(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027593
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】可移動機器の測位方法、装置及び可移動機器
(51)【国際特許分類】
G01S 17/931 20200101AFI20220203BHJP
G05D 1/00 20060101ALI20220203BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20220203BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220203BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220203BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G01S17/931
G05D1/00 Z
G01C21/28
G08G1/16 C
B60W60/00
B60W40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021123200
(22)【出願日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】202010744252.0
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521295642
【氏名又は名称】北京図森未来科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】徐 勇
(72)【発明者】
【氏名】呉 楠
【テーマコード(参考)】
2F129
3D241
5H181
5H301
5J084
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB33
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2F129GG18
2F129HH18
3D241BA49
3D241CE05
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3D241DC38Z
5H181AA01
5H181BB13
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5J084AA04
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5J084CA49
5J084CA68
5J084EA04
5J084EA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動運転の技術分野において、可移動機器の測位方法、装置及び可移動機器を提供する。
【解決手段】方法は、可移動機器の上方の所定領域内のレーザ点群データを取得することと、所定ルールに従って、レーザ点群データを可移動機器の左右両側にそれぞれ位置する第1のタイプの点群と第2のタイプの点群として抽出することと、第1のタイプの点群と第2のタイプの点群を照合して変換行列を取得し、変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定することとを含む。上記の処理により、関連技術におけるGNSS信号が影響を受け、且つ前方のレーザ点群データを精確に取得できない場合に可移動機器を精確に測位できないという問題を解決することができ、同時に、可移動機器の上方の点群データを収集するため、使用時に一時的な障害物の影響を受けない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面が左右対称となるトンネル内を走行する可移動機器の測位方法であって、
可移動機器の上方の所定領域内のレーザ点群データを取得することと、
所定ルールに従って、前記レーザ点群データを可移動機器の左右両側にそれぞれ位置する第1のタイプの点群と第2のタイプの点群として抽出することと、
前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群を照合して変換行列を取得し、前記変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定することとを含む、ことを特徴とする可移動機器の測位方法。
【請求項2】
前記可移動機器にレーザレーダが設けられ、前記レーザレーダの走査平面と可移動機器の走行平面とは垂直であるか、或いは前記レーザレーダの走査平面と可移動機器の走行平面とは角度があり、
前記可移動機器の上方の所定領域内のレーザ点群データを取得することは、
前記レーザレーダによって、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データを取得することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の可移動機器の測位方法。
【請求項3】
前記所定領域は、可移動機器の参照点の前方の所定距離領域、可移動機器の参照点の後方の所定距離領域又は可移動機器の参照点の前後の所定距離領域である、ことを特徴とする請求項1に記載の可移動機器の測位方法。
【請求項4】
所定ルールに従って、前記レーザ点群データを可移動機器の左右両側にそれぞれ位置する第1のタイプの点群と第2のタイプの点群として抽出することは、
所定座標系における可移動機器の参照点の参照点座標とレーザ点群データの各点群座標を取得することと、
前記参照点座標と各点群座標に基づいて、各点群座標に対応する点群を第1のタイプの点群又は第2のタイプの点群に分けることとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の可移動機器の測位方法。
【請求項5】
前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群を照合して変換行列を取得し、前記変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定することは、
