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  • 特開-フレキシブル回路基板の配線構造 図1
  • 特開-フレキシブル回路基板の配線構造 図2
  • 特開-フレキシブル回路基板の配線構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027427
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】フレキシブル回路基板の配線構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20220203BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K1/18 L
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033708
(22)【出願日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】109126047
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】311005208
【氏名又は名称】▲き▼邦科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】馬 宇珍
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 信豪
(72)【発明者】
【氏名】周 文復
(72)【発明者】
【氏名】許 國賢
【テーマコード(参考)】
5E336
5E338
【Fターム(参考)】
5E336AA04
5E336BB01
5E336BB12
5E336BC34
5E336CC34
5E336CC58
5E336EE05
5E336GG14
5E338AA01
5E338AA12
5E338BB75
5E338CD13
5E338CD19
5E338EE28
(57)【要約】
【課題】フレキシブル回路基板の配線構造を提供する。
【解決手段】フレキシブル基板110と、チップ120と、回路層130と、を備えている。フレキシブル基板110は、チップセットエリアA及び回路セットエリアBから構成されている上面111を含み、回路セットエリアBはチップセットエリアAを包囲する。チップ120は、上面111のチップセットエリアAに設置し、バンプ121を有している。回路層130は、上面111に設置し、インナーリード接続部131は第一端部A1を貫通していると共にチップセットエリアA内に延伸し、伝送部132は回路セットエリアBに位置し、伝送部132はインナーリード接続部131に電気的に接続し、応力解放部133は伝送部132とチップセットエリアAの第二端部A2との間に位置し、応力解放部133は櫛状構造である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップセットエリア及び回路セットエリアから構成されている上面を含み、前記回路セットエリアは第一端部及び第二端部を有している前記チップセットエリアを包囲するフレキシブル基板と、
前記上面の前記チップセットエリアに設置し、バンプを有しているチップと、
前記上面に設置し、インナーリード接続部と、伝送部と、応力解放部とを有し、前記インナーリード接続部は前記第一端部を貫通していると共に前記チップセットエリア内に延伸し、前記インナーリード接続部は前記バンプに電気的に接続し、前記伝送部は前記回路セットエリアに位置し、前記伝送部は前記第二端部に隣接し、前記伝送部と前記チップセットエリアの前記第二端部との間には間隔(space)を有し、前記間隔は100μmから800μmの間の範囲であり、前記応力解放部は前記伝送部と前記チップセットエリアの前記第二端部との間に位置し、前記応力解放部は櫛状構造である回路層と、を備えていることを特徴とするフレキシブル回路基板の配線構造。
【請求項2】
前記伝送部は50μm超の幅を有していることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板の配線構造。
【請求項3】
前記応力解放部は複数のフィンガーラインを有し、各前記フィンガーラインの間には16μm超のピッチ(pitch)を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフレキシブル回路基板の配線構造。
【請求項4】
前記チップセットエリアの前記第二端部は前記回路層により貫通されていないことを特徴とする請求項3に記載のフレキシブル回路基板の配線構造。
【請求項5】
各前記フィンガーラインの末端は前記チップセットエリアの前記第二端部に切り揃えられていることを特徴とする請求項4に記載のフレキシブル回路基板の配線構造。
【請求項6】
各前記フィンガーラインは100μmから1000μmの間の範囲の長さを有していることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブル回路基板の配線構造。
【請求項7】
各前記フィンガーラインの末端は前記チップセットエリアの前記第二端部に切り揃えられ、各前記フィンガーラインの前記長さは100μmから800μmの間の範囲であることを特徴とする請求項6に記載のフレキシブル回路基板の配線構造。
【請求項8】
