む第一出力信号を出力し、第一接点31の入力側に接続した第一出力端子15を有する第一制御部1と、第一接点31に対応する第一期待値Aを記憶し、第一接点31の出力側に接続してあり、第一接点31が閉状態である場合に第一入力信号を入力する第一入力端子26を有する第二制御部2とを備え、第二制御部2は、前記第一入力信号が含む第一固有値Aが第一期待値Aと一致する場合に、第一接点31が閉状態であると判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一接点を備えるスイッチと、
前記第一接点に対応する第一固有値を記憶し、該第一固有値を含む第一出力信号を出力し、前記第一接点の入力側に接続した第一出力端子を有する第一制御部と、
前記第一接点に対応する第一期待値を記憶し、前記第一接点の出力側に接続してあり、前記第一接点が閉状態である場合に第一入力信号を入力する第一入力端子を有する第二制御部と
を備え、
前記第二制御部は、前記第一入力信号が含む第一固有値が前記第一期待値と一致する場合に、前記第一接点が閉状態であると判定する、状態判定システム。
【請求項2】
前記スイッチは第二接点を備え、
前記第一制御部は、
前記第一期待値、及び前記第二接点に対応する第二期待値をさらに記憶し、
前記第一接点の出力側に接続してあり、前記第一接点が閉状態である場合に第一入力信号を入力する第二入力端子と、
前記第二接点の出力側に接続してあり、前記第二接点が閉状態である場合に第二入力信号を入力する第三入力端子と
を備え、
前記第二入力端子が入力した前記第一入力信号が含む第一固有値が前記第一期待値と一致する場合に、前記第一接点が閉状態であると判定し、
前記第三入力端子が入力した前記第二入力信号が含む第二固有値が前記第二期待値と一致する場合に、前記第二接点が閉状態であると判定し、
前記第二制御部は、
前記第二接点に対応する第二固有値、前記第一期待値、及び前記第二期待値を記憶し、
前記第二固有値を含む第二出力信号を出力し、前記第二接点の入力側に接続した第二出力端子と、
前記第二接点の出力側に接続してあり、前記第二接点が閉状態である場合に第二入力信号を入力する第四入力端子と
を備え、
前記第四入力端子が入力した前記第二入力信号が含む第二固有値が前記第二期待値と一致する場合に、前記第二接点が閉状態であると判定する、請求項1に記載の状態判定システム。
【請求項3】
前記第一制御部及び前記第二制御部は、前記第一接点及び前記第二接点の少なくとも一方が開状態である場合に、前記スイッチは操作された、又は異常であると判定し、前記第一接点及び前記第二接点の両方が閉状態である場合に、正常であると判定する、請求項2に記載の状態判定システム。
【請求項4】
前記第一制御部及び前記第二制御部は、判定結果を他方の制御部へ送信し、
各制御部の判定結果が一致しない場合、異常であると判定する、請求項3に記載の状態判定システム。
【請求項5】
前記第一制御部及び前記第二制御部の通信は、シリアル通信である、請求項2から4までのいずれか1項に記載の状態判定システム。
【請求項6】
複数のスイッチを備える、請求項2から5までのいずれか1項に記載の状態判定システム。
【請求項7】
前記スイッチは、さらに接点を備え、
該接点に対応する制御部を備える、請求項2から6までのいずれか1項に記載の状態判定システム。
【請求項8】
前記スイッチはノーマルクローズ型であり、非常停止時、ドアが開いた時、又は部材の位置が異常である時に接点が開状態になる請求項1から7までのいずれか1項に記載の状態判定システムを備える工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、スイッチのオン/オフ状態を判定する状態判定システム、及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械や産業用ロボット等は使用環境が安全である時のみモータ等の動力発生器に電力を供給する安全回路を有する。安全回路は、非常停止スイッチ等の安全スイッチやセーフティドアスイッチ等の安全エリアセンサからの入力信号を受け付ける。その入力信号に基づき、安全回路はスイッチの接点の開閉状態を監視してスイッチのオン/オフ状態を判定し、不具合の発生時、モータ等への駆動を停止し、不具合原因が取り除かれない場合、モータ等の再駆動を行なわない。
【0003】
スイッチの接点の開閉状態は、開閉検出回路が検出する。特許文献1の場合、接点へ入力する信号をパルス化し、送り出した波形と接点から戻ってくる信号の波形とを比較し、電源短絡ではなく、所定の経路を経たものであると認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-150864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術により複数の接点間での配線短絡による開閉の誤検出を防止する場合、上記パルスのタイミングをずらすことになる。工作機械の規模によっては非常停止スイッチやドアスイッチのみでも100近く存在する。タイミング調整によりスイッチの各接点に対し誤検出が生じないようにする場合、タイミングをずらす程パルス間隔が長くなって未検出時間が長くなる。従って、スイッチのオン/オフの検出の精度が悪くなる。
この安全回路はB接点回路にパルステスト機能を付与した形になる。B接点回路は通常はオンであり、テストのためのオフパルスを流すことになり、オン期間は長い。スイッチの接点には最小接点電流が設定されており、通電電流を絞るには限界があり、オン期間が長い場合、スイッチ回路の消費電力が増大する。
【0006】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、良好に接点の開閉状態を検出してスイッチのオン/オフ状態を判定する状態判定システム、及び工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る状態判定システムは、第一接点を備えるスイッチと、前記第一接点に対応する第一固有値を記憶し、該第一固有値を含む第一出力信号を出力し、前記第一接点の入力側に接続した第一出力端子を有する第一制御部と、前記第一接点に対応する第一期待値を記憶し、前記第一接点の出力側に接続してあり、前記第一接点が閉状態である場合に第一入力信号を入力する第一入力端子を有する第二制御部とを備え、前記第二制御部は、前記第一入力信号が含む第一固有値が前記第一期待値と一致する場合に、前記第一接点が閉状態であると判定する。
【0008】
上記構成によれば、通信の成立の有無、固有値と期待値との比較という複数段階で接点の開閉を判定するので、電源短絡や地絡の他に、近接する電線との混線による異常を検出でき、スイッチのオン/オフ状態を誤って判定することが防止される。スイッチのオン/オフ状態を良好に判定して、異常の有無を良好に判定できる。