前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群を照合して変換行列を取得し、前記変換行列に基づいて可移動機器の横方向位置及びヨー角を決定することを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の可移動機器の測位方法。
【請求項6】
前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群を照合して変換行列を取得することは、
前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群のそれぞれの点群の数を取得し、点群の数が大きいタイプの点群と点群の数が小さい他のタイプの点群を決定することと、
前記点群の数が小さい他のタイプの点群に対して前処理して、照合される点群を形成することと、
事前に設定されたレジストレーションアルゴリズムによって、前記照合される点群と点群の数が大きいタイプの点群とを照合して変換行列を取得することとを含み、前記変換行列は平行移動ベクトルを含み、
前記変換行列に基づいて可移動機器の横方向位置を決定することは、
前記平行移動ベクトルに基づいて可移動機器の横方向位置を決定することを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の可移動機器の測位方法。
【請求項7】
前記点群の数が小さい他のタイプの点群に対して前処理して、照合される点群を形成することは、
前記点群の数が小さい他のタイプの点群を所定座標系のZ軸の周りに180度回転させて、照合される点群を形成することを含み、所定座標系はX軸、Y軸及びZ軸を含み、X軸は可移動機器の横方向であり、Y軸は可移動機器の縦方向であり、Z軸はX軸及びY軸が所在する平面と垂直であり、
事前に設定されたレジストレーションアルゴリズムによって、前記照合される点群と点群の数が大きいタイプの点群とを照合して変換行列を取得することは、
反復最接近点ICPアルゴリズム又は正規分布変換NDTアルゴリズムによって、前記照合される点群と点群の数が大きいタイプの点群とを照合して変換行列を取得することを含み、前記変換行列は平行移動ベクトルt(C,m,n)を含み、Cは点群が一致したときに所定座標系のX軸方向における変位であり、mは点群が一致したときに所定座標系のY軸方向における変位であり、nは点群が一致したときに所定座標系のZ軸方向における変位であり、
前記平行移動ベクトルに基づいて可移動機器の横方向位置を決定することは、
点群が一致したときに所定座標系のX軸における平行移動距離|C|に基づいて、トンネルの中心線からの可移動機器の横方向における距離を|C|/2と決定することを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の可移動機器の測位方法。
【請求項8】
前記変換行列に基づいて可移動機器のヨー角を決定することは、
前記変換行列のうちの平行移動ベクトルに基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、トンネルの第1の頂点を決定することと、
所定座標系における前記トンネルの第1の頂点の座標に基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、第1の頂点でのZ軸座標値の所定範囲内にあるZ軸座標の目標点群を選択することと、
前記目標点群に基づいて、1つの直線の直線方程式を決定し、前記直線方程式に求解されるパラメータが含まれることと、
前記直線に対する前記目標点群のすべての点のコスト関数を決定することと、
前記コスト関数を求解し、コスト関数のコスト値が最小となるときに対応する求解されるパラメータの結果を決定することと、
前記求解されるパラメータの結果に基づいて可移動機器のヨー角を決定することとを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の可移動機器の測位方法。
【請求項9】
前記変換行列のうちの平行移動ベクトルに基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、トンネルの第1の頂点を決定することは、
平行移動ベクトルt(C,m,n)のうちの、点群が一致したときに所定座標系のX軸における平行移動距離|C|に基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、トンネルの第1の頂点を決定することを含み、前記第1の頂点の所定座標系におけるX軸座標は-(|C|/2)であり、Y軸座標は0であるか、或いは、前記第1の頂点は、レーザ点群データのうちの、X軸座標が-(|C|/2)であり、Y軸座標が0である点との距離が最小となる点p0(x0,y0,z0)であり、
所定座標系における前記トンネルの第1の頂点の座標に基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、第1の頂点でのZ軸座標値の所定範囲内にあるZ軸座標の目標点群を選択することは、
所定座標系における前記トンネルの第1の頂点の座標に基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、Z軸座標が所定範囲(z0-d,z0+d)内にある目標点群を選択することを含み、dは事前に設定された距離閾値であり、z0は第1の頂点でのZ軸座標であり、
前記目標点群に基づいて、1つの直線の直線方程式を決定し、前記直線方程式に求解されるパラメータが含まれることは、
前記目標点群に基づいて、1つの直線の直線方程式を
a(x-x0)+b(y-y0)=0と決定することを含み、a及びbは求解されるパラメータであり、
前記直線に対する前記目標点群のすべての点のコスト関数を決定することは、
前記直線に対する前記目標点群のすべての点(xi,yi,zi)のコスト関数を
【数1】
と決定することを含み、
前記コスト関数を求解し、コスト関数のコスト値が最小となるときに対応する求解されるパラメータの結果を決定することは、
前記コスト関数に対して最小値を最適化して求解し、コスト関数のコスト値が最小となるときに対応する求解されるパラメータの結果をa0及びb0と決定することを含み、
前記求解されるパラメータの結果に基づいて可移動機器のヨー角を決定することは、
