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特開2022-27521マスク用カートリッジ及びこれが装着されたマスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027521
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】マスク用カートリッジ及びこれが装着されたマスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115715
(22)【出願日】2021-07-13
(62)【分割の表示】P 2020130869の分割
【原出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】391010976
【氏名又は名称】富士カプセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(72)【発明者】
【氏名】加藤 至康
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓哉
(57)【要約】
【課題】使い捨てマスクのみならず、複数回使用可能なマスクについても、カプセルが内包する成分に基づく特定の効果をマスク着用時に得ることができる手段を開発すること
【解決手段】カプセルを包含するカートリッジを用いる場合、マスク本体に設けられたカートリッジ格納用ポケット等のカートリッジ保持具を用いることにより、マスクを交換せずに、1又は2回以上カートリッジを交換することができる。また、カートリッジを2枚の不織布に挟持したインナーガーゼを作製し、かかるインナーガーゼを任意のマスク本体に貼付することにより、マスクの構成にかかわりなく、マスクを交換する又はしないにかかわらず、カートリッジを交換して複数回使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体と一体的に用いられる、カプセルを保持するマスク用カートリッジ。
【請求項2】
カプセルが包埋されていることを特徴とする請求項1記載のマスク用カートリッジ。
【請求項3】
円柱形状であることを特徴とする請求項1又は2記載のマスク用カートリッジ。
【請求項4】
マスク本体に設けられたカートリッジ保持具により、マスク本体と一体的に用いられることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のマスク用カートリッジ。
【請求項5】
マスク本体に設けられたカートリッジ保持具が、マスク本体に設けられたカートリッジ格納用ポケットであることを特徴とする請求項4記載のマスク用カートリッジ。
【請求項6】
マスク本体の所定の位置に固定するための粘着剤層と、該粘着剤層を保護する剥離紙とを備えるシール部材を備えることによりマスク本体と一体的に用いられることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のマスク用カートリッジ。
【請求項7】
不織布からなる2枚のインナーシート間に挟持されるカートリッジであって、該カートリッジが前記2枚のインナーシートの互いに内側4辺を閉じたインナーガーゼに設けられた粘着部により、マスク本体と一体的に用いられることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のマスク用カートリッジ。
【請求項8】
外面部と該外面部の下側部分との間にカートリッジ収納用ポケットを形成する中面部とを備えたマスク本体、又は外面部と該外面部の下側部分との間にカートリッジ収納用ポケットを形成する中面部と該外面部の上側部分との間にポケットカバーを形成する内面部とを備えたマスク本体のポケットに収納することにより、マスク本体と一体的に用いられることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のマスク用カートリッジ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか記載のマスク用カートリッジがマスク本体に一体的に装着されたマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク用カートリッジに関し、より詳細にはマスク本体と一体的に用いられる、カプセルを保持するマスク用カートリッジ及び該マスク用カートリッジがマスク本体に一体的に装着されたマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リフレッシュ効果、リラックス効果を得るために、香料等の成分を内包した、様々なタイプのカプセル入りマスクが開発されている。
【0003】
