IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

特開2022-27152回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法
<>
  • 特開-回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法 図1
  • 特開-回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法 図2
  • 特開-回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法 図3
  • 特開-回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法 図4
  • 特開-回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法 図5
  • 特開-回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法 図6
  • 特開-回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法 図7
  • 特開-回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法 図8
  • 特開-回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027152
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20220101AFI20220203BHJP
【FI】
H02K1/27 501H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130975
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】浅井 満季
(72)【発明者】
【氏名】上辻 清
(72)【発明者】
【氏名】門脇 渉
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 康
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智則
(72)【発明者】
【氏名】片桐 慶大
(72)【発明者】
【氏名】牧志 渉
(72)【発明者】
【氏名】水野 峻史
(72)【発明者】
【氏名】清水 謙太
(72)【発明者】
【氏名】宮重 敬太
(72)【発明者】
【氏名】菊池 駿介
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CA01
5H622CA07
5H622PP03
5H622PP11
5H622PP18
(57)【要約】
【課題】磁性体の変形を抑制できる回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法を提供すること。
【解決手段】永久磁石17が筒部材16の内側に圧入され、軸部材18のうち永久磁石17内に挿通される第3軸部材21の外周面21aと永久磁石17の内周面17bの全域とが密着している状態を圧入状態とし、永久磁石17が筒部材16の内側に圧入される前の状態を開放状態とすると、開放状態において、永久磁石17の外周面17aの外径Do1が筒部材16の内周面16aの内径Di1よりも大きく、且つ永久磁石17の内周面17bの内径Di2が第3軸部材21の外周面21aの外径Do2よりも大きく設定され、開放状態において、外径Do1と内径Di1との差ΔD1は、内径Di2と外径Do2との差ΔD2よりも大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部材と、
前記筒部材の内側に圧入される筒状の磁性体と、
前記筒部材及び前記磁性体と一体回転可能であり、前記磁性体を貫通する軸部材と、を備え、
前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入され、前記軸部材のうち前記磁性体内に挿通される挿通部の外周面と前記磁性体の内周面の全域とが密着している状態を圧入状態とし、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入される前の状態を開放状態とすると、
前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径が前記筒部材の内周面の内径よりも大きく、且つ前記磁性体の内周面の内径が前記挿通部の外周面の外径よりも大きく設定され、
前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径と前記筒部材の内周面の内径との差は、前記磁性体の内周面の内径と前記挿通部の外周面の外径との差よりも大きいことを特徴とする回転電機のロータ。
【請求項2】
