(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027355
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】顔面カバー帽子
(51)【国際特許分類】
A42B 1/018 20210101AFI20220203BHJP
A42B 1/06 20210101ALI20220203BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20220203BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A42B1/18 B
A42B1/06 Z
A41D13/11 Z
A41D13/11 L
A62B18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020139671
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】501426703
【氏名又は名称】佐藤 貞一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貞一
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA11
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】本発明は、ウイルス感染症、特に新型コロナウイルス感染症の新規な飛沫感染防護具として、極めて有効で、かつ使いやすく重宝で、しかも原価が安く、大量生産でき、至急に一般普及できる顔面カバー帽子(6)の提供である。
【解決手段】本発明は、布状カバー(5)の前部(3)に、透明シート状の覗き窓(4)を付け、カバー後部(7)の端に切れ込み隙間(8)を設け、帽子(1)のつば(2)に、この布状カバー(5)を円筒状に垂れ下げる顔面カバー帽子(6)である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布状カバー(5)の前部(3)に、透明シート状の覗き窓(4)を付け、カバー後部(7)の端に切れ込み隙間(8)を設け、帽子(1)のつば(2)に、この布状カバー(5)を円筒状に垂れ下げる請求項1の顔面カバー帽子(6)。
【請求項2】
つば(2)突出の長さが3cm~30cmである請求項1の顔面カバー帽子(6)。
【請求項3】
接着具(9a,9b,9c)で布状カバー(5)をつば(2)に付ける請求項1顔の顔面カバー帽子(6)。
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染症、特に新型コロナウイルス感染症の飛沫感染防護具に関する。
【背景技術】
【0002】
2019年秋より2020年7月現在、新型コロナウイルス感染症が世界に蔓延し、人類の脅威になっている。我が国でも該ウイルスの感染者が三万人以上となっている。外出自粛、休校、休業などの対策にもかかわらず、感染に歯止めがかからず、人々を不安に陥れている。
【0003】
該ウイルスは何時、何処で、誰に感染するか、いかに高名な医療研究従事者でも予測がつかず、一般人自ら、該ウイルスを防ぐ自覚が大切である。よって誰でも着用でき、高い防護力を備え、かつ原価が安く、大量生産できる新規な感染防護具が必要とされる。
【0004】
従来、一般の該ウイルス感染に対する防護具は、主にマスクやフェイスガード等である。これらは着用が簡単で、安く入手でき、医療関係者のお墨付きもあり、広く普及している。しかるに、未だ感染が増え続け、予防効果が不十分と考えざるをえない。
先ずマスクは、口、鼻からの該ウイルス侵入予防に効果的とされるが、飛沫が目、耳穴等へ入る欠点がある。また髪、顔面頬に付着した該ウイルスが、汗、雨等でマスクを潜り抜け、口へ流れ込み、感染に至る危険性がある。
【0005】
