IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 関西電力株式会社の特許一覧

特開2022-27323簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラム
<>
  • 特開-簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラム 図1
  • 特開-簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラム 図2
  • 特開-簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラム 図3
  • 特開-簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラム 図4
  • 特開-簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラム 図5
  • 特開-簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラム 図6
  • 特開-簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラム 図7
  • 特開-簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027323
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20220203BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20220203BHJP
   F24F 11/47 20180101ALI20220203BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/70
F24F11/47
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131252
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】藤村 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】岩井 良真
(72)【発明者】
【氏名】上林 由果
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA13
3L260BA42
3L260CA12
3L260CA13
3L260FA09
3L260FA16
3L260FB45
(57)【要約】
【課題】個別分散空調システムの外気処理機につき、簡易な構成で効率の良い制御を行うことができ、しかも個別分散空調システムから独立して機能し得る簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】1基の室外機で1台以上の室内機を個別に運転できる空調システムにおける外気処理機の制御方法であって、空調対象となる室内の少なくとも1箇所において温度及び湿度を計測する計測ステップと、計測した温度及び湿度の測定値に基づいて、予め設定された制限段数の内、よりエネルギー消費効率の高い制限段数での運転時間が長くなるように制限段数を切換え又は維持する制御ステップを備え、制御ステップは、制限段数の切換え後に、次回の制御判定を行うまでの効果待ち時間を設ける効果待ちステップを備える。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1基の室外機で1台以上の室内機を個別に運転できる空調システムにおける外気処理機の制御方法であって、
空調対象となる室内の少なくとも1箇所において温度及び湿度を計測する計測ステップと、
計測した温度及び湿度の測定値に基づいて、予め設定された制限段数を切換え又は維持する制御ステップ、
を備え、
前記制御ステップは、制限段数の切換え後に、次回の制御判定を行うまでの効果待ち時間を設ける効果待ちステップ、
を備えたことを特徴とする簡易温湿度制御方法。
【請求項2】
前記制御ステップは、
冷房運転時において、前記温度測定値の全てが、所定の温度範囲の下限閾値を下回ったまま一定時間運転した場合、
又は、
暖房運転時において、前記温度測定値の全てが、所定の温度範囲の上限閾値を上回ったまま一定時間運転した場合に、
より出力を制限する制限段数に切換えることを特徴とする請求項1に記載の簡易温湿度制御方法。
【請求項3】
前記制御ステップは、
冷房運転時において、更に前記湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の上限閾値を上回ったまま前記一定時間運転した場合、
又は、
暖房運転時において、更に前記湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回ったまま前記一定時間運転した場合であり、
かつ、現在の制限段数が、出力制限を最大限に行う最大段数よりも1段階緩やかな制限段数である場合には、
前記効果待ちステップにおける効果待ち時間を、より長く設けることを特徴とする請求項2に記載の簡易温湿度制御方法。
【請求項4】
前記制御ステップは、
