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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027471
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20220203BHJP
   H02J 9/04 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093853
(22)【出願日】2021-06-03
(62)【分割の表示】P 2020130819の分割
【原出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】320011199
【氏名又は名称】株式会社石川エナジーリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】石川 満
(72)【発明者】
【氏名】長島 弘幸
【テーマコード(参考)】
5G015
5G066
【Fターム(参考)】
5G015JA04
5G066HA11
5G066HB09
5G066JA02
(57)【要約】
【課題】簡易な操作で停電時に宅内配線を利用して発電機から電気的負荷に電力を供給することができる電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力供給システム10は、商用電源11が停電した際に、発電装置12から電気的負荷13に対して電力を供給する。更に、電力供給システム10は、停電が発生していない場合には、屋内14に敷設された宅内配線15を経由して、商用電源11が、出力部16を介して、電気的負荷13に供給される。また、出力部16は、第1出力部16と、第2出力部16と、を有する。更に、電力供給システム10では、停電が発生した際には、第1出力部16に発電装置12が接続され、宅内配線15および第2出力部16を経由して、電気的負荷13に電力が供給される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源が停電した際に、発電装置から電気的負荷に対して電力を供給する電力供給システムであり、
前記商用電源の側から、分電盤と、停電用分電盤と、出力部と、を具備し、
前記分電盤は、ブレーカを有し、
前記出力部は、第1出力部と、第2出力部と、を有し、
前記停電が発生していない場合には、屋内に敷設された宅内配線を経由して、前記商用電源からの電力が、前記出力部を介して、前記電気的負荷に供給されるように構成され、
前記停電が発生した場合には、前記第1出力部に前記発電装置を接続し、前記宅内配線、前記停電用分電盤および前記第2出力部を経由し、且つ、前記分電盤の前記ブレーカを経由することなく、前記電気的負荷に前記発電装置からの電力を供給するように構成されることを特徴とする電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システムに関し、特に、停電時に宅内配線を利用して発電機から電気的負荷に電力を供給することができる電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害などに起因して商用電源から屋内への電力の供給が途絶えると、屋内に配置されたエアコンや照明などの電気的負荷は、動作が停止してしまう。
【0003】
係る状況に鑑みて、商用電源が停電した際に、屋内に給電する電力供給装置が開発されている。この電力供給装置は、例えば、屋外に配置された発電機、電池または発電機能付車両であり、商用電源が停電したら、商用電源の代わりに、宅内配線に対して電力を供給する。係る電力供給装置は、例えば以下の特許文献1等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-123749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した電力供給装置では、利用者の利便性等の観点から改善の余地があった。
【0006】
具体的には、背景技術に係る電力供給装置は、屋外に配置される場合が多い。係る場合において商用電源の停電が発生した場合、ユーザは一旦屋外に出て電力供給装置を起動し、電力系統を商用電源から電力供給装置に切り替える作業を行わなければならない。また、商用電源が復電した場合はその逆の操作をユーザが行う必要がある。