(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027523
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】リード型圧電発振器
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
H03B5/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115766
(22)【出願日】2021-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2020129452
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(72)【発明者】
【氏名】重松 俊輔
【テーマコード(参考)】
5J079
【Fターム(参考)】
5J079AA03
5J079BA39
5J079FA19
5J079HA07
5J079HA09
5J079HA27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】表面実装型圧電発振器と表面実装型電子部品とをリード端子に有効な状態で一体的に取り付けて特性を改善するリード型圧電発振器を提供する。
【解決手段】リード型圧電発振器100は、パッド部と外部接続部が形成された第1リード端子1、と第2リード端子2及び第3リード端子3と、当該リード端子のパッド部(第1パッド部10、第2パッド部20、第3パッド部30)に導電接合される表面実装型圧電発振器4及び表面実装型電子部品5と、これらを覆う樹脂パッケージ部6と、を有する。表面実装型圧電発振器と表面実装型電子部品は、複数のリード端子のパッド部を介して、電気的に接続されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に複数のパッド部が形成され、他端部に外部接続部が形成された複数のリード端子と、
外表面に複数の外部端子を形成され、上記複数のパッド部の一部と上記複数の外部端子とが導電接合される表面実装型圧電発振器とを備えており、
外表面に複数の外部端子を形成され、上記複数のパッド部の一部と上記複数の外部端子とが導電接合されることで上記表面実装型圧電発振器と電気的に接続される表面実装型電子部品を有し、
上記複数のリード端子のパッド部と上記表面実装型圧電発振器と上記表面実装型電子部品とを覆う樹脂パッケージ部が形成されてなることを特徴とするリード型圧電発振器。
【請求項2】
請求項1記載のリード型圧電発振器であって、
上記表面実装型電子部品は上記表面実装型圧電発振器より表面積が小さく、
上記複数のパッド部は、
上記表面実装型圧電発振器の複数の外部端子と導電接合される主パッド部と、
上記表面実装型電子部品の複数の外部端子と導電接合される副パッド部と、
上記主パッド部と上記副パッド部の間に形成され、当該主パッド部および副パッド部よりも機械的強度の弱い領域とが形成されてなる
ことを特徴とするリード型圧電発振器。
【請求項3】
請求項1、または請求項2記載のリード型圧電発振器であって、
上記表面実装型電子部品は上記表面実装型圧電発振器より外部端子の数が少なく、
上記複数のパッド部は、
上記表面実装型圧電発振器の複数の外部端子と導電接合される主パッド部と、
上記表面実装型電子部品の複数の外部端子と導電接合され、かつ上記主パッド部よりパッド部の数が少ない副パッド部と、
上記主パッド部と上記副パッド部の間に形成され、当該主パッド部および副パッド部よりも機械的強度の弱い領域が形成されてなる
ことを特徴とするリード型圧電発振器。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のリード型圧電発振器であって、
上記リード端子の機械的強度の弱い領域が、リード端子のパッド部の主面における幅が狭まった幅狭部により構成されてなる
ことを特徴とするリード型圧電発振器。
【請求項5】
請求項4記載のリード型圧電発振器であって、
上記リード端子の幅狭部の接続部分となる角部にR加工部を形成した
ことを特徴とするリード型圧電発振器。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項記載のリード型圧電発振器であって、
上記表面実装型電子部品がコンデンサである