冷房運転時において、前記温度測定値の全てが所定の温度範囲の下限閾値を下回るわけではなく、前記温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の上限閾値を上回ることもなく、かつ、前記湿度測定値の全てが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回ったまま一定時間運転した場合、
又は、
暖房運転時において、前記温度測定値の全てが所定の温度範囲の上限閾値を上回るわけではなく、前記温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の下限閾値を下回ることもなく、かつ、前記湿度測定値の全てが、所定の湿度範囲の上限閾値を上回ったまま一定時間運転した場合に、
より出力を制限する制限段数に切換えることを特徴とする請求項1に記載の簡易温湿度制御方法。
【請求項5】
前記制御ステップにおいて、現在の制限段数が、出力制限を最大限に行う最大段数である場合には、制限段数の切換えを行わないことを特徴とする請求項2~4に記載の簡易温湿度制御方法。
【請求項6】
前記制御ステップは、
冷房運転時において、前記温度測定値の全てが所定の温度範囲の下限閾値を下回るわけではなく、前記温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の上限閾値を上回ることもなく、かつ、前記湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の上限閾値を上回ったまま一定時間運転した場合、
又は、
暖房運転時において、前記温度測定値の全てが所定の温度範囲の上限閾値を上回るわけではなく、前記温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の下限閾値を下回ることもなく、かつ、前記湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回ったまま一定時間運転した場合に、
より出力制限を緩和する制限段数に切換えることを特徴とする請求項1に記載の簡易温湿度制御方法。
【請求項7】
前記制御ステップは、
冷房運転時において、前記温度測定値の少なくとも1つが、所定の温度範囲の上限閾値を上回り、かつ、前記湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の上限閾値を上回ったまま一定時間運転した場合、
又は、
暖房運転時において、前記温度測定値の少なくとも1つが、所定の温度範囲の下限閾値を下回り、かつ、前記湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回ったまま一定時間運転した場合に、
より出力制限を緩和する制限段数に切換えることを特徴とする請求項1に記載の簡易温湿度制御方法。
【請求項8】
前記制御ステップにおいて、現在の制限段数が、出力制限を最小限に留める最小段数である場合には、制限段数の切換えを行わないことを特徴とする請求項6又は7に記載の簡易温湿度制御方法。
【請求項9】
前記制御ステップにおいて切換え又は維持された制限段数の出力上限と、目標となるデマンド値に基づく出力上限を比較して、より低い出力上限に該当する前記制限段数を選択する比較ステップを更に備えたことを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の簡易温湿度制御方法。
【請求項10】
1基の室外機で1台以上の室内機を個別に運転できる空調システムにおける外気処理機の制御装置であって、
空調対象となる室内の少なくとも1箇所において、温度及び湿度を計測するための温度計測部及び湿度計測部を備えた温湿度計測手段と、
計測した温度及び湿度の測定値に基づいて、予め設定された制限段数を切換える制御部を備えた制御手段、
を備え、
前記制御手段は、制限段数の切換え後に、次回の制御判定を行うまでの効果待ち時間を設けることのできる設定手段、
を備えたことを特徴とする簡易温湿度制御装置。
【請求項11】
前記温湿度計測手段は、無線通信により前記測定値を前記制御手段に送信する送信手段を備え、
前記制御手段は、無線通信により前記測定値を受信する受信手段を備え、
たことを特徴とする請求項10に記載の簡易温湿度制御装置。
【請求項12】
前記制御手段において切換え又は維持された制限段数の出力上限と、目標となるデマンド値に基づく出力上限を比較して、より低い出力上限に該当する前記制限段数を選択する比較手段を更に備えたことを特徴とする請求項10又は11の何れかに記載の簡易温湿度制御装置。
【請求項13】
請求項1~9の何れかの簡易温湿度制御方法における各ステップを、コンピュータに実行させるための簡易温湿度制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1基の室外機で1台以上の室内機を個別に運転できる空気調和装置の内、外気処理を行う装置の省エネ性能を高める技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、1基の室外機で1台以上の室内機を個別に運転できるビル用マルチエアコンの外気処理機においては、過剰運転を起こすことで、エネルギーを無駄にしてしまう問題がある。そこで、ビル用マルチエアコンの外気処理機についても制御対象とすることで、省エネ化を図る空調システムが知られている(特許文献1を参照)。
上記特許文献1に開示された空調システムは、室外温度センサで検出された温度が、複数の温度設定部で設定された設定温度のうち最小設定温度を下回った場合、外気処理機を普通換気モードとするものであり、過剰運転を防止する効果を有するものである。