例えば、芳香剤を内包し、もむ等の外的刺激により容易に破壊するマイクロカプセルを含侵させた不織布をサンドイッチ状に挟み込んだマスク(例えば、特許文献1参照)や、マスク本体の上端縁近傍にクッション部を設け、クッション部と、マスク本体との間にカプセルを内包してなり、該カプセルにはアレルギー消炎剤が封入してなる、口元に空間を確保できる溶着部を設けてなるマスクにおいて、香料を封入したカプセルがシート部の溶着ラインに位置するマスク(例えば、特許文献2参照)や、綿パッドが繊維層を備え、そして綿パッドの片側に粘着層を設け、かつ当該綿パッドが当該粘着層を通じて当該マスクの内側側周面に粘着する少なくとも1つの綿パッド、及び、マイクロカプセルが当該綿パッドの繊維層内に設けられ、そして当該マイクロカプセル内に混合香料を設ける、少なくとも1つのマイクロカプセルを含むマスク(例えば、特許文献3参照)や、マスクの内部シートが、単数のシート材又は積層された複数のシート材を有し、前記シート材は複数の貫通孔が形成され、当該複数の貫通孔に沿って部分切除可能としたことを特徴とするマスクであって、前記マスク本体部と前記シート材又は前記シート材と前記シート材との間に、マイクロカプセルを利用する消臭剤又は芳香剤を配置したマスク(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、上記のカプセル入りマスクは使い捨てが原則であり、上記香料や、種々の成分を内包するカプセルの効果を得ることのできるマスクは、一回限り使用されるのみであった。しかし、昨今のCOVID-19の流行により、消毒や洗浄を行うことにより複数回使用できるタイプのマスクが普及してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-89591号公報
【特許文献2】実登第3200903号
【特許文献3】実登第3215400号
【特許文献4】特開2016-191172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、使い捨てマスクのみならず、複数回使用可能なマスクについても、カプセルが内包する成分に基づく特定の効果をマスク着用時に得ることができる手段を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、検討を重ねたのち、カプセルを保持するカートリッジを使用することを思いついた。そして、カートリッジをマスク本体と一体的に用いるための手段を検討した結果、マスク本体に設けられたカートリッジ格納用ポケット等のカートリッジ保持具を用いることにより、マスクを交換せずに、1又は2回以上カートリッジを交換することができることを見いだした。さらに、カートリッジを2枚の不織布に挟持したインナーガーゼを作製し、かかるインナーガーゼを任意のマスク本体に貼付することにより、マスクの構成にかかわりなく、また、マスクを交換する又はしないにかかわらず、カートリッジを交換して複数回使用できることなどを確認し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の事項により特定されるとおりのものである。
[1]マスク本体と一体的に用いられる、カプセルを保持するマスク用カートリッジ。
[2]カプセルが包埋されていることを特徴とする上記[1]記載のマスク用カートリッジ。
[3]円柱形状であることを特徴とする上記[1]又は[2]記載のマスク用カートリッジ。
[4]マスク本体に設けられたカートリッジ保持具により、マスク本体と一体的に用いられることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載のマスク用カートリッジ。
[5]マスク本体に設けられたカートリッジ保持具が、マスク本体に設けられたカートリッジ格納用ポケットであることを特徴とする上記[4]記載のマスク用カートリッジ。
[6]マスク本体の所定の位置に固定するための粘着剤層と、該粘着剤層を保護する剥離紙とを備えるシール部材を備えることによりマスク本体と一体的に用いられることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載のマスク用カートリッジ。
[7]不織布からなる2枚のインナーシート間に挟持されるカートリッジであって、該カートリッジが前記2枚のインナーシートの互いに内側4辺を閉じたインナーガーゼに設けられた粘着部により、マスク本体と一体的に用いられることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載のマスク用カートリッジ。
[8]外面部と該外面部の下側部分との間にカートリッジ収納用ポケットを形成する中面部とを備えたマスク本体、又は外面部と該外面部の下側部分との間にカートリッジ収納用ポケットを形成する中面部と該外面部の上側部分との間にポケットカバーを形成する内面部とを備えたマスク本体のポケットに収納することにより、マスク本体と一体的に用いられることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載のマスク用カートリッジ。
【0009】