筒部材と、前記筒部材の内側に圧入される筒状の磁性体と、前記筒部材及び前記磁性体と一体回転可能であり、前記磁性体を貫通する軸部材と、を備え、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入され、前記軸部材のうち前記磁性体内に挿通される挿通部の外周面と前記磁性体の内周面の全域とが密着している状態を圧入状態とし、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入される前の状態を開放状態とすると、前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径が前記筒部材の内周面の内径よりも大きく、且つ前記磁性体の内周面の内径が前記挿通部の外周面の外径よりも大きく設定され、前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径と前記筒部材の内周面の内径との差は、前記磁性体の内周面の内径と前記挿通部の外周面の外径との差よりも大きい回転電機のロータの組立方法であって、
前記磁性体の内周面と前記挿通部の外周面とが所定の間隔をおくように前記挿通部が前記磁性体を貫通するロータ前駆体を形成する第1工程と、
前記第1工程後に、前記ロータ前駆体を前記筒部材に挿通し、前記磁性体の内周面の全域と前記挿通部の外周面とを密着させ、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入された状態である圧入状態とする第2工程と、を有することを特徴とする回転電機のロータの組立方法。
【請求項3】
筒部材と、前記筒部材の内側に圧入される筒状の磁性体と、前記筒部材及び前記磁性体と一体回転可能であり、前記磁性体を貫通する軸部材と、を備え、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入され、前記軸部材のうち前記磁性体内に挿通される挿通部の外周面と前記磁性体の内周面の全域とが密着している状態を圧入状態とし、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入される前の状態を開放状態とすると、前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径が前記筒部材の内周面の内径よりも大きく、且つ前記磁性体の内周面の内径が前記挿通部の外周面の外径よりも大きく設定され、前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径と前記筒部材の内周面の内径との差は、前記磁性体の内周面の内径と前記挿通部の外周面の外径との差よりも大きいロータの組立方法であって、
前記筒部材の内側に前記磁性体を圧入する第1工程と、
前記第1工程後に、前記軸部材を前記筒部材に挿通し、前記磁性体の内周面の全域と前記挿通部の外周面とを密着させることにより前記圧入状態とする第2工程と、を有することを特徴とする回転電機のロータの組立方法。
【請求項4】
前記軸部材の内部には、前記軸部材の軸線方向に前記軸部材を貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機のロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載される回転電機のロータが知られている。
上記のロータは、筒部材と、筒部材の内周面に圧入される筒状の磁性体と、筒部材及び磁性体と一体回転可能であり、磁性体を貫通する軸部材と、を備えている。筒部材は、ロータが回転したときに生じる遠心力により磁性体が変形することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-107975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、軸部材が磁性体の内周面に圧入される場合、磁性体に圧縮応力が作用する。また、ロータの回転数が増加すると、ロータに生じる遠心力により磁性体に引っ張り応力が作用することにより磁性体が変形する虞がある。
【0005】
本発明の目的は、磁性体の変形を抑制できる回転電機のロータ、及び回転電機のロータの組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する回転電機のロータは、筒部材と、前記筒部材の内側に圧入される筒状の磁性体と、前記筒部材及び前記磁性体と一体回転可能であり、前記磁性体を貫通する軸部材と、を備え、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入され、前記軸部材のうち前記磁性体内に挿通される挿通部の外周面と前記磁性体の内周面の全域とが密着している状態を圧入状態とし、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入される前の状態を開放状態とすると、前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径が前記筒部材の内周面の内径よりも大きく、且つ前記磁性体の内周面の内径が前記挿通部の外周面の外径よりも大きく設定され、前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径と前記筒部材の内周面の内径との差は、前記磁性体の内周面の内径と前記挿通部の外周面の外径との差よりも大きい。
【0007】
