IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 萩原 良昭の特許一覧

<>
  • 特開-光電変換半導体装置 図1
  • 特開-光電変換半導体装置 図2
  • 特開-光電変換半導体装置 図3
  • 特開-光電変換半導体装置 図4
  • 特開-光電変換半導体装置 図5
  • 特開-光電変換半導体装置 図6
  • 特開-光電変換半導体装置 図7
  • 特開-光電変換半導体装置 図8
  • 特開-光電変換半導体装置 図9
  • 特開-光電変換半導体装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027680
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】光電変換半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0352 20060101AFI20220204BHJP
【FI】
H01L31/04 340
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131313
(22)【出願日】2020-08-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】514168186
【氏名又は名称】萩原 良昭
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】萩原 良昭
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA01
5F151DA03
5F151DA20
5F151FA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光電変換の効率を改善する。
【解決手段】光電変換半導体装置1の深さ方向にN領域4の表裏をP領域3、5で挟み、更にP領域3の表側とP領域5の裏側を、濃度勾配型バリア電界生成用のP+領域2とP+領域6で挟んだP+PNPP+接合部7を設ける。P+領域2の表側に受光窓領域8、第1の極性の外面電極9、P+領域6の裏側に第1の極性の外面電極10を設ける。N領域4の深さ方向の中央部に光電子吸出し用のN+領域11を設け、N+領域11の外側に第2の極性の外面電極12を設ける。第1の極性の外面電極9、10をグランドに接続し、第2の極性の外面電極12とグランドの間に、電荷蓄積用の容量30を接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に、表側から裏側に向かう深さ方向にN領域の表裏両側を表側のP領域及び裏側のP領域で挟み、更に当該表側のP領域の表側と裏側のP領域の裏側を、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界生成用の表側のP+領域と裏側のP+領域とで挟んだP+PNPP+接合部を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の深さ方向の中央部に、該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
前記N+領域の外側に、該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴とする光電変換半導体装置。
【請求項2】
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内にN領域を設け、
該N領域の裏側左右端部近くの一部を除く表側、裏側、側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにして表側のP+領域を設け、
前記P領域の裏側に、該P領域の表面に接触するようにして裏側のP+領域を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側の左右端部近くに、当該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、当該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴とする光電変換半導体装置。
【請求項3】
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に設けたN領域の裏側中央部を除く表側、裏側、側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにして表側のP+領域を設け、
前記P領域の裏側に、該P領域の表面に接触するようにして裏側のP+領域を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、当該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側の中央部に、当該N領域に接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、当該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴とする光電変換半導体装置。
【請求項4】
面側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に設けた断面がくし形のN領域の裏側を除く表側と側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにしてP+領域を設け、
該P+領域の表側に、受光窓領域及び当該P+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側に、該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、当該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
第1の極性の外面電極をグランドに接続し、第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴とする光電変換半導体装置。
【請求項5】
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に設けた断面がくし形のN領域の裏側中央部を除く表側、裏側、側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにして表側のP+領域を設け、
前記P領域の裏側に、該P領域の表面に接触するようにして裏側のP+領域を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、当該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側の中央部に、該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴とする光電変換半導体装置。
【請求項6】
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に光電変換層を設け、
この光電変換層は、
光電変換半導体装置内に設けたN領域と、
該N領域の表側中央部を除く表側に、当該N領域の表面に接触するようにして設けた表側のP領域と、
前記N領域の裏側に、当該N領域の表面に接触するようにして設けた裏側のP領域と、
前記表側のP領域の表側の全部または一部と側面側、前記N領域の側面側、前記裏側のP領域の裏側と側面側を囲むようにして設けたP+領域と、
前記N領域の表側の中央部に、当該N領域と接触するようにして設けた表側のN+領域と、
を含み、
前記光電変換部の表側に、受光窓領域と、前記P+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極と、前記N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記P+領域の裏側に、第2のN領域と第2のN+領域の内、少なくとも一方を介して金属製反射領域を設け、
前記第1の極性の外面電極と金属製反射領域をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴とする光電変換半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光電変換半導体装置に係り、とくに光電変換半導体装置内に生じた光電子の再結合を抑制することでエネルギー変換効率を改善するようにした光電変換半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化を抑制する自然エネルギーとして太陽光発電が注目されている。太陽光発電には、N型半導体領域とP型半導体領域を隣接させたPN接合を有し、光照射で生じた光電子と正孔を各々、PN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界によりN型半導体領域側とP型半導体領域側に分離させて、N型半導体領域のPN接合とは反対側端部と、P型半導体領域のPN接合とは反対側端部の間に光起電力を生じさせるようにした光電変換半導体装置が用いられる。
ところで、太陽光のエネルギー密度は薄く、発電量を増やそうとすると大規模な施設が必要となる。このため、太陽光発電の普及には、太陽電池の変換効率の更なる改善が重要である。
【0003】
変換効率の改善策の一つとして従来、例えば特開昭53-10987号公報や特開平07-297444号公報に示す如く、光電変換半導体装置の表面と平行なPN接合面を深さ方向(上下方向)に複数個形成する手法が提案されていた。
けれども、上記した特開昭53-10987号公報や特開平07-297444号公報の光電変換半導体装置では、光電子はN領域のエネルギー準位の低い場所に移動して滞留するが、その滞留した光電子の量に応じてN領域の電位は固定されずに変動し、滞留した光電子がN領域の空乏層を狭めて光電子・空孔の再結合を促進したり、光電変換半導体装置の表面近くで再結合が起き易く、変換効率の向上に限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑みなされたもので、光電変換の変換効率の向上を図った光電変換半導体装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に、表側から裏側に向かう深さ方向にN領域の表裏両側を表側のP領域及び裏側のP領域で挟み、更に当該表側のP領域の表側と裏側のP領域の裏側を、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界生成用の表側のP+領域と裏側のP+領域とで挟んだP+PNPP+接合部を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の深さ方向の中央部に、該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