また、本発明は、以下の事項により特定されるとおりのものである。
[9]上記[1]~[8]のいずれか記載のマスク用カートリッジがマスク本体に一体的に装着されたマスク。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマスク用カートリッジによると、1回限り使用のマスクについては、カプセル内容物の効果に従ってマスク着用者の好みのカートリッジを選択してマスク本体と一体的に用いることができ、複数回使用するマスクについては、同じ効果又は異なる効果を有するカートリッジを交換して使用することにより、マスク本体と一体的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)~(d)は本発明のカートリッジの実施の形態の一例を説明するための図である。
図2】カートリッジ格納用ポケットを用いてマスク本体と一体的に用いられる本発明のカートリッジの実施の形態の一例を説明するための図である。
図3】カートリッジ支持用のリング群を用いてマスク本体と一体的に用いられる本発明のカートリッジの実施の形態の一例を説明するための図である。
図4】(a)~(c)はマスク本体の所定の位置に固定するための粘着剤層と該粘着剤層を保護する剥離紙とを備えたシール部材の貼着により、マスク本体と一体的に用いられる本発明のカートリッジの実施の形態の一例を説明するための図である。
図5】(a)~(e)は、前記2枚の不織布にカートリッジを挟持し、4辺を閉じた2枚の不織布を備えるインナーガーゼが、インナーガーゼに設けられた貼付部によりマスク本体に貼付することにより、マスク本体と一体的に用いられるカートリッジの実施の形態の一例を説明するための図である。
図6】(a)及び(b)は、外面部と該外面部の下側部分との間にカートリッジ収納用ポケットを形成する中面部とを備えたマスク本体、又は外面部と該外面部の下側部分との間にカートリッジ収納用ポケットを形成する中面部と該外面部の上側部分との間にポケットカバーを形成する内面部とを備えたマスク本体のポケットに収納することにより、マスク本体と一体的に用いられるカートリッジの実施の形態の一例を説明するための図である。
図7】マスク用カートリッジがマスク本体に一体的に装着されたマスクをマスク着用者が着用している実施の形態の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のマスク用カートリッジとしては、マスク本体と一体的に用いられる、カプセルを含有するカートリッジであれば特に制限されず、本発明においてマスク本体と一体的に用いられるとは、必ずしもマスクの本体に常時結合しているのではなく、マスク着用時に物理的につながりを有する一つの集合体を形成して用いられることを意味する。
【0013】
本発明におけるマスク本体としては、公知のマスク本体やカートリッジ格納用ポケット等のカートリッジ保持具が形成されているマスク本体であれば特に制限されず、上記公知のマスク本体としてはCOVID-19予防、飛沫拡散予防に用いられている一般市民が使用する市販のマスクが好ましく、上記マスク本体を構成する繊維としては、再生セルロース繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維、又はこれらの混紡繊維を例示することができる。
【0014】
本発明のマスク用カートリッジ(1)は、図1(a)~(d)に示されるように、カプセル(2)、該カプセルを保持する、好ましくは包埋するカートリッジ素材(3)、該カートリッジ素材を整形するための巻紙(4)、カートリッジ素材と巻紙とを接着する接着剤(7)から通常構成されている。
【0015】
上記カプセルとしては、本発明のマスク用カートリッジが保持することができるカプセルであれば特に制限されず、カプセル皮膜を調製するための組成物としては、寒天、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、セルロース、ポリビニルアルコール共重合体、及び、エチレン酢酸ビニル共重合体,アクリル系樹脂組成物,エポキシ系樹脂組成物,シリコーン樹脂組成物等の紫外線硬化樹脂から選ばれる1又は2以上を皮膜形成物質として使用した皮膜用組成物を例示することができるが、上記カプセルは、カートリッジの外側から手指で簡単に割ることができることが好ましく、カプセルが割れるときにパチンという音が生じること、及び/又は、カプセルが割れるときに心地よい感触を感じることができるカプセルであることがより好ましい点で、カラギーナンを皮膜形成物質として使用した皮膜用組成物を好適に挙げることができる。
【0016】
上記カートリッジの外側から手指で簡単に割ることができるカプセルにおけるカプセルの破裂強度としては、5~40Nを挙げることができ、10~30Nをより好ましい破裂強度として挙げることができる。40Nを超えると、指でつぶす場合に困難となるおそれがあり、5N未満であると、製造工程中に不都合が生じるおそれがある。
【0017】