次にフェイスガード等は、顔の全体を覆い、該ウイルス予防に効果的とされるが、頭部に付着した該ウイルスの飛沫が、汗等で髪から頬を伝わり、目、口等へ侵入する危険がある。その上、顎の下や側頭部に大きな隙間があるので、そこから飛沫が風来して顔面に侵入する欠点がある。
【0006】
さらにフェイスガード等は、透明カバーで顔面全体を覆うので、夏季には温室状態となり、マスクと併用すると蒸れが生じ、熱中症になる恐れがある。また、また目の前の部分が曇って使用しにくい不便さを有する。
【0007】
よって従来の飛沫感染防護具は、該ウイルス、すなわち新型コロナウイルス感染症に対し、予防が不完全であり、新たな飛沫感染防護具の開発は急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、つばを有する帽子において、そのつばに、布状カバーを円筒状に垂れ下げれば、顔面頭部全体を保護できることに着目し、ウイルスをはじめとする感染症病原体の人体への侵入を、未然に防ぐことができる考えに至った。
本発明は、ウイルス感染症、特に新型コロナウイルス感染症の新規な飛沫感染防護具として、極めて有効な顔面カバー帽子の提供を目的とするものである。
【問題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、布状カバー(5)の前部(3)に、透明シート状の覗き窓(4)を付け、カバー後部(7)の端に切れ込み隙間(8)を設け、帽子(1)のつば(2)に、この布状カバー(5)を円筒状に垂れ下げる顔面カバー帽子(6)である。また、つば(2)突出の長さ3cm~30cmである顔面カバー帽子(6)である。また、接着具(9a,9b,9c)を用いて布状カバー(5)をつば(2)に付ける顔面カバー帽子(6)である。
【本発明の効果】
【0010】
本発明の顔面カバー帽子(6)は、つば(2)を有する帽子(1)に布状カバー(5)を円筒状に垂れ下げ、顔面頭部全体を覆うことにより、ウイルス等を含む飛沫が、髪、顔肌、目、耳、鼻、口等に付着するのをはね除け、人体に入るのを阻止し、新型コロナウイルス感染症の発生を、未然に防ぐ効果を有する。
【0011】
また、接待を伴う賑やかな施設等で本発明を用いる場合、つば(2)の長い帽子(1)に布カバー(5)を設け、幅広い円筒形布状カバー(5)内で食事動作をすることにより、他者との食事会話時に発する飛沫を遮断でき、該ウイルスのクラスター感染を防ぐ効果がある。
本発明の布カバー(5)の顔面頭部被覆は、透明状カバーより温度変化が少なく、夏場の熱中症対策に有効である。また眼部曇りも少なく使いやすい。また、接着具(9a,9b,9c)を使用して布状カバー(5)を付けることにより、元の帽子(1)の着用方法を損なわない利点がある。
本発明の顔面カバー帽子(6)は、マスク、フェイスガード等の権威あるお墨付きの防護具と異なり、庶民でケチな種屋の知恵から絞り出た具体策であり、構成部材は、日常生活で誰でも目にする帽子、事務用品、手拭い等なので、安価な部材を利用し、簡便な手順により生産できる利点がある。
【0012】
よって本発明は、ウイルス感染症、特に新型コロナウイルス感染症における新規な飛沫感染防護具として、極めて有効でかつ重宝であり、しかも原価が安く、大量生産でき、至急に一般普及できる顔面カバー帽子なのである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】は本発明の顔面カバー帽子(6)の正面図であり、
【
図2】は本発明の顔面カバー帽子(6)の側面図である。
【実施例0014】
以下、本発明の顔面カバー帽子(6)について実施例1を示し、図面とともに概略を説明する。
【0015】
先ず、本発明の[請求項1]の、布状カバー(5)の前部(3)に、透明シート状の覗き窓(4)を付け、カバー後部(7)の端に切れ込み隙間(8)を設け、帽子(1)のつば(2)に、この布状カバー(5)を円筒状に垂れ下げる請求項1の顔面カバー帽子(6)について、[
図1][
図2]に基づき説明する。
【0016】
