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特開2022-27628遠赤外線線及び特定の低線量の電離放射線を放出するセラミックモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027628
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】遠赤外線線及び特定の低線量の電離放射線を放出するセラミックモジュール
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20220203BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20220203BHJP
   C04B 35/01 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61N5/06 A
A61N5/10 A
C04B35/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123956
(22)【出願日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】16/943,973
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521334631
【氏名又は名称】アルバート チン タン ウェイ
【氏名又は名称原語表記】Albert Chin-Tang Wey
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】アルバート チン タン ウェイ
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA07
4C082AC09
4C082AE01
4C082AV01
4C082PA01
(57)【要約】
【課題】 本発明は、放射線ホルメシス効果に基づく遠赤外線および低線量電離放射線の照射でヒトまたは動物の体を治療するための治療装置に組み込まれるセラミックモジュールに関する。
【解決手段】
本発明は、より具体的には、3~16μmの波長スペクトルの範囲内の遠赤外線と、0.1~11μSv/h(マイクロシーベルト/時)の範囲の特定の線量率で電離放射線とを同時に放出するセラミックモジュールである。該セラミックモジュールは、単独で使用することも、または生理学的性能、免疫能力、健康、およびヒトまたは動物の平均寿命を向上させるための治療装置の構成要素として機能することもできる。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又は動物の体を治療するための治療装置で使用するためのセラミックモジュールにおいて、
該セラミックモジュールは、遠赤外線を放出する粉末物質の第1セットと電離放射線を放出する粉末物質の第2セットとの混合物を含み、
該第1セットの粉末物質と該第2セットの粉末物質との混合物が、900℃以上の温度で焼成された成形体であり、該セラミックモジュールは、3~16μmの波長スペクトルの範囲内の遠赤外線と0.1~11μSv/hの範囲の特定線量率の電離放射線を同時に放出するものであることを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のセラミックモジュールにおいて、該セラミックモジュールの電離放射線の線量率が、0.1~0.5μSv/hの範囲であることを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項3】
請求項1に記載のセラミックモジュールにおいて、前記第1セットの粉末物質は、シリケート、アルミナ、ジルコニア、リン酸塩、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化カルシウム、酸化ニッケル、酸化コバルトからなる群より選ばれる1種またはそれ以上の酸化物を含み、選択された酸化物の少なくとも1つは、少なくとも2重量%であることを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項4】
請求項1に記載のセラミックモジュールにおいて、前記第1セットの粉末物質は、約5~30重量%のトルマリンを含むことを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項5】
請求項1に記載のセラミックモジュールにおいて、前記第2セットの粉末物質が、ウラン、トリウム、カリウム、コバルトまたはラジウムの少なくとも1つの放射性同位体元素を含むことを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項6】
請求項1に記載のセラミックモジュールにおいて、前記第2セットの粉末物質が、ウラン、トリウム、カリウム、コバルトまたはラジウムの放射性同位体元素を含有する少なくとも1つの酸化物を含むことを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項7】
