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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027645
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】繊維機械の動作方法及び繊維機械
(51)【国際特許分類】
   D01H 11/00 20060101AFI20220203BHJP
   D01H 4/24 20060101ALI20220203BHJP
   D01H 13/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
D01H11/00 B
D01H4/24
D01H11/00 Z
D01H11/00 C
D01H13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021124576
(22)【出願日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】10 2020 012 312.8
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】512013754
【氏名又は名称】マスチネンファブリック ライター アーゲー
【氏名又は名称原語表記】MASCHINENFABRIK RIETER AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstr. 20, 8406 Winterthur Swizerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ベルント バールマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス-ジョージ マイアー
(72)【発明者】
【氏名】アダルベルト シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】マリオ マレック
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト ワイドナー
(72)【発明者】
【氏名】フランツ ヒュティンガ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ウェイドナー-ボーネンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ケトナー
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA15
4L056BG04
4L056BG16
4L056BG29
4L056BG32
4L056BG43
4L056BG45
4L056DB08
4L056EA18
4L056EB17
4L056FC06
(57)【要約】
【課題】繊維機械、特に紡糸機又は巻取機の動作方法を提供する。
【解決手段】繊維機械1は、互いに隣接して配置された複数の同一のワークステーション2と、ワークステーション2に沿って延在し、真空源4に接続され、繊維機械1の通常動作中に作業気流が加えられた少なくとも1つの排気ダクト3と含み、清掃気流5は、排気ダクト3に短時間に加えられる。少なくとも1つのワークステーション2でそれぞれ1つの遮断要素6を開くことで清掃気流5を生成することにより、個々のワークステーション2の真空を消費する作業装置7及び/又はメンテナンス装置8を排気ダクトから遮断することができ、及び/又は複数のワークステーション2のロータのカバー要素27及び/又はコーミングローラハウジング25を開いて清掃気流5を増加させる。対応する繊維機械は、上記方法を実施するために実装される制御部を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維機械(1)、特に紡糸機又は巻取機の動作方法であって、
前記繊維機械(1)は、
互いに隣接して配置された複数の同一のワークステーション(2)と、
前記ワークステーション(2)に沿って延在し、真空源(4)に接続され、かつ前記繊維機械(1)の通常動作中に作業気流が加えられる少なくとも1つの排気ダクト(3)と、含み、
清掃気流(5)は、前記方法に従って前記排気ダクト(3)に短時間加えられ、
複数の前記ワークステーション(2)のうちの少なくとも1つの前記ワークステーション(2)でそれぞれ1つの遮断要素(6)を開くことで前記清掃気流(5)を生成し、それによって個々の前記ワークステーション(2)の真空を消費する作業装置(7)及び/又はメンテナンス装置(8)を、前記排気ダクトから遮断し、及び/又は
