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特開2022-27587外側輪郭を最小化する際のバルーンガイドカテーテルのためのバルーン結合の強化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027587
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】外側輪郭を最小化する際のバルーンガイドカテーテルのためのバルーン結合の強化
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20220203BHJP
【FI】
A61M25/10 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021123100
(22)【出願日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】16/942,699
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・コノリー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267AA09
4C267BB09
4C267BB15
4C267BB29
4C267BB30
(57)【要約】
【課題】バルーンガイドカテーテルを提供すること。
【解決手段】バルーンが結合されたバルーンガイドカテーテルは、結合強度及び一体性を最大化すると共に、外側輪郭を最小化する。リフロージャケットは、バルーンの下に固定されたカテーテルの編組支持構造に溶融して埋め込まれる。半径方向に配置された開口部及び/又は凹部は、カテーテルシャフトの周りに固定されたときに接着剤が上方に浸透することができるバルーン内に画定され得る。バルーンの近位及び遠位結合界面エリアは、各々半径方向に180°延びる2つの区分に直角にスカイビング加工されてもよい。バルーンの近位縁部及び/又は遠位縁部は、カテーテルシャフトに固定される前に内側に反転させて、それぞれの近位結合及び/又は反転結合を形成してもよい。カテーテルの前処理中、残留空気は、対応バルーン内に画定された排気孔を介して、又はカテーテルシャフトの外面とバルーンとの間に固定された排気管を介して、バルーンから排出してもよい。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンガイドカテーテルであって、
中心内腔及び前記中心内腔に実質的に平行な膨張内腔を長手方向に中に画定しているカテーテルシャフトであって、前記中心内腔及び前記膨張内腔を支持する編組を有するカテーテルシャフトと、
前記編組の周りに配置されたバルーンと、
前記バルーンの周りに配置された少なくとも1つのリフロージャケットであって、前記バルーンを前記カテーテルシャフトに固定する前記編組にリフロー可能な材料から作製された少なくとも1つのリフロージャケットと、を備え、前記バルーンの露出部分が、前記少なくとも1つのリフロージャケットによって覆われていない、
バルーンガイドカテーテル。
【請求項2】
前記編組は、前記中心内腔を包囲し、並びに図8の構成において前記膨張内腔の下方及び上方に織られている、請求項1に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項3】
前記バルーンは、遠位縁部及び反対側の近位縁部を有し、前記バルーンガイドカテーテルは、(i)前記バルーンの前記近位縁部に重なる近位リフロージャケットと、(ii)前記バルーンの前記遠位縁部に重なる遠位リフロージャケットと、を含む2つのリフロージャケットを有し、前記近位リフロージャケットと前記遠位リフロージャケットは、前記カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に360°延び、軸方向に互いに分離されており、それらの間に、前記バルーンの前記露出部分を露出する360°の半径方向の間隙を形成し、膨張状態では前記バルーンの前記露出部分は、前記360°の半径方向の間隙内で半径方向外側に突出する、
請求項1に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項4】
前記バルーンガイドカテーテルは、前記カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に360°延びる単一のリフロージャケットを有し、前記単一のリフロージャケットは、開口部を有し、前記開口部は、前記バルーンの外周と一致するが寸法が小さく、前記開口部を通して前記バルーンの前記露出部分を露出する、
請求項1に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項5】
前記少なくとも1つのリフロージャケットと一致する前記膨張内腔の遠位部分は、前記編組によって支持されない、請求項1に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項6】
前記少なくとも1つのリフロージャケットと一致する前記膨張内腔の遠位部分は、前記編組によって支持される、請求項1に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項7】
バルーンガイドカテーテルであって、
カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンであって、遠位結合界面エリア及び反対側の近位結合界面エリアで前記カテーテルシャフトに固定されており、前記バルーンの前記遠位結合界面エリア及び前記近位結合界面エリアの各々に画定された複数の半径方向に配置された開口及び/又は複数の半径方向に配置された凹部を有するバルーンと、
前記カテーテルシャフトの前記外面の周りに配置され、前記バルーン内の前記複数の半径方向に配置された開口及び/又は前記複数の半径方向に配置された凹部の中に上向きに浸透可能な接着剤と、
を備えるバルーンガイドカテーテル。
【請求項8】
前記半径方向に配置された開口の各々は、前記バルーンを通って内面から外面まで延びる半径方向のスリット若しくは孔であり、又は、前記半径方向に配置された凹部の各々は、前記外面を貫通することなく前記バルーンの前記内面に沿って画定されている、
請求項7に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項9】
バルーンガイドカテーテルであって、
外面を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの前記外面の周りに配置されたバルーンであって、反転遠位縁部を含む反転遠位結合界面エリア及び/又は、近位縁部を含む反対側の反転近位結合界面エリアを有するバルーンと、を備え、前記バルーンの前記反転遠位結合界面エリア及び/又は前記反転近位結合界面エリアは、接着剤を介して前記カテーテルシャフトの前記外面に固定されている、
バルーンガイドカテーテル。
【請求項10】
前記バルーンは、前記反転遠位縁部を含む前記反転遠位結合界面エリアと、前記近位縁部を含む前記反対側の反転近位結合界面エリアとを有し、前記反転遠位結合界面エリアと前記反転近位結合界面エリアの各々は、前記カテーテルシャフトの前記外面に前記接着剤を介して固定されている、
請求項9に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項11】
バルーンガイドカテーテルであって、
カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンであって、スカイビング加工された遠位結合界面エリア及び/又は反対側のスカイビング加工された近位結合界面エリアで前記カテーテルシャフトに固定されたバルーンと、を備え、
前記バルーンの前記スカイビング加工された遠位結合界面エリア及び/又は前記スカイビング加工された近位結合界面エリアは、接着剤を介して前記カテーテルシャフトに固定されている、
バルーンガイドカテーテル。
【請求項12】
前記スカイビング加工された近位結合界面エリア及び/又は前記スカイビング加工された遠位結合界面エリアは、各々、前記カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に180°延びるスカイビング加工された結合の第1の半径方向区分と、前記カテーテルシャフトの前記円周の周りに半径方向に180°延びるスカイビング加工された結合の第2の半径方向区分と、を含む、請求項11に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項13】