係る作業は、ユーザにとって煩雑である課題があった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な操作で停電時に宅内配線を利用して発電機から電気的負荷に電力を供給することができる電力供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、商用電源が停電した際に、発電装置から電気的負荷に対して電力を供給する電力供給システムであり、前記商用電源の側から、分電盤と、停電用分電盤と、出力部と、を具備し、前記分電盤は、ブレーカを有し、前記出力部は、第1出力部と、第2出力部と、を有し、前記停電が発生していない場合には、屋内に敷設された宅内配線を経由して、前記商用電源からの電力が、前記出力部を介して、前記電気的負荷に供給され、前記停電が発生した場合には、前記第1出力部に前記発電装置を接続し、前記宅内配線、前記停電用分電盤および前記第2出力部を経由し、且つ、前記分電盤の前記ブレーカを経由することなく、前記電気的負荷に前記発電装置からの電力を供給するように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、商用電源が停電した際に、発電装置から電気的負荷に対して電力を供給する電力供給システムであり、前記商用電源の側から、分電盤と、停電用分電盤と、出力部と、を具備し、前記分電盤は、ブレーカを有し、前記出力部は、第1出力部と、第2出力部と、を有し、前記停電が発生していない場合には、屋内に敷設された宅内配線を経由して、前記商用電源からの電力が、前記出力部を介して、前記電気的負荷に供給され、前記停電が発生した場合には、前記第1出力部に前記発電装置を接続し、前記宅内配線、前記停電用分電盤および前記第2出力部を経由し、且つ、前記分電盤の前記ブレーカを経由することなく、前記電気的負荷に前記発電装置からの電力を供給するように構成されることを特徴とする。本発明の電力供給システムによれば、停電が発生した際に、何れかの出力部に発電装置を接続し、この出力部および宅内配線を経由して、他の前記出力部を介して電気的負荷に電力を供給することで、災害時等において屋外に発電機を設置する必要が無い。更に、非常時において、何れかの出力部から、既設の宅内配線を介して他の出力部に非常用電力を供給することから、非常用の配線を屋内に引き回す必要が無い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る電力供給システムを示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る電力供給システムを示す図であり、停電用分電盤等の回路構成を示し、停電時であり且つ発電装置が停止している際の、停電用分電盤の動作を示す回路図である。
図3】本発明の実施形態に係る電力供給システムを示す図であり、停電時であり且つ発電装置が発電している際の、停電用分電盤の動作を示す回路図である。
図4】本発明の実施形態に係る電力供給システムを示す図であり、復電時であり且つ発電装置が発電している際の、停電用分電盤の動作を示す回路図である。
図5】本発明の実施形態に係る電力供給システムを示す図であり、復電時であり且つ発電装置が停止している際の、停電用分電盤の動作を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。また、以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0012】
図1は、電力供給システム10を示す模式図である。
【0013】
電力供給システム10は、商用電源11が停電した際に、発電装置12から電気的負荷13に対して電力を供給する。ここでは、電力供給システム10が、住宅30の屋内14の内部に適用された場合を示している。電気的負荷13としては、屋内のコンセントに接続される負荷、または、屋外に配置された防水コンセントに接続される負荷である。また、電気的負荷13は、屋内に配置されても良いし、屋外に配置されても良い。
【0014】
電力供給システム10では、停電が発生していない場合には、商用電源11が、電線29、分電盤31、宅内配線15、停電用分電盤19および、コンセントである出力部16を経由して、電気的負荷13に供給される。
【0015】
一方、停電が発生した際は、後述する演算制御部32の指示に基づいて、電力供給システム10は、発電装置12で発電した電力を、出力部16、宅内配線15、停電用分電盤19、宅内配線15および出力部16を経由して、電気的負荷13に供給する。
【0016】
電気的負荷13としては、住宅30の内部で使用される家電製品、例えば、照明、エアコン、調理器具等を採用できる。
【0017】
図2ないし図5を参照して、電力供給システム10の構成および動作を具体的に説明する。
【0018】
電力供給システム10および停電用分電盤19は、次の4つの状態をとることができる。即ち、商用電源11が停電し、且つ、発電装置12が停止している第1状態と、商用電源11が停電し、且つ、発電装置12から出力部16に電力が供給される第2状態と、商用電源11が復電し、且つ、発電装置12が発電している第3状態と、商用電源11が復電し、且つ、発電装置12が停止している第4状態と、をとることができる。
【0019】
第1状態を図2に示し、第2状態を図3に示し、第3状態を図4に示し、第4状態を図5に示している。図2ないし図5では、電流の流れを一点鎖線で示している。
【0020】
