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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027140
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】遠隔診療接続システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/67 20180101AFI20220203BHJP
【FI】
G16H40/67
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130954
(22)【出願日】2020-07-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】515118999
【氏名又は名称】メドケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明石 英之
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる遠隔診療接続システムを提供する。
【解決手段】希望者情報部と、医師情報部と、コンピュータとを含んで構成される。コンピュータは、診療希望情報受付部と、記憶部と、送信先決定部と、開始情報送信部と、問診の結果に基づいて診療希望者それぞれの遠隔診療の第1優先度を決定する第1優先度決定部と、診療希望者のそれぞれが遠隔診療を開始できる状態にあるか否かの指標である開始可否指標情報を受信する開始可否指標受信部と、開始可否指標情報に基づいて診療希望者それぞれの遠隔診療の第2優先度を決定する第2優先度決定部と、第1優先度と第2優先度とに基づいて希望者情報部の接続順番を決定する接続順番決定部と、接続部とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔診療の受診を希望する複数の診療希望者それぞれが用いる希望者情報部と、該遠隔診療を行う医師が用いる医師情報部と、該遠隔診療を行うために該希望者情報部と該医師情報部とを接続させるコンピュータとを含んで構成されるコンピュータシステムであって、
前記コンピュータは、
前記診療希望者に対する問診の結果を含む、前記希望者情報部からの診療希望情報を受け付ける診療希望情報受付部と、
前記診療希望情報を記憶する記憶部と、
前記診療希望情報に基づいて、遠隔診療を開始することを示す診療開始情報の送信対象である複数の希望者情報部を決定する送信先決定部と、
前記送信先決定部により前記送信対象として決定された前記希望者情報部に前記診療開始情報を送信する開始情報送信部と、
前記診療希望情報に含まれる前記問診の結果に基づいて、前記診療希望者それぞれの前記遠隔診療の優先度を示す第1優先度を決定する第1優先度決定部と、
前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、前記診療希望者のそれぞれが遠隔診療を開始できる状態にあるか否かの指標である開始可否指標情報を受信する開始可否指標受信部と、
前記開始可否指標情報に基づいて、前記診療希望者それぞれの前記遠隔診療の優先度を示す第2優先度を決定する第2優先度決定部と、
前記第1優先度と前記第2優先度とに基づいて、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部の接続順番を決定する接続順番決定部と、
前記決定された接続順番に応じて、前記遠隔診療を行わせるために前記希望者情報部と前記医師情報部とを接続する接続部と、
を備えることを特徴とする遠隔診断接続システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔診断接続システムにおいて、
前記診療希望情報は、前記遠隔診療の開始時間又は終了時間に関する要望を示す診療時間要望情報を含み、
前記第1優先度決定部は、前記診療希望情報に含まれる前記診療時間要望情報に基づいて、前記診療希望者それぞれの前記第1優先度を決定するように構成されている
ことを特徴とする遠隔診断接続システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遠隔診断接続システムにおいて、
前記開始可否指標受信部は、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、該希望者情報部の周辺の音声の状態に関する情報を受信するように構成されており、
前記第2優先度決定部は、前記開始可否指標受信部により受信された前記音声の状態に関する情報に基づいて、前記診療希望者それぞれの第2優先度を決定するように構成されている
ことを特徴とする遠隔診断接続システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の遠隔診断接続システムにおいて、
前記開始可否指標受信部は、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、該希望者情報部の周辺の音声及び映像の一方又は両方を受信するように構成されており、
前記開始可否指標受信部により受信された前記音声及び前記映像の一方又は両方から、前記希望者情報部の周辺の人の存在を検知する人検知部を備え、
前記第2優先度決定部は、前記人検知部の検知結果に基づいて、前記診療希望者それぞれの第2優先度を決定するように構成されている
ことを特徴とする遠隔診断接続システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の遠隔診断接続システムにおいて、
前記開始可否指標受信部は、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、該希望者情報部の周辺の音声及び映像の一方又は両方を受信するように構成されており、