トンネルに対する可移動機器のヨー角をarctan(b0/a0)と決定することを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の可移動機器の測位方法。
【請求項10】
横断面が左右対称となるトンネル内を走行する可移動機器の測位装置であって、
可移動機器の上方の所定領域内のレーザ点群データを取得するために用いられるレーザ点群取得モジュールと、
所定ルールに従って、前記レーザ点群データを可移動機器の左右両側にそれぞれ位置する第1のタイプの点群と第2のタイプの点群として抽出するために用いられる点群抽出モジュールと、
前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群を照合して変換行列を取得し、前記変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定するために用いられる点群照合モジュールとを含む、ことを特徴とする可移動機器の測位装置。
【請求項11】
可移動機器の測位装置を含み、該可移動機器の測位装置は、請求項1~9のいずれか一項に記載の可移動機器の測位方法を実現するために用いられる、ことを特徴とする可移動機器。
【請求項12】
可移動機器の測位装置を含み、該可移動機器の測位装置は、請求項1~9のいずれか一項に記載の可移動機器の測位方法を実現するために用いられる、ことを特徴とするサーバ。
【請求項13】
コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、
該プログラムがプロセッサにより実行されるときに、請求項1~9のいずれか一項に記載の可移動機器の測位方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムとを含むコンピュータデバイスであって、
前記プロセッサは、前記プログラムを実行するときに請求項1~9のいずれか一項に記載の可移動機器の測位方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、自動運転の技術分野に関し、特に可移動機器の測位方法、装置及び可移動機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分は、特許請求の範囲に記載の本発明の実施形態に背景又はコンテキストを提供することを意図している。ここでの説明は、この部分に含まれているからといって、従来の技術であると認めるものではない。
【0003】
可移動機器とは、車両、ドローン、スマートロボットなどの事前設定された路径を走行できるデバイスを指す。自動運転の技術分野では、自動運転車両、ドローン、スマートロボットなどの精確な運行を確保するために、一般的にこれらの可移動機器を精確に測位する必要がある。現在、測位の方法はさまざまなものがあり、例えば、可移動機器に搭載されたGNSSセンサ(グローバルナビゲーション衛星システム、Global Navigation Satellite System)、マシンビジョンセンサ(カメラ、レーザレーダ、ミリ波レーダ、超音波レーダ)を用いて測位するか、又は外部の基地局と通信することにより測位することができる。
【0004】
一般に、衛星信号が良好な地域では、通常、GNSSセンサを用いて測位する。しかしながら、自動運転過程中に、可移動機器が衛星信号品質の良いエリアから衛星信号品質の悪いエリアに入ると、GNSS測位の精確性が大幅に低下することから、可移動機器に対する測位精度が大幅に低下し、可移動機器の測位の精確性を確保できない。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施例は、衛星信号品質の悪いエリアで可移動機器の精確な測位を実現する問題を解決するために、可移動機器の測位方法、装置及び可移動機器を提供する。
【0006】
上記の目的を達成するために、本願は以下の技術案を採用する。
一態様では、本願の実施例は、横断面が左右対称となるトンネル内を走行する可移動機器の測位方法を提供しており、前記可移動機器の測位方法は、
可移動機器の上方の所定領域内のレーザ点群データを取得することと、
所定ルールに従って、前記レーザ点群データを可移動機器の左右両側にそれぞれ位置する第1のタイプの点群と第2のタイプの点群として抽出することと、
前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群を照合して変換行列を取得し、前記変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定することとを含む。
【0007】
他の態様では、本発明の実施例は、横断面が左右対称となるトンネル内を走行する可移動機器の測位装置を提供しており、前記可移動機器の測位装置は、
可移動機器の上方の所定領域内のレーザ点群データを取得するために用いられるレーザ点群取得モジュールと、
所定ルールに従って、前記レーザ点群データを可移動機器の左右両側にそれぞれ位置する第1のタイプの点群と第2のタイプの点群として抽出するために用いられる点群抽出モジュールと、
前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群を照合して変換行列を取得し、前記変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定するために用いられる点群照合モジュールとを含む。
【0008】
他の態様では、本発明の実施例は、上記の可移動機器の測位装置を含む可移動機器を提供しており、該可移動機器の測位装置は、上記の可移動機器の測位方法を実現するために用いられる。
【0009】
他の態様では、本発明の実施例は、上記の可移動機器の測位装置を含むサーバを提供しており、該可移動機器の測位装置は、上記の可移動機器の測位方法を実現するために用いられる。
【0010】
他の態様では、本発明の実施例は、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を提供しており、該プログラムがプロセッサにより実行されるときに上記の可移動機器の測位方法を実現する。
【0011】
他の態様では、本発明の実施例は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムとを含むコンピュータデバイスをさらに提供しており、前記プロセッサは、前記プログラムを実行するときに上記の可移動機器の測位方法を実現する。