前記N+領域の外側に、該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
請求項2記載の発明では、
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内にN領域を設け、
該N領域の裏側左右端部近くの一部を除く表側、裏側、側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにして表側のP+領域を設け、
前記P領域の裏側に、該P領域の表面に接触するようにして裏側のP+領域を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側の左右端部近くに、当該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、当該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
請求項3記載の発明では、
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に設けたN領域の裏側中央部を除く表側、裏側、側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにして表側のP+領域を設け、
前記P領域の裏側に、該P領域の表面に接触するようにして裏側のP+領域を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、当該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側の中央部に、当該N領域に接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、当該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
請求項4記載の発明では、
面側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に設けた断面がくし形のN領域の裏側を除く表側と側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにしてP+領域を設け、
該P+領域の表側に、受光窓領域及び当該P+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側に、該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、当該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
第1の極性の外面電極をグランドに接続し、第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
請求項5記載の発明では、
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に設けた断面がくし形のN領域の裏側中央部を除く表側、裏側、側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにして表側のP+領域を設け、
前記P領域の裏側に、該P領域の表面に接触するようにして裏側のP+領域を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、当該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側の中央部に、該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
請求項6記載の発明では、
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に光電変換層を設け、
この光電変換層は、
光電変換半導体装置内に設けたN領域と、
該N領域の表側中央部を除く表側に、当該N領域の表面に接触するようにして設けた表側のP領域と、
前記N領域の裏側に、当該N領域の表面に接触するようにして設けた裏側のP領域と、
前記表側のP領域の表側の全部または一部と側面側、前記N領域の側面側、前記裏側のP領域の裏側と側面側を囲むようにして設けたP+領域と、
前記N領域の表側の中央部に、当該N領域と接触するようにして設けた表側のN+領域と、
を含み、
前記光電変換部の表側に、受光窓領域と、前記P+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極と、前記N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記P+領域の裏側に、第2のN領域と第2のN+領域の内、少なくとも一方を介して金属製反射領域を設け、
前記第1の極性の外面電極と金属製反射領域をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
各請求項において、N+領域をN領域に埋め込むように設けても良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、N領域のエネルギー準位の低い箇所に移動して来た光電子をN+領域へ吸い出し、N領域の空乏化状態を常に維持し、空乏層が狭くなるのを防止することにより、光電子・空孔の再結合を抑制が可能となる。またP+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界により、表側や裏側の表面近くでの再結合の抑制もでき、変換効率の向上を図ることができる。
またP+領域の表面がグランド電位に固定されることで、サージ等の外乱の影響を受けにくくなるとともに、P+領域のごく表面近くの電界が零となることで、P+領域のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって外部または内部の容量を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は本発明の第1実施例に係る光電変換半導体装置の断面構造と外部回路の構成および不純物濃度プロファイルを示す説明図である(実施例1)。
図2図2図1の光電変換半導体装置の不純物濃度プロファイルを示す説明図である。
図3図3図1中のP+PNPP+接合部の深さ方向のエネルギーバンドを示す説明図である。
図4図4は本発明の第2実施例に係る光電変換半導体装置の断面構造と外部回路の構成を示す構成図である(実施例2)。
図5図5は本発明の第3実施例に係る光電変換半導体装置の断面構造と外部回路の構成を示す構成図である(実施例3)。
図6図6は本発明の第4実施例に係る光電変換半導体装置の断面構造と外部回路の構成を示す構成図である(実施例4)。
図7図7は本発明の第5実施例に係る光電変換半導体装置の断面構造と外部回路の構成を示す構成図である(実施例5)。
図8図8図7の光電変換半導体装置の種々の方向に沿ったエネルギーバンドを示す説明図である。
図9図9は本発明の第6実施例に係る光電変換半導体装置の断面構造と外部回路の構成を示す構成図である(実施例6)。
図10図10は本発明の第7実施例に係る光電変換半導体装置の断面構造と外部回路の構成を示す構成図である(実施例7)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の最良の形態を実施例に基づき説明する。
【実施例0009】
図1乃至図3を参照して本発明の第1実施例に係る光電変換半導体装置を説明する。図1は光電変換半導体装置の断面構造と外部回路を示す説明図、図2図1の光電変換半導体装置の具体的な不純物濃度プロファイルを示す説明図、図3図1中のP+PNPP+接合部の深さ方向のエネルギーバンドを示す説明図である。光電子のエネルギーレベルは光電変換半導体装置の表側及び裏側のP+領域内が一番高く、N+領域内が一番低くなる。
図1において、1は太陽光を受光して光起電力を発生する光電変換半導体装置であり、右側が表側表面(受光主面)、左側が裏側表面であり、深さ方向は右から左へ向かう方向である。表側表面から深さ方向にP+領域2、P領域3、N領域4、P領域5、P+領域6が多段接合されたP+PNPP+接合部7、P+領域2の表側表面に接触するように設けられた透明な受光窓領域としての絶縁性のSiO2領域8及びP+領域2の表側表面に接触するように設けられた第1の極性の外面電極9、P+領域6の裏側表面に接触するように設けられた第1の極性の外面電極10、N領域4の深さ方向の中央部に接触するようにして埋め込み状態で設けられた光電子吸出し用のN+領域11及びN+領域11の外側に設けられた第2の極性の外面電極12を備えている。表側と裏側のP領域3と5はここでは深さ方向の厚みが同一に形成されている例を示す。外面電極9はP+領域2と導通しており、外面電極10はP+領域6と導通しており、外面電極12はN+領域11と導通している。各外面電極9、10、12は金属製である。
【0010】
P+PNPP+接合部7は、N領域4の深さ方向の中央を中心にして表裏方向に略対称に形成されている。すなわち、N領域4の表裏両側を表側のP領域3及び裏側のP領域5で挟み、更に当該表側のP領域3の表外側と裏側のP領域の裏外側を、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界生成用の表側のP+領域2と裏側のP+領域6で挟んで積層して成る。P領域3、N領域4、P領域5は深さ方向に2段のPN接合面を形成するものであり、N領域4とP領域3の接合面jk1を挟んだ上下両側(図1では左右両側)、N領域4とP領域5の接合面jk2を挟んだ上下両側(図1では左右両側)に、PN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界領域が形成される。
【0011】
