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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027667
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】顔面遮蔽具用装着具
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220204BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220204BHJP
   A42B 3/20 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A62B18/02 A
A41D13/11 Z
A42B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131281
(22)【出願日】2020-08-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日 令和2年6月10日 ウェブサイトのアドレス https://faceshield.stores・jp/
(71)【出願人】
【識別番号】520289246
【氏名又は名称】株式会社イノベーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100151390
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 淨宗
(72)【発明者】
【氏名】西澤 崇道
【テーマコード(参考)】
2E185
3B107
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA08
2E185CC36
3B107AA01
3B107BA07
3B107BA08
3B107CA02
3B107CA03
3B107DA07
3B107DA08
(57)【要約】
【課題】装着者の顔面前方に薄板状の遮蔽部材Bを設置して、各種の飛来物が装着者Xの顔面に到達しないようにしてこれを防護し、また、該顔面から発せられる不快物質が該顔面前方へと飛散しないようにするための顔面遮蔽具Aを装着者の頭部に装着するための顔面遮蔽具用装着具を提供する。
【解決手段】顔面遮蔽具用装着具1は、その全体が可撓性のある材料によって形成されており、頭部取付部2と、遮蔽部材取付け部3とを有している。頭部取付部2は、装着者Xの頭部に取り付くことにより顔面遮蔽具Aを装着するための部位であって、遮蔽部材取付け部3は、遮蔽部材Bを取り付けるための細長状の部位であって、頭部取付部2の両端に一対設けられており、それぞれ装着者Xの頭部側方から頭部前方へと伸びるようにして設けられているとともに、立ち上がり部33を介して頭部取付部2と連結されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の飛来物が装着者の顔面に到達しないようにしてこれを防護すべく、また、該装着者の顔面から発せられる不快物質が該顔面前方へと飛散しないようにすべく、装着者の顔面前方に薄板状の遮蔽部材を設置するための顔面遮蔽具を装着者の頭部に装着するための顔面遮蔽具用装着具であって、その全体が可撓性のある材料によって形成されており、頭部取付部と、遮蔽部材取付け部とを有しており、該頭部取付部は、該装着者の頭部に取り付くことにより該顔面遮蔽具を装着するための部位であり、該遮蔽部材取付け部は、該遮蔽部材を取り付けるための細長状の部位であって一対設けられており、それぞれ該装着者の頭部側方から頭部前方へと伸びるようにして設けられているとともに、立ち上がり部を介して該頭部取付部と連結されており、該立ち上がり部は、該頭部取付部から立ち上がることによって、該頭部取付部と該遮蔽部材取付け部との間に間隔を生じさせ、該装着者の顔面と該頭部取付部との間に間隔を設けるための部位であり、それぞれの該遮蔽部材取付け部には遮蔽部材係止部が設けられており、該遮蔽部材係止部は該顔面遮蔽具用装着具に該遮蔽部材を取り付けるための部位であることを特徴とする顔面遮蔽具用装着具。
【請求項2】
請求項1に記載した顔面遮蔽具用装着具であって、前記遮蔽部材係止部が、前記遮蔽部材取付け部の端部を折り返して前記遮蔽部材を挟み込んでこれを係止する部位であり、進入部と、受容部と、係合部とからなり、該進入部は該遮蔽部材における係止空間に進入して該遮蔽部材を該遮蔽部材取付け部に係止するための部位であり、該受容部は該遮蔽部材係止部の端部に設けられた該進入部が受容される部位であって該進入部に対向する箇所に設けられており、該係合部は係合凹部に係合凸部を嵌入してこれを引っ掛けて係合するための部位であることを特徴とする顔面遮蔽具用装着具。
【請求項3】
請求項1に記載した顔面遮蔽具用装着具であって、前記遮蔽部材における係止空間に進入して該遮蔽部材を前記遮蔽部材取付け部に係止するための進入部が鉤状に形成されていることを特徴とする顔面遮蔽具用装着具。
【請求項4】
請求項1から3までの何れかに記載した顔面遮蔽具用装着具であって、前記遮蔽部材係止部が、一対の前記遮蔽部材取付け部のそれぞれにおいて頭部側方側と頭部前方側とに各々設けられていることを特徴とする顔面遮蔽具用装着具。
【請求項5】