【0012】
本発明の実施例に係る技術案によれば、可移動機器の上方の所定領域内のレーザ点群データを取得し、所定ルールに従って、該レーザ点群データを可移動機器の左右両側にそれぞれ位置する第1のタイプの点群と第2のタイプの点群として抽出し、前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群を照合することにより、変換行列を取得してから、該変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定する。上記の処理により、本発明の態様は、関連技術におけるGNSS信号が影響を受け、且つ前方のレーザ点群データを精確に取得できない場合に可移動機器を精確に測位できないという問題を解決することができ、同時に、可移動機器の上方の点群データを収集するため、使用時に一時的な障害物の影響を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本願の実施例又は従来の技術における技術案をより明確に説明するために、実施例又は従来の技術の説明で使用する必要がある図面を、以下で簡単に説明する。以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働を行わずに、これらの図面に基づいて他の図面を取得できることは明らかである。
【0014】
【
図1】本願の実施例に係る可移動機器の測位装置の構造模式図である。
【
図2a】本願の実施例に係るトンネルの横断面の模式図である。
【
図2b】本願の実施例に係るトンネルの横断面の模式図である。
【
図2c】本願の実施例に係るトンネルの横断面の模式図である。
【
図3】本願の実施例に係る可移動機器の構造模式図である。
【
図4】本願の実施例に係る可移動機器の測位方法のフロー模式図である。
【
図5】本願の実施例に係るレーザレーダ走査面及び可移動機器の模式図である。
【
図6a】本願の実施例に係る可移動機器の上方の点群のサンプリング模式図である。
【
図6b】本願の実施例に係る可移動機器の上方の点群のサンプリング模式図である。
【
図6c】本願の実施例に係る可移動機器の上方の点群のサンプリング模式図である。
【
図7】本願の実施例に係る可移動機器の上方の点群を分ける方法のフロー模式図である。
【
図8】本願の実施例に係る点群の照合方法のフロー模式図である。
【
図9】本願の実施例に係るヨー角の計算方法のフロー模式図である。
【
図10a】本願の実施例に係る点群を前処理する平面投影模式図である。
【
図10b】本願の実施例に係る点群を照合する平面投影模式図である。
【
図11】本願の実施例に係る点群を抽出して直線近似する模式図である。
【
図12】本願の実施例に係るヨー角を計算するときの幾何学的関係の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術案を明確且つ完全に説明するが、説明される実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わずに得たすべての他の実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0016】
なお、「可移動機器」という用語は、本願においていずれかの移動物体を含むと広く解釈され、例えば、航空機、船、宇宙船、自動車、トラック、バン、セミトレーラ、オートバイ、ゴルフカート、オフロード車両、倉庫輸送車両又は農業用車両、及び軌道上を走行する可移動機器、例えば、電車又は汽車及びその他の有軌道車両を含む。本願の「可移動機器」には、一般に、電力システム、センサシステム、制御システム、周辺機器、及びコンピューターシステムが含まれる。他の実施例において、可移動機器は、より多くの、より少ない、又は異なるシステムを含んでもよい。
【0017】
上述した可移動機器に基づいて、例えば、無人走行車両は、センサシステム及び無人走行制御装置がさらに配置されている。
【0018】
センサシステムは、可移動機器が所在する環境の情報を感知するための複数のセンサと、センサの位置及び/又は方向を変更する1つ又は複数のアクチュエータとを含んでもよい。センサシステムは、グローバルポジショニングシステムセンサ、慣性測定ユニット、無線検出及び測距(RADAR)ユニット、カメラ、レーザ距離計、光検出及び測距(LIDAR)ユニット、及び/又は音響センサなどのセンサの任意の組合せを含んでもよい。センサシステムは、さらに、可移動機器の内部システムを監視するセンサ(例えば、O2モニタ、燃料計、エンジン温度計など)を含んでもよい。
【0019】
無人走行制御装置は、1つのプロセッサと、メモリとを含み、メモリには少なくとも1つの機械が実行可能な指令が記憶され、プロセッサは、少なくとも1つの機器が実行可能な指令を実行して、地図エンジン、測位モジュール、感知モジュール、ナビゲーション又は経路モジュール、及び自動制御モジュールとなどを含む機能を実現することができる。地図エンジン及び測位モジュールは、地図情報及び測位情報を提供するために用いられる。感知モジュールは、センサシステムにより取得された情報及び地図エンジンにより提供された地図情報に基づいて、可移動機器が所在する環境におけるものを感知するために用いられる。ナビゲーション又は経路モジュールは、地図エンジン、測位モジュール及び感知モジュールによる処理結果に基づいて、可移動機器のために走行経路を計画するために用いられる。自動制御モジュールは、ナビゲーション又は経路モジュールなどのモジュールによる意思決定情報を入力して解析し、可移動機器の制御システムに対する制御命令に変換して出力し、車載ネットワーク(例えば、CANバス、ローカルインターネット網、マルチメディア指向性システム伝送などの方法で実現された可移動機器の内部電子ネットワークシステム)を介して、制御命令を可移動機器の制御システムにおける対応部品に送信し、可移動機器に対する自動制御を実現し、自動制御モジュールは、さらに、車載ネットワークを介して可移動機器における各部品の情報を取得可能である。
【0020】
当業者が本願をよりよく理解するために、以下、本願の実施例に係る技術用語を次のように説明する。
GPS:Global Positioning System、グローバルポジショニングシステム。