表側のP+領域2は光電変換半導体装置1の表側表面近くでの光電子の再結合を抑制するため、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界を生成するとともに、青色短波長の光成分に対する光電変換効率の改善をするために設けられた領域である。太陽光は短波長領域のエネルギー量が大きな割合を示すが、例えばシリコン半導体では、青色短波長の光は表面から0.2μm程度の深さまでしか内部に透過できない。この実施例では、受光面である表側表面近くのP+P濃度勾配型バリア電界が青色短波長の光入射で生じた光電子・正孔の再結合を抑制するようにしてあり、受光面近くでの光電変換が可能となる。表側のP+領域2とP領域3との境界面jk3を挟んだ上下両側(図1では左右両側)に濃度勾配型バリア電界領域が形成されている。
【0012】
裏側のP+領域6は裏側表面近くでの光電子の再結合を抑制するため、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界を生成するためのものであり、裏側のP+領域6とP領域5との境界面jk4を挟んだ上下両側(図1では左右両側)に濃度勾配型バリア電界領域が形成される。P+領域2、P領域3、N領域4、P領域5、P+領域6のドナー密度、アクセプタ密度、深さ方向の厚さは、PN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界とP+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界が深さ方向にほぼ一体化して一つのほぼ完全なバリア電界領域Wd(20~40μmがWdの最適幅。図3参照)が形成されるように設定されている。図2に光電変換半導体装置1のa-a’線に沿った不純物濃度プロファイルとb-b’線に沿った不純物濃度プロファイルの具体的な例を示す。
【0013】
光電変換半導体装置1の内、表側と裏側のP+領域2と6に設けられた外面電極9、10はグランドに接続されており、グランド電位に固定されている。一方、N+領域11に設けられた外面電極12とグランドとの間には電荷蓄積用の外部容量30が接続されている。また、外部容量30にはスイッチ31を介して外部負荷32が接続されている。
なお、図1の外部回路は一例であり、光電変換半導体装置1の外部に外部容量を設ける代わりに、光電変換半導体装置1の内部に電荷蓄積用の容量(図示せず)を形成し、この容量の両極をN+領域11に設けられた外面電極12とグランド間に接続するようにしても良い。
【0014】
P+PNPP+接合部7の深さ方向のエネルギーバンドは図3の如くなり、表側及び裏側のP+領域2、6は光電子のエネルギーレベルが一番高くなり、N領域4の中央付近が一番低くなる。N+領域11はN領域4の中央付近より更に一段低くなる。
表側のSiO2領域8を通した入射光で発生した光電子(e-)とホール(h+)は、表側及び裏側のP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合型バリア電界領域を合わせたバリア電界領域Wdの電界により直ちに分離されるので、再結合することなく光電子はエネルギーレベルが一番低いN領域4の中央へ移動し、ホールは表側と裏側のP+領域2、6へ移動する。仮にN領域4の中央付近に光電子が溜まったままになるとN領域4の空乏層が狭くなってしまい、光電子とホールの再結合がし易くなってしまう。この実施例では、N領域4の中央付近に設けられたエネルギーレベルの一段番低いN+領域11の側へ光電子が移動するので、N領域4の空乏層が狭くなることはない。
表側と裏側のP+領域2、6に到達したホールは外面電極9、10より供給される電子と結合して消失する。スイッチ31が開のとき、N+領域11に到達した光電子はN+領域11、外面電極12、外部容量30の+極30aに蓄積される。図1の外部回路は、スイッチ31を閉にすると、外部容量30に蓄積された光電子が外部負荷32に流れ、N+領域11、外面電極12、外部容量30の+極30aに蓄積された光電子がリセットされる例を示す。
【0015】
光電変換半導体装置1の表側のP+領域2の表側表面と裏側のP+領域6の裏側表面がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界領域を合わせたバリア電界領域Wdの全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置1の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域Wdのいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域11に蓄積した光電子がN領域4の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
また表側のP+領域2の表側表面と裏側のP+領域6の裏側表面がグランド電位に固定されることで、P+領域2の表側のごく表面近くとP+領域6の裏側のごく表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域6のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって電荷電荷蓄積用の外部容量30を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【0016】
この実施例によれば、表面側から裏面側に向かう深さ方向にN領域4の表裏両側をP領域3、5で挟み、更に、両P領域3、5の外側をバリア電界生成用のP+領域2、6で挟んだP+PNPP+接合部7を設け、この内、PNP接合部分をN領域4の深さ方向の中央を中心にして表裏方向に対称に形成し、N領域4の深さ方向の中央部に接触するよにして設けたN+領域11により光電子を吸い出すようにしたことにより、P+PNPP+接合部7のほぼ全域にわたるバリア電界領域Wdを容易に形成することができ、表面側のSiO2領域8を通した光入射で発生した光電子とホールを再結合することなく分離させ、光電子をN領域4の中央付近からエネルギーレベルの一段低いN+領域11へ吸い出すことができるので、N領域4に光電子が滞留せず、光電変換効率の高い光電変換半導体装置1が得られる。
また光電変換半導体装置1の表裏のP+領域2、6がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界領域を合わせたバリア電界領域Wdの全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置1の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域Wdのいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域11に蓄積した光電子がN領域4の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
またP+領域2の表側表面とP+領域6の裏側表面がグランド電位に固定されることで、P+領域2の表側表面近くとP+領域6の裏側表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域2と6のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって外部または内部の容量を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【実施例0017】
図4を参照して本発明の第2実施例に係る光電変換半導体装置を説明する。
図4において、50は太陽光を受光して光起電力を発生する光電変換半導体装置であり、上側が表側、下側が裏側であり、深さ方向は上から下へ向かう方向である。光電変換半導体装置50の内部に断面が略長方形のN領域51が設けられている。N領域51の裏側の左右端部近くには裏側方向へ突設された突設部51a、51bが形成されている。N領域51の内、裏側の突設部51a、51bの裏側端面51c、51dを除く裏側表面、上側表面、側周面に接触しながら周囲を囲むようにしてP領域52が設けられている。P領域52の裏側の左右端部近くには突設部51a、51bの側面周囲を囲むように一段裏側に突設した段差部52a、52bが形成されている。N領域51とP領域52の境界にPN接合面が形成されており、PN接合面を挟んだ上下両側または左右両側にPN接合型バリア電界領域が形成されている。
【0018】
P領域52の表外側にP領域52の表面に接触するようにして面方向に延設された表側のP+領域53が設けられている。表側のP+領域53は光電変換半導体装置50の表側表面近くでの光電子の再結合を抑制するため、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界を生成するとともに、青色短波長の光に対する光電変換効率の改善をするために設けられた領域である。P+領域53とP領域52との境界面を挟んだ上下両側に濃度勾配型バリア電界領域が形成されている。
【0019】
P領域52の裏外側の内、段差部52a、52bの裏側端面52c、52dを除くP領域52の裏側表面に接触するようにして面方向に沿ってP+領域54、55、56が設けられている。P+領域54、55、56は光電変換半導体装置50の裏側表面近くでの光電子の再結合を抑制するため、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界を生成するために設けられた領域である。P+領域54、55、56とP領域52との境界面を挟んだ上下両側に濃度勾配型バリア電界領域が形成されている。
N領域51の裏側の左右端部の一部に接触するようにして光電子吸出し用のN+領域57、58が設けられている。具体的には突設部51a、51bにN+領域57、58が埋め込み状態で設けられている。N+領域57、58の光電子エネルギーレベルはN領域51より一段低く、N領域51に集まった光電子を吸い出す機能を有する。P+領域54、55、56、段差部52a、52bの裏側端面52c、52d、突設部51a、51bの裏側端面51c、51d、N+領域57、58の裏側端面57a、58aは受光主面に平行な平面を成す。N領域51、P領域52、P+領域53、54、55、56、N+領域57、58により、光電変換層59が構成されている。
【0020】
光電変換層59の表側には、P+領域53の表側の左右端部を除く表面に接触するようにして透明な受光窓領域としての絶縁性のSiO2領域60が設けられている。SiO2領域60の左側と右側には表側のP+領域53の表側表面の左右端部と導通した第1の極性の外面電極61、62が設けられている。