前記開始可否指標受信部により受信された前記音声及び前記映像の一方又は両方から、前記診療希望者が前記遠隔診療に集中できる状態にあるか否かを判定する集中判定部を備え、
前記第2優先度決定部は、前記集中判定部の判定結果に基づいて、前記診療希望者それぞれの第2優先度を決定するように構成されている
ことを特徴とする遠隔診断接続システム。
【請求項6】
請求項5に記載の遠隔診断接続システムにおいて、
前記集中判定部は、前記開始可否指標受信部により受信された前記映像から、前記希望者情報部に前記診療希望者の目線が向けられている度合を認識して、該目線が向けられている度合に基づいて該診療希望者が前記遠隔診療に集中できる状態にあるか否かを判定するように構成されている
ことを特徴とする遠隔診断接続システム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の遠隔診断接続システムにおいて、
前記開始可否指標受信部は、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、前記希望者情報部の位置情報を複数回受信するように構成されており、
前記第2優先度決定部は、前記開始可否指標受信部により受信された前記位置情報の変化の度合及び前記集中判定部の判定結果に基づいて、前記診療希望者の前記第2優先度を決定するように構成されている
ことを特徴とする遠隔診断接続システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の遠隔診断接続システムにおいて、
前記開始可否指標受信部は、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、該希望者情報部の通信状態の良好さを示す情報を前記開始可否指標情報として受信するように構成されており、
前記第2優先度決定部は、前記開始可否指標受信部により受信された前記通信状態の良好さを示す情報に基づいて、前記診療希望者それぞれの第2優先度を決定するように構成されている
ことを特徴とする遠隔診断接続システム。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の遠隔診断接続システムにおいて、
前記第1優先度決定部は、前記診療希望情報に基づいて前記診療希望者それぞれが緊急性の高い所定の状態にあるか否かを判定するように構成されており、
前記接続順番決定部は、前記第1優先度決定部により前記緊急性の高い所定の状態にあると判定された前記診療希望者の前記希望者情報部の前記接続順番を、該第1優先度決定部により該緊急性の高い所定の状態にあると判定されていない前記診療希望者の前記希望者情報部の前記接続順番よりも前になるように決定する
ことを特徴とする遠隔診断接続システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔診療の診療希望者と医師とを接続するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔診療の診療希望者と医師とを接続するシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-028827号報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、患者側の端末から診療希望時間帯を含む情報を受信し、医師側の端末と患者側の端末との間の通信を確立させて、これらの端末の間での遠隔診療を行わせることができる。
【0005】
しかしながら、患者側の端末と医師側の端末とを接続したものの、様々な事情により患者側が遠隔診療を開始できる状態になければ、遠隔診療を円滑に開始できないことが考えられる。そのような状況が発生する可能性を低減して、円滑に遠隔診療を開始することができるシステムが求められている。
【0006】
そこで本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる遠隔診療接続システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の遠隔診療接続システムは、
遠隔診療の受診を希望する複数の診療希望者それぞれが用いる希望者情報部と、該遠隔診療を行う医師が用いる医師情報部と、該遠隔診療を行うために該希望者情報部と該医師情報部とを接続させるコンピュータとを含んで構成されるコンピュータシステムであって、
前記コンピュータは、
前記診療希望者に対する問診の結果を含む、前記希望者情報部からの診療希望情報を受け付ける診療希望情報受付部と、
前記診療希望情報を記憶する記憶部と、
前記診療希望情報に基づいて、遠隔診療を開始することを示す診療開始情報の送信対象である複数の希望者情報部を決定する送信先決定部と、
前記送信先決定部により前記送信対象として決定された前記希望者情報部に前記診療開始情報を送信する開始情報送信部と、
前記診療希望情報に含まれる前記問診の結果に基づいて、前記診療希望者それぞれの前記遠隔診療の優先度を示す第1優先度を決定する第1優先度決定部と、
前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、前記診療希望者のそれぞれが遠隔診療を開始できる状態にあるか否かの指標である開始可否指標情報を受信する開始可否指標受信部と、
前記開始可否指標情報に基づいて、前記診療希望者それぞれの前記遠隔診療の優先度を示す第2優先度を決定する第2優先度決定部と、
前記第1優先度と前記第2優先度とに基づいて、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部の接続順番を決定する接続順番決定部と、
前記決定された接続順番に応じて、前記遠隔診療を行わせるために前記希望者情報部と前記医師情報部とを接続する接続部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の遠隔診療接続システムによれば、接続部が、遠隔診療の診療希望情報を受け付ける際の問診結果に基づく第1優先度だけでなく、診療希望者のそれぞれが遠隔診療を開始できる状態にあるか否かの指標である開始可否指標情報に基づく第2優先度度も考慮して決定された接続順番に応じて希望者情報部と医師情報部とを接続する。
