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特開2022-27586最小限の外形を有するバルーンガイドカテーテル用の接着剤不使用の結合バルーン
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  • 特開-最小限の外形を有するバルーンガイドカテーテル用の接着剤不使用の結合バルーン 図1
  • 特開-最小限の外形を有するバルーンガイドカテーテル用の接着剤不使用の結合バルーン 図2A
  • 特開-最小限の外形を有するバルーンガイドカテーテル用の接着剤不使用の結合バルーン 図2B
  • 特開-最小限の外形を有するバルーンガイドカテーテル用の接着剤不使用の結合バルーン 図3
  • 特開-最小限の外形を有するバルーンガイドカテーテル用の接着剤不使用の結合バルーン 図4A
  • 特開-最小限の外形を有するバルーンガイドカテーテル用の接着剤不使用の結合バルーン 図4B
  • 特開-最小限の外形を有するバルーンガイドカテーテル用の接着剤不使用の結合バルーン 図5A
  • 特開-最小限の外形を有するバルーンガイドカテーテル用の接着剤不使用の結合バルーン 図5B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027586
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】最小限の外形を有するバルーンガイドカテーテル用の接着剤不使用の結合バルーン
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20220203BHJP
【FI】
A61M25/10 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021123094
(22)【出願日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】16/942,671
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ウィーラン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267AA09
4C267BB12
4C267BB13
4C267BB18
4C267BB20
4C267BB30
4C267BB40
4C267FF01
4C267GG05
4C267GG08
4C267HH01
4C267HH30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バルーンガイドカテーテルを提供する。
【解決手段】リフロー可能な材料で作製された外側層を有するカテーテルシャフト125と、内部に画定された複数の穿刺部120を備えた結合境界領域110、115を有するバルーンであって、接着剤を使用せずに、複数の穿刺部内への外側層の前記リフロー可能な材料の浸透を介して、カテーテルシャフトの外側層の周囲に固定されて、カテーテルシャフトとバルーンとの間に径方向外側のリフロー結合を形成する、バルーンと、を備える、バルーンガイドカテーテル。リフロー可能な材料で作製された1つ以上のリフロージャケットも、径方向内側のリフロー結合を形成する複数の穿刺部内に浸透するバルーンの結合境界領域の周囲に配置されてよい。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンガイドカテーテルであって、
リフロー可能な材料で作製された外側層を有するカテーテルシャフトと、
内部に画定された複数の穿刺部を備えた結合境界領域を有するバルーンであって、前記複数の穿刺部内への前記外側層の前記リフロー可能な材料の浸透を介して、前記カテーテルシャフトの前記外側層の周囲に固定されて、前記カテーテルシャフトと前記バルーンとの間に径方向外側のリフロー結合を形成する、バルーンと、を備え、
前記バルーンは、接着剤なしに前記カテーテルシャフトに固定されている、バルーンガイドカテーテル。
【請求項2】
前記外側層の前記リフロー可能な材料が、医療グレードの熱可塑性ポリウレタンを含む、請求項1に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項3】