光電変換層59の裏側には、P+領域56の左右端部を除く裏外側に、P+領域56の表面と導通した第1の極性の外面電極63、左右端部のP+領域54、55の裏外側にP+領域54、55の表面と導通した第1の極性の外面電極64、65が設けられている。またN+領域57、58の裏外側に、N+領域57、58の表面と導通した第2の極性の外面電極66、67が設けられている。光電変換層59の左右側面には絶縁性のSiO2領域68、69が設けられている。光電変換層59の裏側の外面電極63、64、65、66、67以外の外面には絶縁性のSiO2領域70、71、72、73が設けられている。
【0021】
光電変換半導体装置50は、N領域51の左右方向の中央を通り、深さ方向に延びた対称線C1から見て、N領域51、P領域52、P+領域53、54、55、56、N+領域57、58、外面電極61、62、63、64、65、66、67、SiO2領域60、68、69、70、71、72、73が左右線対称に形成されている。各外面電極61、62、63、64、65、66、67は金属製である。外面電極63は光電変換半導体装置50の裏側に到達した入射光の可視光成分を反射し、再度、光電変換させたり、入射光の遠赤外成分を反射し、光電変換半導体装置50の表外側に放出させて光電変換半導体装置50の昇温を抑制する機能を有する。
【0022】
光電変換半導体装置50の内、外面電極61、62、63、64、65はグランドに接続されており、グランド電位に固定されている。一方、外面電極66、67とグランドとの間には電荷蓄積用の外部容量30が接続されている。また、外部容量30にはスイッチ31を介して外部負荷32が接続されている。なお、光電変換半導体装置50の内部に電荷蓄積用の容量(図示せず)を形成し、この容量の両極をN+領域57、58に設けられた外面電極66、67とグランド間に接続するようにしても良い。
【0023】
光電子のエネルギーレベルは表側及び裏側のP+領域53、54、55、56が一番高く、内部のP領域52、N領域51、N+領域57と58の順に低くなる。
表面側のSiO2領域60を通した入射光で発生した光電子(e-)とホール(h+)は、表側及び裏側のP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界により直ちに分離されるので、再結合することなく光電子はエネルギーレベルが一番低いN+領域57、58へ移動し、ホールはP+領域53、54、55、56へ移動する。
P+領域53、54、55、56に到達したホールは外面電極61、62、63、64、65より供給される電子と結合して消失する。スイッチ31が開のとき、N+領域57、58に到達した光電子はN+領域57、58、外面電極66、67、外部容量30の+極30aに蓄積される。図4の外部回路は、スイッチ31を閉にすると、外部容量30に蓄積された光電子が外部負荷32に流れて、N+領域57、58、外面電極66、67、外部容量30の+極30aに蓄積された光電子がリセットされる例を示す。
【0024】
光電変換半導体装置50の表側のP+領域53、裏側のP+領域54、55、56の表面がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界領域の全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置50の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域のいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域57、58に蓄積した光電子がN領域51の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
またP+領域53、54、55、56の表面がグランド電位に固定されることで、P+領域53の表側のごく表面近くと、54、55、56の裏側のごく表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域53、54、55、56のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって電荷電荷蓄積用の外部容量30を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【0025】
この第2実施例によれば、P領域52によりN領域51の周囲を囲み、深さ方向に多層のPN接合面を形成し、更にP領域52の表裏両側の表面に再結合阻止用のP+領域53、54、55、56を設けるとともに、N領域51の裏側表面の左右端部近くにN+領域57、58を設けて光電子を吸い出すようにしたことにより、深さ方向のほぼ全域にわたりバリア電界領域を形成することができ、SiO2領域60を通した光入射で発生した光電子とホールを再結合することなく分離させ、光電子をN領域51からエネルギー準位の一段低いN+領域57、58へ吸い出すことができるので、N領域51に光電子が滞留せず、光電変換効率の高い光電変換半導体装置50が得られる。
また、裏面側に到達した入射光は外面電極63により再度、表面方向に反射されて可視光成分が光電子に変換されるので、これによっても変換効率が改善する。入射光の遠赤外線成分は外面電極63により反射されて光電変換半導体装置50の表面から外側に放出されるので、光電変換半導体装置50の設置台側が昇温せずに済み、冷却設備の負担を軽減したり、変換効率の悪化防止をしたりすることができる。
光電変換半導体装置50のP+領域53、54、55、56の表面がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合型バリア電界領域の全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置50の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域のいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域57、58に蓄積した光電子がN領域51の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
またP+領域53、54、55、56の表面がグランド電位に固定されることで、P+領域53の表側のごく表面近くと、54、55、56の裏側のごく表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域53、54、55、56のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって電荷電荷蓄積用の外部容量30を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【実施例0026】
図5を参照して本発明の第3実施例に係る光電変換半導体装置を説明する。
図5において、70は太陽光を受光して光起電力を発生する光電変換半導体装置であり、上側が表側、下側が裏側であり、深さ方向は上から下へ向かう方向である。光電変換半導体装置70の内部には、断面が略T字状のN領域71が設けられている。N領域71の裏側の中央部には裏側方向へ突設された突設部71aが形成されている。N領域71の内、裏側の突設部71aの裏側端面を除く裏側表面、表側表面、側周面に接触しながら周囲を囲むようにしてP領域72が設けられている。P領域72の裏側の中央近くには突設部71aの側面周囲を囲むように一段表側に突設した段差部72aが形成されている。N領域71とP領域72の境界にPN接合面が形成されており、PN接合面を挟んだ上下両側または左右両側にPN接合型バリア電界領域が形成される。
【0027】
P領域72の表外側にP領域72の表面に接触するようにして面方向に延設された表側のP+領域73が設けられている。表側のP+領域73は光電変換半導体装置70の表側表面近くでの光電子の再結合を抑制するため、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界を生成するとともに、青色短波長の光に対する光電変換効率の改善をするために設けられた領域である。P+領域73とP領域72との境界面を挟んだ上下両側に濃度勾配型バリア電界領域が形成されている。
【0028】
P領域72の裏外側の内、段差部72aの裏側端面72bを除くP領域72の裏側表面に接触するようにして面方向に沿ってP+領域74、75が設けられている。P+領域74、75は光電変換半導体装置70の裏側表面近くでの光電子の再結合を抑制するため、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界を生成するために設けられた領域である。P+領域74、75とP領域72との境界面を挟んだ上下両側に濃度勾配型バリア電界領域が形成されている。
N領域71の裏側の中央部に接触するようにして光電子吸出し用のN+領域76が設けられている。具体的には突設部71aにN+領域76が埋め込み状態で設けられている。N+領域76の光電子エネルギーレベルはN領域71より一段低く、N領域71に集まった光電子を吸い出す機能を有する。P+領域74、75、段差部72aの裏側端面72b、突設部71aの裏側端面71b、N+領域76の裏側端面76aは受光主面に平行な平面を成す。N領域71、P領域72、P+領域73、74、75、N+領域76により、光電変換層77が構成されている。
【0029】
光電変換層77の表側には、P+領域73の表側の左右端部を除く表面に接触するようにして透明な受光窓領域としての絶縁性のSiO2領域78が設けられている。SiO2領域78の左側と右側には表側のP+領域73の表側表面の左右端部と導通した第1の極性の外面電極79、80が設けられている。
光電変換層77の裏側には、P+領域74の左右端部を除く裏外側に、P+領域74の表面と導通した第1の極性の外面電極81、P+領域75の左右端部を除く裏外側に、P+領域75の表面と導通した第1の極性の外面電極82が設けられている。またN+領域76の裏外側に、N+領域76の表面と導通した第2の極性の外面電極83が設けられている。光電変換層77の左右側面には絶縁性のSiO2領域84、85が設けられている。光電変換層77の裏側の外面電極81、82、83以外の外面には絶縁性のSiO2領域86、87が設けられている。
【0030】
光電変換半導体装置70は、N領域71の左右方向の中央を通り、深さ方向に延びた対称線C2から見て、N領域71、P領域72、P+領域73、74、75、N+領域76、外面電極79、80、81、82、83、SiO2領域78、84、85、86、87が左右線対称に形成されている。各外面電極79、80、81、82、83は金属製である。外面電極81、82は光電変換半導体装置70の裏側に到達した入射光の可視光成分を反射し、再度、光電変換させたり、入射光の遠赤外成分を反射し、光電変換半導体装置70の表外側に放出させて光電変換半導体装置70の昇温を抑制する機能を有する。