請求項1から4までの何れかに記載した顔面遮蔽具用装着具であって、顔面遮蔽具支持部材取付部が前記装着者の両側頭部に位置するように設けられており、該顔面遮蔽具支持部材取付部は該顔面遮蔽具用装着具に顔面遮蔽具支持部材を取り付けるための部位であって、大きさ及び/又は形状が異なる複数の孔及び/又はスリットを有していることを特徴とする顔面遮蔽具用装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、血液や唾液といった体液をはじめとする各種液体の飛沫、粉塵、害虫等の各種の飛来物が装着者の顔面に到達しないように防護すべく、また、唾液の飛沫をはじめとする該装着者の顔面から発せられる不快物質が該顔面前方へと飛散しないようにすべく、該装着者の顔面前方に薄板状の遮蔽部材を設置することにより該装着者の顔面を遮蔽するための顔面遮蔽具に関し、該顔面遮蔽具を該装着者の頭部に装着するための顔面遮蔽具用装着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような顔面遮蔽具は多様なものが提供されているところである。しかしながら、そもそも人の頭部が立体的なものであるところ、該顔面遮蔽具をそれに合わせて立体的なものとして一体的に成形しようとすると、その成形が困難であるとともに、仮に成形したとしても、そのように形成すると嵩張ってしまい、その保管や運搬がし難くなってしまうという問題があった。
【0003】
そこで、以下のように、該顔面遮蔽具を構成する部材を個別的に形成し、装着時に該構成部材を組み立てて装着する顔面遮蔽具が提案されている。例えば、人体の頭部に保持する保持部材を設け、該保持部材に該人体の顔面を覆う透明の合成樹脂シートからなるマスクを着脱可能に装着したクッキング用マスクが提案されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。また、顔面上部に装着される庇と、該庇の先端縁に沿って着脱自在に吊り下げられた顔面を覆う透光カバーとから成る顔面保護具において、該透光カバーは、セロファンよりも剛性及び硬度が大であり、該庇の先端縁に対して嵌め外し可能としたことを特徴とする顔面保護具が提案されている(例えば、下記の特許文献2を参照)。更に、所定の顔面保護具用フレームと、該顔面保護具用フレームに着脱可能であり、装着者の顔面の全部又は一部を保護するシールド部材と、を具備することを特徴とする顔面防護具が提案されている(例えば、下記の特許文献3を参照)。そして、合成樹脂の柔軟性のある鉢巻帯部材とゴムひもの調整機部が該鉢巻帯部材の両端で繋ながれて頭鉢巻帯部を構成し、該鉢巻帯部材の両端近辺に張出部材の両端部を差し込んで接続状態を作り、該張出部材はアーチ状の形態にするとともに、日避部材を係止部材で接続し、全ての部材は着脱可能の構成とした目の直射日光を避けるための用具が提案されている(例えば、下記の特許文献4を参照)。上記のような顔面遮蔽具によれば、該顔面遮蔽具を構成する部材を個別的に成形するため、これを一体的なものとして成形するよりも、その成形は比較的簡便であり、また、装着者がこれを装着しないときは、それを構成する部材を分解しておけば嵩張ることがなく、その保管や運搬を行い易くなって好適である。
【0004】
また、上記のような顔面遮蔽具用装着具において、装着者の額に当接する部位と前記遮蔽部材を取り付ける部位とが同じ部位であると、該遮蔽部材と該着用者の顔面とが近接することになるため、該遮蔽部材が近接する装着者の顔面に接触して該顔面遮蔽具用装着具から外れてしまうといったことがあり、顔面遮蔽具用装着具に該遮蔽部材を安定的に取り付けることができなかった。また、遮蔽部材と着用者の顔面とが近接していると、該装着者の吐息や体温等によって、該遮蔽部材が曇ってしまい見通しが悪くなってしまったりするという問題があった。
【0005】
そこで、以下のように、着用者の頭部に当接する部材と前記遮蔽部材を取り付ける部材とを別個の部材として構成した顔面遮蔽具ないしその装着具が提案されている。例えば、人体の額に当接する略C字形の当接部と、該当接部を額への当接状態に保持する保持バンドとで保持部材を形成し、該当接部の両端部に前方へ適宜突設する取付け枠を水平位置より下方への回転不可に枢着し、該取付け枠に該人体の顔面を覆う透明の合成樹脂シートからなるマスクを装着したクッキング用マスクが提案されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。また、顔面上部に装着される庇と、該庇の先端縁に沿って嵌め外し可能に吊り下げられる透光カバーとを備えた顔面保護具であって、該庇は着用者の額に沿って巻付けられる内側帯片と、該内側帯片から外方へ一体に張り出す庇本体と、該庇本体から分離してその先端縁に沿って配置される外側帯片と、該内側帯片及び該外側帯片の両端間に架設される伸縮バンドとから構成される顔面保護具が提案されている(例えば、下記の特許文献2を参照)。更に、日除け部材につき間隔を設けて顔面に沿って垂直に設置した目の直射日光を避けるための用具が提案されている(例えば、下記の特許文献3を参照)。上記のような顔面遮蔽具ないしその装着具によれば、装着者の額に当接する部位と前記遮蔽部材を取り付ける部位とが別個のものとして形成されており、該装着者の顔面と該遮蔽部材との間に間隔が設けられているため、該遮蔽部材が装着者の顔面に接触して該顔面遮蔽具用装着具から外れてしまう等といったことが少なくなり、顔面遮蔽具用装着具に該遮蔽部材を安定的に取り付けることができるとともに、該装着者の吐息や体温等によって、該遮蔽部材が曇ってしまい見通しが悪くなってしまったりすることも少なくなり好適である。