図2は、停電用分電盤19等の回路構成を示す。更に、図2を参照して、停電時であり且つ発電装置12が停止している第1状態を説明する。以下の説明では、商用電源11から電気的負荷131等に至る電流の流れにおいて、商用電源11に近い方を上流側と称し、商用電源11から離れる側を下流側と称する場合もある。
【0021】
先ず、電力供給システム10の回路構成を説明する。電力供給システム10は、分電盤31と、停電用分電盤19と、発電装置12と、これらの各機器を接続する配線等を有している。
【0022】
商用電源11は、屋外から供給される交流電力であり、その電圧V1は例えば100Vである。
【0023】
分電盤31は、商用電源11から供給される電力を分電するための機器であり、メインブレーカ33、ブレーカ341、ブレーカ342およびブレーカ343を有する。分電盤31は、一般的に屋内に設置されているものである。
【0024】
メインブレーカ33は、分電盤31の内部に於いて接続線の上流側に配置される。メインブレーカ33が接続状態となることで、電力供給システム10全体に対して商用電源11を供給することができ、メインブレーカ33が遮断状態となれば電力供給システム10全体に対する商用電源11の供給が停止される。
【0025】
メインブレーカ33の下流部分の接続線は3つに分岐しており、夫々の接続線にブレーカ341、ブレーカ342およびブレーカ343が介装されている。ブレーカ341、ブレーカ342およびブレーカ343が接続状態となることで、各々が介装される接続線の下流側に電流が流れる。ブレーカ341、ブレーカ342およびブレーカ343が遮断状態となることで、各々が介装される接続線の下流側に電流が流れないようになる。ここでは、3つのブレーカ341、ブレーカ342およびブレーカ343を例示しているが、実際には更に多数のものが配設される。
【0026】
停電用分電盤19は、第1切替ユニット20と、第2切替ユニット21と、第3切替ユニット22と、演算制御部32と、を有する。後述するように、電力供給システム10では、停電用分電盤19を備えることで、停電時において、出力部163から出力部161および出力部162に電力を供給することが可能になる。ここで、後述する第1切替部201等としては、機械式に切替を行うリレー、または、電気的に切替を行うトランジスタ等の半導体素子を採用することができる。
【0027】
第1切替ユニット20は、第1切替部201、第1切替部202および第1切替部203を有する。後述するように、第1切替ユニット20は、停電時に遮断状態となることで、発電装置12が発電する電流が、分電盤31の側に流れ込むことを防止する。
【0028】
第1切替部201は、第1端子231および第2端子241を有する。第1端子231はブレーカ341に接続される。第2端子241は、接続線38を経由して、後述する第2切替部211の第3端子251に接続される。
【0029】
第1切替部202は、第1端子232および第2端子242を有する。第2端子242はブレーカ342に接続される。第2端子242は、接続線39を経由して、後述する第2切替部212の第3端子252に接続される。
【0030】
第1切替部203は、第1端子233および第2端子243を有する。第2端子243はブレーカ343に接続される。第2端子243は、接続線40を経由して、後述する第2切替部213の第3端子253に接続される。
【0031】
第2切替ユニット21は、第2切替部211と、第2切替部212と、第2切替部213と、を有する。後述するように、第2切替ユニット21は、停電であり、且つ発電装置12が発電していない場合において、遮断状態となる。
【0032】
第2切替部211は、第3端子251および第4端子261を有する。第3端子251は、接続線38を介して、第1切替部201の第2端子241に接続されている。第4端子261は、出力部161に接続されている。
【0033】
第2切替部212は、第3端子252および第4端子262を有する。第3端子252は、接続線39を介して、第1切替部202の第2端子242に接続されている。第4端子262は、出力部162に接続されている。
【0034】
第2切替部213は、第3端子253および第4端子263を有する。第3端子253は、接続線40を介して、第1切替部203の第2端子243に接続されている。第4端子263は、出力部163に接続されている。ここで、例えば、出力部161および出力部162が第1出力部であり、出力部163が第2出力部である。
【0035】
第3切替ユニット22は、第3切替部221、第3切替部222および第3切替部223を有する。第3切替ユニット22は、発電装置12から電気的負荷131および電気的負荷132に対して給電する際に接続状態となる。また、第3切替ユニット22は、商用電源11からの給電を行う際には、遮断状態となる。ここで、例えば、電気的負荷131が第1負荷であり、電気的負荷132が第2負荷である。
【0036】
