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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027668
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】オープンスペースの運営システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220204BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131291
(22)【出願日】2020-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】515121829
【氏名又は名称】小野 曜
(74)【代理人】
【識別番号】100125531
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 曜
(72)【発明者】
【氏名】小野 曜
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】品質が異なる農産物を利用者ニーズに合わせて提供可能なオープンスペースの運営システムを提供する。
【解決手段】システムにおいて、オープンスペースSに品質が異なる複数種類の農産物V1、V2を集め、品質に応じて仕分けして各農産物の種類、品質、仮単価を記憶装置に保持する。農産物は、品質に応じて異なる利用者ニーズに合わせて異なる態様で提供され、各態様で提供された農産物の収益情報を記憶装置に記憶するとともに、演算処理装置を用いて農産物の提供により得られた収益の分配を計算する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理設備を有し、複数の利用者による共同利用に供されるオープンスペースの運営に用いられる運営システムであって、
前記オープンスペースに届けられる複数種類の農産物について、それぞれの種類を特定する種類情報、複数の品質のいずれであるかを特定する品質情報、および複数の品質ごとの仮単価である仮単価情報を保持する農産物マスタと、
前記オープンスペースに届けられた複数の農産物について、種類情報、種類ごとの品質情報、品質ごとの数量を特定する納入者情報を保持する農産物納入データベースと、
前記オープンスペースに届けられた複数の農産物に基づく売上および販売経費を保持する収益管理部と、
を有するオープンスペースの運営システム。
【請求項2】
前記販売経費には、前記オープンスペースの調理設備を用いて当該第1品質の農産物を調理する調理人に支払う調理費が含まれる請求項1記載のオープンスペースの運営システム。
【請求項3】
前記収益管理部は、前記オープンスペースに届けられた複数の農産物の納入日ごとに、当該納入日に納入された複数の農産物の合計納入情報と、当該合計納入情報に係る複数の農産物の売上および販売経費の差分である仮収益情報とを算出し、当該仮収益情報と合計納入情報とに基づいて、当該納入日に納入された複数の農産物に対する支払額を算出する請求項1または2に記載のオープンスペースの運営システム。
【請求項4】
前記オープンスペースに届けられた複数の農産物の納入者が複数であり、
前記収益管理部は、前記複数の納入者ごとに前記納入日に納入された複数の農産物に対する支払額を算出する請求項3に記載のオープンスペースの運営システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コワーキングスペースなど、複数人により共同利用されるオープンスペースの運営システムに関する。
【背景技術】
【0002】
会議室やオープンな執務スペースを不特定者で共同利用するコワーキングプレイスというレンタルスペースが提供されている。執務場所を職場に限定しない働き方が普及するに従い、コワーキングプレイスは都市部を中心に増加し、コワーキングプレイスの運営管理に用いられるさまざまなツールやシステムが開発されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
コワーキングプレイスの利用者は一般に、利用開始時は互いに知り合いでないが、近年、コワーキングプレイスの利用者同士をネットワーキングして利用者コミュニティを形成するサービスも提供されている。利用者同士がコミュニティを形成するこのようなコワーキングスペースは、「家族や仕事抜きの関係の友人」「仕事の関係者と異なる関係にある人」と情報交換ができる交流ステーションになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6482154号、