ことを特徴とするリード型圧電発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部端子を備えた表面実装型圧電発振器と、当該表面実装型圧電発振器の各外部端子が導電性接合材で電気的機械的に接続された複数のパッド部と、いずれか一つのパッド部と一体形成され電気的に接続された複数のリード端子と、前記表面実装型圧電発振器およびパッド部を樹脂封止する樹脂パッケージ部とを備えてなるリード型圧電発振器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のリード型圧電発振器の一例としては、特許文献1に開示されているようなものがある。つまり、表面実装型圧電発振器を金属リードフレームからなるリード端子にはんだ等の導電性接合材を用いて電気的機械的に接合されたものを、さらに樹脂材によりモールド被覆したもの(樹脂パッケージ部を具備)が開示されている。
【0003】
特許文献1では、リード型圧電発振器における外来ノイズの影響を低減するためのリード端子の形状を工夫したものが開示されている。
【特許文献1】特開2017-85450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなリード型圧電発振器では、内蔵される表面実装型圧電発振器の製造時にはその単体としての特性が既に完成しており、リード端子を通した外部電源からのノイズ成分の除去や圧電発振器の特性改善について何ら考慮されていないのが通常である。また、最終的に完成されたリード型圧電発振器について、このような外部電源からのノイズ成分の除去や圧電発振器の特性改善する場合、一般的に、外部回路に特性改善部品を後から搭載して発振回路と接続にすることで実現している。しかしながら、リード型圧電発振器では、表面実装型圧電発振器と比べて、外部回路基板との導通経路が長くなるため、これらの特性改善の効果は小さくなるという問題点があった。
【0005】
本発明は係る問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、表面実装型圧電発振器と表面実装型電子部品とをリード端子に有効な状態で一体的に取り付けることで、特性の改善がなされたリード型圧電発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の特許請求項1に示すように、
一端部に複数のパッド部が形成され、他端部に外部接続部が形成された複数のリード端子と、外表面に複数の外部端子を形成され、上記複数のパッド部の一部と上記複数の外部端子とが導電接合される表面実装型圧電発振器とを備えており、外表面に複数の外部端子を形成され、上記複数のパッド部の一部と上記複数の外部端子とが導電接合されることで上記表面実装型圧電発振器と電気的に接続される表面実装型電子部品を有し、上記複数のリード端子のパッド部と上記表面実装型圧電発振器と上記表面実装型電子部品とを覆う樹脂パッケージ部が形成されてなる
ことを特徴とするリード型圧電発振器。
【0007】
上記構成により、リード端子のパッド部の一部で表面実装型圧電発振器の外部端子が導電接合され、リード端子のパッド部の一部で表面実装型電子部品の外部端子が導電接合されるので、表面実装型電子部品を表面実装型圧電発振器に極めて近接した位置で電気的に接続することができる。このため、表面実装型圧電発振器と表面実装型電子部品とがより低インピーダンスで密な電気的接続関係が得られ、結果としてリード型圧電発振器としての特性改善により有効な構成とできる。また、表面実装型圧電発振器として特性が確保された汎用部品を流用してリード型圧電発振器を作成することで、圧電発振器としての特性を再構築する必要がなく、小型でかつ安価に作成することができる。
【0008】
また、本発明の特許請求項2に示すように、上記表面実装型電子部品は上記表面実装型圧電発振器より表面積が小さく、上記複数のパッド部は、上記表面実装型圧電発振器の複数の外部端子と導電接合される主パッド部と、上記表面実装型電子部品の複数の外部端子と導電接合される副パッド部と、上記主パッド部と上記副パッド部の間に形成され、当該主パッド部および副パッド部よりも機械的強度の弱い領域とが形成されていてもよい。
【0009】