前記バルーンがスリーブであり、前記結合境界領域が、近位結合境界領域及び反対側の遠位結合境界領域を含み、前記複数の穿刺部が、前記バルーンスリーブの前記近位結合境界領域及び前記遠位結合境界領域内に径方向に360°配置されている、請求項1に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項4】
内部に画定された前記複数の穿刺部を有する前記バルーンスリーブの前記近位結合境界領域及び前記遠位結合境界領域の各々が、軸方向に約2mmである、請求項3に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項5】
前記近位結合境界領域を覆う前記バルーンの周りに配置された近位リフロージャケットと、
前記遠位結合境界領域を覆う前記バルーンの周りに配置された遠位リフロージャケットと、を更に備え、前記遠位リフロージャケットが、前記近位リフロージャケットから軸方向に分離されて、前記遠位リフロージャケットと前記近位リフロージャケットとの間に、前記バルーンの一部分が露出している、360°の径方向間隙を形成し、
前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットの各々が、リフロー可能な材料で作製され、前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットは、前記複数の穿刺部内に浸透可能な前記近位外側ジャケット及び前記遠位外側ジャケットの前記リフロー可能な材料を介して前記バルーンに固定可能であって、径方向内側のリフロー結合を形成し、
前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットは、接着剤なしに前記バルーンに固定されている、請求項3に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項6】
前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットの前記リフロー可能な材料は、前記カテーテルシャフトの前記外側層の前記リフロー可能な材料と同じである、請求項5に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項7】
前記バルーンが、パッチ又はスリーブである、請求項1に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項8】
リフロー可能な材料で作製された単一のリフロージャケットを更に備え、前記単一のリフロージャケットは、内部に前記バルーンと位置合わせされて画定された開口部を有し、前記バルーン内の前記開口部の周囲の前記結合境界領域に沿って、前記単一のリフロージャケットは、前記単一のリフロージャケットの前記リフロー可能な材料を前記バルーンの前記複数の穿刺部内に浸透させることによって前記バルーンに固定されて、径方向内側のリフロー結合を形成する、請求項7に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項9】
前記単一のリフロージャケットの前記リフロー可能な材料は、前記カテーテルシャフトの前記外側層の前記リフロー可能な材料と同じである、請求項8に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項10】
バルーンガイドカテーテルを組み立てるための方法であって、
複数の穿刺部を、カテーテルシャフトのリフロー可能な材料で作製された外側層に固定可能なバルーンの結合境界領域に穿孔することと、
内部に前記複数の穿刺部が穿孔された前記バルーンを、前記カテーテルシャフトの前記外側層の周りに配置することと、
前記結合境界領域に沿って熱にさらして、前記カテーテルシャフトの前記外側層の前記リフロー可能な材料を前記複数の穿刺部内に浸透させて、前記カテーテルシャフトの前記外側層と前記バルーンとの間に径方向外側のリフロー結合を形成することと、を含み、
前記バルーンは、接着剤なしに前記カテーテルシャフトに固定されている、方法。
【請求項11】
前記外側層の前記リフロー可能な材料が、医療グレードの熱可塑性ポリウレタンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記バルーンがスリーブであり、前記結合境界領域が、近位結合境界領域及び反対側の遠位結合境界領域を含み、前記複数の穿刺部が、前記バルーンスリーブの前記近位結合境界領域及び前記遠位結合境界領域内に径方向に360°配置されている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