第一制御部が送信する信号と第二制御部が受信する受信信号とが同期している必要がなく、クロック等を共有する必要がなく、第二制御部は第一制御部から独立して接点の開閉状態を判定できる。
固有値を含む信号のデータで判定するので、オン期間を短くすることができ、スイッチ回路における消費電力を抑制することができる。
【0009】
上述の状態判定システムにおいて、前記スイッチは第二接点を備え、前記第一制御部は、前記第一期待値、及び前記第二接点に対応する第二期待値をさらに記憶し、前記第一接点の出力側に接続してあり、前記第一接点が閉状態である場合に第一入力信号を入力する第二入力端子と、前記第二接点の出力側に接続してあり、前記第二接点が閉状態である場合に第二入力信号を入力する第三入力端子とを備え、前記第二入力端子が入力した前記第一入力信号が含む第一固有値が前記第一期待値と一致する場合に、前記第一接点が閉状態であると判定し、前記第三入力端子が入力した前記第二入力信号が含む第二固有値が前記第二期待値と一致する場合に、前記第二接点が閉状態であると判定し、前記第二制御部は、前記第二接点に対応する第二固有値、前記第一期待値、及び前記第二期待値を記憶し、前記第二固有値を含む第二出力信号を出力し、前記第二接点の入力側に接続した第二出力端子と、前記第二接点の出力側に接続してあり、前記第二接点が閉状態である場合に第二入力信号を入力する第四入力端子とを備え、前記第四入力端子が入力した前記第二入力信号が含む第二固有値が前記第二期待値と一致する場合に、前記第二接点が閉状態であると判定してもよい。
【0010】
上記構成によれば、スイッチが接点を二つ有し、安全システムが二重化されている場合に、制御部間で同期を取らずに、二つの接点の開閉状態を独立して判定できる。上述のように接点を多重化した場合に、接点間の同期タイミングをずらす為パルス間隔が長くなり、未検出時間が長くなるという問題も生じない。従って、良好に接点の開閉状態を検出でき、スイッチのオン/オフを判定できる。
【0011】
上述の状態判定システムにおいて、前記第一制御部及び前記第二制御部は、前記第一接点及び前記第二接点の少なくとも一方が開状態である場合に、前記スイッチは操作された、又は異常であると判定し、前記第一接点及び前記第二接点の両方が閉状態である場合に、正常であると判定してもよい。
【0012】
上記構成によれば、第一接点及び前記第二接点の両方が閉状態である場合にのみ、スイッチは正常であると判定でき、安全性が高まる。
【0013】
上述の状態判定システムにおいて、前記第一制御部及び前記第二制御部は、判定結果を他方の制御部へ送信し、各制御部の判定結果が一致しない場合、異常であると判定してもよい。
【0014】
上記構成によれば、各制御部の判定結果が一致する場合のみ、正常と判定するので、より安全性が高まる。
【0015】
上述の状態判定システムにおいて、前記第一制御部及び前記第二制御部の通信は、シリアル通信であってもよい。
【0016】
上記構成によれば、回路数が少なく低コスト、配線が簡単であり、長距離間の通信も行うことができる。クロック(タイミング)のずれが発生しにくく、ノイズにも強い
【0017】
上述の状態判定システムにおいて、複数のスイッチを備えてもよい。
【0018】
上記構成によれば、複数のスイッチを有し、安全システムが多重化されている場合に、制御部間で同期を取らずに、複数のスイッチの接点の開閉状態を独立して判定できる。上述のように接点を多重化した場合に、接点間の同期タイミングをずらす為パルス間隔が長くなり、未検出時間が長くなるという問題も生じない。従って、良好に接点の開閉状態を検出でき、スイッチのオン/オフを判定できる。
【0019】
上述の状態判定システムにおいて、前記スイッチは、さらに接点を備え、該接点に対応する制御部を備えてもよい。
【0020】
上記構成によれば、接点を三以上有し、安全システムが多重化されている場合に、制御部間で複数の接点の開閉状態を独立して良好に判定でき、スイッチのオン/オフを良好に判定できる。
【0021】
本発明の一態様に係る工作機械は、前記スイッチはノーマルクローズ型であり、非常停止時、ドアが開いた時、又は部材の位置が異常である時に接点が開状態になる上述の状態判定システムを備える。
【0022】
上記構成によれば、スイッチのオン/オフ状態を良好に判定し、異常が生じてスイッチが操作されたことを検出して、モータ等の動力発生器の駆動を停止し、不具合原因が取り除かれない場合、モータ等の再駆動を行なわないようにすることができ、製造現場の安全が良好に確保される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様に係る状態判定システムにあっては、良好に接点の開閉状態を検出してスイッチのオン/オフ状態を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態1に係る状態判定システムを備える工作機械を略示するブロック図である。
図2】FPGA1によるパケットの送信処理の手順を示すフローチャートである。
図3】パケットの構成例を示す概念図である。
図4】FPGA2による接点の開閉状態の判定処理の手順を示すフローチャートである。
図5】送信周期、送信パケット、ノイズ、接点の開閉、判定の回数、受信間隔、受信パケット、開閉の判定を示すタイミングチャートである。
図6】実施形態2に係る状態判定システムを備える工作機械を略示するブロック図である。
図7】FPGAによるスイッチのオン/オフの判定処理の手順を示すフローチャートである。
図8】2つのFPGAによる2つの接点の開閉の判定、2つの判定部によるスイッのオン/オフの判定を示すタイミングチャートである。
図9】実施形態3に係る状態判定システムを備える工作機械を略示するブロック図である。
図10】実施形態4に係る状態判定システムを備える工作機械を略示するブロック図である。
図11】FPGA1によるスイッチのオン/オフの判定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態1)
以下本発明を実施形態1に係る状態判定システムを示す図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る状態判定システム5を備える工作機械100を略示するブロック図である。
状態判定システム5は、FPGA1(Field Programmable Gate Array)、FPGA2、接点31を有するスイッチ3を備える。工作機械100が状態判定システム5を備え、スイッチ3がノーマルクローズ型の非常停止スイッチである場合につき説明する。本実施形態に係る状態判定システム5を適用する機械は工作機械100に限定されない。スイッチ3は非常停止スイッチである場合に限定されず、ドアが開いた時、又は部材の位置が異常である時に接点が開状態になるものでもよい。また、スイッチはノーマルオープン型でもよい。