前記スカイビング加工された近位結合界面エリア及び/又は前記スカイビング加工された遠位結合界面エリアは、各々、前記カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に360°延びるスカイビング加工されていない結合の第3の半径方向区分を含む、請求項12に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項14】
前記スカイビング加工されていない結合の第3の半径方向区分は、前記スカイビング加工された結合の第1の半径方向区分と前記スカイビング加工された結合の第2の半径方向区分との間に軸方向に配置されている、請求項13に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項15】
前記スカイビング加工された第1の半径方向区分と前記スカイビング加工された第2の半径方向区分とが互いに隣接しており、前記スカイビング加工されていない第3の半径方向区分は、前記スカイビング加工された第1の半径方向区分又は前記スカイビング加工された第2の半径方向区分のいずれか1つの自由縁部と隣接して配置されている、請求項13に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項16】
バルーンガイドカテーテルであって、
外面を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンであって、前記カテーテルシャフトに固定されたバルーンと、
前記バルーンと前記カテーテルシャフトの前記外面との間に固定された通気管と、
を備えるバルーンガイドカテーテル。
【請求項17】
バルーンガイドカテーテルであって、
カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンであって、遠位結合界面エリア及び反対側の近位結合界面エリアで前記カテーテルシャフトに固定されたバルーンと、を備え、前記バルーンは、その中で前記近位結合界面エリアと前記遠位結合界面エリアとの間に画定された排気孔を有し、前記バルーンは、前記バルーンの一部分が、前記カテーテルシャフトの外面と物理的に接触しているそれぞれの前記近位結合界面エリア及び前記遠位結合界面エリアのうちの少なくとも1つにわたって拡張可能で、前記排気孔をシールする、拡張状態に移行可能である、
バルーンガイドカテーテル。
【請求項18】
前記近位結合界面エリア及び前記遠位結合界面エリアのうちの少なくとも1つは、前記カテーテルシャフトに固定されて、非反転結合を形成する、請求項17に記載のバルーンガイドカテーテル。
【請求項19】
前記近位結合界面エリア及び前記遠位結合界面エリアのうちの少なくとも1つは、前記バルーンの、内側に押し込まれた縁部を含み、前記バルーンの内側に押し込まれたその部分は、前記カテーテルシャフトに固定されて、反転した結合を形成する、請求項17に記載のバルーンガイドカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
血管内カテーテルを用いた、血管内の血栓、閉塞、又は血塊の捕捉及び回収中に、バルーンを使用して、血流を停止するか、又は血管を拡張することができる。バルーンは、最小外側輪郭/直径及び最適化された結合強度を有する結合界面エリア(複数可)で、本発明のバルーンガイドカテーテルのカテーテルシャフトに固定される。
【背景技術】
【0002】
急性虚血性脳卒中は、脳の動脈における血栓性又は塞栓性の閉塞物(例えば、妨害物)によって主に引き起こされる。閉塞は、典型的には、身体の別の部分から遊離した血塊によって引き起こされ、このような血塊は、血管を通って順行性方向(通常の血流の方向)に移動し、最終的に神経血管動脈内に詰まり、その場所で脳の特定の領域への血流を妨げることになる。
【0003】
血栓除去術として既知の手順を使用して、機械的回収装置を使用して血管内に詰まった血栓、閉塞物、妨害物、又は血塊を除去することができる。血栓除去処置若しくは治療において、医師若しくは介入医は、典型的には鼠径部又は腕に位置する動脈内の脈管構造を通して、あるいは頸動脈を通る直接のアクセスによって、ガイドワイヤとマイクロカテーテルを一緒に血管内に導入する。ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルは一緒に、標的とする血塊、妨害物、又は閉塞物の近位側に向いている場所まで進められる。次いで、ガイドワイヤを血塊を横切るように前進させ、続いてマイクロカテーテルも前進させる。圧縮状態にある間に、機械的血栓除去装置が、マイクロカテーテルの管腔を通して標的部位まで誘導されてよい。機械的血栓除去装置はマイクロカテーテルから出た後は、典型的にはその元々の拡大した状態まで自動的に拡張する。機械的血栓除去装置は、典型的には、ニッケル-チタンなどの自己拡張型生体適合性材料で作製される。カテーテルを通した吸引が、血塊を除去するために付随する、又は機械的回収装置の代わりに使用されてもよい。
【0004】
血栓除去処置中、バルーンガイドカテーテルは、多くの場合、エラストマ材料、例えば、ポリウレタン、ポリマーブレンド、又はラテックスから作製されたコンプライアント膨張式バルーン(圧力によって膨張するのではない)に内膨張流体を導入することによって血流を停止させるために使用されることが多い。血管構造の形状に適合するその能力により、コンプライアント膨張式バルーンは、血流の停止における使用に特に適している。血管の拡張又は閉塞を開くなどの他の用途では、バルーンガイドカテーテルは、膨張流体を使用するのではなく、圧力によって膨張されるノンコンプライアント又はセミコンプライアントバルーンを用いてもよい。具体的には、高圧で膨張させたときに、通常ポリエステル又はナイロン製のノンコンプライアントバルーンは、血管を拡張するか、又閉塞を開き、一方、圧力で膨張させたときに、Pebax又はより高いジュロ硬度ポリウレタンなどの材料で作製されたセミコンプライアンとバルーンは、ノンコンプライアントバルーンよりもよりコンプライアントであり、送達時の可撓性に優れている。バルーンのタイプ(コンプライアント、セミンプライアント、又はノンコンプライアント)にかかわらず、製造中のカテーテルシャフトの外面へのバルーンの結合は、2つの競合する基準、すなわち、結合強度及び一体性を最大化しながら、バルーンがカテーテルシャフトに取り付けられている結合界面エリアでの外側輪郭/直径の最小化を行うことである。
【0005】
外側輪郭又は外径を最小限に抑えながら、最適な結合強度及び一体性を達成するために、カテーテルシャフトのバルーンと外面との間に結合界面エリアを有する改善されたバルーンガイドカテーテルを設計することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、バルーン(コンプライアント、セミコンプライアント、又はノンコンプライアント)が最大の結合強度及び一体性で結合され、外側輪郭又は外径を最小にする、バルーンガイドカテーテルの改良に関する。
【0007】
本発明の別の態様は、中心内腔及び中心内腔に実質的に平行な膨張内腔を長手方向に中に画定したカテーテルシャフトを有するバルーンガイドカテーテルに関し、カテーテルシャフトは、中心内腔及び膨張内腔を支持する編組を有する。バルーンは、編組の周りに配置される。編組にリフロー可能な材料で作製された少なくとも1つのリフロージャケットは、バルーンをカテーテルシャフトに固定し、バルーンの露出部分は、少なくとも1つのリフロージャケットによって覆われていない。
【0008】
本発明の更に別の態様は、カテーテルシャフト及びカテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンを含むバルーンガイドカテーテルに関する。バルーンは、遠位結合界面エリア及び反対側の近位結合界面エリアでカテーテルシャフトに固定され、バルーンは、バルーンの遠位結合界面エリア及び近位結合界面エリアのそれぞれに画定された複数の半径方向に配置された開口及び/又は複数の半径方向に配置された凹部を有する。カテーテルシャフトの外面の周りに配置された接着剤は、バルーン内の複数の半径方向に配置された開口及び/又は複数の半径方向に配置された凹部の中に上向きに浸透することができる。
【0009】
本発明の更に別の態様は、外面及びカテーテルシャフトの外面の周りに配置されたバルーンを有するカテーテルシャフトを含むバルーンガイドカテーテルに関する。バルーンは、反転遠位縁部を含む反転遠位結合界面エリア及び/又は近位縁部を含む反対側の反転近位結合界面エリア、を有する。反転遠位結合界面エリア及び/又は反転近位結合界面エリアは、接着剤を介してカテーテルシャフトの外面に固定されている。
【0010】
