(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027352
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】β崩壊促進によるウラン核分裂放射能元素の無害化
(51)【国際特許分類】
G21F 9/06 20060101AFI20220203BHJP
G21F 9/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G21F9/06 591
G21F9/00 N
G21F9/06 561
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020139668
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】509346357
【氏名又は名称】島 安治
(72)【発明者】
【氏名】島 安治
(57)【要約】
【課題】 原子力発電所から放出されるトリチウム水等の汚染水の放射能を無害化すること。
【解決手段】 汚染水の超音波振動によって、核分裂放射性原子のβ崩壊を促進する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリチウム等β崩壊元素を含む汚染水を、超音波振動によって無害化する方法。
【請求項2】
トリチウム等β崩壊元素を含む汚染水を、超音波振動と電気泳動により濃縮する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所・使用済み核燃料再処理工場等で発生する放射能汚染水を無害化する方法に関するものである。特に、事故後の福島第1原発の放射能汚染水の惨状緊急事態に対応するものである。
【背景技術】
【0002】
ウラン核分裂で発生する放射性廃棄物元素は、殆どがβ崩壊する。β崩壊は素粒子の弱い相互作用であり、原子核の中性子が核内でそのまま陽子に変り、電子が放出される。陽子が一つ増えるので原子は変わるが、陽子と中性子の合計の質量数はそのままである。従って、核融合反応に比べて、外部励起によって起る容易な現象である。
【0003】
超音波洗浄器では、気泡が発生し、この気泡が振動で押しつぶされて圧壊する。この微小圧壊部分は数千度・数百気圧以上の極限状態になる。これを利用して化学反応を促進させる「ソノケミストリー」という分野がある(「非特許文献1」)。
【0004】
この刺激で重水を壊して、重水素の弾丸を放射性元素の原子核に照射し、核励起させる。重水素の原子核の陽子1個は、プラス電荷が電荷無しの中性子1個で弱められるので、相手の原子核と電荷反発が少なくなり、相手の原子核に当たり易い。同様にトリチウムも、陽子1個のプラス電荷が電荷無し中性子2個で弱められるので当り易い。計画されて居る核融合プロジェクトは、トリチウムTと重水素Dの衝突である理由である。
【0005】
水は、殆どの軽水分子と、重水分子、トリチウム水分子とから成る。軽水は水素結合によって、分子網クラスターを形成して居る。重水素の原子核は陽子1個と中性子1個、トリチウムの原子核は陽子1個と中性子2個で構成され、それらの原子核は中性子で陽電荷が弱められるので、軽水分子網内で孤立している。上方から超音波を照射すると、重水分子とトリチウム水分子は、破られた軽水網内を降下し、相互接触すると質量数が軽水18よりも20で大きいので、分子間力で分子塊ができて降下濃縮する。
【0006】
各水分子の数は、軽水分子は1025/L、重水分子は1021/L、事故の福島第1原発の汚染水の4百万Beq.のトリチウム水分子の場合は、1014/L(「非特許文献2」)である。
【0007】
ウラン核分裂放射性原子のセシウム、ストロンチウム、テルル、セリウム、プロメチウム、ユウロビウム等は、水溶液中ではプラスに帯電している。そのため、上部液面と下部濃縮領域との間に、直流電場を掛けて電気泳動で降下を促進する。
【特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ソノプロセスのはなし―超音波の化学工学利用―:飯田康夫、日刊工業新聞社、2006年発行。
【非特許文献2】The whole number of radioactive atoms:投稿中
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、事故後の福島第1原発の汚染水問題を解決するものである。
ALPSの浄化装置では、トリチウム水分子は勿論、ウラン核分裂放射性原子も分離除去されていない。放出放水できないので保管タンクが増えるのみである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するために、
図1の如く、汚染水を<超音波振動濃縮装置>筒に入れて、重水分子、トリチウム水分子、ウラン核分裂放射性原子を濃縮し、それらが除去された水は放水する。濃縮水は<核励起β崩壊装置>に移されて、それらの放射性原子が安定元素に変換されて放水される。以下の特徴がある。
(1)<超音波振動濃縮装置>の上端に傘型超音波振動子があり、螺旋状の振動が下部に伝搬する。この振動衝撃で、分散して居る重水分子とトリチウム水分子が邂逅して、次第に分子塊になる。
(2)イオン化して居る核分裂放射性原子は、上端と下端の電極網の電気泳動で下部に移動する。
(3)上記装置筒の下方近くで、放射能をモニターしながら放水する。
(4)上記の濃縮水は下部から、超音波振動励起される<核励起β崩壊装置>に移される。
そして、濃縮されたβ崩壊放射能元素は、安定元素に変換される。
【発明の効果】
【0011】
事故後の福島第1原発の放射能汚染水が無害化される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】▲1▼処理槽の筒の上部に傘型の超音波振動子がある。▲2▼上端と下端に、陽イオンを下部に移動する網電極がある。▲3▼上端から給水し、下方から放水する。▲4▼濃縮水は、<核励起β崩壊装置>に移されて、安定元素に変換される。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
<超音波振動濃縮装置>は、内径10cm-長さ2mの筒である。1時間処理されて、下部で1000倍に濃縮される。上下の電極網には、200Vの直流電場がかけられる。濃縮された液を元素変換する<核励起β崩壊装置>は共通の装置であり、装置周辺は鉛防護される。設備規模設置面積で問題になるのは<濃縮装置>の方である。
筒15.7L×12回/日=188L/日×30日=5640L/月~5.6トン/月×100台=560トン/月×6カ月=3360トン 100台の装置で、半年で3千トン以上処理されることになる。
<核励起β崩壊装置>では、汚染水が濃縮されて、重水分子はもちろん、トリチウム水分子も核励起弾丸になって核励起β崩壊が促進される。以下はその例である:
トリチウム3T→ヘリウムHe セシウム137・134Cs→バリウムBa
ストロンチウム90Sr→イットリウムY→ジルコニウムZr
テルル127Te→ヨウ素I セリウム144Ce→プラセオジムPr→ネオジウムNd
プロメチウム147Pm→サマリウムSm ユウロビウム154Eu→ガドリニウムGd
ルテニウム106Ru→ロジウムRh→パラジウムPd 炭素14C→窒素N