【0031】
光電変換半導体装置70の内、外面電極79、80、81、82はグランドに接続されており、グランド電位に固定されている。一方、外面電極83とグランドとの間には電荷蓄積用の外部容量30が接続されている。また、外部容量30にはスイッチ31を介して外部負荷32が接続されている。なお、光電変換半導体装置70の内部に電荷蓄積用の容量(図示せず)を形成し、この容量の両極をN+領域76に設けられた外面電極83とグランド間に接続するようにしても良い。
【0032】
光電子のエネルギーレベルは表側及び裏側のP+領域73、74、75が一番高く、内部のP領域72、N領域71、裏側のN+領域76の順に低くなる。
表面側のSiO2領域78を通した入射光で発生した光電子(e-)とホール(h+)は、表側及び裏側のP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界により直ちに分離されるので、再結合することなく光電子はエネルギーレベルが一番低いN+領域76へ移動し、ホールはP+領域73、74、75へ移動する。
P+領域73、74、75に到達したホールは外面電極79、80、81、82により供給される電子と結合して消失する。スイッチ31が開のとき、N+領域76に到達した光電子はN+領域76、外面電極83、外部容量30の+極30aに蓄積される。図5の外部回路は、スイッチ31を閉にすると、外部容量30に蓄積された光電子が外部負荷32に流れて、N+領域76、外面電極83、外部容量30の+極30aに蓄積された光電子がリセットされる例を示す。
【0033】
光電変換半導体装置70の表側のP+領域73、裏側のP+領域74、75の表面がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界領域の全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置70の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域のいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域76に蓄積した光電子がN領域71の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
またP+領域73、74、75の表面がグランド電位に固定されることで、P+領域73の表側のごく表面近くと、74、75の裏側のごく表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域73、74、75のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって電荷電荷蓄積用の外部容量30を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【0034】
この第3実施例によれば、P領域72によりN領域71の周囲を囲み、深さ方向に多層のPN接合面を形成し、更にP領域72の表裏両側の表面に再結合阻止用のP+領域73、74、75を設けるとともに、N領域71の裏側の中央部にN+領域76を設けて光電子を吸い出すようにしたことにより、深さ方向のほぼ全域にわたりバリア電界領域を形成することができ、SiO2領域78を通した光入射で発生した光電子とホールを再結合することなく分離させ、光電子をN領域71からエネルギー準位の一段低いN+領域76へ吸い出すことができるので、N領域71に光電子が滞留せず、光電変換効率の高い光電変換半導体装置70が得られる。
また、裏面側に到達した入射光は外面電極81、82により再度、表面方向に反射されて可視光成分が光電子に変換されるので、これによっても変換効率が改善する。入射光の遠赤外線成分は外面電極81、82により反射されて光電変換半導体装置70の表面から外側に放出されるので、光電変換半導体装置70の設置台側が昇温せずに済み、冷却設備の負担を軽減したり、変換効率の悪化防止をしたりすることができる。
光電変換半導体装置70のP+領域73、74、75の表面がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合型バリア電界領域の全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置70の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域のいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域76に蓄積した光電子がN領域71の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
またP+領域73、74、75の表面がグランド電位に固定されることで、P+領域73の表側のごく表面近くと、74、75の裏側のごく表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域73、74、75のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって電荷電荷蓄積用の外部容量30を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【実施例0035】
図6を参照して本発明の第4実施例に係る光電変換半導体装置を説明する。
図6において、90は太陽光を受光して光起電力を発生する光電変換半導体装置であり、上側が表側、下側が裏側であり、深さ方向は上から下へ向かう方向である。光電変換半導体装置90には、断面がくし形(横向きH字状)のN領域91が設けられている。N領域91の内、裏側表面を除く上側表面、側周面に接触しながら周囲を囲むようにしてP領域92が設けられている。N領域91とP領域92の境界にPN接合面が形成されており、PN接合面を挟んだ上下両側と左右両側にPN接合型バリア電界領域が形成される。
【0036】
P領域92の表外側にP領域92の表面に接触するようにして面方向に延設された表側のP+領域93が設けられている。表側のP+領域93は光電変換半導体装置90の表側表面近くでの光電子の再結合を抑制するため、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界を生成するとともに、青色短波長の光に対する光電変換効率の改善をするために設けられた領域である。P+領域93とP領域92との境界面を挟んだ上下両側に濃度勾配型バリア電界領域が形成されている。
N領域91の裏側表面及びP領域92の裏側表面に接触するようにして面方向に沿って延設された光電子吸出し用のN+領域94が設けられている。N+領域94の左右方向の中央部はN領域91の裏側中央部に埋め込み状態となるように突出した突出部94aとなっている。N+領域94の光電子エネルギーレベルはN領域91より一段低く、N領域91に集まった光電子を吸い出す機能を有する。N領域91、P領域92、P+領域93、N+領域94により、光電変換層95が構成されている。
【0037】
光電変換層95の表側には、P+領域93の表側の左右端部を除く表面に接触するようにして透明な受光窓領域としての絶縁性のSiO2領域96が設けられている。SiO2領域96の左側と右側には表側のP+領域93の表側表面の左右端部と導通した第1の極性の外面電極97、98が設けられている。
光電変換層95の裏側には、N+領域94の中央部を除く裏外側に絶縁性のSiO2領域99、100が設けられており、このSiO2領域99、100の裏外側に、中央部でN+領域94の裏外側表面と導通した第2の極性の外面電極101が設けられている。
【0038】
光電変換半導体装置90は、N領域91の左右方向の中央を通り、深さ方向に延びた対称線C3から見て、N領域91、P領域92、P+領域93、N+領域94、外面電極97、98、101、SiO2領域96、99、100が左右線対称に形成されている。各外面電極97、98、101は金属製である。外面電極101は光電変換半導体装置90の裏側に到達した入射光の可視光成分を反射し、再度、光電変換させたり、入射光の遠赤外成分を反射し、光電変換半導体装置90の表外側に放出させて光電変換半導体装置90の昇温を抑制する機能を有する。
【0039】
光電変換半導体装置90の内、外面電極97、98はグランドに接続されており、グランド電位に固定されている。一方、外面電極101とグランドとの間には電荷蓄積用の外部容量30が接続されている。また、外部容量30にはスイッチ31を介して外部負荷32が接続されている。なお、光電変換半導体装置90の内部に電荷蓄積用の容量(図示せず)を形成し、この容量の両極をN+領域94に設けられた外面電極101とグランド間に接続するようにしても良い。
【0040】
光電子のエネルギーレベルは表側のP+領域93が一番高く、P領域92、N領域91、N+領域94の順に低くなる。
表側のSiO2領域96を通した入射光で発生した光電子(e-)とホール(h+)は、表側のP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界により直ちに分離されるので、再結合することなく光電子はエネルギーレベルが一番低いN+領域94へ移動し、ホールはP+領域93へ移動する。
P+領域93に到達したホールは外面電極97、98より供給される電子と結合して消失する。スイッチ31が開のとき、N+領域94に到達した光電子はN+領域94、外面電極101、外部容量30の+極30aに蓄積される。図6の外部回路は、スイッチ31を閉にすると、外部容量30に蓄積された光電子が外部負荷32に流れて、N+領域94、外面電極101、外部容量30の+極30aに蓄積された光電子がリセットされる例を示す。
【0041】
光電変換半導体装置90の表側のP+領域93の表面がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界領域の全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置90の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域のいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域94に蓄積した光電子がN領域91の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