【特許文献2】特許第6662979号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コワーキングスペースは、立地によっては利用者が少なくコミュニティを形成することが難しい、利用者の利用料だけでは収益を得ることが難しいといった運営上の課題を有する。
【0006】
ところで、従来、小規模な農産物生産では十分な収入を得ることが難しい。近年の農林業の大規模化政策は、農林業経営で安定かつ高額な収益を得る途を拓くことに寄与している。しかし農林業の大規模化、過度な効率化は資本力を要し、環境破壊を招くリスクもあるため、近年では欧州を中心に小規模な農林業を政策的に補助することで農林業を営むことを通じて環境保全を図る動きが生じている。
【0007】
小規模農林業は、地力や人手を活用することで自然生態系の保全を図りやすい。一方で、得られる農林産物の収量が不安定であったり、姿かたち(規格)にばらつきがあったりするため、生産者の手間に報いるだけの収益を上げがたい。
【0008】
本発明は、上記の異なる課題の複合的解決を図るものである。具体的には、本発明はオープンスペースの利用機会の増大などによりオープンスペース運営の収益構造を改善するとともに、農林業者の収益向上に寄与するオープンスペースの運営に用いられるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、複数の利用者が利用するスペースの運営に用いられるシステムであり、品質が異なる複数の農産物を納入し、品質および利用者ニーズに応じて、納入された農産物を利用者に提供しその収益を配分するシステムに係る。
【0010】
本発明の第1の実施態様に係るシステムは、オープンスペースに納入される複数の種類の農産物について、その種類、種類ごとの品質、品質ごとに仮に設定された単価(仮単価)を保持する農産物マスタを有する。システムはまた、実質同一日に納入され利用者に提供される農産物について、農産物の納入者ごとに農産物納入に対する対価としての仮支払額を算出する演算処理装置、および演算処理結果を保持する記憶装置とを有する。
【0011】
演算処理装置は、実質同一日にオープンスペースに届けられた複数の農産物に基づく売上および販売経費を保持する収益管理部を有する。収益管理部は、実質同一日にオープンスペースに届けられた複数の農産物の合計納入情報と、当該合計納入情報に係る複数の農産物の売上および販売経費の差分である仮収益情報とを算出し、当該仮収益情報と合計納入情報とに基づいて、当該納入日に納入された複数の農産物に対する支払額を算出することが好ましい。
【0012】
オープンスペースでは、原則として納入日が実質同一で複数の納入者から納入された農産物を、納入日からできるだけ短期間で利用者に提供する。具体的には原則として、納入日と実質同日または翌日に利用者に提供することが好ましい。すなわち、オープンスペースに納入されその利用者に提供される農産物の量は、農産物およびその加工品の提供対象であるオープンスペースの利用者などに農産物の納入日かその翌日に提供できる範囲内とすることが好ましい。鮮度が高い高品質な農産物およびその加工品を利用者などに提供できるためである。
【0013】
オープンスペースで1日といった短期間内に提供できる農産物およびその加工品の量は多くはないため、本発明は小規模農林業者が栽培等している農産物をオープンスペースで提供するサービスを提供することに好適に用いられる。
【0014】
なお本明細書において農産物とは、農林地その他の地上生態系から得られる食用産品をいい、野菜のほか、山菜、果物およびキノコ類も含む。農産物マスタに保持される農産物の種類情報としては、農産物を取引する際に用いられる名称や記号など、農産物の種類を特定する識別符号を用いればよい。農産物マスタには、各種類の農産物について、2以上の品質と各品質における単位農産物あたり(例えば1個)の単価を保持させる。単価としては、市場価格を反映させた標準的な単価を、仮置きで保持させておく。
【0015】