本発明の更に別の態様は、カテーテルシャフト及びカテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンスリーブを含むバルーンガイドカテーテル、に関する。バルーンは、スカイビング加工された遠位結合界面エリア及び/又は反対側のスカイビング加工された近位結合界面エリアで、カテーテルシャフトに固定されている。バルーンのスカイビング加工された遠位結合界面エリア及び/又はスカイビング加工された近位結合界面エリアは、接着剤を介してカテーテルシャフトに固定されている。
【0011】
本発明の別の態様は、外面及びカテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンを有するカテーテルシャフトを含むバルーンガイドカテーテルに関する。バルーンは、カテーテルシャフトに固定され、通気管は、コンプライアント膨張式チューブとカテーテルシャフトの外面との間に固定される。
【0012】
本発明の更なる態様は、カテーテルシャフト及びカテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンを含むバルーンガイドカテーテルに関する。バルーンは、遠位結合界面エリア及び反対側の近位結合界面エリアでカテーテルシャフトに固定され、バルーンは、近位結合界面エリアと遠位結合界面エリアとの間に画定された排気孔を有する。バルーンは、拡張状態に移行可能であり、バルーンの一部分は、排気孔をシールするカテーテルシャフトの外面と物理的に接触しているそれぞれの近位結合界面エリア及び遠位結合界面エリアのうちの少なくとも1つにわたって拡張可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の上記及び他の特徴は、本発明を例示する以下の発明を実施するための形態及び図面からより容易に明らかになるものであり、いくつかの図面にわたり類似の参照番号は類似の要素を示す。
図1A】本発明のバルーンガイドカテーテルの第1の構成を示す部分軸方向断面図であり、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ(非膨張状態で描かれている)の遠位縁部及び近位縁部が、軸方向に互いに離間したそれぞれの遠位及び近位リフロージャケット/スリーブの下に固定されて、その間にコンプライアント膨張式バルーンスリーブの一部分を露出させる360°半径方向間隙が形成される。
図1B図1Aの線I(B)-I(B)に沿った半径方向断面図であり、近位リフロージャケット/スリーブは、コンプライアント膨張式バルーンスリーブの近位縁部をカテーテルシャフトの外面に固定する。
図1C図1Aの線I(C)-I(C)に沿った半径方向断面図であり、遠位リフロージャケット/スリーブは、コンプライアント膨張式バルーンスリーブの遠位縁部をカテーテルシャフトの外面に固定する。
図2A】本発明のバルーンガイドカテーテルの別の構成を示す部分軸方向断面図であり、コンプライアント膨張式バルーン(非膨張状態で描かれている)は、コンプライアント膨張式バルーンの一部分を露出させる、その中に画定された切り取り部又は開口部を有する単一のリフロージャケット/スリーブの下に固定される。
図2B】コンプライアント膨張式バルーンが非膨張状態にある、図2Aのバルーンガイドカテーテルの上面図である。
図2C図2Bのバルーンガイドカテーテルの遠位斜視図であり、コンプライアント膨張式バルーンは膨張状態にあり、単一のリフロージャケット/スリーブ内に画定された切り取り部又は開口部を通って半径方向外側に突出する。
図3】本発明のバルーンガイドカテーテルの更に別の構成を示す部分縦断面図であり、「8」の字に構成された編組(膨張内腔の上下に織り込まれ、中心内腔を囲む)が、単一のリフロージャケット/スリーブと一致しないように膨張内腔の遠位縁部の近位で終端しており、それによって外側輪郭が最小化されている。
図4A】内部に画定された複数の半径方向のスリットを有する圧縮可能な膨張式バルーンの近位結合界面エリアの部分側面図であり、バルーンは膨張状態で示されている。
図4B図4Aのコンプライアント膨張式バルーンの部分近位縁部斜視図である。
図4C】内部に画定された複数の半径方向に配置された孔を有する圧縮可能な膨張式バルーンの近位結合界面エリアの部分側面図であり、バルーンは膨張状態で示されている。
図4D】カテーテルシャフトに組み立てられた図4Aのコンプライアント膨張式バルーンの長手方向断面図である。
図5A】接着剤を用いてカテーテルシャフトの外面に、その非反転近位結合界面エリア及び非反転遠位結合界面エリアに沿って固定されたコンプライアント膨張式バルーンスリーブを有する先行技術のバルーンガイドカテーテルの部分縦断面図である。
図5B】接着剤を用いてカテーテルシャフトの外面に、反転近位結合界面エリア及び反転遠位結合界面エリアに沿って固定されたコンプライアント膨張式バルーンスリーブを有する本発明のバルーンガイドカテーテルの部分縦断面図である。
図5C】接着剤を用いてカテーテルシャフトの外面に非反転近位結合界面エリア及び反転遠位結合界面エリアに沿って固定されたコンプライアント膨張式バルーンスリーブを有する本発明のバルーンガイドカテーテルの部分縦断面図である。
図6A】本発明のバルーンガイドカテーテルの更に別の構成の部分側面図であり、カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に360°未満(好ましくは約180°)延びるスカイビング加工された近位結合の第1の区分、及びカテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に360°未満(好ましくは約180°)延びるスカイビング加工された近位結合の第2の区分を含む、コンプライアント膨張式バルーンスリーブのスカイビング加工された近位結合界面エリアを示す。
図6B】線VI(B)-VI(B)に沿った、図6Aのコンプライアント膨張式バルーンのスカイビング加工された近位結合界面エリアのスカイビング加工された近位結合の第1の区分を通る半径方向断面図である。
図6C】線VI(C)-VI(C)に沿った、図6Aのコンプライアント膨張式バルーンのスカイビング加工された近位結合界面エリアのスカイビング加工された近位結合の第2の区分を通る半径方向断面図である。
図6D図6Aのコンプライアント膨張式バルーンの平坦化されたスカイビング加工された近位結合界面エリアを表す。
図6E】(i)カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に360°(好ましくは約180°)未満延びるスカイビング加工された近位結合の第1の区分と、(ii)カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に360°(好ましくは約180°)未満延びるスカイビング加工された近位結合の第2の部分と、(iii)スカイビング加工された近位結合の第1の区分と第2の区分との間に配置され、カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に360°延びる非スカイブ加工の近位結合の第3の区分と、を含む、コンプライアント膨張式バルーンの平坦化されたスカイブ加工された近位結合界面エリアの代替設計を表す。
図7】コンプライアント膨張式バルーンスリーブの近位縁部の下をカテーテルシャフトの外面に固定する近位リフロージャケット/スリーブの周りに物理的に圧着されたマーカバンドの部分縦断面図である。
図8A】コンプライアント膨張式バルーンの近位結合界面エリアとカテーテルシャフトの外面との間に固定された長手方向通気管を有するコンプライアント膨張式バルーンの部分縦断面図であり、バルーンは膨張状態で示されている。
図8B】カテーテルシャフトの外面に固定されたコンプライアント膨張式バルーンの非反転近位結合界面エリアに近接して配置され、内部に画定された通気孔を有するコンプライアント膨張式バルーンの部分縦断面図であり、コンプライアント膨張式バルーンは、部分的に膨張した状態で示されている。
図8C】更に膨張した状態の図8Bのコンプライアント膨張式バルーンの部分縦断面図であり、コンプライアント膨張式バルーンの一部分が、非反転近位結合界面エリアを超えて近位方向に延び、カテーテルシャフトの外面に物理的に接触して、通気孔をシールし、そこを通って膨張流体が出るのを妨げるのを示す。
図8D】コンプライアント膨張式バルーンがカテーテルシャフトの外面に固定される反転された近位側結合界面エリアに近接して配置された、その中に画定された通気孔を有するコンプライアント膨張式バルーンの別の構成の部分縦断面図であり、バルーンは部分的に膨張した状態で示されている。
図8E】近位に延びるコンプライアント膨張式バルーンの一部分を示す更なる膨張状態にある図8Dのコンプライアント膨張式バルーンの部分縦断面図である。反転された近位結合界面エリア上の方向と、通気孔孔をシールするシャフトの外面と物理的に接触し、それによって膨張流体がそこを通って出ることを妨げる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「遠位(distal)」又は「近位(proximal)」という用語は、以下の説明において、治療医師若しくは医療介在医に対する位置又は方向に関して使用される。「遠位」又は「遠位に」は、医師若しくは介入医から離れた位置又は離れる方向である。「近位」又は「近位に」又は「近接した」は、医師若しくは医療介入医に近い位置又は向かう方向である。「閉塞物」、「血塊」又は「妨害物」という用語は、区別なく使用される。