リード型圧電発振器では、パッド部をなすリード端子と当該リード端子に導電接合された表面実装型圧電発振器と表面実装型電子部品とを含めて樹脂で覆うため、樹脂パッケージ部を形成する際に樹脂パッケージ内部の領域で熱応力が生じることがあった。本発明では、上記構成により、熱応力がより表面積の大きな表面実装型圧電発振器が導電接合された主パッド部(比較的機械的強度の強い領域)から表面積の小さな表面実装型電子部品が導電接合された副パッド部(比較的機械的強度の弱い領域)のほうへ伝わったとしても、主パッド部と副パッド部の間には、主パッド部および副パッド部よりもリード端子の機械的強度の弱い領域が形成されているので、このような熱応力を緩和することができ、比較的強度の弱い副パッド部の領域やこの領域に導電接合されている表面実装型電子部品を守ることができる。結果として、接合面積が小さな表面実装型電子部品が導電接合された副パッド部における導電性接合材の剥離、あるいは導電接合された表面実装型電子部品の破壊をなくすことができる。
【0010】
また、本発明の特許請求項3に示すように、上記表面実装型電子部品は上記表面実装型圧電発振器より外部端子の数が少なく、上記複数のパッド部は、上記表面実装型圧電発振器の複数の外部端子と導電接合される主パッド部と、上記表面実装型電子部品の複数の外部端子と導電接合され、かつ上記主パッド部よりパッド部の数が少ない副パッド部と、上記主パッド部と上記副パッド部の間に形成され、当該主パッド部および副パッド部よりも機械的強度の弱い領域が形成されていてもよい。
【0011】
リード型圧電発振器では、パッド部をなすリード端子と当該リード端子に導電接合された表面実装型圧電発振器と表面実装型電子部品とを含めて樹脂で覆うため、樹脂パッケージ部を形成する際に樹脂パッケージ内部の領域で熱応力が生じることがあった。本発明では、上記構成により、熱応力がより接合点の多い表面実装型圧電発振器が導電接合された主パッド部(比較的機械的強度の強い領域)から接合点の少ない表面実装型電子部品が導電接合された副パッド部比較的機械的強度の弱い領域)のほうへ伝わったとしても、主パッド部と副パッド部の間には、主パッド部および副パッド部よりもリード端子の機械的強度の弱い領域が形成されているので、このような熱応力を緩和することができ、比較的強度の弱い副パッド部の領域やこの領域に導電接合されている表面実装型電子部品を守ることができる。結果として、接合点が少ない表面実装型電子部品が導電接合された副パッド部における導電性接合材の剥離、あるいは導電接合された表面実装型電子部品の破壊をなくすことができる。
【0012】
また、本発明の特許請求項4に示すように、
上記リード端子の機械的強度の弱い領域が、リード端子のパッド部の主面における幅が狭まった幅狭部により構成されていてもよい。
【0013】
上記構成により、上述の作用効果に加えて、パッド部の幅狭部は容易に加工でき、機械的強度の弱い領域として機能させることができる。この幅狭部により熱応力を緩和することができ、リード端子の機械的な変形による応力吸収部としても機能させることができる。
【0014】
また、本発明の特許請求項5に示すように、
上記リード端子の幅狭部の接続部分となる角部に円弧状に加工されたR加工部を形成した。
【0015】
上記構成により、上述の作用効果に加えて、リード端子の幅狭部の接続部分となる角部に、R加工部を形成することで、リード端子の機械的な変形による角部での応力集中がなくなり、リード端子のクラックや破断の発生を低減させることができる。結果として、表面実装型圧電発振器との接続が断線することによる不発振を招いたり、リード端子などを囲う樹脂パッケージ部の破壊などをなくすことができる。
【0016】
また、本発明の特許請求項6に示すように、
上記表面実装型電子部品がコンデンサであってもよい。
【0017】
上記構成により、上述の作用効果に加えて、コンデンサをICが内蔵された表面実装型圧電発振器に極めて近接した位置で取り付けることができるので、外部電源からのノイズ除去を効果が高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明は、表面実装型圧電発振器と表面実装型電子部品とをリード端子に有効な状態で一体的に取り付けることで、特性の改善がなされたより信頼性の高いリード型圧電発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るリード型圧電発振器を配線基板に実装した状態を示した概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るリード端子の概略構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るリード型圧電発振器の概略構成図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る表面実装型圧電発振器の概略構成図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る