【0003】
しかしながら、上記空調システムは、空調システムの外気処理機において、過剰運転を防止する機能を予め空調システムに搭載することを前提としており、当該機能を有しない空調装置に適用しようとすると設置コストが高額となるという問題がある。また、温度についてのみ考慮し、湿度については考慮しないため、適切な制御が十分になされないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-3793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる状況に鑑みて、本発明は、個別分散空調システムの外気処理機につき、簡易な構成で効率の良い制御を行うことができ、しかも個別分散空調システムから独立して機能し得る簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の簡易温湿度制御方法は、1基の室外機で1台以上の室内機を個別に運転できる空調システムにおける外気処理機の制御方法であって、空調対象となる室内の少なくとも1箇所において温度及び湿度を計測する計測ステップと、計測した温度及び湿度の測定値に基づいて、予め設定された制限段数を切換え又は維持する制御ステップを備え、制御ステップは、制限段数の切換え後に、次回の制御判定を行うまでの効果待ち時間を設ける効果待ちステップを備える。
計測ステップにおいて、空調対象となる室内の温度及び湿度を計測することにより、より適切な外気処理機の制御が可能となる。制御ステップを備えることにより、室内の温度や湿度に応じたきめ細かい制御が可能となる。
また、制限段数の切換えによる効果が発生するためには、一定時間の経過を待つ必要がある。そこで、効果待ちステップを備えることにより、制御ステップにおける制限段数の切換えをより効果的なものとすることができる。効果待ちステップにおける効果待ち時間は、温度及び湿度の測定値に基づいて決定することでもよい。
【0007】
本発明の簡易温湿度制御方法において、制御ステップは、冷房運転時において、温度測定値の全てが、所定の温度範囲の下限閾値を下回ったまま一定時間運転した場合、又は、暖房運転時において、温度測定値の全てが、所定の温度範囲の上限閾値を上回ったまま一定時間運転した場合に、より出力を制限する制限段数に切換えることでもよい。
上記条件を充たす場合には、ビル用マルチエアコンの外気処理機において、過剰運転となっている可能性が高いため、より出力を制限する制限段数に切換えることで、省エネ化を図ることができる。
なお、本明細書において“所定の温度範囲”とは、例えば、冷房運転時においては26~28℃、暖房運転時においては20~22℃といった温度範囲のことであり、快適性や省エネ性の観点から適宜設定されるものである。また、上記の例の場合、冷房運転時の“上限閾値”は28℃、“下限閾値”は26℃となり、暖房運転時の“上限閾値”は22℃、“下限閾値”は20℃となる。
【0008】
本発明の簡易温湿度制御方法において、制御ステップは、冷房運転時において、温度測定値の全てが、所定の温度範囲の下限閾値を下回り、更に湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の上限閾値を上回ったまま一定時間運転した場合、又は、暖房運転時において、温度測定値の全てが、所定の温度範囲の上限閾値を上回り、更に湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回ったまま一定時間運転した場合であり、かつ、現在の制限段数が、出力制限を最大限に行う最大段数よりも1段階緩やかな制限段数である場合には、効果待ちステップにおける効果待ち時間をより長く設けることが好ましい。
温度条件では“制限”、湿度条件では“解除”といった矛盾した状況になったときには、制限をかけてもすぐに解除が成立して、制限と解除を頻繁に繰り返す状況になってしまうため、その場合だけ効果待ち時間を長く設け、繰り返す頻度が少なくなるようにしたものである。
【0009】
本発明の簡易温湿度制御方法において、制御ステップは、冷房運転時において、温度測定値の全てが所定の温度範囲の下限閾値を下回るわけではなく、温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の上限閾値を上回ることもなく、かつ、湿度測定値の全てが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回ったまま一定時間運転した場合、又は、暖房運転時において、温度測定値の全てが所定の温度範囲の上限閾値を上回るわけではなく、温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の下限閾値を下回ることもなく、かつ、湿度測定値の全てが、所定の湿度範囲の上限閾値を上回ったまま一定時間運転した場合に、より出力を制限する制限段数に切換えることでもよい。
上記条件を充たす場合には、ビル用マルチエアコンの外気処理機において、過剰運転となっている可能性が高いため、より出力を制限する制限段数に切換えることで、省エネ化を図ることができる。
【0010】
本発明の簡易温湿度制御方法は、制御ステップにおいて、より出力を制限する制限段数に切換えるに当たり、現在の制限段数が、出力制限を最大限に行う最大段数である場合には、制限段数の切換えを行わないことが好ましい。
現在の制限段数が、出力制限を最大限に行う最大段数である場合には、より出力を制限する制限段数に切換えることができないため、切換えを行わず、制限段数を維持することとしたものである。