内部に画定された前記複数の穿刺部を有する前記バルーンスリーブの前記近位結合境界領域及び前記遠位結合境界領域の各々が、軸方向に約2mmである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記近位結合境界領域を覆う前記バルーンの周りに配置された近位リフロージャケットと、前記遠位結合境界領域を覆う前記バルーンの周りに配置された遠位リフロージャケットと、を位置決めすることであって、
前記遠位リフロージャケットが、前記近位リフロージャケットから軸方向に分離されて、前記遠位リフロージャケットと前記近位リフロージャケットとの間に、前記バルーンの一部分が露出している、360°の径方向間隙を形成し、
前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットの各々が、リフロー可能な材料で作製されている、位置決めすることと、
前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットの前記リフロー材料を加熱して前記複数の穿刺部内に浸透させることによって、前記バルーンを前記カテーテルシャフトの前記外側層に更に固定して、径方向内側のリフロー結合を形成することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットの前記リフロー可能な材料が、前記カテーテルシャフトの前記外側層の前記リフロー可能な材料と同じである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記結合境界領域を覆う前記バルーンの周りに配置されたリフロー可能な材料で作製された単一のリフロージャケットを位置決めすることであって、前記単一のリフロージャケットが、内部に前記バルーンと位置合わせされて画定された開口部を有する、位置決めすることと、
前記バルーン内の前記開口部の周囲の前記結合境界領域に沿って、前記単一のリフロージャケットの前記リフロー可能な材料を加熱して前記バルーンの前記複数の穿刺部内に浸透させることによって、前記単一のリフロージャケットを前記バルーンに固定して、径方向内側のリフロー結合を形成することと、を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記単一のリフロージャケットの前記リフロー可能な材料が、前記カテーテルシャフトの前記外側層の前記リフロー可能な材料と同じである、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
血管内の血栓、閉塞物、又は血塊を捕捉及び回収する間、柔軟性の膨張可能なバルーンを備える血管内カテーテルを使用して、血流を停止させることができる。本発明のバルーンガイドカテーテルのカテーテルシャフトのバルーン及び外面は、接着剤不使用の結合境界領域で一緒に固定され、それによって結合強度を最適化しながら外形/直径を最小化する。
【背景技術】
【0002】
急性虚血性脳卒中は、脳の動脈における血栓性又は塞栓性の閉塞物(例えば、妨害物)によって主に引き起こされる。閉塞は、典型的には、身体の別の部分から遊離した血塊によって引き起こされ、このような血塊は、血管を通って順行性方向(通常の血流の方向)に移動し、最終的に神経血管動脈内に詰まり、その場所で脳の特定の領域への血流を妨げることになる。
【0003】
血栓除去術として既知の処置を使用して、機械的回収装置を使用して血管内に詰まった血栓、閉塞物、妨害物、又は血塊を除去することができる。血栓除去処置若しくは治療において、医師若しくは介入医は、典型的には鼠径部又は腕に位置する動脈内の脈管構造を通して、あるいは頸動脈を通る直接のアクセスによって、ガイドワイヤとマイクロカテーテルを一緒に血管内に導入する。ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルは一緒に、標的とする血塊、妨害物、又は閉塞物の近位側に向いている場所まで進められる。次いで、ガイドワイヤを血塊を横切るように前進させ、続いてマイクロカテーテルも前進させる。圧縮状態にある間に、機械的血栓除去装置が、マイクロカテーテルの管腔を通して標的部位まで誘導され得る。機械的血栓除去装置は、マイクロカテーテルから出た後は、典型的にはその元々の拡大した状態まで自動的に拡張する。機械的血栓除去装置は、典型的には、ニッケル-チタンなどの自己拡張型生体適合性材料で作製される。カテーテルを通した吸引が、血塊を除去するために付随するか、又は機械的回収装置の代わりに使用されてもよい。