上記課題を解決する回転電機のロータの組立方法は、筒部材と、前記筒部材の内側に圧入される筒状の磁性体と、前記筒部材及び前記磁性体と一体回転可能であり、前記磁性体を貫通する軸部材と、を備え、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入され、前記軸部材のうち前記磁性体内に挿通される挿通部の外周面と前記磁性体の内周面の全域とが密着している状態を圧入状態とし、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入される前の状態を開放状態とすると、前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径が前記筒部材の内周面の内径よりも大きく、且つ前記磁性体の内周面の内径が前記挿通部の外周面の外径よりも大きく設定され、前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径と前記筒部材の内周面の内径との差は、前記磁性体の内周面の内径と前記挿通部の外周面の外径との差よりも大きい回転電機のロータの組立方法であって、前記磁性体の内周面と前記挿通部の外周面とが所定の間隔をおくように前記挿通部が前記磁性体を貫通するロータ前駆体を形成する第1工程と、前記第1工程後に、前記ロータ前駆体を前記筒部材に挿通し、前記磁性体の内周面の全域と前記挿通部の外周面とを密着させ、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入された状態である圧入状態とする第2工程と、を有する。
【0008】
上記課題を解決する回転電機のロータの組立方法は、筒部材と、前記筒部材の内側に圧入される筒状の磁性体と、前記筒部材及び前記磁性体と一体回転可能であり、前記磁性体を貫通する軸部材と、を備え、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入され、前記軸部材のうち前記磁性体内に挿通される挿通部の外周面と前記磁性体の内周面の全域とが密着している状態を圧入状態とし、前記磁性体が前記筒部材の内側に圧入される前の状態を開放状態とすると、前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径が前記筒部材の内周面の内径よりも大きく、且つ前記磁性体の内周面の内径が前記挿通部の外周面の外径よりも大きく設定され、前記開放状態において、前記磁性体の外周面の外径と前記筒部材の内周面の内径との差は、前記磁性体の内周面の内径と前記挿通部の外周面の外径との差よりも大きいロータの組立方法であって、前記筒部材の内側に前記磁性体を圧入する第1工程と、前記第1工程後に、前記軸部材を前記筒部材に挿通し、前記磁性体の内周面の全域と前記挿通部の外周面とを密着させることにより前記圧入状態とする第2工程と、を有する。
【0009】
仮に、開放状態における磁性体の外周面の外径が筒部材の内周面の内径よりも大きく、且つ開放状態における磁性体の内周面の内径が挿通部の外周面の外径よりも小さい場合、開放状態から圧入状態に遷移すると、磁性体には、筒部材から圧縮される圧縮応力と、軸部材の挿通部から押し広げられることによる圧縮応力とが作用するため、磁性体に作用する圧縮応力が大きくなる虞がある。
【0010】
その点、これによれば、開放状態において、磁性体の外周面の外径と筒部材の内周面の内径との差は、磁性体の内周面の内径と挿通部の外周面の外径との差よりも大きいため、ロータを圧入状態に維持することができる。また、開放状態における磁性体の内周面の内径と挿通部の外周面の外径との差が存在するため、圧入状態としたときに筒部材から圧縮されることにより磁性体に作用する圧縮応力を逃がすことができる。よって、圧入状態としたときの磁性体に作用する圧縮応力を緩和できるため、磁性体の変形を抑制できる。
【0011】
上記の回転電機のロータにおいて、前記軸部材の内部には、前記軸部材の軸線方向において前記軸部材を貫通する貫通孔が形成されているとよい。
これによれば、軸部材を軽量化することができる。そのため、ロータのイナーシャを低減でき、回転電機の消費電力を抑制できる。また、軸部材に貫通孔が形成されることにより軸部材の通気性が向上する。すなわち、軸部材の貫通孔に入り込んだ空気等の冷媒がロータの内部にまで到達することができるため、ロータを内部から冷却することができる。よって、ロータの放熱性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、磁性体の変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の回転電機の概略断面図。
図2】第1実施形態の筒部材の斜視図。
図3】第1実施形態のロータの分解断面図。
図4】第2実施形態のロータの分解断面図。
図5】第2実施形態のロータの分解斜視図。
図6】変更例におけるロータの断面図。
図7】変更例におけるロータの分解断面図。
図8】変更例におけるロータの断面図。
図9】変更例におけるロータの分解断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、回転電機を具体化した第1実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1に示すように、回転電機10は、筒状のハウジング11に収容されている。ハウジング11は、第1ハウジング構成体12と、第1ハウジング構成体12に連結される板状の第2ハウジング構成体13と、を有している。第1ハウジング構成体12及び第2ハウジング構成体13は、金属材料製であり、例えば、アルミニウム製である。