GNSS:Global Navigation Satellite System、グローバルナビゲーション衛星システム。
IMU:Inertial Measurement Unit、慣性測定ユニット。
ICP:Iterative Closest Point、反復最接近点アルゴリズム、点群照合アルゴリズムである。
NDT:Normal Distributions Transform、正規分布変換アルゴリズム、点群照合アルゴリズムである。
UWB:Ultra-wideband、超広帯域、無制限キャリア通信技術である。
姿勢:Pose、位置及び姿態の総称であり、3つの位置自由度と3つの方向自由度を含む6つの自由度が含まれる。3つの方向自由度は通常、ピッチ角(pitch)、ロール角(roll)、ヨー角(yaw)で表される。本願では、可移動機器は一般に水平路面を走行するため、ヨー角のみを考慮してもよい。
【0021】
当業者が本願をよりよく理解するために、以下、本願に係る適用環境を説明するが、例えば、本願は、トンネル、地下駐車場などの半閉鎖環境における自動運転車両の測位に適用可能である。上記は、本願のごく一部の適用実例に過ぎず、本願の実施例の教示下で、当業者は、ニーズに応じてより多くの適用実例も提供可能であり、本願はこれらの適用実例に限定されないことを理解されたい。
【0022】
本願の実施例を実現する過程において、本発明者は、GNSS信号が影響を受けたトンネルなどのシナリオで、通常は慣性組合ナビゲーションデータ、レーザレーダデータ、及び高精度地図データを統合して、複数のデータの融合により、測位が実現されることを発見した。しかし、高精度地図には、社会の車両、歩行者、非自動車などの他の一時的な障害物情報が含まれず、可移動機器によってリアルタイムで収集されるレーザ点群には、これらの一時的な障害物点群が含まれ、この部分の点群のフィルタリングが困難である。また、交通量が多く、自動運転車が前方車両に近い場合、センサなどがブロックされる問題により、前方道路の有効標識の画像及びレーザレーダ点群を取得できず(例えば、道路の車道線の画像及び点群を取得できない)、これにより、センサに基づいて測位するアルゴリズムが機能できなくなり、よって、自動運転車両の測位の失敗につながる。
【0023】
本願の実施例は、上記問題について、可移動機器の測位態様を提供する。該態様において、可移動機器の測位装置は、可移動機器の上方の一定領域内のレーザ点群データを取得し、所定ルールに従って該レーザ点群データを抽出することにより、可移動機器の左右両側の点群をそれぞれ取得し、さらにこれらの2タイプの点群を照合して変換行列を取得し、該変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定することができる。これにより、本願の実施例に係る技術案は、関連技術におけるGNSS信号が影響を受け、且つ前方のレーザ点群データを精確に取得できない場合に可移動機器を精確に測位できないという問題を解決することができ、同時に、可移動機器の上方の点群データを収集するため、使用時に一時的な障害物の影響を受けず、事前に高精度地図を構築する必要もない。
【0024】
本願のいくつかの実施例は可移動機器の測位態様を提供する。可移動機器の確実な測位方法を実現するために、一実施例において、
図1に示すように、横断面が左右対称となるトンネル内を走行する可移動機器の測位装置を提供しており、該可移動機器の測位装置は、
可移動機器の上方の所定領域内のレーザ点群データを取得するために用いられるレーザ点群取得モジュール11と、
所定ルールに従って、前記レーザ点群データを可移動機器の左右両側にそれぞれ位置する第1のタイプの点群と第2のタイプの点群として抽出するために用いられる点群抽出モジュール12と、
前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群を照合して変換行列を取得し、前記変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定するために用いられる点群照合モジュール13とを含む。
【0025】
具体的な実施において、本願に係る態様ではトンネル形状が限定されず、横断面が左右対称となることを満たせばよく、
図2a~
図2cは、いくつかのトンネルの横断面の例示を示すが、該例示は本発明の態様に何ら制限を与えるものではないことを注意すべきである。
【0026】
一実施例において、
図3に示すように、本願の実施例は、可移動機器102をさらに提供しており、可移動機器は、自動運転車両又はスマートロボットなどのトンネル内を移動する機器を例にとって、可移動機器102は可移動機器の測位装置101を含み、また、該可移動機器102に複数種類のセンサを設置可能であり、例えば、これらの複数種類のセンサは、GNSSセンサ104、UWBタグ105、IMUセンサ106、レーザレーダセンサ107、ミリ波レーダセンサ108、超音波レーダセンサ109及びカメラ110などのいずれかの複数種類の組合せを含み、ここで、説明の便宜上、可移動機器102には上記複数種類のセンサのいずれも設置されていてもよい。該可移動機器の測位装置101は、可移動機器102上の車載サーバ、車載コンピュータなどの機器であってもよく、ここでは限定されない。
【0027】
一実施例において、
図4に示すように、本願の測位装置は上記可移動機器のために横断面が左右対称となるトンネル内を走行する可移動機器の測位方法を提供可能であり、該可移動機器の測位方法は、具体的に、
可移動機器の上方の所定領域内のレーザ点群データを取得するステップ201と、
所定ルールに従って、前記レーザ点群データを可移動機器の左右両側にそれぞれ位置する第1のタイプの点群と第2のタイプの点群として抽出するステップ203と、
前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群を照合して変換行列を取得し、前記変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定するステップ205とを含む。
【0028】
一実施例において、