図3のX-Xに沿った概略断面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係るリード端子の概略構成図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係るリード端子の概略構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明のリード型圧電発振器の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るリード型圧電発振器100を配線基板7(外部回路基板)に実装した状態を示した概略構成図であり、リード型圧電発振器100は、配線基板7にはんだ(図示省略)を用いて実装される。配線基板7には、配線パターン(不図示)と、貫通孔71、貫通孔72および貫通孔73(貫通孔71,72,73)とが形成されている。貫通孔71,72,73は、内壁にめっき層(不図示)が設けられ、配線基板7の両主面を貫通する貫通孔である。
【0022】
つまり、配線基板の貫通孔71,72,73に対し、リード型圧電発振器の第1リード端子1、第2リード端子2および第3リード端子3(以下、リード端子1,2,3とする)の第1外部接続部15、第2外部接続部25および第3外部接続部35(以下、外部接続部15,25,35とする)を挿入し、前記内壁のめっき層とはんだを用いていて電気的機械的に接合されている。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係るリード端子1,2,3の概略構成図である。リード端子1,2,3は、他端部に外部回路基板の貫通孔に挿入される外部接続部15,25,35が形成され、他端部からそれぞれ同一方向(本実施形態では+Y軸方向)に延設され、一端部に第1パッド部10、第2パッド部20および第3パッド部30(以下、パッド部10,20,30とする)がそれぞれ形成されている。各パッド部は、板状でX軸とX軸に直交したY軸とからなるX-Y平面とする搭載面(表裏主面)をなしている。
【0024】
なお、本実施形態では、リード端子1の両端のうち、パッド部10側の一端を基端とし、外部接続部15側の他端を先端とし、リード端子2の両端のうち、パッド部20側の一端を基端とし、外部接続部25側の他端を先端とし、リード端子3の両端のうち、パッド部30側の一端を基端とし、外部接続部35側の他端を先端としている。
【0025】
パッド部10,20,30は、後述する表面実装型圧電発振器4と後述する表面実装型電子部品5とが接合される部位およびその周辺の部位であり(領域D0で示す部位)、パッド部10,20,30における幅(X軸方向(+X軸方向及び-X軸方向)における寸法)は、リード端子1,2,3の幅(X軸方向(+X軸方向及び-X軸方向)における寸法)W0よりも広く、板状に形成されている。パッド部10,20,30のそれぞれの板状の搭載面には、後述する表面実装型圧電発振器4と表面実装型電子部品5とが搭載され、パッド部10,20,30と表面実装型圧電発振器4と表面実装型電子部品5とがはんだ等の導電性接合材Hにより電気的に接続されている。
【0026】
第1パッド部10の先端部分には、後述する表面実装型圧電発振器の4つのうちの2つの外部端子40と接合され、第1パッド部10に占める表面積が大きな第1主パッド部の一11と第1主パッド部の二12とが切欠部14を挟んで並列して形成さている。第1パッド部10の第1外部接続部15に近接する部分には、後述する表面実装型電子部品の2つのうちの1つの外部端子50と接合され、第1パッド部10に占める表面積が小さな第1副パッド部13が形成されている。つまり、第1主パッド部(第1主パッド部の一11と第1主パッド部の二12)は、第1副パッド部13より表面積が大きく形成されている。
【0027】
本形態では、接続点が多い2点となる第1主パッド部(第1主パッド部の一11と第1主パッド部の二12)と接続点が少なく1点となる第1副パッド部13の間には、第1主パッド部の二12および第1副パッド部13よりも第1リード端子2の機械的強度の弱い領域として、当該パッド部の主面における幅が狭まった幅狭部16が形成されている。
【0028】