【0015】
本発明は、血管を通る血流を停止するためのバルーンを有する血管内カテーテルのためのいくつかの異なる機構、設計、及び構成に関し、カテーテルシャフトに固定されたバルーン間の結合の一体性及び強度が最適化されると共に、外側輪郭/直径が最小化される。例示として、本発明のバルーンガイドカテーテルは、コンプライアント膨張式バルーンを用いて示され、説明されている。しかし、本発明バルーンガイドカテーテルが任意のタイプのバルーン(コンプライアント、セミコンプライアント、又はノンコンプライアント)を採用することは、本発明の意図する範囲内である。
【0016】
コンプライアント膨張式バルーンは、1つ以上のリフロージャケット又はスリーブの下でカテーテルシャフトの外面に固定又は捕捉されたスリーブ又はパッチであってもよい。図1A図1Cは、本発明のバルーンガイドカテーテルの第1の設計を表しており、この設計では、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ130の対向する縁部は、別々のそれぞれのリフロージャケット/スリーブ120、125によってカテーテルシャフト105の外面に固定又は捕捉される。この第1の構成に係るバルーンガイドカテーテル100の部分長手方向断面図を図1Aに示す。カテーテルシャフト105は、軸方向に延びる中心内腔106を形成する内側ライナ又はライニング107を含む。半径方向外側に配置され、内側ライナ又はライニング107を包囲するのは、中心内腔106及びそれと実質的に平行に延びる膨張内腔115に支持及び捻れ抵抗を提供する支持層110(例えば、編組、メッシュ、ケージ又はハイポチューブ)である。図に示す例では、支持層は、編組110である。好ましくは、編組110は、図1Bの半径方向断面図に示すように、中心内腔106を包囲するとともに、膨張内腔115の上下に「8」の字状に織られる。編組110は、中心内腔106の全長を包囲する(図1C)。遠位縁部140の近位側及びその反対側に配置された近位縁部135を有するコンプライアント膨張式バルーンスリーブ130が、カテーテルシャフト105の編組110の周りに配置される。
【0017】
2つのリフロージャケット又はスリーブが、カテーテルシャフトについて配置される。具体的には、遠位リフロージャケット/スリーブ125は、近位リフロージャケット/スリーブ120から軸方向に所定の距離だけ離れて配置され、その間に360°半径方向間隙116を画定する。近位及び遠位リフロージャケット/スリーブ120、125は、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ130のそれぞれの近位縁部及び遠位縁部135、140を覆うように配置される一方で、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ130の中心半径方向部分は、360°半径方向間隙116を通って露出したままである。図1Aに示す例示的な実施形態では、単一の近位リフロージャケット/スリーブ120が、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ130の近位縁部135を覆うように半径方向外側に配置され、一方、単一の遠位リフロージャケット/スリーブ125が、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ130の遠位縁部140を覆うように半径方向外側に配置される。複数の近位リフロージャケット/スリーブが、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ130の近位縁部135を覆うように半径方向外側に互いに上部を配置し、編組110上に(内に埋め込まれて)リフローされてもよく、一方、複数の遠位リフロージャケット/スリーブが、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ130の遠位縁部140を覆うように半径方向外側に互いに上部を配置し、編組110上に(内に埋め込まれて)リフローされてもよい。コンプライアント膨張式バルーンの近位縁部及び遠位縁部の各々を覆う複数のリフロージャケット/スリーブのそのような状況では、各リフロージャケット/スリーブは、各リフロージャケット/スリーブをもう一方の上に順次配置し、加熱して、独立してリフローされてもよい。すなわち、コンプライアント膨張式バルーンのそれぞれの近位縁部及び遠位縁部の周りに位置付けられた後の第1又は内側のリフロージャケット/スリーブ(近位及び遠位)は、加熱されて編組部110上にリフローされる(編組内に埋め込まれる)。その後、対応する第1のリフロージャケット/スリーブの周りに位置付けられた後の第2又は外側のリフロージャケット/スリーブ(近位及び遠位)は、上にリフローするように加熱される。そうでなければ、単一のリフロープロセスを採用することができ、それにより、一度位置付けられた第1(内側)及び第2(外側)のリフロージャケット/スリーブの両方が同時に熱にさらされ、材料がリフローする。
【0018】
組み立て中、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ130は、カテーテルシャフト105の周りに位置付けられる。その後、近位及び遠位のリフロージャケット/スリーブ120、125は、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ130の上に位置付けられて、それぞれの近位縁部及び遠位縁部135、140を覆う一方で、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ130の中心の360°半径方向部分は、360°半径方向間隙116を通って露出したままである。リフロー時には、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ130の露出部分(すなわち、リフロージャケット/スリーブによって覆われていないコンプライアント膨張式バルーンスリーブの部分)をリフロープロセス中の熱への暴露から保護するために、少なくとも360°半径方向間隙116を覆うように保護カバー(例えば、バンド)が位置付けられる。好ましくは、保護被覆は、バルーンを超えて延び、例えば、コンプライアント膨張式バルーンの両側の近位縁部及び遠位縁部を超えて軸方向に延びる保護被覆スリーブである。保護カバーは、好ましくは、熱収縮性材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP))などの耐熱性材料であり、その性質により、所定の位置に留まることが保証される。非熱収縮性材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))を、例えば、熱収縮性材料で作製された外側バンド又はスリーブを介して所定の位置に固定される保護被覆として使用することができる。次いで、組み立てられたカテーテルシャフトは、熱及び/又はレーザ光を使用して熱を受け、近位リフロージャケット及び遠位リフロージャケット120、125は、コンプライアント膨張式バルーン130のそれぞれの近位縁部及び遠位縁部135、140と共に溶融物をリフローさせ、カテーテルシャフト105の編組110との漏れ防止シールを形成する。リフロー後、保護カバーを除去する。膨張内腔115を介した生体適合性膨張流体(例えば、造影剤生理食塩水)の注入は、コンプライアント膨張式バルーンを360°半径方向間隙116内のみに膨張させる。したがって、コンプライアント膨張式バルーンの360°半径方向膨張バルジ(例えば、タイヤ)が、近位リフロージャケット/スリーブ120と遠位リフロージャケット/スリーブ125との間の360°半径方向間隙116内に生成される。
【0019】