【0026】
制御部6は工作機械100のモータ等の動力発生器の駆動を制御する。FPGA2の後述する判定部21は接点31の開閉状態を検出し、スイッチ3のオン/オフ状態を判定して制御部6へ出力する。制御部6はスイッチ3が操作され、状態判定システム5により接点31が開状態であると判定した場合、モータ等の駆動を停止する。集積回路(Integrated Circuit)としてFPGAの代わりに、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いてもよい。ICとして多数のシリアルポートを用意できるものであればよい。
【0027】
FPGA1は、パケット生成部11、送信部12、メモリ13、計時部14、及び出力端子15を備える。メモリ13には接点31に対応する識別符号である固有値Aを記憶してある。パケット生成部11は、メモリ13から固有値Aを読み出してパケットを生成する。出力端子15は接点31の入力側に接続してあり、生成したパケットを出力する。計時部14は計時を行う。パケットの通信プロトコルは既存のHTTP(Hypertext Transfer Protocol)等のものでも、独自のものでもよい。
【0028】
図2はFPGA1によるパケットの送信処理の手順を示すフローチャートである。FPGA1は一定の周期で以下の送信処理を行う。
FPGA1はパケット生成部11において、メモリ13から固有値Aを読み出す(S1)。
【0029】
FPGA1はパケット生成部11において、固有値A及びCRC符号を含むパケットを生成する(S2)。
図3はパケットの構成例を示す概念図である。パケットは、例えばヘッダ、データ、フッタにより構成する。ヘッダはスタートビットで構成する。ヘッダはアドレスを含んでもよい。データは固有値Aを含む。フッタは、データのCRC(Cyclic Redundancy Code)符号等とエンドビットにより構成する。CRC符号は、データの伝送が正確に行ったか否かを調べるために用いる。送信前に検査用のCRC値を算出してデータに付加し、受信時に同じ箇所のデータについて同じ手順でCRC値を算出する。両者が一致する場合、誤りがないと判定し、一致しない場合、データの一部が欠落した、又は変化したと判定する。
【0030】
FPGA1は、送信部12により、計時部14が計時した所定のタイミングで出力端子15からパケットを送信し(S3)、処理を終了する。
【0031】
FPGA2は、判定部21、比較部22、受信部23、メモリ24、計時部25、及び入力端子26を備える。メモリ24には接点31に対応し、固有値Aと同一である期待値Aを記憶してある。入力端子26は、接点31の出力側に接続してあり、接点31が閉状態である場合にパケットを入力する。比較部22は、パケットのデータの固有値Aと期待値Aとを比較する。
【0032】
受信部23は、一定の周期で動作するが、動作の周期は送信部12の送信の周期と同期していない。受信部23はパケットの受信を待機する。送信部12と同期していないので、パケットをいつ受信するかは分からない。受信部23は接点31が閉である場合、入力端子26によりパケットを受信する。
【0033】
判定部21は、パケットを時間a以上受信していない場合、又はパケットが破損している場合、接点31は開状態であると判定し、パケットが正常(CRC符号が一致する)でも固有値が期待値Aと一致しない場合、混線等が生じ、接点31は開状態であると判定し、スイッチ3はオフであると判定する。判定部21は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Aと一致した場合、接点31は閉状態であり、スイッチ3はオンであると判定する。
【0034】
図4はFPGA2による接点31の開閉状態の判定処理の手順を示すフローチャートである。
FPGA2は計時部25において、計時を開始する(S11)。
FPGA2は受信部23において、入力端子26からパケットを受信したか否かを判定する(S12)。
【0035】
FPGA2は、受信部23によりパケットを受信していないと判定した場合(S12:NO)、判定部21により時間aが経過したか否かを判定する(S13)。FPGA2は時間aが経過していないと判定した場合(S13:NO)、処理をS12へ戻す。
FPGA2は時間aが経過したと判定した場合(S13:YES)、接点31が開状態であると判定し、即ちスイッチ3はオフであり、スイッチ3が操作されたと判定する(S14)。
【0036】
FPGA2は、受信部23によりパケットを受信したと判定した場合(S12:YES)、パケットが正常であるか否かを判定する(S15)。FPGA2は受信部23によりCRC値を算出し、CRC値が一致した場合、パケットが正常であると判定する。FPGA2はパケットが正常でないと判定した場合(S15:NO)、処理をS14へ進める。
【0037】
FPGA2は受信部23によりパケットが正常であると判定した場合(S15:YES)、デコード処理を行う。
【0038】
FPGA2は、比較部22において、メモリ24から期待値Aを読み出し、デコード処理してパケットから取り出したデータの固有値を期待値Aと比較し、期待値Aと一致しているか否かを判定し(S17)、判定結果を判定部21へ出力する。なお、デコード処理はパケットからヘッダとフッタを除去することを言う。
【0039】
FPGA2は、判定部21において、固有値が期待値Aと一致していない場合(S17:NO)、接点31は開状態と判定し、即ちスイッチ3はオフであると判定する(S14)。
FPGA2は、判定部21において、固有値が期待値Aと一致している場合(S17:YES)、接点31は閉状態と判定し、即ちスイッチ3はオンであると判定する(S18)。
FPGA2は、判定部21により、判定結果を制御部6へ出力し(S19)、処理を終止する。
制御部6は、判定部21によりスイッチ3はオフであることを入力した場合、モータ等の駆動を停止する。
【0040】
図5は、送信周期、送信パケット、ノイズ、接点の開閉、判定の回数、受信間隔、受信パケット、開閉の判定を示すタイミングチャートである。ここで、説明の為に送信のパケットがない、異常データを送信する場合を示しているが、通常、送信部12は一定の周期で、固有値Aを含むパケットを送信する。状態判定システム5の送信部12と受信部23は同期せず、受信部23はパケットを受信した時に処理する割り込む動作を行うが、安全確保のためのシステムであり、時間aが経過しても受信していない場合、接点が開状態であると判定する。
【0041】
接点31が開状態であるとして初期化されている。