またP+領域93の表面がグランド電位に固定されることで、P+領域93の表側のごく表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域93のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって電荷電荷蓄積用の外部容量30を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【0042】
この第4実施例によれば、断面がくし形のN領域91をP領域92により囲み、深さ方向に多層のPN接合面を形成し、更にP領域92の表側表面に再結合阻止用のP+領域93を設けるとともに、N領域91の裏側表面にN+領域94を設けて光電子を吸い出すようにしたことにより、深さ方向のほぼ全域にわたりバリア電界領域を形成することができ、表側のSiO2領域96を通した光入射で発生した光電子とホールを再結合することなく分離させ、光電子をN領域91からエネルギー準位の一段低いN+領域94へ吸い出すことができるので、N領域91に光電子が滞留せず、光電変換効率の高い光電変換半導体装置90が得られる。
また、裏面側に到達した入射光は外面電極101により再度、表面方向に反射されて可視光成分が光電子に変換されるので、これによっても変換効率が改善する。入射光の遠赤外線成分は外面電極101により反射されて光電変換半導体装置90の表面から外側に放出されるので、光電変換半導体装置90の設置台側が昇温せずに済み、冷却設備の負担を軽減したり、変換効率の悪化防止をしたりすることができる。
また光電変換半導体装置90の表側のP+領域93の表面がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界領域の全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置90の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域のいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域94に蓄積した光電子がN領域91の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
またP+領域93の表面がグランド電位に固定されることで、P+領域93の表側のごく表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域93のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって電荷電荷蓄積用の外部容量30を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【実施例0043】
図7図8を参照して本発明の第5実施例に係る光電変換半導体装置を説明する。
図7において、110は太陽光を受光して光起電力を発生する光電変換半導体装置であり、上側が表側、下側が裏側であり、深さ方向は上から下へ向かう方向である。光電変換半導体装置110は、内部に断面がくし形のN領域111が設けられている。N領域111の裏側の中央部には裏側方向へ突設された突設部111aが形成されている。N領域111の内、裏側の突設部111aの裏側端面111bを除く裏側表面、表側表面、側周面に接触しながら周囲を囲むようにしてP領域112が設けられている。P領域112の裏側の中央部には突設部111aの側面周囲を囲むように一段裏側に突設した段差部112aが形成されている。N領域111とP領域112の境界にPN接合面が形成されており、PN接合面を挟んだ上下両側または左右両側にPN接合型バリア電界領域が形成される。
【0044】
P領域112の表外側にP領域112の表面に接触するようにして面方向に延設された表側のP+領域113が設けられている。表側のP+領域113は光電変換半導体装置110の表側表面近くでの光電子の再結合を抑制するため、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界を生成するとともに、青色短波長の光に対する光電変換効率の改善をするために設けられた領域である。P+領域113とP領域112との境界面を挟んだ上下両側に濃度勾配型バリア電界領域が形成されている。
【0045】
P領域112の裏外側の内、段差部112aの裏側端面112bを除くP領域112の裏側表面に接触するようにして面方向に沿ってP+領域114、115が設けられている。P+領域114、115は光電変換半導体装置110の裏側表面近くでの光電子の再結合を抑制するため、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界を生成するために設けられた領域である。P+領域114、115とP領域112との境界面を挟んだ上下両側に濃度勾配型バリア電界領域が形成されている。
N領域111の裏側の中央部に接触するようにして光電子吸出し用のN+領域116が設けられている。具体的には突設部111aにN+領域116が埋め込み状態で設けられている。N+領域116の光電子エネルギーレベルはN領域111より一段低く、N領域111に集まった光電子を吸い出す機能を有する。P+領域114、115、段差部112aの裏側端面112b、突設部111aの裏側端面111b、N+領域116の裏側端面116aは受光主面に平行な平面を成す。N領域111、P領域112、P+領域113、114、115、N+領域116により、光電変換層117が構成されている。
【0046】
光電変換層117の表側には、P+領域113の表側の左右端部を除く表面に接触するようにして透明な受光窓領域としての絶縁性のSiO2領域118が設けられている。SiO2領域118の左側と右側には表側のP+領域113の表側表面の左右端部と導通した第1の極性の外面電極119、120が設けられている。
光電変換層117の裏側には、P+領域114の左右端部を除く裏外側に、P+領域114の表面と導通した第1の極性の外面電極121、P+領域115の左右端部を除く裏外側に、P+領域115の表面と導通した第1の極性の外面電極122が設けられている。またN+領域116の裏外側に、N+領域116の表面と導通した第2の極性の外面電極123が設けられている。光電変換層117の左右側面には絶縁性のSiO2領域124、125が設けられている。光電変換層117の裏側の外面電極121、122、123以外の外面には絶縁性のSiO2領域126、127が設けられている。
【0047】
光電変換半導体装置110は、N領域111の左右方向の中央を通り、深さ方向に延びた対称線C4から見て、N領域111、P領域112、P+領域113、114、115、N+領域116、外面電極119、120、121、122、123、SiO2領域118、124、125、126、127が左右線対称に形成されている。各外面電極119、120、121、122、123は金属製である。外面電極121、122は光電変換半導体装置110の裏側に到達した入射光の可視光成分を反射し、再度、光電変換させたり、入射光の遠赤外成分を反射し、光電変換半導体装置110の表外側に放出させて光電変換半導体装置110の昇温を抑制する機能を有する。
【0048】
光電変換半導体装置110の内、外面電極119、120、121、122はグランドに接続されており、グランド電位に固定されている。一方、外面電極123とグランドとの間には電荷蓄積用の外部容量30が接続されている。また、外部容量30にはスイッチ31を介して外部負荷32が接続されている。なお、光電変換半導体装置70の内部に電荷蓄積用の容量(図示せず)を形成し、この容量の両極をN+領域116に設けられた外面電極123とグランド間に接続するようにしても良い。
【0049】
光電子のエネルギーレベルは表側及び裏側のP+領域113、114、115が一番高く、内部のP領域112、N領域111、裏側のN+領域116の順に低くなる。
表面側のSiO2領域118を通した入射光で発生した光電子(e-)とホール(h+)は、表側及び裏側のP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界により直ちに分離されるので、再結合することなく光電子はエネルギーレベルが一番低いN+領域116へ移動し、ホールはP+領域113、114、115へ移動する。
P+領域113、114、115に到達したホールは外面電極119、120、121、122により供給される電子と結合して消失する。スイッチ31が開のとき、N+領域116に到達した光電子はN+領域116、外面電極123、外部容量30の+極30aに蓄積される。図7の外部回路は、スイッチ31を閉にすると、外部容量30に蓄積された光電子が外部負荷32に流れて、N+領域116、外面電極123、外部容量30の+極30aに蓄積された光電子がリセットされる例を示す。
【0050】
光電変換半導体装置110の表側のP+領域113、裏側のP+領域114、115の表面がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界領域の全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置110の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域のいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域116に蓄積した光電子がN領域111の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
またP+領域113、114、115の表面がグランド電位に固定されることで、P+領域113の表側のごく表面近くと、114、115の裏側のごく表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域113、114、115のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって電荷電荷蓄積用の外部容量30を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【0051】