【0009】
そのため、希望者情報部と医師情報部とを接続したものの、診療希望者が遠隔診療を開始できる状態になく、遠隔診療を円滑に開始できないなどの状況が発生する可能性を低減でき、遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続させて、遠隔診療を開始することができる。
【0010】
このように本発明の遠隔診療接続システムによれば、遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる。
【0011】
本発明の遠隔診療接続システムにおいて、
前記診療希望情報は、前記遠隔診療の開始時間又は終了時間に関する要望を示す診療時間要望情報を含み、
前記第1優先度決定部は、前記診療希望情報に含まれる前記診療時間要望情報に基づいて、前記診療希望者それぞれの前記第1優先度を決定するように構成されている
ことが好ましい。
【0012】
診療希望者が、例えばある時間までに診療を終了してほしいという要望をもっているなどの時間的制約がある場合には、診療希望者の診療の優先度を高めて診察の順番を早めることが求められる。あるいは遅い時間での診療を希望する場合には、優先度を下げて診療の順番を遅くすることも求められる。
【0013】
本発明によれば、診療希望情報に含まれる診療時間要望情報に基づいて、診療希望者の第1優先度を決定するので、例えば早い時間の診療を希望する診療希望者の優先度を高め、時間的制約のない診療希望者の優先度を低くするなどの、診療希望者の要望に応じた調整が可能である。
【0014】
このように本発明の遠隔診療接続システムによれば、診療希望者の時間的な要望に応じて、遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる。
【0015】
本発明の遠隔診療接続システムにおいて、
前記開始可否指標受信部は、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、該希望者情報部の周辺の音声の状態に関する情報を受信するように構成されており、
前記第2優先度決定部は、前記開始可否指標受信部により受信された前記音声の状態に関する情報に基づいて、前記診療希望者それぞれの第2優先度を決定するように構成されている
ことが好ましい。
【0016】
希望者情報部が遠隔診断接続システムのコンピュータに接続可能であっても、例えば希望者情報部の周辺が騒がしいなど、音声の状態が悪ければ、遠隔診療を行うのに適した状態ではなく、遠隔診療を効率的に行えないおそれがある。
【0017】
そのため、希望者情報部の周辺が騒がしいなど、音声の状態が悪い場合には、診療希望者の診療の優先度を下げて診察の順番を後回しにすることが求められる。
【0018】
本発明によれば、開始可否指標受信部により受信された音声の状態に基づいて、第2優先度決定部が診療希望者の第2優先度度を決定する。
【0019】
これにより、希望者情報部と医師情報部とを接続したものの、音声の状態が悪いために遠隔診療を円滑に行えないなどの状況が発生する可能性を低減できる。
【0020】
このように本発明の遠隔診療接続システムによれば、希望者情報部の周辺の音声の状態の良し悪しに応じて、遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる。
【0021】
本発明の遠隔診療接続システムにおいて、
前記開始可否指標受信部は、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、該希望者情報部の周辺の音声及び映像の一方又は両方を受信するように構成されており、
前記開始可否指標受信部により受信された前記音声及び前記映像の一方又は両方から、前記希望者情報部の周辺の人の存在を検知する人検知部を備え、
前記第2優先度決定部は、前記人検知部の検知結果に基づいて、前記診療希望者それぞれの第2優先度を決定するように構成されている
ことが好ましい。
【0022】
希望者情報部が遠隔診断接続システムのコンピュータに接続可能であっても、例えば診療希望者がいない場合又は診療希望者以外の人が遠隔診療の様子を見聞きできるような状態にある場合などは、遠隔診療を行うのに適した状態ではない。
【0023】
本発明によれば、開始可否指標受信部が希望者情報部の周辺の音声及び映像の一方又は両方を受信する。そして、人検知部が音声及び映像の一方又は両方から、希望者情報部の周辺の人の存在を検知して、第2優先度決定部が人検知部の検知結果に基づいて、診療希望者第2優先度を決定する。
【0024】
これにより、希望者情報部と医師情報部とを接続したものの、診療希望者がいない又は診療希望者以外の人が遠隔診療の様子を見聞きできるような状態にあるために遠隔診療を行えないなどの状況が発生する可能性を低減できる。
【0025】
このように本発明の遠隔診療接続システムによれば、希望者情報部の周辺の人の存在に応じて、遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる。
【0026】
本発明の遠隔診療接続システムにおいて、
前記開始可否指標受信部は、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、該希望者情報部の周辺の音声及び映像の一方又は両方を受信するように構成されており、
前記開始可否指標受信部により受信された前記音声及び前記映像の一方又は両方から、前記診療希望者が前記遠隔診療に集中できる状態にあるか否かを判定する集中判定部を備え、
前記第2優先度決定部は、前記集中判定部の判定結果に基づいて、前記診療希望者それぞれの第2優先度を決定するように構成されている
ことが好ましい。
【0027】