各前記フィンガーラインは第一幅を有し、前記インナーリード接続部のインナーリードは第二幅を有し、前記第一幅は前記第二幅未満ではなく、前記第二幅は15μm未満であることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブル回路基板の配線構造。
【請求項9】
前記伝送部は前記インナーリード接続部及び前記応力解放部に電気的に接続していることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板の配線構造。
【請求項10】
前記チップセットエリアの前記第二端部は3mm未満ではないことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板の配線構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル回路基板に関し、特に、フレキシブル回路基板の配線構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル回路基板はフレキシブル基板にパターン化された回路層を形成した後、チップをフレキシブル基板にフリップチップ実装し、回路層と電気的に接続するパッケージ構造であり、例えば、Tape on carrier(TCP)及びChip on film(COF)パッケージがある。
フレキシブル回路基板として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-046625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブル回路基板は可撓性及び回路の微細ピッチ化(fine pitch)という特性を有しているため、現在軽量化、薄型化、小型化が求められている電子設備への適用に非常に適している。但し、フレキシブル回路基板の回路層は密度が極めて高く、回路の幅も非常に狭いため、チップをフレキシブル基板にフリップチップ実装して回路と接続する際に温度変化によりフレキシブル基板及び回路層の熱膨張係数が適合しなくなり、応力がチップ端部の回路層に集中し、チップ端部に位置している回路層に断裂が生じることがあった。
【0005】
フレキシブル基板の端部に応力解放部を形成し、応力がチップ端部の回路層に集中することを避け、回路が断裂するリスクを低減する。
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、その目的は、フレキシブル回路基板の配線構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフレキシブル回路基板の配線構造は、チップセットエリア及び回路セットエリアから構成されている上面を含み、前記回路セットエリアは第一端部及び第二端部を有している前記チップセットエリアを包囲するフレキシブル基板と、前記上面の前記チップセットエリアに設置し、バンプを有しているチップと、前記上面に設置し、インナーリード接続部と、伝送部と、応力解放部とを有し、前記インナーリード接続部は前記第一端部を貫通していると共に前記チップセットエリア内に延伸し、前記インナーリード接続部は前記バンプに電気的に接続し、前記伝送部は前記回路セットエリアに位置し、前記伝送部は前記第二端部に隣接し、前記伝送部と前記チップセットエリアの前記第二端部との間には間隔(space)を有し、前記間隔は100μmから800μmの間の範囲であり、前記応力解放部は前記伝送部と前記チップセットエリアの前記第二端部との間に位置し、前記応力解放部は櫛状構造である回路層と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、応力解放部を伝送部とチップセットエリアの第二端部との間に設置し、応力がチップセットエリアの第二端部に集中する事象を避け、インナーリード接続部の断裂を防いでフレキシブル回路基板の製造工程における歩留まりを高めている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係るフレキシブル回路基板の上面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るフレキシブル回路基板の部分断面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るフレキシブル回路基板の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態によるフレキシブル回路基板の配線構造を図面に基づいて説明する。
【0010】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について図1から図3に基づいて説明する。
【0011】
図1を参照する。フレキシブル回路基板100はフレキシブル基板110と、チップ120と、回路層130とを有し、フレキシブル基板110は上面111を有し、チップ120及び回路層130はフレキシブル基板110の上面111に設置している。
図1に示す回路層130は片状に表示しているが、実際の回路層130は複数本の微細な回路で構成している。
図1及び図2に示すように、フレキシブル基板110の上面111にあるチップ120を設置している位置はチップセットエリアAと定義し、他のエリアは回路セットエリアBと定義している。回路セットエリアBは第一端部A1及び第二端部A2を有しているチップセットエリアAを包囲し、第一端部A1は第二端部A2に対し垂直となっている。