第3切替部221は、第5端子271と第6端子281とを有する。第5端子271は、接続線41を介して接続線38に接続される。第6端子281は、接続線37を介して、第3切替部222の第6端子282、および、第3切替部223の第6端子283に接続されている。
【0037】
第3切替部222は、第5端子272と第6端子282とを有する。第5端子272は、接続線42を介して接続線39に接続される。第6端子282は、接続線37を介して、第3切替部221の第6端子281、および、第3切替部223の第6端子283に接続されている。
【0038】
第3切替部223は、第5端子273と第6端子283とを有する。第5端子273は、接続線43を介して接続線40に接続される。第6端子283は、接続線37を介して、第3切替部221の第6端子281、および、第3切替部222の第6端子282に接続されている。
【0039】
出力部161は、第3切替部221の第4端子261に接続されている。出力部162は、第2切替部212の第4端子262に接続されている。出力部163は、第2切替部213の第4端子263に接続されている。以下の説明では、出力部161、出力部162および出力部163を、出力部16と総称することもある。
【0040】
ここでは、電気的負荷131が出力部161に接続され。電気的負荷132が出力部162に接続され、発電装置12が出力部163に接続されている。以下の説明では、電気的負荷131および電気的負荷132を、電気的負荷13と総称することもある。
【0041】
演算制御部32は、例えばCPUから成る演算素子であり、停電用分電盤19を構成する各部の動作を制御している。また、演算制御部32は、商用電源11の電圧V1、接続線41、接続線42および接続線43の電圧V2を常にモニタリングしている。演算制御部32は、モニタした電圧V1および電圧V2に基づいて、第1切替ユニット20、第2切替ユニット21および第2切替ユニット21の遮断状態または接続状態の制御、および、発電装置12の運転制御を行っている。
【0042】
以上が、停電用分電盤19の回路構成の説明である。
【0043】
第1状態の場合、商用電源11が停電時であり且つ発電装置12が停止しており、商用電源11から電気的負荷131および電気的負荷132に電力は供給されない。また、発電装置12は停止状態であるため、発電装置12から電気的負荷131および電気的負荷132に電力は供給されない。
【0044】
よって、演算制御部32の指示に基づいて、第1切替ユニット20、第2切替ユニット21および第3切替ユニット22は、全て遮断状態である。
【0045】
図3は、商用電源11が停電時であり且つ発電装置12が発電している第2状態の、停電用分電盤19の動作を示す回路図である。災害等の影響により、商用電源11から電力供給システム10への給電が途切れた場合、演算制御部32は、電力供給システム10を第2状態とする。演算制御部32は、電圧V1がゼロになったこと、または極端に低くなったことに基づいて、停電用分電盤19を第2状態とする。
【0046】
第2状態に於いて、演算制御部32は、第1切替ユニット20を遮断状態とし、第2切替ユニット21を導通状態とし、第3切替ユニット22を導通状態とする。また、演算制御部32は、電圧V1がゼロになったこと、または極端に低くなったことに基づいて、発電装置12を起動して発電を開始する。
【0047】
ここで、発電装置12は常時出力部163に接続されても良いし、商用電源11が停電した際にユーザが発電装置12と出力部163に接続するようにしても良い。更には、発電装置12の起動はユーザが行っても良い。
【0048】
第2状態では、発電装置12は、例えば100Vの交流電力を発電している。発電された電力は、出力部163、第2切替部213、接続線40および接続線43を経由して、第3切替部223に至る。
【0049】
第3切替部223に供給された電流は、接続線37を経由して、第3切替部221および第3切替ユニット22に流れ込む。
【0050】
第3切替部221に流れ込んだ電流は、接続線41、接続線38、第2切替部211および出力部161を経由して、電気的負荷131に供給される。
【0051】
第3切替部222に流れ込んだ電流は、接続線42、接続線39、第2切替部212および出力部162を経由して、電気的負荷132に供給される。
【0052】
ここで、第1切替ユニット20は遮断状態となっているので、発電装置12が発電した電力は、分電盤31の側には供給されない。
【0053】
このようにすることで、商用電源11が停電した場合、発電装置12から電気的負荷131および電気的負荷132に電力を供給することができる。よって、ユーザは、停電時であっても電気的負荷131および電気的負荷132を利用することができる。
【0054】
また、コンセントである出力部163に、発電装置12のプラグを挿入する簡易な作業で、電力供給システム10に発電装置12を接続することができる。よって、発電装置12を電力供給システム10に接続するための専用の接続器具が不要である。また、出力部163は屋内に配設されているコンセントであり、発電装置12を電力供給システム10に接続するためにユーザが屋外に出る必要が無い。