【0015】
第1ハウジング構成体12は、板状の底壁12aと、底壁12aの外縁から第2ハウジング構成体13に向けて筒状に延びる周壁12bと、を有している。第2ハウジング構成体13は、周壁12bにおける底壁12aとは反対側に位置する開口を閉塞した状態で第1ハウジング構成体12に連結されている。
【0016】
第1ハウジング構成体12の底壁12aの内面には、円筒状のボス部12cが突設されている。ボス部12cの軸線は、第1ハウジング構成体12の軸線と一致している。また、第2ハウジング構成体13の内面には、円筒状のボス部13cが突設されている。ボス部13cは、第1ハウジング構成体12の軸線と一致している。よって、両ボス部12c,13cの軸線は一致している。
【0017】
回転電機10は、ステータ14と、ロータ15と、を備えている。ステータ14は、第1ハウジング構成体12の周壁12bの内周面に固定されている円筒状のステータコア14aと、ステータコア14aに巻回されるコイル14bを、を有している。
【0018】
ロータ15は、筒部材16と、磁性体である永久磁石17と、軸部材18と、を備えている。筒部材16は、軸線が直線状に延びる円筒状である。筒部材16は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から構成されている。
【0019】
永久磁石17は、円筒状である。永久磁石17は、径方向に着磁されている。永久磁石17は、筒部材16の内側に圧入されることにより筒部材16の内周面16aに固定されている。永久磁石17の外周面17aは、筒部材16の内周面16aに押し付けられている。永久磁石17の軸線は、筒部材16の軸線と一致している。永久磁石17の軸線方向の長さは、筒部材16の軸線方向の長さよりも短い。
【0020】
軸部材18は、第1軸部材19と、第2軸部材20と、第3軸部材21と、を有している。
第1軸部材19は、第1圧入部19a及び第1軸部19bを有している。第1圧入部19aは、円筒状をなしている。第1圧入部19aは、筒部材16の軸線方向の第1端部16bにおける内側に圧入されている。第1軸部材19は、永久磁石17と一体回転可能である。第1圧入部19aは、筒部材16の内部において、永久磁石17の軸線方向の第1端に接触している。
【0021】
第1軸部19bは、円筒状をなしている。第1軸部19bは、第1圧入部19aにおける永久磁石17とは反対側に位置する端部に連続している。第1軸部19bの軸線と第1圧入部19aの軸線とは一致している。第1軸部19bの外径は、第1圧入部19aの外径よりも小さい。
【0022】
第1軸部材19は、第1嵌合穴191と、第1貫通孔192と、を有している。第1嵌合穴191は、第1圧入部19aにおける永久磁石17の軸線方向の第1端に対向する端面に向けて開口する円形穴である。第1嵌合穴191は、円形をなす底面191aと、底面191aの外縁の全周から延びる円弧状の内周面191bと、により形成されている。永久磁石17が筒部材16の内側に圧入された状態である圧入状態において、第1嵌合穴191の内周面191bの内径は、永久磁石17の内周面17bの内径と同じである。
【0023】
第1貫通孔192は、第1軸部材19の軸線方向に延びている。第1貫通孔192は、第1軸部19bを第1軸部材19の軸線方向において貫通している。第1貫通孔192は、第1嵌合穴191の底面191aに連通している。第1貫通孔192の内周面192aの内径は、第1嵌合穴191の内周面191bの内径よりも小さい。このように構成された第1軸部材19において、第1圧入部19aは、内部が段付き円筒孔となる円筒状をなしている。
【0024】
第2軸部材20は、第2圧入部20a及び第2軸部20bを有している。第2圧入部20aは、円筒状をなしている。第2圧入部20aは、筒部材16の軸線方向の第2端部16cにおける内側に圧入されている。第2軸部材20は、永久磁石17と一体回転可能である。第2圧入部20aは、筒部材16の内部において、永久磁石17の軸線方向の第2端に接触している。なお、第2圧入部20aの外径は、第1圧入部19aの外径と同じである。
【0025】
第2軸部20bは、円筒状をなしている。第2軸部20bは、第2圧入部20aにおける永久磁石17とは反対側に位置する端部に連続している。第2軸部20bの軸線と第2圧入部20aの軸線とは一致している。第2軸部20bの外径は、第2圧入部20aの外径よりも小さい。
【0026】
第2軸部材20は、第2嵌合穴201と、第2貫通孔202と、を有している。第2嵌合穴201は、第2圧入部20aにおける永久磁石17の軸線方向の第2端に対向する端面に向けて開口する円形穴である。第2嵌合穴201は、円形をなす底面201aと、底面201aの外縁の全周から延びる円弧状の内周面201bと、により形成されている。永久磁石17が筒部材16の内側に圧入された状態である圧入状態において、第2嵌合穴201の内周面201bの内径は、永久磁石17の内周面17bの内径と同じである。
【0027】
第2貫通孔202は、第2軸部材20の軸線方向に延びている。第2貫通孔202は、第2嵌合穴201の底面201aに連通している。第2貫通孔202の内周面202aの内径は、第2嵌合穴201の内周面201bの内径よりも小さい。このように構成された第2軸部材20において、第2圧入部20aは、内部が段付き円筒孔となる円筒状をなしている。