また「品質」とは、主として農産物の外見上の質を指すものとする。同一の納入者により納入された同一種類の農産物(例えばきゅうり)は、栽培方法、栽培場所は実質同一であり、外見的な形は違っても、味や成分、安心度といった内的な質は実質同一と考えられるためである。すなわち本明細書においては、同一栽培者により同一栽培地同一栽培法で栽培された同種農産物の中での外見(規格)の違いを「品質」または「規格」が異なると称する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来、流通させることが難しかった、外見上の品質(規格)に問題がある農産物の収益機会を増大させることができる。また、本発明によれば、オープンスペースの収益機会を向上させ、オープンスペースでの価値提供に係る人の間での利益配分に柔軟性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るオープンスペースの運営システム1の構成を示す概要図である。
図2】本発明の一実施態様に農産物マスタを示す図である。
図3】本発明の一実施態様に係るシステムで作成される入力画面の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施態様に係るシステムにおいて保持されるデータ例である。
図5】本発明の一実施態様に係るシステムを用いて運営されるオープンスペースの運営方法の模式図である。
図6】本発明の一実施態様に係るシステムを用いた情報処理のフロー図である。
図7】本発明の一実施態様に係るシステムにおいて保持されるデータ例である。
図8】本発明の一実施態様に係るシステムで作成される入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明について詳細に説明する。同一部には同一符号を付し、説明を省略または簡略化する。
<システム構成>
図1は、本発明の第1実施態様に係る運営システム1の構成を示す概要図である。システム1は、サーバ10と入出力端末20とを含む。サーバ10は概念上、入出力制御部を有するフロントエンドと、演算処理部と記憶部とを有するバックエンドとを有する。入出力制御部は、バックエンドが生成し入出力端末の表示画面に表示させる入出力画面や、入出力端末20から入力された情報を記憶部に記憶させるといった情報の入出力を行う。演算処理部は、入出力画面の生成や、入力端末20から入力された情報の演算処理(記憶部への記憶処理含む)を行う。記憶部は、入力端末20から入力された情報や演算処理部が作成した情報などの情報を保持する。
【0019】
システム1の記憶部には、図2に例示する農産物マスタが保持されている。農産物マスタには、複数の農産物について、取引市場でのその農産物の種類名称(例えば九条ネギ、白ネギ、青ネギ、細ネギ、下仁田ネギなど)と、その種類の農産物の2以上の品質と、品質ごとの単価とを保持させる。品質としては、一般的な消費者に提供する姿形(規格)を満たしている、満たしていない、の最低2種類を保持させる。本実施態様では、十分に規格を満たしている(1)、概ね規格を満たす(2)、規格外(3)としている。
【0020】
農産物マスタには、品質ごとに仮置きした単価(仮単価)が保持されている。仮単価は、農産物の包装単位(1袋5本入りなど)で設定してもよいが、本実施態様では農産物1個(ミニトマト1個など)あたりで設定されている。このように農産物1個当たりで仮単価を設定しておくことで、販売価格を決めた農産物セット(例えば2、000円)を容易に作れる。
【0021】
システム1のバックエンドは、オープンスペースに納入される農産物について、種類、種類ごとの品質、品質ごとの数量、納入日、納入者を特定する情報を入力するための納入情報入力画面3を生成する(図3参照)。納入情報入力画面3は、入出力制御部を介してサーバ10から入出力端末20に送られ、入出力端末20の表示画面に表示される。
【0022】
システム1のユーザは、入出力端末20に表示された納入情報入力画面3を用いて、農産物の種類、種類ごとの品質、品質ごとの数量、および納入者情報などを入力する。本実施態様では、納入情報入力画面3生成時に納入日情報が付されている。ユーザは自動入力された納入日を必要に応じて修正し、農産物納入データベース4に保持させる農産物納入データを決定し、入出力端末20を介してサーバ10の記憶部に格納される農産物納入データベース4に農産物納入データを保持させる。
【0023】
本実施態様のシステム1の演算処理部は、収益管理部を有している。収益管理部は、農産物納入データべ―ス4および農産物マスタ2を参照し、納入された農産物の種類と種類ごとの品質と品質ごとの数量および仮単価に基づき、納入者ごとの納入農産物の合計納入額401を算出し、農産物納入データベース4に保持させている(図4)。
【0024】
システム1の演算処理部はまた、セット編成処理部を有している。セット編成処理部は、農産物納入データべ―ス4および農産物マスタ2を参照し、納入者が異なる複数の納入農産物で構成される集積農産物(例えば納入日が実質同一であり、複数の納入者から納入された農産物の集合)の特定品質の農産物を集合として、集合を構成する農産物を指定された条件のセットを編成するための計算を行う。