上記構成により、第1主パッド部(第1主パッド部の一11と第1主パッド部の二12)に外部端子数の多い表面実装型圧電発振器4の外部端子が導電性接合材Hにより接合されているので、リード端子1への表面実装型圧電発振器4の搭載位置決めが安定し、より強固な固定が実現できる構成となる。また、第1副パッド部13に外部端子数の少ない表面実装型電子部品5の外部端子が接合される領域が形成されているので、主部品としての表面実装型圧電発振器4の搭載領域を侵すことなく、表面実装型電子部品5の搭載領域の確保が行いやすく、搭載領域の省スペース化が実現できる。また、第1主パッド部(第1主パッド部の一11と第1主パッド部の二12)と第1副パッド部13の間には、幅狭部16が形成されているので、樹脂パッケージ部6を形成する際に生じる熱応力などがより接合点の多い表面実装型圧電発振器4が導電接合された第1主パッド部(第1主パッド部の一11と第1主パッド部の二12)から接合点の少ない表面実装型電子部品5が導電接合された第1副パッド部13のほうへ伝わったとしても、相互間の応力を緩和することができる。
【0029】
なお、リード端子に伝わる応力の緩和性能を高めるために、幅狭部16の主面の幅をW1(
図2参照)とし、幅狭部16の厚みT1(
図5参照)とした場合の寸法比T1/W1は、0.8~1.2の範囲内にて設定することが望ましい。これにより、幅狭部16の主面幅と厚みとのアスペクト比が小さくなり、幅狭部16の断面形状が正方形状に近づくことになるため、リード端子の曲がりが厚み方向だけでなく、主面方向にも変位しやすくなるため、応力緩和しやすくなる。本形態では、例えば、幅W1を4.5mm、厚みT1を4mmとし、寸法比を0.88として設定している。
【0030】
また、
図6に示すように、リード端子1の幅狭部16の接続部分となる角部に、円弧状に加工されたR加工部161R,162Rを形成してもよい。R加工部の径としては例えば0.1~0.2mm程度のもの形成している。この構成により、リード端子1の機械的な変形による角部での応力集中がなくなり、リード端子1のクラックや破断の発生を低減させることができる。なお、このR加工部は幅狭部16の接続部分となる角部だけでなく、リード端子1の全ての角部に形成してもよい。またR加工部に変えて角部がより鈍角となるようにC面加工部を形成してもよい。
【0031】
第2パッド部20の先端部分には、後述する表面実装型圧電発振器の4つのうちの1つの外部端子40と接合され、第2パッド部10に占める表面積が大きな第2主パッド部21が形成されている。第2パッド部20の第2外部接続部15に近接する部分には、後述する表面実装型電子部品の2つのうちの1つの外部端子50と接合され、第2パッド部20に占める表面積が小さな第2副パッド部22が形成されている。つまり、第2主パッド部21は、第2副パッド部22より表面積が大きく形成されている。
【0032】
本形態では、表面積の大きな第2主パッド部21と表面積が小さな第2副パッド部22の間に、第2主パッド部21および第2副パッド部22よりも第2リード端子2の機械的強度の弱い領域として、当該パッド部の主面における幅が狭まった幅狭部23が形成されている。
【0033】
上記構成により、表面積の大きな第2主パッド部21に表面積の大きな表面実装型圧電発振器4の外部端子が導電性接合材Hにより接合されているので、リード端子1への表面実装型圧電発振器4の搭載位置決めが安定し、より強固な固定が実現できる構成となる。また、表面積が小さな第2副パッド部22に表面積が小さな表面実装型電子部品5の外部端子が接合される領域が形成されているので、主部品としての表面実装型圧電発振器4の搭載領域を侵すことなく、表面実装型電子部品5の搭載領域の確保が行いやすく、搭載領域の省スペース化が実現できる。また、第2主パッド部21と第2副パッド部22の間には、幅狭部23が形成されているので、樹脂パッケージ部6を形成する際に生じる熱応力などがより表面積の大きな表面実装型圧電発振器4が導電接合された第2主パッド部21から表面積の小さな表面実装型電子部品5が導電接合された第2副パッド部22のほうへ伝わったとしても、相互間の応力を緩和することができる。
【0034】
また、
図6に示すように、リード端子2の幅狭部23の接続部分となる角部のうち、比較的応力の集中しやすい120度より小さい角度となる部分では、R加工部231R,232Rを形成してもよい。R加工部の径としては例えば0.1~0.2mm程度のもの形成している。この構成により、リード端子2の機械的な変形による角部での応力集中がなくなり、リード端子1のクラックや破断の発生を低減させることができる。なお、このR加工部は幅狭部23の接続部分となる角部のうち、120度より大きな角度となる部分に対して形成してもよく、リード端子2の全ての角部に形成してもよい。また、R加工部に変えて角部がより鈍角となるようにC面加工部としてもよい。