FPGA1は、送信周期1回目で、正常データを含むパケットを送信部12により送信する。このとき接点31は開いている。接点31が開いているので、時間aが経過した時点A(判定1回目)で、FPGA2は受信部23によりパケットを入力できない。判定部21は、A点まで直前の状態(接点開)を維持し、A点で改めて接点31は開状態であると判定し、計時をクリアする。
【0042】
FPGA1は、送信周期2回目で、パケットを送信しない。接点31は2回目の直前に閉状態になっている。パケットが送信されていないので、時間aが経過した時点B(判定2回目)で、FPGA2は受信部23によりパケットを入力できない。判定部21は、B点まで、直前の状態(接点開)を維持し、B点で改めて接点31は開状態であると判定し、計時をクリアする。
【0043】
FPGA1は、送信周期3回目で、正常データを含むパケットを送信部12により送信するが、このときノイズが入る。判定部21は、B点からC点(判定3回目)までの間は従前の状態を維持し、C点で破損パケットを受信部23により受信する。判定部21はC点で破損パケットを受信したので、改めて接点31は開状態であると判定し、計時をクリアする。
【0044】
FPGA1は、送信周期4回目で、固有値Aと異なる固有値を含む異常データを含むパケットを送信部12により送信する。判定部21は、C点からD点(判定4回目)までの間は従前の状態を維持し、D点で異常データを含むパケットを受信部23により受信する。判定部21はD点で異常データを含むパケットを受信したので、改めて接点31は開状態であると判定し、計時をクリアする。
【0045】
FPGA2は、送信周期5回目で、正常データを含むパケットを送信部12により送信する。判定部21は、D点からE点(判定5回目)までの間は従前の状態を維持し、FPGA2は、E点で正常データを含むパケットを受信部23により受信する。判定部21はE点で正常データを含むパケットを受信したので、接点31は閉状態であると判定し、出力を変更し、計時をクリアする。
【0046】
本実施形態によれば、通信の成立の有無、データの正否、固有値と期待値との比較という複数段階で接点31の開閉を判定するので、電源短絡や地絡の他に、近接する電線との混線による異常も検出でき、スイッチのオン/オフ状態を誤って判定することが防止される。
FPGA1が送信する信号とFPGA2が受信する受信信号とが同期している必要がなく、計時部等を共有する必要がなく、FPGA2はFPGA1から独立して接点31の開閉状態を判定できる。
パケットのデータの固有値で判定するので、オン期間を短くしてスイッチ回路における消費電力を抑制することができる。
【0047】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る状態判定システム5を備える工作機械100を略示するブロック図である。
状態判定システム5のスイッチ3は、接点31及び接点32を有し、接点31及び接点32はスイッチ3の操作に同期して開状態になる。
【0048】
状態判定システム5のFPGA1は、パケット生成部11、送信部12、メモリ13、計時部14、判定部16、判定部17、比較部18、比較部19、受信部20、出力端子15、入力端子41、入力端子42を備える。メモリ13には接点31に対応する識別符号である固有値A、接点31に対応し、固有値Aと同一である期待値A、接点32に対応し、後述する固有値Bと同一である期待値Bを記憶してある。パケット生成部11は、メモリ13から固有値Aを読み出してパケットを生成する。出力端子15は接点31の入力側に接続してあり、生成したパケットを出力する。入力端子41は接点31の出力側に接続してあり、接点31が閉状態である場合にパケットを入力する。入力端子42は接点32の出力側に絶縁回路45を介して接続してあり、接点32が閉状態である場合にパケットを入力する。
【0049】
受信部20は、一定の周期で動作するが、動作の周期は送信部12の送信の周期と同期していない。受信部20はパケットの受信を待機する。受信部20は接点31が閉である場合、入力端子41からパケットを受信する。受信部20は入力端子41から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行い、比較部18へ出力する。比較部18はデコード処理したデータが含む固有値をメモリ13から読み出した期待値Aと比較し、結果を判定部17へ出力する。判定部17は、入力端子41からパケットを時間a以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Aと一致しない場合、何れか一つでも成立すると接点31は開状態であると判定する。判定部17は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Aと一致した場合、接点31は閉状態であると判定する。
【0050】
受信部20は接点32が閉である場合、入力端子42からパケットを受信する。受信部20は入力端子42から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行い、比較部19へ出力する。比較部19はデコード処理したデータが含む固有値をメモリ13から読み出した期待値Bと比較し、結果を判定部17へ出力する。判定部17は、入力端子42からパケットを時間b以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Bと一致しない場合の何れか一つでも成立すると接点32は開状態であると判定する。判定部17は固有値が期待値Bと一致する場合、接点32は閉状態であると判定する。
【0051】
判定部17は、接点31、32の両方が閉状態である場合、スイッチ3はオン状態であると判定し、接点31、32の少なくとも一方が開状態である場合、スイッチ3はオフであると判定し、結果を判定部16へ出力する。判定部17は、結果を、絶縁回路47を介し接続された判定部29にも出力する。この時の通信は符号付のシリアル通信である。
【0052】
FPGA2は、パケット生成部27、送信部30、メモリ24、計時部25、判定部21、判定部29、比較部22、比較部28、受信部23、出力端子43、入力端子26、入力端子44を備える。メモリ24には接点32に対応する識別符号である固有値B、固有値Aと同一である期待値A、固有値Bと同一である期待値Bを記憶してある。パケット生成部27は、メモリ24から固有値Bを読み出してパケットを生成する。出力端子43は接点32の入力側に接続してあり、生成したパケットを出力する。入力端子26は絶縁回路46を介し接点31の出力側に接続してあり、接点31が閉状態である場合にパケットを入力する。入力端子44は接点32の出力側に接続してあり、接点32が閉状態である場合にパケットを入力する。
【0053】