図2A図2Cは、図1A図1Cに示す本発明のバルーンガイドカテーテルの上述の構成からのわずかな変化を示す。360°の半径方向間隙を画定するために軸方向に分離された2つ(例えば、近位及び遠位)のリフロージャケット/スリーブではなく、360°未満半径方向に延びる(例えば、側面の開口部)切り取り部又はその中に画定された開口部216を有する単一のリフロージャケット/スリーブ223が採用されている。この変更された構成によるバルーンガイドカテーテル200の部分的な長手方向断面図を図2Aに示す。カテーテルシャフト205は、軸方向に延びる中心内腔206を形成する内側ライナ又はライニング207を含む。半径方向外側に配置され、内側ライナー又は裏張り207を包囲するのは、中心内腔206と、互いに実質的に平行に配置された膨張内腔215の両方を支持する支持層210(例えば、編組、メッシュ、ケージ又はハイポチューブ)である。図に示す例では、支持層は、図1A図1Cの構成と同様の構成の編組210である。周辺部を有するコンプライアント膨張式バルーンパッチ230は、カテーテルシャフト205の編組210の上に配置される。単一のリフロージャケット又はスリーブ223は、その中に、コンプライアント膨張式バルーンパッチ230と実質的に整列する半径方向に360°未満で延びる切り下記部又は開口部216を画定する。切り取り部又は開口部216は、コンプライアント膨張式バルーンパッチ230の周囲よりも寸法が小さく、開口部を通してバルーンパッチの一部分のみを露出させる。矩形形状の切り取り部又は開口部216が図示されているが、正方形、円形、又は楕円形など、これらに限定されない任意の所望の形状を使用することができる。図2Bは、組み立てられたバルーンガイドカテーテル200の上面図であり、単一のリフロージャケット/スリーブ223の切り取り部又は開口部216は、コンプライアント膨張式バルーン230の一部分(非膨張状態で示されており、その外周は破線で示されている)を露出させている。膨張内腔215を介した生体適合性膨張流体(例えば、造影剤生理食塩水)の注入は、固定されたコンプライアント膨張式バルーン230を切り取り部又は開口部216内のみに膨張させる。したがって、コンプライアント膨張式バルーンの膨張した「側部」バルジ(すなわち、360°未満で半径方向に延びる「側部膨張バルジ」)は、リフロージャケット/スリーブ223の切り取り部又は開口部216内に生成される。カテーテルが標的部位で血管内に挿入されると、バルーンは膨張して、その中を通るオフセットの膨張(「側隆起」)を生じさせ、組み立てられたカテーテルの外側輪郭又は外径への増加が最小限に抑えられる。
【0020】
図1A図1C及び図2A図2Cに図示し、上述したリフロージャケット/スリーブ構成では、中心内腔及び膨張内腔の各々が、それぞれの遠位縁部に延びる編組210(例えば、支持層)によって支持される。図1Aを参照すると、編組110は、膨張内腔115を、2つの分離された遠位リフロージャケット120と近位リフロージャケット/スリーブ125との間の360°の半径方向間隙116と一致するその遠位縁部(例えば、排出ポート)に支持する(すなわち、上及び下に織る)。同様に、図2Aでは、編組210は、膨張内腔215を、単一のリフロージャケット/スリーブ223に画定された切り取り部又は開口部216と一致するその遠位縁部(例えば、排出ポート)に支持する(すなわち、上下に織る)。いずれの設計においても、膨張内腔の遠位縁部に延びる編組によってもたらされるそのような支持は、リフロージャケット/スリーブに固定されたコンプライアント膨張式バルーンの近位界面結合エリアにおいて、全体的な外側輪郭(外径)を不必要に増加させる。
【0021】
図3の例示的な部分縦断面図を参照すると、支持層(例えば、編組310)は、再び、「8」の字型に配置されている(すなわち、中心内腔306について巻かれているだけでなく、膨張内腔315の上及び下にも巻かれている)。編組の半径方向の厚さによって全体の輪郭を小さくするために、図3では、膨張内腔315の遠位縁部のうち、吐出口312(遠位先端部又は縁部)から始まり、近位方向に単一リフロースリーブ/ジャケット323の近位縁部まで延びる部分は、編組310(例えば、支持層)から解放されている(支持されていない)。すなわち、「オーバー」編組310(すなわち、膨張内腔の上下に織られた編組)の遠位方向への短縮は、単一リフロージャケット/スリーブ323と一致しない(すなわち、到達前又は到達時に停止する)。図示の実施形態は、その中に画定された切り取り部又は開口部316を有する単一のリフロージャケット/スリーブ323のものであることに留意されたい。しかし、膨張内腔がリフロージャケット/スリーブと一致するところで支持されないというこの機構は、(図1A図1Cに描かれているように)その間に360°半径方向間隙を形成するために互いに分離された2つのリフロージャケット/スリーブを採用する設計にも適している。したがって、いずれの設計(例えば、単一の側部開口部を有する単一のリフロージャケット/スリーブ、又はその間に360°半径方向間隙を形成するために軸方向に分離された2つのリフロージャケット/スリーブ)においても、リフロージャケット/スリーブと一致するエリアでは、膨張内腔315は編組310によって支持されず(すなわち、編組310は膨張内腔の上下に織られていない)、それによって、組み立てられたバルーンガイドカテーテルの全体的な外側輪郭(外径)を最小化することができる。膨張内腔315とは異なり、中心内腔306は、好ましくは、編組310によって近位縁部から遠位縁部まで支持される。
【0022】
濡れ性及び結合強度の改善は、カテーテルシャフトの外面に固定されたコンプライアント膨張式バルーンの近位結合界面エリアと遠位結合界面エリアの各々に、半径方向に配置された複数の開口部(半径方向のスリット、孔又は他の幾何学的形状)及び/又は凹部(窪み)を画定することによって達成され得る。図4A及び図4Bは、近位結合界面エリア487にその中に画定された複数の開口部(例えば、半径方向のスリット401)を有するコンプライアント膨張式バルーンスリーブの近位縁部(膨張状態で示されている)のそれぞれの側面図及び斜視図である(遠位結合界面エリアは、その中に画定された同様の複数の開口部を有する)。各開口部の形状は、(図4A及び図4Bに示すような)半径方向のスリット401、円形の孔401’(図4C)、又はバルーンを介して画定される任意の他の幾何学的形状であってもよい。複数の開口の全ては、同じ形状及びサイズを有してもよいが、異なる形状及び/又はサイズの変化も可能である。半径方向に配置された開口部の任意の数の1つ以上の列が設けられてもよく、隣接する列は、互いに半径方向にオフセット又は整列していてもよい。
【0023】
組み立て前に、複数の開口は、穿孔、焼き付け、レーザエッチングなどを使用して、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ430のそれぞれの近位結合界面エリア及び遠位結合界面エリア内に作製される。その後、非膨張状態にある間、コンプライアント膨張式バルーン430スリーブは、カテーテルシャフト405の外面の周りに位置付けられる。コンプライアント膨張式バルーン430のそれぞれの近位縁部と遠位縁部は、互いに向かって巻かれ、カテーテルシャフト405の外面を下に露出させる。生体適合性接着剤433は、カテーテルシャフト405の露出した外面に適用され、その際、図4Dの縦断面図に示すように、コンプライアント膨張式バルーン430の近位縁部及び遠位縁部は、コンプライアント膨張式バルーン430を介して画定された開口部401を通って上方に浸出又は滲出する適用された生体適合性接着剤433の上に広げられる。接着剤433が、開口部の半径方向の厚さを超えて、開口部に隣接するエリアのコンプライアント膨張式バルーンスリーブ430の外面に滲出するか、又は浸出することも可能である。図4A図4Cに描かれている構成では、複数の開口部(例えば、半径方向のスリット又は円形の孔)が、コンプライアント膨張式バルーンを貫通して(バルーンの内面から外面まで延びて)画定されている。あるいは、コンプライアント膨張式バルーンは、コンプライアント膨張式バルーンの内面に沿って画定された複数の凹部(窪み)を有するように設計されてもよい(コンプライアント膨張式バルーンの外面を通って延びる(閉鎖される)ことなく、設計されてもよい)。凹部は、接着剤がその中に溜まるのを可能にするのに十分であり得るが、コンプライアント膨張式バルーンの外面で閉じているため、接着剤が外面に流れるのを防ぐことができる。更に別の可能な構成では、開口と凹部との組み合わせは、コンプライアント膨張式バルーン内に画定されてもよい。開口及び/又は凹部は、長手方向に所定の長さで延びており、接着剤がそこに流れ込む/溜まるという事実によって、接着剤の長さ/サイズを拘束/制限/制御することができる。したがって、製造時に開口部や凹部にのみ接着剤が溜まることで、接着剤の外側輪郭を大きくすることなく、接着剤の長さを制御することができる。
【0024】