【0006】
ところで、図8に図示するように、前記のような顔面遮蔽具を装着した際に、前記遮蔽部材が該装着者の顔面に対して斜め方向になっていると、該遮蔽部材の外側へと、着用者の吐息が漏出したり、その唾液の飛沫が飛散したりしてしまうとともに、着用者の着用している衣服の模様や色彩が該遮蔽部材に映り込んで見通しが悪くなってしまうという問題がある。
【0007】
そのため、図9に図示するように、装着者が顔面遮蔽具を装着している際は、該遮蔽部材は装着者の顔面に対して平行な状態を維持していることが好ましい。そこで、前記の通り、日除け部材につき間隔を設けて顔面に沿って垂直に設置した目の直射日光を避けるための用具が提案されている(例えば、下記の特許文献3を参照)。また、連結ピンを支点としてフレーム部を装着部に上下に回動可能なように固定することによって、フレーム部に支持されたシールドの上下方向の位置調整を可能にしたゴーグルが提案されている(例えば、下記の特許文献5を参照)。上記のような顔面遮蔽具によれば、該遮蔽部材の角度を調節することにより、装着者の顔面に対して平行な状態を維持することができる。そうすると、該遮蔽部材の外側へと、装着者の吐息が漏出したり、その唾液の飛沫が飛散したりすることが少なくなり、装着者が着用している衣服の模様や色彩が該遮蔽部材に映り込むことも少なくなる。
【0008】
そして、近時一般にも急速に普及してきた3Dプリンター(3D印刷機・三次元プリンター・三次元印刷機)を用いて、顔面遮蔽具用装着具を成形することも提案されている。そのような顔面遮蔽具用装着具であれば、該顔面遮蔽具用装着具に係る3Dデータを入手すれば、3Dプリンター用いて簡便に顔面遮蔽具用装着具を製造することができるため、その保管や運搬に係る費用や労力を一層低減することができる。また、3Dプリンターで製造すれば、装着者のニーズに合わせて仕様を変更した顔面遮蔽具用装着具を簡便に提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実登3010049号公報
【特許文献2】特開2003-339893号公報
【特許文献3】特開2009-102786号公報
【特許文献4】特開2015-205105号公報
【特許文献5】特開2016-131725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、顔面遮蔽具を嵩張らずに保管ないし運搬するためには、上記の従来技術に係る顔面遮蔽具のように、これを構成する部材を個別的に形成するだけでは不十分である。即ち、顔面遮蔽具装着具それ自体についても、これをそのまま装着者の顔面に装着できるような立体的な形態のものとして形成すると、やはり嵩張ってしまいその保管ないし運搬がし難くなってしまう。また、前記の通り、3Dプリンターを用いて顔面遮蔽具用装着具を成形する際も、これを立体的な形態のものとして形成しようとすると、3Dプリンターの特性上、その造形は比較的困難であるため、その成形に失敗したり、時間がかかったりしてしまうという問題が生じる。
【0011】
そこで、本願発明が解決しようとする第1の課題は、各種の飛来物が該装着者の顔面に到達しないようにしてこれを防護すべく、また、唾液の飛沫をはじめとする該装着者の顔面から発せられる不快物質が該顔面前方へと飛散しないようにすべく、該装着者の顔面前方に薄板状の遮蔽部材を設置する顔面遮蔽具を該装着者の頭部に装着するための顔面遮蔽具用装着具につき、非装着時には平面的な形態であるが、装着時にはこれを立体的な形態に変形させて該顔面遮蔽具を装着することができる顔面遮蔽具用装着具を提供することにある。
【0012】
また、前記の従来技術に係る顔面遮蔽具用装着具は、一般に、装着者が前記顔面遮蔽具を装着した際に、該遮蔽部材を装着者の両側頭部の2箇所で顔面遮蔽具用装着具に取り付けられている。そうすると、図6に図示するように、該遮蔽部材は平面視半楕円状に変形して装着者の顔面前方に設置されることになるが、このような態様では風の影響を受ける等して揺動したり歪んだりし易く、これを安定的に装着者の顔面前方に設置することができなかった。
【0013】
そこで、本願発明が解決しようとする第2の課題は、装着者が顔面遮蔽具を装着した際に、剛性を備える態様に該遮蔽部材を変形させられることにより、これを安定的に装着者の顔面前方に設置することができる顔面遮蔽具用装着具を提供することにある。
【0014】
更に、前記の従来技術に係る顔面遮蔽具用装着具であっても、例えば、可撓性のある帯状の部材を湾曲させて装着者の額に当接させ、そこに薄板状の遮蔽部材を取り付けるような単純な形態では、前記の通り、該遮蔽部材が装着者の顔面に接触して外れてしまう等して顔面遮蔽具用装着具に該遮蔽部材を安定的に取り付けることができなかったり、該装着者の顔面と該遮蔽部材とが近接しているため、該装着者の吐息や体温等によって、該遮蔽部材が曇ってしまい見通しが悪くなってしまったりするという問題がある。
【0015】
そこで、本願発明が解決しようとする第3の課題は、前記のような非装着時には平面的な形態であるが、装着時にはこれを立体的な形態に変形させて装着することができる顔面遮蔽具用装着具であって、該遮蔽部材と該装着者の顔面との間に間隔を設けることができる顔面遮蔽具用装着具を提供することにある。
【0016】