上記カプセルの破裂強度の測定方法としては、市販の「木屋式硬度計」を使用する方法を挙げることができる。「木屋式硬度計」の具体的な使用方法としては、カプセル試料を試料台の上に置き、上方から円柱形の加圧子を徐々に降ろし、破裂したときの圧力を記録することにより硬度を測定する方法を挙げることができる。
【0018】
上記硬度をもたらすカプセルの皮膜の厚さとしては、例えば、10~50μmを挙げることができ、25~45μmが好ましい。皮膜の厚さが10μm未満であると輸送中の振動でカプセルが壊れるおそれがあり、50μmを超えると、手指でカプセルをつぶす際に時間がかかるおそれがある。
【0019】
上記カプセルの直径としては、例えば、0.5~12mmを挙げることができ、1~8mmが好ましく、2~5mmがより好ましい。直径が0.5mmより小さいと、指でつぶすために、カプセルを抑えたり、つまんだりすることが困難となるおそれがあり、直径が12mmを超えると、内容物の容量が大きくなり、カプセルを手指でつぶして破砕させた際に内容物がカートリッジからあふれ出るおそれがある。
【0020】
上記カプセルの皮膜の色としては、特に限定はないが、図1(a)の、カプセルを内包するカートリッジが白色である場合、かかるカートリッジを光に透かして見た場合に視覚的に快さを得ることができる点で、黒、及び、有彩色が好ましく、例えば、ピンク、水色、赤、緑、青、紺、黄等において彩度の高い色であることがより好ましく、これらの色の区別を用いて、内容物の成分、内容物が揮散することにより香り等が奏する効果のイメージなどにより、色分けをして使用することも可能である。また、カートリッジ中の各カプセルの位置を確認しやすいという点でも有用である。
【0021】
上記カプセル皮膜用組成物には、必要に応じて、ゲル化剤、成形性の向上のため配合される可塑剤、酸性pH調整剤、酸性pH調整剤を中和させるための中和剤等をさらに含有させることができる。
【0022】
上記カプセルの製造方法としては、従来公知の方法であれば特に制限されないが、シームレスカプセルを得ることができる点で滴下法が好ましい。
【0023】
本発明のカートリッジに包含されるカプセルの内容物としては、甘草、アジサイ、朴の木の葉、カモミール、コロハ、チョウジ、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウインターグリーン、チェリー、ベリー、モモ、リンゴ、ドランビュイ、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエッセンス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー等のリフレッシュ効果やリラックス効果を得ることができる、フレーバーを楽しむための植物由来の抽出物;バーボン、スコッチ、ウイスキー、コニャック等のリラックス効果を得ることができる香りを楽しむための酒類又は酒類の香料;スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール等の糖及び/又は代替糖;ダチョウ、ラクダ、ヒト等の動物由来の抗体、吸入ステロイド等のアレルギー治療剤、鼻づまり症状等を改善するための抗炎症薬、茶カテキン、ポリフェノール、ポピドンヨード等の口臭改善剤などを例示することができる。内容物の形態としては、特に制限されず、油、液体、又は粉末であってもよい。
【0024】
上記カートリッジ素材(3)としては、本発明のカプセルの内容物の成分を保持・留置させることができる素材であれば特に制限されず、綿、活性炭繊維、触媒繊維、イオン交換繊維、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸、酢酸セルロース、再生セルロース等を挙げることができ、酢酸セルロースが好ましい。
【0025】
本発明のカートリッジの形状としては、カプセルを保持(包含)することができ、マスク本体と一体的に用いることができる形状であれば特に制限されず、円柱形、三角柱形、四角柱形等を例示することができるが、カートリッジの表面が、口鼻等ヒトの皮膚表面に直接的又は間接的に接触する可能性があるため、側周面を口鼻側に向けることにより接触する面積を減少させることができる点で、円柱形を好適に挙げることができる。かかる円柱形としては、厳密な円柱形のみならず、楕円柱形等略円柱形の形状を含めることができる。
【0026】
上記カートリッジが円柱形である場合の直径としては、3mm~10mm、好ましくは5mm~8mmを挙げることができ、長手方向の長さとしては、10mm~110mm、好ましくは20mm~30mmを挙げることができ、長手方向の長さは、カートリッジ形状材(5)を円周面で切断することにより(図1(b))、適宜調整することができる。
【0027】