請求項1に記載のセラミックモジュールにおいて、前記第2セットの粉末物質が、ウラン、トリウム、カリウム、コバルトまたはラジウムの放射性同位体元素を含有する少なくとも1つの鉱物を含むことを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項8】
請求項7に記載のセラミックモジュールにおいて、少なくとも1つの鉱物は、トーライト又はウラニナイトであることを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項9】
請求項7に記載のセラミックモジュールにおいて、少なくとも1つの鉱物は、トリウムに富むモナザイトであることを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項10】
請求項9に記載のセラミックモジュールにおいて、前記トリウムに富むモナザイトは、6~12%の酸化トリウムを含むことを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項11】
請求項1に記載のセラミックモジュールにおいて、該セラミックモジュールは、長方形、円形、円筒形、または球形の形状であることを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項12】
請求項1に記載のセラミックモジュールにおいて、該セラミックモジュールは、治療されるボディ部分に取り付けられるように、フレキシブルな基板上に設置されていることを特徴とするセラミックモジュール。
【請求項13】
ヒトまたは動物のボディ部分を治療するための治療装置で使用するためのセラミックモジュールを製造する方法において、
金属酸化物の混合物を含む粉末物質の第1セットの所定量を提供する第1ステップと、
放射性同位体元素を含む粉末物質の第2セットの所定量を提供する第2ステップと、
前記第1および第2ステップの粉末物質を接合剤と混合する第3ステップと、
第3ステップの混合物を900℃以上で焼成して成形体とする第4ステップであり、焼成の結果、該成形体は、3~16μmの波長スペクトルの範囲内の遠赤外線を放出し、かつ0.1~11μSv/hの特定の線量率で電離放射線を放出することができることを特徴とするセラミックモジュールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線ホルメシス効果に基づく遠赤外線および低線量電離放射線の照射でヒトまたは動物の体を治療するための治療装置に組み込むためのセラミックモジュールに関する。より具体的には、本発明は、3~16μmの波長スペクトル内の遠赤外線放射と、0.1~11μSv/h(マイクロシーベルト/時)の範囲の特定の線量率で電離放射線を同時に放出するセラミックモジュールに関する。前記セラミックモジュールは、単独で使用することも、または生理学的性能、免疫能力、健康、およびヒトまたは動物の平均寿命を向上させるための治療装置の構成要素として機能することもできる。
【背景技術】
【0002】
ホルメシスは、任意の薬剤の低線量による任意のシステムの刺激である。放射線ホルメシスは、電離放射線は低レベルの被曝では良性であり、有益である可能性があるという仮説である。これは、電離放射線の健康への悪影響は線量に比例し、「安全な線量」(閾値)がないと仮定する閾値なし直線(LNT)モデルとは対照的である。
【0003】
ほとんどの当局はLNTモデルが最も適切であることに同意しているが、多くの研究が放射線生物学的ホルメシスを提案しており、100mSv/y(ミリシーベルト/年)の放射線レベルが実際に肯定的(positive)であり、または少なくとも健康に対して中立である可能性があることを示唆している。
【0004】
電離放射線の人体への影響は次のように説明できます。電離放射線の最初の作用は、軟組織の分子の総数の約98%を構成する水(HO)で起きる。電離放射線は、H(ヒドロニウムイオン)、H(オキソニウムイオン)、HO(ヒドロキソニウムイオン)、HO(ヒドロキシルラジカル)、HO (ペルヒドロキシルラジカル)、O(酸素ラジカル)、O (スーパーオキシドイオン)、O 2-(ペルオキシドイオン)、O3(オゾニドイオン)、およびHO (ペルヒドロキシドイオン)などのイオン/ラジカルを含むさまざまな酸素種を水から生成する。これらのイオン/ラジカルはそれぞれ、近くの物質を熱心に攻撃して奇妙な化合物や原子フラグメント(フリーラジカル)を作り、DNAとRNAの構造を変化させ、代謝経路を劇的に変化させ、組織細胞を殺す。
【0005】
これは、特に高レベルの曝露で、人々に有害な影響を引き起こす可能性がある。したがって、電離放射線が人体に浸透し、放射線エネルギーが組織に吸収される可能性があることは常識である。電離活動は私たちの体の細胞内の分子を変えることができる。電離放射線への強い曝露は、皮膚または組織の損傷を引き起こす可能性があり、結果として損傷(例えば癌)などを引き起こす可能性がある。