【0028】
第3軸部材21は、円筒状をなしている。第3軸部材21は、永久磁石17の内周面17bに圧入されることにより固定されている。圧入状態において、第3軸部材21の外周面21aと筒部材16の内周面16aの全域とは密着している。第3軸部材21は、永久磁石17と一体回転可能である。第3軸部材21は、永久磁石17を貫通している。第3軸部材21の軸線方向の第1端部は、第1軸部材19の第1嵌合穴191に圧入されることにより固定されている。第3軸部材21は、第1軸部材19と一体回転可能である。第3軸部材21の軸線方向の第1端は、第1嵌合穴191の底面191aに接触している。
【0029】
第3軸部材21の軸線方向の第2端部は、第2軸部材20の第2嵌合穴201に圧入されることにより固定されている。第3軸部材21は、第2軸部材20と一体回転可能である。第3軸部材21の軸線方向の第2端は、第2嵌合穴201の底面201aに接触している。
【0030】
第3軸部材21は、第3貫通孔211を有している。第3貫通孔211は、第3軸部材21の軸線方向に延びている。第3貫通孔211の第1端は、第1軸部材19の第1貫通孔192に連通し、第3貫通孔211の第2端は、第2軸部材20の第2貫通孔202に連通している。第3貫通孔211の内周面211aの内径は、第1貫通孔192の内周面192aの内径と同じである。第3貫通孔211の内周面211aの内径は、第2貫通孔202の内周面202aの内径と同じである。
【0031】
このように構成された軸部材18は、筒部材16及び永久磁石17と一体回転可能であり、永久磁石17を貫通している。そして、軸部材18の内部には、軸部材18の軸線方向に貫通する貫通孔200が形成されている。貫通孔200は、第1貫通孔192、第2貫通孔202、及び第3貫通孔211により形成される貫通孔200が形成されている。なお、第3軸部材21は、軸部材18のうち永久磁石17内に挿通されている挿通部である。
【0032】
第1軸部材19、第2軸部材20、及び第3軸部材21は、第1軸部材19の軸線、第2軸部材20の軸線、及び第3軸部材21の軸線が筒部材16の軸線に一致した状態となる。したがって、筒部材16は、永久磁石17、第1軸部材19、第2軸部材20、及び第3軸部材21の同軸状態を担保する。また、永久磁石17の軸線方向の両端には、第1圧入部19a及び第2圧入部20aそれぞれが接触しているため、永久磁石17は、筒部材16の内周面16aにおいて、筒部材16の軸線方向への移動が規制されている。
【0033】
第1軸部19bは、ボス部13cの内側を通過するとともに第2ハウジング構成体13を貫通してハウジング11の外部に突出している。ボス部13cの内周面と第1軸部19bの外周面との間には、第1軸受22が設けられている。そして、第1軸部材19は、第1軸部19bが第1軸受22を介してボス部13cに支持されることによりハウジング11に回転可能に支持されている。
【0034】
第2軸部20bは、ボス部12cの内側に挿入されている。ボス部12cの内周面と第2軸部20bの外周面との間には、第2軸受23が設けられている。そして、第2軸部材20は、第2軸部20bが第2軸受23を介してボス部12cに支持されていることによりハウジング11に回転可能に支持されている。ここで、軸部材18の貫通孔200は、ハウジング11の内外を連通するように延びている。
【0035】
ロータ15は、図示しない駆動回路によって制御された電力がコイル14bに供給されると、永久磁石17が回転しようとする。そのため、永久磁石17が圧入されている筒部材16及び永久磁石17に圧入されている第3軸部材21が永久磁石17と一体回転する。そして、筒部材16と第1軸部材19との圧入部分及び第3軸部材21と第1軸部材19との圧入部分においてトルクが第1軸部材19に伝達され、筒部材16と第2軸部材20との圧入部分及び第3軸部材21と第2軸部材20との圧入部分においてトルクが第2軸部材20に伝達され、ロータ15が回転する。筒部材16は、ロータ15の回転により遠心力を受ける永久磁石17の変形を抑制する。
【0036】
図2に示すように、筒部材16は、炭素繊維である複数の第1繊維16dと、炭素繊維である複数の第2繊維16eと、第1繊維16d及び第2繊維16eを覆う樹脂16fとにより形成されている。第1繊維16dは、筒部材16の軸線方向に延びている。第2繊維16eは、筒部材16の周方向に延びている。筒部材16は、複数の第1繊維16d及び複数の第2繊維16eが樹脂16f中に複合化されることにより形成されている。なお、樹脂16fは、熱硬化性樹脂で構成されている。なお、第1繊維16d及び第2繊維16eは、無機繊維を使用してもよいし、異なる種類の有機繊維、異なる種類の無機繊維、又は有機繊維と無機繊維を混繊した混繊繊維を使用してもよい。有機繊維の種類としては、アラミド繊維、ポリ-p-フェニルレンベンゾビスオキサゾール繊維、超分子量ポリエチレン繊維等が挙げられ、無機繊維の種類としては、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維等が挙げられる。
【0037】
ここで、ロータ15を分解したときの構成について説明する。ロータ15を分解したときの構成を説明するにあたり、第1軸部材19、第2軸部材20、及び永久磁石17が筒部材16の内側に圧入される前の状態を開放状態とし、第1軸部材19、第2軸部材20、及び永久磁石17が筒部材16の内側に圧入された状態を圧入状態として説明する。