希望者情報部が遠隔診断接続システムのコンピュータに接続可能であっても、例えば診療希望者が何か別の作業をしており遠隔診療に集中できない状況にある場合には、遠隔診療を行うのに適した状態ではなく、遠隔診療を効率的に行えないおそれがある。
【0028】
本発明によれば、開始可否指標受信部が希望者情報部の周辺の音声及び映像の一方又は両方を受信する。そして、集中判定部が音声及び映像の一方又は両方から診療希望者が遠隔診療に集中できる状態にあるか否かを判定して、第2優先度決定部が集中判定部の判定結果に基づいて、診療希望者の第2優先度を決定する。
【0029】
これにより、希望者情報部と医師情報部とを接続したものの、診療希望者が遠隔診療に集中できないので、遠隔診療を円滑に行えないなどの状況が発生する可能性を低減できる。
【0030】
このように本発明の遠隔診療接続システムによれば、診療希望者が遠隔診療に集中できるか否かに応じて、遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる。
【0031】
本発明の遠隔診療接続システムにおいて、
前記集中判定部は、前記開始可否指標受信部により受信された前記映像から、前記希望者情報部に前記診療希望者の目線が向けられている度合を認識して、該目線が向けられている度合に基づいて該診療希望者が前記遠隔診療に集中できる状態にあるか否かを判定するように構成されている
ことが好ましい。
【0032】
本発明の遠隔診療接続システムによれば、集中判定部が、開始可否指標受信部により受信された診療希望者の視線に関する情報に基づいて診療希望者の目線が希望者情報部に向けられている度合を認識して、その度合い基づいて該診療希望者が前記遠隔診療に集中できる状態にあるか否かを判定する。
【0033】
そのため、希望者情報部と医師情報部とを接続したものの、診療希望者が希望者情報部に集中して目を向けることができないので、遠隔診療を円滑に行えないなどの状況が発生する可能性を低減できる。
【0034】
このように本発明の遠隔診療接続システムによれば、診療希望者が遠隔診療に集中できるか否かに応じて、遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる。
【0035】
本発明の遠隔診療接続システムにおいて、
前記開始可否指標受信部は、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、前記希望者情報部の位置情報を複数回受信するように構成されており、
前記第2優先度決定部は、前記開始可否指標受信部により受信された前記位置情報の変化の度合及び前記集中判定部の判定結果に基づいて、前記診療希望者の前記第2優先度を決定するように構成されている
ことが好ましい。
【0036】
希望者情報部が遠隔診断接続システムのコンピュータに接続可能であっても、例えば診療希望者が歩行中、あるいは車の運転中であるなど、遠隔診療を行うのに適した状態ではない場合には、遠隔診療を効率的に行えないおそれがある。
【0037】
そのため、診療希望者が移動中の場合には、診療希望者の診療の第2優先度を高めて診察の順番を後回しにすることが求められる。ただし診療希望者が移動中であっても、遠隔診療に集中できる状況であると認められるならば、診察の順番を後回しにする必要はない。
【0038】
本発明によれば、開始可否指標受信部により受信された位置情報の変化の度合及び集中判定部の判定結果に基づいて、診療希望者の第2優先度を決定する。
【0039】
そのため、希望者情報部と医師情報部とを接続したものの、診療希望者が歩行中、あるいは車の運転中で、遠隔診療に集中できない移動状態にあるために遠隔診療を円滑に行えないなどの状況が発生する可能性を低減できる。
【0040】
このように本発明の遠隔診療接続システムによれば、診療希望者の移動状態と、診療希望者が遠隔診療に集中できるか否かと、に応じて遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる。
【0041】
本発明の遠隔診療接続システムにおいて、
前記開始可否指標受信部は、前記診療開始情報を受信した前記希望者情報部から、該希望者情報部の通信状態の良好さを示す情報を前記開始可否指標情報として受信するように構成されており、
前記第2優先度決定部は、前記開始可否指標受信部により受信された前記通信状態の良好さを示す情報に基づいて、前記診療希望者それぞれの第2優先度を決定するように構成されている
ことが好ましい。
【0042】
希望者情報部が遠隔診断接続システムのコンピュータに接続可能であっても、例えば通信が途切れ途切れになるなど、遠隔診療を行うのに適した通信状態ではない場合には、遠隔診療を効率的に行えないおそれがある。
【0043】
そのため、希望者情報部の通信状態の良好でない場合には、診療希望者の診療の優先度を下げて診察の順番を後回しにすることが求められる。
【0044】
本発明によれば、開始可否指標受信部により受信された通信状態の良好さを示す情報に基づいて、診療希望者の第2優先度を決定する。
【0045】
そのため、希望者情報部と医師情報部とを接続したものの、希望者情報部の通信状態がよくないために遠隔診療を円滑に行えないなどの状況が発生する可能性を低減できる。
【0046】
このように本発明の遠隔診療接続システムによれば、通信状態の良好さに応じて、遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる。
【0047】
本発明の遠隔診療接続システムにおいて、
前記第1優先度決定部は、前記診療希望情報に基づいて前記診療希望者それぞれが緊急性の高い所定の状態にあるか否かを判定するように構成されており、
前記接続順番決定部は、前記第1優先度決定部により前記緊急性の高い所定の状態にあると判定された前記診療希望者の前記希望者情報部の前記接続順番を、該第1優先度決定部により該緊急性の高い所定の状態にあると判定されていない前記診療希望者の前記希望者情報部の前記接続順番よりも前になるように決定する
ことが好ましい。
【0048】