【0011】
本発明の簡易温湿度制御方法において、制御ステップは、冷房運転時において、温度測定値の全てが所定の温度範囲の下限閾値を下回るわけではなく、温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の上限閾値を上回ることもなく、かつ、湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の上限閾値を上回ったまま一定時間運転した場合、又は、暖房運転時において、温度測定値の全てが所定の温度範囲の上限閾値を上回るわけではなく、温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の下限閾値を下回ることもなく、かつ、湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回ったまま一定時間運転した場合に、より出力制限を緩和する制限段数に切換えることでもよい。
上記条件を充たす場合には、ビル用マルチエアコンの外気処理機において、過剰運転となっている可能性が低いため、より出力制限を緩和する制限段数に切換えることで、快適な室内空間を維持することができる。
【0012】
本発明の簡易温湿度制御方法において、制御ステップは、冷房運転時において、温度測定値の少なくとも1つが、所定の温度範囲の上限閾値を上回り、かつ、湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の上限閾値を上回ったまま一定時間運転した場合、又は、暖房運転時において、温度測定値の少なくとも1つが、所定の温度範囲の下限閾値を下回り、かつ、湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回ったまま一定時間運転した場合に、より出力制限を緩和する制限段数に切換えることでもよい。
上記条件を充たす場合には、ビル用マルチエアコンの外気処理機において、過剰運転となっている可能性が低いため、より出力制限を緩和する制限段数に切換えることで、快適な室内空間を維持することができる。
【0013】
本発明の簡易温湿度制御方法は、制御ステップにおいて、より出力制限を緩和する制限段数に切換えるに当たり、現在の制限段数が、出力制限を最小限に留める最小段数である場合には、制限段数の切換えを行わないことが好ましい。
現在の制限段数が、出力制限を最小限に留める最小段数である場合には、より出力制限を緩和する制限段数に切換えることができないため、切換えを行わず、制限段数を維持することとしたものである。
【0014】
本発明の簡易温湿度制御方法は、制御ステップにおいて切換え又は維持された制限段数の出力上限と、目標となるデマンド値に基づく出力上限を比較して、より低い出力上限に該当する制限段数を選択する比較ステップを更に備えたことが好ましい。
デマンド値とは、30分間の平均使用電力のことであり、1ヵ月間における最大デマンド値を基準に契約電力が決定されることから、電気料金を抑制するためには、デマンド値を下げる必要がある。そこで、空調システムにおいては、目標となるデマンド値を設定し、それを超えるデマンド値とならないような制御が行われている。
そこで、デマンド制御が行われている場合に、制御ステップにおいて切換え又は維持された制限段数の出力上限と、目標となるデマンド値に基づく出力上限を比較して、より低い出力上限に該当する制限段数を選択することで、目標となるデマンド値を超えることなく、エネルギー効率の良い制御を可能としたものである。ここで“より低い出力上限”とは、「より出力を制限する」段数を選択することを意味している。なお、制限段数の比較を容易なものとするために、室外機に設定される簡易温湿度制御用の制限段数とデマンド制御用の制限段数は、同じ数で、かつ同一の出力上限を有することが好ましい。
【0015】
本発明の簡易温湿度制御装置は、1基の室外機で1台以上の室内機を個別に運転できる空調システムにおける外気処理機の制御装置であって、空調対象となる室内の少なくとも1箇所において、温度及び湿度を計測するための温度計測部及び湿度計測部を備えた温湿度計測手段と、計測した温度及び湿度の測定値に基づいて、予め設定された制限段数を切換える制御部を備えた制御手段を備え、制御手段は、制限段数の切換え後に、次回の制御判定を行うまでの効果待ち時間を設けることのできる設定手段を備える。
ここで、温度計測部としては、公知の温度計が好適に用いられ、湿度計測部としては、公知の湿度計が好適に用いられる。設定手段は、効果待ち時間の設定以外にも、制御手段の設定を行うものであり、例えば、制御の基準となる各制限段数における上下限の閾値の設定や、運転開始後、温湿度による制御を開始するまでの時間の設定、判定待ち時間・効果待ち時間の設定等、幅広く設定できることが好ましい。
【0016】
本発明の簡易温湿度制御装置において、温湿度計測手段は、無線通信により測定値を制御手段に送信する送信手段を備え、制御手段は、無線通信により測定値を受信する受信手段を備えたことが好ましい。温湿度計測手段から制御手段へのデータ送信を無線通信により行うことで、設置が容易となる。なお、温湿度計測手段への給電は、温湿度計測手段に設けられた小型の太陽光パネルにより行われることが好ましい。また、上記構成とは異なり、温湿度計測手段と制御手段を通信ケーブルで接続し、有線での通信によりデータを送受信することでもよい。
【0017】