【0038】
図3に示すように、開放状態において、永久磁石17の外周面17aの外径Do1は、筒部材16の内周面16aの内径Di1よりも大きい。開放状態において、永久磁石17の外周面17aの外径Do1は、第1圧入部19a及び第2圧入部20aの外径Do3よりも大きい。開放状態において、永久磁石17の内周面17bの内径Di2は、第3軸部材21の外周面21aの外径Do2よりも大きい。第1圧入部19a及び第2圧入部20aの外径Do3は、筒部材16の内周面16aの内径Di1よりも大きい。また、開放状態において、外径Do1と内径Di1との差ΔD1は、内径Di2と外径Do2との差ΔD2よりも大きい。
【0039】
開放状態において、第3軸部材21が永久磁石17を貫通している状態において、永久磁石17の内周面17bと第3軸部材21の外周面21aとは、所定の間隔Sをおいて配置されている。所定の間隔は、微小な間隔であり、図3には誇張して記載している。
【0040】
次に、ロータ15の組立方法について説明する。
ロータ15の組立方法は、第1工程P1と、第2工程P2と、を有している。
第1工程P1では、永久磁石17の内周面17bと第3軸部材21の外周面21aとが所定の間隔Sをおくように永久磁石17及び第3軸部材21を配置し、第3軸部材21の軸線方向の第1端部を第1軸部材19の第1嵌合穴191に嵌合させ、第3軸部材21の軸線方向の第2端部を第2軸部材20の第2嵌合穴201に嵌合させる。
【0041】
第3軸部材21の軸線方向の第1端が第1嵌合穴191の底面191aに接触したとき、第1圧入部19aが永久磁石17の軸線方向の第1端に接触することにより第3軸部材21の軸線方向の第1端部における第1嵌合穴191への圧入が完了する。
【0042】
第3軸部材21の軸線方向の第2端が第2嵌合穴201の底面201aに接触したとき、第2圧入部20aが永久磁石17の軸線方向の第2端に接触することにより第3軸部材21の軸線方向の第2端部における第2嵌合穴201への圧入が完了する。
【0043】
第3軸部材21の両端部を第1嵌合穴191及び第2嵌合穴201に嵌合した状態において、永久磁石17の軸線方向の両端は、第1圧入部19aと第2圧入部20aとに挟み込まれた状態となるため、永久磁石17の内周面17bと第3軸部材21の外周面21aとの間に形成される所定の間隔Sが保持される。よって、第1工程P1は、永久磁石17の内周面17bと第3軸部材21の外周面21aとが所定の間隔Sをおいて配置されるように第3軸部材21が永久磁石17を貫通するロータ前駆体150を形成する工程である。
【0044】
第2工程P2では、ロータ前駆体150を筒部材16に圧入する工程である。第2工程P2では、ロータ前駆体150を筒部材16の内側に挿入すると、第2圧入部20aが筒部材16の内周面16aに摺動しながら筒部材16の内側に圧入される。ロータ前駆体150を筒部材16の内側に挿入し続けると、永久磁石17の外周面17aが筒部材16の内周面16aに摺動しながら筒部材16の内側に圧入される。このとき、永久磁石17には、筒部材16により径方向内側に向けて圧縮応力が作用し、永久磁石17が筒部材16の内側に圧入されていくにつれて永久磁石17の内周面17bは、第3軸部材21の外周面21aに徐々に近接する。すなわち、所定の間隔Sが徐々に小さくなる。永久磁石17の軸線方向における全長が筒部材16の内側に圧入されたとき、永久磁石17の内周面17bが第3軸部材21の外周面21aに密着し、所定の間隔Sが無くなる。
【0045】
さらに、ロータ前駆体150を筒部材16の内側に挿入し続けると、第1圧入部19aが筒部材16の内周面16aに摺動しながら筒部材16の内側に圧入される。第1圧入部19a、第2圧入部20a及び永久磁石17が筒部材16の内側に圧入されたとき、ロータ15の組立が完了する。すなわち、第2工程は、図1に示すように永久磁石17の内周面17bの全域に第3軸部材21の外周面21aを密着させ、圧入状態とする工程である。なお、所定の間隔Sは、ロータ前駆体150を筒部材16に挿入したとき、永久磁石17の内周面17bが第3軸部材21の外周面21aに密着することを予め確認して設定されている。
【0046】
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)本実施形態では、開放状態において、永久磁石17の外周面17aの外径Do1と筒部材16の内周面16aの内径Di1との差ΔD1は、永久磁石17の内周面17bの内径Di2と第3軸部材21の外周面21aの外径Do2との差ΔD2よりも大きいため、ロータ15を圧入状態に維持することができる。また、開放状態における永久磁石17の内周面17bの内径Di2と第3軸部材21の外周面21aの外径Do2との差ΔD2が存在するため、圧入状態としたときに筒部材16から圧縮されることにより永久磁石17に作用する圧縮応力を逃がすことができる。よって、圧入状態としたときの永久磁石17に作用する圧縮応力を緩和できるため、永久磁石17の変形を抑制できる。
【0047】