上記カートリッジの製造方法としては、例えば、周知のカプセル入りタバコのフィルタ製造方法を利用可能である。すなわち、長手方向に延在するフィルタロッドが、例えば、上記カートリッジ素材として酢酸セルロースを使用する場合、酢酸セルロースのトウ等のフィラメントのフィルタ材料から製造されることは周知であり、酢酸セルロースフィラメントのトウをソースから引き込み、長手方向に前進するトウを(例えば、ノズルを通過させることにより)集合させ、集合した/圧縮したトウを、ガーニチャ(garniture)を通じて前進させ、新たに形成した長手方向に延在するフィルタ材料からなるロッドを、重ねて張り合わされてなる継ぎ目を利用して固定した巻紙により包装することによって製造する。長手方向に前進するロッドを別個のフィルタに、または、より一般的には、複数(例えば、2、4、または6個等)のフィルタを含む複合ロッドに切断してもよい。本方法は、カプセルを挿入する機械(このような機械は、周知である)による、カプセル含有フィルタの製造工程において適している。このような機械においては、(球状)カプセルは、積み重ねて保持され、長手方向に前進する酢酸セルロースフィラメントのトウが集合するときに、その中に連続的に送り込まれる。
【0028】
したがって、前進するトウは、ノズルを通過してガーニチャ内に入るときに、カプセルの周囲に集合し、圧縮される。得られた長手方向に前進するカプセル含有ロッドを、常法によって、フィルタ/ロッドに切断し、カートリッジとすることができる。
【0029】
上記巻紙の素材としては、上記カートリッジの形状を維持し、カートリッジ内に包埋されているカプセルが破砕された際に、カプセルから放出された内容物が必要以上にカートリッジの側周面から染み出すことを抑制することができる素材であれば特に制限されないが、麻及び/又は各種木材由来のセルロース繊維紙;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリエチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアニリン、パラアラミド、ポリ酢酸ビニル等の樹脂;及びこれらを混合又は二層以上に積層した樹脂を素材として例示することができ、セルロース繊維紙を好適に挙げることができる。また、上記巻紙は、二層にすることもでき、外側の巻紙の内側表面に、耐油性を有する繊維紙を用いることもでき、ラミネート加工や耐油性コーティングを施すこともできる。
【0030】
上記巻紙とカートリッジ素材とを接着するために用いられる接着剤としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、シアノアクリレート樹脂を例示することができる。
【0031】
上記カートリッジには、カプセルを1~5個、好ましくは1~3個含むことが好ましい。例えば、図1(a)のカートリッジ(1)には、カプセルが2個含まれる。
【0032】
本発明のカートリッジの側周面には、破砕されたカプセルの内容物がカートリッジ外部に適切に揮散することができるための通気孔(6)が形成されていることが好ましい。上記通気孔の面積としては0.2mm以上を挙げることができ、通気孔の数としては、1~50個を挙げることができるが、カプセルの内容物の成分、使用想定時間等によって適宜変更することができる。上記通気孔が複数の場合は、上記カートリッジ側周面の長手方向に1/8~1/2に該当する面積を占める連続した帯状領域内に作製されることが好ましい。また、上記通気孔は、従来公知の方法により形成することができるが、例えば、穿孔針により円形状、方形状又は星形状等の孔を上記巻紙外面から貫通させることにより形成することができる。
【0033】
本発明のカートリッジにおいては、通気孔が形成されているカートリッジの側周面を口鼻側に向けてマスク本体と一体的に使用することにより、かかる通気孔を通じて揮散する、破砕されたカプセル内容物の香りや有効成分がマスク本体着用者の口や鼻に届くので、マスク本体着用者は、上記カプセル内容物がもたらす香りによるリラックス効果、リフレッシュ効果やアレルギー消炎効果等の特定の効果をより適切に享受することができる。
【0034】
本発明のカートリッジがマスク本体と一体的に用いられる場合としては、マスク本体に設けられたカートリッジ保持具によりマスク本体と一体的に用いられる場合や、マスク本体の所定の位置に固定するための粘着剤層と、該粘着剤層を保護する剥離紙とを備えたシール部材の貼着により、本発明のカートリッジをマスク本体と一体的に用いられる場合や、2枚のインナーシート間にカートリッジを挟持し、2枚のインナーシートの互いに内側4辺を閉じたインナーガーゼに設けられた粘着部により、マスク本体と一体的に用いられる場合や、外面部と該外面部の下側部分との間に収納用ポケットを形成する中面部とを備えたマスク本体、又は外面部と該外面部の下側部分との間に収納用ポケットを形成する中面部と該外面部の上側部分との間にポケットカバーを形成する内面部とを備えたマスク本体のポケットに収納することにより、マスク本体と一体的に用いられる場合を挙げることができる。
【0035】
上記マスク本体に設けられたカートリッジ保持具としては、マスク本体に設けられたカートリッジ格納用ポケットやカートリッジ支持用のリング群を例示することができる。