本発明の簡易温湿度制御装置は、制御手段において切換え又は維持された制限段数の出力上限と、目標となるデマンド値に基づく出力上限を比較して、より低い出力上限に該当する制限段数を選択する比較手段を更に備えたことが好ましい。
【0018】
本発明の簡易温湿度制御プログラムは、上記の何れかの簡易温湿度制御方法における各ステップを、コンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の簡易温湿度制御方法、制御装置及び制御プログラムによれば、簡易な構成で、エネルギー効率の良い制御が可能になるといった効果がある。また、既存の空調システムとは独立して機能させることができるため、低コストで装置を後付けすることができるといった効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】簡易温湿度制御装置の機能ブロック図
図2】簡易温湿度制御装置のシステム構成図
図3】実施例1の簡易温湿度制御方法の制御フロー図
図4】第1の制御に関する制御フロー図
図5】第2の制御に関する制御フロー図
図6】第3の制御に関する制御フロー図
図7】デマンド制御との優先順位判定フロー図
図8】実施例2の簡易温湿度制御方法の制御フロー図
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例0022】
図1は、簡易温湿度制御装置の機能ブロック図を示している。図1に示すように、簡易温湿度制御装置1は、温湿度計測手段20及び制御手段30から成り、温湿度計測手段20は、温度計測部21、湿度計測部22及び送信手段23を備え、制御手段30は、制御部31、設定手段32、比較手段33及び受信手段34を備える。
温湿度計測手段20は、空調対象となる室内空間の温湿度を計測し、測定値を制御手段30に送信するものである。具体的には、温度計測部21は、温度を計測するものであり、湿度計測部22は、湿度を計測するものである。また、送信手段23は、無線通信により温度及び湿度の測定値を制御手段30に送信するものである。
【0023】
制御手段30は、温湿度計測手段20から受信した温湿度の測定値に基づいて、外気処理機6の室外機5を制御するものである。具体的には、制御部31は、室外機5の制御を行うものであり、設定手段32は、制御手段30の設定を行うものであり、例えば、制御の基準となる各制限段数における上下限の閾値の設定や、運転開始後、温湿度による制御を開始するまでの時間の設定、判定待ち時間・効果待ち時間の設定等をすることが可能である。比較手段33は、切換え又は維持された制限段数の出力上限と、目標となるデマンド値に基づく出力上限を比較して、より低い出力上限に該当する制限段数を選択するものである。受信手段34は、無線通信により温湿度計測手段20から温湿度の測定値を受信するものである。
外気処理機6は、室内機4及び室外機5を備え、図示しない1基の室外機で複数の室内機を個別に運転できるビル用マルチエアコンの一部を構成している。デマンド制御手段7は、目標となるデマンド値に基づいた制御を行うものである。室外機5、制御手段30及びデマンド制御手段7は、それぞれ有線で接続され、室外機5を制御できる構造である。
【0024】
図2は、簡易温湿度制御装置のシステム構成図を示している。図2に示すように、簡易温湿度制御装置1は、温湿度計測デバイス2及び制御デバイス3から成り、温湿度計測デバイス2は、空調対象となる室内空間10に設置される。設置する温湿度計測デバイス2の数は、図2に示す数に限られず、2つ以下でもよいし、4つ以上でもよい。温湿度計測デバイス2の設置場所としては、外光の影響や、人の出入りによる温湿度の変化の影響を受けにくい場所に設置することが好ましい。
温湿度計測デバイス2から制御デバイス3への温湿度の測定値に関するデータは、電波8に示すように、無線で送信される。図2に示すように、温湿度計測デバイス2への給電は、温湿度計測デバイス2に設けられた小型の太陽光パネル2aにより行われる。制御デバイス3と室外機5は有線の接続ケーブル9で接続されている。接続する室外機5の数は、図2に示す数に限られず、2つ以下でもよいし、4つ以上でもよい。
【0025】
(簡易温湿度制御フローについて)
次に、簡易温湿度制御方法の制御フローについて説明する。まず前提として、前述した制御デバイス3による室外機5の制御について説明する。前述した制御デバイス3による室外機5の制御は、室外機5における接点信号のオンオフ動作により行う。接点信号は制限段数毎に切換えが行われるが、複数の制限段数が設けられている場合には、機種に応じた接点信号をオンにする。制限段数の設定は、ユーザのニーズに応じた設定とする必要があるため、室外機毎に設定される。そこで、簡易温湿度制御装置の利用に当たっては、まず、室外機5における簡易温湿度制御用の制限段数を設定しておく必要がある。下記表1は、室外機5における簡易温湿度制御用の制限段数設定を示している。なお、下記表1に示す制限段数設定はあくまでも一例であり、実際は各メーカーの仕様により異なる。
【0026】
【表1】
【0027】
上記表1に示すように、段数1は、ビット1に設定され、負荷率は0~70%となっている。段数2は、ビット2に設定され、負荷率は0~40%となっている。また、段数3は、ビット3に設定され、負荷率は0%となっている。すなわち、段数3が適用され、ビット3がオンにされた場合には、室外機5の運転は停止されることとなる。なお、段数1~3が適用されない場合には負荷率0~100%で運転することが可能である。