はじめに本発明に用いる帽子(1)は、中折れ帽子、麦わら帽子、登山帽等が挙げられるが、つば(2)を有するものであれば、どれでも適応する。つば(2)の突出は、布状カバー(5)が垂れた場合、顔面にべた付かない程度で、突出の長さが3cm~30cmが好ましい。
【0017】
布状カバー(5)の素材は、木綿、ポリプロピレン不綿布、布状ポリエステル、布状ポリウレタン、紙、コットン、麻、マイクロファイバーなどが挙げられるが、咳などの飛沫や、液状の噴霧液が透過しにくい布状ものであれば、どれでも適応する。季節に応じて冷感素材、保温素材等の生地から選ぶのも好ましい。
【0018】
この中で、日本伝統の手拭い等は、四季を通じ、あらゆる作業に被り物等として使用されており、布状カバー(5)素材として重宝である。ただし、手拭いに限定するものではなく、軽く薄い素材で、温度変化の少ない布状のものが好ましい。
【0019】
布状カバー(5)は、縦幅20cm~40cm、横幅80cm~200cmが好ましく、帽子の大きさに応じて顔面を覆うように適宜に得る。
布状カバー(5)は垂れ布として額から喉元、耳を含む顔面頭部全体を覆う大きさであればよい。重要なのは、新型コロナウイルスの飛沫感染予防であり、該ウイルスの侵入における仲立ちの危険性を有する顔面頭部全体を覆うことにある
【0020】
帽子(1)の前部(3)の布状カバー(5)に透明シート状の覗き窓(4)を設ける。この覗き窓(4)は視界を確保できる程度で、子供用、大人用、女性用、男性用等を考えて、横幅15cm~40cm、縦幅10cm~30cmの大きさとするのが好ましい。
覗き窓(4)の材質は、具体的に透明度の高いクリアーファイル、ビニールなどが好ましいが、これらに限定するものではなく、プラスチック、アクリル、ポリプロピレン、透明OPPフイルムなどの透明シート状の素材であれば、どれでもかまわない。また曇りにくい素材や、温度変化の少ない素材や、匂いのない素材が好ましい。
【0021】
覗き窓(4)下に大きな隙間ができる場合、それを埋める為、張り付け布(10)を覗き窓(4)下に付ける。この場合、張り付け布(10)は布状カバー(6)と同等素材、或いはマスクの素材等を用いる。つば(2)から張り付け布(10)下端まで20cm~40cmの長さとなる。
大きな布状のものを使用して布状カバー(5)とする場合、覗き窓(4)分を切り抜き、そこへ透明シート状の覗き窓(4)を貼り付け、この大きな布状のものを、任意の縦幅横幅に切断する。この場合、張り付け布(10)は不要となる。
【0022】
カバー後部(7)の端に切れ込み隙間(8)を、幅数cmから数十cm、縦数十cm設ける。この場合、布状カバー(5)の縦幅を、カバー後部(7)の端に沿って徐々に狭めれば、余分な垂れ下がり部分の布状カバー(5)を除くことができ、すっきりする。
【0023】
この切れ込み隙間(8)により本発明の顔面カバー帽子(6)が開きやすく、着用がしやすく、布状カバー(5)内の通気がよい。しかし、極端な高温のもとで顔面カバー帽子(6)を着用する場合、液状カバー(5)の後部(7)を捲り上げ、留め具等で固定し、さらに通気を図る。この場合、両耳から顔面部の被覆を損なわないようにする。
【0024】
さらにこの場合、後頭部の髪、肌に該ウイルスの飛沫が付着する可能性があるが、万が一飛沫が露出部に付着しても、その飛沫が顔面部の目、鼻、口などの呼吸組織に移行する可能性は少ない。しかし顔面カバー帽子(6)を捲り上げて使用後、石鹸などで露出部の洗浄は、怠らないようにすべきである。
【0025】
以上の細工操作と解説により出来た布状カバー(6)、即ち、覗き窓(4)付きでカバー後部(7)の端に切れ込み隙間(8)を有する布状カバー(6)を、[
図1][
図2]のように、帽子(1)のつば(2)に、ホッチキス、裁縫、ボンドなどの接着部材で取り付け固定して垂れ下げる。これにより、顔面頭部を完全に覆うことのできる本発明の顔面カバー帽子(6)が完成する。
【0026】