本発明のバルーンガイドカテーテルのもう一つの態様は、コンプライアント膨張式バルーンとカテーテルシャフトの外面との間に形成される結合の一体性を維持し、その強度を最大限に高めることである。結合一体性の低下は、場合によっては、膨張時にコンプライアント膨張式バルーンスリーブの固定された近位縁部及び/又は遠位縁部の剥離による破損をもたらす可能性がある。図5Aは、コンプライアント膨張式バルーンスリーブの、カテーテルシャフトの外面への従来技術の従来の非反転接着結合を示す。膨張状態でコンプライアントバルーンが従来の非反転結合を超えて成長又は拡張し、その結果、そのような結合に沿って望ましくない剥離が起こり得る。膨張中の剥離の発生を最小限に抑えるために、本発明のコンプライアント膨張式バルーンスリーブは、好ましくは、近位縁部、遠位縁部、又は両端部に沿った反転結合を介してカテーテルシャフトの外面に接着される。反転結合の結果として、膨張の結果としてのコンプライアント膨張式バルーンの任意の成長は、剥離を防止する。図5Bは、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ530の例示的な構成であり、その中で近位縁部及び遠位縁部の両方が、生体適合性接着剤533を介してカテーテルシャフト505の外面に固定される前に反転される(例えば、引き込まれる、反転される、折り畳まれる、又は内側に曲げられる)。一方、図5Cは、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ530の単一の縁部(例えば、遠位結合又は近位結合)のみが、接着剤533を介してカテーテルシャフト505の外面に固定される前に反転される(例えば、反転される、内側に折り畳まれる)代替構成である。両方の構成(図5B及び図5C)では、カテーテルシャフトの外部表面の周りに最初に配置されている間、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ530は、内部/内側表面(カテーテルシャフトに向かって半径方向内側に面する)及び外部/外側表面(カテーテルシャフトから半径方向外側に向く)を有する。次に、コンプライアント膨張式バルーンスリーブ530の近位部分(近位縁部を含む)及び/又は遠位部分(遠位縁部を含む)は、それ自体に内側に、反転され、ひっくりかえされ、折り畳まれ、折り込まれ、曲げられるか、又は引き込まれ、ここで、内側に、反転され、ひっくりかえされ、折り畳まれ、折り込まれ、曲げられるか、又は引き込まれ他部分(ここで、カテーテルシャフトに向かって半径方向に内側に向く)は、反転結合を形成するカテーテルシャフトの外面に接着される。コンプライアント膨張式バルーンスリーブの2つの対向する反転部分は、近位反転結合界面エリア及び遠位反転結合界面エリアと呼ばれ、これらはそれぞれ、反転近位結合及び反転遠位結合を形成するカテーテルシャフトの外面に接着剤を介して固定される。好ましくは、コンプライアント膨張式バルーンの反転近位結合界面エリアは、近位縁部を含み、軸方向に約1mmの長さであり、コンプライアント膨張式バルーンの反転遠位側結合界面エリアは、遠位縁部を含み、軸方向に約1mmの長さである。各反転結合界面エリア(近位又は遠位)の軸方向の任意の所望の長さは、組み立てられたカテーテルの所望の外側輪郭又は外径に応じて選択されてもよい。すなわち、反転結合界面エリアの軸方向長さ(近位又は遠位)は、外側輪郭又は外径よりも大きい。各反転結合界面エリア(近位又は遠位)の軸方向の長さは、同じであってもよいが、必ずしも同じである必要はない。バルーンからの残留空気の排出は、異なる方法で達成され得る。1つの方法は、反転された結合部に近接してバルーン内に通気孔又は排気孔を設けることであり、その際、バルーンは、シールを形成する通気孔の上で外向きに膨張する。十分な残留空気が排出されるまで、バルーンを繰り返し膨張/収縮させる(通常、バルーンが下を向くようにカテーテルを保持し、時にはバルーンをはじきながら)など、残留空気を排出するための他の準備ステップを使用することができる。
【0025】
図5B及び図5Cの下向きの矢印で示されるように、オーバー膨張により、その中の圧力が増加すると、コンプライアント膨張式バルーンスリーブが成長し、反転結合界面エリア(遠位の及び/又は近位の)に下向きの力がかかり、バルーンの反転部分がカテーテルシャフトの外面に押し付けられ、剥離を最小限に抑えることができる。このような反転結合構成は、組み立てられたカテーテルの外側輪郭又は外径の無視し得る増加を伴う結合の一体性を強化する。更に、カテーテルの遠位先端部に近接して遠位反転結合を位置付けることを意図することにより、膨張したコンプライアントバルーンがカテーテルの遠位先端部を超えて遠位に突出することができ、特定の治療に特に適している。コンプライアント膨張式バルーンは、カテーテルの遠位先端部を超えて延びると、ここで、より硬い、より可撓性の低い、よりコンプライアント性の低いカテーテルシャフトの材料ではなく、可撓性のコンプライアントバルーン材料が先端縁部となるため、送達時に保護を提供することができる。更に、血塊回収中にカテーテルの主要なガイドワイヤ内腔を通して吸引を行う場合、遠位先端部を超えて延びるバルーンの膨張部分が、血塊をシャフトの主内腔内に案内する漏斗として作用し、血塊、妨害物、又は閉塞の剪断を最小限に抑える。
【0026】
更に別の構成は、コンプライアント膨張式バルーンとカテーテルシャフトの外面とのスカイビング加工された結合界面エリアを要求する。例示として、図6Aに描かれているバルーンはコンプライアント膨張式バルーンであるが、この構成は他のタイプのバルーン(例えば、セミコンプライアント、又はノンコンプライアント)に適している。コンプライアント膨張式バルーンスリーブ630は、スカイビング加工された近位結合界面エリア610(図6Aの側面図に示されている)及び/又は反対側のスカイビング加工された遠位結合界面エリア(図6Aに描かれているものの鏡面反対側)に沿って、カテーテルシャフト605の外面に固定されており、スカイビング加工された近位結合界面エリア及び/又は遠位結合界面エリアの各々は、直角に(軸方向/長手方向に)スカイビング加工されている。図6Aに示す例示的なコンプライアント膨張式バルーンスリーブ630のスカイビング加工された近位結合界面エリア610は、2つの区分、すなわち、スカイビング加工された近位結合第2区分620の遠位に配置されたスカイビング加工された近位結合第1区分615に分割される。具体的には、スカイビング加工された近位結合第1区分615は、(図6Bの半径方向断面図に示すように)カテーテルシャフト605の円周の周りに半径方向に360°未満(好ましくは約180°)延びており、スカイビング加工された近位結合第2区分620は、(図6Cの半径方向断面図に示すように)カテーテルシャフト605の円周の周りに半径方向に360°未満(好ましくは180°)延びている。スカイビング加工された近位結合第2区分620は、好ましくは、コンプライアント膨張式バルーン630の近位縁部を含み、スカイビング加工された近位結合第1の区分615に向かって遠位方向に延びる。スカイビング加工された近位結合第1の区分615及び近位結合第2の区分620は、好ましくは、連続する結合区分間の半径方向の重なりが最小又は全くない状態で、互いに対して半径方向にオフセットされている(図6Aのコンプライアント膨張式バルーンの平坦化されたスカイビング加工された近位結合界面部分610を表す図6Dに明瞭に見えるように)。図6Bの半径方向断面図を参照すると、スカイビング加工された近位第1の区分615は、カテーテルシャフト605の外面の周りに半径方向に180°覆い、カテーテルシャフト605の残りの180°を露出(覆われていない)させている。同様に、図6Cの半径方向断面図は、カテーテルシャフト605の180°の外面が露出しており、すなわち、半径方向に180°延びるスカイビング加工された近位第2の区分620によって覆われていない状態を示している。生体適合性接着剤633は、図6B及び図6Cに示すように、それぞれのスカイビング加工された近位結合第1の区分615及び近位結合第2の区分620によって覆われたそれらの領域において、カテーテルシャフト605の外面にのみ適用される。結合を更に強化するために、スカイビング加工された近位結合第1区分及び第2区分は、熱結合又はレーザ結合を受けてもよい。例として、図6A図6Cは、各結合界面エリア(近位及び遠位)は、それぞれカテーテルシャフトの円周の周りに180°半径方向に延びる2つのスカイビング加工された区分を備えることを示している。例えば、カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に120°延びる3つのスカイビング加工された区分、又は、カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に90°延びる4つのスカイビング加工された区分、など、各結合界面エリアに3つ以上のスカイビング加工された区分が可能である。
【0027】