また、段数1はビット1、段数2はビット2というように同じ番号を有するビットに段数を設定する必要はなく、例えば、段数1はビット3、段数2はビット1というように異なる番号を有するビットに設定することも可能である。
【0028】
図3は、実施例1の簡易温湿度制御方法の制御フロー図を示している。なお、実施例1の簡易温湿度制御方法は、冷房運転時を前提としている。
図3に示すように、まずビル用マルチエアコンの運転を開始する(ステップS01)。運転開始後は、室内を適切な温度に迅速に調整するため、室外機の出力上限値で一定時間運転を行う(ステップS02)。一定時間運転が行われた後、簡易温湿度制御装置による運転状態の判定が開始される(ステップS03)。判定開始時において、どの制限段数を初期段数とするかについては、ユーザのニーズに合わせて、設定手段32を用いて任意に設定可能である。
【0029】
運転状態の判定として、まず、温度計測部21において測定した温度測定値が全て所定の下限閾値を下回るかを判定し(ステップS04)、温度測定値が全て所定の下限閾値を下回る場合には、湿度計測部22において測定した湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の上限閾値を上回るかを判定する(ステップS05)。湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の上限閾値を上回る場合には、制限段数が「最大段数-1」であるか否かを判定し(ステップS06)、「最大段数-1」である場合には、第1の制御を行う(ステップS07)。ここで「最大段数-1」とは、前述の制限段数設定に当てはめると「段数3-1」、すなわち「段数2」を指すこととなる。
【0030】
温度計測部21において測定した温度測定値が全て所定の下限閾値を下回るかを判定し(ステップS04)、温度測定値が全て所定の下限閾値を下回るわけではない場合には、温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の上限閾値を上回るかを判定する(ステップS08)。ここで、温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の上限閾値を上回るという条件を充たさない場合には、湿度測定値が全て所定の下限閾値を下回るかを判定し(ステップS09)、かかる条件を充たす場合には、第2の制御を行う(ステップS10)。
また、ステップS05において湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の上限閾値を上回るといえない場合や、ステップS06において制限段数が「最大段数-1」ではない場合についても、第2の制御を行う(ステップS10)。
【0031】
ステップS08において、温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の上限閾値を上回ると判定された場合には、湿度測定値の少なくとも1つが所定の湿度範囲の上限閾値を上回るかを判定し(ステップS11)、かかる条件を充たす場合には、第3の制御を行う(ステップS12)。これに対して、かかる条件を充たさない場合には、再度、運転状態を判定する(ステップS03)。
【0032】
(第1の制御について)
次に、第1~3の制御について具体的に説明する。図4は、第1の制御に関する制御フロー図を示している。図4に示すように、まず、判定待ち時間の経過を待って(ステップS21)、制限段数を1段階上げる(ステップS22)。図3のステップS06に示すように、第1の制御では、前述の制限段数設定における「最大段数-1」、すなわち「段数2」に該当するため、「段数2」から「段数3」へと制限段数を切換える。その後、比較的長時間の効果待ち時間の経過を待って(ステップS23)、運転状態を再判定する(ステップS24)。なお、ステップS24における運転状態の再判定とは、ステップS03における運転状態の判定のことを指している。
このように、第1の制御においては、効果待ち時間を長く設けている。これは、温度測定値が全て所定の下限閾値を下回るにもかかわらず(ステップS04)、湿度測定値の少なくとも1つが所定の湿度範囲の上限閾値を上回る(ステップS05)という状態にあり、このように温度条件では“制限”、湿度条件では“解除”といった矛盾した状況になったときには、制限をかけてもすぐに解除が成立して、制限と解除を頻繁に繰り返す状況になってしまうため、その場合だけ効果待ち時間を長く設け、繰り返す頻度が少なくなるようにしたものである。
【0033】
(第2の制御について)
図5は、第2の制御に関する制御フロー図を示している。図5に示すように、まず、判定待ち時間の経過を待って(ステップS31)、制限段数が最大段数ではないかの判定を行う(ステップS32)。制限段数が最大段数ではない場合、すなわち前述の制限段数設定における「段数3」以外の場合には、例えば、「段数1」から「段数2」のように、制限段数を1段階上げる(ステップS33)。その後、比較的短時間の効果待ち時間の経過を待って(ステップS34)、運転状態を再判定する(ステップS35)。
これに対して、制限段数が最大段数である場合(ステップS32)、すなわち前述の制限段数設定における「段数3」に該当する場合には、当該制限段数を維持し(ステップS36)、運転状態を再判定する(ステップS35)。なお、ステップS35における運転状態の再判定とは、ステップS03における運転状態の判定のことを指している。