この第5実施例によれば、P領域112によりN領域111の周囲を囲み、深さ方向に多層のPN接合面を形成し、更にP領域112の表裏両側の表面に再結合阻止用のP+領域113、114、115を設けるとともに、N領域111の裏側の中央部にN+領域116を設けて光電子を吸い出すようにしたことにより、深さ方向のほぼ全域にわたりバリア電界領域を形成することができ、SiO2領域118を通した光入射で発生した光電子とホールを再結合することなく分離させ、光電子をN領域111からエネルギー準位の一段低いN+領域116へ吸い出すことができるので、N領域111に光電子が滞留せず、光電変換効率の高い光電変換半導体装置110が得られる。
また、裏面側に到達した入射光は外面電極121、122により再度、表面方向に反射されて可視光成分が光電子に変換されるので、これによっても変換効率が改善する。入射光の遠赤外線成分は外面電極121、122により反射されて光電変換半導体装置110の表面から外側に放出されるので、光電変換半導体装置110の設置台側が昇温せずに済み、冷却設備の負担を軽減したり、変換効率の悪化防止をしたりすることができる。
光電変換半導体装置110のP+領域113、114、115の表面がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合型バリア電界領域の全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置110の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域のいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域116に蓄積した光電子がN領域111の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
またP+領域113、114、115の表面がグランド電位に固定されることで、P+領域113の表側のごく表面近くと、114、115の裏側のごく表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域113、114、115のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって電荷電荷蓄積用の外部容量30を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【実施例0052】
図9を参照して本発明の第6実施例に係る光電変換半導体装置を説明する。
図9において、130は太陽光を受光して光起電力を発生する光電変換半導体装置であり、上側が表側、下側が裏側であり、深さ方向は上から下へ向かう方向である。光電変換半導体装置130は内部に後述する光電変換層(符号145参照)を有している。
光電変換層131には断面が逆T字状のN領域140が設けられている。N領域140の表側中央部には表側方向へ突設された突設部140aが形成されている。N領域140の内、表側の突設部140aの表側端面140bを除く表側表面に、N領域140の表面に接触するようにして表側のP領域141が設けられており、N領域140の裏側に、N領域140の表面に接触するようにして裏側のP領域142が設けられている。表側のP領域141には突設部140aの側面周囲を囲むように一段表側に突設した段差部141aが形成されている。N領域140とP領域141、142の境界にPN接合面が形成されており、PN接合面を挟んだ上下両側にPN接合型バリア電界領域が形成される。
【0053】
表側のP領域141の内、段差部141aの表側端面141bを除く表側と側面側、N領域140の側面側、裏側のP領域142の裏側と側面側を囲むようにして、P+領域143が設けられている。N領域140の突設部140aには、N領域140に接触するようにしてN+領域144が埋め込み状態で設けられている。P+領域143、段差部141a、突設部140a、N+領域144の表側は受光主面に平行な平面を成す。N領域140、P領域141、142、P+領域143、N+領域144により、光電変換層145が構成されている。P+領域143は光電変換半導体装置130の表側表面近くでの光電子の再結合を抑制するため、P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界を生成するとともに、青色短波長の光に対する光電変換効率の改善をするために設けられた領域である。P+領域143とP領域141、142との境界面を挟んだ上下両側に濃度勾配型バリア電界領域が形成されている。
【0054】
光電変換層145の表側表面に接触するようにして透明な受光窓領域としての絶縁性のSiO2領域146が設けられている。SiO2領域146の左右端部近くにはP+領域143の表側表面の左右端部と導通した第1の極性の外面電極147、148が設けられており、SiO2領域146の中央に埋め込むようにしてN+領域144の表側表面と接触する第2の極性の外面電極149が設けられている。光電変換層145の裏側及び側面側を囲むようにして、第2のN領域150が設けられており、更に第2のN領域150の裏側に第2のN+領域151が設けられている。第2のN+領域151の裏側に金属製反射領域152が設けられている。
【0055】
光電変換半導体装置130は、N領域140の左右方向の中央を通り、深さ方向に延びた対称線C5から見て、N領域140、P領域141、142、P+領域143、N+領域144、外面電極147、148、149、SiO2領域146、第2のN領域150、第2のN+領域151、金属製反射領域152が左右線対称となっている例を示す。各外面電極147、148、149は金属製である。金属製反射領域152は、光電変換半導体装置130の裏側に到達した入射光の可視光成分を反射し、再度、光電変換させたり、入射光の遠赤外成分を反射し、光電変換半導体装置130の表外側に放出させて光電変換半導体装置130の昇温を抑制する機能を有する。
【0056】
光電変換半導体装置130の内、外面電極147、148と金属製反射領域152はグランドに接続されており、グランド電位に固定されている。一方、外面電極149とグランドとの間には電荷蓄積用の外部容量30が接続されている。また、外部容量30にはスイッチ31を介して外部負荷32が接続されている。なお、光電変換半導体装置130の内部に電荷蓄積用の容量(図示せず)を形成し、この容量の両極をN+領域144に設けられた外面電極149とグランド間に接続するようにしても良い。
【0057】
光電変換層145での光電子のエネルギーレベルはP+領域143が一番高く、P領域141、142、N領域140、N+領域144の順に低くなる。
表面側のSiO2領域146を通した入射光で発生した光電子(e-)とホール(h+)は、表側及び裏側のP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界により直ちに分離されるので、再結合することなく光電子はエネルギーレベルが一番低いN+領域144へ移動し、ホールはP+領域143へ移動する。
P+領域143に到達したホールは外面電極147、148より供給される電子と結合して消失する。スイッチ31が開のとき、N+領域144に到達した光電子はN+領域144、外面電極149、外部コンデンサ30の+極30aに蓄積される。図9の外部回路は、スイッチ31を閉にすると、外部容量30に蓄積された光電子が外部負荷32に流れて、N+領域144、外面電極149、外部容量30の+極30aに蓄積された光電子がリセットされる例を示す。
【0058】
光電変換半導体装置130のP+領域143の表側表面がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界領域の全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置130の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域のいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域144に蓄積した光電子がN領域140の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
またP+領域143の表面がグランド電位に固定されることで、P+領域143の表側のごく表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域143のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって電荷電荷蓄積用の外部容量30を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【0059】
この第6実施例によれば、光電変換半導体装置130の内部に設けた光電変換部145の中にN領域140に設け、N領域140の表側中央部を除く表側と裏側にP領域141、142を設け、表側のP領域141の段差部141aの表側端面141bを除く表側と側面側、N領域140の側面側、裏側のP領域142の裏側と側面側を囲むようにしてP+領域143を設けるとともに、N領域140の表側の中央にN+領域144を設けて光電子を吸い出すようにしたことにより、深さ方向のほぼ全域にわたり空乏層を形成し、SiO2領域146を通した光入射で発生した光電子とホールを再結合することなく分離させ、光電子をN領域140からエネルギーレベルの一段低いN+領域144へ吸い出すことができるので、N領域140に光電子が滞留せず、光電変換効率の高い光電変換半導体装置130が得られる。
また、裏面側に到達した入射光は金属製反射領域152により再度、表面方向に反射されて可視光成分が光電子に変換されるので、これによっても変換効率が改善する。入射光の遠赤外線成分は金属製反射領域152により反射されて光電変換半導体装置130の表面から外側に放出されるので、光電変換半導体装置130の設置台側が昇温せずに済み、冷却設備の負担を軽減したり、変換効率の悪化防止をしたりすることができる。
また光電変換半導体装置130のP+領域143の表側表面がグランド電位に固定されることにより、表側及び裏側表面近くのP+P濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界領域とPN接合の空乏層内に生じるPN接合型バリア電界領域の全域の電位が固定されるので、光電変換半導体装置130の周囲でサージ等の外乱が生じても、バリア電界領域のいずれの場所の電界も外乱の影響を受けたり、N+領域144に蓄積した光電子がN領域140の側に戻ったりすることもなく、安定した光電変換動作を維持できる。