【0004】
血栓除去処置の間、バルーンガイドカテーテルは、膨張流体を柔軟性の膨張可能なバルーン内に導入することによって血流を停止するために使用されることが多い。バルーンガイドカテーテルの製造中に、柔軟性の膨張可能なバルーンのカテーテルシャフトの外面への結合は、2つの、すなわち、結合強度及び一体性を最大化すること、及び同時にバルーンがカテーテルシャフトに装着される結合境界領域における外形/直径を最小化することの競合基準を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バルーン(例えば、柔軟性、半柔軟性、又は非柔軟性)がカテーテルシャフトの外面に固定されて、外形又は外径を最小化しながら、最適な結合強度及び一体性を達成する、接着剤不使用の結合境界領域を有する改善されたバルーンガイドカテーテルを設計することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、外形又は外径を最小化しながら、接着剤を使用せずにバルーンが結合されて、最大化された結合強度及び一体性をもたらす、改善されたバルーンガイドカテーテルを目的とする。
【0007】
本発明の別の態様は、リフロー可能な材料で作製された外側層を有するカテーテルシャフトと、内部に画定された複数の穿刺部を備えた結合境界領域を有するバルーンであって、複数の穿刺部内への外側層のリフロー可能な材料の浸透を介して、カテーテルシャフトの外側層の周囲に固定されて、カテーテルシャフトとバルーンとの間に径方向外側のリフロー結合を形成する、バルーンと、を備える、バルーンガイドカテーテルを目的とする。バルーンは、接着剤を使用せずにカテーテルシャフトに固定可能である。
【0008】
本発明の更に別の態様は、バルーンガイドカテーテルを組み立てるための方法を対象とする。複数の穿刺部が、カテーテルシャフトのリフロー可能な材料で作製された外側層に固定可能なバルーンの結合境界領域に穿孔されている。内部に複数の穿刺部が穿孔されたバルーンは、カテーテルシャフトの外側層の周りに配置されている。結合境界領域に沿って、カテーテルシャフトの外側層のリフロー可能な材料は、熱にさらして、複数の穿刺部内に浸透して、カテーテルシャフトの外側層とバルーンとの間に径方向外側のリフロー結合を形成する。したがって、バルーンは、接着剤を使用せずにカテーテルシャフトに固定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の上記及び他の特徴は、本発明を例示する以下の発明を実施するための形態及び図面からより容易に明らかになるものであり、いくつかの図面にわたり類似の参照番号は類似の要素を示す。
図1】カテーテルシャフトの周囲で組み立てられる前の、本発明による例示的な柔軟性の膨張可能なバルーンの側面図であり、柔軟性の膨張可能なバルーンは、近位結合境界領域及び反対側の遠位結合境界領域を有し、各結合境界領域は、内部を貫通して画定された複数の穿刺孔を有する。
図2A図1の柔軟性の膨張可能なバルーンと、柔軟性の膨張可能なバルーン内に画定された複数の穿刺孔にリフローするリフロー材料の外側層を有し、径方向外側のリフロー結合を形成するカテーテルシャフトとを含む、組み立てられたバルーンガイドカテーテルの部分側面図であり、柔軟性の膨張可能なバルーンは、非膨張状態で示されている。
図2B】柔軟性の膨張可能なバルーン内に画定された複数の穿刺孔へのリフロー材料の外側層の浸透によって形成される径方向外側のリフロー結合を示す、図2Aの組み立てられたバルーンガイドカテーテルの長手方向断面図である。
図3図2Aのカテーテルシャフトの外側層の径方向断面図である。
図4A】2つのリフロージャケット/スリーブが軸方向に互いに分離して、それらの間に360°の径方向間隙を形成する、代替構成の部分長手方向断面図であり、各リフロージャケット/スリーブは、柔軟性の膨張可能なバルーンのそれぞれの近位結合境界領域及び遠位結合境界領域の下で、カテーテルシャフトの外側層に固定され、柔軟性の膨張可能なバルーンは、非膨張状態で表されている。
図4B図4Aの組み立てられたカテーテルの側面図である。
図5A】下でカテーテルシャフトに固定された柔軟性の膨張可能なバルーンパッチと位置合わせされた、内部に画定された切り取り部又は開口部を有する、単一のリフロージャケット/スリーブを備えた更に別の設計の部分長手方向断面図であり、柔軟性の膨張可能なバルーンは、非膨張状態で示されている。