複数の前記ワークステーション(2)のロータのカバー要素(27)及び/又はコーミングローラハウジング(25)を開いて清掃気流(5)を増加させる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記遮断要素(6)及び/又は前記カバー要素(27)が開かれた複数の前記ワークステーション(2)は、前記真空源(4)とは反対側に向かって前記繊維機械(1)の第1の端部(9)に存在することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維機械(1)は、ロータ紡糸機として実装され、前記各ワークステーション(2)は、ロータ紡糸装置(11)を含み、複数の前記ワークステーション(2)における前記ロータ紡糸装置(11)の遮断要素(6)及び/又はカバー要素(27)を開くことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記作業気流に対して前記清掃気流(5)を増加させることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記各ワークステーション(2)は、吸引ノズル(12)及び/又は糸収容ノズル(13)を含み、ワークステーション前記吸引ノズル(12)及び/又は前記糸収容ノズル(13)の前記遮断要素(6)を複数の前記ワークステーション(2)で開くことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維機械(1)を起動した後、かつ前記繊維機械(1)の通常動作を開始する前に、前記遮断要素(6)及び/又は前記カバー要素(27)を開くことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記真空源(4)のファンを起動し、起動後に前記遮断要素(6)及び/又は前記カバー要素(27)を急激に開くことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記遮断要素(6)及び/又は前記カバー要素(27)を繰り返し周期的に開閉することにより、前記排気ダクト(3)内の前記清掃気流(5)を振動させることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
さらに少なくとも1つの異物ベルト吸引装置(15)を開いて清掃気流を生成することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
繊維機械(1)、特に紡糸機又は巻取機であって、互いに隣接して配置された複数の同一のワークステーション(2)と、前記ワークステーション(2)に沿って延在し、真空源(4)に接続され、かつ前記繊維機械(1)の通常動作中に作業気流が加えられた少なくとも1つの排気ダクト(3)と、制御部(16)と、を含み、前記制御部(16)は、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実行するために実装されることを特徴とする繊維機械(1)。
【請求項11】
前記繊維機械(1)は、ロータ紡糸機として実装され、前記各ワークステーション(2)は、前記排気ダクト(3)に接続され、遮断要素(6)によって前記排気ダクト(3)から遮断できるロータ紡糸装置(11)を含むことを特徴とする請求項10に記載の繊維機械(1)。
【請求項12】
前記各ワークステーション(2)は、前記遮断要素(6)によって前記排気ダクト(3)から遮断できる吸引ノズル(12)及び/又は糸収容ノズル(13)を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の繊維機械(1)。
【請求項13】
前記真空源(4)は、前記繊維機械(1)の第2の端部(17)に配置されることを特徴とする請求項10~12のいずれか一項に記載の繊維機械(1)。
【請求項14】
前記繊維機械(1)は、好ましくは前記繊維機械(1)の第1の端部(9)に配置された少なくとも1つの異物ベルト吸引装置(15)を含むことを特徴とする請求項10~13のいずれか一項に記載の繊維機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械、特に紡糸機又は巻取機の動作方法に関し、この繊維機械は、互いに隣接して配置された複数の同一のワークステーションと、上記ワークステーションに沿って延在し、真空源に接続され、かつ上記繊維機械の通常動作中に作業気流が加えられる少なくとも1つの排気ダクトと、含み、清掃気流は、上記排気ダクトに短時間加えられる。
【背景技術】
【0002】