またP+領域143の表面がグランド電位に固定されることで、P+領域143の表側のごく表面近くの電界が零となり、この結果、P+領域143の表側のごく表面近くで熱エネルギーを吸収して伝導帯に上がった電子がその場で直ちに空孔と再結合するので、表面暗電流となって電荷電荷蓄積用の外部容量30を放電させてしまう恐れが少なくなり、変換効率の一層の向上を図ることができる。
【実施例0060】
図10を参照して本発明の第7実施例に係る光電変換半導体装置を説明する。
図10において、160は太陽光を受光して光起電力を発生する光電変換半導体装置であり、上側が表側、下側が裏側であり、深さ方向は上から下へ向かう方向である。光電変換半導体装置160は図9の光電変換半導体装置130と同一構成の光電変換部161、162、163を左右方向に一体的に併設した構成を有している。各光電変換部161、162、163の構造及び働きは図9の光電変換半導体装置130と同様である。
【0061】
光電変換部161の外面電極147、148はグランドと接続されており、外面電極149は電荷蓄積用の第1の外部容量331の+極331aと接続されている。光電変換部162の外面電極147、148は外部容量331の+極331aと接続されており、外面電極149は電荷蓄積用の第2の外部容量332の+極332aと接続されている。光電変換部163の外面電極147、148は外部容量332の+極332aと接続されており、外面電極149は電荷蓄積用の第3の外部容量333の+極332aと接続されている。第3の外部容量333にはスイッチ31を介して外部負荷32が接続されている。
【0062】
図10の如く構成された光電変換半導体装置160によれば、光電変換部161、162、163の一つ当たりの光起電圧の3倍の電圧を外部負荷32に印加することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、太陽光を入射して電気エネルギーに変換する太陽電池用の光電変換半導体装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 光電変換半導体装置
2 表側のP+領域
3 表側のP領域
4 N領域
5 裏側のP領域
6 裏側のP+領域
9、10、12 外面電極
11 N+領域
30 外部容量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2020-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
変換効率の改善策の一つとして従来、例えば特開平07-297444号公報に示す如く、光電変換半導体装置の表面と平行なPN接合面を深さ方向(上下方向)に複数個形成する手法が提案されていた。
けれども、上記した特開平07-297444号公報の光電変換半導体装置では、光電子はN領域のエネルギー準位の低い場所に移動して滞留するが、その滞留した光電子の量に応じてN領域の電位は固定されずに変動し、滞留した光電子がN領域の空乏層を狭めて光電子・空孔の再結合を促進したり、光電変換半導体装置の表面近くで再結合が起き易く、変換効率の向上に限界があった。
【手続補正書】
【提出日】2020-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に光電変換層を設け、
この光電変換層は、
光電変換半導体装置内に設けたN領域と、
該N領域の表側中央部を除く表側に、当該N領域の表面に接触するようにして設けた表側のP領域と、
前記N領域の裏側に、当該N領域の表面に接触するようにして設けた裏側のP領域と、
前記表側のP領域の表側の全部または一部と側面側、前記N領域の側面側、前記裏側のP領域の裏側と側面側を囲むようにして設けたP+領域と、
前記N領域の表側の中央部に、当該N領域と接触するようにして設けた表側のN+領域と、
を含み、
前記光電変換の表側に、受光窓領域と、前記P+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極と、前記N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記P+領域の裏側に、第2のN領域と第2のN+領域の内、少なくとも一方を介して金属製反射領域を設け、
前記第1の極性の外面電極と金属製反射領域をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴とする光電変換半導体装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
請求項1記載の発明では、
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に、表側から裏側に向かう深さ方向にN領域の表裏両側を表側のP領域及び裏側のP領域で挟み、更に当該表側のP領域の表側と裏側のP領域の裏側を、
P+Pの濃度勾配により生じる濃度勾配型バリア電界生成用の表側のP+領域と裏側のP+領域とで挟んだP+PNPP+接合部を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の深さ方向の中央部に、該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
前記N+領域の外側に、該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
請求項2記載の発明では、
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内にN領域を設け、
該N領域の裏側左右端部近くの一部を除く表側、裏側、側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにして表側のP+領域を設け、
前記P領域の裏側に、該P領域の表面に接触するようにして裏側のP+領域を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側の左右端部近くに、当該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、当該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
請求項3記載の発明では、
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に設けたN領域の裏側中央部を除く表側、裏側、側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにして表側のP+領域を設け、
前記P領域の裏側に、該P領域の表面に接触するようにして裏側のP+領域を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、当該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側の中央部に、当該N領域に接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、当該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
請求項4記載の発明では、
面側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に設けた断面がくし形のN領域の裏側を除く表側と側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにしてP+領域を設け、
該P+領域の表側に、受光窓領域及び当該P+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側に、該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、当該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
第1の極性の外面電極をグランドに接続し、第2の極性の外面電極とグランドの間に、
光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
請求項5記載の発明では、
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に設けた断面がくし形のN領域の裏側中央部を除く表側、裏側、側面側を囲むようにしてP領域を設け、
該P領域の表側に、該P領域の表面に接触するようにして表側のP+領域を設け、
前記P領域の裏側に、該P領域の表面に接触するようにして裏側のP+領域を設け、
前記表側のP+領域の表側に、受光窓領域及び当該表側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記裏側のP+領域の裏側に、当該裏側のP+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極を設け、
前記N領域の裏側の中央部に、該N領域と接触するようにして光電子吸出し用のN+領域を設け、
N+領域の裏側に、該N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記各第1の極性の外面電極をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグラン
ドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
請求項6記載の発明では、
表側から入射した太陽光を光電変換する光電変換半導体装置であって、
光電変換半導体装置内に光電変換層を設け、
この光電変換層は、
光電変換半導体装置内に設けたN領域と、
該N領域の表側中央部を除く表側に、当該N領域の表面に接触するようにして設けた表側のP領域と、
前記N領域の裏側に、当該N領域の表面に接触するようにして設けた裏側のP領域と、
前記表側のP領域の表側の全部または一部と側面側、前記N領域の側面側、前記裏側のP領域の裏側と側面側を囲むようにして設けたP+領域と、
前記N領域の表側の中央部に、当該N領域と接触するようにして設けた表側のN+領域と、
を含み、
前記光電変換の表側に、受光窓領域と、前記P+領域の表面と導通した第1の極性の外面電極と、前記N+領域と導通した第2の極性の外面電極を設け、
前記P+領域の裏側に、第2のN領域と第2のN+領域の内、少なくとも一方を介して金属製反射領域を設け、
前記第1の極性の外面電極と金属製反射領域をグランドに接続し、前記第2の極性の外面電極とグランドの間に、光電変換半導体装置の内部または外部に設けた電荷蓄積用の容量を接続したこと、
を特徴としている。
各請求項において、N+領域をN領域に埋め込むように設けても良い。