図5B図5Aの組み立てられたカテーテルの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「遠位」又は「近位」という用語は、以下の説明において、治療医師若しくは医療介在医に対する位置又は方向に関して使用される。「遠位」又は「遠位に」は、医師若しくは介入医から離れた位置又は離れる方向である。「近位」又は「近位に」又は「近接した」は、医師若しくは医療介入医に近い位置又は向かう方向である。「閉塞物」、「血塊」又は「妨害物」という用語は、区別なく使用される。
【0011】
バルーンは、典型的には、組み立てられたバルーンガイドカテーテルのカテーテルシャフトの外面に接着剤を介して接着される。バルーンを固定するための接着剤の使用は、接着プロファイルの増加、及び接着剤が残っている境界を制御/拘束することが困難であるといったいくつかの欠点がある。したがって、本発明の一態様は、結合一体性又は強度を犠牲にすることなく、柔軟性の膨張可能なバルーンがカテーテルシャフトの外側層に固定される場所での接着剤の使用を排除(接着剤不使用の結合又は非接着結合)することである。
【0012】
血栓除去処置の間、バルーンガイドカテーテルは、圧力によって膨張させるのではなく、エラストマー材料、例えば、ポリウレタン、ポリブレンド、又はラテックスから作製された柔軟性の膨張可能なバルーン内に膨張流体を導入することによって血流を停止させるために使用されることが多い。血管構造の形状に適合するその能力により、柔軟性の膨張可能なバルーンは、血流の停止における使用に特に適している。血管の拡張又は閉塞を開放するなどの他の用途では、バルーンガイドカテーテルは、膨張流体を使用するのではなく、圧力によって膨張される非柔軟性又は半柔軟性バルーンを用いてもよい。具体的には、非柔軟性バルーンは、高圧で膨張して血管を拡張させるか又は閉塞を開放するときには、典型的にはポリエステル又はナイロンから作製され、圧力で膨張させるときには、Pebax又はより高いジュロ硬度ポリウレタンなどの材料で作製された半柔軟性バルーンは、送達中により高い柔軟性を提供する非柔軟性バルーンよりも柔軟である。バルーンのタイプ(柔軟性、半柔軟性、又は非柔軟性)にかかわらず、製造中のカテーテルシャフトの外面へのバルーンの結合は、2つの、すなわち、結合強度及び一体性を最大化すること、及び同時にバルーンがカテーテルシャフトに装着される結合境界領域における外形/直径の最小化することの競合基準を有する。例として、本発明のバルーンガイドカテーテルは、血管を通る血流を停止するための柔軟性の膨張可能なバルーンを使用して図示及び説明される。本発明は、任意のタイプのバルーン(例えば、柔軟性、半柔軟性、又は非柔軟性)と共に使用するために適用可能であることが理解される。図1は、カテーテルシャフトを中心に組み立てる前の、本発明による柔軟性の膨張可能なバルーンスリーブ105の側面図である。柔軟性の膨張可能なバルーン105は、近位結合境界領域110と、反対側の遠位結合境界領域115と、を有し、柔軟性の膨張可能なバルーン105は、近位結合境界領域110及び遠位結合境界領域115に沿ってカテーテルシャフト125の周りで固定可能である。近位結合境界領域及び遠位結合境界領域の各々は、例えば、微細なパンチツール又はその他の機械的装置で作製された複数の穿刺部120(例えば、貫通穴、穴、又は開口部)を有する。内部に画定された複数の穿刺部を有する近位結合境界領域110及び遠位結合境界領域115の各々の軸方向長さは、好ましくは約2mm~約3mmである。
【0013】
近位結合境界領域110及び遠位結合境界領域115の各々に作製された複数の穿刺部120を有する柔軟性の膨張可能なバルーン105は、図2A及び図2Bに示すように、カテーテルシャフト125の周りの外部に位置付けられている。その外側層130を示す例示的なカテーテルシャフト125を通る径方向断面図は、図3に示されている。カテーテルシャフトの外側層130は、リフロー可能な材料、好ましくは医療グレードの熱可塑性ポリウレタン(TPU)(例えば、Tecoflex(登録商標)-医療グレードの脂肪族ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン)を含む材料で作製される。カテーテルシャフト125は、所望により、外側層130の径方向内側に配置された1つ以上の任意の数の内層を含むように設計されてよい。
【0014】