【0035】
第3パッド部30の先端部分には、後述する表面実装型圧電発振器の4つのうちの1つの外部端子40と接合され、第3パッド部10に占める表面積が大きな第3主パッド部31が形成されている。
【0036】
本実施形態では、リード端子1,2,3の母材としてCu(銅)や42アロイ(Ni(ニッケル)合金)等が用いられる。前記母材の表面には、Ni等の下地めっきが施された後、さらにAg(銀)めっきやAu(金)めっき等が施されている。
【0037】
このリード型圧電発振器100では、
図3、
図5に示すように、パッド部10,20,30と、表面実装型圧電発振器4および表面実装型電子部品5が、絶縁性樹脂を用いて形成された樹脂パッケージ部6により樹脂封止されている。ここでは、リード端子1,2,3それぞれの基端側の一部分も樹脂パッケージ部6により樹脂封止されている。なお、本形態では、樹脂パッケージ部6の形状をリード端子のパッド部の主面に沿った直方体形状としているが、これに限定されるものではなく、パッド部10,20,30と表面実装型圧電発振器4と表面実装型電子部品5とを樹脂封止できれば、他の形状としてもよい。
【0038】
リード端子1,2,3は、+X軸方向に沿って順に隣接して配置されている。リード端子1は第1パッド部10から-Y軸方向に延設され、リード端子2は第2パッド部20から-Y軸方向に延設され、リード端子3は第3パッド部30から-Y軸方向に延設されている。すなわち、これらリード端子1,2,3は、パッド部10,20,30から同一方向である-Y軸方向へ延設されている。なお、本実施形態では、リード端子1は電源電圧を入力するためのリード端子であり、リード端子2は接地用のアース端子であり、リード端子3は出力周波数信号を取り出すためのリード端子である。なお、本実施形態に示すリード端子1,2,3とパッド部10,20,30との組み合わせ(延設状態)は一例にすぎず、リード型圧電発振器100の仕様等に応じて任意に変更可能である。
【0039】
また、貫通孔71,72,73の内壁のめっき層とリード端子1,2,3とは、図示していないが、はんだ等を用いてそれぞれ電気的に接続されている。
【0040】
表面実装型圧電発振器4として用いた場合、表面実装型圧電発振器をリード型圧電発振器として汎用することができ、電子部品の製造コストを削減することができる。
【0041】
本実施形態では、表面実装型圧電発振器4として、水晶振動片54からなる電子部品素子を備えた表面実装型の水晶発振器を用いた場合について説明を行う。
図4は、本発明の実施形態に係る表面実装型圧電発振器4の実施例を示す断面図であり、セラミック多層基板からなる絶縁性のベース34と、段付き凹部341の開口部位を覆う蓋24とから構成された筐体14を備えている。
【0042】
この表面実装型圧電発振器4では、ベース34と蓋24との当接部位(外周縁部)は、封止用接合材(不図示)によって接合され、この接合により筐体14内部(キャビティ)が気密封止されている。
【0043】
蓋24は、金属等の導電性を有する材料を用いて形成され、接地用のリード端子2に一体形成されたパッド部20に電気的に接続され、ノイズを除去することができる。なお、蓋24は導電性を有する材料に限らずセラミック等の絶縁性を有する材料を用いて形成されていてもよい。また、蓋24とパッド部20とは、図示していないが、筐体14に形成された配線パターンまたはワイヤ等を介して電気的に接続されていることが好ましい。
【0044】
ベース34には、一表面(紙面上側(以下、上側とする)の表面)にキャビティとしての段付き凹部341が設けられている。
【0045】
段付き凹部341内には、2段の段差が設けられている。段付き凹部341の上段部(段付き凹部341の開口部位に最も近い側の段差部)342には、両主面に一対の励振電極(不図示)が形成された水晶振動片54が載置され、水晶振動片54の端部は上段部342の少なくとも一部に支持されている。
【0046】
段付き凹部341の上段部342に複数の電極パッド(不図示)が設けられ、複数の電極パッドに、水晶振動片54の各励振電極が導電性接合材741および導電性接合材742を用いて接合されている。なお、2つの導電性接合材741,742は、