紡糸機又は巻取機などの繊維機械では、製造された糸又は巻き取るための糸を切断しなければならないことがよくある。例えば、糸切れ又はクリアラーによる切断後の糸継ぎの場合などである。また、空のスリーブで開始した際にも糸屑が発生することが多い。切断された糸片は、典型的には、繊維機械の排気システムにより抽出して廃棄する必要がある。紡糸機の紡糸装置でも、繊維材料が廃棄物として繰り返し生成される。また、上記繊維材料は繊維機械の排気システムによって抽出され、廃棄システムに送られる。繊維機械の動作中に、望ましくないフライ及び排気ダクト内での繊維や糸材の堆積が発生することがあり、排気ダクトの清掃が必要となる。
【0003】
紡績機の排気システムの動作方法及び装置が、DE4240233A1から知られている。この排気システムは、複数の排気点に対応し、かつ吸引装置に接続された少なくとも1つの排気ダクトを含む。この排気ダクトを清掃するためには、大きな吸引断面を開くことで、間隔をおいて短時間、強い気流を排気システムに当てる。そのため、この排気ダクトは、ルーバー又はスライドにより閉じることのできる大断面の追加の開口部を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第4240233号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来の技術から知られている方法を簡略化することにある。また、これに対応して簡素化された繊維機械も提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立請求項の特徴を有する方法及び繊維機械によって達成される。
【0007】
本発明は、繊維機械、特に紡糸機又は巻取機の動作方法を提案し、この繊維機械は、互いに隣接して配置された複数の同一のワークステーションと、上記ワークステーションに沿って延在し、真空源に接続され、かつ上記繊維機械の通常動作中に作業気流が加えられる少なくとも1つの排気ダクトと、含む。この方法によれば、清掃気流は排気ダクトに短時間加えられる。
【0008】
複数のワークステーションのうちの少なくとも1つのワークステーションでそれぞれ1つの遮断要素を開くことで清掃気流を生成し、それによって個々のワークステーションの真空を消費する作業装置及び/又はメンテナンス装置を、排気ダクトから遮断することができることが提案される。追加的又は代替的に、複数のワークステーションのロータのカバー要素及び/又はコーミングローラハウジングを開いて清掃気流を増加させることが提案される。これにより、複数のワークステーションで大きな吸引開口を開き、それに対応して体積流量が大きい清掃気流を提供することができる。この方法は、紡糸装置又はロータ及び/又はコーミングローラハウジングが遮断要素により真空から遮断することができず、そのため連続して真空下にある場合に、特に有利である。これにより、清掃気流は、繊維機械の従前から存在する構成要素のみで生成することができる。これにより、繊維機械は、設計がより簡単になり、安価な構造となる。これにより、排気ダクトのための追加の清掃装置が不要となる。また、排気ダクトだけでなく、排気ダクトと作業装置及び/又はメンテナンス装置との間の接続ダクトを清掃することもできれば、さらに有利である。最終的には、遮断要素が開かれた作業装置及び/又はメンテナンス装置の数量、任意選択的に種類によって清掃効果に影響を与え得ることも有利である。
【0009】
さらに、繊維機械、特に紡糸機又は巻取機は、互いに隣接して配置された複数の同一のワークステーションと、ワークステーションに沿って延在し、真空源に接続され、かつ繊維機械の通常動作中に作業気流が加えられる少なくとも1つの排気ダクトと、を含む。繊維機械は、この方法を実行するために実装された制御部をさらに含む。
【0010】
このためには、複数のワークステーションの遮断要素を同時に開いて清掃気流を生成することが好ましい。しかしながら、最終的に所望の数量の遮断要素を開くまで、遮断要素及び/又はカバー要素を互いに順次、すなわち短い時間間隔で開くことも考えられる。
【0011】
遮断要素及び/又はカバー要素が開かれた複数のワークステーションは、真空源とは反対側に向かって繊維機械の第1の端部に存在することが好ましい。これにより、清掃気流が排気ダクトのほぼ全長に亘って流れるため、排気ダクトの全長に亘って繊維溜まり、糸片などを除去することができる。特に、排気ダクトと真空を消費する作業装置及び/又はメンテナンス装置との間の接続ダクトを清掃するためには、例えば、繊維機械の中央領域に存在するか又は真空源に近い側に存在するワークステーションの遮断要素を開くこともできる。
【0012】
さらに、繊維機械は、ロータ紡糸機として実装され、各ワークステーションは、排気ダクトに接続され、遮断要素によって排気ダクトから遮断できるロータ紡糸装置を含むことが好ましい。この場合、この方法に応じて、複数のワークステーションにおけるロータ紡糸装置の遮断要素及び/又はカバー要素を開く。上記要素は、既に繊維機械又はロータ紡糸機に存在しており、清掃気流を生成するために好適に使用され得る。