【0006】
それにもかかわらず、科学的研究は、低線量の照射が健康な哺乳類の細胞を殺すには不十分であることを示している。破壊の速度が速すぎない場合、健康な組織の損傷を回避または修復することができ、全体的な反応は「バイオポジティブ(bio-positive)」である可能性がある。主な効果は免疫システムの活性化である。
【0007】
低線量の照射は、いくつかの方法で免疫システムを活性化する:より速い創傷治癒、および毒素、感染症、および腫瘍細胞注射(tumor cell injections)に対する耐性の増加である。たとえば、科学的研究は、リンパ球の生産が低線量の照射によって増加したことを示している。リンパ球の索敵殲滅機能は、放射線感受性Tリプレッサー細胞の破壊によって促進される。これにより、他のT細胞をより効率的にすることができる。
【0008】
他の研究論文でも、免疫システムの多くの重要な成分(酵素と代謝物)の細胞濃度が、宿主(host)への低線量照射によって増加することが示されている。細胞機能と酵素特性の変化は、放射線ホルメシスの論文をサポートしている。明らかに、免疫能力の増加は、軽く照射された実験動物と人間の平均寿命の増加に寄与している。
【0009】
非照射対照と比較した場合、低線量照射に曝露されたグループ(cohorts)は、統計的に有意な生理学的機能の増加を示している。低線量照射は、損傷制御と健康の改善と一致する多くの生理学的パラメータを刺激する。たとえば、胴体への低線量照射は、悪性リンパ腫の最も効果的な治療法であり、癌による死亡率の低下をもたらした。実験データは、動物実験の40%で、低線量照射後の自然発生がんの発生率が減少していることを示している。
【0010】
放射線ホルメシス理論は、有益な線量反応効果が、バックグラウンド放射線量率(1mSv/y)と安全最大線量限界(100mSv/y)によって境界が示される低線量レベルの範囲に存在する可能性があることを示唆している。任意の所定の量では、電離放射線に対する生理学的反応は線量の対数に正比例する。これは、1~100mSv/yの範囲の照射線量率で有益な反応を操作および実現できることを意味するが、そのような放射線源が存在する場合に限られる。
【0011】
本発明者はさらに、最適な生物学的効果のための安全な線量を提示する、1~20mSv/yの曝露レベルでの細分化を特定している。最適性能な線量率は、0.1~2.3μSv/h(1年間=8,760時間)に相当する。
【0012】
本発明者はまた、部分的な身体照射しかない場合、照射に対する各臓器の感受性はそれらの組織タイプに依存するので、実効線量の計算は受けた個々の臓器線量を考慮に入れなければならないことを研究した。組織重み係数は、これらの個々の臓器線量の寄与を計算するために使用される。たとえば、結腸、肺、乳房、および胃の組織重み係数(W)は0.12であるが、膀胱、肝臓、甲状腺、および食道のWは0.04である。皮膚と脳のWは0.01と最も低く、体の残りの部分は0.12である。関係する臓器のみからのこの積算線量は、全身の実効線量を示す。
【0013】
この研究に基づいて、本発明者は、1~100mSv/yの線量率の理論的範囲を部分に分割し、放射線源をモジュールに分割する必要性を認識した。1~4mSv/y(または約0.1~0.5μSv/h)の線量率を持つ個別の放射線モジュールが望まれる。したがって、多くのそのようなモジュールが、実際の用途のために、自由に任意の所定の実効線量を放出するために、治療装置に組み込まれる。
【0014】
放射線ホルメシス理論の研究中に、本発明者らは、低線量電離放射線と遠赤外線(FIR)放射線の同時補給が、より豊かな健康のために強い相互作用効果を有する可能性があることを発見した。このような放射線補給は、例として、アデノシン三リン酸(ATP)の加水分解に現れる可能性がある。
【0015】
加水分解は、水分子(HO)が1つまたは複数の化学結合を切断する化学反応である。生物学的加水分解は、生体分子(体内のタンパク質、脂肪、油、炭水化物、多糖類など)の切断であり、水分子が消費されて、より大きな分子が構成要素に分離される。水分子への電離照射は、水から様々な酸素のイオン/ラジカルを生成します。これにより、水の加水分解プロセスの効率が大幅に向上する可能性がある。
【0016】
ATPは細胞内でエネルギーを運ぶ分子である。すべての生細胞は、2つの主な目的のために継続的なエネルギーの供給を必要とする。それは、微小分子と高分子の生合成、および細胞膜を通過するイオンと分子の能動輸送である。人体では、栄養素の酸化に由来するエネルギーは直接使用されないが、それは特別なエネルギー貯蔵分子であるATPに送られる。
【0017】
ATPは加水分解される際に、エネルギーを放出する。ATPは次の2つの過程を経て加水分解を行う。
ATP+HO→ADP+Pi
ATP+HO→AMP+PPi
ここで、ADP=アデノシン二リン酸、AMP=アデノシン一リン酸、Pi=リン酸塩、PPi=ピロリン酸塩である。
【0018】