(2)軸部材18に貫通孔200が形成されることにより、軸部材18を軽量化することができる。そのため、ロータ15のイナーシャを低減でき、回転電機10の消費電力を抑制できる。また、軸部材18に貫通孔200が形成されることにより軸部材18の通気性が向上する。すなわち、軸部材18の貫通孔200に入り込んだ空気等の冷媒がロータ15の内部にまで到達することができるため、ロータ15を内部から冷却することができる。よって、ロータ15の放熱性を向上させることができる。
【0048】
(3)筒部材16の厚さを増加させることにより筒部材16の内径Di1を小さくし、筒部材16の締め代を増加させると、ロータ15のイナーシャ及び空気抵抗による風損が大きくなり、回転電機10の消費電力が多くなる虞がある。
【0049】
その点、本実施形態では、筒部材16の厚さを厚くする必要がないため、ロータ15のイナーシャを抑制でき、ロータ15の応答性が向上し、且つロータ15の風損も抑制できる。よって、ロータ15のイナーシャ及び風損を抑制できるため、回転電機10の消費電力を抑えることができる。
【0050】
(4)筒部材16の周方向に第2繊維16eが延びているため、永久磁石17を筒部材16の内側に圧入して、筒部材16が径方向に膨らむように変形しようとしても、筒部材16の周方向において筒部材16に作用する引っ張り応力を抑制できる。そのため、筒部材16の割れも抑制できる。
【0051】
(5)本実施形態のロータ15の組立方法によれば、開放状態から圧入状態に遷移するとき、開放状態における永久磁石17の内周面17bと第3軸部材21の外周面21aとの所定の間隔が形成されている。そのため、ロータ前駆体150を形成するにあたり、軸部材18を永久磁石17に貫通させても永久磁石17に圧縮応力が作用しない。ロータ前駆体150を筒部材16の内周面16aに圧入することによりロータ15を圧入状態にしても、開放状態における永久磁石17の内周面17bの内径Di2と第3軸部材21の外周面21aの外径Do2との差ΔD2が存在するため、筒部材16から圧縮されることにより永久磁石17に作用する圧縮応力を逃がすことができる。よって、永久磁石17に作用する圧縮応力を緩和できるため、永久磁石17の変形を抑制できる。
【0052】
<第2の実施形態>
以下、ロータ15の組立方法を具体化した第2の実施形態を図4及び図5にしたがって説明する。なお、ロータ15の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0053】
図4及び図5に示すように、ロータ15の組立方法は、第1工程P1と、第2工程P2と、を有している。第1工程P1では、永久磁石17を筒部材16の内周面16aに圧入する。
【0054】
図5に示すように、第1工程P1の後、永久磁石17の内周面17bの内径Di2´は、第3軸部材21の外径Do2よりも小さくなる。
第2工程P2では、軸部材18を筒部材16に挿通する。具体的には、第3軸部材21を永久磁石17の内周面17bに圧入することにより、永久磁石17の内周面17bの全域と第3軸部材21の外周面21aとを密着させる。また、第3軸部材21を永久磁石17に圧入した後、第1軸部材19の第1嵌合穴191に第3軸部材21の第1端部を嵌合させつつ第1圧入部19aを筒部材16の第1端部16bの内部に圧入する。また、第3軸部材21を永久磁石17に圧入した後、第2軸部材20の第2嵌合穴201に第3軸部材21の第2端部を嵌合させつつ第2圧入部20aを筒部材16の第2端部16cの内部に圧入する。すなわち、第2工程P2では、第1工程P1後に、軸部材18を筒部材16に挿通し、永久磁石17の内周面17bの全域と第3軸部材21の外周面21aとを密着させることにより圧入状態とする。
【0055】
第1圧入部19a、第2圧入部20a及び永久磁石17が筒部材16の内側に圧入されたとき、ロータ15の組立が完了し、図1に示すロータ15が構成される。
本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)~(4)と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
○ 軸部材18の貫通孔200を割愛し、軸部材18を中実としてもよい。
【0057】
○ 第1及び第2実施形態において、軸部材18は、第1軸部材19、第2軸部材20、及び第3軸部材21の3つの部材で構成されていたが、例えば、図6及び図7に示すように軸部材18を第1軸部材19及び第2軸部材20で構成してもよい。なお、本変更例では、貫通孔200は割愛している。
【0058】
図6に示すように、第1軸部材19は、第3軸部19cを有している。第3軸部19cは、第1圧入部19aにおける永久磁石17の軸線方向の第1端が対向する端面から延びている。第3軸部19cの軸線は、第1圧入部19aの軸線及び第1軸部19bの軸線と一致している。第3軸部19cは、永久磁石17の内周面17bに圧入されている。永久磁石17が筒部材16の内側に圧入された状態である圧入状態において、第3軸部19cの外周面19dは、永久磁石17の内周面17bの全域に密着している。第1軸部材19は、筒部材16及び永久磁石17と一体回転可能である。第3軸部19cは、永久磁石17を貫通している。第3軸部19cの第1圧入部19aとは反対側の端部は、第2軸部材20の第2嵌合穴201に圧入されている。なお、第3軸部19cは、軸部材18のうち永久磁石17の内周面17bに挿通される挿通部である。
【0059】