【0025】
システム1では、農産物をオープンスペースの利用者等に提供することにより得られた売上が入力され、収益管理部が実質同一の納入日に納入された農産物の提供に基づく売上と販売経費の差分を算出する。システム1の収益管理部は、売上高と販売経費の差分である販売利益を、農産物の仮納入額と販売に要した作業費の配分割合に従って配分し、収益の分配を決定する。
【0026】
<システム1の使用方法(オープンスペース運営方法)>
図5、6を参照して、本発明の第1実施態様に係るシステム1を用いたオープンスペースの一実施態様である運営方法について説明する。
【0027】
オープンスペースSには、実質同一の納入日に複数の納入者から農産物V1、V2が納入される。農産物の情報はシステム1を用いて、納入者(山田A子)ごとに、納入された農産物の種類を特定する種類情報(農産物の名称や記号など)、複数の品質(本実施例では1、2、3の3種類)、品質ごとの数量を農産物納入データベース4に保持させる(納入データ入力処理S1)。図4に、農産物納入データベース4に保持される納入者別納入物データの例を示す。
【0028】
納入データ入力処理S1およびこれに伴う農産物の種類分け、種類ごとの品質分け、品質ごとの計数(以下、農産物の分級計数作業)は、オープンスペースSの関係者、農産物の生産者、納入者など任意の人が行ってよい。本実施態様に係るシステム1の納入情報入力画面3には、納入者ごとに、納入物の配達、納入データ入力処理S1、および分級計数の各作業者を特定する情報(納入作業者情報)の入力欄が設けられている。本実施態様では納入作業者情報は、入出力端末20を介してサーバ10の記憶部に設けた収支データベース5に保持させる。
【0029】
図7に収支データベース5に保持されるデータ例を示す。この例の収支データベース5には、実質同一の納入日にオープンスペースSに納入された複数の納入者からの農産物それぞれの仮支払額(仮単価に基づき計算された農産物価格合計)、農産物とその加工品の提供に要した複数の作業の各々についての仮支払額、および運営費が経費として保持されている。
【0030】
各種目の経費は、入力端末20から入力された情報と記憶部に保持された計算式とを用いて収益部が計算し、農産物納入データベース4および収支データベース5に保持される。例えば納入者ごとの農産物の仮支払額については、収益分配部が納入データ入力処理S2により入力された情報と農産物マスタ2に基づき、納入者ごとの農産物の仮の合計納入額401を算出する(納入合計額算出処理S2)。
【0031】
納入データ入力処理S1および納入合計額算出処理S2は納入者ごとに行う。実質同一の納入日に納入予定であった複数の納入者からの農産物は集積農産物としていったん集積される。集積農産物は、農産物は種類および品質ごと(例えば九条ネギ品質1グループ、九条ネギ品質2グループなど)に仕分けされ、品質に応じた利用に供される。
【0032】
実施態様においては、品質1の農産物VQ1は、オープンスペースSの調理設備Kを用いて調理人Cにより調理され、オープンスペースの第1の種類の利用者(加工食品利用会員)M1に提供される。品質2の農産物VQ2は、あらかじめ設定された価格範囲(例えば2,400~2,600円)となるセット(例えば、ナス5本、九条ネギ2本、トマト3つ、・・・など)に再編成される。
【0033】
本実施態様に係るシステム1の演算処理部は、セット編成処理部を有している。セット編処理部は、集積農産物を構成する農産物のうち指定された集合を構成する農産物を、指定された価格範囲に入る組を構成するセット編成処理S3を行う。一例としては、ユーザは集積農産物のうち品質2の農産物(農産物利用会員用集合VQ2)を、セット編成処理対象として指定する。またユーザは、1以上、好ましくは3程度の価格範囲を指定する。本実施例では、1700円前後、2000円前後、2300円前後の3つの価格帯が指定されている。農産物利用会員用集合および価格範囲の指定は、入力端末20から行い、指定された条件を少なくとも一時的に記憶部に記憶させる。
【0034】
セット編成処理部は、農産物マスタ2と前述したセット編成用の条件(指定された農産物利用会員用集合を構成する農産物および価格帯)を参照して集合を構成する農産物VQ2を、設定した価格範囲(2,400~2,600円)を構成する組となるよう、組み分けるセット編成処理S3を行う。
【0035】