また、前記の従来技術に係る顔面遮蔽具用装着具にあっては、前記遮蔽部材の角度を調節することができるものが提案されているが、これらは顔面遮蔽具用装着具ないしこれを形成する部材と一体的にその角度を調節するものである。そのため、図9に図示するように、顔面遮蔽具用装着具ないしこれを形成する部材によって、装着者の眉毛が隠れてしまい相手方がその表情を読み取りにくくなったり、装着者が違和感を抱いたりするという問題がある。
【0017】
そこで、本願発明が解決しようとする第4の課題は、顔面遮蔽具用装着具ないしこれを形成する部材の位置を変えることなく、前記遮蔽部材の装着者の顔面に対する角度を調節することができる顔面遮蔽具用装着具を提供することにある。
【0018】
そして、前記の従来技術に係る顔面遮蔽具用装着具にあっては、装着者の後頭部に架け渡して顔面遮蔽具を装着者の頭部に支持するような顔面遮蔽具支持部材を個別的に備えているものもある。ここで、該顔面遮蔽具支持部材には、ひも状の部材やベルト状の部材といった様々な材料、長さ、そして太さを備えた多様な部材を用いることができるところ、適宜これを選択して用いることができれば便利である。
【0019】
そこで、本願発明が解決しようとする第5の課題は、様々な態様からなる顔面遮蔽具支持部材から適宜選択し、これを取り付けて顔面遮蔽具を装着者の頭部に支持することができる顔面遮蔽具用装着具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願発明は、上記の各課題を解決するために提案されたものであり、以下の構成を有するものである。以下では、本願発明の構成を理解することを補助するために、本願に添付した図面に表示した番号及び符号をあわせて記載する。
【0021】
請求項1に記載した顔面遮蔽具用装着具(1)は、各種の飛来物が装着者(X)の顔面に到達しないようにしてこれを防護すべく、また、該装着者の顔面から発せられる不快物質が該顔面前方へと飛散しないようにすべく、装着者(X)の顔面前方に薄板状の遮蔽部材(B)を設置するための顔面遮蔽具(A)を装着者の頭部に装着するための顔面遮蔽具用装着具であって、その全体が可撓性のある材料によって形成されており、頭部取付部(2)と、遮蔽部材取付け部(3)とを有している。頭部取付部(2)は、装着者(X)の頭部に取り付くことにより顔面遮蔽具(A)を装着するための部位である。遮蔽部材取付け部(3)は、遮蔽部材(B)を取り付けるための細長状の部位であって一対設けられており、それぞれ装着者(X)の頭部側方から頭部前方へと伸びるようにして設けられているとともに、立ち上がり部(33)を介して頭部取付部(2)と連結されている。立ち上がり部(33)は、頭部取付部(2)から立ち上がることによって、頭部取付部(2)と遮蔽部材取付け部(3)との間に間隔を生じさせ、装着者(X)の顔面と頭部取付部(2)との間に間隔を設けるための部位である。それぞれの遮蔽部材取付け部(3)には遮蔽部材係止部(31,32)が設けられており、遮蔽部材係止部(31,32)は、顔面遮蔽具用装着具(1)に遮蔽部材(B)を取り付けるための部位である。
【0022】
請求項2に係る顔面遮蔽具用装着具(1)は、請求項1に記載した顔面遮蔽具用装着具であって、遮蔽部材係止部(31)が、遮蔽部材取付け部(3)の端部を折り返して遮蔽部材(B)を挟み込んでこれを係止する部位であり、進入部(31a)と、受容部(31b)と、係合部(31c)とからなり、進入部(31a)は遮蔽部材(B)における係止空間に進入して遮蔽部材(B)を遮蔽部材取付け部(2)に係止するための部位であり、受容部(31b)は遮蔽部材係止部(2)の端部に設けられた進入部(31a)が受容される部位であって進入部(31a)に対向する箇所に設けられており、係合部(31c)は係合凹部(31c1)に係合凸部(31c2)を嵌入してこれを引っ掛けて係合するための部位である。
【0023】
請求項3に係る顔面遮蔽具用装着具(1)は、請求項1に記載した顔面遮蔽具用装着具であって、遮蔽部材(B)における係止空間に進入して遮蔽部材(B)を遮蔽部材取付け部(2)に係止するための進入部(31a)が鉤状に形成されている。
【0024】
請求項4に係る顔面遮蔽具用装着具(1)は、請求項1から3までの何れかに記載した顔面遮蔽具用装着具であって、遮蔽部材係止部(31,32)が、一対の遮蔽部材取付け部(2)のそれぞれにおいて頭部側方側と頭部前方側とに各々設けられている。
【0025】
請求項5に係る顔面遮蔽具用装着具(1)は、請求項1から4までの何れかに記載した顔面遮蔽具用装着具であって、顔面遮蔽具支持部材取付部(4)が装着者(X)の両側頭部に位置するように設けられており、顔面遮蔽具支持部材取付部(4)は顔面遮蔽具用装着具(1)に顔面遮蔽具支持部材(C)を取り付けるための部位であって、大きさ及び/又は形状が異なる複数の孔及び/又はスリットを有している。
【発明の効果】
【0026】
本願発明に係る顔面遮蔽具用装着具は、前記の通りの構成であるから、以下のような効果を奏することができる。
【0027】
まず、請求項1に記載した顔面遮蔽具用装着具(1)は、前記のように、その全体が可撓性のある材料によって形成されており、頭部取付部(2)と、遮蔽部材取付け部(3)と、遮蔽部材係止部(31,32)とを有している。よって、顔面遮蔽具用装着具(1)は、各種の飛来物が装着者(X)の顔面に到達しないようにしてこれを防護すべく、また、該装着者の顔面から発せられる不快物質が該顔面前方へと飛散しないようにすべく、該装着者の顔面前方に薄板状の遮蔽部材を設置する顔面遮蔽具を該装着者の頭部に装着するための顔面遮蔽具用装着具につき、非装着時には平面的な形態であるが、装着時にはこれを立体的な形態に変形させて装着することができる顔面遮蔽具用装着具を提供するという本願発明が解決しようとする第1の課題を解決することができる。