好ましくは、カテーテルシャフトに結合される領域のみに限定される柔軟性の膨張可能なバルーン105の特定の領域(例えば、バルーンスリーブの近位結合境界領域110及び遠位結合境界領域115、又はバルーンパッチの周辺部)は、熱(例えば、熱的に及び/又はレーザーで生成される)にさらして、カテーテルシャフト125の外側層130のリフロー/溶融を引き起こし、それが穿刺部120(穿孔、穴、開口部)を通って上向きに浸透/滲出して、それらの間に径方向外側のリフロー結合を形成する。例示的な例として、加熱されたジョーは、結合される柔軟性の膨張可能なバルーンの領域の周囲のみに適用されてよく、それにより、加熱を特定の領域又は距離に制限することができる。
【0015】
バルーンのカテーテルシャフトへの結合を更に強化するために、追加の工程を順番に、又は径方向外側のリフロー結合の形成と同時に実行して、リフロー材料(医療グレードの熱可塑性ポリウレタン(TPU)を好ましくは含む材料)で作製された1つ以上のリフロージャケット/スリーブ(複数可)を使用する補足的な径方向内側のリフロー結合を形成してもよい。好ましくは、1つ以上のリフロージャケット/スリーブ(複数可)のリフロー材料及びカテーテルシャフトの外側層のリフロー材料は、所定の温度で熱にさらしたときの両方の材料のリフローを確実にするために同じである。したがって、リフロー結合は、柔軟性の膨張可能なバルーンの近位境界結合領域及び遠位境界結合領域の径方向内側及び径方向外側の両方に形成される。すなわち、加熱されると、カテーテルシャフト125のリフロー/溶融した外側層130は、径方向外側のリフロー結合を形成する穿刺部120を通って径方向外側に浸透して、径方向外側のリフロー結合を形成する一方で、リフロー/溶融したリフロージャケット/スリーブ135、140は、穿刺部120を通って径方向内側に滲出して、径方向内側のリフロー結合を形成する。リフロージャケット/スリーブ135、140の材料のリフロー/溶融及びカテーテルシャフト125の外側層130の間に形成された、柔軟性の膨張可能なバルーン105のいずれかの側の穿刺部120内への強化されたリフロー結合(径方向内側及び径方向外側)は、結合一体性及び強度を最適化する一方で、外径/外形を増大させることなく漏れの可能性を最小化する。
【0016】
図4A及び図4Bに示される1つの構成では、2つのリフロージャケット/スリーブ、すなわち、柔軟性の膨張可能なバルーンスリーブ105の近位結合境界領域110及び遠位結合境界領域115の各々の周りに配置された1つのリフロージャケット/スリーブが使用される。すなわち、近位リフロージャケット/スリーブ135は、近位結合境界領域110と一致する/それを被覆する柔軟性の膨張可能なバルーンの周りに配置され、遠位リフロージャケット/スリーブ140は、遠位結合境界領域115と一致する/それを被覆する柔軟性の膨張可能なバルーンの周りに位置決めされる。図4Bの側面図の破線は、近位リフロージャケット/スリーブ135及び遠位リフロージャケット/スリーブ140によって覆われた柔軟性の膨張可能なバルーン105の近位縁部109及び遠位縁部114をそれぞれ示す。360°の径方向間隙145は、互いに軸方向/長手方向に分離された近位リフロージャケット/スリーブ135と遠位リフロージャケット/スリーブ140との間に形成される。好ましくは、それらの2つのリフロージャケット/スリーブは、それぞれ、カテーテルシャフト125の外側層130の材料と同じ材料で作製されて、所定の温度で加熱されたときのリフローを確実にする。膨張流体で膨張されると、柔軟性の膨張可能なバルーンパッチ105の露出した360°の径方向の領域は、径方向の膨らみ又は径方向の膨張(例えば、タイヤ)を形成する360°の径方向間隙145を通って拡張する。
【0017】
内部に画定された切り取り部又は開口部138を有する単一のリフロージャケット/スリーブ137を使用する代替的な設計は、図5A及び5Bの長手方向断面図及び上面図にそれぞれ記載されている。この構成では、単一のリフロージャケット/スリーブ137が使用されるため、その軸方向/長手方向側に画定された切り取り部又は開口部138は、放射状に360°未満延在する。切り取り部又は開口部138の寸法(軸方向/長手方向及び径方向/横方向の両方)は、柔軟性の膨張可能なバルーンパッチ105’の外周よりわずかに小さい。組み立て中、単一のリフロージャケット/スリーブ137は、柔軟性膨張可能バルーンパッチ105’の中央領域を切り取り部又は開口部138を介して露出させる柔軟性の膨張可能なバルーンパッチ105’と位置合わせされ、かつその径方向外側に配置される。膨張流体で膨張されると、柔軟性の膨張可能なバルーンパッチ105’の露出した中央領域は、切り取り部又は開口部138を通って膨張して、側方の膨れ又は側方膨張を形成する。