図6A図6Cの場合とは若干異なり、バルーンとカテーテルシャフトとの間の結合を更に強化するために、スカイビング加工された近位結合界面エリアと遠位結合界面エリアの各々は、カテーテルシャフトの外面の周りに半径方向に360°延びるスカイビング加工されていない第3の半径方向区分618を含んでもよい。例示として、スカイビング加工されていない第3の半径方向区分618は、カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に180°延びるスカイビング加工された第1の半径方向区分615とスカイビング加工された第2の半径方向区分620との間に軸方向/長手方向に配置されてもよい。図6Eは、この代替設計によるコンプライアント膨張式バルーンの平坦化された近位結合エリア610’を表す。スカイビング加工されていない第3の半径方向区分618の軸方向長さ「AL」は非常に小さく(例えば、約0.5mm以下)、カテーテルの使用中に識別可能な負の影響を有さない組み立てられたカテーテルの外側輪郭又は外径の無視できる増加を表している。したがって、スカイビング加工されていない第3の半径方向区分618は、カテーテルシャフトのコンプライアント膨張式バルーンと外面との間に、組み立てられたカテーテルの外側輪郭又は外径を無視できる程度の拡大を伴って、拡張された360°半径方向結合を提供する。カテーテルシャフトの外面の周りに360°延びるスカイビング加工されていない第3の径方向区分の位置付け又は配置は、変更されてもよい。図6Eに示すように、スカイビング加工された第1の半径方向区分615’とスカイビング加工された第2の半径方向区分620’との間に配置される代わりに、スカイビング加工された第1の半径方向区分とスカイビング加工された第2の半径方向区分は互いに隣接していてもよく、スカイビング加工されていない第3の半径方向区分は、スカイビング加工された第1の半径方向区分又はスカイビング加工された第2の半径方向区分のいずれか一方の自由端部と隣接して配置されている。近位結合界面エリア及び遠位結合界面エリアの各々の、半径方向に千鳥状の又はオフセットされたスカイビング加工された区分は、組み立てられたカテーテルの外側輪郭又は外径を最小にすると共に、カテーテルシャフトの外面の周りに360°の固定結合を累積的に維持する。
【0028】
反転された結合構成(図5B及び図5Cに示される)の代替として、剥離の発生を更に低減するために、カテーテルシャフトのバルーンと外面との間の非反転結合は、熱、レーザ、及び/又は機械的結合を受けてもよい。例えば、熱収縮スリーブは、バルーンスリーブの外面の周りに配置され、熱又はレーザ結合を受けてもよい。更に結合の一体性の更なる向上は、熱収縮スリーブの外面の周りに物理的に圧着された機械的デバイス(例えば、バンド、好ましくはマーカバンド)によって実現されてもよい。図7は、バルーン730(例えば、コンプライアント、セミコンプライアント、又はノンコンプライアント)とカテーテルシャフト705の外面の近位結合界面エリアが、熱的結合(例えば、リフロースリーブ/ジャケット720の熱収縮)と機械的結合(例えば、物理的に圧着された金属マーカバンド750)の両方を受ける構成の部分断面縦断面図である。
【0029】
体内に導入する前に、カテーテルは、コンプライアント膨張式バルーンから残留空気を排出することによって、最初に「準備」される。コンプライアント膨張式バルーンから残留空気を排出するためのいくつかの異なる構成が考えられる。1つの可能な設計が図8Aに示されており、通気管又は排気管875は、カテーテルシャフト805のそれとは別個の構成要素である。通気管又は排気管875の直径は、その中を膨張流体(例えば、造影剤生理食塩水)が通過しないように選択され、残留空気のみが排出又は排気されることを許容する。通気管又は排気管の直径を選択する際に考慮すべき要素には、バルーン内の圧力及びバルーン内の膨張流体(例えば、造影剤と生理食塩水の混合物の比率)が含まれる。通気管又は排気管875は、接着剤833を用いて、カテーテルシャフト805の外面とバルーン830との間(近位結合界面エリア又は遠位の結合界面エリアのいずれかの下)に固定される。排気管875の排出口又は出口880は、バルーン830及びカテーテルシャフト805の外面によって画定される空洞内に配置される。バルーン830の準備(すなわち、バルーンからの残留空気の排出)は、カテーテルシャフトの壁に設けられた膨張内腔890を介してバルーン830に膨張液(例えば、造影剤生理食塩水)を注入することによって達成され、真空を適用する必要なしに、通気管又は排気管875を介して残留空気が排気される。
【0030】
別個の通気管又は排気管の必要性を完全に排除して、代わりに残留空気をコンプライアント膨張式バルーンに画定された通気孔を介して排出することもできる。図8B及び図8Cは、生体適合性接着剤833を介して、非反転近位結合886と非反転遠位結合887をそれぞれ介してカテーテルシャフト805’の外面に固定されたコンプライアント膨張式バルーン830’(すなわち、コンプライアント膨張式バルーンの内面とカテーテルシャフトの外面との間に形成された結合)を示す。図8B及び図8Cに示される実施例におけるコンプライアント膨張式バルーン830’内の通気孔又は排気孔876は、非反転近位結合886の近位及び遠位に配置される。具体的には、通気孔又は排気孔876の位置は、コンプライアント膨張式バルーン830’の継続的な膨張により、その中に定義された通気孔876を有するコンプライアント膨張式バルーンの部分が、非反転近位結合部876の上に延び、カテーテルシャフト805’の外面に物理的に接触し、それによって、通気孔をシールし、その中を通る膨張流体の通過を妨げる。図8Bを参照すると、カテーテルの準備中に、カテーテルシャフト805’の外壁に画定された膨張内腔890を介して膨張流体が注入され、コンプライアント膨張式バルーン830’が膨張し、その中の残留空気が通気孔876を通って排出される。図8Cに示すように、継続的な膨張により、内部に画定された通気孔876を有するコンプライアント膨張式バルーン830’の部分が、非反転近位結合886の上に延び、カテーテルシャフト805’の外面に物理的に接触する。コンプライアント膨張式バルーン内の圧力の増加により、バルーンがシャフトに向かって半径方向内側に拡張し、バルーンの拡張部分に半径方向内側の力が加えられ、カテーテルシャフトの外面に対して通気孔876がシールされ、膨張流体が通過するのが妨げられ,同時に剥離が最小限に抑えられる。
【0031】
図8D及び8Eは、生体適合性接着剤833’を介して、反転近位結合部886’及び反転遠位結合部887’(すなわち、コンプライアント膨張式バルーンの反転近位部分及び反転遠位部分とカテーテルシャフトの外面との間に形成された結合)を介してカテーテルシャフト805’’の外面に固定されたコンプライアント膨張式バルーン830’’の通気孔又は排気孔876’を介して残留空気を排出するための更に別の可能なカテーテル構成を示す。図8D及び図8Eでは、通気孔又は排気孔876’は、コンプライアント膨張式バルーン830’’とカテーテルシャフト805’’の外面との間の反転近位結合の近位及び遠位に描かれている。具体的には、通気孔又は排気孔876’の位置は、継続的な膨張により、その中に画定された通気孔を有するコンプライアント膨張式バルーン830’’の部分が、反転近位結合部886’の上に延び、カテーテルシャフト805’’の外面に物理的に接触し、それにより、通気孔をシールし、そこを通る膨張流体の通過を妨げる。図8Dを参照すると、準備中に、カテーテルシャフトの外壁に画定された膨張内腔890’を介して膨張が注入され、コンプライアント膨張式バルーン830’’を膨張させ、バルーンに画定された通気孔876’を通して残留空気が排出させる。継続的な膨張により、図8Eに示すように、内部に画定された通気孔876’を有するバルーンの部分が、非反転近位結合部886’の上に延び、カテーテルシャフト805’’の外面と物理的に接触する。コンプライアント膨張式バルーン内の増加した圧力は、バルーンの拡張部分に、通気孔876’をシールし、内部を通る膨張流体の通過を妨げる、カテーテルシャフト805’’の外面に対して半径方向内向きの力を付与する。
【0032】
本発明の異なる態様、機構、設計、及び構成は、バルーンとカテーテルシャフトとの間の結合の一体性及び強度を向上させると共に、組み立てられたカテーテルの外側輪郭又は外径を同時に最小化する目的で、所望に応じて組み合わされてもよい。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態に適用されるような本発明の基本的な新規特徴を示し、記載し、かつ指摘してきたが、当業者であれば、例示されたシステム/デバイスの形態及び詳細、並びにそれらの操作における様々な省略、置換、及び変更を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施し得ることが理解されよう。例えば、実質的に同じ機能を実質的に同じ方法で実行して同じ結果を達成する要素及び/又はステップの組み合わせは全て、本発明の範囲内に包含されるように明らかに意図される。また、上述のある実施形態から別の実施形態への要素の置き換えも、完全に意図及び想定の範囲内である。また、図面は必ずしも一定の比例尺で描かれておらず、あくまでも概念的なものにすぎない点も理解されるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲に示される内容によってのみ限定されることが意図される。