ATPのADPと無機リン酸塩(Pi)への加水分解により、30.5kJ/molのエンタルピーが放出され、3.4kJ/molの自由エネルギーに変化する。
【0019】
上記の反応におけるATPの赤外線吸収帯は、9.75~11.48μmでのP-O-P結合伸張(bond stretch)、および8.33~9.09μmでのP=O結合伸張である。FIR光子の吸収は、反応プロセスに約11~15kJ/molを与えている可能性があり、これは重要である。
【0020】
FIR放射線と低線量電離放射線の複合効果の下で、ATPの加水分解は、筋収縮、神経インパルス伝播、化学合成など、生細胞の多くのプロセスを駆動するエネルギーを効果的に提供できる。ATPに由来するエネルギーが増加すると、細胞はより効率的に動作し、自身を活性化し、損傷を修復することができる。
【0021】
ATPは、RNAの合成に必要な4つの「モノマー」の1つである。このプロセスは、RNAポリメラーゼによって促進される。ATPが最初にdATP(デオキシリボヌクレオチド)に変換されることを除いて、同様のプロセスがDNAの形成で発生する。DNA複製とDNA転写もATPを消費する。
【0022】
体に十分なATPがあると、臓器システム間で効果的に情報伝達し、DNAとRNAを合成し、化学物質を細胞に出し入れし、必須タンパク質を生成することが、細胞や生物の生存に必要な他の多くの重要なプロセスと共に可能となる。これは最終的に免疫システムを活性化して、低線量の電離放射線によって引き起こされるDNAとRNAの損傷を相殺するのに役立つ。
【0023】
ATPは、細胞内の必須のエネルギー源であることに加えて、細胞通信のシグナル伝達経路を使用して、細胞間で重要なメッセージを伝達する。たとえば、細胞には、成長、代謝、特定のタイプへの分化、さらには死ぬための信号が与えられる場合がある。ATPシグナル伝達は、血小板を活性化して血餅を形成し、新しい創傷からの出血を止めるなど、保護および治癒反応をもたらす可能性がある。同様に有望な治療分野は消化器系である。腸神経系から腸壁に送られるATPは、P2XおよびP2Y受容体に作用して、食物を管内で移動させる律動的な収縮を制御する。したがって、低線量の電離放射線を伴うFIRは、過敏性腸症候群(IBS)およびそのより重篤な形態であるクローン病に対する潜在的な治療法として使用される可能性がある。
【0024】
ATPはまた、体の自然な癌と戦う道具の1つであるかもしれない。ATPシグナル伝達は、一部は腫瘍細胞のアポトーシスを促進し、一部は細胞分化を促進するように作用し、腫瘍細胞の増殖を遅らせる。実験室での研究により、ATPは前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、卵巣癌、食道癌、黒色腫細胞などの腫瘍の増殖を阻害できることが示されている。
【0025】
上に開示したように、FIR放射線と低線量電離放射線への同時曝露は、水の加水分解効率を改善し、ATP分子の生化学的挙動を変化させ、人間の健康を改善する珍しい機会を提供する可能性がある。この新しい発見は、本発明で提案されているように、遠赤外線放射と低線量電離放射線を同時に放出することができる信頼性が高く持続性のある放射線源の必要性を促している。
【0026】
要約すると、本発明者は、3~16μmの波長スペクトル内の遠赤外線放射線と0.1~11μSv/h内の特定の線量率での電離放射線を同時に放出することができるセラミックモジュールを有することが望ましいことを見出した。前記セラミックモジュールは、単独で、または11μSv/hを超えない最大レベルの電離放射線を放出する治療装置への組み立てのために使用することができる。0.1~11μSv/h(または1~100mSv/y)の特定の線量率での電離放射線は、本発明の基本的な特徴である。
【0027】
先行技術は、いわゆる「負イオン」を生成するために放射性希土類鉱物鉱石粉末と共に遠赤外線放射セラミック粉末を使用する、改善された燃料燃焼効率のためのいくつかの発明を含む(例えば、米国特許第6,200,537号、第7,406,956号、第8,104,455号、および第8,176,899号)。これらの発明はすべて、電離放射線の線量率が明記されておらず、装置が治療のために身体と密接に接触したときに、提案された治療用途において放射線過剰摂取の潜在的リスクをもたらす可能性がある。
【0028】
たとえば、藤井(米国特許第7,406,956号)は15gのラジウムを使用しており、これは線量率で最大260mSv/yの照射となり、年間の安全線量である100mSv/yをはるかに上回っている。Lee(米国特許第8,176,899)は、高放射性リン酸トリウム(ThPO)を含むモナザイトグループの(Ce、Th、U)POを含む鉱石を使用している。ただし、モナザイトのトリウム含有量は、鉱物ごと、および鉱床ごとにかなり異なる。特定のカーボナタイトからのモナザイトは本質的にトリウムを含まないが、他のいくつかのモナザイトではトリウム含有量が変動する可能性があり、場合によっては最大20~30%になる可能性がある。線量率は、1Sv/yを超える危険な高レベルに達する可能性がある。