【0018】
本発明の様々な態様、特徴、設計、及び構成は、バルーンとカテーテルシャフトとの間の結合の一体性及び強度を向上させると同時に、組み立てられたカテーテルの外形又は外径を最小化するという意図された目標で、所定の血管内カテーテルに対して、所望により組み合わせることができる。
【0019】
したがって、本発明の好ましい実施形態に適用されるような本発明の基本的な新規特徴を示し、記載し、かつ指摘してきたが、当業者であれば、例示されたシステム/デバイスの形態及び詳細、並びにそれらの操作における様々な省略、置き換え、及び変更を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施し得ることが理解されよう。例えば、実質的に同じ機能を実質的に同じ方法で実行して同じ結果を達成する要素及び/又は工程の組み合わせは全て、本発明の範囲内に包含されることが明らかに意図される。また、上述したある実施形態から別の実施形態への要素の置き換えも、完全に意図及び想定の範囲内である。また、図面は必ずしも一定の比例尺で描かれておらず、あくまでも概念的なものにすぎない点も理解されるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲に示される内容によってのみ限定されることが意図される。
【0020】
本明細書に引用される全ての発行済み特許、係属中の特許出願、刊行物、論文、書籍、又は他の参照文献はいずれも、その全体が参照により本明細書に各々組み込まれる。
【0021】
〔実施の態様〕
(1) バルーンガイドカテーテルであって、
リフロー可能な材料で作製された外側層を有するカテーテルシャフトと、
内部に画定された複数の穿刺部を備えた結合境界領域を有するバルーンであって、前記複数の穿刺部内への前記外側層の前記リフロー可能な材料の浸透を介して、前記カテーテルシャフトの前記外側層の周囲に固定されて、前記カテーテルシャフトと前記バルーンとの間に径方向外側のリフロー結合を形成する、バルーンと、を備え、
前記バルーンは、接着剤なしに前記カテーテルシャフトに固定されている、バルーンガイドカテーテル。
(2) 前記外側層の前記リフロー可能な材料が、医療グレードの熱可塑性ポリウレタンを含む、実施態様1に記載のバルーンガイドカテーテル。
(3) 前記バルーンがスリーブであり、前記結合境界領域が、近位結合境界領域及び反対側の遠位結合境界領域を含み、前記複数の穿刺部が、前記バルーンスリーブの前記近位結合境界領域及び前記遠位結合境界領域内に径方向に360°配置されている、実施態様1に記載のバルーンガイドカテーテル。
(4) 内部に画定された前記複数の穿刺部を有する前記バルーンスリーブの前記近位結合境界領域及び前記遠位結合境界領域の各々が、軸方向に約2mmである、実施態様3に記載のバルーンガイドカテーテル。
(5) 前記近位結合境界領域を覆う前記バルーンの周りに配置された近位リフロージャケットと、
前記遠位結合境界領域を覆う前記バルーンの周りに配置された遠位リフロージャケットと、を更に備え、前記遠位リフロージャケットが、前記近位リフロージャケットから軸方向に分離されて、前記遠位リフロージャケットと前記近位リフロージャケットとの間に、前記バルーンの一部分が露出している、360°の径方向間隙を形成し、
前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットの各々が、リフロー可能な材料で作製され、前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットは、前記複数の穿刺部内に浸透可能な前記近位外側ジャケット及び前記遠位外側ジャケットの前記リフロー可能な材料を介して前記バルーンに固定可能であって、径方向内側のリフロー結合を形成し、
前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットは、接着剤なしに前記バルーンに固定されている、実施態様3に記載のバルーンガイドカテーテル。
【0022】
(6) 前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットの前記リフロー可能な材料は、前記カテーテルシャフトの前記外側層の前記リフロー可能な材料と同じである、実施態様5に記載のバルーンガイドカテーテル。
(7) 前記バルーンが、パッチ又はスリーブである、実施態様1に記載のバルーンガイドカテーテル。