診療の緊急度が高い診療希望者については、診療の緊急度がそれほど高くない診療希望者よりも診察の順番を早めることが求められる。
【0049】
本発明によれば、第1優先度決定部が診療希望情報に基づいて診療希望者それぞれが緊急性の高い所定の状態にあるか否かを判定し、当該判定結果に基づいて接続順番決定部が、緊急性の高い所定の状態にあると判定された診療希望者の接続順番を、所定の状態にあると判定されていない診療希望者よりも前になるように決定する。
【0050】
これにより、診療の緊急度が高い診療希望者については、診療の緊急度がそれほど高くない診療希望者よりも診察の順番を早めることができる。
【0051】
このように本発明の遠隔診療接続システムによれば、緊急性の高さに応じて、遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の遠隔診療接続システムの全体像を示すブロック図。
図2】本発明の遠隔診療接続システムが処理に用いるデータの内容を示す図。
図3】本発明の遠隔診療接続システムの処理内容を示すフローチャート。
図4】本発明の遠隔診療接続システムの処理内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0053】
<遠隔診療接続システムの構成>
まず図1を用いて、本実施形態の遠隔診療接続システムの構成について説明する。なお同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0054】
本実施形態の遠隔診療接続システムは、例えば希望者情報部10と、医師情報部30と、コンピュータ50と、を含んで構成される、遠隔診療の診療希望者Pと医師Dとを接続するコンピュータシステムである。
【0055】
希望者情報部10は、遠隔診療の受診を希望する複数の診療希望者Pそれぞれが用いる、例えば入力機構としてのタッチパネル、マイク等と、出力機構としてのディスプレイ、スピーカ等を有するスマートフォンであるが、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、固定電話等であってもよい。
【0056】
医師情報部30は、遠隔診療を行う医師が用いる、例えば例えば入力機構としてのキーボード等と、出力機構としてのディスプレイ、スピーカ等を有するパーソナルコンピュータであるが、タブレット端末、スマートフォン、固定電話等でもよい。
【0057】
コンピュータ50は、コンピュータ記憶部510と、コンピュータ制御部530と、を含んで構成される、例えば1台又は複数のサーバである。
【0058】
希望者情報部10と、医師情報部30と、コンピュータ50とは、情報通信ネットワーク90を介して相互に通信可能に接続されている。
【0059】
コンピュータ記憶部510は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成されている。コンピュータ記憶部510は、例えば診療希望情報DB511の他、本発明の遠隔診療接続システムが処理を行うために必要な情報を記憶し、本実施形態における記憶部として機能する。
【0060】
診療希望情報DB511は、診療希望者Pに対する問診の結果を含む診療希望情報を格納するデータベース(DB)である。診療希望情報としては、図2に示す通り、希望者情報部10を特定する情報としての希望者情報部ID、問診の結果の情報としての診療時間要望情報、病状情報、診療目的情報、希望日時情報等の情報が含まれている。
【0061】
コンピュータ制御部530は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、メモリ、及びI/O(Input/Output)デバイスなどにより構成されている。コンピュータ制御部530は、所定のプログラムを読み込んで実行することにより例えば診療希望情報受付部531と、送信先決定部533と、開始情報送信部535と、第1優先度決定部537と、開始可否指標受信部539と、第2優先度決定部541と、接続順番決定部543と、接続部545と、あるいはさらに人検知部547と、集中判定部549と、として機能する。
【0062】
診療希望情報受付部531は、診療希望者Pに対する問診の結果を含む、希望者情報部10からの診療希望情報を受け付ける。
【0063】
送信先決定部533は、診療希望情報に基づいて、遠隔診療を開始することを示す診療開始情報の送信対象である複数の希望者情報部10を決定する。
【0064】
開始情報送信部535は、送信先決定部533により送信対象として決定された希望者情報部10に診療開始情報を送信する。
【0065】
第1優先度決定部537は、診療希望情報に含まれる問診の結果に基づいて、診療希望者Pそれぞれの遠隔診療の優先度を示す第1優先度を決定する。
【0066】
開始可否指標受信部539は、診療開始情報を受信した希望者情報部10から、診療希望者Pのそれぞれが遠隔診療を開始できる状態にあるか否かの指標である開始可否指標情報を受信する。
【0067】
開始可否指標受信部539は、開始可否指標情報として、例えば希望者情報部10の、周辺の音声の状態に関する情報、周辺の音声及び映像の一方又は両方、位置情報、通信状態の良好さを示す情報を受信するように構成されている。
【0068】
第2優先度決定部541は、開始可否指標情報に基づいて、診療希望者Pそれぞれの遠隔診療の優先度を示す第2優先度を決定する。
【0069】
接続順番決定部543は、第1優先度と第2優先度とに基づいて、診療開始情報を受信した希望者情報部10の接続順番を決定する。
【0070】
接続部545は、接続順番決定部543により決定された接続順番に応じて、遠隔診療を行わせるために希望者情報部10と医師情報部30とを接続する。
【0071】
人検知部547は、診療開始情報を受信した希望者情報部10から、該希望者情報部10の周辺の音声及び映像の一方又は両方を受信するように構成されている開始可否指標受信部539により受信された音声及び映像の一方又は両方から、希望者情報部10の周辺の人の存在を検知する。