図5に示すように、可移動機器に取り付けられたレーザレーダが作動するときに形成される走査平面と可移動機器とは交差する模式図を示し、具体的な実施において、レーザレーダを可移動機器102に設け、その走査平面は可移動機器の走行平面と一定の角度θをなし、これにより作動時のレーザレーダがトンネルの上方を探知でき、よって、トンネルの上方のレーザ点群データを取得できればよく、好ましくは、θが90度であり、具体的な取り付け方法はここでは限定されない。
【0029】
一実施例において、ステップ201で可移動機器の上方の所定領域内のレーザ点群データを取得し、具体的には、レーザレーダによって、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データを取得し、可移動機器の参照点を選択して、具体的なシナリオで、さらに参照点のトンネルの前方の所定距離領域(
図6aに示す)、参照点のトンネルの後方の所定距離領域(
図6bに示す)又は参照点のトンネルの前後の所定距離領域(
図6cに示す)をレーザ点群のサンプリング領域とすることにより、サンプリング領域におけるレーザ点群データを取得する。
【0030】
一実施例において、
図7に示すように、上記ステップ203で、所定ルールに従って、前記レーザ点群データを可移動機器の左右両側にそれぞれ位置する第1のタイプの点群と第2のタイプの点群として抽出することは、以下の方法で実現可能である。
ステップ203a、所定座標系における可移動機器の参照点の参照点座標とレーザ点群データの各点群座標を取得し、
ステップ203b、前記参照点座標と各点群座標に基づいて、各点群座標に対応する点群を第1のタイプの点群又は第2のタイプの点群に分ける。
【0031】
例えば、本願の一実施例において、可移動機器のIMU座標系を所定座標系とし、所定座標系はX軸、Y軸及びZ軸を含み、X軸は可移動機器の横方向(例えば、車両を例にとって、X軸は車両の真右方向に指す)であり、Y軸は可移動機器の縦方向(例えば、車両を例にとって、Y軸は車両の正面方向に指す)であり、Z軸はX軸及びY軸が所在する平面(例えば、車両を例にとって、Z軸は車両の真上方向に指す)と垂直であり、さらに該所定座標系における可移動機器参照点の参照点座標(0,0,0)及びレーザ点群データの各点群の座標を取得し、前記参照点座標と各点群座標に基づいて、各点群座標に対応する点群を第1のタイプの点群又は第2のタイプの点群に分けることできる。さらに、例えば、座標がx≧0を満たす点群を第1のタイプの点群とし、座標がx<0を満たす点群を第2のタイプの点群とすることができる。なお、ここ及び後述で、IMU座標系を所定座標系とすることは本願の実現形態の1つに過ぎず、ここでは、説明の便宜上のものに過ぎず、本発明の態様に何ら制限を与えるものではない。
【0032】
一実施例において、
図8に示すように、上記ステップ205で、前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群を照合して変換行列を取得し、前記変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定することは、以下の方法を採用可能である。
ステップ205a、前記第1のタイプの点群と前記第2のタイプの点群のそれぞれの点群の数を取得し、点群の数が大きいタイプの点群と点群の数が小さい他のタイプの点群を決定し、
ステップ205b、前記点群の数が小さい他のタイプの点群に対して前処理して、照合される点群を形成し、
ステップ205c、事前に設定されたレジストレーションアルゴリズムによって、前記照合される点群と点群の数が大きいタイプの点群とを照合して変換行列を取得し、
ステップ205d、前記変換行列に基づいて可移動機器の横方向位置及びヨー角を決定する。
【0033】
例えば、点群を参照点座標及び点群座標に従って分けた後に、さらに、第1のタイプの点群及び第2のタイプの点群の点群の数を決定し、第1のタイプの点群の点群の数が少ないと仮定すると、点群の数が少ない第1のタイプの点群を前処理した後、点群の数が多い第2のタイプの点群に照合し、変換行列を取得し、該変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定可能であり、姿勢情報は、トンネルの地面の中軸線に対する可移動機器の横方向位置(又は横方向変位)及び可移動機器のヨー角を含む。
【0034】
一実施例において、ステップ205aで前記第1のタイプの点群及び前記第2のタイプの点群のそれぞれの点群の数を取得し、具体的には、さまざまなオープンソース又は非オープンソースの商用ソフトウェアによって点群をカウントする、或いは点群数統計モジュールを自己開発することにより実現可能であり、ここでは、具体的実現形態に何ら制限も与えない。
【0035】
一実施例において、ステップ205bで前記点群の数が小さい他のタイプの点群に対して前処理して、照合される点群を形成することは以下の方法で実現可能である。前記点群の数が小さい他のタイプの点群を所定座標系のZ軸の周りに180度回転させて、照合される点群を形成し、所定座標系はX軸、Y軸及びZ軸を含み、X軸は可移動機器の横方向(例えば、車両を例にとって、X軸は車両の真右方向に指す)であり、Y軸は可移動機器の縦方向(例えば、車両を例にとって、Y軸は車両の正面方向に指す)であり、Z軸はX軸及びY軸が所在する平面(例えば、車両を例にとって、Z軸は車両の真上方向に指す)と垂直である。
【0036】
一実施例において、ステップ205cで事前に設定されたレジストレーションアルゴリズムによって、前記照合される点群と点群の数が大きいタイプの点群とを照合して変換行列を取得することは、以下の方法で実現可能である。反復最接近点ICPアルゴリズム又は正規分布変換NDTアルゴリズムによって、上記前処理して得られた照合される点群と点群の数が大きいタイプの点群とを照合して変換行列を取得し、前記変換行列は平行移動ベクトルt(C,m,n)を含み、Cは点群が一致したときに所定座標系のX軸方向における変位であり、mは点群が一致したときに所定座標系のY軸方向における変位であり、nは点群が一致したときに所定座標系のZ軸方向における変位である。
【0037】
一実施例において、ステップ205dで変換行列に基づいて可移動機器の横方向位置を決定することは、以下の方法で実現可能である。点群が一致したときに所定座標系のX軸における平行移動距離|C|に基づいて、トンネルの中心線からの可移動機器の横方向における距離を|C|/2と決定する。
【0038】
一実施例において、
図9に示すように、ステップ205dで変換行列に基づいて可移動機器のヨー角を決定することは、具体的に、