【0029】
治療装置に関する先行技術において、いくつかの発明は、「希土類元素」または「自然放射能を有する鉱石の粉末」とともにFIR放出セラミック粉末の使用を含む(例えば、米国特許第6,402,991号、第6,890,457号、第7,395,554号、第7,637,858号、第7,976,934号、および米国特許出願公開2012/0175526号)。これらの特許で使用されている放射性物質は、主にモナザイトとラジウムである。繰り返しになるが、これらの発明は、説明の中で放射線量率が明記されておらず、ホルメシス効果に不適切な線量レベルで照射する可能性が最も高い。さらに、これらの発明はすべて、粉末形態の物質を使用しており、これは、本発明によって提案されるセラミックモジュールのような成形品を形成するため粉末混合物の焼成(か焼)の要件と矛盾している。成形品は、治療の必要性に応じて、自由に特定の放射線量率で身体を照射する可能性のある治療装置に組み込まれる。
【0030】
上記の議論に基づいて、本発明者らは、3~16μmの波長スペクトル内の遠赤外線と0.1~11μSv/hの特定の線量率で電離放射線とを同時に放出するセラミックモジュールを使用する新しいアプローチを発見した。前記セラミックモジュールは、単独で、または生理学的性能、免疫能力、健康、およびヒトまたは動物の平均寿命を増加させるための治療装置へ組み込んで使用することができる。
【0031】
先行技術は、有益な放射線ホルメシス効果のために、0.1~11μSv/h以内の特定の線量率での電離放射線の適用は開示できていない。さらに、先行技術では放射性物質を使用しているが、その放射線量率を明示していない。この先行技術では、利用者は11μSv/hを超える電離放射線に過度に被曝するリスクがあり、有害で危険である。特に先行技術の装置に直接接触することを避けるために、それらの開示に従う者は適切な予防措置を講じるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】米国特許第6,200,537号公報
【特許文献2】米国特許第7,406,956号公報
【特許文献3】米国特許第8,104,455号公報
【特許文献4】米国特許第8,176,899号公報
【特許文献5】米国特許第6,402,991号公報
【特許文献6】米国特許第6,890,457号公報
【特許文献7】米国特許第7,395,554号公報
【特許文献8】米国特許第7,637,858号公報
【特許文献9】米国特許第7,976,934号公報
【特許文献10】米国特許出願公開第2012/0175526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
したがって、本発明の目的の一つは3~16μmの波長スペクトルの遠赤外線と、0.1~11μSv/hの特定の線量率の電離放射線を同時に放出するセラミックモジュールを提供することである。
【0034】
本発明の他の目的は、ヒトまたは動物の体の健康状態を有効に改善する、ホルメシス論に基づく治療装置内に組み込まれるセラミックモジュールを提供することである。
【0035】
更に、本発明の他の目的は、処置を必要とするヒトまたは動物の任意の部分に柔軟に取り付けられ、簡便で、使用し易く、さらにはメインテナンスが不要である、治療装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上記目的は、3~16μmの波長スペクトルの遠赤外線と、11μSv/hより少ない特定の線量率の電離放射線を同時に放出するセラミックモジュールにより達成することができる。当該セラミックモジュールは、主として、3~16μmの波長スペクトルの少なくとも一部をカバーする特定スペクトル輝度を備えた、選定されたFIR放射性酸化物の粉末と、0.1~11μSv/hの線量率で電離放射線を放出する放射性酸化物の粉末との混合物から調製されるセラミック成形品を含む。また、本発明のセラミックモジュールは、柔軟なアタッチメント手段で固定され、処置が必要とされるボディ部分に近接して配置されることが可能である。
【0037】
本発明の他の目的や特徴や優位性などは、後述の記載から当業者により明確なものとなる。
【0038】
(本発明の概要)
本発明においては、セラミックモジュールは、主として、選定されたFIR放射性酸化物の粉末と、少なくとも放射性元素又は電離放射線を放射するような放射性元素を含む酸化物の粉末との混合物を含み、前記混合物は、接合剤とともに900℃以上の温度で焼成(calcine,か焼)されて、3~16μmの波長スペクトルの範囲内の遠赤外線と、0.1~11μSv/hの特定の線量率で電離放射線を同時に放出するセラミック成形品とし、放射線ホルメシス効果に基づき、ヒト又は動物の体の健康状態を改善する有効な手段を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1の実施例の斜視図であり、球状のセラミックモジュールを示す。
図2】本発明の第2の実施例の斜視図であり、円形のセラミックモジュールを示す。