【0072】
集中判定部549は、開始可否指標受信部539により受信された音声及び映像の一方又は両方から、診療希望者Pが前記遠隔診療に集中できる状態にあるか否かを判定する。
【0073】
なお集中判定部549は、開始可否指標受信部539により受信された映像から、希望者情報部10に診療希望者Pの目線が向けられている度合を認識して、該目線が向けられている度合に基づいて該診療希望者Pが遠隔診療に集中できる状態にあるか否かを判定するように構成されていてもよい。
【0074】
<処理の概要>
次に、本実施形態の遠隔診療接続システムの処理内容について説明する。まず図3を参照して、遠隔診療接続システムによる一連の処理について説明する。
【0075】
処理を開始すると、コンピュータ50の診療希望情報受付部531は、診療希望者Pに対する問診の結果を含む、希望者情報部10からの診療希望情報を受け付ける(図3/S10)。
【0076】
より具体的には、例えば診療希望者Pが自身の希望者情報部10にて遠隔診療接続システムを起動すると、問診内容を選択または入力する画面が表示されて、診療希望者Pは、当該画面において問診への回答を含む、種々の情報の入力または選択を行って、コンピュータ50に送信する操作を行う。
【0077】
診療希望情報には、問診への回答として例えば、遠隔診療の開始時間又は終了時間に関する要望示す診療時間要望情報、歩行の可否、負傷の状況、呼吸の状況、意識の状態などの病状を知らせる情報(病状情報)、医薬品の副作用、飲み合わせに関する問い合わせなどの遠隔診療の目的を知らせる情報(診療目的情報)、診療を希望する時間帯に関する情報(希望日時情報)などが含まれる。
【0078】
病状を知らせる情報及び遠隔診療の目的を知らせる情報は、例えば後述する、緊急性の高い所定の状態にある診療希望者の順番を早める処理を行う際の情報として用いられる。
【0079】
なお、診療希望者Pが用いる希望者情報部10が固定電話である場合には、当該固定電話から発せられた音声情報に含まれる問診内容等の情報が、病院等の担当者のパーソナルコンピュータを用いた操作等により遠隔診断接続システムに入力されて、該入力された情報が診療希望情報として、診療希望情報受付部531により受け付けられる。
【0080】
そして、コンピュータ50の診療希望情報受付部531は、希望者情報部10から送信された診療希望情報を受信することにより受け付けて、当該受け付けた診療希望情報をコンピュータ記憶部510の診療希望情報DB511に記憶する(図3/S30)。
【0081】
その後、コンピュータ50の送信先決定部533は、診療希望情報に基づいて、遠隔診療を開始することを示す診療開始情報の送信対象である複数の希望者情報部10を決定する(図3/S50)。
【0082】
すなわち例えば送信先決定部533は、一定の周期にて又は任意のタイミングで、診療希望情報DB511を参照して、診療希望情報を取得する。なおこのとき送信先決定部533は、例えば当日の午前中(あるいは今から1時間後までなど)などの所定の期間の接続順番を決定する場合には、当該所定の期間からはずれる期間が診療希望時間帯として指定されている診療希望情報は診療希望情報DB511から取得しない。
【0083】
そして、送信先決定部533は、例えば当該取得された診療希望情報に含まれる希望者情報部IDに対応するすべての希望者情報部10を、診療開始情報の送信対象として決定する。あるいは送信先決定部533は、例えば所定の単位時間当たりの接続可能数などの値に基づいて、所定のアルゴリズムにより一部の希望者情報部10のみを診療開始情報の送信対象として決定してもよい。
【0084】
続いて開始情報送信部535は、送信先決定部533により送信対象として決定された希望者情報部10に診療開始情報を送信する(図3/S70)。
【0085】
開始情報送信部535による診療開始情報の送信は、例えば電子メール、ショートメール、電話による発呼、あるいは希望者情報部10側の遠隔診断接続システムの通知機能を起動させるなどの種々の方法により行われてよい。
【0086】
それと並行してコンピュータ50の第1優先度決定部537は、診療希望情報に含まれる問診の結果に基づいて、診療希望者Pそれぞれの遠隔診療の優先度を示す第1優先度を決定する(図3/S90)。
【0087】
第1優先度決定部537が第1優先度を決定する手法としては種々の手法が用いられてよいが、例えば第1優先度決定部537は、第1優先度の初期値を「1」として、診療希望情報に早い時間での診療を希望することを示す情報が含まれていれば「0.1」を足し、遅い時間での診療を希望することを示す情報が含まれていれば「0.2」を引き、負傷の状態が悪ければ「0.3」を足すなどの、各項目にあらかじめ定められた値を足し引きして、その総合計の値を当該診療希望者Pの当該診療希望情報における第1優先度として決定する。
【0088】
このとき第1優先度決定部537は、例えば診療希望者Pがチェックボックス等により選択した選択肢に対応付けられた値を足し引きしてもよいし、診療希望者Pが文字入力した情報を分析して当該分析結果に応じて決定した値を足し引きするように構成されていてもよい。
【0089】
そして、コンピュータ50の開始可否指標受信部539は、診療開始情報を受信した希望者情報部10から、診療希望者Pのそれぞれが遠隔診療を開始できる状態にあるか否かの指標である開始可否指標情報を受信する(図3/S110)。
【0090】
より具体的には例えば、まず診療開始情報を受信した希望者情報部10は、診療開始情報を受信したことを、当該希望者情報部10を使用する診療希望者Pに音声、振動などを用いて報知する。
【0091】
当該報知を受けた診療希望者Pは、例えば希望者情報部10の遠隔診断接続システムを起動する。そして当該遠隔診断接続システムを起動した希望者情報部10は、開始可否指標情報として、例えば希望者情報部10の、周辺の音声の状態に関する情報、周辺の音声及び映像の一方又は両方、位置情報、通信状態の良好さを示す情報を取得して、コンピュータ50に送信する。