図4に示す断面視同一位置に配置され、紙面手前側(以下、手前側とする)と紙面奥側(以下、奥側とする)とに配されている。なお、導電性接合材741,742として、樹脂性接着剤、金属バンプ、またはめっきバンプ等を用いてもよい。
【0047】
段付き凹部341の底面343には、CMOSなどの発振回路と増幅回路を含む集積回路素子64(IC)が載置されている。集積回路素子64は複数の外部端子(不図示)を備えており、集積回路素子64の前記複数の外部端子は、段付き凹部341の下段部(前記上段部342よりも底面343側に設けられた段差部)344に設けられた複数の電極パッド(不図示)に、複数のワイヤ84を介してそれぞれワイヤボンドされている。なお、ワイヤ84を用いたワイヤボンドの代わりに、金属バンプによるフリップチップ接合(Flip Chip Bonding(FCB))を用いてもよい。
【0048】
なお、
図4に示す表面実装型圧電発振器4は、4つの外部端子40を備えている(
図3参照)。これら外部端子40は、ベース34の外側(紙面下側(以下、下側とする))の表面に形成されている。例えば、外部端子40は、集積回路素子64の電源電圧を入力するための外部端子と電気的に接続されるものと、集積回路素子64の出力をコントロールするための外部端子と電気的に接続されるものと、集積回路素子64の接地用の外部端子と電気的に接続されるものと、集積回路素子64の出力信号を取り出すための外部端子と電気的に接続されるものとに分かれている。
【0049】
上記した段付き凹部341の上段部342に載置された水晶振動片54の前記励振電極の少なくとも一部と、段付き凹部341の下段部343に載置された集積回路素子64の前記外部端子の少なくとも一部とは、表面実装型圧電発振器4の仕様に応じた電気的接続がされている。
【0050】
図3、
図4に示すリード型圧電発振器100では、パッド部10,20,30の搭載面(表裏主面のうちの一主面側)に対して表面実装型圧電発振器4の外部端子40が対面(対向)した状態で搭載されている。このような状態において、リード型圧電発振器100では、パッド部10表面(第1主パッド部の一11と第1主パッド部の二12)と外部端子40の2つが、パッド部20表面(第2主パッド部21)に外部端子40の1つが、パッド部30の表面(第3主パッド部31)に外部端子40の1つが、はんだ等の導電性接合材Hを用いてそれぞれ固定され接続されている。
【0051】
表面実装型電子部品5は、表面実装型圧電発振器4より表面積が小さいもので、例えばチップコンデンサからなり、長辺方向の両端部の外表面に2つの外部端子50を備えている(
図3参照)。
図3、
図4に示すリード型圧電発振器100では、パッド部10,20の搭載面(表裏主面のうちの一主面側)に対して表面実装型電子部品5の外部端子50が対面(対向)した状態で搭載されている。このような状態において、リード型圧電発振器100では、パッド部10表面(第1副パッド部13)と外部端子50の1つが、パッド部20表面(第2副パッド部22)に外部端子50の1つが、はんだ等の導電性接合材Hを用いてそれぞれ固定され接続されている。
【0052】
すなわち、本形態のチップコンデンサ(表面実装型電子部品5)では、表面実装型圧電発振器4の集積回路素子64の電源電圧を入力するための外部端子と電気的に接続される部分と、集積回路素子64の接地用の外部端子と電気的に接続される部分とに極めて近接した状態で並列に接続されている。このため、バイパスコンデンサとして機能するにあたり、外部電源からのノイズ除去を効果が高めることができる。また、本形態のように、CMOS発振回路によるICであれば、バイパスコンデンサを介在させることで、ICに供給される電位が急激に変化したとしても当該バイパスコンデンサで蓄えられた電荷により補うことができるため、発振器としての出力波形の異常を抑制することができる。
【0053】
なお、
図1、
図3に示すリード型圧電発振器100では、パッド部10表面に2つの外部端子40(電源端子と出力コントロール端子)を共通接続して電源電圧を入力している。また、パッド部20表面に1つの外部端子40(接地端子)を接続し、パッド部30表面に1つの外部端子40(出力端子)を接続している。結果として、リード型圧電発振器100のリード端子1は電源端子として機能し、リード型圧電発振器100のリード端子2は接地端子として機能し、リード型圧電発振器100のリード端子3は出力端子として機能する。但し、本発明において、前記パッド部の数、前記リード端子の数、およびパッド部10,20,30と外部端子40との間の接続状態は、