【0036】
図2はカートリッジ格納用ポケットを用いてマスク本体と一体的に用いられる本発明のカートリッジの実施の形態の一例を説明するための図である。
【0037】
上記マスク本体に設けられたカートリッジ格納用ポケット(8)としては、マスク本体に設けられたポケットであって、カートリッジを格納できるポケットであれば特に制限されず、上記ポケットの材質としては特に制限はないが、ポリビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ナイロン、ポリビニルアルコール、ブタジエン樹脂を例示することができ、ガスバリア性能が高い点でポリビニリデンを好ましく挙げることができる。また、ポケットを紙、綿、ポリエステル、不織布等により作製し、ポケットの内周面及び/又は外周面を上記樹脂によりラミネート加工をすることも可能である。
【0038】
上記格納用ポケットをマスク本体に結合させる手段としては、溶着や面ファスナー等公知の手段であれば特に制限されず、ポケットに挿入するカートリッジを交換することにより、複数回使用するマスクにおいて、毎回新しいカートリッジを使用することができ、また、効果の異なるカセットを毎回使用することができる。
【0039】
上記格納用ポケット(8)は口鼻側に上記カートリッジの通気孔から揮発したカプセル内容物の成分を通過させることができる開口(9)を1又は2以上有する開口部を形成することが好ましい。開口は、マスク本体と一体的に使用する際に、口鼻側の側周面に方形状又は円形状の穴を穿孔することにより作製することができる。このように開口部を形成すると、カートリッジから放出されたカプセル内容液が口や鼻に直接接触することなく、カートリッジから放出されたカプセル内容物の有効成分が、開口部を通過してマスク本体使用者の口や鼻に届きやすくなる。
【0040】
上記開口部としては、揮散したカプセル内容物がポケットに接触しないように、通気孔と重ならないようにすれば、形状や大きさは限定されない。
【0041】
図3はカートリッジ支持用のリング群を用いてマスク本体と一体的に用いられる本発明のカートリッジの実施の形態の一例を説明するための図である。
【0042】
上記カートリッジ支持用のリング群としては、例えば円柱形のカートリッジを支持できるようにマスクの口鼻側周面に間隔をあけて配設されている2つのリング(10)からなるリング群を挙げることができ、それぞれのリングがカートリッジと同心的に配列されるようにカートリッジ(1)がかかる2つのリングに挿入されることが好ましい。
【0043】
上記リング群における各リングが円柱形のカートリッジの長手方向に互いに離間してカートリッジを支持することにより、カートリッジがマスクと一体化して用いられることができる。複数のリングの間隔を一定に保持するようにリングを連結する連結部材をさらに備えることも可能である。また、リング群は、3つ以上のリングから構成することも可能である。
【0044】
上記リングの形状としては、カートリッジを支持できるリングの形状であれば特に制限されないが、O状リング、一部に切れ目を有するC型リングをマスクに溶接、縫込み、ねじ込み等によりマスクに連結させたリングを例示することができる。
【0045】
上記リングの素材としては、耐久性の高いリングを調製するためにポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の合成樹脂や、ニッケル、アルミニウム等の金属から選択された素材を選択することができ、また、リングのカートリッジ支持能をリングの弾性により強化するために天然ゴム、合成ゴム等を選択することができる。
【0046】
図4(a)~(c)はマスク本体の所定の位置に固定するための粘着剤層と該粘着剤層を保護する剥離紙とを備えたシール部材の貼着により、マスク本体と一体的に用いられる本発明のカートリッジの実施の形態の一例を説明するための図である。
【0047】
本発明のカートリッジは、通気孔と、該通気孔をふさがない粘着剤層(11)とを備え、該粘着剤層の表面には剥離紙(12)が貼着されている。使用に際しては、上記剥離紙をカートリッジから剥がし、粘着剤層の粘着面を露出させ、かかる粘着面をマスク本体に押し付けて貼着し、カートリッジをマスク本体に固定する。前記通気孔は、粘着剤層(11)がない部位であればよく、例えば粘着剤層の反対側の側周面を好適に例示することができる(図4(b))。なお、本発明におけるマスク本体としては、マスクが顔に密着することを防ぐための市販のインナーフレームが取り付けられたマスクを便宜上含めることができる。
【0048】