受信部23は、所定のタイミングで動作するが、動作の周期は送信部30の送信の周期と同期していない。受信部23はパケットの受信を待機する。受信部23は接点31が閉である場合、入力端子26からパケットを受信する。受信部23は入力端子26から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行い、比較部22へ出力する。比較部22はデコード処理したデータが含む固有値をメモリ24から読み出した期待値Aと比較し、結果を判定部21へ出力する。判定部21は、入力端子26からパケットを時間a以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Aと一致しない場合、接点31は開状態であると判定する。判定部21は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Aと一致した場合、接点31は閉状態であると判定する。
【0054】
受信部23は接点32が閉である場合、入力端子44からパケットを受信する。受信部23は入力端子44から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行い、比較部28へ出力する。比較部28はデコード処理したデータが含む固有値をメモリ24から読み出した期待値Bと比較し、結果を判定部21へ出力する。判定部21は、入力端子44からパケットを時間b以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Bと一致しない場合、接点32は開状態であると判定する。判定部29は固有値が期待値Bと一致する場合、接点32は閉状態であると判定する。
【0055】
判定部21は、接点31、32の両方が閉状態である場合、スイッチ3はオン状態であると判定し、接点31、32の少なくとも一方が開状態である場合、スイッチ3はオフ状態であると判定し、結果を判定部29へ出力する。判定部21は、結果を、絶縁回路48を介し接続された判定部16にも出力する。
【0056】
判定部16は、判定部17、21が出力した結果が一致するか否かを判定する。判定部16は、判定部17、21の判定結果が一致していない場合、スイッチ3はオフであり、異常であると判定する。判定部16は判定部17、21の判定結果が一致している場合、即ちいずれもスイッチ3はオンであると判定した場合、スイッチ3はオンであり、正常であると判定し、いずれもスイッチ3はオフであると判定した場合、スイッチ3はオフであると判定する。判定部16は結果を制御部6へ出力する。
【0057】
判定部29は、判定部17、21が出力した判定結果が一致するか否かを判定する。判定部29は、判定部17、21の判定結果が一致していない場合、スイッチ3はオフであり、異常であると判定する。判定部29は判定部17、21の判定結果が一致している場合、即ちいずれもスイッチ3はオンであると判定した場合、スイッチ3はオンであり、正常であると判定し、いずれもスイッチ3はオフであると判定した場合、スイッチ3はオフであると判定する。判定部29は結果を制御部6へ出力する。
【0058】
制御部6は、判定部16及び判定部29よりスイッチ3はオフであることを入力した場合、即ちスイッチ3が操作され、非常停止を行う異常事態であるからモータ等の駆動を停止する。
【0059】
図7はFPGA1及びFPGA2によるスイッチ3のオン/オフの判定処理の手順を示すフローチャートである。
FPGA1はパケット生成部11において、メモリ13から固有値Aを読み出し、固有値A及びCRC符号を含むパケットを生成する(S21)。
FPGA1は、送信部12により、計時部14が計時した所定のタイミングで出力端子15からパケットを送信する(S22)。
【0060】
FPGA1は、入力端子41からパケットを入力した場合に、受信部20、比較部18、判定部17により、接点31の開閉状態を判定する(S23)。接点31の開閉状態の判定は、図4のフローチャートの処理と同様にして行う。
【0061】
FPGA1は、入力端子42からパケットを入力した場合に、受信部20、比較部19、判定部17により、接点32の開閉状態を判定する(S24)。接点32の開閉状態の判定は、図4のフローチャートの処理と同様にして行う。なお、S23、S24の順に判定を行う場合に限定されない。入力端子42からパケットを先に入力した場合、S24の接点32の開閉状態の判定を先に行う。
【0062】
FPGA1は、判定部17において、接点31、32の両方が閉状態である場合、スイッチ3はオン状態であると判定し、接点31及び32の少なくとも一方が開状態である場合、スイッチ3はオフ状態であると判定する(S25)。
【0063】
FPGA2はパケット生成部27において、メモリ24から固有値Bを読み出し、固有値B及びCRC符号を含むパケットを生成する(S31)。
FPGA2は、送信部30により、計時部25が計時した所定のタイミングで出力端子43からパケットを送信する(S32)。
【0064】
FPGA2は、入力端子26からパケットを入力した場合に、受信部23、比較部22、判定部21により、接点31の開閉状態を判定する(S33)。接点31の開閉状態の判定は、図4のフローチャートの処理と同様にして行う。
【0065】
FPGA2は、入力端子44からパケットを入力した場合に、受信部23、比較部28、判定部21により、接点32の開閉状態を判定する(S34)。接点32の開閉状態の判定は、図4のフローチャートの処理と同様にして行う。なお、S33、S34の順に判定を行う場合に限定されない。入力端子44からパケットを先に入力した場合、S34の接点32の開閉状態の判定を先に行う。
【0066】
FPGA2は、判定部21において、接点31、32の両方が閉状態である場合、スイッチ3はオン状態であると判定し、接点31、32の少なくとも一方が開状態である場合、スイッチ3はオフ状態であると判定する(S35)。
【0067】
FPGA1は、判定部17により、判定結果を判定部16、29へ出力する(S26)。
FPGA2はFPGA1の判定結果を入力する(S36)。
FPGA2は、判定部21により、判定結果を判定部29、16へ出力する(S37)。
FPGA1はFPGA2の判定結果を入力する(S27)。
S26、S27の順に処理を行う場合に限定されない。FPGA1、FPGA2によるスイッチ3のオン/オフ状態の判定処理の順に基づく。FPGA2によるスイッチ3の正否の判定処理が先に行われた場合、FPGA2による判定結果の入力(S27)がS26より先に行われる。
【0068】
FPGA1は、判定部16において、判定部17、21が出力した結果が一致するか否かを判定し、スイッチ3のオン/オフを判定する(S28)。判定部16は、判定部17、21の判定結果が一致していない場合、スイッチ3はオフと判定する。判定部16は判定部17、21の判定結果が一致している場合、即ちいずれもスイッチ3はオンであると判定した場合、スイッチ3はオンであると判定し、いずれもスイッチ3はオフであると判定した場合、スイッチ3はオフであると判定する。