図2、
図3に示すものに限定されず、リード型圧電発振器100の仕様に応じて適宜変更可能である。
【0054】
また、本形態では、パッド部10,20,30と外部端子40、あるいは外部端子50との電気的機械的な接合する導電性接合材Hとして、安価で強固に接合できるはんだ材を開示しているが、これらの材料に限るものではなく、導電性接着剤を用いてもよく、Auバンプを用いたFCBであってもよい。
【0055】
リード端子1,2,3は、
図2、
図3に示すように、隣り合うリード端子間のピッチが狭い狭ピッチ部位(図中、領域D1で示す部位)と、隣り合うリード端子間のピッチが広い広ピッチ部位(図中、領域D3で示す部位)とをそれぞれ備えている。前記狭ピッチ部位は、前記広ピッチ部位よりもリード端子1,2,3それぞれの基端側(パッド部10,20,30側)に配されている。
図1に示すリード型圧電発振器100では、前記狭ピッチ部位と前記広ピッチ部位とを設けるために、リード端子1およびリード端子3において、前記狭ピッチ部位と前記広ピッチ部位との間に配された部位(図中、領域D2で示す部位)が、基端側から先端側へ向かうに従ってそれぞれリード端子2から離間する斜行部で構成されている。
【0056】
なお、リード端子1,2,3のピッチ(X軸方向におけるリード端子1,2,3間の間隙部の寸法)は、パッド部10,20,30に搭載される表面実装型圧電発振器4の仕様(例えば、外形や外部端子等の寸法)や、配線基板7の仕様(例えば、各貫通孔71~73間の間隔等)に従って、適宜設定される。
【0057】
本発明の実施形態により、表面実装型圧電発振器4と表面実装型電子部品5とをリード端子1,2,3に有効な状態で一体的に取り付けることで、特性の改善がなされたより信頼性の高いリード型圧電発振器100を提供することができる。
【0058】
上記実施形態では、主パッド部と副パッド部の間の機械的に強度が弱い部分として、リード端子の幅が狭まった幅狭部16,23により構成したが、貫通孔を介在した構成としてもよく、リード端子の厚みを一部薄くした薄肉部により構成してもよい。また、表面実装型電子部品5の2つの外部端子50,50に近接する部分に対応して、それぞれ幅狭部16と幅狭部23とを形成したが、いずれか一方のみを形成した構成であってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、表面実装型電子部品5を一つだけ搭載したものを開示しているが、これらに限らず複数の表面実装型電子部品を搭載したものにも適用できる。表面実装型電子部品5として、コンデンサを例にしたが、抵抗やコイルなど表面実装型圧電発振器4の特性を改善でき得るものであれば、これに限らず複数の表面実装型電子部品を搭載したものにも適用できる。
【0060】
また、上記実施形態では、リード端子1、リード端子2の幅狭部の接続部分となる角部についてR加工部を形成したものを例にしたが、
図7に示すように、リード端子1、リード端子2、リード端子3について、その全ての角部にR加工部やC面加工部を形成した構成としてもよい。なお、本形態のリード端子1では、第1主パッド部(第1主パッド部の二12)と第1副パッド部13の間に幅狭部を形成していないものを例にしている。本発明では、本形態のようにリード端子2の幅狭部23のみを構成(一対のリード端子の一方のみに機械的強度の弱い領域を構成)したものであっても、リード端子1とリード端子2における熱応力の緩和とリード端子の機械的な変形による応力吸収部として機能させることが可能である。
【0061】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、リード付き圧電振動発振器に適用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 第1リード端子
10 第1パッド部
11 第1主パッド部の一
12 第1主パッド部の二
13 第1副パッド部
14 切欠部
15 第1外部接続部
2 第2リード端子
20 第2パッド部
21 第2主パッド部
22 第2副パッド部
25 第2外部接続部
3 第3リード端子
30 第3パッド部
31 第3主パッド部
35 第3外部接続部
4 表面実装型圧電発振器
40 外部端子
5 表面実装型電子部品
50 外部端子
6 樹脂パッケージ部
7 配線基板
100 リード型圧電発振器
H 導電性接合材