【0092】
そしてコンピュータ50の開始可否指標受信部539は、このようにして希望者情報部10から送信された開始可否指標情報を受信する。
【0093】
続いて、コンピュータ50の第2優先度決定部541は、開始可否指標情報に基づいて、診療希望者Pそれぞれの遠隔診療の優先度を示す第2優先度を決定する第2優先度決定処理を行う(図3/S200)。なお、第2優先度決定処理の詳細については、後述する。
【0094】
その後、接続順番決定部543は、第1優先度と第2優先度とに基づいて、診療開始情報を受信した希望者情報部10の接続順番を決定する(図3/S310)。
【0095】
接続順番決定部543が接続順番を決定する手法としては種々の手法が用いられてよいが、例えば接続順番決定部543は、第1優先度決定部537により決定された第1優先度の値と、第2優先度決定部541により決定された第2優先度の値とを掛け合わせることにより、希望者情報部10それぞれの総合優先度の値を決定する。
【0096】
すなわち例えばある希望者情報部10の第1優先度の値が「1.5」であり、第2優先度の値が「0.8」であれば、当該希望者情報部10の総合優先度の値は「1.2」となる。
【0097】
そして接続順番決定部543は、総合優先度の値が最も大きい希望者情報部10の接続順番を「1」とし、次に総合優先度の値が大きい希望者情報部10の接続順番を「2」と、総合優先度の値の大きい順に接続順番を振っていくことにより、希望者情報部10それぞれの接続順番を決定する。
【0098】
そして、接続部545は、接続順番決定部543により決定された接続順番に応じて、遠隔診療を行わせるために希望者情報部10と医師情報部30とを接続する(図3/S330)。
【0099】
すなわち例えば接続部545は、複数の医師情報部30が存在する場合には接続対象とする医師情報部30を選択して、当該選択された医師情報部30と、接続順番が「1」である希望者情報部10との間での遠隔診療のための通信を確立する処理を実行することにより、遠隔診療を行わせるために希望者情報部10と医師情報部30とを接続する。
【0100】
接続部545は、例えばすべての医師情報部30が、いずれかの希望者情報部10と接続されるまで当該処理を繰り返す。
【0101】
また、当該接続された医師情報部30と希望者情報部10との間の遠隔診療が終了した際には、当該遠隔診療が終了した医師情報部30と、まだ接続が行われていない希望者情報部10のうちで最も接続順番の若い希望者情報部10との間での遠隔診療のための通信を確立する処理を実行する。
【0102】
接続部545は、例えば最も接続順番の遅い希望者情報部10の遠隔診療が開始されるまで当該処理を繰り返す。
【0103】
このようにして、当該実施形態における遠隔診療接続システムの一連の処理は終了する。
【0104】
<第2優先度決定処理>
以下に、図4を参照して第2優先度決定処理の一例について説明する。
【0105】
第2優先度決定処理を開始すると、例えばまず人検知部547は、開始可否指標受信部539により受信された音声及び映像の一方又は両方から、希望者情報部10の周辺の人の存在を検知する(図4/S210)。
【0106】
人検知部547が希望者情報部10の周辺の人の存在を検知する手法としては、種々の公知の手法が用いられてよい。例えば人検知部547は、1名の人間のみが映像に含まれていると認識されれば、診療希望者Pが遠隔診療を開始できる状態にあると判断する。
【0107】
あるいは例えば人検知部547は、複数の人間の声が検出された場合には、診療希望者Pが遠隔診療を開始できる状態にないと判断する。
【0108】
あるいは例えば人検知部547は、診療希望情報を参照して診療希望者Pが幼児であり付き添いの大人がいることを認識した場合には、複数名の人間の存在が検知されても、診療希望者Pが遠隔診療を開始できる状態にあると判断するように構成される。
【0109】
次に、集中判定部549は、開始可否指標受信部539により受信された音声及び映像の一方又は両方から、診療希望者Pが遠隔診療に集中できる状態にあるか否かを判定する(図4/S220)。
【0110】
より具体的には集中判定部549は、開始可否指標受信部539により受信された映像から、希望者情報部10に診療希望者Pの目線が向けられている度合を認識して、該目線が向けられている度合に基づいて該診療希望者Pが遠隔診療に集中できる状態にあるか否かを判定する。
【0111】
あるいは、例えば集中判定部549は、音声を解析して診療希望者Pが誰かと会話をしていると判定した場合には、診療希望者Pは遠隔診療に集中しておらず、遠隔診療を開始できる状態にないと判断する。
【0112】
そして、第2優先度決定部541は、例えば人検知部547の検知結果及び集中判定部549の判定結果も加味して、開始可否指標情報に基づいて、診療希望者Pそれぞれの遠隔診療の優先度を示す第2優先度を決定する。
【0113】
第2優先度決定部541が第2優先度を決定する手法としては種々の手法が用いられてよいが、例えば第2優先度決定部541は、第2優先度の初期値を「1」として、人検知部547により診療希望者が遠隔診療を開始できる状態にないと判断されれば「0.2」を引き、集中判定部549により該診療希望者Pが遠隔診療に集中できる状態にないと判断されれば「0.3」を引くなどの、各項目にあらかじめ定められた値を引いていく。
【0114】
あるいはさらに第2優先度決定部541は例えば、希望者情報部10を介して、診療希望者Pの声の入力を受け付けて、診療希望者Pの声の鮮明さに応じて第2優先度の初期値から引く値を決定する。すなわち例えば診療希望者Pの声の鮮明さが低いほど、第2優先度の初期値から引く値は大きくなる。
【0115】
第2優先度決定部541はこのようにして第2優先度の初期値から上記のように値を差し引いた、残りの値を当該診療希望者Pの当該診療希望情報における第2優先度として決定する。
【0116】
以上説明したように本発明の遠隔診療接続システムによれば、遠隔診療の診療希望者と医師とを効率的に接続することができる。