図3】本発明の第3の実施例の斜視図であり、長方形のセラミックモジュールを示す。
図4】本発明の第4の実施例の斜視図であり、円筒状の一部分の形状を備えたセラミックモジュールを示す。
図5】本発明の第5の実施例の上面斜視図であり、処置されるボディ部分に取り付けるためのフレキシブルな基板上に、多数のセラミックモジュールが搭載されていることを示し、各セラミックモジュールは、ボディに面して凹状の面を有している。
図6図5の実施例の底面斜視図であり、凹状のセラミックモジュールを入れるポケットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は治療装置(治療用機器)であり、本発明のセラミックモジュールを1又はそれ以上備えており、当該治療装置は、3~16μmの波長スペクトルの範囲内の遠赤外線と、0.1~11μSv/hの特定の線量率で電離放射線とを同時に放出するものであって、前記各セラミックモジュールは、遠赤外線を放出する1セットの粉末と、低線量の電離放射線を放出する少なくとも1セットの粉末との混合物から成る。当該粉末の混合物は、接合剤及び安定化剤とともに900℃以上の温度で焼成されて、成形品に製造される。実用的には、上記各セラミックモジュールは、0.1~0.5μSv/hの線量で電離放射線を放出するように設計され、その結果、多数のセラミックモジュールの組み合わせで、有効なホルメシス効果を得るために0.1~11μSv/hの範囲内での細かいスケールで、任意の特定線量率の電離放射線を提供することが可能となる。
【0041】
FIR放射線を放射する粉末の第1のセットは、3~16μmの波長スペクトルの少なくとも一部をカバーする特定スペクトル輝度を有する酸化物であって、シリケート、アルミナ、ジルコニア、リン酸塩、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化カルシウム、酸化ニッケル、酸化コバルトからなる群より選ばれる1種またはそれ以上の酸化物を含むことができる。「特定スペクトル輝度」とは、セラミック工業の分野における技術用語である。当該語句は、FIR放射性セラミックにより放射される光子であり、全エネルギーの90%が放出される光子の波長幅を意味するものである。
【0042】
電離放射線を放射する粉末の第2のセットは、1又はそれ以上の放射性同位体元素、又はかかる同位体を含む酸化物、特に、ウラン、トリウム、カリウム、コバルト及びラジウムの少なくとも1つを含む酸化物を含有する。かかる粉末は、合成希土類元素酸化物又は、かかる放射性同位体元素を含む天然鉱物を処理して得る。
【0043】
本発明は、天然の鉱物中の「希土類元素」の含量に関係しているよりは、むしろ鉱物中に含まれる天然に発生する放射性同位体の含量に関係していることが価値あることとして指摘する。更に、従来開示されている、鉱物からの「負イオン」又は「マイナスイオン」の放射線は、放射線ホルメシス理論とは関係がない。代わりに、0.1~11μSv/h内の特定の線量率で、鉱物から「電離放射線」を放射する治療装置の能力は、本発明の本質的な事項である。
【0044】
例えば、「モナザイト」とラベルされる群には、実際には3つの異なる鉱物が含まれ、それは「MONAZITE-(La)」、「MONAZITE-(Nd)」及び「MONAZITE-(Ce)」である。すべての3種の鉱物には、様々なパーセントの希土類元素(La,Nd,Ce)が鉱物中に含まれることができ、MONAZITE-(La)、MONAZITE-(Nd)は、トリウムが含まれず、一方、MONAZITE-(Ce)はトリウム含量が様々であり、20-30%にまでなることもある。ウランは、いくつかの試料においては微量元素であって、かかる試料をかろうじて放射性とするものである。すべての3種のモナザイト鉱物は、従来技術が示すように、「負イオン」(または「マイナスイオン」)を放射することができ、6-12%のトリウム含量のMONAZITE-(Ce)だけが、本発明において利用するのに適切であって、必要とされる線量の電離放射線を提供できる。
【0045】
放射性粉末は、公知の放射線特性を有する、これらの酸化物又は鉱物からのみ調製されることが極めて重要である。全体の混合物中で使用される、放射性を構成する物質の重量%と得られるセラミック製品の放射線線量率との間の相関関係を確立した技術に相当する。これは、理論的というよりも実験により検証されたものである。これにより、あらかじめ決定した任意の線量率で電離放射線を放射するセラミックモジュールが、放射性物質の関連する重量%を用いることにより製造することが可能となる。
【0046】
接合剤、触媒及び安定剤とともに、当該混合物は、ハードプレスされ、次いで、900℃以上の温度の焼成工程を経て成形品が製造される。かかる工程の間、焼成温度が、得られるセラミックモジュールからの遠赤外線及び電離放射線の双方の強度及び安定性に重要な役割を果たしている。
【0047】