さらに使用方法を加える。本発明の顔面カバー帽子(6)使用後、アルコール等で消毒すれば毎日の使用は可能である。また、本発明の顔面カバー帽子(6)を数個(数頭)用意し、数日おきにサイクル使用すれば、効率よく毎日着用できる。その根拠は以下の通りであり。
【0027】
先ず、該ウイルスは高温に弱いとされる。インターネット情報から、香港大学の実験結果(Stability of SARS-Cov-2 in different environmental conditions.Lancet Microbe2020;published online April,2)によると、該ウイルスは37℃条件下で一日活性維持、56℃なら10分活性維持とされ、高温下では直ぐウイルス活性が衰える。
【0028】
よって、本発明の顔面カバー帽子(6)使用後、野菜温室等の高温条件(20~45℃)で数日保管し、付着該ウイルス活性を失わせて着用を繰り返すことができる。従って、本発明の顔面カバー帽子(6)を数個(数頭)用意し、数日おきにサイクル使用すれば、特段消毒せずして、効率よく毎日着用できる。
【0029】
次に[請求項2]の、つば(2)突出の長さ3cm~30cmであるある請求項1の顔面カバー帽子(6)について、[
図1][
図2]に基づき説明する。
【0030】
帽子(1)のつば(2)の突出は、布状カバー(5)が垂れたとき、顔面にべた付かない程度で、突出の長さが3cm~30cmが好ましいが、帽子(1)のつば(2)の突出の長さを20~30cmにすれば、布状カバー(5)と顔面の幅が保たれ、布状カバー(5)内での食事動作が可能となり、食事会話時に他者が発する飛沫をはね除け、接待を伴う施設等や病院入院患者等の感染予防になる。
【0031】
次に、本発明の[請求項3]の、接着具(9a,9b,9c)を用いて布状カバー(5)をつば(2)に付ける請求項1の顔面カバー帽子(6)について、[
図1][
図2]に基づき説明する。
【0032】
帽子(1)のつば(2)に布状カバー(5)を付着固定せしめることは勿論であるが、布状カバー(5)の上部に、接着具を数か所(9a,9b,9c)付け、取り外し自由の覗き窓(4)付き布状カバー(5)として使用しても構わない。
【0033】
[
図1][
図2]では三か所に接着具(9a,9b,9c)を設けているが、個所数を限定するものではなく、帽子の種類に合わせ、つば(2)と覗き窓(4)付き布状カバー(5)との接着の隙間をなくすために適宜に接着箇所を設ける。接着具としてクリップ、フック、ボタン、洗濯ばさみ状のものが考えられるが、固定できるものであれば、どれでも構わない。
帽子(1)は市販の麦わら帽子(つばの突出8cm、帽子の高さ10cm、頭回り56~58cm)を用いた。布状カバー(5)として手拭い(佐藤たね屋 心に希望の種を 文字入り手拭い 株式会社KIRAMEK製品 H330mm 900mm)を準備した。
透明OPPフイルム(クリスタルパック HEIKO株式会社製品)を縦幅20cm、横幅25cmに切断し、四角形状の透明状シートを得た。それを布状カバー(5)とする手拭いの両端の間に、ボンド(裁ほうボンド コニシ株式会社製品)で接着して覗き窓(4)とした。
手拭い生地を幅20cm、縦15cmに切断し長方形状の布を得て、覗き窓(4)下端と手拭いの両端の間に、張り付け布(10)としてボンドで接着した。次に、布状カバー(5)のカバー後部(7)の端となる部分に切れ込み隙間(8)を、横幅1cm、縦幅25cmに設けた。これで帽子(1)のつば(2)に付ける布状カバー(5)ができ上った。
一方で帽子(1)のつば(2)の突出が長さ20cmの麦わら帽子を準備し、布状カバー(5)を、つば(2)に接着した。よって広幅の円筒状の垂れ下げを有する本発明の顔面カバー帽子(6)を作成した。これを用いて布状カバー(5)内での飲食動作は、スムーズに行うことができた。
またその一方で、布状カバー(5)の上端、三か所に留め具のダブルクリック(幅32mm)を取り付け、帽子(1)のつば(1)に接着し、接着自由自在である本発明の顔面カバー帽子(6)を作成した。よって布状カバー(5)のない元の帽子(1)としても着用ができた。