変換行列のうちの平行移動ベクトルに基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、トンネルの第1の頂点を決定するステップ301と、
所定座標系における前記トンネルの第1の頂点の座標に基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、第1の頂点でのZ軸座標値の所定範囲内にあるZ軸座標の目標点群を選択するステップ302と、
前記目標点群に基づいて、1つの直線の直線方程式を決定し、前記直線方程式に求解されるパラメータが含まれるステップ303と、
前記直線に対する前記目標点群のすべての点のコスト関数を決定するステップ304と、
前記コスト関数を求解し、コスト関数のコスト値が最小となるときに対応する求解されるパラメータの結果を決定するステップ305と、
前記求解されるパラメータの結果に基づいて可移動機器のヨー角を決定するステップ306とを含む。
【0039】
一実施例において、上記ステップ301で、変換行列のうちの平行移動ベクトルに基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、トンネルの第1の頂点を決定することは、以下の方法で実現可能である。平行移動ベクトルt(C,m,n)のうちの、点群が一致したときに所定座標系のX軸における平行移動距離|C|に基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、トンネルの第1の頂点を決定し、前記第1の頂点の所定座標系におけるX軸座標は|C|/2であり、Y軸座標は0であるか、或いは、前記第1の頂点は、レーザ点群データのうちの、X軸座標が-(|C|/2)であり、Y軸座標が0である点との距離が最小となる点p0(x0,y0,z0)である。
【0040】
一実施例において、上記ステップ302で、上記トンネルの第1の頂点の所定座標系における座標に基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、第1の頂点でのZ軸座標値の所定範囲内にあるZ軸座標の目標点群を選択することは、以下の方法で実現可能である。所定座標系における前記トンネルの第1の頂点の座標に基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、Z軸座標が所定範囲(z0-d,z0+d)内にある目標点群を選択し、dは事前に設定された距離閾値であり、z0は第1の頂点でのZ軸座標である。
【0041】
一実施例において、上記ステップ303で、前記目標点群に基づいて、1つの直線の直線方程式を決定し、前記直線方程式に求解されるパラメータが含まれることは、以下の方法で実現可能である。前記目標点群に基づいて、1つの直線の直線方程式をa(x-x0)+b(y-y0)=0と決定し、ただし、a及びbは求解されるパラメータである。
【0042】
一実施例において、上記ステップ304で、前記直線に対する前記目標点群のすべての点のコスト関数を決定することは、以下の方法で実現可能である。前記直線に対する前記目標点群のうちのすべての点(xi,yi,zi)のコスト関数を
【数1】
と決定する。
【0043】
一実施例において、上記ステップ305で、前記コスト関数を求解し、コスト関数のコスト値が最小となるときに対応する求解されるパラメータの結果を決定することは、以下の方法で実現可能である。前記コスト関数に対して最小値を最適化して求解し、コスト関数のコスト値が最小となるときに対応する求解されるパラメータの結果をa0及びb0と決定する。
【0044】
一実施例において、上記ステップ306で、前記求解されるパラメータの結果に基づいて可移動機器のヨー角を決定することは、以下の方法で実現可能である。トンネルに対する可移動機器のヨー角をarctan(b0/a0)と決定する。
【0045】
上記処理により、本態様は、GNSS信号が影響を受けたトンネルなどのシナリオで、可移動機器の上方の一定領域内のレーザ点群データを取得し、所定ルールに従って該レーザ点群データを抽出することにより、可移動機器の左右両側の点群をそれぞれ取得し、さらにこれらの2タイプの点群を照合して変換行列を取得し、該変換行列に基づいて可移動機器の姿勢情報を決定することができる。これにより、本願の実施例に係る技術案は、関連技術におけるGNSS信号が影響を受け、且つ前方のレーザ点群データを精確に取得できない場合に可移動機器を精確に測位できないという問題を解決することができ、同時に、可移動機器の上方の点群データを収集するため、使用時に一時的な障害物の影響を受けず、事前に高精度地図を構築する必要もない。
【0046】
以下、一実施例によって、本発明に係る可移動機器の測位方法をどのように実現するかを具体的に説明する。
【0047】
一実施例において、可移動機器(例えば、自動運転車両)がトンネル内を走行し、IMU座標系の原点を移動可能な参照点とし、参照点の真正面及び直後方それぞれ5Mをサンプリング領域とし、
図10aはサンプリング領域の上面図であり、点群の数が少ない点群を点群A(右側の影付きの部分を参照)と記し、点群の数が多い点群を点群B(左側の空白部分を参照)と記す。A、B点群の照合前に、まず、点群AをIMU座標系のZ軸の周りに180度回転させて照合される点群A’(下側の影付きの部分を参照)を形成する必要がある。
【0048】
さらに、
図10bに示すように、事前に設定されたレジストレーションアルゴリズムによって、点群A’と点群Bを照合することにより、変換行列を取得し、変換行列から点群Bに対する点群A’の平行移動ベクトルを抽出し、これにより、可移動機器の横方向位置を決定することができる。具体的には、点群A’と点群Bを照合するときに、反復最接近点ICPアルゴリズム又は正規分布変換NDTアルゴリズムを採用して変換行列を取得することができ、該変換行列は、平行移動ベクトルt(C,m,n)を含み、Cは点群が一致したときにIMU座標系のX軸方向における変位であり、mは点群が一致したときにIMU座標系のY軸方向における変位であり、nは点群が一致したときにIMU座標系のZ軸方向における変位である。この時、幾何学的関係によって、トンネルの中心線からの可移動機器の横方向距離を|C|/2と決定することができる。
【0049】