(8) リフロー可能な材料で作製された単一のリフロージャケットを更に備え、前記単一のリフロージャケットは、内部に前記バルーンと位置合わせされて画定された開口部を有し、前記バルーン内の前記開口部の周囲の前記結合境界領域に沿って、前記単一のリフロージャケットは、前記単一のリフロージャケットの前記リフロー可能な材料を前記バルーンの前記複数の穿刺部内に浸透させることによって前記バルーンに固定されて、径方向内側のリフロー結合を形成する、実施態様7に記載のバルーンガイドカテーテル。
(9) 前記単一のリフロージャケットの前記リフロー可能な材料は、前記カテーテルシャフトの前記外側層の前記リフロー可能な材料と同じである、実施態様8に記載のバルーンガイドカテーテル。
(10) バルーンガイドカテーテルを組み立てるための方法であって、
複数の穿刺部を、カテーテルシャフトのリフロー可能な材料で作製された外側層に固定可能なバルーンの結合境界領域に穿孔することと、
内部に前記複数の穿刺部が穿孔された前記バルーンを、前記カテーテルシャフトの前記外側層の周りに配置することと、
前記結合境界領域に沿って熱にさらして、前記カテーテルシャフトの前記外側層の前記リフロー可能な材料を前記複数の穿刺部内に浸透させて、前記カテーテルシャフトの前記外側層と前記バルーンとの間に径方向外側のリフロー結合を形成することと、を含み、
前記バルーンは、接着剤なしに前記カテーテルシャフトに固定されている、方法。
【0023】
(11) 前記外側層の前記リフロー可能な材料が、医療グレードの熱可塑性ポリウレタンを含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記バルーンがスリーブであり、前記結合境界領域が、近位結合境界領域及び反対側の遠位結合境界領域を含み、前記複数の穿刺部が、前記バルーンスリーブの前記近位結合境界領域及び前記遠位結合境界領域内に径方向に360°配置されている、実施態様10に記載の方法。
(13) 内部に画定された前記複数の穿刺部を有する前記バルーンスリーブの前記近位結合境界領域及び前記遠位結合境界領域の各々が、軸方向に約2mmである、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記近位結合境界領域を覆う前記バルーンの周りに配置された近位リフロージャケットと、前記遠位結合境界領域を覆う前記バルーンの周りに配置された遠位リフロージャケットと、を位置決めすることであって、
前記遠位リフロージャケットが、前記近位リフロージャケットから軸方向に分離されて、前記遠位リフロージャケットと前記近位リフロージャケットとの間に、前記バルーンの一部分が露出している、360°の径方向間隙を形成し、
前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットの各々が、リフロー可能な材料で作製されている、位置決めすることと、
前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットの前記リフロー材料を加熱して前記複数の穿刺部内に浸透させることによって、前記バルーンを前記カテーテルシャフトの前記外側層に更に固定して、径方向内側のリフロー結合を形成することと、を更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記近位リフロージャケット及び前記遠位リフロージャケットの前記リフロー可能な材料が、前記カテーテルシャフトの前記外側層の前記リフロー可能な材料と同じである、実施態様14に記載の方法。
【0024】
(16) 前記結合境界領域を覆う前記バルーンの周りに配置されたリフロー可能な材料で作製された単一のリフロージャケットを位置決めすることであって、前記単一のリフロージャケットが、内部に前記バルーンと位置合わせされて画定された開口部を有する、位置決めすることと、
前記バルーン内の前記開口部の周囲の前記結合境界領域に沿って、前記単一のリフロージャケットの前記リフロー可能な材料を加熱して前記バルーンの前記複数の穿刺部内に浸透させることによって、前記単一のリフロージャケットを前記バルーンに固定して、径方向内側のリフロー結合を形成することと、を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記単一のリフロージャケットの前記リフロー可能な材料が、前記カテーテルシャフトの前記外側層の前記リフロー可能な材料と同じである、実施態様16に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
【外国語明細書】