上記粘着剤層を構成する粘着剤としては、上記カートリッジを貼着したマスク本体を使用後にカートリッジを取り外す際に、マスク本体側に残存しない粘着剤が好ましく、再接着性を有する粘着剤がさらに好ましく、これらの性質を有する公知の粘着剤であれば特に制限されないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シアノアクリレート樹脂及び、これらの2種以上の組合せを例示することができる。なお、上記「再接着性を有する」とは剥離紙を剥離したシール部材をマスク本体に貼着したのち、再度マスク本体の所定の位置に貼着することが可能であり、その際に当初と同等程度の粘着力を維持できる事を意味する。かかるカートリッジは、使用者が、香り等が強すぎると感じる場合に、鼻等から距離を置いたところに再度貼着しなおすことが容易にできるなどの点で優れている。
【0049】
上記剥離紙としては、剥離紙基材とこの剥離紙基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する積層シートを挙げることができ、上記剥離紙基材としては、上質紙、色上質紙、中質紙、アート紙、コート紙、ケント紙、ノンカーボン紙、模造紙等の各種紙類や、高分子フィルムを例示することができる。上記剥離剤層を構成する剥離剤としては、上記粘着剤層と剥離紙の界面で剥離することができ、剥離紙に上記粘着剤が付着しない剥離性が付与された、周知の縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物を用いることができる。
【0050】
上記シール部材の粘着剤層を貼着するマスクの位置としては、マスク本体使用者がカプセル内容物の香りや、薬剤の有する効果を適切に得ることができる位置であれば特に制限されず、例えば、マスク使用者の鼻と口の間に該当する位置にカートリッジが横になるように貼着することができ(図4(c))、また、鼻梁部尾根から唇の中心部を上下に通過する稜線上に折線がある立体形状マスク等において、かかる折線に沿ってカートリッジが縦になるように貼着することもできる。
【0051】
図5(a)~(e)は、前記2枚の不織布(13)がカートリッジを挟持し、4辺を閉じた2枚の不織布を備えるインナーガーゼ(14)が、インナーガーゼに設けられた貼付部によりマスク本体に貼付することにより、マスク本体と一体的に用いられるカートリッジの実施の形態を示す図である。
【0052】
上記不織布の素材としては、綿、麻、ウール、再生セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維を例示することができる。
【0053】
上記インナーガーゼに設けられた貼付部(15)の構成としては、インナーガーゼをマスクの所定の位置に取り付けるための粘着剤面と該粘着剤面を保護する剥離シートからなる貼付部を備えることが好ましく、上記粘着剤面を保護する剥離シートが接していない粘着剤面を、インナーガーゼの側周面に接着させることにより、上記インナーガーゼに設けられた貼付部を形成することができる。
【0054】
上記貼付部の位置としては、特に制限はなく上記インナーガーゼの上下端(図5(c))や四隅(図5(d))等を挙げることができるが、図5の(c)及び(d)は、90度回転することにより、横に固定されているカートリッジが縦方向になる態様で使用できるので、マスクの形状やマスク使用者の好みに合わせて自由に使用することができる。
【0055】
上記2枚の不織布に挟持された場合、カートリッジの通気孔がある面(16)は、カプセル内容物の有効成分が、上記不織布を通過して、マスク本体使用者の鼻や口に届きやすくなる点で、上記インナーガーゼに設けられた貼付部と反対の、マスク着用者の口鼻側を向くことが好ましい。
【0056】
上記インナーガーゼをマスク本体の口鼻側の面の所定の位置に合わせ、剥離シートをはがした後上記粘着剤面を押し付けることにより、カートリッジをマスク本体と一体化して使用することができる(図5(e))。
【0057】
図6(a)と(b)は、外面部(17)と該外面部の下側部分との間にカートリッジの収納用ポケット(18)を形成する中面部(19)とを備えたマスク本体、又は外面部と該外面部の下側部分との間にカートリッジ(1)の収納用ポケットを形成する中面部と該外面部の上側部分との間にポケットカバーを形成する内面部とを備えたマスク本体の収納用ポケットに収納することにより、マスク本体と一体的に用いられるカートリッジの実施の形態の一例を説明するための図である。
【0058】
図7は、マスク用カートリッジがマスク本体に一体的に装着されたマスクをマスク着用者が着用している実施の形態の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
(1)マスク用カートリッジ
(2)カプセル
(3)カートリッジ素材
(4)巻紙
(5)カートリッジ形状材
(6)通気孔
(7)接着剤
(8)格納用ポケット
(9)開口
(10)リング
(11)粘着剤層
(12)剥離紙
(13)不織布
(14)インナーガーゼ
(15)貼付部
(16)通気孔面
(17)外面部
(18)収納用ポケット
(19)中面部
(20)マスク用カートリッジと一体的に用いられるマスク本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7