【0117】
<緊急性の高い所定の状態にある診療希望者の順番を早める処理>
以上、本発明の実施形態について説明したが、これに限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0118】
以下に、緊急性の高い所定の状態にある診療希望者の順番を早める処理を行う場合の処理の流れについて説明する。
【0119】
本変更実施形態においては、第1優先度決定部537は、上述のS90の処理において、診療希望情報に基づいて診療希望者Pそれぞれが緊急性の高い所定の状態にあるか否かを判定する。
【0120】
緊急性の高い所定の状態とは、例えば診療希望情報の問診結果に含まれる、病状を知らせる情報、遠隔診療の目的を知らせる情報などに基づいて、第1優先度決定部537が急を要すると判断できる場合であり、あるいは例えば診療希望者P自身が急を要すると判断し予約外で電話をしてきたと、病院の担当者等が判断した場合などである。
【0121】
後者の場合にはたとえば、当該電話から得られた情報を病院の担当者等が遠隔診断接続システムに診療希望情報として入力する際に、急患であることを示す情報を併せて入力する。
【0122】
例えばこのような緊急性の高い所定の状態を、あらかじめコンピュータ記憶部に緊急性判定基準データとして記憶しておき、第1優先度決定部537が第1優先度を決定する際に緊急性判定基準データを参照して、各診療希望情報に含まれる情報に基づいて、診療希望者それぞれが緊急性の高い所定の状態にあるか否かを判定する。
【0123】
そして、接続順番決定部543は、上述のS330の処理において、第1優先度決定部537により緊急性の高い所定の状態にあると判定された診療希望者Pの希望者情報部10の接続順番を、該第1優先度決定部537により該緊急性の高い所定の状態にあると判定されていない診療希望者Pの希望者情報部10の接続順番よりも前になるように決定する。
【0124】
接続順番決定部543がこのように接続順番を決定する手法としては、種々の手法が用いられてよいが、本実施形態においては例えば以下のような手法により決定する。
【0125】
すなわち例えば第1優先度決定部537は、緊急性の高い所定の状態にあると判定された診療希望情報に係る診療希望者Pの第1優先度の値を非常に大きな値(例えば「100」など)に設定する。
【0126】
そうすることにより、当該診療希望者Pの総合優先度の値は、必然的に他の診療希望者Pの総合優先度の値よりも大きくなるので、接続順番決定部543は、第1優先度決定部537により緊急性の高い所定の状態にあると判定された診療希望者Pの希望者情報部10の接続順番を、緊急性の高い所定の状態にあると判定されていない診療希望者Pの希望者情報部10の接続順番よりも前になるように決定することができる。なおこのとき併せて、第1優先度の値と第2優先度の値とを掛け合わせて「0」になることがないように、例えば第2優先度の値が調整される。
【0127】
あるいは例えば、接続順番決定部543は、第1優先度決定部537により緊急性の高い所定の状態にあると判定された診療希望者Pの希望者情報部10の接続順番を先に決定し、その後緊急性の高い所定の状態にあると判定されていない診療希望者Pの希望者情報部10の接続順番を決定するように構成されていてもよい。
【0128】
<その他の変更実施形態>
以上、本発明の変更実施形態について説明したが、これに限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0129】
例えば開始可否指標受信部539は、診療開始情報を受信した希望者情報部10から、該希望者情報部10の通信状態の良好さを示す情報を開始可否指標情報として受信するように構成されており、第2優先度決定部541は、開始可否指標受信部539により受信された通信状態の良好さを示す情報に基づいて、診療希望者それぞれの第2優先度を決定するように構成されていてもよい。
【0130】
この場合例えば、第2優先度決定処理において第2優先度決定部541は、希望者情報部10を介して、通信状態の良好さに応じて第2優先度の初期値から引く値を決定する。すなわち例えば通信状態の良好さが悪いほど、第2優先度の初期値から引く値は大きくなる。
【0131】
あるいは例えば開始可否指標受信部539は、診療開始情報を受信した希望者情報部10から、希望者情報部10の位置情報を複数回受信するように構成されており、第2優先度決定部541は、開始可否指標受信部539により受信された位置情報の変化の度合及び集中判定部549の判定結果に基づいて、診療希望者の第2優先度を決定するように構成されてもよい。
【0132】
より具体的には、希望者情報部10は、診療開始情報を受信した以降の所定期間の位置情報をコンピュータ50に複数回送信するように構成されており、第2優先度決定部541は、希望者情報部10から受信した位置情報の変化の度合、例えば当該所定期間中の移動距離、速度等に基づいて当該診療希望者Pが移動中であるか否かを推定する。
【0133】
診療希望者Pが移動中であると推定された場合にはさらに第2優先度決定部541は、集中判定部549の機能を用いて、診療希望者Pが移動中であっても診療に集中できる状態にあるか否かを判定する。
【0134】
そして第2優先度決定部541は、診療希望者Pが移動中であっても診療に集中できる状態にあると判定された場合には、診療希望者Pが遠隔診療を開始できる状態にあると判定する。
【0135】
その後、第2優先度決定部541はこのようにして得られた判定結果に基づいて、診療希望者の第2優先度を決定する。
【符号の説明】
【0136】
10…希望者情報部、30…医師情報部、50…コンピュータ、510…コンピュータ記憶部、511…診療希望情報DB、531…診療希望情報受付部、533…送信先決定部、535…開始情報送信部、537…第1優先度決定部、539…開始可否指標受信部、541…第2優先度決定部、543…接続順番決定部、545…接続部、547…人検知部、549…集中判定部。
図1
図2
図3
図4