本実施形態では、第一端部A1はチップセットエリアAの長辺であり、第二端部A2はチップセットエリアAの短辺である。
【0012】
回路層130はフレキシブル基板110の上面111に電気めっきまたは圧着されている銅層にパターン化エッチングを施すことにより形成し、チップ120はフリップチップの熱圧着プロセスによりフレキシブル基板110の上面111に設置していると共に回路層130に共晶接合(Eutectic bonding)している。
【0013】
図2を参照する。回路層130はチップセットエリアAの第一端部A1を貫通していると共にチップセットエリアA内に延伸しているインナーリード接続部131を有し、部分的なインナーリード接続部131がチップセットエリアA内に位置している。
チップ120をフレキシブル基板110の上面111にフリップチップ実装する場合、チップ120の複数のバンプ121を回路層130のインナーリード接続部131に電気的に接続し、チップ120と回路層130との間で信号を伝送可能にする。
【0014】
図3を参照する。部分拡大図は上面111のチップセットエリアAの第二端部A2である。
本実施形態では、回路層130は伝送部132及び応力解放部133を有し、伝送部132は上面111の回路セットエリアBに位置し、伝送部132は第二端部A2に隣接している。
本実施形態では、伝送部132はインナーリード接続部131に電気的に接続し、これらバンプ121と回路層130のアウターリード(図示しない)との間の信号伝送を提供している。応力解放部133は伝送部132とチップセットエリアAの第二端部A2との間に位置し、応力解放部133は櫛状構造である。
【0015】
本実施形態では、伝送部132は50μm超の幅Wを有し、伝送部132とチップセットエリアAの第二端部A2との間には100μmから800μmの間の範囲の間隔(space)Sを有している。伝送部132がチップセットエリアAの第二端部A2に隣接し、伝送部132の幅Wが広く、第二端部A2に沿って延伸している長さが長いため、チップ120の熱圧着プロセスを行う際に、伝送部132がチップセットエリアAの第二端部A2の温度変化を大きくし、チップセットエリアAを引っ張ると共に応力を蓄積し、応力をチップセットエリアA中の細い回路に集中させ、第二端部A2に隣接しているインナーリード接続部131を断裂させてしまう。
【0016】
図3を参照する。回路層130の応力解放部133はフレキシブル基板110に対して伝送部132が発生させる応力を解放するために用い、インナーリード接続部131の断裂を回避している。
本実施形態では、応力解放部133は伝送部132に電気的に接続していると共に複数のフィンガーライン133aを有し、各フィンガーライン133aの間には16μm超のピッチ(pitch)Pを有し、これらピッチPはチップセットエリアAの第二端部A2に隣接している銅層の面積を縮小して応力を解放するために用いている。また、各フィンガーライン133aは100μmから1000μmの間の範囲の長さLを有し、長さLは伝送部132と第二端部A2との間の間隔Sを広げてチップセットエリアAに対する伝送部132の影響を低減するために用いている。各フィンガーライン133aは第一幅W1を有し、インナーリード接続部131のインナーリード131aは第二幅W2を有し、第二幅W2は15μm未満であり、応力集中の影響を受けやすい。このため、第一幅W1は第二幅W2未満とならないようにし、線幅がインナーリード131aより広いか同じであるフィンガーライン133aにより応力がインナーリード接続部131に集中しないようにしている。
【0017】
本実施形態では、応力解放部133のこれらフィンガーライン133aはチップセットエリアA中に延伸せず、各フィンガーライン133aの末端をチップセットエリアAの第二端部A2に切り揃え、チップセットエリアAの第二端部A2が回路層130により貫通されないことにより、アンダーフィル(Underfill)がチップ120と上面111の間との空間を流動するのに影響を与えないようにしている。
【0018】
本発明は応力解放部133を伝送部132とチップセットエリアAの第二端部A2との間に設置し、チップセットエリアAの第二端部A2に位置している回路層130に応力が集中する事象を回避し、インナーリード接続部131の断裂を防いでフレキシブル回路基板100の製造工程における歩留まりを高めている。
【0019】
(その他の実施形態)
その他の実施形態では、第一端部がチップセットエリアの短辺であり、第二端部がチップセットエリアの長辺であり、第二端部は3mm超である。
【0020】
その他の実施形態の他の基本的構成は、第一実施形態と同様である。
【0021】
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0022】
100 フレキシブル回路基板、
110 フレキシブル基板、
111 上面、
120 チップ、
121 バンプ、
130 回路層、
131 インナーリード接続部、
131a インナーリード、
132 伝送部、
133 応力解放部、
133a フィンガーライン、
A チップセットエリア、
A1 第一端部、
A2 第二端部、
B 回路セットエリア、
W 幅、
W1 第一幅、
W2 第二幅、
S 間隔、
P ピッチ、
L 長さ。
図1
図2
図3