さらに、点群が一致したときに所定座標系のX軸における平行移動距離|C|に基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、トンネルの第1の頂点を決定し、この時、x=-(|C|/2)、y=0で点P0がちょうと存在すると仮定すると、P0(-(|C|/2),0,z0)をトンネルの第1の頂点と記す。
図11に示すように、IMU座標系における前記トンネルの第1の頂点の座標に基づいて、可移動機器の上方のトンネル頂部での所定領域内のレーザ点群データから、所定範囲(z0-0.2,z0+0.2)内にあるZ軸座標の目標点群Eを選択する。
【0050】
さらに、
図12に示すように、目標点群Eに基づいて、直線方程Lをa(x-x0)+b(y-y0)=0と設定し、a及びbは求解されるパラメータであり、前記直線に対する目標点群Eのすべての点(xi,yi,zi)のコスト関数の
【数2】
を求解し、前記コスト関数に対して最小値を最適化して求解し、コスト関数のコスト値が最小となるときに対応する求解されるパラメータの結果をa0及びb0と決定し、この時、直線Lは、点P0(-(|C|/2),0,z0)を通過し、且つその投影とトンネルの地面の中軸線とは最も近似する1つの直線であるはずであり、同時に、直線Lは平面ベクトル(a0,b0)と垂直であるため、幾何学的関係に従って、トンネルに対する可移動機器のヨー角をα=arctan(b0/a0)と推定可能であり、さらに、トンネル自体のヨー角がα0である場合、グローバル地図における可移動機器のヨー角は(α0+arctan(b0/a0))である。
【0051】
上記の処理により、本願の実施例に係る方法は、横方向における可移動機器とトンネルの地面の中軸線との距離及びヨー角を取得するように、可移動機器がトンネルなどのシナリオで精確に測位するのを効果的に支援することができ、前方の障害物の干渉を回避でき、高精度地図に依存することなく、可移動機器の相対位置を精確に取得することもできる。
【0052】
一実施例において、本願の実施例は、可移動機器の測位装置を含むクラウドサーバをさらに提供しており、該可移動機器の測位装置は、上記の可移動機器の測位方法を実現するために用いられるが、ここでは説明を繰り返さない。
【0053】
一実施例において、本願の実施例はコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供しており、該プログラムがプロセッサにより実行されるときに上記の可移動機器の測位方法を実現するが、ここでは説明を繰り返さない。
【0054】
一実施例において、本願の実施例は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムとを含むコンピュータデバイスをさらに提供しており、プロセッサは、プログラムを実行するときに上記の可移動機器の測位方法を実現するが、ここでは説明を繰り返さない。
【0055】
当業者は、本願の実施例が方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供可能であることを理解すべきである。したがって、本願は、完全なハードウェアの実施例、完全なソフトウェアの実施例、又はソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施例の形態を採用可能である。さらに、本願は、コンピュータで使用可能なプログラムコードを含む1つ又は複数のコンピュータで使用可能な記憶媒体(ディスクメモリ、CD-ROM、光メモリなどを含むがこれらに限定されない)で実施されるコンピュータプログラム製品の形態を採用可能である。
【0056】
本願は、本願の実施例による方法、デバイス(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明される。コンピュータプログラム指令によって、フローチャート及び/又はブロック図の各フロー及び/又はブロック、ならびにフローチャート及び/又はブロック図のフロー及び/又はブロックの組合せを実施できることを理解すべきである。これらのコンピュータプログラム指令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込み処理機、又は他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサに提供し、機器を生成することにより、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサにより実行される指令により、フローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現するための装置を生成することができる。
【0057】
これらのコンピュータプログラム指令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理デバイスを特定の方法で作動するように案内可能なコンピュータ可読メモリに記憶することもでき、これにより、該コンピュータ可読メモリに記憶された指令は、指令装置を含む製造品を生成し、該指令装置は、フローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現する。
【0058】
これらのコンピュータプログラム指令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理デバイスにロードすることもでき、これにより、コンピュータで実現される処理を生成するようにコンピュータ又は他のプログラム可能なデバイスで一連の操作ステップを実行し、よって、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理デバイスで実行される指令は、フローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現するためのステップを提供する。
【0059】
本願では、具体的実施例を使用して本願の原理及び実施形態を説明し、上記の実施例の説明は、本願の方法及び中心思想の理解を助けるためのものに過ぎず、同時に、当業者にとって、本願の思想に基づいて、具体的実施形態及び適用範囲においていずれも変更できる箇所があり、要約すると、本明細書の内容は、本願を限定するものとして理解されるべきではない。
【外国語明細書】