【0013】
追加的又は代替的に、各ワークステーションは、遮断要素によって排気ダクトから遮断できる吸引ノズル及び/又は糸収容ノズルを含むことが好ましい。この方法によれば、吸引ノズル及び/又は糸収容ノズルの遮断要素を複数のワークステーションで開く。上記要素も、既に繊維機械に存在しており、清掃気流を生成するために好適に使用され得る。吸引ノズル及び/又は糸収容ノズルが、吸引ノズル及び/又は糸収容ノズルのみのために設置された専用の排気ダクトに接続されている場合は、上記排気ダクトを有利に清掃することができる。しかしながら、吸引ノズル及び/又は糸収容ノズルが、ロータ紡糸装置も接続されている排気ダクトに接続されている場合には、吸引ノズル及び/又は糸収容ノズルの遮断要素を開くことにより、排気ダクトの清掃気流を増加させることができる。
【0014】
これに対応して、作業気流に対して清掃気流を増加させることが好ましい。ここでいう「増加」とは、通常動作時に比べて、高い体積流量の清掃気流を生成することを意味する。例えば、ロータ紡糸装置の遮断要素に加えて、吸引ノズル及び/又は糸収容ノズルの遮断要素も開くことで、作業気流に対して清掃気流を増加させることができる。
【0015】
また、ロータ紡糸装置の遮断要素に加えて、ロータ紡糸装置のカバー要素も開くことで、作業気流に対して清掃気流を増加させることができる。ロータ紡糸装置は、典型的には、複合ロータと、カバー要素によって閉塞されたコーミングローラハウジングと、を含む。
【0016】
さらに、繊維機械を起動した後、かつ繊維機械の通常動作を開始する前に、遮断要素及び/又はカバー要素を開くことが好ましい。これにより、繊維機械の通常の紡糸動作又は通常動作が妨げられない。
【0017】
さらに、真空源は、繊維機械の第2の端部に配置されることが好ましい。
【0018】
さらに、この方法において、真空源のファンを起動し、起動後に複数のワークステーションの遮断要素及び/又はカバー要素を特に急激に開くことが好ましい。これにより、清掃気流がパルス状に生成されるため、清掃気流によって異物がより容易に除去される。
【0019】
この方法の別の有利な改良によれば、遮断要素及び/又はカバー要素を繰り返し周期的に開閉することにより、排気ダクト内の清掃気流を振動させる。この場合、最適な開閉頻度は、繊維機械の長さ、排気ダクトの長さにも依存する。これにより、異物を除去することができる。
【0020】
この方法によれば、さらに少なくとも1つの異物ベルト吸引装置を開いて清掃気流を生成することが好ましい。これにより、吸引断面をさらに拡大することができ、より高い体積の清掃気流を生成することができる。これに対応して、上記繊維機械は、少なくとも1つの異物ベルト吸引装置を含むことが好ましい。少なくとも1つの異物ベルト吸引装置は、繊維機械の第1の端部に配置され、したがって真空源とは反対側を向くことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、排気システムを含む繊維機械の第1の実施形態の概略正面図である。
図2図2は、第1の状態にある繊維機械のワークステーションの概略的な部分断面側面図である。
図3図3は、第2の状態にある図2のワークステーションである。
図4図4は、排気システムを含む繊維機械の第2の実施形態の概略正面図である。
図5図5は、繊維機械のワークステーションの更なる実施形態の部分断面側面図である。
図6図6は、繊維機械のワークステーションの更なる代替的な実施形態の部分断面側面図である。
図7図7は、排気システムを含む繊維機械の第3の実施形態の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
なお、以下の実施例の説明において、同一の特徴又は少なくとも同等の設計及び/又は機能を有する特徴は、同じ参照記号を付する。また、上記特徴は、最初に言及したときにのみ詳細に説明し、一方、後続の実施例では、前述の実施例との違いのみを説明する。さらに、明確にするために、多くの場合、複数の同一の構成要素又は特徴のうちの1つのみ又は少数のみをラベル付けする。
【0023】
図1は、排気システムを含む繊維機械1の第1の実施形態の概略正面図を示している。繊維機械1は、互いに隣接して配置され、この場合、繊維機械1の端部9、17に配置された2つのフレーム18の間に配置された複数のワークステーション2を含む。
【0024】
本繊維機械1は、紡糸機として実装される。各ワークステーション2は、紡糸すべき繊維材料を導入する導入装置19と、繊維材料を紡糸する紡糸装置10と、紡糸された糸23を引き取る引取装置20と、を含む。糸23を、引取装置20から巻取装置21に導入し、ボビン22に巻き取る。