【0028】
そうすると、顔面遮蔽具装着具(1)は、非装着時には平面的な形態であるから、非装着時にあっても立体的な形態である前記の従来技術に係る顔面遮蔽具装着具に比較して嵩張ることがなく、その保管ないし運搬も容易である。また、3Dプリンターを用いて顔面遮蔽具用装着具を成形する際も、平面的な形態のものとして成形することができるため、3Dプリンターの特性上、その造形は比較的容易であるから、その成形に失敗したり、時間がかかったりしてしまうという問題が生じることは少なくなる。従って、顔面遮蔽具用装着具は、特に3Dプリンターを用いて簡便にこれを製造することができるため、その保管や運搬に係る費用や労力を一層低減することができるとともに、装着者のニーズに合わせて仕様を変更した顔面遮蔽具用装着具を簡便に提供することもできるのである。
【0029】
次に、顔面遮蔽具用装着具(1)は、前記のように、遮蔽部材取付け部(3)が、遮蔽部材(B)を取り付けるための細長状の部位であって一対設けられており、それぞれ装着者(X)の頭部側方から頭部前方へと伸びるようにして設けられている。そうすると、装着者が顔面遮蔽具(A)を装着した際に、遮蔽部材(B)は遮蔽部材取付け部(3)に沿って平面視半正円状に変形して装着者の顔面前方に設置されることになる。よって、遮蔽部材(B)は風の影響を受ける等して揺動したり歪んだりし難くなり、これを安定的に装着者(X)の顔面前方に設置することができる。従って、顔面遮蔽具用装着具(1)は、装着者が顔面遮蔽具を装着した際に、剛性を備える態様に該遮蔽部材を変形させられることにより、これを安定的に装着者の顔面前方に設置することができる顔面遮蔽具用装着具を提供するという本願発明が解決しようとする第2の課題を解決することができる。
【0030】
また、顔面遮蔽具用装着具(1)は、前記のように、遮蔽部材取付け部(3)が、立ち上がり部(33)を介して頭部取付部(2)と連結されており、立ち上がり部(33)は、頭部取付部(2)から立ち上がることによって、頭部取付部(2)と遮蔽部材取付け部(3)との間に間隔を生じさせ、装着者(X)の顔面と頭部取付部(2)との間に間隔を設けるための部位である。よって、顔面遮蔽具用装着具(1)は、前記のような非装着時には平面的な形態であるが、装着時にはこれを立体的な形態に変形させて装着することができる顔面遮蔽具用装着具であって、該遮蔽部材と該装着者の顔面との間に間隔を設けることができる顔面遮蔽具用装着具を提供するという本願発明が解決しようとする第3の課題を解決することができる。
【0031】
そうすると、顔面遮蔽具用装着具(1)を備えた顔面遮蔽具(A)は、これを装着した際に、装着者(X)の顔面と遮蔽部材(B)との間に間隔が設けられるため、遮蔽部材(B)が装着者(X)の顔面に接触して顔面遮蔽具用装着具(1)から外れてしまう等といったことが少なくなり、顔面遮蔽具用装着具(1)に遮蔽部材(B)を安定的に取り付けることができるとともに、装着者(X)の吐息や体温等によって、遮蔽部材(B)が曇ってしまい見通しが悪くなってしまったりすることも少なくなって好適である。
【0032】
請求項2に記載した顔面遮蔽具用装着具は、遮蔽部材係止部(31)が、遮蔽部材取付け部(3)の端部を折り返して遮蔽部材(B)を挟み込んでこれを係止する部位であり、進入部(31a)と、受容部(31b)と、係合部(31c)とからなり、受容部(32b)は遮蔽部材係止部(3)の端部に設けられた進入部(31a)が嵌入される部位であって、係合部(31c)は係合凹部(31c1)に係合凸部(31c2)を嵌入してこれを引っ掛けて係合するための部位である。そうすると、装着者(X)は、遮蔽部材(B)の所望の位置に遮蔽部材取付け部(3)の端部を折り返してこれを挟み込んで係止させることができる。よって、顔面遮蔽具用装着具を備えた顔面遮蔽具は、顔面遮蔽具用装着具ないしこれを形成する部材の位置を変えることなく、前記遮蔽部材の装着者の顔面に対する角度を調節することができる顔面遮蔽具用装着具を提供するという本願発明が解決しようとする第4の課題を解決することができる。しかも、進入部(31a)を受容部(31b)に嵌入させ、かつ、係合凹部(31c1)に係合凸部(31c2)を嵌入してこれを引っ掛けて係合させることにより、装着者(X)の意図することなく遮蔽部材(B)が顔面遮蔽具用装着具(1)から脱落し難くなって好適である。
【0033】
そうすると、顔面遮蔽具用装着具(1)は、図10に図示するように、顔面遮蔽具用装着具(1)ないしこれを形成する部材によって、装着者(X)の眉毛が隠れてしまい相手方がその表情を読み取りにくくなったり、装着者(X)が違和感を抱いたりすることなく、遮蔽部材(B)の角度を調節することにより、装着者(X)の顔面に対して平行な状態を維持することができる。しかも、顔面遮蔽具用装着具(1)は、遮蔽部材(B)の外側へと、装着者(X)の吐息が漏出したり、その唾液の飛沫が飛散したりすることも防止でき、装着者(X)が着用している衣服の模様や色彩が遮蔽部材(B)に映り込むことも防止できる。
【0034】