このように、第2の制御においては、当該制限段数を維持する(ステップS36)場合には、効果待ち時間を設けず、制限段数を1段階上げる(ステップS33)場合には、効果待ち時間を設けている。これは、制限段数を切換えた場合には、切換えの効果が発生するまでに一定の時間経過が必要となるため、効果待ち時間を設けたものである。また、第2の制御においては、効果待ち時間を第1の制御よりも短く設けている。これは、図3に示すフローから、第1の制御よりも、制限と解除を頻繁に繰り返す状況となっている可能性が低いと考えられるからである。
【0034】
(第3の制御について)
図6は、第3の制御に関する制御フロー図を示している。図6に示すように、まず、判定待ち時間の経過を待って(ステップS41)、制限段数が最小段数ではないかの判定を行う(ステップS42)。制限段数が最小段数ではない場合、すなわち前述の制限段数設定における「段数なし」以外の場合には、例えば、「段数2」から「段数1」のように、制限段数を1段階下げる(ステップS43)。その後、比較的短時間の効果待ち時間の経過を待って(ステップS44)、運転状態を再判定する(ステップS45)。
これに対して、制限段数が最小段数である場合(ステップS42)、すなわち前述の制限段数設定における「段数なし」に該当する場合には、当該制限段数を維持し(ステップS46)、運転状態を再判定する(ステップS45)。なお、ステップS45における運転状態の再判定とは、ステップS03における運転状態の判定のことを指している。
このように、第3の制御においては、当該制限段数を維持する(ステップS46)場合には、効果待ち時間を設けず、制限段数を1段階下げる(ステップS43)場合には、効果待ち時間を設けている。これは、第2の制御と同様に、制限段数を切換えた場合には、切換えの効果が発生するまでに一定の時間経過が必要となるため、効果待ち時間を設けたものである。
【0035】
(デマンド制御との優先順位判定について)
図1に示すデマンド制御手段7により、デマンド制御が行われている場合には、デマンド制御と簡易温湿度制御の優先順位が問題となる。図7は、デマンド制御との優先順位判定フロー図を示している。
図7に示すように、まず、簡易温湿度制御に基づく制限段数の判定を行う(ステップS51)。なお、簡易温湿度制御フローについては、図3~6で示した通りである。
ここで、デマンド制御が行われていない場合には(ステップS52)、温湿度制御に基づく制限段数が適用される(ステップS53)。これに対して、デマンド制御が行われている場合には(ステップS52)、デマンド制御に基づく制限段数の方がより出力を制限するかの判定がなされ(ステップS54)、デマンド制御に基づく制限段数の方がより出力を制限する場合には、デマンド制御に基づく制限段数が適用される(ステップS55)。これに対して、デマンド制御に基づく制限段数の方がより出力を制限するといえない場合には、温湿度制御に基づく制限段数が適用される(ステップS53)。
このように、デマンド制御と簡易温湿度制御の優先順位については、より省エネ化が図られる段数が優先的に選択される構成となっている。
【実施例0036】
実施例2では、暖房運転時を前提とした簡易温湿度制御方法について説明する。なお、室外機5における簡易温湿度制御用の制限段数設定については、実施例1と同様である。
図8は、実施例2の簡易温湿度制御方法の制御フロー図を示している。図8に示すように、まずビル用マルチエアコンの運転を開始する(ステップS61)。運転開始後は、室内を適切な温度に迅速に調整するため、室外機の出力上限値で一定時間運転を行う(ステップS62)。一定時間運転が行われた後、簡易温湿度制御装置による運転状態の判定が開始される(ステップS63)。判定開始時において、どの制限段数を初期段数とするかについては、ユーザのニーズに合わせて、設定手段32を用いて任意に設定可能である。
【0037】
運転状態の判定として、まず、温度計測部21において測定した温度測定値が全て所定の上限閾値を上回るかを判定し(ステップS64)、温度測定値が全て所定の上限閾値を上回る場合には、湿度計測部22において測定した湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回るかを判定する(ステップS65)。湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回る場合には、制限段数が「最大段数-1」であるか否かを判定し(ステップS66)、「最大段数-1」である場合には、第1の制御を行う(ステップS67)。ここで「最大段数-1」とは、前述の制限段数設定に当てはめると「段数3-1」、すなわち「段数2」を指すこととなる。
【0038】
温度計測部21において測定した温度測定値が全て所定の上限閾値を上回るかを判定し(ステップS64)、温度測定値が全て所定の上限閾値を上回るわけではない場合には、温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の下限閾値を下回るかを判定する(ステップS68)。ここで、温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の下限閾値を下回るという条件を充たさない場合には、湿度測定値が全て所定の上限閾値を上回るかを判定し(ステップS69)、かかる条件を充たす場合には、第2の制御を行う(ステップS70)。
また、ステップS65において湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回るといえない場合や、ステップS66において制限段数が「最大段数-1」ではない場合についても、第2の制御を行う(ステップS70)。