【0025】
この紡糸機は、例えば、ロータ紡糸機として実装され、導入装置19としてのコーミングローラと、紡糸装置としてロータ紡糸装置11と、を含んでよい(図2及び図3を参照)。代替的に、紡糸機又は繊維機械1は、エアジェット紡糸機として実装され、そしてそのワークステーション2は、導入装置19としてドラフト部と、紡糸装置10としてエアジェット紡糸ノズルと、を含んでよい。しかしながら、繊維機械1は、巻取機として実装されることも考えられる。この場合、導入装置19及び紡糸装置10に代えて、引取ボビンが存在することになる。引取装置20以降の糸通路では、各種繊維機械1の構造はほぼ同一である。
【0026】
本実施例では、紡糸装置10は、真空を消費する作業装置7として示されている。しかしながら、ワークステーション2は、真空を消費する作業装置7を含むさらなる作業装置を備えることもできる。真空を消費するメンテナンス装置8を含む複数のメンテナンス装置が、ワークステーション2のそれぞれにさらに存在してよい(図2及び図3を参照)。真空を消費する作業装置7及びメンテナンス装置8(存在する場合)は、それぞれ排気ダクト3に接続され、それによって真空が加えられる。本実施例では、紡糸装置10は、接続ダクト26により排気ダクト3に接続されている。この紡糸装置10は、遮断要素6によって排気ダクト3から遮断されるか又は接続されている。次に、排気ダクト3は、フレーム18の1つにおいて繊維機械1の第2の端部17に配置された真空源4に接続されている。繊維機械1の動作中、排気ダクト3には、紡糸装置10に真空を供給する作業気流(図示せず)が透過する。
【0027】
繊維機械1は、繊維機械1の様々な活動を制御する少なくとも1つの制御部16をさらに含む。
【0028】
繊維機械1の動作中に生じる繊維及び糸片は、排気ダクト3によって吸引され、廃棄システムに送られる。繊維、繊維の堆積物及びフライがダクトに繰り返し付着し、糸片が排気ダクト3に詰まるため、上記ダクトを時々清掃しなければならない。このためには、排気ダクト3内で清掃気流5を生成する。従来の排気ダクト3には、特別な開口部と、この開口部用の特別な遮断ルーバー又はスライダとを設置する必要があったが、ここでは、既にワークステーション2に存在する構成要素の遮断要素6を短時間開くことで、清掃気流5を生成するように設置されている。
【0029】
本実施例では、繊維機械1の第1の端部9の紡糸装置10の2つの遮断要素6を開いて清掃気流5を生成する。上記紡糸装置10は真空源4の反対側の繊維機械の第1の端部9に存在し、清掃気流5が排気ダクト3全体を覆うようになっている。なお、開かれる遮断要素6を有するワークステーション2の数量及び位置はいずれも変化し得ることが理解される。この場合、例えば、排気ダクト3の真空源4近傍の領域を清掃するため、また例えば、上記ワークステーション2の接続ダクト26も清掃するために、真空源4近傍のワークステーション2の遮断要素6を開くことも考えられる。また、体積流量を調整し、排気ダクト3及び/又は様々な接続ダクト26の様々な部分を徐々に清掃するために、開かれる遮断要素6を有するワークステーション2の数量及び位置の両方を変更することも考えられる。
【0030】
図2は、ロータ紡糸機として実装される繊維機械1のワークステーション2の概略的な部分断面図を示している。導入装置19は、ここではコーミングローラ(ラベルなし)として実装されており、ここでカバー要素27によって閉じられた複合ロータとコーミングローラハウジング25に配置されている。また、紡糸装置10もロータ紡糸装置11として実装されている。さらに、吸引ノズル12及び糸収容ノズル13は、図示したワークステーション2で真空を消費するメンテナンス装置8として配置されており、紡糸プロセスの中断後に糸23を糸継ぎするために必要となる。さらにワークステーション制御器24が存在し、ワークステーション2での活動を制御するために実装され、制御部16に接続されている。
【0031】
図示した実施例では、真空を消費する作業装置7としてのロータ紡糸装置11と、真空を消費するメンテナンス装置8の両方が1つの排気ダクト3に接続されている。この場合、ロータ紡糸装置11、吸引ノズル12及び糸収容ノズル13は、それぞれ1つの専用の遮断要素6によって排気ダクト3から遮断されている。ここで、この場合、ワークステーションは、全ての遮断要素6が閉じた状態で図示されている。該状態は、例えば、繊維機械1を起動した後、かつ製造を開始する前の状態に相当する。
【0032】
その後、清掃気流を生成し、任意選択的に清掃気流量の大きさを調整するために、異なる方法を採用することも可能である。例えば、図1で説明したように、一部のロータ紡糸装置11の遮断要素6のみを開いてよい。繊維機械1を起動した後、かつ製造を開始する前に行うことが好ましい。