【0034】
本明細書に引用された全ての発行済み特許、係属中の特許出願、刊行物、論文、書籍、又は他の参照文献はいずれも、その全体が参照により本明細書に各々組み込まれる。
【0035】
〔実施の態様〕
(1) バルーンガイドカテーテルであって、
中心内腔及び前記中心内腔に実質的に平行な膨張内腔を長手方向に中に画定しているカテーテルシャフトであって、前記中心内腔及び前記膨張内腔を支持する編組を有するカテーテルシャフトと、
前記編組の周りに配置されたバルーンと、
前記バルーンの周りに配置された少なくとも1つのリフロージャケットであって、前記バルーンを前記カテーテルシャフトに固定する前記編組にリフロー可能な材料から作製された少なくとも1つのリフロージャケットと、を備え、前記バルーンの露出部分が、前記少なくとも1つのリフロージャケットによって覆われていない、
バルーンガイドカテーテル。
(2) 前記編組は、前記中心内腔を包囲し、並びに図8の構成において前記膨張内腔の下方及び上方に織られている、実施態様1に記載のバルーンガイドカテーテル。
(3) 前記バルーンは、遠位縁部及び反対側の近位縁部を有し、前記バルーンガイドカテーテルは、(i)前記バルーンの前記近位縁部に重なる近位リフロージャケットと、(ii)前記バルーンの前記遠位縁部に重なる遠位リフロージャケットと、を含む2つのリフロージャケットを有し、前記近位リフロージャケットと前記遠位リフロージャケットは、前記カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に360°延び、軸方向に互いに分離されており、それらの間に、前記バルーンの前記露出部分を露出する360°の半径方向の間隙を形成し、膨張状態では前記バルーンの前記露出部分は、前記360°の半径方向の間隙内で半径方向外側に突出する、
実施態様1に記載のバルーンガイドカテーテル。
(4) 前記バルーンガイドカテーテルは、前記カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に360°延びる単一のリフロージャケットを有し、前記単一のリフロージャケットは、開口部を有し、前記開口部は、前記バルーンの外周と一致するが寸法が小さく、前記開口部を通して前記バルーンの前記露出部分を露出する、
実施態様1に記載のバルーンガイドカテーテル。
(5) 前記少なくとも1つのリフロージャケットと一致する前記膨張内腔の遠位部分は、前記編組によって支持されない、実施態様1に記載のバルーンガイドカテーテル。
【0036】
(6) 前記少なくとも1つのリフロージャケットと一致する前記膨張内腔の遠位部分は、前記編組によって支持される、実施態様1に記載のバルーンガイドカテーテル。
(7) バルーンガイドカテーテルであって、
カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンであって、遠位結合界面エリア及び反対側の近位結合界面エリアで前記カテーテルシャフトに固定されており、前記バルーンの前記遠位結合界面エリア及び前記近位結合界面エリアの各々に画定された複数の半径方向に配置された開口及び/又は複数の半径方向に配置された凹部を有するバルーンと、
前記カテーテルシャフトの前記外面の周りに配置され、前記バルーン内の前記複数の半径方向に配置された開口及び/又は前記複数の半径方向に配置された凹部の中に上向きに浸透可能な接着剤と、
を備えるバルーンガイドカテーテル。
(8) 前記半径方向に配置された開口の各々は、前記バルーンを通って内面から外面まで延びる半径方向のスリット若しくは孔であり、又は、前記半径方向に配置された凹部の各々は、前記外面を貫通することなく前記バルーンの前記内面に沿って画定されている、
実施態様7に記載のバルーンガイドカテーテル。
(9) バルーンガイドカテーテルであって、
外面を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの前記外面の周りに配置されたバルーンであって、反転遠位縁部を含む反転遠位結合界面エリア及び/又は、近位縁部を含む反対側の反転近位結合界面エリアを有するバルーンと、を備え、前記バルーンの前記反転遠位結合界面エリア及び/又は前記反転近位結合界面エリアは、接着剤を介して前記カテーテルシャフトの前記外面に固定されている、
バルーンガイドカテーテル。
(10) 前記バルーンは、前記反転遠位縁部を含む前記反転遠位結合界面エリアと、前記近位縁部を含む前記反対側の反転近位結合界面エリアとを有し、前記反転遠位結合界面エリアと前記反転近位結合界面エリアの各々は、前記カテーテルシャフトの前記外面に前記接着剤を介して固定されている、
実施態様9に記載のバルーンガイドカテーテル。
【0037】
(11) バルーンガイドカテーテルであって、
カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンであって、スカイビング加工された遠位結合界面エリア及び/又は反対側のスカイビング加工された近位結合界面エリアで前記カテーテルシャフトに固定されたバルーンと、を備え、
前記バルーンの前記スカイビング加工された遠位結合界面エリア及び/又は前記スカイビング加工された近位結合界面エリアは、接着剤を介して前記カテーテルシャフトに固定されている、
バルーンガイドカテーテル。
(12) 前記スカイビング加工された近位結合界面エリア及び/又は前記スカイビング加工された遠位結合界面エリアは、各々、前記カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に180°延びるスカイビング加工された結合の第1の半径方向区分と、前記カテーテルシャフトの前記円周の周りに半径方向に180°延びるスカイビング加工された結合の第2の半径方向区分と、を含む、実施態様11に記載のバルーンガイドカテーテル。
(13) 前記スカイビング加工された近位結合界面エリア及び/又は前記スカイビング加工された遠位結合界面エリアは、各々、前記カテーテルシャフトの円周の周りに半径方向に360°延びるスカイビング加工されていない結合の第3の半径方向区分を含む、実施態様12に記載のバルーンガイドカテーテル。
(14) 前記スカイビング加工されていない結合の第3の半径方向区分は、前記スカイビング加工された結合の第1の半径方向区分と前記スカイビング加工された結合の第2の半径方向区分との間に軸方向に配置されている、実施態様13に記載のバルーンガイドカテーテル。
(15) 前記スカイビング加工された第1の半径方向区分と前記スカイビング加工された第2の半径方向区分とが互いに隣接しており、前記スカイビング加工されていない第3の半径方向区分は、前記スカイビング加工された第1の半径方向区分又は前記スカイビング加工された第2の半径方向区分のいずれか1つの自由縁部と隣接して配置されている、実施態様13に記載のバルーンガイドカテーテル。
【0038】
(16) バルーンガイドカテーテルであって、
外面を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンであって、前記カテーテルシャフトに固定されたバルーンと、
前記バルーンと前記カテーテルシャフトの前記外面との間に固定された通気管と、
を備えるバルーンガイドカテーテル。
(17) バルーンガイドカテーテルであって、
カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの周りに配置されたバルーンであって、遠位結合界面エリア及び反対側の近位結合界面エリアで前記カテーテルシャフトに固定されたバルーンと、を備え、前記バルーンは、その中で前記近位結合界面エリアと前記遠位結合界面エリアとの間に画定された排気孔を有し、前記バルーンは、前記バルーンの一部分が、前記カテーテルシャフトの外面と物理的に接触しているそれぞれの前記近位結合界面エリア及び前記遠位結合界面エリアのうちの少なくとも1つにわたって拡張可能で、前記排気孔をシールする、拡張状態に移行可能である、
バルーンガイドカテーテル。
(18) 前記近位結合界面エリア及び前記遠位結合界面エリアのうちの少なくとも1つは、前記カテーテルシャフトに固定されて、非反転結合を形成する、実施態様17に記載のバルーンガイドカテーテル。
(19) 前記近位結合界面エリア及び前記遠位結合界面エリアのうちの少なくとも1つは、前記バルーンの、内側に押し込まれた縁部を含み、前記バルーンの内側に押し込まれたその部分は、前記カテーテルシャフトに固定されて、反転した結合を形成する、実施態様17に記載のバルーンガイドカテーテル。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
【外国語明細書】