【0039】
ステップS68において、温度測定値の少なくとも1つが所定の温度範囲の下限閾値を下回ると判定された場合には、湿度測定値の少なくとも1つが所定の湿度範囲の下限閾値を下回るかを判定し(ステップS71)、かかる条件を充たす場合には、第3の制御を行う(ステップS72)。これに対して、かかる条件を充たさない場合には、再度、運転状態を判定する(ステップS63)。
【0040】
(第1の制御について)
次に、第1~3の制御について具体的に説明する。第1~3の制御については、実施例1と同様であるため、図4~6の制御フロー図を用いて説明する。第1の制御については、図4に示すように、まず、判定待ち時間の経過を待って(ステップS21)、制限段数を1段階上げる(ステップS22)。図8のステップS66に示すように、第1の制御では、前述の制限段数設定における「最大段数-1」、すなわち「段数2」に該当するため、「段数2」から「段数3」へと制限段数を切換える。その後、比較的長時間の効果待ち時間の経過を待って(ステップS23)、運転状態を再判定する(ステップS24)。なお、ステップS24における運転状態の再判定とは、ステップS63における運転状態の判定のことを指している。
このように、第1の制御においては、効果待ち時間を長く設けている。これは、温度測定値が全て所定の上限閾値を上回るにもかかわらず(ステップS64)、湿度測定値の少なくとも1つが、所定の湿度範囲の下限閾値を下回る(ステップS65)という状態にあり、このように温度条件では“制限”、湿度条件では“解除”といった矛盾した状況になったときには、制限をかけてもすぐに解除が成立して、制限と解除を頻繁に繰り返す状況になってしまうため、その場合だけ効果待ち時間を長く設け、繰り返す頻度が少なくなるようにしたものである。
【0041】
(第2の制御について)
第2の制御については、図5に示すように、まず、判定待ち時間の経過を待って(ステップS31)、制限段数が最大段数ではないかの判定を行う(ステップS32)。制限段数が最大段数ではない場合、すなわち前述の制限段数設定における「段数3」以外の場合には、例えば、「段数1」から「段数2」のように、制限段数を1段階上げる(ステップS33)。その後、比較的短時間の効果待ち時間の経過を待って(ステップS34)、運転状態を再判定する(ステップS35)。
これに対して、制限段数が最大段数である場合(ステップS32)、すなわち前述の制限段数設定における「段数3」に該当する場合には、当該制限段数を維持し(ステップS36)、運転状態を再判定する(ステップS35)。なお、ステップS35における運転状態の再判定とは、ステップS63における運転状態の判定のことを指している。
このように、第2の制御においては、当該制限段数を維持する(ステップS36)場合には、効果待ち時間を設けず、制限段数を1段階上げる(ステップS33)場合には、効果待ち時間を設けている。これは、制限段数を切換えた場合には、切換えの効果が発生するまでに一定の時間経過が必要となるため、効果待ち時間を設けたものである。また、第2の制御においては、効果待ち時間を第1の制御よりも短く設けている。これは、図8に示すフローから、第1の制御よりも、制限と解除を頻繁に繰り返す状況となっている可能性が低いと考えられるからである。
【0042】
(第3の制御について)
第3の制御については、図6に示すように、まず、判定待ち時間の経過を待って(ステップS41)、制限段数が最小段数ではないかの判定を行う(ステップS42)。制限段数が最小段数ではない場合、すなわち前述の制限段数設定における「段数なし」以外の場合には、例えば、「段数2」から「段数1」のように、制限段数を1段階下げる(ステップS43)。その後、比較的短時間の効果待ち時間の経過を待って(ステップS44)、運転状態を再判定する(ステップS45)。
これに対して、制限段数が最小段数である場合(ステップS42)、すなわち前述の制限段数設定における「段数なし」に該当する場合には、当該制限段数を維持し(ステップS46)、運転状態を再判定する(ステップS45)。なお、ステップS45における運転状態の再判定とは、ステップS63における運転状態の判定のことを指している。
このように、第3の制御においては、当該制限段数を維持する(ステップS46)場合には、効果待ち時間を設けず、制限段数を1段階下げる(ステップS43)場合には、効果待ち時間を設けている。これは、第2の制御と同様に、制限段数を切換えた場合には、切換えの効果が発生するまでに一定の時間経過が必要となるため、効果待ち時間を設けたものである。
【0043】
(デマンド制御との優先順位判定について)
デマンド制御との優先順位判定については、実施例1と同様であるため、説明を割愛する。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、ビル用マルチエアコンにおいて、省エネ性能を向上させる技術として有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 簡易温湿度制御装置
2 温湿度計測デバイス
2a 太陽光パネル
3 制御デバイス
4 室内機
5 室外機
6 外気処理機
7 デマンド制御手段
8 電波
9 接続ケーブル
10 室内空間
20 温湿度計測手段
21 温度計測部
22 湿度計測部
23 送信手段
30 制御手段
31 制御部
32 設定手段
33 比較手段
34 受信手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8