【0055】
ここで、電気的負荷13に優先順位を設定し、停電が発生した際には、演算制御部32の指示に基づいて、優先順位が高い電気的負荷13に対して発電装置12から電力を供給し、優先順位が低い電気的負荷13には電力を供給しない。
【0056】
例えば、電気的負荷131が照明器具であり、電気的負荷132がドライヤであり、電気的負荷131の優先度が電気的負荷132よりも高いとする。このような場合、演算制御部32は、例えば、第3切替部221を導通状態とする一方、第3切替部222を遮断状態とし、電気的負荷131には電力を供給する一方、電気的負荷132には電力を供給しない。このようにすることで、照明器具である電気的負荷131に電力を供することで、停電時においてユーザは屋内で安全に活動することができる。また、ドライヤである電気的負荷132に電力を供給しないことで、発電装置12の限定的な出力を効果的に利用することができる。
【0057】
図4は、復電時であり且つ発電装置12が発電している第3状態の、停電用分電盤19の動作を示す回路図である。この状態は、復電直後の所定時間内の状態である。
【0058】
第3状態における第1切替ユニット20、第2切替ユニット21および第3切替ユニット22の導通遮断状況は、前述した第2状態と同様である。即ち、演算制御部32の指示に基づいて、第1切替ユニット20は遮断状態であり、第2切替ユニット21は導通状態であり、第3切替ユニット22は導通状態である。よって、第2状態と同様に、発電装置12が発電した電力を、第3切替ユニット22および第2切替ユニット21を経由して、電気的負荷131および電気的負荷132に供給することができる。
【0059】
このように、復電直後の所定時間内において、例えば発電装置12が停止するまで、商用電源11から電力供給システム10への給電は行わず、発電装置12が発電した電力を電気的負荷13に供給することで、商用電源11および発電装置12の両方から、電気的負荷13に過度な電力が供給されることを防止できる。ここで、演算制御部32は、電圧V1が例えば100V程度で、且つ電圧V2(接続線41、接続線42または接続線43の電圧)が例えば100V程度である場合、発電装置12を停止するように設定することもできる。
【0060】
図5は、復電時であり且つ発電装置12が停止している第4状態の、停電用分電盤19の動作を示す回路図である。
【0061】
第4状態では、演算制御部32は、第1切替ユニット20を導通状態とし、第2切替ユニット21を導通状態とし、第3切替ユニット22を遮断状態とする。更に、演算制御部32は、発電装置12を停止する。演算制御部32は、電圧V1が100V程度になってから所定時間が経過した後に、停電用分電盤19の状態を第3状態から第4状態としている。
【0062】
具体的には、第4状態では、商用電源11から供給された電力の一部は、メインブレーカ33、ブレーカ341、第1切替部201、接続線38、第2切替部211および出力部161を経由して、電気的負荷131に供給される。また、商用電源11から供給された電力の他の一部は、メインブレーカ33、ブレーカ342、第1切替部202、接続線39、第2切替部212および出力部162を経由して電気的負荷132に供給される。
【0063】
更に、出力部163から発電装置12のプラグを外し、別の電気的負荷13を出力部163に挿入することもできる。この場合、メインブレーカ33、ブレーカ343、第1切替部203、接続線40、第2切替部213および出力部163を経由して、ここでは図示しない電気的負荷13に電力が供給される。
【0064】
以上が、電力供給システム10および停電用分電盤19の回路構成および動作の説明である。
【0065】
前述した本実施形態により、以下のような主要な効果を奏することができる。
【0066】
本実施形態の電力供給システム10によれば、停電が発生した際に、何れかの出力部16に発電装置12を接続し、この出力部16および宅内配線15を経由して、他の出力部16を介して電気的負荷13に電力を供給することで、災害時等において屋外に発電機を設置する必要が無い。更に、非常時において、何れかの出力部16から、既設の宅内配線15を介して他の出力部16に非常用電力を供給することから、非常用の配線を屋内14に引き回す必要が無い。
【0067】
更に、商用電源11からの電力供給が途絶える停電状態の場合、第3切替ユニット22を介して、何れかの出力部16から他の出力部16に、非常用電力を供給している。よって、各切替部の切替動作により非常用電力を供給するため、屋外に非常用電力を配設する必要も無く、更に、屋内14に非常用配線を敷設する必要も無く、簡素な構成で非常用電力を確保することができる。
【0068】
更に、第1状態ないし第2状態の各状態に応じて、第1切替ユニット20、第2切替ユニット21および第3切替ユニット22を接続状態または遮断状態とすることで、停電時において出力部16および宅内配線15を介して電気的負荷13に対して良好に電力を供給することができる。