焼成工程には、鉱石、含水鉱物、揮発性物質の分解や、相変態を奏する熱処理及び、イオンの除去が含まれる。焼成反応は、通常、熱分解温度(分解及び揮発(蒸発)反応に関与)または転移反応温度(相変態に関与)で、又はそれ以上で実施される。かかる温度は、通常、特定の焼成反応に関する標準ギブス自由エネルギーが0になる温度として規定される。
【0048】
焼成が進むにつれて、原材料間の初期の鉱物学的差異は、温度が700~1200℃に上がることに伴い、セラミックの組織や鉱物の変化に影響を及ぼす。鉱物学的変化や組織的変化は、小規模で高温な変成過程に似ている、系内の局所的に著しい非平衡を考慮することで説明ができる。
【0049】
赤外線スペクトル及びスペクトル強度は、混合酸化物、焼成温度、得られるセラミック混合体(コンポジット)の多結晶構造等のいくつかの要素に依存する。該コンポジットは、結晶質域と非結晶質域との混合物である。各結晶質域は、選択規則(ラポルテルール)に基づき、双極子モーメント及び許容される分光学的遷移のような、分子不斉による電気双極子モーメントを有する双極子として機能し、これはこの系の化学特性を決定する。
【0050】
本発明のセラミックモジュールにおいては、熱伝導は、微細な運動と位置の粒子エネルギーの放散交換を通した温度勾配(すなわち、周囲の熱放射の吸収によって生じる温度の差異)により起こって、電磁放射を発する双極振動となる。光子は、双極子ポテンシャル「ΔUdipole=hγ」の変化に依存する振動数γで放出される。式中、hはプランク定数を示す。該式は、更に、E(eV)=1.2398/λ(μm)(式中、λ(μm)は、FIR光子の波長を示す)と、簡易に示されることができる。
【0051】
粉末混合物をハードプレスした後の制御された焼成工程は、粒子をまとめることにつながる。結晶系の圧縮率を高め、密度を高め、表面積を減らし、更に該系の自由エネルギーを減少させる。更に、細孔を除去することにより粒子間の接触面積を増加させ、結晶粒界でのイオン拡散及び分散を促進する。例えば、Al3+、Ca2+、K、Fe2+,Mg2+、O2-及びHのようなイオンは、結晶系内で自由に移動し、再結晶及び方向性のある結晶粒の成長を実現して、結晶構造に相変態をもたらす。
【0052】
一例においては、ジルコニア(ZrO)は、1170℃で焼成することによる単斜晶から正方晶への相変態で安定化する。また、トルマリンは、950℃以上の温度で、相変態を経て焦電性を失う可能性がある。
【0053】
1100℃を超える温度での制御された焼成は、個々の双極子を整列させて、該系のコヒーレントな双極子モーメントをもたらす。これは、ミクロ状態の集合体の統計学的分布の点から、準静的断熱作用の微小な増加分として想定することができる。
【0054】
更に、MONAZITE-(Ce)系を例にして用いた場合、Ce,La及びNd酸化物の結晶構造は、1100℃を超える焼成温度の上昇にともない、単斜晶系から立方晶系に変遷する。焼成温度は、電離放射線に関し、セラミックモジュールの安定性と放射活性に大きな影響を与える。
【0055】
そうはいっても、900℃以上の焼成温度は、粉末の混合物を、遠赤外線と電離放射線とを同時に放出することができる、本発明の成形されたセラミックモジュールに変えることができる。特定の線量率での電離放射及び所望の波長域のFIR放射のための信頼性が高く持続的な放射線源を得るためには、1100℃を超える焼成温度であることが望ましい。
【0056】
図1~3は、さまざまな形状の本発明の3つの異なる実施形態を示すものであり、図1においては、セラミックモジュール11は球状であり、図2においては、セラミックモジュール11は円形板状(円柱状)であり、図3においては、セラミックモジュール11は、長方形板状(直方体状)である。
【0057】
本発明のセラミックモジュール11は、用途に応じて、さまざまな形状及びサイズに調製することができる。少なくとも1つの例としては、IR発生素子は円状に形成されることができ、厚みが1~10mmで直径が2~50mmの円形とすることができる。他の例としては、IR発生素子は長方形状で、厚みが1~10mmで、2×3mmの長方形~40×50mmの長方形の大きさいのものとすることができる。長方形状又は円形状のセラミックは、通常、他の形状のものよりも製作が容易である。
【0058】
それにもかかわらず、セラミックモジュール11を凹状に形成することが有効である。各セラミックモジュール11は、FIR放射線及び電離放射線を全方向に放射する点で有利である。凹状面は、治療装置の表面から少し離れた区域又はポイントに、当該セラミックモジュールにより発せられた放射線を集束させることが期待できる。平坦な表面を有するセラミックからの集束されていない放射線よりも、当該集束した放射線は、より少ない減衰で身体に浸透するため、これにより、同様の質量及び大きさの平坦なセラミックと比べて治療効果を増大させることを提供できる。凹状面は、さまざまな形状を有することができ、例えば、半球状、ボウル状又は部分的な円筒状である。図4は、本発明の一実施例を示すものであり、セラミックモジュール11は、円筒状の一部分の形状を有する。
【0059】