また、請求項3に記載した顔面遮蔽具用装着具は、進入部(32a)が鉤状に形成されている。そうすると、装着者(X)の意図することなく遮蔽部材(B)が顔面遮蔽具用装着具(1)からより脱落し難くなって、好適である。更に、請求項4に記載した顔面遮蔽具用装着具は、遮蔽部材係止部(31,32)が、遮蔽部材取付け部(3)のそれぞれにおいて頭部側方側と頭部前方側とに各々設けられている。そうすると、請求項4に記載した顔面遮蔽具用装着具は、一対の遮蔽部材取付け部(3)のそれぞれにおいて頭部側方側と頭部前方側とに各々設けられた遮蔽部材係止部(31,32)によって、遮蔽部材(B)を顔面遮蔽具用装着具(1)により安定的に取り付けることができるようになって、好適である。
【0035】
請求項5に記載した顔面遮蔽具用装着具(1)は、顔面遮蔽具支持部材取付部(4)が装着者(X)の両側頭部に位置するように設けられており、顔面遮蔽具支持部材取付部(4)は、大きさ及び/又は形状が異なる複数の孔及び/又はスリットを有しているから、様々な態様からなる顔面遮蔽具支持部材から自らが所望する顔面遮蔽具支持部材を適宜選択し、これを取り付けて顔面遮蔽具を装着者の頭部に支持することができる顔面遮蔽具用装着具を提供するという本願発明が解決しようとする第5の課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本願発明に係る顔面遮蔽具用装着具を備えた顔面遮蔽具を装着した状態を示した作用効果説明図である。
図2】本願発明に係る顔面遮蔽具用装着具を備えた図1とは異なる態様の遮蔽部材を取り付けた顔面遮蔽具を装着した状態を示した作用効果説明図である。
図3】本願発明に係る顔面遮蔽具用装着具の一部拡大図である。
図4】本願発明に係る顔面遮蔽具用装着具に遮蔽部材を取り付けた状態を示した一部拡大図である。
図5】本願発明に係る顔面遮蔽具用装着具の一部拡大図である。
図6】遮蔽部材を平面視半楕円状に変形させて顔面遮蔽具を装着した状態を示した参考図である。
図7】本願発明に係る顔面遮蔽具用装着具を備えた顔面遮蔽具を装着した状態を示した作用効果説明図である。
図8】遮蔽部材を装着者の顔面に対して斜めにして顔面遮蔽具を装着した状態を示した参考図である。
図9】顔面遮蔽具用装着具の角度を調節して顔面遮蔽具を装着した状態を示した参考図である。
図10】本願発明に係る顔面遮蔽具用装着具を備えた顔面遮蔽具を装着した状態を示した作用効果説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
まず、本願発明の第1実施形態に係る顔面遮蔽具用装着具(1)の構造について、添付図面に基づいて、これを説明する。
【0038】
顔面遮蔽具用装着具(1)は、図1及び2に図示するように、各種の飛来物が装着者(X)の顔面に到達しないようにしてこれを防護すべく、また、該装着者の顔面から発せられる不快物質が該顔面前方へと飛散しないようにすべく、装着者の顔面前方に薄板状の遮蔽部材(B)を設置するための顔面遮蔽具(A)を装着者の頭部に装着するための顔面遮蔽具(A)を装着者(X)の頭部に装着するための顔面遮蔽具用装着具であって、その全体が可撓性のある材料によって形成されており、頭部取付部(2)と、遮蔽部材取付け部(3)とを有している。
【0039】
ここで、顔面遮蔽具用装着具(1)の全体を形成する可撓性のある材料としては、例えば、各種公知の熱可塑性樹脂を用いることができ、顔面遮蔽具用装着具を3Dプリンターによって成形する場合にあっては、各種公知の3Dプリンター用合成樹脂を用いることができる。
【0040】
遮蔽部材(B)としては、装着者の視界を遮らない材料で形成された薄板状の部材であれば、各種公知の部材を用いることができ、例えば、熱可塑性樹脂で形成された可撓性と透明性を備えた薄板状の部材を用いることができる。また、顔面遮蔽具用のものとして提供されている遮蔽部材だけでなく、例えば、書類フォルダーや下敷きのように本来は他の用途に用いる物も、遮蔽部材として用いることができる。また、遮蔽部材(B)としては、例えば、図1に図示するように、装着者(X)の顔面全体を遮蔽する態様もあれば、図2に図示するように、装着者(X)の口元を遮蔽する態様もある等、様々な態様が考えられるところである。尚、遮蔽部材における係止空間とは、例えば、遮蔽部材に穿設される孔やスリットである。
【0041】
頭部取付部(2)は、装着者(X)の頭部に取り付くことにより顔面遮蔽具(A)を装着するための部位である。頭部取付部(2)としては、前記の遮蔽部材(B)の態様や装着者(X)の所望により、例えば、図1に図示するように、装着者(X)の両側頭部に架け渡されて額に当接する細長状の部材であることもあれば、図2に図示するように、装着者(X)の両側頭部にのみ当接する部材であることもあり、様々な態様が考えられるところである。
【0042】
遮蔽部材取付け部(3)は、図1及び2に図示するように、遮蔽部材(B)を取り付けるための細長状の部位であって、一対設けられており、それぞれ装着者(X)の頭部側方から頭部前方へと伸びるようにして設けられているとともに、立ち上がり部(33)を介して頭部取付部(2)と連結されている。
【0043】
立ち上がり部(33)は、図3ないし5に図示するように、頭部取付部(2)から立ち上がることによって、頭部取付部(2)と遮蔽部材取付け部(3)との間に間隔を生じさせ、装着者(X)の顔面と頭部取付部(2)との間に間隔を設けるための部位である。
【0044】