図7に示すように、開放状態において、第3軸部19cの外周面19dの外径は、上記の実施形態の第3軸部材21の外径Do2と同じである。すなわち、軸部材18の第3軸部材21を割愛して、第1軸部材19及び第2軸部材20により軸部材18を構成したとしても、第1実施形態の(2)を除く効果を得ることができる。
【0060】
また、本変更例のロータ15の組立方法は、第1実施形態で示したようにロータ前駆体150を形成する第1工程P1と、第1工程P1後に、ロータ前駆体150を筒部材16に挿入し、永久磁石17が筒部材16の内側に圧入された状態である圧入状態とする第2工程P2と、を有している。ロータ前駆体150は、永久磁石17の内周面17bと第3軸部19cの外周面19dとが所定の間隔Sをおいて配置されるように第3軸部19cが永久磁石17を貫通し、第3軸部19cの第1圧入部19aとは反対側の端部が第2軸部材20の第2嵌合穴201に嵌合されることにより形成される。なお、本変更例のロータ15の製造方法を変更してもよい。例えば、ロータ15の組立方法は、第2実施形態で示したように永久磁石17を筒部材16に圧入する第1工程P1と、第1工程P1後に、軸部材18を筒部材16に挿通し、永久磁石17の内周面17bの全域と第3軸部19cの外周面19dとを密着させることにより圧入状態とする第2工程P2と、を有していてもよい。
【0061】
○ 第1及び第2の実施形態において、軸部材18は、第1軸部材19、第2軸部材20、及び第3軸部材21の3つの部材で構成されていたが、例えば、図8及び図9に示すように、軸部材18を1つの部材で構成してもよい。なお、本変更例では、貫通孔200を割愛している。
【0062】
図8に示すように、軸部材18は、1本の円柱状の部材である。軸部材18は、永久磁石17を貫通している。軸部材18は、永久磁石17の内周面17bに圧入されている。永久磁石17が筒部材16の内側に圧入された状態である圧入状態において、軸部材18の外周面18aは、永久磁石17の内周面17bの全域に密着している。よって、軸部材18は、筒部材16及び永久磁石17と一体回転可能である。なお、軸部材18のうち永久磁石17内に挿通されている部分が挿通部である。
【0063】
ロータ15は、円筒状の第1端シャフト31と、円筒状の第2端シャフト32と、を備えている。第1端シャフト31の内周面31a及び第2端シャフト32の内周面32aには、軸部材18が圧入されている。第1端シャフト31は、筒部材16の軸線方向の第1端部16bにおける内側に圧入されることにより固定されている。第2端シャフト32は、筒部材16の軸線方向の第2端部16cにおける内側に圧入されることにより固定されている。
【0064】
第1端シャフト31、第2端シャフト32、及び永久磁石17が筒部材16の内側に圧入される前の状態を開放状態とし、第1端シャフト31、第2端シャフト32、及び永久磁石17が筒部材16の内側に圧入された状態を圧入状態とする。
【0065】
図9に示すように、開放状態において、軸部材18の外周面18aの外径は、第3軸部材21の外径Do2と同じである。第1端シャフト31の外径及び第2端シャフト32の外径は、第1圧入部19a及び第2圧入部20aの外径Do3と同じである。永久磁石17の外周面17aの外径Do1は、第1端シャフト31及び第2端シャフト32の外径Do3よりも大きい。すなわち、軸部材18を1つの部材により構成しても、第1実施形態の(2)を除く効果を得ることができる。
【0066】
また、本変更例のロータ15の組立方法は、第1実施形態で示したようにロータ前駆体150を形成する第1工程P1と、第1工程P1後に、ロータ前駆体150を筒部材16に挿入し、永久磁石17が筒部材16の内側に圧入された状態である圧入状態とする第2工程P2と、を有している。ロータ前駆体150は、永久磁石17の内周面17bと軸部材18の外周面18aとが所定の間隔Sをおいて配置されるように軸部材18が永久磁石17を貫通し、第1端シャフト31及び第2端シャフト32を軸部材18に圧入しつつ、第1端シャフト31と第2端シャフト32とにより永久磁石17を挟み込むことにより形成される。なお、ロータ15の組立方法は、変更してもよい。例えば、ロータ15の組立方法は、第2実施形態で示したように永久磁石17を筒部材16に圧入する第1工程P1と、第1工程P1後に、軸部材18を筒部材16に挿通し、永久磁石17の内周面17bの全域と軸部材18の外周面18aとを密着させることにより圧入状態とする第2工程P2と、を有していてもよい。また、第1端シャフト31及び第2端シャフト32を割愛してもよい。
【0067】
○ 筒部材16は、金属製であってもよい。
○ 磁性体として永久磁石17が採用されていたが、磁性体として電磁鋼板を積層した積層コアを採用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…回転電機、15…ロータ、16…筒部材、16a…内周面、17…永久磁石、17a…永久磁石の外周面、17b…永久磁石の内周面、18…軸部材、19…第1軸部材、20…第2軸部材、21…第3軸部材、21a…第3軸部材の外周面、150…ロータ前駆体、200…貫通孔、S…所定の間隔、Do1…永久磁石の外周面の外径、Di1…筒部材の内周面の内径、Di2…永久磁石の内周面の内径、Do2…第3軸部材の外径、ΔD1…差、ΔD2…差、P1…第1工程、P2…第2工程。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9