図5は、本発明の好適な例を示すものであり、多数のセラミックモジュール11が、基板21内に組み込まれており、当該基板は、シリコーン(ポリジメチルシロキサン)、硫化亜鉛、塩化ナトリウム、臭化カリウム又は類似の物質から構成される。基板21は、ほぼ平坦なシートであり、複数のポケット22を備えている。該ポケットは、セラミックモジュール11が装填されるような寸法の湾曲した突起状のものである。図6は、基板21の底面を示したものであり、処置されるボディ部分から外側方向に向いている。かかる例においては、すべてのポケット22は同じ寸法を有しており、これはすべてのセラミックモジュール11が同じ寸法を有しているからである。一方、他の例においては、ポケット22は、様々なセラミックモジュール11の特定の用途または配置に合うように、異なる寸法または形状を有することもできる。
【0060】
更に、図5のセラミックモジュール11は、部分的な円筒状形状を有している。当該部分的円筒形状のセラミックモジュールは、処置されるボディ部分に、凹面が向くように配置される。かかる配置は、当該装置の表面の上約1インチのところでFIR放射線の焦点を合わせることができようになる。当該装置を使用する間、体の周囲に密接して覆われている場合には、当該放射線は体組織中の約1インチの深さで焦点があうようになっており、したがって体内での放射線効果をかなり高めることできる。
【0061】
これまで記載した本発明の例は、パッシブな装置である。セラミックモジュール11は、周囲の放射線熱を吸収し、該熱をFIR光子に変換している。周囲温度が絶対0℃(すなわち、0K(ケルビン)又は-273℃)よりも高い場合は、セラミックモジュール11からのFIR放射線はいつまでも持続することができる。明らかに、体熱は、セラミックモジュール11が遠赤外線を発するための自然の熱源である。
【0062】
一方、セラミックモジュール11からの電離放射線は、かなり長時間続行する。これは、必然的に、自然に発生するかなり長寿命の放射性同位元素から生成されるからである。同位元素の放射活性は、半減期に強く依存する。例えば、ウラン-239は、45億年の半減期を有し、更にトリウム-232は140億位年の半減期を有し、地球が存続する限り存続する。
【0063】
本発明のセラミックモジュールは、次の工程により製造することができる。まず最初に、次の酸化物、24重量%のSiO,16重量%のAl、15重量%のFe,13重量%のZrO、4重量%のCoO,3重量%のBaO,3重量%のKO,3重量%のCr、0.5重量%のMgO、0.5重量%のNaO,15重量%のトルマリン、2重量%のトーライト、及び他の少量の酸化物を含む酸化物粉末の混合物を調製する。当該混合粉末を、接合剤、触媒及び安定化剤とともに、所望する形状にプレス成形して、炉内で1200℃の温度で焼成する。これにより、いくつかのサンプルを、コンセプトを説明する研究室実験や臨床試験のために調製することができる。
【0064】
実験においては、セラミックモジュールは、長さ12mm、I.D(内径)15mm、かつO.D(外形)30mmの円筒管状のものを周囲1/3にカットした形状に形成する。セラミックモジュールの特定スペクトル輝度は、3~16μm波長スペクトルをカバーしていることが測定され、一方、電離放射線量は、0.15~0.25μSv/h(マイクロシーベルト/時)が検出された。
【0065】
すべての実験サンプルは、図5に示すような配列のフォーメーションに設置され、ポリスルフィドゴムモールド化合物(polysulfide rubber mold compound)で固定される。凹形状側は処置される体に向く方向で設置される。体内への浸透深さは約1インチであることが予想される。体に吸収されるFIR光子及び電離放射線は、血流により体内に運搬されて、放射線ホルメシスに基づき、良好な健康的効果があると考えられる。
【0066】
対照のものと比較して、創傷治癒、以前に損傷を受けた細胞の修復及び成長、及び、幹細胞の増殖について、本発明の装置により有効な結果が、実験室レベルの動物実験及び臨床試験で得られた。
【0067】
(結論、派生物及び範囲)
本発明により、放射線ホルメシス論に基づき、ヒト又は動物の体(ボディ)を処置するためのセラミックモジュールは、同時に3~16μm波長スペクトルの範囲内の遠赤外線と、0.1~11μSv/h(マイクロシーベルト/時)の特定の線量率の電離放射線を同時に放出することが可能である。当該セラミックモジュールは、単独で使用することもできるし、生理学的性能、免疫能力、健康、及び、ヒトまたは動物の平均寿命を増大するための治療装置の構成要素として機能することも可能である。
【0068】
本発明の例は上記したとおりであるが、上記例に限らず、上記例の本発明を改良したり変化させたりする多くの例も、上記記載に照らして可能であることは明らかである。かかる改良は、本発明の範囲及び思想から離れて適用されるものではなく、すべての改良は、当業者からみれば、本発明の請求項に記載の範囲内に含まれるものであることは明らかである。
【符号の説明】
【0069】
11 セラミックモジュール
21 基板
22 ポケット(窪み)

図1
図2
図3
図4
図5
図6