遮蔽部材係止部(31,32)は、図3ないし5に図示するように、顔面遮蔽具用装着具(1)に遮蔽部材(B)を取り付けるための部位であって、それぞれの遮蔽部材取付け部(3)に設けられている。遮蔽部材係止部(31,32)は、遮蔽部材取付け部(3)のそれぞれにおいて頭部側方側と頭部前方側とに各々設けられている。
【0045】
遮蔽部材取付け部(3)の頭部側方側に設けられた第1の遮蔽部材係止部(31)は、図3ないし5に図示するように、遮蔽部材取付け部(3)の端部を折り返して遮蔽部材(B)を挟み込んでこれを係止する部位であり、進入部(31a)と、受容部(31b)と、係合部(31c)とからなる。進入部(31a)は、係止空間が設けられている遮蔽部材(B)にあっては該係止空間に進入し得る態様にすることができるが、その先端を先鋭化することによって、係止空間が設けられていない遮蔽部材(B)について、これを挟み込むと同時に孔を穿設し係止空間を形成する態様にすることもできる。受容部(31b)は、遮蔽部材係止部(3)の端部に設けられた進入部(31a)が受容される部位であって、進入部(31a)に対向する箇所に設けられており、例えば凹状に形成された部位である。係合部(31c)は、係合凹部(31c1)に係合凸部(31c2)を嵌入してこれを引っ掛けて係合するための部位である。具体的には、進入部(31a)近傍に係合凹部(31c1)に設けるとともに、受容部(31b)近傍に係合凸部(31c2)を設け、係合凹部(31c1)内に設けられた溝部に、係合凸部(31c2)に設けられた爪部を嵌入させることによって係合させるのである。
【0046】
遮蔽部材取付け部(3)の頭部前方側に設けられた第2の遮蔽部材係止部(32)は、図1及び2に図示するように、進入部(32a)が鉤状に形成されており、ここに遮蔽部材(B)に穿設された孔部を引っ掛けることによって、第2の遮蔽部材係止部(32)に遮蔽部材(B)を係止する。
【0047】
顔面遮蔽具支持部材取付部(4)は、図3ないし5に図示するように、顔面遮蔽具用装着具(1)に顔面遮蔽具支持部材(C)を取り付けるための部位であって、装着者(X)の両側頭部に位置するように頭部取付部(2)の両端部に設けられており、大きさ及び/又は形状が異なる複数の孔及び/又はスリットを有している。図では、1箇所の顔面遮蔽具支持部材取付部(4)につき、細長状のスリットが2本と、正円状の孔が2箇所設けられている。そうすると、例えば、顔面遮蔽具支持部材(C)として幅広のベルト状部材を用いる場合には、細長状のスリットにこれを挿通させて顔面遮蔽具用装着具に取り付けることができる一方、顔面遮蔽具支持部材(C)としてひも状部材を用いる場合には、正円状の孔にこれを挿通させて顔面遮蔽具用装着具(1)に取り付けることができる。もっとも、顔面遮蔽具支持部材取付部(4)は、上記のような態様に限定されるものではない。
【0048】
以上が、本願発明に係る顔面遮蔽具用装着具の構造についての説明である。次に、本願発明に係る顔面遮蔽具用装着具の使用態様について添付図面に基づいて説明する。
【0049】
顔面遮蔽具用装着具(1)は、前記のように、その全体が可撓性のある材料によって形成されており、頭部取付部(2)と、遮蔽部材取付け部(3)とを有している。よって、顔面遮蔽具用装着具(1)は、非装着時には平面的な形態であるが、装着時にはこれを立体的な形態に変形させて装着することができる。
【0050】
そうすると、顔面遮蔽具装着具(1)は、非装着時には平面的な形態であるから嵩張ることがなく、その保管ないし運搬も容易である。また、3Dプリンターを用いて顔面遮蔽具用装着具(1)を成形する際も、平面的な形態のものとして成形することができるため、3Dプリンターの特性上、その造形は比較的容易であるから、その成形に失敗したり、時間がかかったりしてしまうという問題が生じることは少なくなる。従って、顔面遮蔽具用装着具(1)は、特に3Dプリンターを用いて簡便にこれを製造することができるため、例えば、その3Dデータと、3Dプリンター、そしてその他必要な機器があれば装着者(X)の手元で成形することもできるから、その保管や運搬に係る費用や労力を一層低減することができる。また、その3Dデータの内容を適宜変更するだけで、装着者(X)のニーズに合わせて仕様を変更した顔面遮蔽具用装着具(1)を簡便に提供することもできるのである。
【0051】
装着者(X)は、その指で引き起こす等して、図5に図示するように、立ち上がり部(33)を頭部取付部(2)から立ち上げることによって、遮蔽部材取付け部(3)と頭部取付部(2)との間に間隔を生じさせる。
【0052】
装着者(X)は、図1に図示するように、進入部(32a)が鉤状に形成されている第2の遮蔽部材係止部(32)へ遮蔽部材(B)に穿設された孔部を引っ掛けることによって、第2の遮蔽部材係止部(32)に遮蔽部材(B)を係止する。
【0053】
装着者(X)は、図4及び5に図示するように、遮蔽部材取付け部(3)の側頭部側に設けられた第1の遮蔽部材係止部(31)につき、遮蔽部材取付け部(3)の端部を折り返して遮蔽部材(B)の所望の位置を挟み込む。そうすると、係止空間が設けられている遮蔽部材(B)にあっては、進入部(31a)がそのまま該係止空間に進入し、係止空間が設けられていない遮蔽部材(B)にあっては、進入部(31a)の先端を先鋭化することによって、これを挟み込むと同時に孔を穿設し係止空間を形成する。そうすることで、受容部(31b)に進入部(31a)が受容され、第1の遮蔽部材係止部(31)に遮蔽部材(B)が係止される。それと同時に、係合凹部(31c1)に係合凸部(31c2)が嵌入され、係合凹部(31c1)内に設けられた溝部に係合凸部(31c2)に設けられた爪部が嵌入され、係合部(31c)が係合するのである。