【0033】
次に、この方法の更なる実施形態について、図3のワークステーション2によって説明する。ここで、ロータ紡糸装置11の遮断要素6に加えて、ロータのカバー要素27及びコーミングローラハウジング25を開いて清掃気流5を生成する(図1を参照)。これにより、繊維機械1の既存の構成要素を開くだけで比較的大きな吸引断面を開くことができ、そして作業気流に対して清掃気流5を増加させることができる。これにより、堆積された繊維及び糸を極めて確実に除去することができる。
【0034】
図4は、繊維機械1の異なる実施形態を示しており、ここで、真空を消費するメンテナンス装置8、すなわち、吸引ノズル12及び糸収容ノズル13は、いずれの場合にも、紡糸装置10に加えて、各ワークステーション2の排気ダクト3に接続されている。他の全ての点で、繊維機械1の構造は、図1に示されているものに対応している。
【0035】
次に、図5は、同様にロータ紡糸機として実装される繊維機械1のワークステーション2の概略的な一部断面側面図を示している。図2のワークステーションについては、ここで、再び、ロータ紡糸装置11、吸引ノズル12及び糸収容ノズル13は、それぞれ1つの専用の遮断要素6によって排気ダクト3に接続されている。本実施例では、ロータ紡糸装置11の遮断要素6だけでなく、吸引ノズル12及び任意選択に糸収容ノズル13も開いて清掃気流5を生成する(図1及び図4を参照)。
【0036】
図6は、繊維機械1のワークステーション2の更なる実施形態の部分断面側面図である。前述の実施例とは対照的に、ここでは、吸引ノズル12及び糸収容ノズル13は、1つの専用の排気ダクト3に接続されている。このように、吸引ノズル12及び/又は糸収容ノズル13の遮断要素6を開くことによって、画像の上部に示した排気ダクト3を清掃することができる。このような実施形態はまた、繊維機械1が紡糸装置10のための排気ダクト3を必要としない巻取機として実装される場合にも、有利である。
【0037】
しかしながら、本実施例では、上述したように、紡糸装置10が専用の排気ダクト3に接続されているため、真空を消費するメンテナンス装置8の排気ダクト3とは別個に、独立して上記ダクトを清掃することもできる。このために、上述したように紡糸装置10の遮断要素6を開く。紡糸装置10をロータ紡糸装置11として実装する場合には、ここでも、ロータのカバー要素27(ここでは図示せず)及び/又はコーミングローラハウジング25を開いて、より大きな体積流量を生成することができる。
【0038】
図7は、繊維機械1の更なる実施形態及びこの方法の更なる変形例を示している。本実施例では、繊維機械1も2つの排気ダクト3を含み、紡糸装置10は、第1の排気ダクト3に接続され、真空を消費するメンテナンス装置8は、さらに排気ダクト3に接続されている。しかしながら、1つの排気ダクト3のみを設置することも考えられる。また、本繊維機械1には、異物ベルト14がさらに図示されており、この異物ベルトは、繊維材料と、任意選択的にワークステーション2で発生する過剰な繊維とを含む異物を搬送する。異物ベルト14上に搬送された異物を除去して廃棄するために、ここでは、繊維機械1の両端部9、17にそれぞれ異物ベルト吸引装置15が設置されている。図示の説明からは離れるが、単一の異物ベルト吸引装置15のみを設置することも可能であり、真空源4を有する第2の端部17とは反対側の繊維機械1の第1の端部9に配置することが好ましい。
【0039】
いずれの場合にも、このような繊維機械1の清掃気流5を増加させるために、選択されたワークステーション2の遮断要素6に加えて、好ましくは第1の端部9に配置された少なくとも1つの異物ベルト吸引装置15を開くように設置される。
【0040】
本発明は、図示され説明された実施形態に限定されない。請求項の範囲内での変更は、異なる実施形態の例に示され、説明されている場合でも、特徴の組み合わせであるため、可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 繊維機械
2 ワークステーション
3 排気ダクト
4 真空源
5 清掃気流
6 遮断要素
7 真空を消費する作業装置
8 真空を消費するメンテナンス装置
9 第1の端部
10 紡糸装置
11 ロータ紡糸装置
12 吸引ノズル
13 糸収容ノズル
14 異物ベルト
15 異物ベルト吸引装置
16 制御部
17 第2の端部
18 フレーム
19 導入装置
20 引取装置
21 巻取装置
22 ボビン
23 糸
24 ワークステーション制御器
25 ロータ及びコーミングローラハウジング
26 接続ダクト
27 カバー要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】