FPGA1は、判定部16により判定結果を制御部6へ出力し(S29)、処理を終了する。
【0069】
FPGA2は、判定部29において、判定部17、21が出力した結果が一致するか否かを判定し、スイッチ3のオン/オフを判定する(S38)。判定部29は、判定部17、21の判定結果が一致していない場合、スイッチ3はオフと判定する。判定部29は判定部17、21の判定結果が一致している場合、即ちいずれもスイッチ3はオンであると判定した場合、スイッチ3はオンであると判定し、いずれもスイッチ3はオフであると判定した場合、スイッチ3はオフであると判定する。
FPGA2は、判定部29により結果を制御部6へ出力し(S39)、処理を終了する。
【0070】
図8は、FPGA1による接点31の開閉の判定、接点32の開閉の判定、判定部17によるスイッチ3のオン/オフの判定、判定部16によるスイッチ3のオン/オフの判定、FPGA2による接点31の開閉の判定、接点32の開閉の判定、判定部21によるスイッチ3のオン/オフの判定、判定部29によるスイッチ3のオン/オフの判定を示すタイミングチャートである。
【0071】
まず、FPGA1で、接点31、32の開閉の判定を行う。FPGA1は、受信したパケットが正常であり、固有値と期待値とが一致している場合、接点は閉状態であると判定する。A点で、接点31、32の両方が閉状態であると判定される。
B点で、接点31、32の両方が閉状態であるので、判定部17によりスイッチ3はオンであると判定される。
【0072】
FPGA2で、接点31、32の開閉の判定を行う。FPGA2は、受信したパケットが正常であり、固有値と期待値とが一致している場合、接点は閉状態であると判定する。D点で、接点31、32の両方が閉状態であると判定される。
E点で、接点31、32の両方が閉状態であるので、判定部21によりスイッチ3はオンであると判定される。
【0073】
判定部17によりスイッチ3はオンであると判定され、判定部21によりスイッチ3はオンであると判定されたので、C点で、判定部29は、スイッチ3はオンであると判定する。
【0074】
判定部17によりスイッチ3はオンであると判定され、判定部21によりスイッチ3はオンであると判定されたので、F点で、判定部16は、スイッチ3はオンであると判定する。判定部16、29は、判定部17、21の判定結果に基づいて、スイッチ3のオン/オフを判定するので、判定結果は同一になる。
【0075】
以上の説明では、FPGA1が先に接点31、32の開閉の判定を行っているが、FPGA2が先に接点31、32の開閉の判定を行ってもよい。
【0076】
本実施形態においては、スイッチ3が接点を二つ有し、安全システムが二重化されている場合に、二つの接点の開閉状態を良好に非同期で判定できる。上述のように接点を多重化した場合に、接点間の同期タイミングをずらす為パルス間隔が長くなり、未検出時間が長くなるという問題も生じない。従って、良好に接点の開閉状態を検出でき、スイッチ3のオン/オフを判定できる。
FPGA1及びFPGA2が互いに故障時の影響を与えないようにする為に相互に送受信する信号は絶縁回路47、48を介在させて行う。計時部も各別に使用する。このような構成で、FPGA1及びFPGA2の同期を取るのは困難であり、クロックレベルで同期を求めた場合、絶縁回路47、48のコストが高くなる。通信を非同期化することにより、この問題は生じない。
接点31、32の少なくとも一方が開状態である場合、スイッチ3はオフであると判定し、FPGA1及びFPGA2の判定結果が一致しない場合、オフであると判定するので、安全性が高まる。
【0077】
(実施形態3)
図9は実施形態3に係る状態判定システム5を備える工作機械100を略示するブロック図である。
状態判定システム5は、スイッチ3に加えて、接点71、72を有するスイッチ7を備える。図9中、図6と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。図9において、計時部、パケット生成部、メモリ、及び比較部は省略している。スイッチ3のオン/オフの判定の処理は実施形態2の処理と同様である。FPGA1、2は夫々通信部53、61を備え、通信部53、61により判定部17は判定部29へ判定結果を出力し、判定部21は判定部16へ判定結果を出力する。通信部53、61により後述する判定部52は判定部59へ判定結果を出力し、判定部60は判定部51へ判定結果を出力する
【0078】
状態判定システム5のFPGA1及びFPGA2は、夫々スイッチ3及びスイッチ7に対応して、2組のパケットの送受信及び判定のブロックを有する。FPGA1は、上述のスイッチ3用のブロックに加えて、スイッチ7用のブロックを有する。スイッチ7用のブロックは送信部49、判定部51、判定部52、受信部50、出力端子54、入力端子55、入力端子56を備える。メモリには接点71に対応する識別符号である固有値C、固有値Cと同一である期待値C、接点72に対応し、後述する固有値Dと同一である期待値Dを記憶してある。出力端子54は接点71の入力側に接続してあり、メモリから固有値Cを読み出して生成したパケットを送信部49が出力端子54から出力する。入力端子55は接点71の出力側に接続してあり、接点71が閉状態である場合にパケットを入力する。入力端子56は接点72の出力側に絶縁回路(不図示)を介して接続してあり、接点72が閉状態である場合にパケットを入力する。
【0079】
受信部50は、一定の周期で動作するが、動作の周期は送信部49の送信の周期と同期していない。受信部50は入力端子55から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行う。判定部52は、入力端子55からパケットを時間c以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Cと一致しない場合、接点71は開状態であると判定する。判定部52は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Cと一致した場合、接点71は閉状態であると判定する。
【0080】
受信部50は入力端子56から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行う。判定部52は、入力端子56からパケットを時間d以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Dと一致しない場合、接点72は開状態であると判定する。判定部52は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Dと一致した場合、接点72は閉状態であると判定する。