【0054】
装着者(X)は、様々な態様からなる顔面遮蔽具支持部材から自らが所望する顔面遮蔽具支持部材(C)を適宜選択し、これを顔面遮蔽具用装着具(1)に取り付けて顔面遮蔽具(A)を装着者の頭部に支持することができる。例えば、図1及び2に図示するように、顔面遮蔽具支持部材(C)として幅広のベルト状部材を選択した場合には、細長状のスリットにこれを挿通させて顔面遮蔽具用装着具(1)に取り付け、顔面遮蔽具支持部材(C)としてひも状部材を選択した場合には、正円状の孔にこれを挿通させて顔面遮蔽具用装着具(1)に取り付ける。
【0055】
装着者(X)は、図1に図示するように、顔面遮蔽具用装着具(1)を自らの頭部の形状に合わせて湾曲させる等して変形させ装着する。顔面遮蔽具用装着具(1)は、これを立体的な形態に変形させて装着することができるとともに、遮蔽部材(B)、顔面遮蔽具用装着具(1)、顔面遮蔽具支持部材(C)といった顔面遮蔽具(A)を構成する各構成部材を組み立てて顔面遮蔽具(A)を形成することができる。
【0056】
そうすると、装着者が、顔面遮蔽具用装着具(1)を備えた顔面遮蔽具(A)を装着している際にあっては、次のような効果を得ることができる。まず、顔面遮蔽具用装着具(1)は、前記のように、遮蔽部材取付け部(3)が、遮蔽部材(B)を取り付けるための細長状の部位であって一対設けられており、それぞれ装着者(X)の頭部側方から頭部前方へと伸びるようにして設けられている。そうすると、図7に図示するように、装着者が顔面遮蔽具(A)を装着した際に、遮蔽部材(B)は遮蔽部材取付け部(3)に沿って平面視半正円状に変形して装着者の顔面前方に設置されることになる。よって、遮蔽部材(B)は風の影響を受ける等して揺動したり歪んだりし難くなり、これを安定的に装着者(X)の顔面前方に設置することができる。
【0057】
前記のように、立ち上がり部(33)が頭部取付部(2)から立ち上がることによって、図10に図示するように、遮蔽部材取付け部(3)と頭部取付部(2)との間に間隔が生じているため、装着者(X)の顔面と遮蔽部材(B)との間に間隔が設けられることになる。よって、遮蔽部材(B)が装着者(X)の顔面に接触して顔面遮蔽具用装着具(1)から外れてしまう等といったことが少なくなり、顔面遮蔽具用装着具(1)に遮蔽部材(B)を安定的に取り付けることができるとともに、装着者(X)の吐息や体温等によって、遮蔽部材(B)が曇ってしまい見通しが悪くなってしまったりすることも少なくなるのである。
【0058】
また、顔面遮蔽具用装着具(1)は、前記の通り、装着者(X)が、遮蔽部材(B)の所望の位置に遮蔽部材取付け部(3)の端部を折り返してこれを挟み込んで係止させることができる。よって、顔面遮蔽具用装着具(1)を備えた顔面遮蔽具(A)は、顔面遮蔽具用装着具(1)ないしこれを形成する部材の位置を変えることなく、遮蔽部材(B)の装着者(X)の顔面に対する角度を調節することができる。よって、顔面遮蔽具用装着具(1)を備えた顔面遮蔽具(A)は、図10に図示するように、顔面遮蔽具用装着具(1)ないしこれを形成する部材の位置を変えることなく、遮蔽部材(B)の装着者(X)の顔面に対する角度を調節することができる。そうすると、顔面遮蔽具用装着具(1)は、それ自体ないしこれを形成する部材によって、装着者(X)の眉毛が隠れてしまい相手方がその表情を読み取りにくくなったり、装着者(X)が違和感を抱いたりすることなく、遮蔽部材(B)の角度を調節することにより、装着者(X)の顔面に対して平行な状態を維持することができるのである。しかも、顔面遮蔽具用装着具(1)は、遮蔽部材(B)の外側へと、装着者(X)の吐息が漏出したり、その唾液の飛沫が飛散したりすることも防止でき、装着者(X)が着用している衣服の模様や色彩が遮蔽部材(B)に映り込むことも防止できて好適である。
【0059】
ここで、顔面遮蔽具用装着具(1)は、前記の通り、一対の遮蔽部材取付け部(3)のそれぞれにおいて頭部側方側と頭部前方側とに各々設けられた遮蔽部材係止部(31,32)によって、遮蔽部材(B)を顔面遮蔽具用装着具(1)により取り付けることができるようになっている。また、第1の遮蔽部材係止部(31)が、遮蔽部材取付け部(3)の端部を折り返して遮蔽部材(B)を挟み込んでこれを係止しているとともに、係合凹部(31c1)に係合凸部(31c2)が嵌入されて引っ掛かって係合している。そして、第2の遮蔽部材係止部(32)が鉤状に形成された進入部(32a)であり、ここに遮蔽部材(B)に穿設された孔を引っ掛けることによって、第2の遮蔽部材係止部(32)に遮蔽部材(B)が係止されている。そうすると、顔面遮蔽具用装着具(1)は、装着者(X)の意図することなく遮蔽部材(B)が顔面遮蔽具用装着具(1)から脱落し難くなって好適である。
【符号の説明】
【0060】
1 顔面遮蔽具用装着具
2 頭部取付部
3 遮蔽部材取付け部
31 第1の遮蔽部材係止部
31a 進入部
31b 受容部
31c 係合部
31c1 係合凹部
31c2 係合凸部
32 第2の遮蔽部材係止部
32a 進入部
33 立ち上がり部
4 顔面遮蔽具支持部材取付部
A 顔面遮蔽具
B 遮蔽部材
C 顔面遮蔽具支持部材
X 装着者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10