セット編成処理部が算出した情報を参考にして作られた品質2の複数の農産物のセットVSは、オープンスペースの第2の種類の利用者(農産物利用会員)M2に提供される。品質2の農産物のセットは、加工食品利用会員に提供されなかった余剰の品質1の農産物を含んでよい。
【0036】
集積農産物を構成する農産物のうち、加工食品利用会員および農産物利用会員に提供されなかった農産物(残余集合)VQ3は、オープンスペースの第3の種類の利用者(食事利用会員)M3に提供される。残余集合VQ3は、オープンスペースの第4の種類の利用者(サポート会員)M4が調理設備Kを用いて調理して第4および第3の種類の利用者に提供するのが好ましい。
【0037】
農産物は、品質(規格)が優れている順に確実に提供されることが好ましい。例えば本実施態様では、加工食品利用会員と農産物利用会員とは、事前予約制で調理済みの農産物またはセット編成された農産物を栽培法などに由来する品質(安全性や味などの実品質)のみならず姿かたちの良さ(規格品質)にもこだわる利用者ニーズに応えうる品質とする。農産物利用会員に提供される農産物のセットは、複数の価格帯とし、加工食品利用会員への提供に供されなかった品質1の農産物と、規格品質の上で品質1に劣るが一般流通可能な規格の品質2の農産物とで構成するとよい。
【0038】
このように品質が相対的に優れた農産物は事前予約制で提供し、残余の農産物はそのまま、または調理して、事前予約なしでオープンスペースの利用者や関係者に供されるように運営するのが好ましい。本実施態様では、残余の農産物の一部をそのまま、スペースの会員等に提供する一方、オープンスペースの利用者のうち料理好きでスペースの運営を手伝いたい利用者(サポート会員)が調理設備Kで調理し、自ら消費しまたは他の会員に提供するようにしている。
【0039】
各利用者に提供される農産物およびその加工品については、各々、提供数と提供単価とを記録することが好ましい。本実施態様に係るシステム1では、バックエンドが利用者に提供される農産物およびその加工品について、種類、種類ごとの数量、単価を入力するための提供情報入力画面6を生成する(図8参照)。提供情報入力画面6は、入出力制御部を介してサーバ10から入出力端末20に送られ、入出力端末20の表示画面に表示される。
【0040】
システム1のユーザは、提供情報入力画面6から、利用者に提供した農産物およびその加工品の種類、種類ごとの数量、単価を入力する(提供情報入力処理S4)。収益管理部は、提供情報入力画面6から入力された情報と記憶部に保持された計算式とを用いて、納入日が実質同一の農産物に基づく売上(納入日別売上額)を算出し、収支データベース5に売上合計を保持させる(収益処理S5)。
【0041】
収益管理部はさらに、あらかじめ設定された条件に従って、農産物の提供に関わった人への利益配分を計算する。本実施態様では、売上から、品質1の農産物VQ1の調理人Cへの調理委託料と売上の2割と設定したオープンスペースの運営費とを除いた収益を、関係者へ配分する収益(配分売上)としている。
【0042】
本実施態様では、収益管理部は、農産物の提供に関わった人(調理人Cを除いた納入者、配送者、分級計数者、会員調理者。以下「配分対象者」)各々の作業量と作業単価(農産物納入者の場合は納入農産物の仮単価×個数の合計)とを仮支払額として算出する。そして、配分担当者全員仮支払額合計に対して各配分対象者の仮支払額が占める比率(支払比率)に応じて、配分売上を配分することで、最終的な支払額を算出する。
【0043】
このように農産物の提供に係る経費について仮支払額を算出し、その総計に対し各仮支払額が占める比率に応じて、最終的に配分できる配分売上を配分すれば、実際の売上に応じて農産物の提供に関わった人に支払いを行うことができる。
【0044】
このように、オープンスペースを介して種類や品質が複数ある農産物を品質(規格)ごとに2以上に分級し、それぞれの規格に応じて利用者ニーズに合わせて異なる提供方法で利用者に提供することで、農産物の売れ残りの発生を防止できる。また、相対的に上位の品質の農産物は高額で提供できるため、農産物の収益を向上させることができる。さらに、相対的に下位の品質の農産物も調理することで虫食いなどが気になる消費者にも提供でき、また相対的に下位の品質の農産物は調理コストを抑えるなどにより低価格で提供できるため、一般のルートでは流通が難しい農産物も廃棄せず収益源にできる。
【符号の説明】
【0045】
1 オープンスペースの運営システム
S オープンスペース
K 調理設備
V1、V2 農産物
M1~4 オープンスペースの利用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8