【0081】
判定部52は、接点71、72の両方が閉状態である場合、スイッチ7はオンであると判定し、接点71、72の少なくとも一方が開状態である場合、スイッチ7はオフであると判定し、結果を判定部51へ出力する。判定部52は、結果を、通信部53、絶縁回路(不図示)、通信部61を介し接続された後述する判定部59にも出力する。この時の通信は符号付のシリアル通信である。
【0082】
FPGA2は、上述のスイッチ3用のブロックに加えて、スイッチ7用のブロックを有する。スイッチ7用のブロックは送信部57、判定部59、判定部60、受信部58、出力端子62、入力端子63、入力端子64を備える。メモリには接点72に対応する識別符号である固有値D、期待値C、期待値Dを記憶してある。出力端子62は接点72の入力側に接続してあり、メモリから固有値Dを読み出して生成したパケットを送信部57が出力端子62から出力する。入力端子63は接点71の出力側に絶縁回路(不図示)を介して接続してあり、接点71が閉状態である場合にパケットを入力する。入力端子64は接点72の出力側に接続してあり、接点72が閉状態である場合にパケットを入力する。
【0083】
受信部58は、一定の周期で動作するが、動作の周期は送信部57の送信の周期と同期していない。受信部58は入力端子63から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行う。判定部60は、入力端子63からパケットを時間c以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Cと一致しない場合、接点71は開状態であると判定する。判定部60は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Cと一致した場合、接点71は閉状態であると判定する。
【0084】
受信部58は入力端子64から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行う。判定部60は、入力端子64からパケットを時間d以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Dと一致しない場合、接点72は開状態であると判定する。判定部60は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Dと一致した場合、接点72は閉状態であると判定する。
【0085】
判定部60は、接点71、72の両方が閉状態である場合、スイッチ7はオンであると判定し、接点71、72の少なくとも一方が開状態である場合、スイッチ7はオフであると判定し、結果を判定部59へ出力する。判定部60は、結果を、通信部61、絶縁回路(不図示)、通信部53を介し接続された判定部51にも出力する。この時の通信は符号付のシリアル通信である。
【0086】
判定部51は、判定部52、60が出力した結果が一致するか否かを判定する。判定部51は、判定部52、60の判定結果が一致していない場合、スイッチ7はオフであると判定する。判定部51は判定部52、60の判定結果が一致している場合、即ちいずれもスイッチ7はオンであると判定した場合、スイッチ7はオンであると判定し、いずれもスイッチ7はオフであると判定した場合、スイッチ7はオフであると判定する。判定部16は結果を制御部6へ出力する。
【0087】
判定部59は、判定部52、60が出力した結果が一致するか否かを判定する。判定部59は、判定部52、60の判定結果が一致していない場合、スイッチ7はオフであると判定する。判定部59は判定部52、60の判定結果が一致している場合、即ちいずれもスイッチ7はオンであると判定した場合、スイッチ7はオンであると判定し、いずれもスイッチ7はオフであると判定した場合、スイッチ7はオフであると判定する。判定部59は結果を制御部6へ出力する。
【0088】
制御部6は、判定部51、59よりスイッチ7はオフであることを入力した場合、即ちスイッチ7が操作され、非常停止を行う異常事態であるからモータ等の駆動を停止する。
【0089】
本実施形態によれば、複数のスイッチを有し、安全システムが多重化されている場合に、複数の接点の開閉状態を独立して良好に判定できる。上述のように接点を多重化した場合に、接点間の同期タイミングをずらす為パルス間隔が長くなり、未検出時間が長くなるという問題も生じない。従って、良好に各スイッチのオン/オフを判定できる。
【0090】
(実施形態4)
図10は実施形態4に係る状態判定システム5を備える工作機械100を略示するブロック図である。
状態判定システム5はFPGA8をさらに備え、スイッチ3は接点31、32に加えて接点33を有する。図10中、図6図9と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。図10において、計時部、パケット生成部、メモリ、比較部は省略している。接点31、32の開閉状態の判定の処理は実施形態2の処理と同様である。図中、通信部73と通信部53、61との接続は省略している。
【0091】
FPGA8は、送信部67、判定部69、判定部70、受信部68、通信部73、出力端子74、入力端子75、入力端子76、入力端子77を備える。メモリには、期待値A、期待値B、接点33に対応する識別符号である固有値E、固有値Eと同一である期待値Eを記憶してある。出力端子74は接点33の入力側に接続してあり、メモリから固有値Eを読み出して生成したパケットを送信部67が出力端子74から出力する。入力端子75は接点31の出力側に絶縁回路(不図示)を介して接続してあり、接点31が閉状態である場合にパケットを入力する。入力端子76は接点32の出力側に絶縁回路(不図示)を介して接続してあり、接点32が閉状態である場合にパケットを入力する。入力端子77は接点33の出力側に接続してあり、接点33が閉状態である場合にパケットを入力する。
【0092】
受信部68は、一定の周期で動作するが、動作の周期は送信部67の送信の周期と同期していない。受信部68は入力端子75から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行う。判定部70は、入力端子75からパケットを時間a以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Aと一致しない場合、接点31は開状態であると判定する。判定部70は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Aと一致した場合、接点31は閉状態であると判定する。
【0093】