【0069】
更に、優先順位が高い電気的負荷13に対して発電装置12から電力を供給し、優先順位が低い電気的負荷13には電力を供給しないことで、限られた停電時電力を有用に活用することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0071】
以下に、前述した本実施形態から把握することができる発明を、その効果と共に記載する。
【0072】
本発明の停電用分電盤では、商用電源と出力部との間に介装される停電用分電盤であり、複数の第1切替部と、複数の第2切替部と、複数の第3切替部と、を具備し、複数の前記第1切替部は、各々が第1端子および第2端子を有し、複数の前記第2切替部は、各々が第3端子および第4端子を有し、複数の前記第3切替部は、各々が第5端子および第6端子を有し、前記第1切替部の前記第1端子は前記商用電源の側に接続されると共に、前記第1切替部の前記第2端子は前記第2切替部の前記第3端子に接続され、前記第2切替部の前記第4端子は、前記出力部に接続され、前記第3切替部の前記第5端子は、前記第1切替部の前記第2端子と前記第2切替部の前記第3端子とを接続する接続線に接続され、前記第3切替部の前記第6端子どうしは互いに接続され、前記商用電源から前記出力部に電力が供給される際には、前記第1切替部は接続状態であり、前記第2切替部は接続状態であり、前記第3切替部は遮断状態であり、前記商用電源が停電した場合は、前記第1切替部は遮断状態であり、前記第2切替部は接続状態であり、前記第3切替部は接続状態であることを特徴とする。本発明の停電用分電盤によれば、第1切替部、第2切替部および第3切替部を有し、商用電源からの電力供給が途絶える停電状態の場合、第3切替部を介して、何れかの出力部から他の出力部に、非常用電力を供給している。よって、屋外に非常用電力を配設する必要も無く、更に、屋内に非常用配線を敷設する必要も無く、簡素な構成で非常用電力を確保することができる。
【0073】
また、本発明の停電用分電盤では、前記商用電源が停電し、且つ、発電装置が停止している第1状態と、前記商用電源が停電し、且つ、前記発電装置が発電している第2状態と、前記商用電源が復電し、且つ、前記発電装置が発電している第3状態と、前記商用電源が復電し、且つ、前記発電装置が停止している第4状態と、をとることができ、前記第1状態では、前記第1切替部は遮断状態であり、前記第2切替部は遮断状態であり、前記第3切替部は遮断状態であり、前記第2状態では、前記第1切替部は遮断状態であり、前記第2切替部は接続状態であり、前記第3切替部は接続状態であり、前記第3状態では、前記第1切替部は遮断状態であり、前記第2切替部は接続状態であり、前記第3切替部は接続状態であり、前記第4状態では、前記第1切替部は接続状態であり、前記第2切替部は接続状態であり、前記第3切替部は遮断状態であることを特徴とする。本発明の停電用分電盤によれば、第1状態ないし第2状態の各状態に応じて、第1切替部、第2切替部および第3切替部を接続状態または遮断状態とすることで、停電時において出力部および宅内配線を介して電気的負荷に対して良好に電力を供給することができる。
【0074】
また、本発明の停電用分電盤では、電気的負荷に優先順位を設定し、前記停電が発生した際には、前記優先順位が高い前記電気的負荷に対して前記発電装置から電力を供給し、前記優先順位が低い前記電気的負荷には電力を供給しないことを特徴とする。本発明の停電用分電盤によれば、優先順位が高い電気的負荷に対して発電装置から電力を供給し、優先順位が低い電気的負荷には前記電力を供給しないことで、限られた停電時電力を有用に活用することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 電力供給システム
11 商用電源
12 発電装置
13 電気的負荷
131 電気的負荷
132 電気的負荷
14 屋内
15 宅内配線
16 出力部
161 出力部
162 出力部
163 出力部
19 停電用分電盤
20 第1切替ユニット
201 第1切替部
202 第1切替部
203 第1切替部
21 第2切替ユニット
211 第2切替部
212 第2切替部
213 第2切替部
22 第3切替ユニット
221 第3切替部
222 第3切替部
223 第3切替部
231 第1端子
232 第1端子
233 第1端子
241 第2端子
242 第2端子
243 第2端子
251 第3端子
252 第3端子
253 第3端子
261 第4端子
262 第4端子
263 第4端子
271 第5端子
272 第5端子
273 第5端子
281 第6端子
282 第6端子
283 第6端子
29 電線
30 住宅
31 分電盤
32 演算制御部
33 メインブレーカ
341 ブレーカ
342 ブレーカ
343 ブレーカ
37 接続線
38 接続線
39 接続線
40 接続線
41 接続線
42 接続線
43 接続線
V1 電圧
V2 電圧
図1
図2
図3
図4
図5