受信部68は入力端子76から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行う。判定部70は、入力端子76からパケットを時間b以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Bと一致しない場合、接点32は開状態であると判定する。判定部70は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Bと一致した場合、接点32は閉状態であると判定する。
【0094】
受信部68は入力端子77から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行う。判定部70は、入力端子77からパケットを時間e以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Eと一致しない場合、接点33は開状態であると判定する。判定部70は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Eと一致した場合、接点33は閉状態であると判定する。
【0095】
判定部70は、接点31、32、33の全てが閉状態である場合、スイッチ3はオン状態であると判定し、接点31、32、33の少なくとも一つが開状態である場合、スイッチ3はオフであると判定し、結果を判定部69へ出力する。判定部70は、結果を通信部73、通信部53、通信部61を介し判定部16、29にも出力する。通信部間には絶縁回路(不図示)が介在する。この時の通信は符号付のシリアル通信である。
【0096】
FPGA1は、接点33の出力側に絶縁回路(不図示)を介して接続してあり、接点33が閉状態である場合にパケットを入力する入力端子65を備える。
受信部20は入力端子65から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行う。判定部17は、入力端子65からパケットを時間e以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Eと一致しない場合、接点33は開状態であると判定する。判定部17は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Eと一致した場合、接点33は閉状態であると判定する。
判定部17は、接点31、32、33の全てが閉状態である場合、スイッチ3はオン状態であると判定し、接点31、32、33の少なくとも一つが開状態である場合、スイッチ3はオフであると判定し、結果を判定部16、29、69へ出力する。
【0097】
FPGA2は、接点33の出力側に絶縁回路(不図示)を介して接続してあり、接点33が閉状態である場合にパケットを入力する入力端子66を備える。
受信部23は入力端子66から受信したパケットが正常である場合、デコード処理を行う。判定部21は、入力端子66からパケットを時間e以上受信していない場合、パケットが破損している場合、パケットが正常でも固有値が期待値Eと一致しない場合、接点33は開状態であると判定する。判定部21は、パケットを正常に受信し、かつパケットの固有値が期待値Eと一致した場合、接点33は閉状態であると判定する。
判定部21は、接点31、32、33の全てが閉状態である場合、スイッチ3はオン状態であると判定し、接点31、32、33の少なくとも一つが開状態である場合、スイッチ3はオフであると判定し、結果を判定部29、16、69へ出力する。
【0098】
判定部16は、判定部17、21、70が出力した結果が一致するか否かを判定する。判定部16は、判定部17、21、70の判定結果が一致していない場合、スイッチ3はオフであると判定する。判定部16は判定部17、21、70の結果が一致している場合、即ちいずれもスイッチ3はオンであると判定した場合、スイッチ3はオンであると判定し、いずれもスイッチ3はオフであると判定した場合、スイッチ3はオフであると判定する。判定部16は結果を制御部6へ出力する。
判定部29、69も上記と同様にして判定し、結果を制御部6へ出力する。
【0099】
図11はFPGA1によるスイッチ3のオン/オフの判定処理の手順を示すフローチャートである。
FPGA1はパケット生成部11において、メモリから固有値Aを読み出し、固有値A及びCRC符号を含むパケットを生成する(S41)。
FPGA1は、送信部12により、計時部が計時した所定のタイミングで出力端子15からパケットを送信する(S42)。
【0100】
FPGA1は、入力端子41からパケットを入力した場合に、受信部20、及び判定部17により、接点31の開閉状態を判定する(S43)。接点31の開閉状態の判定は、図4のフローチャートの処理と同様にして行う。
【0101】
FPGA1は、入力端子42からパケットを入力した場合に、受信部20、及び判定部17により、接点32の開閉状態を判定する(S44)。
【0102】
FPGA1は、入力端子65からパケットを入力した場合に、受信部20、及び判定部17により、接点33の開閉状態を判定する(S45)。なお、接点31、32、33の開閉の判定の順は上記の場合に限定されない。
【0103】
FPGA1は、判定部17において、接点31、32、33の全てが閉状態である場合、スイッチ3はオン状態であると判定し、接点31、32、33の少なくとも一つが開状態である場合、スイッチ3はオフ状態であると判定する(S46)。
【0104】
FPGA1は、通信部53により、判定結果を判定部16、29、69へ出力する(S47)。
FPGA1は通信部53、61、73により判定結果を判定部29、69から入力する(S48)。
FPGA1は、判定部16により、判定部17、21、70が出力した結果に基づいて、スイッチ3のオン/オフを判定する(S49)。
FPGA1は判定結果を制御部6へ出力し(S50)、処理を終了する。
FPGA2、8もFPGA1と同様にして、スイッチ3のオン/オフを判定する。
【0105】
本実施形態によれば、接点を三以上有し、安全システムが多重化されている場合に、複数の接点の開閉状態を独立して良好に判定でき、スイッチ3のオン/オフを良好に判定できる。
【符号の説明】
【0106】
1、2、8 FPGA
3、7 スイッチ
31、32、33、71,72 接点
5 状態判定システム
6 制御部
11 パケット生成部
12、30、49、57、67 送信部
20、23、50、58、68 受信部
14、25 計時部
16、17、21、29、51、52、59、60、69、70 判定部
15、43、54、62、74 出力端子
26、42、44、56、63、64、65、66、75、76、77 入力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11